★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板5 > 534.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
幻のSTAP:(1)誰も あると思ってない (2)iPSへの対抗心(3)まな板の上の鯉(4)不安があたった(5)集合知の
http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/534.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 27 日 03:54:41: Mo7ApAlflbQ6s
 

日経新聞の連載記事:

※ ダイナモさんが「(1)誰も あると思ってない」を投稿されているが、全編をまとめて投稿させていただく。


[迫真]幻のSTAP


(1)誰も あると思ってない

 5月末、理化学研究所研究ユニットリーダーの小保方晴子(30)が久しぶりに、発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)に姿をみせた。向かった先はC棟にある応接室。ここで待機し、STAP細胞の作り方をアドバイスする。ムーミンの絵柄で飾られた自分の研究室に立ち寄ることは許されなかったが、検証実験への参加は事実上、始まった。

□   □
 A棟の4階で実施されている検証実験は難航していた。STAP細胞どころか、らしき細胞もできない。担当のCDBプロジェクトリーダー、丹羽仁史(50)はあきらめ顔で「もう限界だ」。小保方に助言を求めることになった。

 6月12日の第三者の有識者による理研改革委員会の最終会合。急きょ呼ばれた理研統合生命医科学研究センター(横浜市)の上級研究員、遠藤高帆が言い放った。「ES細胞が混じったとしか考えられない」
 ネット上に公開されたSTAP細胞の遺伝子情報を解析すると、8番染色体に異常が見つかった。この染色体異常があるとマウスは生まれない。論文にはSTAP細胞は生まれたばかりのマウスから作ったと書いてある。STAP細胞は別の万能細胞であるES細胞ではないかとの重大な疑義が、一層深まった。
 STAP細胞を「ない」と言い切ることはできないが、「ある」と考える研究者は小保方以外に今の理研にもういない。

 生物学の常識を覆す「夢の細胞」として登場したSTAP細胞。日本を代表する研究機関である理研の若手研究者が作ったといわれるが、実は彼女が留学したハーバード大学が深く関わる。
 麻酔科医でもある教授のチャールズ・バカンティが約10年前に唱えた仮説が下敷きになっている。彼の研究室で小保方は修業した。作製法を記した論文の筆者をどうするかも彼が決めた。
 背中から人間の耳がはえたようにみえるマウスを作製し、再生医療の分野で有名になったバカンティは、研究の中身より見せ方にこだわる。この耳も型のなかにウシの軟骨細胞を入れて作り、背中にくっつけたもの。仲間の評判は芳しくない。

 もう1人、STAP研究の利用をもくろんだのがCDB副センター長の笹井芳樹(52)。ES細胞研究の第一人者で、論文が載ったネイチャー誌とも関係が深い。「論文を書かせたら右に出る者はいない」といわれ、STAP研究を「世紀の大発見」にした。
 CDBで国から研究費を集める担当もしている。論文掲載が内定していた1月下旬には、早速、小保方を引き連れ、医療戦略を練る内閣官房を訪れた。「すごい研究成果をもうすぐ発表します」と興奮気味だった。
 翌月のバレンタインデーには、首相官邸での総合科学技術会議の会合に小保方が出席することまで決まっていた。普通はノーベル賞受賞者級しか呼ばれない。論文の画像に不自然な点があるとの指摘が出て、会合当日にキャンセルになった。

 研究の白紙を意味する論文の取り下げに「成果が誤りという説得力のある証拠がない」と拒み続けてきたバカンティが、ネイチャー誌に5月末、撤回を申し出た。編集部の判断で取り下げられるという「不名誉な結末」になる可能性が強まってきたからだ。
 後ろ盾を失った小保方は、自らSTAP細胞を作るしか、残された道がなくなった。検証実験への参加をちらつかせて論文の撤回を迫る理研。「本意ではない」としながらも同意書に署名した。
□   □
 STAP研究では、論文作成と並行して、特許も出されている。
 2012年4月、バカンティ、小保方らを発明者とし、ハーバード大が中心となって米国特許を仮出願した。笹井らが論文を完成させたことを受け、13年4月、ハーバード大と理研が米特許庁に共同で国際出願した。出願者には、小保方が再生医療研究に取り組むきっかけを作った東京女子医科大学、発明者には笹井の名前も記された。

