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投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 12 月 12 日 23:17:07: mY9T/8MdR98ug
 

 先週は連日、国会前へ通いつめた。陽に照らされて汗ばむ日も、寒さに震える夜もあった。しかし、なんとしてでも稀代の悪法「特定秘密保護法」は阻止しなければならないと思った。だから、毎日出かけた。
 多くの、ほんとうにたくさんの人たちが、僕と同じ思いをそれぞれのポスターに込めて、国会周辺に集まっていた。それでも安倍は強行した。自民公明の“悪業”は、歴史の石に刻まれたんだ。忘れない。

 安倍は、強行採決の翌日(12月7日)、東京・谷中の全生庵という寺に出かけ、座禅を組むというパフォーマンス。この寺は中曽根元首相がよく座禅を組んだところ。中曽根氏にあやかって長期政権を狙っているのか。
 だが、なにが座禅か! その席で「すごく騒がしかったのが、1日たつと違うね」と側近(というより腰巾着)に言ったという。あの連日連夜の反対のアピールを「騒がしい」と片付けたのだ。まさに恥知らず。
 自分の耳に痛い訴えは“騒がしい”だけ。最初から「反対意見」など聞く気はない。それが安倍の言う「民主主義」だ。言葉の意味さえ理解できていない人物が首相であるというこの国の悲哀。
 ツイッターにも書いたけれど、この「騒がしい」という発言は、首相官邸前の原発再稼働反対の抗議の声に、「大きな音だね」と思わず口走った、あの野田佳彦元首相の失言に匹敵する。いや、もっと酷い。野田は、あの言葉が命取りになって、民主党の大敗を招いた。安倍も、そんな遠い未来ではなく、言葉のほころびから自滅していくだろう。
 事実、各マスメディアの調査では、安倍内閣支持率が軒並み大幅下落している。これに来年の消費増税が追い打ちをかける。一時の回復はあるかもしれないが、この下落は止まらない。

 日曜日(8日)、朝刊を開いたら、ふっとある言葉に目を奪われた。朝日新聞の「声」欄。「朝、目覚めたら戦争だった」という見出しだった。
 投稿者は作家の早乙女勝元さん。直木賞作家で、たくさんの作品(ことに児童文学)で有名な方だが、『東京大空襲 ― 昭和20年3月10日の記録』(岩波新書)など「東京大空襲を記録する会」の活動でも有名だ。投書では、こんな風に書かれていた。

 1941(昭和16)年12月8日、私は東京・下町の国民学校4年生だった。霜が張った寒い朝、ラジオの臨時ニュースで太平洋戦争開戦を知った。
 「いつどこで始まったの」という私の問いに、母が「今朝、西太平洋だってさ」と答えたのを覚えている。みんなが寝ているうちに戦争になったのに驚いたが、ふと懸念が生じた。国民の知らぬところで始まった戦争。(略)
 誰も彼も歓迎ムードだった。だが貧しいガラス職人だった私の祖父は違った。「世界地図を見よ、小さな桜エビのような日本がスルメイカみたいな国を相手に戦争とは。もういかん、もう間に合わん」
 大通りでは寒風の中を「神国必勝、打倒米英」ののぼりを先頭にした旗行列が途切れることなく続いていた。

 遠い少年の日の記憶……。
 ただ、僕の目をひきつけたのは、この投書の見出しだった。
 『目覚めたら、戦争。』(コモンズ、1600円+税)という、僕が2007年9月に出した本のタイトルに、そっくりだったからだ。僕はこの本に「過去(いま)を忘れないための現在(かこ)」というサブタイトルをつけた。その思いが、まざまざと蘇った。
 この本を出版した当時は、例の「私に反対するものは抵抗勢力」や「自民党は私がぶっ壊す」などといったワンフレーズを駆使して圧倒的な人気を誇った小泉純一郎首相の下で、次々と危うい政策が推し進められ、跡を継いだ安倍晋三新首相はさらに、それに輪をかけて危険な方向へと進みかけている、という政治状況だった。
 だから僕は、そんな世の進み行きへ“蟷螂の斧”とは分かっていても、小さな異議申し立てをせざるを得なかったのだ。
 僕はその本、『目覚めたら…』の帯に、こう記した。

 戦争は、こうして突然、私たちの目の前に現実となって立ち現われた。ある朝、銃声で目覚めるということが、絵空事ではなくなったのである。
 テレビが速報を伝える。
 「臨時ニュースをお伝えします。紛争地〇〇で活動中の自衛隊が、反政府勢力と交戦状態に陥り、自衛隊五名が戦死した模様です」
 そんなことが起きないと、誰が確約できようか。

 今から6年前に書いた文章だが、世が次第にこのような現実味を帯びてくることが恐ろしい。 
 前掲の早乙女さんの投書にもあるように、「国民の知らぬところで」戦争は始まるのだ。国民に知らさぬ法律、それが特定秘密保護法なのだ。そして、「目覚めたら、戦争」…への道。
 早乙女さんのおじいさんは「もういかん、もう間に合わん」と呟いたというが、我々はそれを繰り返してはならない。ふたたび「間に合わん」と言ってはならない。戦争阻止は、まだ間に合う!
 TBS「報道特集」(7日)で、毎日新聞の東海林智記者が言っていた。「戦争は秘密から始まる」と。
 まさに、安倍は「太鼓たたいて笛ふいて」(井上ひさしさんの戯曲)国民を煽り立て、アメリカと一緒に戦争できる国へ我々を連れていこうとしている最悪の道化師、ハーメルンの笛吹き男…。

