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2020年夏季五輪・東京に決定――安倍首相の汚染水「完全にブロックされている」発言が勝ち取った「亡国」の近未来  JCJ
http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/660.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 9 月 11 日 22:34:45: mY9T/8MdR98ug
 

 国際オリンピック委員会(IOC)総会は7日、2020年夏季五輪の開催都市を東京に決定した。東京での開催は1964年以来56年ぶりとなる。
 東京は第一回投票を1位で通過。ともに決選投票に進んだイスタンブール(トルコ)を60対36で制した。韓国紙・中央日報は9日、<2020年東京五輪開催を歓迎する>と社説を掲載して歓迎し、そのなかで「東京の五輪招致を祝い、開催の成功を祈る。アジアで夏季五輪を2回開催するのは日本が初めてだ。2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪に続いて開催されるという意味も大きい」と指摘した。
 ただ、安倍晋三首相が最終プレゼンテーションの場で、東京電力福島第一原発の汚染水漏えい問題について、「まったく問題はない。汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」と強調したことで、内外から疑問と批判の声があがっている。

(JCJふらっしゅ「Y記者のニュース検証」=小鷲順造)

 安倍氏は、「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とし、近海のモニタリングの結果について、「数値は最大でも世界保健機関(WHO)の水質ガイドラインの500の1。日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しい基準だ」とアピールしてみせた。

 東京新聞は8日付朝刊で、すばやく<首相強弁「汚染水問題ない」 IOC委員質問に回答 実際は外洋漏えいも>の記事を出し、1)だが、福島第一原発では毎日汚染水を含む大量の地下水が漏えいしている、2)先月には地上タンクから約三百トンの処理水が漏出。外洋につながる排水溝に沿って、処理水と同じ特徴を示す高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む水が確認され、外洋に漏れた可能性が極めて高い。3)港湾内の水についても、東電は、外洋と完全にブロックされた状態ではなく、水が行き来していると説明している、ことを伝え、安倍氏の発言の危うさを指摘した。

 安倍氏は、「日本のどの地域でもこの基準(食品や水の安全基準)の百分の一であり、健康問題については、これまでも今も将来もまったく問題ないことを約束する」と話し、「抜本解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定し、すでに着手している」と強調までした。さらに、プレゼンテーションを終えた安倍首相は、報道陣に「汚染水については完全にブロックされていると伝わったと思うとまで語ってみせた。

▽招致委員会の竹田理事長「福島とは250キロ離れている」

 毎日新聞は8日未明、<首相はプレゼンテーションでは、「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。決して東京にダメージを与えない」と述べるにとどめた。これに対し、IOC委員から「東京に影響がないという根拠は」との質問が出た。首相は、(1)影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロの範囲内で完全にブロックされている(2)放射性物質の数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインの500分の1――などと説明。「日本の首相として(子どもたちの)安全と未来に責任を持っている。日本に来るアスリートにも責任を持っている。その責任を完全に果たす」と理解を求めた>と報じた。

 読売新聞は8日朝、首相が7日夜(日本時間8日朝)、アルゼンチン・ブエノスアイレス市内のホテルで記者会見し、日本のエネルギー政策について、「(エネルギー全体に占める)原子力比率は引き下げていく。このため、今後3年程度の間に、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーの推進を最大限加速させていく」と述べたことを伝えた。

 安倍氏は、東京で開催するメリットを強調するために、世界で最も安全な都市であることをアピール、福島の原発事故については「福島の状況はコントロールされている。東京にダメージが与えられることはない」と訴え、さらにIOC委員から「福島の原発事故について毎日のようにメディアが報じているが安全は確保されているのか」との質問をうけて、「新聞のヘッドラインではなく、事実を見ていただきたい」と述べて、「福島第一原発汚染水漏れ」をめぐる報道を軽視・否定する姿勢まで打ち出したのである。

 これは東京電力福島第一原発事故を軽視・過小評価し、過酷な被害にあえぐ事故中心地一帯の人々の生活と環境・海洋汚染のひどさから目をそむけ、あざむく発言をすることで政権の勢いを保持することのみに傾斜しようとする、安倍政権の幼稚で独りよがりな姿を、そのまま露呈した勝手な「宣言」といえるだろう。

