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「改憲はナチスに学べ」だって!! 麻生暴言の「真意」はどこに 謝罪と辞任を強く求める  かけはし
http://www.asyura2.com/13/senkyo152/msg/330.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 8 月 09 日 23:28:40: mY9T/8MdR98ug
 

「誤解」という責任回避

 七月二九日、極右の評論家・桜井よしこが理事長をつとめる「国家基本問題研究所」の月例研究会に出席した麻生太郎副総理(財務相、金融担当相兼務)は、憲法問題に関して「喧騒状況の中で改正を論じるべきではない」と語りながら「(ドイツでは)ある日気づいたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」と口走った。
 この麻生発言は、文字通り「改憲はナチスの手口に学べ」という驚くべき内容のものである。さっそく米国のユダヤ人団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が抗議声明を出し、ドイツ、中国、韓国などからも批判が相次いだのは当然である。どのように理解しても、麻生発言は「ナチスの手法」にならって「だれも気づかぬまま」に「改憲せよ」という趣旨であることは、弁解のしようもなく明らかだからである。
 野党各党は麻生外相の辞任を求めている。それは当然のことだ。
 安倍内閣は、さすがに麻生発言への国際的反響に慌て、発言撤回による幕引きに懸命となった。麻生は「ナチス」に関わる言及を撤回せざるを得なかった。しかし彼の撤回にあたってのコメントは、「私の真意とは異なり誤解を招いたことは遺憾」というものだった。さらに麻生は「喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである」と、強弁している。
 いったい、もともとの麻生発言と、発言撤回にかかわる「弁明」との間にどのような整合性があるのだろうか。麻生は「誤解」のしようもないほど明らかに「だれも気づかぬまま」の改憲の歴史的好例としてナチスを挙げたのであり、決して「喧騒にまぎれ」た「悪しき例」としてナチスに言及したのではない。
 彼の発言を真面目に理解しようとすれば、頭が痛くなってくるのだが、結局あまり大騒ぎをすることなく改憲を粛々と行え、と麻生は主張しているのであり、いつの間にか変わっていた、という形でこそこそと改憲を行うのがベターである、と言いたいのだろう。つまり「国防軍」や「公の秩序」論による自由・権利の制約や、「家族の価値」といった問題について「国民的議論」など行わず、「いつの間にか」資本家にとって都合のいいように憲法が変わっていれば良い、と考えているのではないか。
 要するに出来るだけ面倒な政治論議などないほうが良い、というのが彼の本音ではないのか。そしてこの点がまさしく彼の発言の問題点の一つなのであり、それこそ立憲主義や民主主義の否定、エリート主義に貫かれた彼の憲法観である。
 そしてこの点では、安倍らの改憲戦略が、国家主義的気運を駆り立てながら敢えて「憲法論議」を巻き起こし、「国民運動」的なものをバックに憲法改悪を構想しようとしているのではないかと思われるが、麻生の立場はそれとは異なって「国民運動」的要素に関しては希薄であるか、ないしは警戒的であるようにも見える。

