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米国は米国の国益を最大化するため必要と認めるときは、例え同盟国であっても使い捨てる。戦中・戦後の米国と台湾の関係史
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/538.html
投稿者 TORA 日時 2013 年 8 月 23 日 12:29:49: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu294.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国は米国の国益を最大化するため必要と認めるときは、例え同盟国であっても
使い捨てる。戦中・戦後の米国と台湾(国民党)の関係史がこれを実証している。

2013年8月23日 金曜日

◆プラグマティズム国家米国が同盟国を見捨てるか又は取引材料に利用するとき、米国もまた同盟国から見捨てられることを覚悟しなければならない。 8月22日 じじ放談
http://blog.livedoor.jp/gold_7777/

はじめに

10年ほど前、アシュケナージ系ユダヤ人の末裔でフランス人のエマニュエル・トッドは著書「帝国以後」を遺した。彼は「米国は普遍的原理を持てない(覇権国家たりえない)国家である。ロシア(ソ連)は普遍的原理を有する(覇権国家の資格要件を備える)国家である」と指摘した。

トッドがいう「普遍的原理」について筆者は「政治理念の一貫性」と考えたい。情勢の変化や時々の損得勘定によって戦略をくるくる変更するのではなく、世界最大の人権侵害国家中国には目を塞ぎ不問に付しながら、弱小国家ミャンマーの人権には文句をつけ経済制裁を課すというダブルスタンダード外交ではなく、真実一路、自らの政治理念を一貫して断行する意思と考える。

これは、党派の違いや政治体制を超えた国民性又は民族性に由来するもので、最大利益を求め自在に進路変更するプラグマティズム国家米国の国民性と、首尾一貫主張を曲げないスラブ民族の民族気質が発現したものと理解すべきであって、米国はロシアになることはできず、ロシアもまた米国にはなれないということなのだ。(中略)

第3:オバマ政権が唱える「東アジアへのシフト」について

オバマ大統領が選挙公約で掲げたイラク・アフガンからの撤兵と東アジアへのシフトは着々と実行に移されている。ミャンマーの民主化、日米豪印韓海軍等の合同軍事演習、インド・ベトナム・フィリピンへの接近、日米安保条約の強化等を勘案すると、オバマは「中国包囲網の形成」を加速させているように見える。もっともオバマが、米国の最高機密を漏洩したCIA元職員の引き渡しを巡って米露首脳会談をキャンセルしたのは愚策だ。

オバマ大統領が「経済成長著しい東アジアとの関係を深めることが米国経済の発展に不可欠である」と考え、重心を東アジアにシフトしたことは不可解ではない。また、経済力を飛躍的に向上させ、軍事力を急速に膨張させている中共が、東アジアの覇者となり、米国を排除するのを阻止したいと考えるのも(米国の立場で見ると)当然の反応だろう。

そして今、出不精なオバマ大統領と中東地域の紛争解決に精魂を傾けているケリー国務長官に代わって、メネンデス上院外交委員長(民主党)、マケイン上院議員(共和党)が日中韓を訪問。さらに、9月以降、ヘーゲル国防長官やバイデン副大統領も日中韓を歴訪する予定だ。オバマとケリーが動かないので、上院議員や側近が代行しているという訳か。

メネンデス上院外交委員長は「アジアで、開放的かつ包括的な外交、安全保障秩序を作ることが重要だ。米国は中国の参加を誘導するだろう」と語った。つまり、「中共は現在、米国の指導に従わない非行少年であるが、矯正可能性は残っているので善導してみせる」というのだ。

メネンデスの中共観はおそらく米国(民主党・共和党を問わず)の一般的な見解なのであろう。彼らは「中共が米国に追いつき、追い越し、追い落として覇権を奪還する」という恐るべき野心を抱いているとは想定していない。彼らは「中共がロシアと共謀して覇権国家米国を打倒した上で、中露両国が覇権を巡って争う」という計略を立てているとは想定していない。米国は「敵の本質が読めない愚昧な楽観主義者」又は「何でも自己中心的にしか見ることのできないプラグマティスト」なのであろう。

第4:ロシアは北東アジアにおける米国の同盟国を取り込む

ロシア(ソ連)は、中共とインドが国境線を巡って戦争した中印戦争においてはインドを、中共軍がベトナムに侵攻した中越戦争においてはベトナムを支援した。以来数十年間、ロシアはインド及びベトナムと準軍事同盟の関係にある。前述したとおり、ロシアはシリアのアサド政権を一貫して支えてきた。劣勢な同盟国(準同盟国)を支え抜いた。プーチンは「同盟国が侵略された時は、躊躇なく戦術核兵器を先制使用する」と語った。米国が提供すると称する「核の傘」には具体性がないから同盟国は疑心暗鬼に陥る。「本当に大丈夫なの?」という感じなのだ。

前述したとおり、東アジアに対する米国最大の関心事は「(米国から見て)忠実でない中共を善導すること」であって、同盟国(友好国)の安全を保障することではない。同盟国(友好国)は中共を振り向かせ、誘導する手駒(手段)に過ぎない。米国は米国の国益を最大化するため必要と認めるときは、例え同盟国であっても使い捨てる。戦中・戦後の米国と台湾(国民党)の関係史がこれを実証している。北東アジアにおける米国の同盟国(日・韓・台)は米国に対する不満と怨みを積み重ねてきたといっても過言ではない。北東アジアは爆発寸前の噴火口だ。マグマはたっぷり溜まっている。

中共は韓国を経済的に支配しほぼ掌中におさめた。韓国政府は「米中の架け橋になる。韓米・韓中等距離外交」を公言する。米韓合同軍事演習は恒例行事であってそれ以上でも、それ以下でもない。韓国の仮想敵国の第1は日本、第2が北朝鮮、第3が米国であることは世間の常識なのだ。韓国にとって中共は必要不可欠な同盟国という位置づけなのだ。これが1500年間続いてきた北東アジアの地政学というものだ。反自然な状態が自然な状態に回帰しただけで不可解なことは一つもない。

我が安倍総理とプーチン大統領の首脳会談によって日露は濃密な関係になった。プーチンの申し入れによって、外相・防衛相による「2+2」の定例化が決まった。日露の国境線を確定し日露平和条約を締結することを視野に入れながら、経済協力を推進し、安全保障協議を始めることになった。ロシアは本格的に東アジアにおける勢力圏拡大に関心を向けるようになった。(米国に不満を抱いている)米国の同盟国(日・韓・台)及び友好国(インドネシア・マレーシアほか)を取り込むというロシアの戦略は企画段階から実行段階に移行した。プーチンは「千載一遇の好機が到来した」と感じているはずだ。

