新自由主義を批判するのは簡単だが、その代案を出せと言われると難しい。しかし、我々はただ新自由主義を批判するだけでなく、その代案を提示しなければならない時期に来ているのではないか。代案を考えることにこそ力を注ぐべきではないか。
　ここでは、藻谷浩介氏のインタビューを紹介する。藻谷氏の考えは、一つの代案として説得力のあるものではないだろうか。

『月刊日本』11月号
藻谷浩介「里山資本主義が日本社会を救う」より
http://gekkan-nippon.com/?p=5798

「国際競争」を疑え！
――　グローバル経済の荒波にどう対処すればよいか。
【藻谷】　今、日本人全体が「国際競争」という言葉に呪縛されている。何が何でも国際競争力をつけなければならないという強迫観念にとらわれている。なんとしても世界を席巻するマネー資本主義に適応しなければならないと洗脳されているのだ。
　しかし冷静に考えれば、ほとんどを内需でまかなっている現在の日本の産業構造の中で、文字通りマネー資本主義に関わっている人の割合は少ない。とくに、国際競争を煽る日本の言論界が国際競争から最も無縁であるというのは皮肉なことだ。国際社会では一円も稼げない人々が国際競争力の強化を訴えるというおかしな状況になっている。
　とりわけ問題なのは、マスコミ、世論が実際の数字をベースとせずに、印象だけで悲観論を振りまいていることだ。報道とは違って、日本製品の多くが着実に売れ続けているし、海外投資も多くの金利配当収入をもたらしている。また、バブル崩壊以降の20年間だけでも３００兆円ほどの経常収支黒字が外国から流れ込んでいる。
　そもそも日本人は悲観論が好きなのではないかと思う。昨年のロンドン・オリンピックで日本が獲得した金メダルは７個、これに憤慨している人が多いので、講演で「そうですね、バルセロナの時は12個でしたからね」と言うと、「そうだ、日本の国力はこんなところでも落ちている」と同意する。本当は３個なのだが、「日本はだんだん悪くなっている」という印象が先行して、事実を確認するということを怠ってしまう。
　そして、事実に基づかない「国際競争に乗り遅れるな」という思い込みこそが、現在の日本の根底にある。
――　肥大した資本主義は、資本主義構造に合致しないものを排除する性質を持っている。一昔前から言われる「勝ち組」「負け組」も、資本主義のゲームでの落伍者が人間として失格というような意味で使われるようになったのではないか。
【藻谷】　すべてが「競争」というものさしで図られるようになり、否応にかかわらず、全日本人が競争原理に駆り立てられている。これは養鶏場のブロイラーのようなものだ。ひたすら卵を生み続けることを求められ、卵を産めなくなったら、つまり資本主義的価値がなくなれば死ぬしかないという世界だ。
　典型的な「手段と目的の取り違え」で、そもそもよりよき生活のために競争という手段があったのだが、競争それ自体が目的と化している。
　資本主義は欲望を肥大化し、肯定するイデオロギーだ。貨幣は欲望を満たすためにあるのだが、貨幣を積み上げることそれ自体が目的と化してしまう。この貨幣積み上げ競争こそが世界を覆うマネー資本主義の本質だ。
――　そのような不毛な競争に日本人全員が巻きこまれている。
【藻谷】　私は国際競争やマネー資本主義そのものを否定しているわけではない。ある一定程度、資本主義の勝者も必要だし、マネーが好きな人は大いにやれば良い。私が指摘しているのは、日本人全員がマネー競争に奔走しなくても良いということだ。競争などしたくない人が、必要以上にカネを欲することなく、幸福に生きていけるサブシステムがあるはずだ。