 新薬や治療法の開発を変える万能細胞は「金のなる木」ともいえる。特許が成立すれば、再生医療ビジネスを勝ち抜く切り札となる。今年1月末にはSTAP論文の発表を受け、再生医療銘柄で株価が急騰した。
 特許の扱いについて理研の広報担当者は「来春、検証実験の結果がまとまってから判断する」と語る。論文は撤回するのに、特許の取り下げはまだ決断できずにいる。

 STAP細胞は登場から4か月余りで1つの仮説にすぎなくなった。幻となった新型万能細胞への期待と思惑が、STAP騒動をどんどん大きくしていった。
(敬称略)

[日経新聞6月23日朝刊P.2]

===================================================================================================
(2)iPSへの対抗心

 STAP細胞はどうして「世紀の大発見」といわれるようになったのか。

 1月末、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)で開かれたSTAP研究に関する記者発表。副センター長の笹井芳樹(52)は、広報担当者と打ち合わせをしないまま、1枚の追加資料を報道陣に配った。牛や魔法使いの絵柄を使い、STAP細胞がiPS細胞よりいかに優れているかが描かれていた。
 「iPSは牛が引っ張るように強制的につくる。STAPは魔法使いが魔法をかけるようにつくるので、よりマイルドだ」「染色体に異常を起こすことなく作製効率もよい。がんになる心配もない」。2時間以上に及んだ会見でも、iPS細胞を意識した発言を繰り返した。

 笹井は36歳の若さで京都大学医学部の教授に就任したエリート。万能細胞の一つであるES細胞で次々と成果を上げた。2000年、再生医療の国内中核拠点としてCDBが発足するとともに移籍した。
 順風満帆だったが、06年、京都大学教授の山中伸弥(51)がiPS細胞の作製に成功し、逆風が吹き始めた。iPS細胞はES細胞と異なり受精卵を壊さずに作れる。倫理上の問題がなく医療応用に向く。日本の再生医療研究はiPS細胞一辺倒になる。山中は12年にノーベル賞を受賞。再生医療研究で先頭を走ってきた笹井の存在感は薄くなっていった。

 iPS細胞をしのぐ万能細胞はないか。笹井は12年12月、研究ユニットリーダーを採用する面接会場で、小保方晴子(30)の研究内容を知った。センター長の竹市雅俊(70)から「論文を完成させるのを手伝ってやってくれ」と言われ、快諾した。

 今年4月16日の記者会見で笹井は「STAPは私の仕事ではない。論文執筆の最後の2カ月しか関わっていない」と釈明した。しかし、この発言を真に受けるものはいない。
 特許の発明者に名を連ねており、一時期、笹井研究室で小保方に実験をさせた。研究不正の疑惑が発覚した後も「単純ミス」と言い続けた。STAP論文に博士論文の画像を載せてしまったことを小保方から打ち明けられた時も、画像を撮り直しておくよう指示、不正発覚を回避するかのような行動をとった。
 「(笹井が)論文の共著者や特許の発明者に加わっているとは」。竹市らCDB幹部は驚くしかなかった。
(敬称略)

[日経新聞6月24日朝刊P.2]
===================================================================================================
(3)まな板の上の鯉

 「実験をやらせたらいいじゃないか」。5月下旬、文教族として知られる衆院議員の渡海紀三朗(66)は、自民党の会合に呼んだ理化学研究所の研究担当理事である川合真紀(62)に詰め寄った。

 STAP論文問題で理研の調査委員会は4月1日、不正行為は研究ユニットリーダー、小保方晴子(30)のみが働いたとする結論を発表していた。「トカゲのしっぽ切りのようで国民は納得しない。本人にもう一度作らせ、できなかったというのがわかりやすい」。川合は「科学界の信頼を得られない」とつれない返事。渡海のいらだちは文部科学省にすぐに伝わった。