まとめ

米国と中共は本質的にプラグマティズム国家であるから相性が良い。エマニュエル・トッドがいう「普遍的原理を持てない国家」だ。米中の「ウインウインの腐った関係」に愛想をつかした米中の同盟国(日・韓・北・台)を籠絡して取り込むべき登場した白馬の騎士がプーチンのロシアだ。エマニュエル・トッドは「ロシアは覇権国家としての普遍的原理を備えている」と高く評価している。米国や中共の如く時々の自己都合や損得で(ウサギのように)せわしなく動き回るのではなく、原理原則に従って(亀のように)堅実に山を登るというのである。

我が安倍総理は目下、日米同盟強化とオバマ大統領の意向を忖度しているように見える対中包囲網・圧力外交に精励中だ。東南アジア・中東湾岸諸国・ロシア・インド・モンゴル・英仏・東欧・中央アジア・アフリカ諸国等(中韓を除く)全方位外交を展開している。

安倍外交は公式的に見ると「米国の対中包囲網・圧力戦略の露払い役を担っている」といえるが、世界各国との関係改善を図ることで、我が国の特有財産を大きく増殖させている面もある。

中共を永遠の仮想敵国と位置づけているロシア、自ら中国包囲網を形成したいと念じているロシアから見ると、安倍外交がもたらす日本国の特有財産はとても魅力的だ。仮に、日米同盟が終了し日露同盟を締結できたとすれば、ロシアは安倍総理が汗水たらして築き上げた日本国の特有財産を活用できる。以上のように考えると、さすがのプーチンも興奮し夜も眠れなくなるとしたものではなかろうか。

もとより、日韓の唯一の同盟国(宗主国)である米国も馬鹿ではない。北東アジアにおける情勢の急変を肌で感じている。だからメネンデス上院外交委員長、マケイン上院議員、ヘーゲル国防長官、バイデン副大統領が入れ替わり立ち代わりでやってくる。オバマの危機意識も半端ではない。習近平は米露二股外交の弁解に腐心している。プーチンは虎視眈々、北東アジアを狙っている。

いずれにせよ、安倍外交は我が国基幹産業の販路拡大に役立つだけでなく、我が国の安全保障外交にとっても重要な武器となる。


(私のコメント)

昨日、一昨日と世界覇権の流れを考察してきましたが、アメリカが以下にバランスオブパワー外交で、無節操な外交であったかを書いてきました。昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵になりうるのです。米ソ同盟か英独日の三か国を没落させ軍事大国化の芽を摘んで米ソ二極体制にした。そこでソ連を内部崩壊させて単独覇権をアメリカは勝ち取った。

単独覇権国は、宿命的に全世界を敵にする。同盟国であってもアメリカに不都合になれば容赦なく切り捨てる。多くの国はアメリカに協力してきても、不都合になればアメリカの敵として叩かれて没落してきた。英国にしてもソ連にしてもアメリカと協力して敵(日独)と戦ってきたのに、裏切られて没落した。

中国にしても蒋介石を支援して協力して日本と戦ってきたのに、戦後のアメリカは蒋介石を裏切って支援を止めた。その結果、蒋介石は共産党軍に敗れて台湾に逃げ込んだ。アメリカは台湾の独立を認めませんが、このようなアメリカのあいまいな態度は同盟国を不安にさせて、韓国は中国に寝返ったようだ。アメリカは何度も米韓軍事演習を繰り返しているが、もはや手遅れだ。

オバマ大統領は実際には大統領の実権は持ってはいないのだろう。エジプトに対するあいまいな態度はエジプトを内戦状態にした。シリアにしても曖昧な態度を取り続けて反政府派を追い込んでしまった。アメリカの外交的な関心の9割は中東に割かれていますが、肝心な中東政策の戦略が混乱している。それは東アジアでも同じであり、大規模な地殻変動が起きているのに、中国の二股外交に振り回されている。

アメリカにとって中国が敵か味方かわからないままの関係が続いていますが、中国がアメリカの言うことを聞かなくなり、海軍力と中距離ミサイルを強化して西太平洋の覇権を奪おうとしている。日本から見ればアメリカは大丈夫かと心配になる位ですが、オバマ政権内部では未だに中国が洗練された民主国家になるといった幻想にとらわれているようだ。

アメリカは、北朝鮮問題に関しては中国に任せるといった政策で終始してきましたが、中国がかわいい子分の北朝鮮を陰に支援して核開発やミサイル開発でアメリカを揺さぶってきた。北朝鮮が見せた移動式ミサイル発射台の大型トレーラーは中国製であり、積まれる長距離ミサイルも今は模型だが、いずれは実物が積まれてアメリカを射程に収めるだろう。

このようなアメリカのあいまいな外交政策は、同盟国を疑心暗鬼にさせて、米中のG2外交はオバマ外交の柱でしたが、同盟国の不信を買った。中国も二股ならアメリカも二股外交で、日本にとってアメリカは同盟国でもあり、米中同盟で日本を封じ込める敵でもある。事実日本は90年代から米中同盟によって封じ込められてきた。韓国や台湾は中国との取引材料で中国に取りこまれつつある。

時事放談では次のように書いている。「中共は韓国を経済的に支配しほぼ掌中におさめた。韓国政府は「米中の架け橋になる。韓米・韓中等距離外交」を公言する。米韓合同軍事演習は恒例行事であってそれ以上でも、それ以下でもない。韓国の仮想敵国の第1は日本、第2が北朝鮮、第3が米国であることは世間の常識なのだ。韓国にとって中共は必要不可欠な同盟国という位置づけなのだ。これが1500年間続いてきた北東アジアの地政学というものだ。反自然な状態が自然な状態に回帰しただけで不可解なことは一つもない。」つまり韓国はアメリカに見捨てられたのだ。

日本はこれに対して、中国封じ込めで利害を共通するロシアとの関係改善を模索している。アメリカは対中国外交で日本と利害を共有できないのは国際金融資本が中国の利権と大きく結びついているためだ。しかし、中国の海洋進出は国際金融資本の利害に反する。東南アジア諸国を狙っているのはアメリカのみならず中国もロシアも狙っている。その為には日本が何処と組むかで情勢は決まってくる。