 私はそれでも、「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」などの異常なほど逸脱した安倍氏の発言については、当初、東京オリンピック招致委員会の立候補ファイルや招致委員会関係者の組み立てた「ロジック」に影響され促され、浮かれての行き過ぎかとも疑ってみた。

 その点については、東京オリンピック招致委員会が公表している「候補ファイル」の第2巻テーマ8−競技及び会場(通巻121頁)の項で、招致委員会は「東京都内において、東京電力株式会社が所有している原子力発電所は存在しない」ことを強調し、仮に、都心で緊急事態が発生しても、「東京では、既存の配電システムで、2020年東京大会で発生する追加需要に対し、対応することができる」として、オリンピックに必要な電力を原発なしで供給できることを明記している。

 招致委員会の竹田恒和理事長も4日、原発事故について「東京は水、食物、空気についても非常に安全なレベル」「福島とは250キロ離れている」などと述べて、東京の「安全・安心」を強調していた(すでにこの発言についても、東京電力福島第一原発事故に苦しむ福島県民から「東京が安全ならいいのか」「差別的だ」と反発の声が出た=東京新聞)。まして、竹田理事長の「福島とは250キロ離れている」発言そのものが、福島切り捨て発言であるのと同時に、250キロの距離がそれほど安全・安心を強調するに足る数値なのかどうかも疑わしいが、原発事故の過酷さをそのまま示していることもまた事実なのである。

 しかしながら、安倍氏の「完全にブロックされている」「コントロール下にある」との発言は、たとえそれがオリンピックを東京に呼び込むためのプレゼンテーションのためであり、そうした「宣言」「国際公約」を首相の安倍氏が述べることで、アジアでスポンサーがつきやすくなっている事情も背景に、「TOKYO2020」が近づくとの感触を得たためであろうとも、竹田理事長の福島切り捨て発言にさらに輪をかけて杜撰、無責任な発言であることは、否めない。

▽東電「総理のこのご発言につきましては、当社は政府へ問合わせをしております」

 東電の9日の記者会見で、東電は安倍氏の発言を認識していたのか、東電からのデータなのかを問われた。東電は「いえ違います。総理のこのご発言につきましては、当社は政府へ問い合わせをしております。政府が独自に計測してるデータ」である旨を答えている。安倍氏の「完全にブロック」の発言については、東電は「少なくなっている」と答え、「コントロール」発言については、「一生懸命頑張って一日でも早く安定させようと考えている」と答えるにとどまり、現実に「ブロック」「コントロール」されているかについては、「国にご指導いただきながら対応します」とノーコメントの状態だった(IWJ中継、ツイッターまとめ参照)。

 東電の対応からも、安倍氏の「完全にブロック」「コントロール下にある」発言の根拠らしきものは見出せそうにない。

 しかし自民党はいっせいに浮き足立つ始末だ。産経新聞によると、官房長官は「決定を日本発展のために結び付けていきたい」、副総理兼財務相は「消費が前向きに出てくる。国内総生産(GDP)、名目成長率に与える影響は大きい」、外相は「(汚染水問題は)誤解に基づく過度な不安が広がっていると感じるのでわが国の姿勢と現状を国際社会にしっかり説明していく」、自民・幹事長は「首相のプレゼンテーションも良かった。自信をもって言い切った」、同党・青年局長は「開催の時にはできる限り多く国歌を一緒に歌えるように、7年後に向けて日本の経済状況も政治状況もより良いものとしなければいけない」という状態。

 東京新聞が7日付で、福島県民は今も約14万7千人が避難していること、第一原発でも一日約3千人が過酷な作業に当たっていることを伝えながら、安倍氏が汚染水対策の基本方針を打ち出したのは五輪開催地決定が迫ってきた9月3日のことで、福島県民のあいだから「オリンピックの前に、やることがあるんでねえか」との声が上がっていることを伝えた。8日には、原発作業員からは「そんなことを言ってしまって大丈夫なのか」「廃炉まで、これから何十年もかかる。発言には違和感がぬぐえない」(共同通信〜サンスポ)、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と批判や疑問の声が上がったことが報じられた。