 1世紀近くの歴史があり、職員数は約3400人。再生医療、脳科学から遺伝子工学、基礎物理まで広範な研究分野をカバーする理研は、名実共に日本を代表する研究機関だ。イノベーションで経済を活性化したい首相の安倍晋三(59)は現政権発足後すぐ、理研を訪問した。
 安倍の号令の下、政府は「特定国立研究開発法人」を2015年度に発足すると決めた。優秀な研究者を高額な報酬で処遇する新制度を取り入れ、国際競争力を飛躍的に高める狙いだ。法案を国会で通そうという大切な時にSTAP騒動が起きた。理研に不正調査を急がせ、小保方を処分して事態を早く収束させる。こんなシナリオが文科省で検討された。

 調査委が最終報告を公表した前日の3月31日深夜、理事長の野依良治(75)は電話にかじりついていた。相手は同省幹部。記者会見の「予行演習」だった。「まな板の上の鯉(こい)のようだ」。2003年から理研を率いてきたノーベル賞学者はこう吐露することもあった。

 理研の若手リーダー格は危機感を強めた。調査が中途半端に終わり、信頼が失墜するのは耐えられない。自分たちの研究も滞るかもしれない。iPS細胞で世界初の臨床研究を進めるプロジェクトリーダー、高橋政代(53)ら22人は3月14日、真相の究明に向け「最大限誠実な行動をとる」とする「研究室主宰者による声明」を公表した。

 不正論文ができた過程を自ら明らかにしようと理研内に発足した自己点検検証委員会には、声明に名を連ねた若手もオブザーバー参加した。複数の図やデータから新たな疑義が浮上したが、報告を受けた理研本部は追加調査に動かない。「みんなバラバラ」。あるプロジェクトリーダーは嘆いた。
(敬称略)

[日経新聞6月25日朝刊P.2]
===================================================================================================
(4)不安があたった

 山梨大学教授の若山照彦(47)が、理化学研究所の研究ユニットリーダーである小保方晴子(30)ら共著者に、STAP論文の撤回を呼びかけたのは3月10日のことだった。同日朝、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)の幹部3人からメールや電話で「論文を取り下げたほうがいい」とアドバイスされた。研究の根幹となる万能性を示す画像が、小保方の博士論文と同じだった。「これが決定的な不信になった」

理研から山梨大に移った2013年春から一抹の不安があった。論文の書き上げはCDB副センター長の笹井芳樹(52)に任せ心配していなかったが、小保方に教わった手法でSTAP細胞の作製を何度も試みたものの、一度もうまくいかなかったからだ。生き物を使った実験では「レシピ」通りにやってもできないことはよくある。「彼女なりのコツがあるのだろう」
 ただ、自分の手で再現ができないまま、成果の責任者になるのはつらい。同年8月「論文の責任著者を降りたい」とメールで笹井に申し出た。「若山さんの貢献が大きい」と慰留され、断りきれなかった。歴史に名を刻むような大発見になるかもしれないという誘惑にも負けた。

 若山は茨城大学の農学部出身。受精卵や卵子を扱う高度な技術を磨き、1996年にクローンマウスの作製に世界で初めて成功した。学者というよりは職人肌の研究者で、クローンの成果を疑う世界の科学者たちを前に実験を成功してみせた。
 11年、ハーバード大学から理研に移ってきた小保方に実験用マウスを渡し、それをもとに彼女がSTAP細胞を作製。小保方から受け取った細胞を無限に増えるように改良した。同年11月には、このSTAP幹細胞を使ったマウスの実験で万能性を確認し、喜び合った。

 それから2年余りで論文撤回を呼びかける。「受け取った細胞はSTAP細胞だったのか。わからなくなった」。保管していたSTAP幹細胞を「物的証拠」として解析することを決意、第三者機関に渡した。5月末に「クロ」の結果を手にしたが、理研から公表に「待った」もかかる。一連の理研の対応に「責任を押しつけられるのではないかという恐怖感があった」。