 さらに安倍は、特定秘密保護法をより強固な弾圧法にすべく、次の一手を用意しているという。それが「共謀罪」だ。
 僕は『目覚めたら…』の冒頭で「共謀罪」を取り上げた。それほど気がかりな法案だった。6年以上も前のことだが、安倍はそんな古証文を、ほこりを払ってまた持ち出そうとしているらしい。
 自著からの引用ばかりで恐縮だが、こんなことだ。

 簡単に言えば「犯罪を実行しなくても事前にその犯罪について話し合った(謀議した)というだけで、罪に問うことができる」という、そうとうにキナ臭い、恐ろしい法律である。正式には「組織犯罪処罰法改正案」(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規則等に関する法律)という。このなかに、その恐ろしい「共謀罪」(組織的な犯罪共謀罪)が含まれているというわけだ。(略)
 (注・この法は「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准する上で国内法を整備する、という名目で出てきたもの)
 第一の問題点は、なんといっても、その適用範囲が広いこと。
 初期の目的であったはずの「国際組織犯罪」など、いつの間にかどこかへ飛んで行ってしまった。なにしろこの「共謀罪」の対象になるのは、四年以上の懲役または禁錮刑にあたるすべての犯罪だというのだ。その数なんと、六二〇種類にも及ぶという。万引き、窃盗、酒の無免許製造、詐欺、脱税―。ちょっとした犯罪なら、ほとんどが対象になる。これらのいったいどこが「国際組織犯罪」と関係あるのか。(略)
 この「共謀罪」について、保坂展人衆議院議員(注・当時、現東京都世田谷区長)に話をうかがったことがある。彼は、国会の審議で次のような、呆れた答弁を返されたことがあるという。
 「たとえば、何かを話していて、その話題についてはなにも言葉は発しなかったけれど、目配せでウンウンと同意を示した、というような場合はどうなるのか」という問いに、「時と場合によるが、共謀罪に問われることもある」と、法務省の役人が答えたというのだ。(略)スポーツの世界でよく言われる「アイ・コンタクト」なんか、じきに死語になりかねない。
 それにしても不思議なのは、またしても公明党だ。なぜ自民党と一緒になってこんな悪法を通そうとするのか。(略)

 つまり、特定秘密保護法で足りない部分を、このさらなる悪法でもっと強固にしようということだろう。むろん、今度出してくる「共謀罪」は、前回の失敗に学んで、もう少しスマートな装いでしゃしゃり出てくるだろうが、どんなに厚化粧したって、中身の醜さに変わりはない。
 そして、この時も疑問に思ったのが公明党の対応だった。今回の特定秘密保護法での公明党の呆れた対応の芽は、すでにこの時から膨らんでいたのだ。もうこの党は“庶民の党”“反戦平和の党”とは絶対に言えない。
 
 森雅子大臣も安倍首相も菅官房長官も、委員会での答弁は無残なものだった。答えれば答えるだけ、底なし沼に足を引きずり込まれていく。このままでは、欠陥法であることが天下に知れ渡ってしまう。そうなる前に、とにかく遮二無二押し通す。それが安倍内閣の強行採決だった。
 彼らは何度も「恣意的な運用はしない」「秘密に無関係な方には何の恐れもない」などと繰り返した。
 もちろんウソだっ!
 恣意的な運用はしない、だって? 一度成立してしまえば、好き勝手に解釈して処分処罰をやり放題なのが悪辣行政の常套手段だ。
 たとえば、教育行政。
 大田堯さん(東大名誉教授、教育研究者)が、朝日新聞(6日付)で、次のように述べている。

(略)文部科学相は検定で「教育基本法の目標などに照らし、重大な欠陥がある」と判断されれば、教科書を不合格にすると言い出している。そこにこの法律ができると情報が一層統制され、教師は委縮。被害を受けるのは子どもです。
 与党は「知る権利は守られる」と言うが、口約束はあてになりません。国旗・国歌法で政府は「強制しない」と答弁したが、教師が立って歌わなければ処分されています。(略)

 そう、あの国旗・国歌法が制定されたとき、当時の小渕首相も野中官房長官も「強制はしない」「これで処分・処罰されることは絶対にない」と、国会答弁で繰り返したではないか。
 それがどうだ。東京都教育委員会は石原強権都政の下で徹底的な弾圧を繰り返し、教職員はすっかり怯えてしまっている。また大阪では、橋下維新の恫喝行政で、君が代斉唱の際の教職員の“口元調査”などという、ほとんど三文喜劇のような状況が生まれている。
 「特定秘密保護法に反対する学者の会」の記者会見で、劇作家で大阪大学教授の平田オリザさんが「大阪では『物言えば唇寒し』で、公務員たちはまるで言葉を発しなくなりました。秘密保護法が通れば、この大阪の状況が、やがて日本を覆うことになるのです」と危機感をあらわにしていた。

 戦後最悪の法律は、強行可決されてしまった。
 だが、まだ施行までは時間がある。徹底的にこの悪法の欠陥を暴き、施行前に廃棄に追い込むために、できる限りのことをしていかなければならない。
 「唇寒し」の時代が来る前に…。


http://www.magazine9.jp/article/osanpo/9793/  

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