 記事には、安倍首相は「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」と説明したが、政府は1日300トンの汚染水が海に染み出していると試算、地上タンクからの漏えいでは、排水溝を通じて外洋(港湾外)に流れ出た可能性が高いとみられる、との指摘が付されている。

▽TBS「増え続ける汚染水を止められるという保証は現時点でありません」
 テレ朝「遮水壁や汚染水浄化の明確な見通しが立っているわけではありません」

 テレビでは、たとえばTBSが8日「東京五輪開催まで7年、残された課題は?」のニュースのなかで、<決定を受け歓喜に沸く東京ですが、世界最大のスポーツの祭典をやり遂げるにはいくつかの課題が残っています。まずは、今回もっとも懸念された「汚染水問題」。安倍総理は、プレゼンテーションで「全く問題ない」と話しましたが、増え続ける汚染水を止められるという保証は現時点でありません>と指摘した。

 また9日には、テレビ朝日が「汚染水問題"アキレス腱"も…五輪閣僚会議開催へ」のニュースのなかで、<気になるのは汚染水の問題です。安倍総理自らがIOC=国際オリンピック委員会の総会で国際社会に約束したものの、政府が発表した遮水壁の設置や汚染水浄化設備について、明確な見通しが立っているわけではありません>と指摘し、政府は10日、閣僚会議を開いてオリンピックに向けた準備を本格化させることを伝えたうえで、「汚染水問題では結果責任が求められるだけに、対応を誤れば政権にとって大きな打撃となります」と報じた。

 いずれもテレビ・ジャーナリズムの可能性を感じさせる内容だったが、総体としてどうだったか、今後はどうかについての検証と監視を怠るわけにはゆきそうにない。

 また、NHKのニュースは安倍氏の発言をどう扱っただろうか。
 NHKは、9日<首相の汚染水説明に「理解を」>のニュースで、菅官房長官が、午後の記者会見で、安倍総理大臣がIOC=国際オリンピック委員会の総会で「状況はコントロールされている」などと説明したことについて、原発の港湾内の放射性物質の濃度が基準値以下になっていることなどを挙げて理解を求めたことを伝えた。

 菅官房長官は記者会見で、「汚染水問題は原因をしっかりと見極めて、早期の解決を実現するために技術や知見を結集し、政府が前面に立って取り組んでいく」と述べ、政府が責任を持って対応していく考えを強調、そのうえで「汚染水が漏れたとされる湾内にシルトフェンスと呼ばれる特殊なカーテン状のフェンスを設け、外に出さないようにしている。放射性物質の濃度は基準値以下で、湾の外では検出できないぐらいの値だ。これを『コントロールしている』と言うのは当然ではないか」と述べ、理解を求めた、とした。

 NHKは同日、政府が3日に設置した「汚染水対策現地調整会議」の初会合が9日、福島県楢葉町で開かれ、1)経済産業省の赤羽副大臣や原子力規制庁などの関係省庁、東京電力の担当者などおよそ20人が出席したこと、2)会議では、先月山側のタンクから300トン余りの汚染水が漏れた問題を受けて、今後、汚染水が漏れても、周辺に流出しないようタンクを囲むせきの高さをかさ上げすること、海につながる側溝に流れ込まないよう側溝にふたを設置することになったこと、3)汚染水漏れが見つかった鋼鉄製の板のつなぎ目をボルトで締めるタイプのタンクから、溶接するタイプのタンクに替えていく具体的な計画を、東京電力がおよそ1か月後の次の会議をめどに作成すること、を伝えた。

 議長を務めた赤羽経産副大臣は「きょうを境に新たな段階に入ったという心構えで取り組むことを確認したので、しっかり対応していきたい」と話したという。
 NHKは、ニュースでは、首相の安倍氏が国際オリンピック委員会の総会で行った説明の危うさについて報じたり指摘したりする気はないのだろうかと疑いたくなる。
 先月、地上タンクから約300トンの処理水が漏出したこと、外洋につながる排水溝に沿って、処理水と同じ特徴を示す高濃度の放射性ストロンチウムなどを含む水が確認されたこと、港湾内の水について東電は、外洋と完全にブロックされた状態ではないと説明していることなど、さまざまなニュースが飛び交ったが、それぞれのニュースはそれぞれ独立して起きているわけではない。それらと安倍氏の「完全にブロックされている」「コントロールされている」の発言を分離させて取り扱うことも、本来、不可能であるし、意味を正確に伝える姿勢とはほど遠い。