「里山資本主義」が人間らしい生活を担保する
――　今回、藻谷氏とＮＨＫ広島取材班の共著で『里山資本主義』（角川oneテーマ21）を上梓された。ここで提示されているのがまさに、よりよく生きることを目的とする、古くて新しいシステムだ。
【藻谷】　３・11の震災直後、一時的に電気が停電し、スーパーなどで食料などが欠乏したことがあった。あの時に多くの日本人は気づいたはずだ。お金と引き換えに水、食料、燃料という生存に必要な不可欠な物資を送ってくれる複雑なシステムそのものが麻痺してしまえば、いくらお金があっても何の役にも立たないのだ。「里山資本主義」は貨幣経済に依存しないサブシステムを構築しておこうという考え方だ。
――　具体的に、山陰地方の取り組みを紹介している。ありあまる廃材を利用したバイオエタノール発電、老人たちが消費しきれない家庭菜園の作物を利用したレストランなど、実際の成功例だ。
【藻谷】　もちろん、こうした取り組みは十分な自然エネルギーを供給でき、互いに不要な食料を融通しあうような人口規模の里山であるからこそうまく行っているという側面はある。
　だが、この里山資本主義の考え方は、現在のマネー経済だけでなく、日本社会が抱える地域の過疎化、少子化と急激な高齢化という問題を克服する可能性も秘めている。（以下略）
　