ナチス独裁の成立過程
 
 麻生発言に関して言えば、彼の歴史的事実の認識がデタラメきわまるものであることはすでにマスメディアでも指摘されている。
 第一にワイマール憲法が「ナチス憲法」に変わったわけではない。そもそもヒトラーの政権はワイマール憲法を事実において「機能停止」させただけであって、新たに「ナチス憲法」を制定したわけではない。
 第二にヒトラーのナチス党独裁体制は、いつの間にかできあがっていたわけではなく、国防軍に支えられつつ、自ら強力な暴力装置(突撃隊SA)を育成したナチス党のクーデター的反対派弾圧によって電撃的に確立されていったのである。
 ナチス党は一九三〇年九月の総選挙で、一八・三%の得票率で一〇七議席を獲得し第二党となった(第一党は社会民主党)。その前の一九二八年五月の総選挙では二・六%、一二議席だったのと比較してまさに大躍進だった。その背景には一九二九年以後の世界大恐慌があった。さらに次の一九三二年七月総選挙では、ついに三七・三%、二三〇議席を獲得し第一党となった。この時、首相のパーペンはヒトラーを副首相として入閣させる提案を行ったがヒトラーは拒否した。
 パーペン内閣の下で一九三二年一一月にふたたび総選挙が行われた。この時、ナチスは第一党の座は確保したものの得票率は三三・一%、議席は一九六で七月から後退した。パーペンの辞任を受けて首相となったシュライヒャーはナチスの勢力を抑えようとしたが失敗。ここにヒンデンブルク大統領は一九三三年一月三〇日にヒトラーを首相に指名。ヒトラー・パーペン内閣が成立する(この時、ナチスからの入閣はヒトラー以外はフリックとゲーリングの二人だけだった)。
 そしてこの体制の下で首相となったヒトラーは二月一日に国会を解散した。この中で、二月二七日の国会放火事件(共産党の計画的犯行としてでっち上げ)を契機にした大統領緊急命令によるワイマール憲法の人権規定の廃止と共産党、社会民主党への大弾圧が進行し、数千人の活動家が逮捕された。こうした弾圧の中で行われた三月五日の総選挙ではナチス党は四三%を獲得し二八八議席を得たものの、過半数には達しなかった。共産党も大弾圧の中で一二・三%、八一議席を獲得したが議員は全員逮捕され、非合法化された。社民党も同総選挙で一二〇議席を得たが、三月二三日の議会で全権委任法(行政府に議会の同意なしに立法権を与える法律)に反対投票し、その後、事実上の非合法化となった。
 なおナチスと与党連合を組んだ右翼の国家人民党をふくめてナチス以外のすべての政党は解散(七月五日のカトリック系中央党の解散が最後)することとなり、ナチス独裁体制が完成することになった。
 全権委任法成立によるワイマール憲法の停止・凍結は「いつの間にか」起こったわけではない。

「時間との闘い」への認識

 ナチスの政権奪取が、労働者階級の重大な歴史的敗北を意味することに警鐘を乱打し、「社会ファシズム論」という致命的・犯罪的な誤りによって反ファシズムの労働者統一戦線の構築を妨げるスターリニストを批判してきたトロツキーは、ヒトラーの首相任命直後の一九三三年二月五日に次のように書いた。
 「ヒトラーの権力奪取は明らかに労働者階級に対する恐るべき打撃である。だがそれはまだ決定的あるいは回復不可能な敗北ではない。まだ必死によじ登ろうとしていただけの時期には粉砕できたかも知れない敵は、今日一連の管制高地をすべて制圧している。このことが敵の側を大いに有利にしている。だが、これまで一つの戦闘もなかった。有利な陣地を占めていることだけで何かが決まるわけではない。……彼らは大きな内戦を恐れるあまり、さらにいっそう小さな内戦の挑発を嫌っている。このように、ファシストの首相に率いられた内閣からファシズムの完全な勝利までには少なからぬ距離がある。このことは革命陣営が活用できる時間がまだあるということである。どのくらいの時間か。あらかじめ計算することはできない。戦闘によってのみその時間は計ることができる」。
 「二年半前、左翼反対派は共産党の中央執行委員会から末端の地区組織にいたる、全機関、全組織が、それぞれに対応する社会民主党の組織に対して、さしせまったプロレタリア民主主義の圧殺に対決する具体的な共同行動をただちに提案すべきだと強く主張した。この基礎の上にナチスに反対する闘争が組織されていたならば、今日ヒトラーは首相になっていなかっただろうし、共産党は労働者階級の中で指導的な位置を占めていただろう。しかし過去に戻ることはできない。犯した誤りの結果は、すでに政治的現実という姿をとっており、それは現時点での客観情勢の一部となっている。この情勢はあるがままに認めなければならない。これほど悪い情勢にならなくてもすんだはずだが、しかし、それでも希望がないわけではない。政治的転換、ただし本物の、大胆で公然とした、あらゆる側面から考え抜かれた政治的転換ならば、危機を完全に食い止め、そして勝利への道を切り開くことができる」(「決断を前に」、『トロツキー著作集 1932―33下』柘植書房)。
 この「希望的方針」は実らなかった。ドイツ労働者階級は深刻な敗北を喫し、ファシストの権力が打ち固められ、第二次世界大戦の悲劇がもたらされた。しかしわれわれにとって必要なことは悲観主義ではない。小さな可能性を押し広げていく執拗な意思なのである。
       (平井純一)


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