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スノーデン氏の背中を押したのは何だったのか? Intelligence News and Reports
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投稿者 初心に帰るお天道様に恥じない生き方 日時 2014 年 3 月 10 日 04:59:51: 4hA5hGpynEyZM
 



結局のところ、元米中央情報局(CIA)スタッフのエドワード・スノーデン(Edward J. Snowden)氏は、何をきっかけにして、全世界に衝撃を与えるリークに踏み切る決心を固めたのか。本書を読んでも、その疑問にはっきりとした答えが示されているわけではない。

著者のルーク・ハーディング(Luke Harding)氏は、これまで『Guardian』の海外特派員として、インドやドイツ、ロシアなどからニュースを伝えたきたジャーナリストである。本書では、スノーデン氏の生い立ちからリークに至った経緯、香港やロシアへの逃亡劇のほか、機密暴露の舞台裏などが描かれている。「スノーデン問題」の全体像を扱った書物としては、本書がおそらく初めてのものだろうと思われる。

多くのメディアで報じられているように、スノーデン氏が歩んできた人生は、決して順風満帆なものではなかった。たとえば、少年期において、スノーデン氏は、高校に入学したにもかかわらず、病気療養(腺熱の治療)によって退校を余儀なくされているし、青年期になって、米軍の特殊部隊に入隊するも、訓練中、両足を骨折するという重傷を負ってしまい、除名処分を受けている。その間、両親の離婚にともなって、住所も転々としていた。

身を助けたのは、高校卒業と同等の学力認定を受けるために、地元の短期大学に通い、習得したコンピューター技術であった。短期とはいえ、軍に所属していたことも幸いし、スノーデン氏は、2005年、メリーランド大学言語高等研究センター(Center for Advanced Study of Language)において、「セキュリティー・スペシャリスト」として採用されて、同大学のキャンパス内にある国家安全保障局(NSA)の施設に勤務することになった。スノーデン氏にとって、これがインテリジェンスの世界に触れた最初の経験であったと考えられている。

その後、職場をCIAに移したスノーデン氏は、2007年、スイスに派遣され、CIAや国務省が利用していたコンピューター・ネットワークの保全を担当するなどしていた。しかし、すぐにリークを思い立ったわけではない。元来、政治的な立場として、リバタリアン的な保守主義に近かったこともあって、当時、フリー・チベット運動のデモに参加するなど、ラディカルな政治思想を持つグループとの交流が見られたが、現状の生活に不満を抱いていたわけではなく、むしろ、それを保証してくれるCIAに恩義を感じるほどであった。

転機となったのは、極秘の金融情報を入手するために、CIAがスイスの銀行員に罠をかけて情報提供者に仕立て上げようとした事実を知ったことである。この件について、スノーデン氏は、「本当に幻滅した」と語った上で、「自分が善良なことよりもずっと多くの有害なことを行なっている存在の一部であることを悟った」と、当時の心境を振り返っている(pp. 35-36)。

さらに、テロ容疑者への虐待問題や強化尋問(enhanced interrogation)の実態が明らかになるにつれて、スノーデン氏は、政府の横暴を正すべきだと考えるようになった。当初、バラク・オバマ(Barack H. Obama)大統領を支持していたのは、こうした問題に取り組む姿勢をはっきりと示していたからである。しかし、その姿勢が徐々に後退し始めると、大きな失望へと変わっていった。

おそらくスノーデン氏がリークすることを決意したのは、この時期辺りからだろうと推測される。2009年、CIAを退職し、契約職員としてNSAに勤務するようになると、やはりそこでも政府の不正行為がなされていた。すなわち、議会や裁判所の適切なチェックを受けることなく、NSAがあらゆる通信を監視し、そのデータを収集しているという事実である。

NSAのシステム管理者として、同局が行なっている情報監視プログラムにアクセスできる立場であったスノーデン氏は、NSAのコンピューター・ネットワークから大量の機密情報をダウンロードするとともに、ジャーナリストとコンタクトを取り始めた。政府の不正行為を正すには、暴露によるしかないと考えたからである。そして、周到に準備を進めた結果、2013年6月、自らは香港に逃れた上で、『Guardian』からNSAの情報監視プログラムに関する暴露が始まったのである。

本書の序文で、『Guardian』編集長、アラン・ラスブリジャー(Alan Rusbridger)氏は、スノーデン氏について、「アメリカ憲法の熱狂的信者だ」とし、金銭的な目的や左派的・マルクス主義的な感情でリークに踏み切ったわけではないと指摘している。確かに、本書の内容を読むと、そうした理由とは無縁であったことをうかがわせる。

しかし、政府の不正行為を正すために、安定した生活を捨て、恋人とも別れ、海外に逃亡し、母国から指名手配を受けるまでのリスクを背負った動機が、アメリカ憲法への信奉だけで説明できるものなのだろうか。あるいは、覚悟を決めた人間は、そうしたリスクさえも計算に入れないで行動を起こすものなのだろうか。本書を読む限り、その答えはまだ曖昧にせざるを得ないように思われる。

もちろん、スノーデン氏の物語は、現在もまだ進行中である。今後、さらに世界を驚かせるようなリークが出てくるかもしれないし、恩赦が認められて、アメリカに帰国する時が来るかもしれない。すべてが語られているわけではないし、公表されたものについても、多くの人たちの手によって検証が進められているところである。その点で、本書は、スノーデン問題の決定版ではなく、経過報告としての役割を果たすものとして位置づけるべきであろう。



スノーデン氏の背中を押したのは何だったのか? Intelligence News and Reports
http://blog.livedoor.jp/intel_news_reports/archives/36843484.html
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コメント
 
01. おみや 2014年3月10日 23:04:27 : 5avMm4ZgNSSko : tE9JRU1r2Q
一瞬で情報は過去のダストになることを知るべきである。

ご存じのとおりウクライナへのロシア侵攻でいままでの情報は古くなって
使い物にならなくなることだってある。

その状況変化に迅速に対応できる政治家、会社幹部だけが生き残れる世界と知るべきである。

新たな状況から速やかな対応と予測ができない国、とくに日本は果たしてどうなるのでしょう。


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