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重さ・温度の定義 大転換
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 6 月 23 日 04:55:16: Mo7ApAlflbQ6s
 


重さ・温度の定義 大転換
精密な測定手法 競う各国

 質量や温度など身近なものを測る時の単位の定義が、大きく変わろうとしている。2018年に開かれる国際会議で、4つの単位の基準が変更されそうだ。具体的な物体で「1キログラム」を決める従来の方法から、自然界に存在する不変の「物理定数」を基準にした定義に変わる。ただ、そうした物理定数の値は、正確にはわかっていない。これを極めて精密に測定する実験に、各国がしのぎを削っている。

 茨城県つくば市の産業技術総合研究所。その地下に暗証番号つきの扉で堅く閉ざされた金庫がある。中には白金とイリジウムの合金でできた分銅が3つ、二重のガラス容器の中に鎮座している。「日本国キログラム原器」だ。

 現在「1キログラム」というのは、この原器の質量で定義される。企業や研究機関はこれを使って計量器の精度を確認する。だが実際には「金庫の扉が開くことはめったにない」と産総研の藤井賢一・質量標準研究グループ長は話す。

 日本の原器は複製で、本物の国際キログラム原器はパリにある。1889年から質量の定義に使われてきたが、ついに廃止されることになった。人工物で基準を決めるのには限界がある。そんな問題意識が背景にあるからだ。

 国際原器は厳重に管理されてきたが、洗浄の繰り返しで重さが60マイクロ(マイクロは100万分の1)グラム変動した。日常では問題にならないが、ナノテクノロジー(超微細技術)の進展で原子レベルの精密測定が広がり、より安定した定義が求められるようになった。

 昨年の国際度量衡総会で、質量の定義を18年に改訂する方針が決まった。総会はほぼ4年に1回フランスで開かれ、質量や温度、電流、時間など、世界共通の「国際単位系」で使う7つの基本単位の定義を定めている。

 新たに質量の定義に用いるのは、高校で習った「アボガドロ定数」だ。原子の数と質量との関係を表す数で、原子の種類によらず一定。改定案では、基準となる炭素原子(質量数は12)を用いて「炭素原子をアボガドロ定数の数だけ集めたときの質量を12グラムとする」と定義する。

 新たな定義なら、炭素原子の重さが変わらない限り、質量の基準も変わらない。定義の変更は「約130年ぶりの大改訂」(藤井氏)となる。

 ただし新定義を導入するには、まずアボガドロ定数を精密に知る必要がある。学校では「6.0×10の23乗」と教わるが、これはあくまで概算値。原器と同等以上の精度を実現するには、1億分の2以下の誤差でつきとめなくてはならない。

 産総研では高純度シリコンを研磨し、現在の原器に等しい1キログラムの球を作った。規則正しく並ぶ原子の距離をエックス線で測り、さらにレーザーを1000方向から当てて直径を測る。

 半導体にも使われているシリコンは、きれいな結晶を作りやすい。体積と原子間距離から1キログラム中の原子数を割り出し、アボガドロ定数を求める。表面を磨き直して不純物を除去したり、測定装置を改良したりして、今年3月、ついに目標の精度に届いた。

 絶対温度の単位であるケルビンも、18年に定義が変わる見通しだ。現在は氷と水、水蒸気が共存する「水の三重点」温度(セ氏0.01度)の273.16分の1を、1ケルビンと定義している。

 だが、これも水という物質に依存する。極めて純度の高い水を特殊なガラス容器に封入し、水の三重点を作って測っているが、長期間のうちにわずかに汚れ、ズレが生じる懸念が出ている。

 新たな温度の定義には、温度とエネルギーを関係づける「ボルツマン定数」を使う。一定体積の気体の温度が高くなるとエネルギーが大きくなるが、ボルツマン定数はその比例係数だ。アボガドロ定数と同様、まずボルツマン定数を精密に測定して、国際的な合意により決定。その上で、決定したボルツマン定数に合わせて1ケルビンの大きさを決めるという手順になる。

 現在各国でボルツマン定数の測定を進めている。産総研などのチームは、金属球にガスを封入してスピーカーで音を出し、音速を厳密に測定。そこから気体のエネルギーを計算し、温度と比較してボルツマン定数を求めている。山田善郎・応用熱計測研究グループ長は「この手法は、精度の高さで他を一歩リードしている」と話す。

 単位の定義変更で、身の回りで何が変わるのか。山田氏は「何も変わらないようにするのが再定義の目的」と話す。めまぐるしく動く現代社会で「究極に変わらないもの」を作る努力が、実を結ぼうとしている。

(山本優)


国際単位系、7つの基本単位が軸

 長さ(メートル)、質量(キログラム)、時間(秒)、電流(アンペア)、温度(ケルビン)、物質量(モル)、光度(カンデラ)の7つの基本単位が軸となっており、これらを組み合わせて面積や速さなど他の単位が作られる。1960年の国際度量衡総会で定められた。定義の見直しは総会で決定する。現在、総会には約50カ国が加盟しており、日本では産総研が業務を担っている。

 質量と温度のほか、2018年には電流と物質量の定義も変わる見通しだ。電流は電子1個の電気量である「電荷素量」を基にアンペアを定義。粒子の個数である物質量の定義にもアボガドロ定数を使う。

[日経新聞6月21日朝刊P.25]

 

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コメント
 
1. 2015年7月01日 12:54:13 : nJF6kGWndY
>自然界に存在する不変の「物理定数」を基準にした定義に変わる
>新定義を導入するには、まずアボガドロ定数を精密に知る必要

これは正確ではない

正しい解釈は、「これまでの原器の質量に等しい1kg」を、不変と思われる、原子の個数で、測定しなおすということ


>何も変わらないようにするのが再定義の目的

そういうこと

つまり、物理定数から定義するという言い方は正しくない

特定の個物(原器)や、精密測定が困難な物性(水の三重点)などから、普遍的(時空依存性が小さく)かつ精密に測定可能と推測される測定値を用いて定義するということだ



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