神戸市北区の新名神高速道路の建設現場近くで、橋桁落下事故の一部始終を捉えた防犯カメラ映像。長さ約１２０メートル、重さ約１３５０トンもの構造物が波打ち、乗用車が通り去った直後の国道に崩落した。「もしも車が巻き込まれていたら」。交通量の多い国道へと巨大な橋桁が落ちる様子に、関係者も顔をこわばらせた。

【動画】橋桁傾き６秒で崩落　現場付近の防犯カメラ記録


　カメラ映像によると、橋桁落下までの１分間に車両２０台が現場の国道を通過していた。そのうち北行きのトラックや乗用車計４台は橋桁が揺れ始めてから落下までの約６秒間に通行していた。砂ぼこりを上げて崩落した橋桁に気付き、ハザードランプをつけて停止する車や、前方が遮断され、渋滞が生じる様子も残されていた。

　防犯カメラを設置していたのは現場近くの住宅関連会社「ひまわりライフ北神戸店」。２２日午後４時半ごろ、事務所内には従業員の男性（４０）ら５人がいた。「ドオオン」。けたたましい音に驚き、窓の外に視線をやると、ゆっくりと落ちる橋桁が目に入った。

　男性はそのまま現場へ走り、警察と消防に通報。「『とにかくたくさんの救急車を。橋が落ちた』としか説明できなかった」。現場では倒れたままぐったりとした作業員のほか、ぼうぜんと立ち尽くす人の姿も。橋桁や足場などが邪魔をして「負傷者が何人いるかさえ分からなかった」。

　事故では建設現場の作業員ら１０人が死傷。国道を通る車に被害はなかったが、落下直前のカメラ映像には、橋桁の南側から通過間近だった車も記録され、間一髪で事故を免れていた。

　「これだけの勢いで倒れてきて、もし車があったら、ひとたまりもなかっただろう」。事務所に戻り、防犯カメラの映像を確認した男性。「従業員みんなが毎日通る道路。少しでも時間がずれていたらと思うと…」

（初鹿野俊、大田将之） 

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