TPPはアメリカが日本と組む切り札になりますが、日本がアメリカ抜きの東アジア共同体を構想しておくことも牽制材料として取っておくべきだ。それはアメリカが中国と手を組むと決めた時に打ち出すカードになる。鳩山元総理はそのカードをちらつかせた。日本にしてもロシアにしても米中が組まれることが一番困るのであり、米中蜜月の90年代は悪夢だった。

オバマ大統領と習近平主席は二日間にわたって8時間会談しましたが、安倍総理とは1時間半の会談で終わった。共同記者会見も行われない会談であり、日本軽視がうかがわれます。アメリカがどう出るかを探るには尖閣問題でアメリカの対応を見るべきであり、それは台湾にも大きな影響を与えるだろう。まさにオバマ外交はエジプトを見ればわかるように迷走している。対中外交もまた迷走していますが、エマニュエル・トッドがいう「普遍的原理を持てない国家」だからだ。

 

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コメント
 
01. 2013年8月23日 18:42:13 : nJF6kGWndY

>多くの国はアメリカに協力してきても、不都合になればアメリカの敵として叩かれて没落してきた。英国にしてもソ連にしてもアメリカと協力して敵(日独)と戦ってきたのに、裏切られて没落

そもそも外交とは騙し合いの世界なのに

没落や衰退を、相手国のせいにするのは馬鹿げている


傲り高ぶって、見通しが甘く、自助努力が不足した国家が辿る自業自得の末路だろう

もちろん米国とて例外ではない


02. 2013年8月23日 22:58:06 : MBD1umCKSk
TORAは今度はアメリカを叩いて工作員疑惑を回避かね。
アメリカを叩くコメントや記事は中韓を叩く時に比べて明らかにキレが鈍いな。
韓国の第3の仮想敵国がアメリカだの「TPPはアメリカが日本と組む切り札になりますが」
などのコメントは、呆れるのを通り越して反吐が出る。
アメリカを叩くと見せかけてよく読むと中韓の脅威とTPP推進を煽っている。

カネに困って工作員稼業をしてるなら、自分自身ブログに書いていたように
ビルの清掃からやり直したらどうかね?


03. 2013年8月26日 06:02:00 : B5offegeiY
阿修羅さんへ

日本に北朝鮮のスパイがどうとか言う前に、アメリカは「軍関係者ならノーチェックで日本に入国できる」ことを問題にしろよ。
米軍基地経由で日本に入国すれば、パスポートもビザも無しで入り放題。
だから、日本の重要施設にも色々仕掛けることも簡単だ。
(福一4号機の爆発は「辻褄が合わない」ので、何らかの工作によるものであることは推測できるのだよ。)
中国がどうとか、朝鮮がどうとか言っているレベルじゃないぜ。
こんな「独立国」他にあるか?
一番危険なのは中国でも北朝鮮でも韓国でもなく、「アメリカ」(を操る国際金融資本家)だよ。
(北朝鮮はアメリカのカードであると書いてきたが、拉致も北朝鮮ではなく米軍が関与していると考えれば、何と辻褄があってしまうのだよね。びっくり。北朝鮮と日本に仲違いを起こしておきたいアメリカがいるのだから、こういう結論も当然「あり」でしょ。)


04. 2013年8月27日 00:34:28 : niiL5nr8dQ
2013年 8月 26日 10:45 JST
米国防長官「米のアジア重視、地域の経済発展に資する」

By JULIAN E. BARNES
[image]
Xinhua/Zuma Press
米比合同軍事演習で発進された無人機

 

 【クアラルンプール(マレーシア)】ヘーゲル米国防長官は25日、マレーシア国防省で講演し、米軍が改めてアジアを重視していることは地域全体の経済発展に寄与するとの見解を示した。

 同国防長官は、安全保障パートナーシップと協力への投資はアジア全域の国々の経済目標達成を支援すると述べる一方で、海上での海軍の対立やサイバー攻撃、その他の安保上の問題は世界経済への直接的脅威となると指摘した。

 同長官は「安保は繁栄の極めて重要な基盤だ」とし、「貿易は勢力争いのある海域では繁栄できず、社会はテロの脅威の下で栄えることができず、商業は自然災害で破壊されたところでは続かない」と述べた。

 ヘーゲル氏は今週、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、それにフィリピンを訪問するが、これは「防衛外交」の一例だと指摘した。しかし、米国はアジアに軸足を置き続けるようますます強く求められているようだ。今回の歴訪は中東に関する一連の出来事の中で行われており、同氏はエジプト軍の指導者との電話協議や、シリア問題でのオバマ大統領とのテレビ電話に多くの時間を取られている。

 米国のアジアにおける計画の基盤は、米国と地域パートナーとのより一層の多国間協力関係の構築にある。多くの国は、合同軍事演習を難しくさせている領土的紛争と歴史的紛争を抱えている。

 多くの国は米国との合同演習で手を組みたいが、多国間演習に関する懐疑的見方も強まっている。

 米国の短期的な戦略は伝統的演習の拡大で、2国間演習を多国間で行い、多国間演習はその規模をさらに拡大することだ。国防当局者は、多国が参加する訓練の計画が進展していると主張している。

 マレーシアのヒシャムディン国防相はヘーゲル氏の講演に先立つ記者会見で、同国とフィリピンとの間の領土紛争に言及したが、同時に、ヘーゲル氏と同様に多国間協力の重要性を指摘。「全ての国の首脳間に十分な信頼関係を築くことが不可欠だ」と強調した。

 今回のヘーゲル氏の歴訪の中心は、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の国防相との会合だ。ASEANは経済・開発を中心に据えた国際組織だ。米国は最終的にアジアの諸組織に北大西洋条約機構(NATO)に似た性格を持たせたい考えだ。NATOは欧州の軍事統合と協力を促進してきた。

 ヘーゲル氏は講演で、パートナーシップはテロ、海賊、あるいは自然災害といった地域の諸問題に対処する上で不可欠だとし、「われわれの東南アジアのパートナーは、これらの複雑な脅威と問題が自分の国だけでは解決できないことを知っている」と述べた。その上で、「解決には対処するための2国間、多国間の政治的意思と能力が求められる」と指摘した。

 マレーシアの現職あるいは退官した軍人たちからの質問は中国と米国の対中関係に集まった。ある軍人は、中国と米国との対立は不可避なのかと質問。これに対して同氏は、紛争の可能性はあるが、両国の指導者はこれを回避する道を見いだすと確信していると答えた。

