浪江町の馬場有町長は憤りと落胆を隠せなかった。＝25日、福島市　写真：島崎ろでぃ＝

【秘密保護法・福島公聴会】全員反対　浪江町長「理解してもらえなかった」
http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008272
2013年11月25日 18:26　田中龍作ジャーナル

　「衆院の国家安全保障・特別委員会はきょう、「特定秘密保護法」について国民の声を聞く、最初で最後（25日現在の方針）の公聴会を福島市で開いた。原発事故のあった福島であえて開催したところに政府の意図が見えた。

　各党から選出された地元の7人が意見陳述した。

　トップバッターの浪江町の馬場有（たもつ）町長は次のように話した―

　「SPEEDIの情報が的確に公開されず、避難に活かせなかった。情報公開さえしてくれれば何らかの方法があった。東電と通報協定を結んでいたが守られなかった。我々は民主主義の拠り所である幸福追求権、生存権、財産権を全て侵害されている。人権を守って、情報公開してほしい。明るみに出せるところは出してほしい。もうちょっと慎重な対応をするべき。国民と論議を尽くすことが大切だ」。

　二瓶由美子・桜の聖母短大教授は「まず、廃案にしてほしい」と切り出した。

　「3.11以降、たくさんの情報が隠されていたのではないか、ここ（福島）で若い人々を教育していいのか思い悩む日々が続いた」。

　二瓶教授は原発事故の際、東電社員の家族がバスで先に逃げたとされることに触れ「情報は流れている所には流れているが、私たち愚民には与えられないのではないか？ それが懸念される」。教授は官僚や政府トップによる情報独占の危険性を指摘した。

「傍聴したい人が外にいます。入れてあげて下さい」。懸命に訴える福島の女性。傍聴は政党の紹介なしに入場できない。額賀座長は一顧だにしなかった。＝写真：島崎ろでぃ＝
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　原発関連会社の名嘉幸照社長の陳述にはド肝を抜かれた。情報隠ぺいの多い原発政策を擁護するのかと思っていたら、その真逆だった。

　「原発労働者が原発について家族にも話せない状況が続いてきた。それが安全神話を生み取り返しのつかない事故につながった」。

　「私は沖縄県出身だが、米軍事故では何も知らされなかった。“ 私達は日本人ですか？ ”といつも問いかけて来た。福島県の人にも“ 私達は日本人ですか？”と言わせないで下さい」。名嘉社長は体の深奥から言葉を絞り出すようにして訴えた。

　陳述人7人全員が「特定秘密保護法に反対する」と宣言した。

　公聴会終了後、額賀福志郎座長（自民）、国家安全保障特別委員会の中谷元・与党筆頭理事らが記者会見を開いた。

　「地元陳述人は原発災害における情報公開と国民の生命・財産を守る特定秘密を若干混同していたが整理できた」。額賀座長は自信をのぞかせた。

　“ 国民が心配する情報隠しと、国が守ろうとする特定秘密は違うのだから、通過させても構わないだろう ” といわんばかりだ。政府が福島で公聴会を開いた意図がここにあった。

国家安全特別保障委員会・福島公聴会。中谷元・与党筆頭理事（右端）は記者会見で「原発で秘密指定の対象となるのは警備」と強調した。＝写真：島崎ろでぃ＝
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　ところが浪江町長にぶら下がり記者会見で話を聞くとそうではなかった。「（特定秘密の）範囲が広すぎる。テロ防止の名目で（原発）事故隠しをされたら困る」。

　「理解してもらえたか？」と記者団が聞くと「理解してないんじゃないかな。表情を見る限り」。浪江町長は肩を落とした。

　「中央でも公聴会をすべき。２週間やそこらの審議で済むことではない。国民の安全保障に関わる問題なのだから」と続けた。

　公聴会開始前、幼子を背負った母親が受付に現れた。「秘密保護法にイヤと言いたいんですけど、私たちは言えないんですか？子供のためにもすごく心配。何か分からないで知らずに触れる恐れがある。議員さんにもぜひ伝えたい」

