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岩盤規制の背後に官僚の既得権 注目すべき公務員制度改革の行方
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投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 17 日 00:34:53: rUXLhToetCnYE
 

【第78回】 2013年10月17日 高橋洋一 [嘉悦大学教授]
岩盤規制の背後に官僚の既得権
注目すべき公務員制度改革の行方
 第185臨時国会が15日、召集され、安倍首相は所信表明演説を行った。会期は12月6日までの53日間。ねじれ国会でないため、提出した法案の成立は確実なので、提出する法案がポイントになる。

 成長戦略を具体化するための産業競争力強化法案などが提出されるが、官主導の「産業政策」の色合いが強い。表向き「企業版特区」などの規制緩和が盛り込まれているが、農業、医療、教育、労働などのいわゆる岩盤規制のところは避けている。

公務員制度改革は
「廃案の歴史」

 そうした中で、注目すべきなのは、公務員制度改革である。岩盤規制の背後には、官僚の既得権がいつも見え隠れする。岩盤規制の緩和・撤廃をしっかり行うためにも公務員制度改革は避けて通れない。ところが、第一次安倍政権でねじれになってから、公務員制度改革は「廃案の歴史」だ。

 今度の国会で、その「廃案の歴史」を終わらせようと、自民党内で公務員制度改革法案がまとまり、公明党との協議になっているが、その内容はどうなのか。

 まず、最近における公務員制度改革の経緯をみておこう。

 第一次安倍内閣(2006年9月〜07年8月)では、天下り規制、能力実績主義が盛り込まれた国家公務員法改正が成立した。筆者が企画立案していたから言うのではないが、天下り規制は、天下り斡旋の禁止という公務員制度改革の歴史の中でも画期的だった。もっとも、このため、霞ヶ関官僚すべてを敵に回すことになり、まだ政権として力不足であった第一次安倍政権は官僚との関係がギクシャクして、結果として早く崩壊していった面も否めない。

 福田政権では、第一次安倍政権の時に検討された国家公務員制度の総合的改革が法制化され、国家公務員制度改革基本法が制定された。国会はすでにねじれ下であったが、脱官僚を掲げる野党民主党の協力があったために、国家公務員制度改革基本法は成立した。

 この法律は、プログラム法といって、実定法をあとで改正しないといけないが、国家公務員制度改革の全体を眺望できるものだ。

 そのために国家公務員制度改革推進本部が作られ、国家公務員改革が進められるはずだった。国家公務員制度改革基本法は、2008年6月13日に施行され、国家公務員制度改革推進本部は7月11日に設置されている。

当初のスケジュールでは、内閣人事局の設置は1年以内、それ以外の法制の措置(国家戦略スタッフ、幹部職員制、キャリア制度の廃止など)は3年以内、その他の措置をあわせて5年以内で、国家公務員制度改革基本法に沿った改革は終了するはずだった。

 筆者はその時すでに公務員を退職していたが、その後の5年間の改革がどうなるのか、興味深く見届けようと思った。今年7月が、ちょうど5年間だったのだが、これまで何の改革もおこなわれずに、国家公務員制度改革推進本部は消滅した。

脱官僚の民主党は
あっさり官僚依存に

 そこで、麻生政権以降の動きをまとめておこう。

 麻生政権では、国家公務員法改正案(通称「甘利法案」)が提出されたが、廃案になっている。

 そこで政権交代だ。民主党政権下も、国家公務員法改正案(通称「民主党法案」)を提出したが、廃案だ。この時、野党の自民党・みんなの党で幹部公務員法案(通称「自みんな法案」)を共同提出したが、これも廃案だ。

 麻生政権以降はねじれ国会なので、成立は難しかったのは事実であるが、官僚が成立を望まなかったという事情も大きい。その場合あらゆる手段を使っても成立阻止に奔走する。麻生政権以降は、公務員制度改革の勢いが急速に低下していった。特に、脱官僚を掲げていた民主党が、政権交代するとあっさり官僚依存に転向したので、ますます公務員制度改革はできなくなっていった。

 この間、廃案になった麻生政権以降に提出された法案を比較すると、自みんな法案が国家公務員制度改革基本法に一番忠実だ。ただし、結果としてすべて廃案だった。ねじれ直前に成立した第一次安倍政権の国家公務員法改正法のあと、ねじれ国会で成立した唯一の国家公務員制度改革基本法は何も成果を上げられまま消滅、そのほかの法案はすべて廃案という惨めな結果だ。

 この5年間、霞ヶ関にとって国家公務員制度改革基本法は目の上のたんこぶだった。それがなくなったのだから、今年の7月には霞ヶ関で「祝砲」が打ち上げられたと聞いている。

国を提訴した
農水省のキャリア官僚

 ただし、公務員制度改革が「未完」なゆえに、その弊害も起きている。農林水産省キャリア官僚(57)が、管理職を外され「専門スタッフ職」への異動となったことを不服として、国を提訴したのだ。

 キャリアは、国家公務員総合職試験(旧上級甲種、T種)合格で採用された人だ。明文の規定はないが、事実上、キャリアは幹部に昇進する慣行となっている。かなりの人が最終的には指定職につく。指定職はだいたい各省の審議官クラス以上、個室、秘書、車付きの幹部。政府全体で1200人ほどで公務員総数の0.3%程度しかいない。キャリアの昇進スピードは、特急や新幹線といわれる。ノンキャリアとの差は歴然としている。