 しかし、この答えは軍事紛争の効果に対する同氏の以前からの懐疑的見方を反映したものでもある。同氏は「世界はもう十分な戦争をしてきた。われわれが学んだことの一つは、どの地域であるかに関係なく、戦争は立場の相違を解消できないということだ。それはわれわれが今住んでいるこの世界、特に極めて緊密につながり合ったこの世界ではそうだ」と述べた。

 

 

 

 

 


 
2013年 8月 26日 14:04 JST
米国で学生の「真の能力」測る試験導入へ―大学の成績評価に不信感

By DOUGLAS BELKIN
 米国の約200大学に在籍する4年生は来春、自分の将来にとって卒業試験よりも重要な新しい試験を受けることになる。大学進学適性試験(SAT)に似たこの試験は「大学修業評価(CLA+)」と呼ばれ、成績平均点(GPA)に代わって企業に学生の真の価値を判断する基準を提供することを目的としている。

 ニューヨーク州にある小規模な大学であるセント・ジョン・フィッシャー大学のデービッド・ペーツ学芸学部長は「CLA+は思考能力について客観的かつ標準的な評価を提供するものだ」とした上で、「学生はこれを通じ、企業に自分を売り込むことができるようになる」と期待する。

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Joe Philipson for The Wall Street Journal
新たにCLA+試験を導入するセント・ジョン・フィッシャー大学のデービッド・ペーツ学芸学部長

 CLA+は大卒者の能力を評価する新たな方法を探る動きの一環で、非営利団体「教育支援のための協議会(CAE)」が行う自主的な試験。企業側は、成績では学生の能力がミスリードされかねないとして、大学の評価手法を疑問視している。

 米受託・卒業生評議会(ACTA)のポリアコフ副理事長(政策担当)は「大学はあまりに長い間、米国民や学生、親たちに対し『我々を信頼してほしい。学位を取得すれば、社会に出る準備が整ったということだ』と言ってきた。しかし、それは本当ではない」と語る。

 授業料が年々高くなる中で、学位をどう評価するかは難しくなっている。GPAは着実に上昇が続いているが、企業側は新卒者の多くが職につく準備が整っていないと感じている。大手建築会社HNTBのスウィーニー上級副社長は、「有名大学のトップクラスの学生でも、報告書の作成や議論が十分にできない」とし、CLA+は有意義だと話す。米大学協会(AACU)が2010年に行った調査によれば、米国の大学がグローバル経済に適応できる学生を育成していると考える企業は25%にとどまっている。

 一方、GPAは上昇を続けており、200大学の150万人の学生の成績を調べた2012年の調査報告書によると、「A」の成績を得た学生の比率は1940年から2008年の間に3倍近くに増加している。同報告書の共同作成者である元デューク大学教授のスチュアート・ロジュスタクチャー氏は「大学の学位は今や、学業成績の指標ではなく社会階層の基準のようになっている」と話す。

 CLA+はSATと同様、1600点満点。分野に関する知識を問うのではなく、批判的思考、分析的思考、図表リテラシー、ライティング、それにコミュニケーションの力などを評価する。

 セント・ジョン・フィッシャー大学の4年生、コリー・ラデュークさん(21)は、CLAの受験に対して複雑な感情を抱いているとしながらも、企業が一部の卒業生の成績を疑問視するのも理解できるとし、「中にはそれほど勉強せずに、最後までだまし続ける学生もいる」と述べる。ラデュークさんは「企業がGPAを信じられないのは不愉快だが、逆にチャンスでもある。自分を証明する方法が1つ増えるのだから」と話した。

 CAE以外の団体も、卒業生の能力を測るより良い方法を模索している。大学の卒業者を増やすための活動を行っているルミナ財団は、学生が卒業時に何を知っているべきなのかを標準化する手法を提供する。またマッカーサー財団は、インターネット学習で一定の技能を習得した学生に「バッジ」を付与する制度に出資している。

 オバマ大統領は22日、連邦政府に対し、学生の成績に基づいて大学を評価するシステムの開発を求める考えを示した。

 一方、既存の試験実施企業も新たなツールを導入している。大学院入学共通試験(GRE)を開発するエデュケーショナル・テスティング・サービシズ(ETS)は今年、プロフィシエンシー・プロファイルという試験で高得点を取得したことを示す2種類の証明書の発行を始めると発表した。この試験では、批判的思考、リーディング、ライティング、それに数学の力を評価する。

 タフツ大学を11年に卒業したショーン・キーガンさんは、大学院を受験しないにもかかわらず、履歴書にGREのスコアを載せている。ファイナンスの分野で職を求めているキーガンさんは「自分が相当優秀であることを示していると思う」と話し、「今までのところ、企業から好意的な反応を多く得ている」と付け加えた。
 

 

 

 


 

 

 

 

 



05. 2013年8月27日 02:06:27 : niiL5nr8dQ

JBpress>日本再生>国防 [国防]
台湾海峡危機で露呈した米国の本音
曖昧(あいまい)戦略の米国は尖閣有事に介入するか
2013年08月26日(Mon) 樋口 譲次
 1996年、当時のウォルター・モンデール米駐日大使は、「(中国との)尖閣諸島の帰属に関する実力行使を伴う国際紛争の場合、日米安保は発動しない」と発言して物議をかもし、我が国では日米同盟の信頼性に対する疑念が広がった。

尖閣諸島有事に米国の軍事介入はあり得るか

 バラク・オバマ政権になって、ヒラリー・クリントン国務長官は、2010年9月の前原誠司外務大臣との会談において「尖閣諸島は、日米安保条約第5条の適用対象である」と述べ、モンデール氏の発言を否定する格好になった。

 さらに、同長官は、2013年1月、岸田外務大臣との会談において、前言に立脚しつつ「日本の施政権を損なおうとするいかなる一方的な行為にも反対する」と明言した。

 米国の真意は、どの辺にあるのだろうか。モンデール駐日大使側か、あるいはクリントン国務長官側か、あるいはその双方にあるのか――。

 外務省は、ホームページで「尖閣諸島に関する米国の立場」について次のように説明している。

 「尖閣諸島は、第二次世界大戦後、サンフランシスコ平和条約第3条に基づき、南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、1972年発効の沖縄返還協定(「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」)によって日本に施政権が返還されました。サンフランシスコ講和会議におけるダレス米国代表の発言及び1957年の岸信介総理大臣とアイゼンハワー大統領との共同コミュニケに明示されているとおり、我が国が南西諸島に対する残存する(又は潜在的な)主権を有することを認めていました」