　母子はたまたま公聴会会場のホテルに投宿していたのだった。安倍政権は国民の心配をよそに猛スピードで「特定秘密保護法案」を成立させようとしている。

コメント
01. 2013年11月26日 00:25:44 : Fbrymlivsk ＞国家安全特別保障委員会・福島公聴会。中谷元・与党筆頭理事（右端）は記者会見で「原発で秘密指定の対象となるのは警備」と強調した。 SPEEDIの情報が的確に公開されず、避難に活かせなかった。情報公開さえしてくれれば何らかの方法があった。東電と通報協定を結んでいたが守られなかった。 その上、あの緊急時に東電に対して、情報収集衛星の１Fの画像提供を拒んだ前科がある。 米国には両方とも提供しているが、国民には隠す政府の秘密主義は、福島の人でなくても日本国民は不信感を持つわな。 外国の情報を収集する能力は防衛上必要だろうが、災害時も緊急時も重要情報を国民に知らせないのでは何のための安全保障かわからん。特定秘密の結締組織に、原子力寄生委員会も入ってるような法案は廃案するしかないよ。
02. 2013年11月26日 00:35:05 : Asb7q1WCyU ＜秘密保護法案＞福島の声聞いて…地方公聴会で懸念表明 毎日新聞 11月26日(火)0時2分配信 「福島の声を国会に反映してほしい」。福島市で２５日開かれた特定秘密保護法案に関する衆院国家安全保障特別委員会の地方公聴会で、福島県民を代表する意見陳述者らは東京電力福島第１原発事故の経験を踏まえ、「情報公開の後退」に対し口々に懸念を表明した。 　桜の聖母短大キャリア教養学科の二瓶由美子教授に特別委から意見陳述の依頼があったのは、公聴会４日前の２１日だった。「（意見陳述が法案採決の）アリバイ作りに利用されるという思いはあった。でも、原発事故を経験し、反対表明を明確にすべきだと思った」と、公聴会参加を決断したという。 　公聴会で二瓶教授は、原発事故後に情報が交錯する中で「若い女性たちをここで教育していいのか、悩んで今にいたる」と陳述し、「情報公開を阻むものには反対する。秘密の指定の拡大を案じる」と反対意見を述べた。 　同県浪江町の馬場有（たもつ）町長は、原発事故当初、避難に関する必要な情報がなかったため住民が放射線にさらされた例を指摘。「テロ防止の切り口でみれば原発も（特定秘密の）対象になる」と述べ、法制定で原発情報が隠蔽（いんぺい）される懸念を訴えた。しかし、馬場町長は公聴会後、「（福島県民の思いが伝わったとは）思えなかった」と不満を漏らした。 　傍聴した同県三春町の武藤類子さん（６０）は「公聴会での意見がどのように法案に反映されるのか。法律をなぜ急いで作る必要があるのか分からない」と話した。【喜浦遊、蓬田正志】 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000000-mai-soci
03. 2013年11月26日 00:52:54 : SrHRzUXGqA > 陳述人7人全員が「特定秘密保護法に反対する」と宣言した。 これで、法案が通過するようでは、もはや民主主義ではない。 誤解があるというのなら、誤解がなくなるまで、公聴会をまた開くべきだ。 安倍首相の自民党は、民主主義の破壊者だ。 民主的な方法で、彼らを取り除かなければならない。 ナチスの手法を続けさせてはならない。
04. 2013年11月26日 01:22:49 : zu5SeWmuHI 悪法を通そうとする政府の意図を考えてみると最早レジームとしての限界が近づいている。最後の手段として反共の精神で一致する米共和党とのタッグの下で中国や北朝鮮と一戦を交える準備をする。それで万が一敗れれば自害する。そんな覚悟を固めつつあるといったところだろう。現在の日本のレジームはかつて後醍醐天皇が作ろうとして短期間で挫折した建武の新政(南朝を正統とする政権)に近いといわれるがこのタイプのレジームは日本史を遡ってもそう長期間続いた実績はない。集団的自衛権を認めるといっても自衛権行使の下では交戦権を認めるのと比べて戦争に対するビジョンが描きにくく戦争状態になった場合には失うものが大きい危険な賭けになる。米国大統領を天皇と同等に看做す楽観性と偏った忠誠心・盲信が裏目に出ないことを祈るばかりだが。
05. 2013年11月26日 01:45:19 : FfzzRIbxkp 　>「地元陳述人は原発災害における情報公開と国民の生命・財産を守る特定秘密を若干混同していたが整理できた。」 この額賀議員の発言が混同してますよね。 原発災害における情報公開ってなんですか？情報公開が怠っていたから、住民の生命も財産も守れなかったことを、町長さんが指摘しているのですよ。 原発災害における情報公開が十分行われているのかという検証をする必要が出てきましたね。
06. 2013年11月26日 02:36:31 : FfzzRIbxkp 額賀議員の発言からわかるのは、 特定秘密保護法案について、国民の理解が得られていないということでしょう。 福島県は、森まさこ大臣を選出しているのにも関わらずです。 この法案に賛成する議員のうち、選挙区の有権者に十分に説明して回ったという方、挙手願います。 この法案に賛成している議員が、この法案について説明をしにきたという有権者の皆さんがいたら、お知らせ願います。
07. 2013年11月26日 12:54:17 : 6ysgzDvBkI 福島県民よ！ 原発作ったのも事故原因も自民党！ 国会議員に自民党議員を選んだこと自体間違いだった！ 自民党で日本は良くはならない！ って肝に銘じ二度と当選させてはいけない これは日本全てに言えること！
08. 2013年11月26日 17:58:36 : 4JBOhgsNbo 公聴会の扱いといい、強行採決といい、 自公による、 福島への非人道的な行為は、 金輪際忘れない。

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