コメント
01. 2013年10月28日 15:55:42 : FJDmWFtvX3 NHKでやっておった。 　鬱病の原因は人間の防衛反応が起源であり、不平等社会になればなるほど鬱病が増えるそうだ。 競争を激化させると、鬱病患者が増えていくことになる。 競争社会は人間にとっては死ぬほどつらいものになるということ。
02. 2013年10月28日 16:50:44 : 085QMSchMU だよな、競争主義は強者に有利だ、国家社会を破壊する。 「世界精神」よりも「国民精神」を大切に。
03. 2013年10月28日 17:38:14 : bJZgNlVd4U 　愛です　　「里山」崇拝には異論あり 　現在の里山は　山林を無益地として　放置しているだけだ 　今回の伊豆大島の土砂崩れも「里山」が崩れて　死者を出した！！ 　崩れたのは　誰かが　美しいと誤解している里山であることは 　テレビの画面を見れば　一目瞭然だろう！！ 　＝＝＝ 　仮に　伊豆大島の山を　「放牧地」にしていたら　あれほどの被害は 　なかったはずだ 　＝＝＝ 　スイスをみればわかるが　緑の　放牧地は　山の上まで続いていて 　その急傾斜地に　家が建っていて　何百年と続いている！！ 　牧草地の方が　里山よりも安全なのだ！！ 　＝＝＝ 　考え直せ　　バカヤロウ！！！
04. 2013年10月28日 18:07:04 : SZw2iad6Kk 「競争などしたくない人が、必要以上にカネを欲することなく、幸福に生きていけるサブシステムがあるはずだ。」という点を、里山資本主義の真実ではないかと見破れば、これを「逆転の罠」に利用すれば、国際競争で勝負したければ、どうぞ日本からとっとと出て行って、勝手に勝負して下さい、その代わりに勝っても負けても、ニ度と日本に帰ってこなくても構いませんから、ということで、騙されたふりをして、日本から追い出してしまえば良いのだし、これに対して物凄い抵抗を繰り返して、社会を混乱させようとする連中と、こんな強欲な金と権力の亡者にしがみついて、何かと邪魔をしてくるだけの使い物にならない間抜け連中については、このどちらに対しても、幾らでも騙されたふりをして、日本から追い出して、それこそ中国や韓国の反日活動家連中か、命知らずの自爆テロリスト等と共に、幼稚な子供の喧嘩にでも巻き込まれて、幾らでも物凄い痛みを分かち合い、恨みを分かち合い、憎しみを分かち合い、妬みを分かち合い、深い悲しみを分かち合いながら、ちの涙を流して泣き崩し、幾らでも孤立化させられて、全てを奪われ、皆殺しにされるなど悲惨な運命に巻き込まれて、勝手に死んで行くのを、全人類と共に、そっと静かに腹のそこで嘲笑いながら、見捨ててしまうしかございませんし、この代償として、日本経済を幾らでも衰退させ、自民党はじめ日本維新の会を引き裂き、原発推進勢力を引き裂き、日本政府を引き裂き、１％の金と権力の亡者を引き裂き、こうした全体主義と分極化した利己主義だけの運命共同体の中で自制して悪あがきをしているだけの１％の金と権力の亡者と何かと邪魔をしてくる間抜けと跳ね返りの馬鹿の寄せ集めに過ぎない保守右翼連中を引き裂いてしまうことで、全人類と共に、幾らでも安倍首相と共に運命を共にして、叩き潰されるのか、そうでなければ、全人類から邪魔されない様に何処か人目のつかないところで、そっと静かに幸せに暮らして下さい、ということで、突き放してしまうことで、国際競争力なんか喪失し、規模拡大による経済成長を諦め、誇りを持って弱体化させ、誇りを持って、幾らでも一人負けをして、誇りを持って、国際社会の中では、そっと静かにいないふりをすることで、日本の国際社会の中での地位や名誉を全て投げ捨ててしまうことで、これ以上に失うものは何もないのだし、これを乗り越えて、里山資本主義により、「さらば暴政」、「さらば原発」というものに繋がることで、日本の運命を大きく変えて行くことになり、対米従属からはそっと静かに離れつつも、成熟した素敵な大人の国となって、そっと静かに自立して行く道を選択していくことで、ニ度と変な戦争に巻き込まれることもなく、韓国や北朝鮮に対しては、ニ度と変なとばっちりを受けることも無い様に、わざと騙されたふりをして、そっと静かに深謀遠慮ということで、いないふりをしてあげることで、誇りを持って無視されることで、ハブ機能については、誇りを持って譲ってあげるようにすれば良いのだし、領土問題についても、竹島だけは、誇りを持って韓国に譲ってあげることで、名誉ある敗北者となってあげることで、尖閣諸島は、沖縄県に払い下げた状態で、沖縄県については、経済的には日中両属状態となって日本からそっと静かに離れながらも独立させて上げる様にすれば良いのだし、これならば千島列島については、第２の沖縄県として、日露両属状態にすることが出来れば、円満に解決することが出来るだけでなく、日本の国益になれば、韓国や北朝鮮の国益にもなり、中国やロシアの国益にもなり、アメリカの国益にもなれば、お互いに損することはなく、むしろお互いの利益に叶うことが出来て、共に支え合い、助け合い、分かち合いながら、共に幸せに暮らすことが出来て、東アジアの平和と安定に繋がり、国際社会に与える影響力は、誇りを持って、幾らでも小さくしてしまうことで、国際社会からの影響力も幾らでも小さくなるようにすることで、イギリスを見倣って、名誉ある孤立化への道により、誇りを持って新興衰退国となり、体質改善に繋がり、無欲で心豊かな清貧で痩せた民族とみられるのを、そっと静かに誇りとして、全人類に対して良いお手本として示してあげるようにして参りましょう。
05. 2013年10月28日 18:31:55 : 085QMSchMU 文章が長ったらしいことわ良いことだ、ババァのしょんべん、いつ止まるとも 知れず、たらたらと続く・・・・
06. 2013年10月28日 23:47:38 : Xz0yy1baV2 03. 2013年10月28日 17:38:14 : bJZgNlVd4U スイスをみればわかるが　＞ 馬鹿言っちゃいけない 雨の降らないスイスと台風で集中的に豪雨の降る日本を単純にしちゃいけない さらに，スイスと日本の土壌の違い見比較しなければなければならない。 もう少し科学的知見をそろえてから判断すべきでは？
07. 2013年10月29日 12:50:01 : FJDmWFtvX3 里山とは、森林と集落の緩衝地帯となる場所のこと。鹿やイノシシ、猿、熊等と人とのテリトリーを分ける防衛戦線である。その維持には莫大な労力がいる。たとえば、山の中に畑を作ってもほっとけば１年でまた山になる。 お金ではなく、労力が価値の世界である。 それがしんどいから都会にみんな住むようになった。 最初は夢のように良かったが、自然から離れた生活や、お金の奪い合いに疲れる人が多くなってきた。 もともと、人は能力的に田舎に住み里山を守る生活はできるようになっている。 そこに住みたい人が住めるように、また、以前よりも住みやすく、都会とも共存できるような進化した集落を作ることが必要である。 そのに、あまりたくさんの競争を持ち込むと、行き場を失った大量の精神を病んだ人を作ることになろう。

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