・・・

 「また、米国は、日米安全保障条約第5条の適用に関し、尖閣諸島は1972年の沖縄返還の一環として返還されて以降、日本国政府の施政の下にあり、日米安全保障条約は尖閣諸島にも適用されるとの見解を明確にしています」

 しかし、以上の説明からは、さらに次の2つの疑問が生じるであろう。

 第1に、米国は「我が国が南西諸島に対する残存する(または潜在的な)主権を有することを認めて」いるが、その「残存する(または潜在的な)主権」とは、一体何を意味するのか。

 第2に、米国は「尖閣諸島は・・・日本国政府の施政の下にあり、日米安全保障条約は尖閣諸島にも適用される」との見解を示しているが、それは尖閣諸島有事に際し、米国が直ちに、あるいは自動的に軍事介入することを意味するのか、という問題である。

 外務省で条約局長、欧亜局長、駐オランダ大使を歴任した東郷和彦氏は、著書「歴史認識を問い直す」(角川oneテーマ21、2013年)第1部「領土問題」第1章「尖閣問題」の中で、次のように述べている。

 米国の対尖閣問題の原則は、尖閣諸島を安保条約第5条の適用範囲と認め、これに対する攻撃があれば日本側に立つという姿勢を明らかにすると同時に、主権に対しては日中いずれか一方の立場を支持しないという中立の立場(「主権中立」)を堅持するという2本の柱である。

 しかし、「あの小さな島のために本当に米軍が動くのか、という問題」があり、第5条に基づいて米軍が実際に行動するためには、日本が自から国を守る覚悟で行動することが重要で、アメリカ兵だけに血を流させることは許されないこと、そして、日本が先に動いて中国を挑発しないこと、逆論すると、中国が先に動けば米国はその挑発に対し強い態度をとることができるとの2つの条件を挙げている。

 また、「主権中立」については、「ニクソン政権は、1971年6月の沖縄返還協定調印の際、『施政権の返還』という考え方をはっきりさせるとともに、71年10月の同協定批准の際に議会に対し、『返還は、施政権の返還であって、潜在主権は含まれない』という立場をとった。『主権中立』の考えはこのときから明確にされたのである」と、高原秀介氏の論文「日中関係におけるアメリカの影響」(「京都産業大学世界問題研究所紀要」第28巻)を引用して説明している。

 つまり、米国は、中国の尖閣諸島に対する武力攻撃に対して、直ちに、あるいは自動的に軍事介入することはあり得ないことを示唆している。

 また、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も、我が国の固有の領土であり、主権は一貫して日本にあるとの我が国の立場を容認しておらず、この問題を日中が対決する紛争として残すというのがその基本姿勢であることを指摘しているのである。

 実は、米国は、第1次台湾海峡危機(1954年9月〜55年1月)において、台湾の国民政府が実効支配していた金門・馬祖島や大陳島などの大陸沿岸諸島防衛に関する米国の関与について「積極派」と「消極派」に大きく分かれた。

 台湾海峡危機は、中国との全面対決に拡大する恐れのある事態であった。その意味で、尖閣問題と極めて類似している。そのような事態に直面した米国は、台湾側の強い要請を受けて、危機が進行する状況の中で米華相互防衛条約を締結した。

 そこで、改めて同条約締結交渉の経緯とそこに盛り込まれた内容を考察することは、尖閣問題の渦中にある我が国にとって、米国の本音とその戦略の特性を見極め、日米同盟の本質を明らかにする上で、極めて今日的意義があるのではないだろうか。

台湾海峡危機で露呈した米国の本音と曖昧戦略

 第1次台湾海峡危機は、朝鮮戦争(1950年〜53年)休戦の翌年、1954年9月に発生した。

 当時、米国は、「アリューシャン列島に連なる『鎖』―日本、韓国、琉球、台湾・澎湖諸島、フィリピン、東南アジアの一部の地域、およびオーストラリア、ニュージーランド―は、中国大陸を囲むようにしてつながっており、この『鎖』こそ、アメリカの考える太平洋地域の安全保障上不可欠なものである」(U.S. Department of State, Foreign Relations of the United States, 1952-54、P845)との基本認識に立っていた。

 このため、米国は、「鎖」の最も弱点と見なしていた東南アジア地域に安全保障の枠組み、すなわち東南アジア条約機構(SEATO)を結成することを優先した。それに引き続いて、米国、日本、韓国、台湾による北東アジア条約機構(NEATO)を結成し、これらを相互一体的に連結してアジア戦略上の安全保障枠組みを実現させるという構想を持っていた。

 この動きに対して、中国は、米国が主導する朝鮮半島から東南アジアにかけての安全保障体制の構築はまだ完成しておらず、それに乗じて台湾に攻撃を仕かけることによって、米国の東アジアにおける地域戦略の弱点をさらすことができると考えていた。

 そして、1954年9月3日、中国は、「台湾解放」の第一歩と捉えていた金門島を砲撃し、「第1次台湾海峡危機」が始まった。

 その後の経緯については、松本はる香「台湾海峡危機[1945-55]と米華相互防衛条約の締結」(日本国際政治学会『国際政治』第118号「米中関係史」(一九九八年五月))に詳細かつ具体的に記述されている。それを参照しつつ、米台両国の対応の経緯を要約して述べてみよう。

 中国軍の金門島砲撃に対して米国は、同島付近の米国艦隊を増強するとともに、第7艦隊による台湾海峡警備を強化したが、対応の基本方向を早急に打ち出せずにいた。

 米国統合参謀本部では、危機発生同日、それへの対応が協議され、「(金門・馬祖島や大陳島などの)大陸沿岸諸島の防衛は『重要(important)』であるが、戦略的に見て、台湾・澎湖諸島を防衛するために『死活的(essential)』な存在ではない」とのコンセンサスが形成された。しかし、大陸沿岸諸島防衛に関する米国の関与については「積極派」と「消極派」に大きく分かれた。

 当時、米国の軍事専門家の間では、「中国と一戦交えずに、大陸沿岸諸島を防衛することは不可能」であり、「米中戦争を引き起こしてまで、大陸沿岸諸島を防衛する価値はない」というのが一般的な見解であった。

