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なんてことのない記事ばかりがネットに溢れる理由
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投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 28 日 08:44:26: tW6yLih8JvEfw
 



【第2回】 2015年5月28日 奥村倫弘 [ワードリーフ 代表取締役社長]
なんてことのない記事ばかりがネットに溢れる理由
ついつい仕事の合間に「なんてことのない記事」を読んでしまっている人も多いはず
Photo:yuuuu-Fotolia.com
「ネットには、なんてことのない記事を配信しておけばいいんですよ」
 私は、これと同様の趣旨の発言を、いずれも紙の時代からニュースを発信している複数のメディアの担当者から、ここ数ヵ月のうちに聞きました。どちらのメディアも信用に足る記事を配信している会社だっただけに、少なからぬ衝撃を受けました。
「いよいよ、そう割り切ったのか」と感じた一方で、一人は「ニュースアプリのキュレーションの質が低くなることは、記事を提供する日本のメディアのレベルを引き下げる力を十分に持っていることに気づかないのだろうか」と悔しそうに話すのです。なぜこんな投げやりな発言が出てくるのでしょうか?
スマホの登場で激変した
ニュースアプリ勢力図
 インターネットの視聴率データを提供する「ニールセン」が昨年11月に「ニュース・キュレーションアプリ TOP3は年初からの利用者が2倍以上に増加」というニュースリリースを発表しました。シニアアナリストの今田智仁さんは、「今年、利用者数を大きく増加させた注目のカテゴリー」だったとコメントし、その躍進ぶりに注目しました。
 これによると、スマートニュースが386万人、グノシー が299万人、Yahoo!ニュースが187万人、そしてアンテナの105万人とLINE NEWSの85万人が続いています。これに反論するかのように、Yahoo!ニュースは、その公式ブログのなかで「このような調査のプレスリリースは各社でカテゴリ分けや数値の取り方が異なる」と指摘。事実上、ニュースアプリとして利用されている「Yahoo! JAPANアプリ」と「Yahoo!ニュースアプリ」を合算すべきで、そうすると利用者は1222万人になると主張しました。
 Yahoo!ニュースの主張を取り入れると、1位がYahoo!ニュースとなり、スマートニュースやグノシーがそれぞれ1ランクずつ順位を下げる結果となります。そうすることで、ヤフー・ジャパンが提供するアプリは、そのほかのアプリを合算してそれを2倍にしたくらいの規模を誇ることになります。しかし、2位以下との差は、パソコンで誇っていたほどの規模の差はなくなっています(パソコン時代には、Yahoo! JAPANのトップページをニュースサイトとしてカウントしなくても圧倒的だった)。それだけ、スマートフォン時代のマスに向けたニュース流通において、キュレーションアプリは多様になり、それぞれ大きな影響力を持つように変わってきたと言えます。
報道機関は良い記事を書いてもムダ?
ニュースの決定権を握ったIT企業
 ただ、パソコン時代においても、スマートフォン時代においても、変化していないことがあります。新聞社や出版社といった報道機関をはじめとするコンテンツプロバイダーは、インターネットにおいて、圧倒的な流通を押さえられなかったという事実です。自社のホームページに記事を掲載しただけでは大して読まれません。読まれるためには、強力な流通の力が必要ですが、この要衝を押さえてきたのは報道機関ではなく、IT企業でした。
 インターネットニュースの生産(あえて生産という表現を使います)と流通の関係は、パナソニックのお店とヨドバシカメラの関係に近いかもしれません。パナソニックのお店は、パナソニックグループの製品だけを扱い、他社の製品は扱いません。一方のヨドバシカメラは、パナソニックに限らず、ソニー、シャープなど幅広い製品を扱っています。ふだん私たちが買い物に出かけるのは、品揃えが豊富なヨドバシカメラの方でしょう。
 ニュースの生産は新聞社などによって行われます。しかし、自社のサイトに自社の記事だけ掲載するというやり方では圧倒的なユーザーの数が集まって来ませんでした。これとは違い、ポータルサイトやニュースキュレーションアプリなどを提供するIT企業は、自社で記事を生産しない代わりに、ありとあらゆるニュースを買い求め、そこに掲載することで、圧倒的な集客に成功しました。
 新聞社や出版社などがニュースを生産し、IT企業が流通を担うという、インターネットにおけるニュースの生産と流通の関係は、過去20年間で、役割分担が決定的になったのです。このことは、ニュースの流通において、新聞社などのコンテンツプロバイダーが自社のニュースを、インターネットを通じて世に広く流通させるための発言権を持てなくなっていることを意味します。
 コンテンツプロバイダー(生産メディア)がどれほど自信を持って良い記事を書いても、その記事を取り上げるか取り上げないかの決定権は、ポータルサイトやニュースキュレーションアプリの流通メディア側にあるわけですから、生産側にとって面白いはずがないのです。これを、ある新聞社のメディア担当者は「生殺与奪の権限を持っている」と表現していました。
 しかし、生産側と流通側がお互いに「いい記事を書いて、いい記事が世に広がる」という一つの理想に合意しているうちは、少なくとも大きな問題は発生しませんでした。生産と流通を友好的に橋渡しする存在がキュレーターだったのです。そういう意味で、流通側に立つキュレーターは、生産側にとっての良き理解者であるべきなのです。
