21日投開票の参院選の「１票の格差」を巡り、升永英俊弁護士らのグループは22日、全47選挙区の選挙無効（やり直し）を求め、全国の14高裁・高裁支部に一斉提訴した。「定数配分は人口に比例せず、法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張し、公職選挙法の規定に基づき、提訴から100日以内の判決を求めている。各高裁の判決は今秋にも言い渡される見通し。

　最高裁は2012年10月、最大格差が5.00倍だった10年参院選を「違憲状態」と判断。「単に一部の選挙区定数の増減にとどまらず、都道府県単位の選挙区を改めることが必要」として、国会に選挙制度の抜本的改正を求めた。

　その後、国会は選挙区定数を「４増４減」する法改正を実施したが、都道府県を基本とする選挙区割りは維持された。

　升永弁護士らは訴状で、今回の選挙で議員１人当たりの有権者数は最も多い北海道が約115万人、最少の鳥取県は約24万人で、最大4.77倍の格差が生じていると指摘。人口に比例しない選挙区割りは憲法が保障する「正当な選挙」や「投票権の平等」に反しており、選挙は無効にすべきだと主張している。

　公職選挙法は選挙の効力を争う訴訟について「受理した日から100日以内に判決を出すよう努めなければならない」と規定している。昨年12月の衆院選を巡る訴訟では、全14高裁・高裁支部がこの規定に従い、100日以内に判決を言い渡した。今回も10月末ごろまでに判決が出そろう可能性が高い。

　升永弁護士らは今回、初めて全選挙区を対象に提訴した。「最高裁が違憲と判断した場合でも、選挙区選出の全議員が失職するため、不公平や混乱は生じない。裁判所は選挙無効判決を避ける理由がなくなるはずだ」と主張している。

　今回の参院選を巡っては、山口邦明弁護士らのグループが22日午前、広島選挙区の選挙無効を求めて既に提訴した。東京や神奈川選挙区でも近く提訴する方針。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2203R_S3A720C1000000/?dg=1

「裁判するのがばかばかしいほど当たり前の憲法違反だ」
「一票の格差」参院全47選挙区で一斉提訴

　選挙区ごとの「一票の格差」が最大で4.77倍となる今回の参院選は憲法違反だとして、升永英俊弁護士らの弁護士グループが7月22日、全国47の全ての選挙区を対象に一斉に違憲訴訟を提起した。
　昨年の衆院選では、「一票の格差」を巡る16件の違憲訴訟に対し、全ての裁判で「違憲」または「違憲状態」の判決が出ていたが、一部の選挙区のみを無効とすることが難しいとの理由で、裁判所は選挙を無効とはしていない。
　しかし、今回の全国一斉提訴で、すべての選挙区が違憲もしくは違憲状態と判断された場合、裁判所は選挙を無効としない理由がない。
　「国会議員の多数決を主権者の多数意見と同じにするためには、人口比例しか有り様がない。」升永氏はこのように語り、選挙のやり直しを求めている。

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