 そのようななか、統参本部は、いわゆる「積極派」であり、金門島を中国の砲撃によって喪失すれば、台湾の国民党政府(以下「国府」)に致命的な心理的打撃を与えかねないこと、アジア地域における非共産主義国の士気を低下させることなどを憂慮した。

 そのため、中国の軍事行動に対しては、金門島をはじめとする大陸沿岸諸島防衛に積極的な支援を与えるべきであり、中国大陸への攻撃も辞さずとの立場をとり、核兵器の使用も排除しないという強硬な意見を主張した。

 他方、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、いわゆる「慎重派」であり、金門島そのものの戦略的価値を統参本部の見積りほど高く評価しなかった。

 そのうえで、当面する危機は、限定的な「小競り合い」ではなく、米国が大陸沿岸諸島に介入すれば、米中戦争を誘発するにとどまらず、米ソ全面戦争(第3次世界大戦)に発展する可能性があるとして、重大な危惧の念を表明した。

 そして、大統領は、あくまで非軍事的手段(「国連安保理停戦案」)によって台湾海峡危機を終息させることに固執した。

 ジョン・フォスター・ダレス国務長官は、「米国が大陸沿岸諸島の防衛に介入した場合、米中戦争、ひいては米ソ戦争に発展する可能性がある一方で、中国の金門島砲撃を中国が米国の反応に探りを入れているという側面から捉えれば、仮に米国が大陸沿岸諸島の介入を放棄した場合、中国の軍事行動はエスカレートし、極東地域における韓国、日本、台湾、フィリピンの『反共防衛ライン』が脅かされる可能性がある」と考え、「米国は『恐るべきジレンマ(a horrible dilemma)』に立たされている」と述べた。

 最終的に、アイゼンハワー大統領は、米国が台湾海峡危機に直接介入すれば、朝鮮戦争以来の大規模な紛争に発展する可能性があることを恐れて、「積極派」の主張を退けた。

 そして、米国政府は、国連安全保障理事会に台湾海峡危機の解決のための停戦案、すなわち「国連安保理停戦案」を提出することとし、同時に、「国連安保理停戦案」を通じて台湾海峡の「現状維持」(「2つの中国」の固定化)を図ろうとした。

 台湾側は、米国の「国連安保理停戦案」は大陸沿岸諸島問題を国連に委ねられるだけでなく、事実上「2つの中国」を生み出し、国府が今後一切「大陸反攻」を行えない条件を作り出すものとして「現状維持」の固定化を受け入れることはできない旨を表明した。

 一方、中国は、1954年10月10日、「米国が中国の領土である台湾を侵犯しているため、中国は国連に大して米国の侵略行動を停止させ、台湾・澎湖諸島、およびその他の大陸沿岸諸島における軍事行動を解除し、撤退させることを求める」という主旨の文書を国連に提出して外交戦を展開した。

 そして、11月に入り、中国は再び大陸沿岸諸島のうちの大陳島に対して大規模な攻撃を開始した。

 台湾海峡は再び戦火に包まれ、台湾海峡危機を解決するための「国連安保理停戦案」の準備は中断を余儀なくされた。

 大陳島砲撃と同日(11月1日)、アイゼンハワー大統領は、ダレス国務長官およびチャールズ・ウィルソン国防長官と緊急に協議し、中国の軍事行動に対して「米国は基本的に大陳島をはじめとする大陸沿岸諸島を防衛するため、武力行使を行わない」ことを決定し、台湾海峡近海を警備していた第7艦隊はあくまで「防御」任務に徹することを確認した。

 また、国府には、中国に対する報復行動を行わないように要請するとともに、中国による砲撃の拡大を防ぐため、国府軍に対して兵站支援を強化する方針を打ち出した。

 11月2日の国家安全保障会議(NSC)において、米国は、新たな台湾政策として下記の3つの原則を決定した。

(1)国連安保理停戦案提出の有無にかかわらず、米華相互防衛条約締結に向けて米台交渉を開始すること

(2)米国が米華相互防衛条約締結の意思を国連安保理停戦案の提出以前に、あるいは同時に公表すること

(3)国府に国連安保理停戦案の内容を認めさせるとともに、米華相互防衛条約の「適用範囲」に限定を加えること

 米華相互防衛条約の締結交渉は、台湾側の建議(イニシアティブ)によって、1954年11月2日に開始され、12月1日の締結まで9回に及んだ。

 特に、(3)の「適用範囲」については、米華相互防衛条約締結交渉において両国の主要な争点の1つになったところであるが、米国は、台湾の対中軍事力行使に対して厳しい制限を加えるという方針を打ち出した。

 米国は、米華相互防衛条約を反共防衛ラインの一部を形成するとの戦略的な意味合いで捉えるとともに、あくまで、台湾海峡危機を終息させ、台湾海峡の安定を図るものと見なしていた。

 そして、本条約があくまで米台両国が協力して「防衛」に専念するための条約であり、国府が「大陸反攻」を行うことを許さず、中国から受けた攻撃には報復措置を行わないことを締結の条件と考えていた。

 他方、国府(台湾)には、米華相互防衛条約の締結によって国府の正統性を認めさせ、国際的地位を高めようとの思惑があった。そのうえで、米国の支援なしに「大陸反攻」はなし得ないとの認識の下、「大陸反攻」に固執せず、また、その意思はないことを強調しつつも、条約の条文にそのことを明示することは避けるべきであると主張した。

 明文化することによって、国府が中国の軍事力に屈服した印象を与え、国府(軍)の士気を低下させるのみならず、中国の軍事行動をさらに助長させることを懸念したからである。

 この結果、米台両国は条約が「防衛」に専念することを認め、また、国府の強い要請を受け入れて、「大陸反攻」を行わないという趣旨の文言を盛り込むことは避けるとの決定を行った。

 米華相互防衛条約締結交渉の最大の焦点は、前述の通り、防衛条約の「適用範囲」をどのように規定するかにあった。

 米国は、太平洋地域の安全保障上不可欠な「鎖」の一部として、「台湾・澎湖諸島」を「死活的」として位置づけ、「台湾・澎湖諸島」の安全保障が脅かされることになれば断固として戦う意思があることを国府側に示した。

 しかし、「台湾・澎湖諸島」以外の地域、つまり、金門・馬祖島や大陳島をはじめとする「大陸沿岸諸島」防衛への関与については、中国をいたずらに刺激し、さらには米中軍事対決に発展する可能性を懸念して、あくまで消極的であった。