 根拠も裏付けもなく、ただ浮き足立ったとしかとらえにくい安倍氏の暴走発言。NHKはこのまま、自らの身の丈を無視して、ニュースを断片化させ、ものを言う機会を自ら封印したまま、特番など別の機会へと先送りする道を選択するのだろうか。それは戦後、NHKに託された「公共放送」のあるべき姿とはかけはなれているように思えてならない。「不偏不党」の蛸壺とニュースの断片化へと逃げ込んだのでは、公共放送に託された放送ジャーナリズムの重みには耐えられなくなる。

▽「ガイガーカウンターがおみやげ屋で買えるようになるんでしょうか」

 The Huffington Post が9日、「東京オリンピック招致決定 海外読者の反応は? 原発問題懸念も」のページを立てて、スペイン、アメリカ、カナダ、イギリス、フランスのハフポストから、東京開催決定についての人気コメントをまとめている。

 スペインからは、「オリンピックに使うお金があったら、政府は教育と健康に投資したほうがいいでしょ」のコメントなど、マドリード落選のニュースに、経済問題が敗因になったことを指摘するコメントや、現在の経済状況ではオリンピックをやらなかったほうがむしろよかった、などのコメントが目立つという。

 アメリカからは、<あらゆることが突然「コントロール下」になったり、「危険はない」ということになるんでしょうね>、「ガイガーカウンターがおみやげ屋で買えるようになるんでしょうか」の厳しいコメント。

 フランスからは、「最善の選択でしょう。日本人は技術も進んでるし、お金もあるし、マナーも良いし、我慢強いし、トルコやスペインと違ってデモもないし」「日本は成長の伸びしろが限られた、すでに成熟した国だけど2020年までのボーナスを得たようなものだね」のほか、「こんなにフクシマに近いところではノーサンキュー」のコメントも。

 カナダからは、「日本でのオリンピックは見ないよ。もう2年間も放射線が漏れてるんだから」「まったく解決のめどが立っていないし、きちんと科学的に証明してくれないと信じられないよ。世界は狂ってる」の厳しいコメントのほか、「テロと貧困に比べれば、まだ放射線のほうがマシかな」のコメントも。

 イギリスからは、「たった2週間、マイナースポーツをやるためだけに大金をつぎこむんなら、被災者の支援に使ったほうがいいんじゃないかと思ってしまいますね。家に帰れず仮設住宅で暮らす人達がまだいるなかで、どうやって正当化するんだろうか」「ロンドンオリンピックでUKは大金を費やしたけど、何も得るものがなかった。子供たちの遊び場が売り払われて、毎日遊ぶ場所がなくなっただけじゃないか」「ドーピングテストはいいから、ガイガーカウンターを用意しないと」と、厳しいコメントが並ぶ。

 日本の首相である安倍氏の根拠もなく浮き足立ったプレゼンテーションは、IOC総会では、委員たちの読みや都合や思惑も絡んで、2020年夏季五輪の開催都市を東京に決定するという結果を引き出した。しかし、その「結果」だけ得ることができればそれでよいわけではない。

 TBSが<安倍総理は、プレゼンテーションで「全く問題ない」と話しましたが、増え続ける汚染水を止められるという保証は現時点でありません>と指摘したように、またテレビ朝日が<安倍総理自らが国際社会に約束したものの、政府が発表した遮水壁の設置や汚染水浄化設備について、明確な見通しが立っているわけではありません>と指摘したように、日本社会は現実の重さに加えて、あまりに重たいリスクを新たに背負うことになってしまった。それはオリンピック開催予定地となったことによる「経済効果」をはるかにしのぐ、別次元のリスクといえるのではないだろうか。

