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雑感:「2020年東京五輪」考 〜今後、日本国民に待ち受けていること〜(暗黒夜考)
http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/585.html
投稿者 判官びいき 日時 2013 年 9 月 09 日 23:03:02: wiJQFJOyM8OJo
 

早朝から日本中が大騒ぎゆえ、すでに皆さんご存知のように、東京が2020年オリンピック開催地に見事(?)に選出された。これで「震災復興が加速される」「日本の景気がよくなる」といった能天気な話が、東京五輪招致関係者やアスリート・国民の喜びの声と共に、新聞・テレビにて1日中垂れ流されているが、果たしてこれを素直に喜んで良いものであろうか?

”吉報”が届いたとして日本中が喜んでいる最中、水を差すようで申し訳ないが、「素直に喜んでいる場合ではないであろう」というのが個人的見解である。(まあ、日頃、本ブログにアクセス頂いている方々は「東京五輪万歳!」などといったコメントなどなされないことは十分にご承知されているであろう)今回は、東京五輪開催決定からまだ間もないため、今後、着眼点すべき点を簡潔に述べていきたいと思う。

○「フクシマ原発」の影響
安倍晋三が最終プレゼンスピーチにて、世界に向けてトンでもない”大嘘”をついた。
「汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている」「汚染水漏れについても状況はコントロールされている」「健康問題は今までも現在も将来も、まったく問題ない」安倍晋三は、一体、どの口でこんな無責任な”大嘘”がつけるのであろうか?

フクシマにおける汚染水が港湾内0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされているということも、完全にコントロールされているということも、全くの大嘘である。安倍晋三が「メディアの報道ではなく、”事実”をみて欲しい」とスピーチしていたが、”事実”は安倍発言の真逆であり、フクシマ由来の放射性物質によりすでに汚染水が広く海洋汚染を引き起こし、フクシマ原発がコントロール不能に陥っているのである。

IOCの審査員もバカじゃないゆえ、これがウソだということは解っていながらそれでも東京を選んだ理由は、「ロビー活動」の成果、即ち、カネであろう。IOCなど所詮は一民間機関であり、この委員にいくらカネをばら撒こうが贈収賄にも当たらないのである。オリンピックに「崇高な精神」を抱く気持ちが強い方が多いかと思うが、ひと昔前とちがって、今やオリンピックは世界的な”興行”であり、”ドル箱の商業活動”というのがその実態である。

無論、これに出場するアスリートの多くが崇高な精神にて鍛錬を重ねていることを否定するものではないが、その”興行的”側面を見ずして五輪を語るなど笑止であろう。さらに、安倍晋三は放射線被曝による健康被害について、「今までも」「現在も」「将来も」まったく問題ないと言い放ったが、特に「将来も」という部分は極めて重大な発言と言ってよいであろう。即ち、日本政府はフクシマ原発事故に起因して生じる健康被害について、未来永劫、これを公式に認めることはないと宣言したも同然だということである。

もっと端的に言えば、福島県の子供たちの甲状腺がんやその他の健康被害について、政府は、少なくとも2020年までの間、これをフクシマ原発事故に起因するものとは一切認めないということである。また、今回の安倍晋三の「フクシマ安全宣言」は、いくらオリンピックが”興行”とはいえ、同時に”政治的”側面も有していることから、ここでの発言が「世界各国に対する約束事」となることは言わずもがなであろう。

つまり、「フクシマ安全宣言」は「国際公約」も同然だということである。その「国際公約」を守るべく、今後、日本国内で起きることは、フクシマ原発に関する情報の更なる”隠蔽劇”であろう。今後、フクシマ原発の収束作業において発生するであろう「不都合な真実」は、その都度、国家ぐるみで隠蔽され、放射線被曝による国民の健康被害もフクシマ原発との関連性は一切否定される世の中となるであろう。

即ち、すべてが「風評」の一言で片付けられ、フクシマの実情を訴える主張が弾圧される世の中である。このように考えれば、何故、東京五輪を素直に喜んでばかりいられないかがお解りいただけるであろう。

○「消費増税」の是非
安倍晋三は今回の「東京五輪決定」と「消費増税」の判断は全く関係ないとコメントしているが、これはある意味で真実であろう。「消費増税」については、五輪開催地に拘らず、先日の”八百長”有識者会議や日銀の景気上向き判断等によってすでにその環境が整備済みであり、ここに東京五輪が加われば、もはや「消費増税」を見送るという判断の方が不自然であろう。

よって、「消費増税」はもはや規定路線であるが、今後、五輪誘致のためのスタジアム建設等に莫大な費用がかかることから、限られた国家予算の中、益々、「社会保障」にそのしわ寄せがいくことは想像に難くない話である。経済効果3兆円などと浮かれた話が聞こえてくるが、これに便乗して、多くの国民の社会保障が蔑ろにされることであろう。

○「TPP参加」との関連性
オリンピックとTPPは一見すると関係ないというように思われる方が多いかと思うが、TPPこそが東京五輪の本質的問題になるであろうというのが個人的見解である。このままでは、年内にも「TPP参加」が決定されようとしているが、TPP参加後、日本のあらゆる産業分野が多国籍企業に蹂躙されるであろうことはこれまでにコメントしてきたとおりである。

即ち、東京五輪が開催される2020年には、日本は経済占領されたも同然の状態だということである。東京五輪における経済効果3兆円と言っても、その恩恵を受けるのは日本国民でも日本企業でもなく、多国籍企業の連中だということである。一体誰のための五輪誘致なのかという話である。

○「原発再稼動」との関連性
今回の東京五輪で俄然勢いづくもののひとつが「原発再稼動」であろう。即ち、真夏の東京五輪開催で多くの電力の安定供給が必要となるため、「原発再稼動」は不可欠とするシナリオの発動である。しかし、ここで安倍政権の大いなる”二枚舌”があることを指摘しておかなければならないであろう。

何かと言うと、IOCに提出されている開催計画書(「立候補ファイル」)には、「原発再稼働がなくても電力に余裕がある」とされ、さらに「新たな電力増強策として(1)東電発電所の新増設で300万キロワット(2)東京ガス・天然ガス発電所建設で200万キロワットを確保する」旨が列記されている事実である。つまり、安倍政権は、国外向けには「再稼働がなくても電力に余裕がある」と宣伝する一方で、国内向けには「原発再稼動が必須」という矛盾した物言いに終始しているということである。

○「中韓関係」との関連性
これまで東京五輪に関して悲観的コメントに終始してきたが、最後に1点だけ、個人的にメリットと感じている点がある。それは尖閣・竹島問題等を巡って悪化の一途を辿っている中韓との関係が、「最悪の事態」=「戦争」に至る可能性が大きく後退したと思われる点である。何故なら、イスタンブール(トルコ)ではなく東京にて五輪が開催される決定がなされたということは、今後、戦火に見舞われるのが「極東」ではなく「中東」が本命であると解釈できるからである。

今後慎重に”事の経緯”を見守る必要があるが、東京五輪決定により、日本の「地政学的リスク」が大きく後退したということであり、この点については素直にメリットと評してよいのではなかろうかと感じる次第である。右傾化する安倍政権にとって、東京五輪開催がいい意味での”大きな足枷”となると期待したいものである。以上、東京五輪開催が決定し、今感じている雑感を書き連ねたが、今後、これらの各視点にて事の経緯を見守っていきたいと思う次第である。
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/476ee544edd0abfcc32cde8f7cadf3a6
 

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