http://archive.mag2.com/0000017208/index.html

アベノミクスで浮かれる前に解決すべきは若者ホームレスの再生
（会員制経済情報誌『現代産業情報』4月1日号より転載）

アベノミクスで明るさが戻ってきた──。
マスコミはこう囃し立て、安倍晋三首相は得意満面の笑顔を浮かべている。

自民党は、「やはり俺たちでなければ」と自信を取り戻し、逆に「政治主導」
と言いつのって官僚にサボタージュされ、日本の景気を萎えさせ、活気を奪っ
た民主党は、見る影もなく、解党の危機を迎えている。

だが、政党に関係なく、政治が等しく考えなければならない問題がある。
若者ホームレスの急増だ。

かつて路上生活者＝ホームレスといえば、50代以上、初老を迎えた男たちが、
職を求めても求められず、住む家を失い、転落するのが常だった。
ホームレスをどう救済するかは、老人福祉問題だった。

だが、今や、20代から30代の若者が断裂した家族関係のなかで、両親兄姉とい
った最も身近な血縁を頼れず、食いつなぎのために転職を繰り返し、そのたび
に雇用条件は悪くなり、友人を失い、自分への自信のなさが勤労意欲の低下に
つながり、いつしか手持ち資金が無くなって、アパートを追い出され、ホーム
レスに転落する、というケースが増えている。

この種の若者を、“弱さ”と切り捨てる方針を打ち出したのは、小泉純一郎政
権であり、企業も人も厳しい競争環境にぶち込み、切磋琢磨のなかで生き残っ
た「勝ち組」に、富（高収入）を与えた。

主導したのは竹中平蔵氏である。その先にあるのは二極化だが、竹中氏はそれ
を肯定、「敗者と弱者はセーフティネットで救う」と、言い放った。

前回の安倍政権は、小泉路線の継承であったが、今回も竹中氏の重用に見られ
るように、アメリカ型の市場中心主義への回帰が経済政策の根幹であり、日銀
でさえも完全に取り込み、金融政策はバーナンキＦＲＢ議長に合わせ、大胆す
ぎるほどの金融緩和に踏み切った。

アメリカに歩調を合わせた市場中心主義の復活──。これがアベノミクスのも
う一つの側面である。

若者ホームレスの急増は、明らかに二極化を生む市場中心主義経済がもたらし
た。

リーマンショックという外的要因が、急増に輪をかけたが、それもバブルを起
こすことを必然とする米金融資本主義がもたらしたのだから、原因は同じであ
る。

そうであれば、敗者と弱者はセーフティネットで救うべきなのだが、そう“約
束”した竹中氏は閣外へ去り、やがて迎えた民主党政権は、二極化の構造をそ
のままに、人材派遣業界のピンはねや偽装請負を無くすと宣言、規制を強化し
て、製造派遣、登録派遣、日雇い派遣などを原則禁止にした。

正社員の道を閉ざされた若者が、手っ取り早く稼ぐのは、単純軽作業の日雇い
であったが、「歪みを生む」という建前で非正規雇用の最後の拠り所を奪われ、
「まだ働ける。あなたの来るところじゃない」と生活保護受給の道も閉ざされ
て、ホームレスに転落するのである。

若者ホームレスを「弱さ」や「怠惰」といった個々の問題にすべきではない。

そうさせないための教育は必要だろうが、眼前に職がなく転落する若者の急増
という現実があり、そういう労働環境にしたのは、規制緩和から規制緩和へと、
影響の大きさを考えることなく舵を切った政治の責任である。

ホームレスを支援するビッグイシュー基金は、「若者ホームレス白書」を発表
したが、それによるとホームレス予備軍は、ひきこもり70万人、ニート63万人、
フリーター178万人、合わせて300万人以上に達するという。

アベノミクスが、日本経済に明るさを取り戻させたといっても、しょせんは金
融緩和で株と土地が上がったに過ぎず。いつかバブル崩壊という形で報復を受
ける。そうであれば、その効用を若者ホームレス再生のために使うべきだろう。

住居の保証、再就職の支援と、わずかな手助けで再生する能力を持っているの
が若者だ。その放置ほど、国家にとっての損失はない。
>>

（私のコメント）
この事実をどれだけの政治家、官僚、壮年、年金生活者が知っているかである。自分たちさえ生き延びれば良いと考えていれば今に若者たちに報復を受けるだろう。住宅政策も根本から考え直すべきだ。人間らしく生活できるようにしてやるのが政治家の仕事だろう。