▽浮き足立つ自民、消費増税8%への引き上げ論一色に

 にもかかわらず、毎日新聞によると自民党税制調査会(野田毅会長)が9日、来年4月の消費増税を巡り、全議員対象の会合を党本部で開いたところ、2020年夏季五輪の東京開催決定や4〜6月期の国内総生産(GDP)の上方修正など好材料が続く中、自民党内は、予定通り8%への引き上げを求める意見一色となっているという。

 石破氏は、GDP改定値について「数字はうそをつかない。数字を基に首相が最終判断する。それに従うのは当たり前だ」と語り、野田氏は会合後の講演で「(消費増税の)流れを変更する理由はない」と述べるなど、ここでも浮き足立った対応が目立っている。

 こうした自民党の根拠なき前のめり、根拠なき暴走は、安倍氏が国際社会で発した無責任発言とその「結果」が拍車をかけたことは間違いないだろう。東電ならば「この大ウソつき」とののしられておかしくないことが、首相発言であるがゆえに「宣言」として許容されようとしている。繰り返しになるが、その分、「経済効果」をはるかにしのぐ、別次元のリスクを背負うことになった。そのことを日本の政治家もメディアも市民も、もはや忘れるわけにゆかないのである。

 そして、復古改憲・右翼カルトの安倍政権が浮き足立つのと呼応するように、2020年の夏季五輪開催地が東京に決まった8日、東京・新大久保で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)が、「反韓・嫌韓デモ」を再開した。東京韓国学校を高校授業料無償化の対象から外すよう求めた。韓国の聯合ニュース日本版によると、デモには約150人が参加した。

 一方、その在特会のデモに反対する集会も行われ、市民200人余りが参加した。同通信社によると、ある参加者は「五輪を2度も招致し、国際社会と共存すべき東京で反韓デモが行われたことは不快で恥ずかしい」とコメントしている。この「対峙」に、日本社会の縮図を見る思いがするのは私ばかりではないだろう。

 首相の安倍氏がIOC総会でのプレゼンテーションで行った無責任発言と、福島第一原発事故後の現実との乖離、日本社会の現実との乖離、世界の世論との乖離。それは、在特会の「反韓・嫌韓デモ」の日本社会との乖離、国際社会が獲得し積み上げてきた国際感覚との乖離とも、奥深いところで通底しているように思えてならない。

 Huffington Postのスペインからの「オリンピックに使うお金があったら、政府は教育と健康に投資したほうがいい」、イギリスからの「ロンドンオリンピックでUKは大金を費やしたけど、何も得るものがなかった。子供たちの遊び場が売り払われて、毎日遊ぶ場所がなくなっただけ」というコメントにみられるように、1964年当時とは経済構造も経済状況も大きく様変わりしている。膨大なツケを抱え込んで先送りできるような成長基盤もないなかで、オリンピックを起爆剤としてではなくその牽引車に仕立て上げようとすれば無理が出るのは目に見えている。

 ただでさえ際限のない原発事故の負担とリスクを抱えながら、そこに今回安倍氏の発言がみせたような「制御不能」の政府の状態で、オリンピックが高負担+高投資のうえに膨大なバラマキを伴うかたちで日本の市民社会にのしかかれば、その「経済効果」とやらの恩恵も一部に偏したいびつなものとなりかねない。その意味でも、安倍氏の発言は、時代をとらえ損なっているように思える。

 長い野党暮らしで瀕死の状況にあった自民党が、政権奪還、参院選圧勝(衆参ねじれ解消)、2020年夏季五輪の東京開催決定と歩みを進め、さらに民意を足蹴に「もっともっと」と政権基盤固めを急ぐのも無理はないのかもしれないが、浮き足立ち独りよがりに堕し「だれのため」「なんのため」を誤ったり、見失ったりした政治に未来はない。さらなる貧困と格差と暴力と暴政とを招きよせるだけである。

 2020年のオリンピック東京開催決定で、安倍政権の復古改憲国家主義路線が少しでも進むようなことがあれば、この政権の崩落も早まる。市民とジャーナリストの連帯によって、そうした厳しい監視の目を大きく広げていくときを、私たちは迎えているように思う。

(こわし・じゅんぞう/日本ジャーナリスト会議会員)


http://jcj-daily.seesaa.net/article/374416864.html  

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