もう一つ記憶に残っているのは、多喜二が拷問死した時、遺体が運び込まれた誰かの長屋に、彼の「ハウスキーパー」（当時の共産党にあった、「革命家」の身の回りの世話と性欲処理を担当する女性のこと）らしき女性が現れて、多喜二の亡骸に接吻した。周りに居た人が、「死体に接吻すると死毒がうつるぞ」というと、その女性は、あわてて洗面所で口を洗った。若かったし、あまりにも生々しい叙述たったので、記憶に残ってますね。

多喜二は好きだが、等身大の人間として評価すべきだね。終戦の１０年ほど前に死んだ多喜二と、反核は関係ないでしょう。共産党の戦後の歴史を見ても、社会主義陣営が持つ「正しい核」に関しては容認しづつけ、反核運動の分裂を招いたわけだしね。

で爺

今の時代、社長さんたちにはおのずと性欲処理的な女性が集まってくるのと同様で、当時のハウスキーパーというのは今でいえば性欲処理ですけれども、当時としては今の社長さんの愛人みたいな、もしくはロックバンドの専属愛人みたいな、立場はそんなものだと思われます。

特高検察が見せしめ目的でリンチを行ったということに問題があるのですよ。
それによりその後の中間派までもが何一つ逆らえなくなってしまったという
結末を迎えたわけなのですから。

共産党員だろうが、ノンポリだろうが、保守派だろうが、
そういうのに関係なく、

●自分たちと立場が違い（体制側ではないということ）、
●小説が書けるという特殊技能があって（教養がないと無理です）、
●北海道で銀行員をやっていた人物がわざわざ東京に出てきて、
●共産主義という庶民の幸福を推進する的な立場で、それにて知的でイケテタという、そういう人物が、「見せしめリンチ」を受けることで
「うらやましがられる魅力的な人物」から「悲惨どん底人物」に
権力の力で見せしめ的に落とし込められるということになるわけで、

それで一気にほとんどの中間派や知性派たちが黙りこくってしまわざるを得ない状況に追い込まさせられてしまったということに問題があるわけです。

昭和8年のことです。　イヤダ、イヤダ。

昔、共産党のハウスキーパーの非人間性を批判した論文を読んだことがありますが、「性欲処理」という部分は、慰安婦のようにそういう「任務」があったというよりも、一緒に暮らしていればそうなるのが当然視されていたということじゃないですかね。後で夫婦になった人もかなりいるようですし。私はそれをあまり批判するつもりははいですけど。戦前の共産党は今と違って、セックスに関しては、おおらかな集団だったようですし。（笑）

ただ、当時ハウスキーパーとして共産党に奉仕した女性は、使い捨てにされるケースが多かったんじゃないでしょうかね。非常時だし、下部は上部に従うという党の原則からすれば、ある日突然、幹部がアジトを移して、それっきり連絡が取れなくなっても、女性の方は文句も言えないわけです。

さっき書いた話の女性にしても、記述者（千田是也だったか）の書き方から、何か奥歯に者が挟まったような、その女性に好意を持っていないことが分かる文章なんですよね。「革命家を担う男」の特権意識みたいなものがにおってくる文章だったと思う。そういう感覚に反発したから、今でも覚えているのかもしれませんね。

それでは。

「蟹工船」の描いた状況は今も見事に変わっていないが
この作品には「イタい」部分が２つある。
一つはソ連礼賛、そしてもう一つは駆逐艦に搭乗していた海軍兵達を「権力の犬」のように描いてしまっている事だ。
　当時の兵下士官は殆どが貧しい農家や漁民の次男〜４・５男だったはずだが。
これで反発をおぼえてしまった向きも少なくはなかろう。惜しまれる。
　
なおあの当時「天皇制国家権力」に凄惨な弾圧を受けたのは共産党だけではない。関西以東では知られていないが神道系団体の「大本（おおもと）」
（皇道大本→不敬罪適用により皇道を削除される）も治安維持法で壊滅し、多くの死者を出した。
　建造物の殆どが破壊され、二代目教主は特別高等警察の（取調べでも何でもない）リンチでクソを喰わされ発狂、22年前に他界するまで元に戻らなかった。
「大本襲撃」（講談社）を読まれたし。
終戦時に獄に溢れていたのは共産党員と大本信者だけだったそうだ。
　誰彼かまわず牙を剥いた「日本人に対する戦争犯罪者」は米国の手心で裁かれる事は逃れ、米国の狗として生き延びている。今もだ。

共産党もちょっと前に、綱領から天皇制廃止の文言をはずしたね。天皇制が、国民感情を害してまで、打倒を主張すべき対象ではなくなったと判断したということでしょうな。

ではでは