 結局、1954年11月2日の米国家安全保障会議(NSC)において、「適用範囲」はあくまで「台湾・澎湖諸島」とし、「大陸沿岸諸島」への対応については、「曖昧(fuzzing up)」にしておくのが望ましいとの結論に達した。

 「中国が大陸沿岸諸島を攻撃した場合、米国がいかに反応するか共産中国を疑心暗鬼にさせておく」ことを、米国政府は狙った。つまり、米国は、「適用範囲」を曖昧あるいは柔軟にすることによって、中国へのいたずらな挑発を避けると同時に、中国の軍事行動を牽制しようと試みたのである。

 これに対して、国府側は、中国にとって大陸沿岸諸島が「台湾解放」を実現するための「足がり」として戦略的に重要な価値があることを強調し、その防衛の重要性を主張した。

 最終的には、「適用範囲」に「大陸沿岸諸島」を明記しない代わりに、「(「台湾・澎湖諸島」以外の)その他の領域(other territories)についても適用される」との文言を付け加えた。大陸沿岸諸島も「適用範囲」に含まれる可能性がることを示唆する表現とすることによって、米台相互の合意が成立するに至ったものである。

米国の「恐るべきジレンマ(a horrible dilemma)」と我が国の防衛

 米華相互防衛条約締結交渉を通じて露呈した米国の本音と採用した戦略は、尖閣諸島有事における米国の対応を想定するうえで、きわめて例示的である。つまり、尖閣諸島有事に際して、米国には「恐るべきジレンマ(a horrible dilemma)」があり、「尖閣諸島に関する米国の立場」には、そのジレンマが内包されているとは言えないだろうか。

 米国は、尖閣諸島防衛への介入によって中国との全面的な軍事衝突に拡大することは何としても回避したい。

 一方、中国の尖閣諸島への攻撃を黙認し、あるいは介入を完全に放棄すれば、中国の軍事行動はエスカレートし、東アジアにおける日本、台湾、フィリピン、ベトナムなどの安全保障が脅かされるとともに、各国との同盟の信頼性を著しく損なうことへの懸念がある。

 その結果、米国は、「(中国との)尖閣諸島の帰属に関する実力行使を伴う国際紛争の場合、日米安保は発動しない」(モンデール元駐日大使)。

 一方、中国が尖閣諸島を攻撃した場合、米国がいかに反応するか中国を疑心暗鬼にさせておくため、「尖閣諸島は、日米安保条約第5条の適用対象である」(クリントン国務長官)として、「適用範囲」に「曖昧(fuzzing up)」性や柔軟性を持たせることによって、中国へのいたずらな挑発を避けると同時に、中国の軍事行動を牽制しようと考えていると見て間違いなかろう。

 当初の問題設定に戻れば、米国の真意は、モンデール元駐日大使とクリントン国務長官の双方にあり、いずれも米国の立場を表明していると言えるのではないだろうか。

 では、我が国の防衛は、どうあらねばならないのか――。

(1)領域(沿岸)警備、特に国境防衛を強化せよ

 我が国では、尖閣諸島有事に際して、米軍への来援期待度が大きい。しかし、尖閣諸島は日米安保条約の「適用範囲」であるとの見解は、あくまで米国の曖昧戦略上の立場を表明しているに過ぎないと見るのが自然で、尖閣諸島有事に「米国が助けに来てくれる」と安易に考えるのは、いかにも早計である。

 もとより、尖閣諸島の防衛は、国境の防衛であり、寸土たりとも譲れない日本の領土主権に関わる問題であるが、我が国では、その意識が希薄で、自助自立の体制も不十分である。

 諸外国の沿岸(領域)警備のあり方は、安全保障あるいは国防を第一義的に捉え、その役割を準軍隊である国境警備隊か正規軍(国防軍)に担わせている。

 我が国では、戦前、沿岸防備については海軍が担任していた。しかし、戦後、占領軍の非軍事化(非武装化)・弱体化政策によって、陸海軍はことごとく解体され、安全保障あるいは国防の機能が極度に制限された。

 その戦後体制は今日までなお続き、沿岸警備は、一義的に「海上の安全及び治安の確保」を任務とする海上保安庁が対応することになっているため、ただ単に警察機能(活動)として捉える傾向が強い。

 中国は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土である尖閣諸島を、実力によって実効支配の実績作りを本格化させている。この中国の一方的で、無法な挑戦を断固として払い除けるには、沿岸(領域)警備、特に国境防衛の強化は、もはや避けて通れない。

 そのためには、海上保安庁の組織規模や装備を強化し、準軍事組織に制度変更するか、「領域警備法」を制定して自衛隊に領域(沿岸)警備の新たな任務を付与するか、あるいはその2つを同時並行的に行なわなければならない。

 そして、国境の島には、普段から一定の部隊を配置することを基本として、平時から有事に至る隙のない領域(沿岸)警備・国境防衛の体制を、米国に頼らず自ら確立することが優先すべき課題ではないだろうか。

(2)防衛力を増強し、自国防衛により主体的に取り組め

 中国やインドなどの飛躍的な台頭によって、米国の地位とパワーが相対的に低下していく傾向は、米国国家情報会議「GLOBAL TRENDS 2030」も予測する通り、否定し難い世界的な潮流と見られている。

 米国は、中国の覇権拡大に伴い、リバランシング(rebalancing)あるいはピボット(pivot)によってアジア太平洋地域を重視した戦略態勢の強化に努めている。

 しかし、今年3月から発効した「歳出強制削減」によって、米国防予算は10年間で約5000億ドル(約46兆円)の大幅な削減を求められており、アジア太平洋地域における戦力増強やその運用を縮小せざるを得ない事態に追い込まれている。

 チャック・ヘーゲル米国防長官は、7月30日の国防総省における記者会見で、「『米議会が強制削減の見直しを行わなければ、海軍の空母11隻のうち最大3隻が運用停止になる』と述べて、即応戦力の維持に強い危機感を示した」(8月2日付産経新聞)。

 国防総省の強制歳出削減に伴う「戦略的選択・管理の見直し」と題する報告書では、陸軍54万人(2013年2月現在)が削減目標の49万人よりさらに7万人少ない42万人に削減されるなど、大規模な削減計画があることを明らかにしている。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、中国の脅威が増大する一方で、同盟する米国の地位とパワーが相対的に低下し、アジア太平洋地域におけるプレゼンスや即応態勢に重大な懸念が表明されるなど、一段と厳しさを増している。