 6月16日に山梨大でようやく開いた記者会見でSTAP細胞の存在を否定した。「ハーバード大の優秀な研究者に実験ノートを見せてくれ、とは言えなかった」と悔やんだ。
(敬称略)

[日経新聞6月26日朝刊P.2]
===================================================================================================
(5)集合知の審判

 広島大学名誉教授の難波紘二(73)は自宅近くに建てた小屋で、メールマガジンを書くのが日課だ。ジャンルを問わず、好奇心の赴くままに、思ったこと、感じたことを情報発信する。

 「何かおかしいな」。血液病理学が専門で免疫に詳しい難波は、STAP論文に関する発表資料や新聞報道で奇妙な引っかかりを感じた。STAP細胞では「TCR遺伝子再構成」という現象が確認されたと記されているが、もし本当なら、万能性を確認するためのマウスを作ると、重い免疫不全が起きる。早速、この疑問を2月3日のメルマガに報告した。論文発表から1週間もたっていなかった。

 文献と自身の経験から徐々に疑念は深まっていく。STAP論文が載ったネイチャー誌を手に入れ、著者の一人、米ハーバード大学教授のチャールズ・バカンティによる過去の論文も熟読した。理化学研究所の研究ユニットリーダー、小保方晴子(30)の仕事に「独創的なところはどこにもない」と思った。

 今回のSTAP騒動では、論文発表後まもなく、ネット上に様々な疑問が飛び交った。具体的な疑義が登場したのは2月5日で、海外の投稿サイト「パブピア」に匿名で1枚の画像が寄せられた。論文で使われた遺伝子解析の画像に、切り貼りしたような跡があったという。小保方の博士論文からの画像流用疑惑は「11jigen」と名乗る個人のブログで暴露された。

 こうした指摘を後追いするような形で、理研はSTAP論文を研究不正と認定した。

 日本分子生物学会の副理事長で九州大学教授の中山敬一(52)も2月初めに違和感を覚えた。研究室のメンバーが顕微鏡で撮影されたという動画を見ていると、次々に「おかしい」と声があがった。STAP細胞は死んだ細胞にそっくりだった。

 過去の研究不正を調べてきた中山は、パブピアへの投稿を見て確信に近いものを感じた。「典型的な捏造(ねつぞう)のパターンだ」。3月初旬、STAP論文について、分子生物学会の理事長名で「大変憂慮している」との声明を発表した。

 科学の世界ではどんな新しい学説も公の場で意見を戦わせながら、その評価を定めていくのが本来の姿だ。専門家による査読をすり抜けて一流誌に載ってしまったSTAP論文は、ネットの「集合知」による審判で振り出しに戻った。
(敬称略) 

 安藤淳、山本優、新井重徳、川口健史、岩井淳哉が担当しました。

[日経新聞6月27日朝刊P.2]

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年6月27日 12:16:22 : efYYgyF3F6
>「実験をやらせたらいいじゃないか」。5月下旬、文教族として知られる衆院議員の渡海紀三朗(66)は、自民党の会合に呼んだ理化学研究所の研究担当理事である川合真紀(62)に詰め寄った。


渡海紀三朗
・元文科大臣
・早稲田大学理工学部出身

下村博文
・文科大臣
・早稲田大学教育学部出身


ずぶずぶですわ。


02. 2014年6月27日 21:35:21 : xSwjkNHDKg
ライバル大学に医学部があると言うことで、医学部創設を焦る大学もあるわな
ところで、コピペ論文に関しての早稲田理工応用科学の記者会見はまだかよ
もう6月は終わるでよ

03. 2014年6月27日 23:31:21 : mS869ekxYk
 医学部がなければ総合大学とは言えない。おこがましい話だ。
都心にあるというだけ。学生を詰め込んで学費を稼ぐ。

04. 2014年6月29日 15:35:37 : NtEgPVsO7o
インチキ博士大量生産校、早稲田大学は、このままだんまりを決め込んで風化をねらうのか。
まずは、私学補助金停止処分だな。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)  recommend
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板5掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