 この件のキャリアは、指定職になれなかったことから国を訴えたのだろう。しかし、ノンキャリアからみれば、指定職でなくても、手の届かないポストにいるわけで、甘ったれるなという意見もあるだろう。まして、民間や世間から見れば、失職しないだけ儲けもので、大げさに騒ぐなと一言言いたいくらいだ。  

 そもそも、キャリア官僚の給料は民間が低下してきたため相対的に高くなり、カットされたといっても年収800〜1000万円程度。専門スタッフ職を作るときには、高給窓際官僚を大量生産すると揶揄されたくらいだ。キャリアという事実上の身分制度をまだ温存しているので、このような甘ったれた訴えがおこるのである。

 いずれにしても、公務員制度改革での「廃案の歴史」は終わらせなければならない。自民党は、甘いといわれた「甘利法案」をベースとして、法案の今国会での提出を考えている。

骨抜きにされる
内閣人事局構想

 公務員制度改革で残された問題は多いが、重要なものに国家公務員の人事一元化がある。今は、各省庁の人事は各省で行われる。横断的には、総務省行政管理局と人事・恩給局、人事院、財務省主計局給与共済課があるが、一本化されていない。まず、第一歩はこれらの3元化した横断組織の一本化である。それが内閣人事局構想だ。

 ただ、これも「抵抗勢力」の反撃にあっている。財務省はちゃっかりと統合から除かれている。このあたり財務省は抜け目がない。取り残された人事院も、新設される内閣人事局への権限委譲に反対だ。

 人事院はどういう組織なのか。国家公務員の人事管理を公正中立に行うための行政機関の一つであるが、その権限は独立している。たとえば、国家行政組織法及び行政機関の職員の定員に関する法律(総定員法)は適用されず、人事院は事務総局が組織、定員は人事院規則で独自に定めることができる。人事院は3人の人事官の合議組織であるが、2009年までは、事務系官僚OB、技術系官僚OB、全国紙やNHKなどのマスコミOBという出身構成が慣例だった。

 人事院は基本的に公務員を守る組織だ。人事院の言い分は、公務員は労働基本権の制約があるからその代償が必要という。いまどき労働基本権の一部を公務員に付与してもそう簡単には行使できないので、労働基本権の一部を公務員に付与するというと、それにも反対してくるのが人事院だ。

 その本音はやはり政治任用だ。筆者は政治任用で総務大臣補佐官、首相補佐官補などを経験したが、役所人事を根底から覆すものだ。政治任用にも人事院は反対する。

 各省の公務員人事は、もちろんその省庁の大臣の専管事項である。政治主導で政策を実現させようとする政治家大臣であれば、自らペーパーワークする訳にいかないので、信頼のおける部下を選ぶのは当然である。それは先進国で共通の話だから、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツでは省庁の幹部公務員はほとんど政治任用である。このため、各省の事務方トップの事務次官について、その省庁出身という内部登用はあまりない。内部登用が多いといわれるフランス、ドイツでも全次官のおおよそ三分の一だといわれている。日本の場合はほぼ100%、それぞれの省庁の人が事務次官に登用されるので、先進国の中で際立っている。

 人事院は、政治家が各省人事に介入する、官僚側からみて行き過ぎた政治任用に歯止めをかけるため、人事院に是正を指示する権限をくれといって、今回自民党がまとめた公務員制度改革に盛り込ませた。

 ただし、現在の自民党案によれば、人事院は権限を手に入れるだけではなくその組織も温存されるという。案文では、「人事院と協議」が加えられた箇所が多く、「人事院を内閣人事局に吸収する」のではなく、「人事院を温存したまま権限を与えて内閣人事局を作る」という話にすり替わっている。

 これは、霞ヶ関にとっては、ポストが残り権限が手に入るわけで、「焼け太り」になって、万々歳だ。

 なお、本来、内閣人事局に一元化されるべき組織は、総務省行政管理局、人事院、財務省主計局給与共済課だ。総務省行政管理局、人事院の基幹ポストに財務省は出向者を送っており、財務省さえ押さえれば、人事行政の一元化はできるはずだ。今回は、人事院が表にたって「抵抗勢力」になっているが、早い段階で財務省主計局給与共済課を除いた内閣人事局にしたり、財務省が裏で大きな影響力を行使したのではないかと邪推している。

公務員改革をスル―する
情けないマスコミ

 それに情けないのはマスコミだ。これまで、人事官という「天上がり」ポストをもらっていたからか、公務員制度改革ではスルー状態だ。

公務員改革が停滞している間に、霞ヶ関官僚はちゃっかりと天下りを確保している。新聞ではあまり大きく報道されていないが、「小泉改革」に逆行して商工中金社長に元経産省事務次官が就任し、官僚OBが天下りポストを奪い返している。

 筆者は、小泉政権において各省庁事務次官の天下り先であった政策金融改革を行った。その後、各省は時間をかけてその骨抜きに汲々としていたが、ようやく完成したようだ。商工中金は「完全民営化」を反故にした上で天下り確保なのであきれてしまう。財務省の政策投資銀行も同じだ。役人の天下りにかける執念深さには、皮肉をこめて感心する。
http://diamond.jp/articles/print/43038  

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コメント
 
01. 2013年10月17日 01:51:19 : plsk27d8TE
下痢ゾウのやろうとする政策で
唯一 大義あるのは
高給官僚の政治任用である
下痢ゾウは独裁長期政権を
目指しているから
彼にとってもこれは肝だ
押し切れば3年間敵なしだ
しかし、骨抜きにされるだろう
下痢ゾウにとっての最優先は
世界最強の自衛隊の
積極的平和主義的な
武力行使のできる
世界展開なのだから

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