コメント
01. 2013年4月17日 14:05:16 : z7Cx4kbBSQ 民主党が政権取るまで「反貧困」とかマスコミで大騒ぎで いつも同じ人たちがテレビに出て声高に貧困問題を論じてたけど 民主党政権になったら完全に沈黙してしまったよね 現在に至るまで労働環境は改善しているように思われないんだけど どうなってるんだ？
02. 2013年4月17日 16:41:32 : U6NiRLvM0M 生活保護を請求しない甘ったれ国民は許されない！ 生活が苦しいのに生活保護を請求しないのは犯罪に等しい。 自分と社会に対する破廉恥な犯罪である。 人としての誇りがあるのなら苦しい時生活保護を請求するのは当然である。 人間として最低の恥知らずになりたくなければ生活保護を請求する。 現在生活保護を受けて生活苦と戦っている人や、これから申請しようとしている人の足を引っ張り命の危険に晒すことにもなる。 生きて行く上で当然の権利を主張しない者は許されない。 http://esashib.com/seikatuhogo01.htm 生活が苦しいとき生活保護を請求するのは日本国民としての義務だ。 日本国民としての最低限の義務である。 国民としての最低限の義務さえ行使出来ない甘ったれは許されない。
03. 2013年4月17日 18:52:10 : CF9GERiMMw ＞０２ 　 マスコミとネトウヨは憲法に保障された生存権の否定に躍起になっています。 残念ながらその報道に騙される国民が多すぎる。 生活保護費の減額に賛成する国民は多いが、現在の経済状況を作った責任者である官僚の（政治家はただの官僚のパシリである。）給料の値下げに賛成する人は少ない。 と、言うかそう言った生活保護の不正受給は針小棒大に報道するが、その責任論はニュースにしない。 どうやら経済政策の失敗はマスコミによれば官僚の責任ではないらしい。 騙されるな国民。
04. 2013年4月17日 21:26:53 : NXKPymDWrk 今の中高生は「現代社会」で何を教えてもらっているのだろうか。 内閣、国会、裁判所の仕組みや経済の基本など社会生活を送るノウハウを 教えてもらっていないのではないか。そのまま社会に放り出されて 若年ホームレスになっているのではないか。 共産党や社民党の市会議員、市民派議員などがもっと困っている人の世話を やいてあげるべきだね。公明党は学会に入るのを条件にするから問題だがね。
05. 2013年4月17日 21:31:36 : 0RQ3dbzHMo >>01-03 　よく分かっていらっしゃる。02の反言的な問いかけにも、「御尤も」としか言いようがない。 　特に戦後すぐに生まれた連中は、中卒でも「金の卵」として大切に扱われてきたという。しかし、今は大卒でも職がない時代。 　この恵まれた世代が一番薄情というのは、自分たちの高度経済成長期の青春時代でしか物事を推し量ることが出来ないので、就職できないのがおかしいと思い込んでいるせいなんだろう。 　所詮、自分がその立場に置かれないと、いくら綺麗ごと言っても他人の不幸は分からないということか。 　ならば次は、若者達はお年よりを大事にしなくなるだろう。すでに都会でも、若者より還暦を過ぎた者のほうが多く見受けられる。そして目の前に老人が立っていても、老人に席を譲らない若者が増えつつある。 　若者に苦言を放つ前に、自分達の身勝手を振り返ることが必要だろう。 　 　小生も若者に腹立つことがあるが、ここ１０年ぐらいでは老人の身勝手さが目につく。 他人の粗を探すより「隗より始めよ」だ。
06. 2013年4月17日 21:54:47 : HVSYj0Lgf6 どうせなら、地域経済の活性化に繋がるのなら、それこそ地方が自ら、観光や農林水産業、あるいは介護福祉分野をはじめ、地域に根ざす、極めて良心的な中小企業への雇用拡大に繋げて行くことが出来る様に、こうしたホームレスを、地方に定住させて受け容れて行く様にすれば良いのだし、それこそ、東京からは、幾らでも喜んで人口や産業を地方に流出させて分け与えてあげるようにすることで、幾らでも大衰退させると共に、首都圏の神奈川県や千葉県についても、どうせなら、喜んで衰退させることすれば、通勤ラッシュや交通渋滞は減り、これに伴う痴漢犯罪や交通事故も減り、更には電力需要の大幅な削減にも繋がって行くと同時に、地方にとっては、再生可能エネルギーをはじめとした電力供給を増やすことによって、原発なんかに頼ることも無く、火力発電の需要も減らすことによって、これに必要な原油や天然ガスの輸入も減らすことも出来るし、農林水産業の再生により、食糧自給率も向上させることで、海外から輸入農産物も減らすことで、減らした分は、幾らでも喜んで、食糧危機等を抱える途上国の皆様に廻してあげる様にすれば、こうしたホームレスも減らすことにも繋がるし、生活保護に頼る人も少なくなると同時に、パチンコ業界なんか幾らでも衰退させてしまえば良いのだし、日本は幾らでも喜んでガラパコス化してしまうことで、そっと静かに自立して存続していける様になrさえすれば、近隣諸国にもニ度とご迷惑をお掛けすることも無いし、強欲な富裕層なんか幾らでも相手にすることも無いし、逆にその跳ね返りに過ぎない連中には、騙されたふりをして離れて行く様にすれば良いだけのことだし、この両者だけは、幾らでも無視して、そっと静かに窮地に追いやり、勝手に叩き潰されるしか無いのだし、そっと静かに見捨ててしまう様にすれば、こうした問題も解決することになるし、誰もが損することもなく、誰もが得することが出来て、幾らでもひっそりと静まり返った社会の中で、共に幸せに暮らすことが出来る様になりさえすれば、おれだけを誇りとして生きて行けば、良いだけのことでは無いでしょうか。
07. 2013年4月18日 06:16:40 : NXKPymDWrk >6 とはいえ若者だけでは力がありません。大人がうまく場を造ってあげない とだめでしょう。キブツのような物を日本でも造れないものでしょうか。 地方自冶体の知恵と実行力が必要です。若者と家庭を大事にしない国は 必然的に衰退しますよ。励ますだけではなく何か実現させたいですね。

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