 ですから、「ネットには、なんてことのない記事を配信しておけばいいんですよ」という言葉の裏には、キュレーターが良き理解者ではなくなったことで(あるいは理解するキュレーターがいないことで)、両者の間に深い溝ができ始め、生産側が苛立ってきたということにほかなりません。
「なんてことのない記事」はなぜ増えたか
深まる生産側と流通側の溝
 ある日、とあるキュレーションアプリで「いちゃいちゃしすぎだろ! 濃厚な絡みのAVが出現」という記事を見かけました。「よくも、こんなけしからん記事を配信するメディアがあるものだ」と仕事4割、興味6割でリンクを開いてみたら、そこにはお互いをなめ合う子猫と子犬の写真が……。AVというのは、アダルトビデオではなく、アニマルビデオの略なのだそうです。
 一杯食わされて、良い意味でにやっとしました。売れ筋はこうした工夫で作られるんだな、その発想がさすがだなと。しかも、これは個人の思いつきで書かれた記事ではありません。非常に質の高いテック系の記事で知られるアイティメディア株式会社が運用する、新媒体「ねとらぼ」が配信した記事であり、同社の戦略的事業ポートフォリオのなかに組み込まれた、れっきとした戦略商品なのです。
 同社の決算書類のなかでは、「ねとらぼ」は「PV重視の新モデルで急成長中」と報告されており、ニュースに公益性が必要かどうかという議論はさておいて、会社の成長・規模拡大を視野に入れた場合に、「なんてことのない記事」は、メディア事業として無視できない領域だということでしょう。
 ほかにも、テレビで流れる芸能人のゴシップや一挙手一投足を拾う専門チームを組織しているコンテンツプロバイダーもあります。みなさんも、こうした記事をキュレーションアプリでよく見かけているはずです。このように生産側は、流通を担うニュースキュレーションアプリなどに記事を最適化させて数字を狙いに行きます。記事をピックアップする編集者や機械のロジック(そしてユーザーの行動)を先読みし、取り上げてくれれば、それで成功。「なんてことのない記事」というのは、そういう性格の記事であり、生産本数を増やして行きます。
 流通側がビジネスとしてメディアを運営している以上、富をもたらしてくれる生産メディアを優遇するのは自然です。生産側も流通に富をもたらしてくれる記事を配信することは、両者にとって願ったりかなったりという側面があることは否定できません。
 しかし、流通側からは違う景色が見えているようです。このあたりの事情の複雑さは、今年1月に東京都内で開かれた「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」のパネルディスカッションに垣間見ることができます。スマートニュース執行役員の藤村厚夫さんは、「消費者とブランドがエンゲージメントを重ねて理解と信頼を作っていく、という議論が最近のメディアのコンテンツを作る側に無くなってきている」と手厳しい指摘をされています。
 そうすると、生産側は「信頼を作るために、どんなニュースだったら大きく扱ってくれるのか?」という質問を流通側に迫るわけですが、藤村さんは「結局、『スマートニュースって○○を沢山取れば載るんですよね』という話が出てきてしまうので、実はアルゴリズムの中を構成している要素を説明しにくくなってきている。そういうことを言えばいうほど、『じゃあそれを集めればいいんですよね』という話になるんですよ」と苦しい胸の内を明かします。
 しかし、(紙はともかく)インターネットを舞台としたニュース業界では、「マスを相手にしたニュースはどこに向かうべきなのか?」「どういった記事が世に問うに値する良質な記事なのか?」といった議論は、生産側からも流通側からも、ほとんど沸き起こってきません。
 なぜなのでしょうか? 歯に衣着せぬ発言で知られるKADOKAWA・DWANGOの会長、川上量生さんは「コンテンツをつくらない企業がやっているプラットフォームでは、コンテンツは単なるプロモーション材料に堕落する」としたうえで、こう指摘します。「もともとIT業界っていうのは、資本も人もないところで、するっとうまくやろうとして集まった人ばかりだから」(『ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち』日経BP社)。
 ニワトリが先かタマゴが先かの議論のようですが、このような“負のスパイラル”によって日本のメディアのレベルが低下していくことが危惧されているのです。
http://diamond.jp/articles/-/72248
 

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コメント
 
01. 2015年5月29日 21:56:17 : YK28omLvf2
記者クラブ仲間で決めた同じ内容ばかり繰り返し報道するニュースなどいつまでも見るほどのメデタイ人はそんなにいない。

同じ愚民向けの内容なら、別の視点のある多様な報道の方がまし。産経からニュースを受け取るヤフーのニュースなどゴミのようものばかり。


02. 2015年5月30日 05:42:37 : E4bT3Bpr2w

この記事自体が「なんてことのない記事」だと思うが。

3. 2015年6月19日 01:10:31 : T1mOn9kRsY
俺は下町に住んでるけど、今年ぐらいからテレビでやたら下町グルメとほぼ毎週の
ように紹介されるたびに客が押し掛け、何て事ないラーメン屋に長蛇の列が出来たり
おかしいなぁと言ってるよ、地元では。
どうせ安倍とか政治の事を突っ込む番組が作れないから、無難なグルメ番組ばっか
作ってるんじゃねーの?景気が悪いから、土日に遊ぶっていっても近間の下町へ
遊びに来て、安い飯食って喜んで帰るんだろうねと、地元民はわかってて冷めてる。

だろ?テレビ局、見ないから知らねーけど


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