 そのようななか、我が国の安全保障・防衛体制の強化は必然の要請であり、「自分の国は自分の力で守る」の基本原則を再認識し、防衛力を大幅に増強して、自国の防衛に主体的に取り組むことが何よりも重要である。

 我が国の防衛努力は、防衛費の対GDP比0.8%という数字が示すように、列国と比較して極めて不十分である。

 主要国の国防費(2010年度)は、対GDP比にして、米国4.6%、中国2.2%、ロシア5.3%であり、英国、ドイツ、フランスは平均して概ね2%である(平成24年版「日本の防衛」)。

 我が国は、今後ますます強まる中国からの一方的な軍事的挑戦を確実に抑止し、自国の「生存と安全」を確保しなければならない。

 そのためには、安倍政権下で今年末策定予定の新「防衛計画の大綱」において、欧米列国並みに「防衛費を10年間に倍増(対GDP比2%に)する」との大胆かつ明確な方針を打ち出すことが、最もその目的達成に資することになるのではないだろうか。

(3)日米同盟の深化と関係諸国との安全保障・防衛協力の強化を図れ

 日米同盟を維持し、それを有効に機能させるためには、1.価値・目的の共有、2.負担の共有、3.リスク(危険)の共有、そして4.利益の共有の4要件が不可欠である。

 「思いやり予算」を中心とする接受国支援(HNS)によって、我が国の2.負担の共有は、一定の成果を上げている。しかし、いま論議されている集団的自衛権の問題は、これまで我が国が一方的に同盟による4.利益の恩恵を受けながら、3.リスク(危険)の共有を避けてきたことにある。

 同盟関係は、日本が自から国を守るために必死の覚悟で行動することが大前提であるが、同時に、1.価値・目的および4.利益を共有するため、同盟国とともに血を流す覚悟が無ければならない(3.)。自ら血を流す覚悟のない国を、同盟国の米国とて、一方的に米国兵だけに血を流させてまで守る義務はないのである。

 日本の安全保障・防衛戦略は、我が国の政治や国民意識の現状を踏まえると、当分の間、米国の拡大抑止(「核の傘」)への依存なしには成り立たないであろう。

 我が国は、「自分の国は自分の力で守る」を基本として、格段の防衛努力を行うとともに、集団的自衛権の問題を早急に解決しなければならない。

 同時に、日米首脳会談や「2+2」の場で拡大抑止を両国の公式テーマとして取り上げ、ガイドラインの見直しを通じて共同の核抑止戦略を構築し、共同作戦計画の作成、日米共同調整所の常設など、米国の拡大抑止の信頼性を高める方策の具現化が急務である。

 他方、米国は、下図の通り、極東(アジア太平洋地域)だけでも、日本、韓国、台湾、フィリピン、タイ、オーストラリア、ニュージーランドとの間で安保条約や相互防衛条約を締結している。極東(アジア太平洋地域)有事の際には、これらの国との同盟上の義務を果たさなければならない。


 その米国が、それぞれの同盟国と中国などとの間で抱える島嶼等の領有権問題に対して「主権中立」の姿勢をとり、軍事介入の言質を与えることを回避しつつ、曖昧戦略によって同盟上の義務を果たそうとする立場を選択せざるを得ない事情は、全く理解し難いことではないであろう。

 したがって、我が国は、尖閣諸島などの有事に際し、自国の領土や主権を守るための力と態勢は自ら整備しなければならないのである。

 そのうえで、米国の曖昧戦略を有効に機能させるためにも、米国が現実的に介入する条件や可能性を作為し、それを顕示して中国の軍事行動を牽制する主体的な取り組みが必要である。

 すなわち、日米ガイドラインを基に、両軍の第一線レベルにまで至る共同作戦調整所や共同作戦規定を整備し、例えば尖閣諸島防衛を想定した共同演習・訓練を目に見える形で実施するなど、日米同盟をさらに深化してその実効性を高め、我が国の抑止力の強化に万全を期さなければならない。

 一方、中国の海洋戦略は、尖閣諸島の略取にとどまらない。尖閣諸島は、あくまで中国の海洋進出の前哨戦であって、対米核戦略上の確実な報復戦力(第2撃力)としてのSSBNの潜伏海域を南シナ海に確保しながら、目標は第1列島線そして第2列島線の海域を支配し、西太平洋からインド洋にわたる地域に覇権を確立することにある。この中国の覇権的拡大に対抗して、その挑戦を抑止できるのは米国をおいてほかにない。

 米国は、前述の通り、極東(アジア太平洋地域)有事の際には、多くの国との間の同盟義務を果たさなければならない。

 我が国は、「日米安保中心主義」によって我が国の安全保障・防衛を果たそうとしているが、米国の広範多岐にわたる同盟義務を考えた場合、極東(アジア太平洋地域)有事に多方面に分散して支援せざるを得ない米国の軍事力に大幅に依存する安全保障・防衛体制は、すでに成り立たなくなっていると考えるべきではないか。

 あえて付け加えれば、本地域の主要国であり、世界第3位の経済大国である日本が、いまだに「日米安保中心主義」の安全保障・防衛政策を掲げること自体、もはや滑稽を通り越して、恥ずべきであると言われても致し方ないのではないか。

 むしろ、これから米国の地位とパワーが次第に低下する趨勢を踏まえるならば、日本は自らの防衛に主体的に取り組むのは当然であり、さらに、極東(アジア太平洋地域)における米国のコミットメントを後押しする責任ある役割を求められている、と強く認識しなければならないのではないだろうか。

 中国の戦略は、西太平洋を焦点として、北極海からインド洋の広域に及ぶ壮大かつ息の長いものであり、日本が独力でこれに立ち向かうことは困難である。

 我が国は、米国との同盟を堅持しつつ、台湾およびフィリピン、ベトナムなどのASEAN(東南アジア諸国連合)各国、オーストラリア、インドなどとの戦略的連携が欠かせない。

 特に、台湾の帰趨は、我が国に死活的影響を及ぼすことから、日本版「台湾関係基本法」を制定して、平時から安全保障・防衛協力を行なうなど、日米安保体制を基軸として、中国による「力ずくでの挑戦」を受けている周辺諸国との連携を一段と強化できるか否かが、今後の我が国の「生存と安全」を左右する重要な鍵となるのは間違いなかろう。


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