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韓国の外国人花嫁：変わる結婚事情
英エコノミスト JB Press
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40793
韓国の男性は、必要に迫られてというよりは選択肢として外国人と結婚している。
1990年代半ばに韓国の首都ソウルの地下鉄に張られていたポスターは、地元女性に農家に嫁ぐことを熱心に勧めていた。
若い女性は、活況を呈する都会での豊かな暮らしを求め、1960年以降、大挙して村を出ていった。しかし、息子たちは、家業の農業や漁業を継ぐため、田舎に残った。
そのキャンペーンは無駄だった。韓国では、昨年結婚した農業・漁業従事者の2割が外国人と結婚している。韓国の中で国際結婚が一番集中している全羅南道では、10年前のピーク時に婚姻の半分が国際結婚だった。当時は、中国や東南アジアの女性との結婚を仲介するビジネスが大繁盛し、ものの数日間で縁談がまとまった。
割と最近まで、地方で見られたポスターは「絶対に逃げ出さない」ベトナム人妻を褒め称えていた。そして今、ソウルの地下鉄には、多文化の家族を受け入れるよう促す垂れ幕が掲げられている。
全人口5000万人の韓国で、多文化家庭の人口が2020年までに150万人を超えると予想されている。長年、民族の統一性を誇りとしてきた国としては、驚くべきことだ。しかし、息子を望む傾向が男女数の深刻な不均衡をもたらした。2010年には韓国の中年男性の半数が独身で、その数は1995年以降、5倍に増えている。
1960年には出産年齢の女性1人につき6人だった子供の数は1.3人まで落ち込んだ。同国の出生率は世界でも最も低い部類に入る。移民を受け入れなければ、韓国の労働力は劇的に縮小するだろう。
多民族国家を目指す政府
最も熱心に多民族国家を目指しているのが政府だ。多文化家庭に対する政府予算は、2007年以降24倍に跳ね上がり、1070億ウォン（1億500万ドル）に達している。約200カ所の支援センターが通訳サービス、語学教室、保育、カウンセリングを提供している。最近の学校教科書は、人種の入り混じった家族に関する項を設けている。
また2012年には、混血の韓国人が初めて軍への入隊を許されるようになった。2007年には、韓国で不法就労していた4人のモンゴル人が火事から10人余りの同僚の韓国人を助け出した時に、地元住民が政府に対し、彼らに居住権を与えるよう迫った（政府は居住権を与えた）。
それでも同化はなかなか実現できない。シンクタンク、韓国女性政策研究院（KWDI）の調査によると、異人種間の結婚の4割が5年以内に離婚に至るという。2009年には、異人種家庭の本来就学すべき児童の2割近くが学校に通っていなかった。多くの母親は、韓国語をあまり話せない。そして差別も潜んでいる。
韓国政府は現在、結婚の規定を厳しくしている。先月、新たに2つの要件が求められるようになった。外国人妻は韓国語を話せなくてはならず、韓国人の夫は妻を経済的に支えなくてはならない。また韓国人は今、結婚ビザの申請を5年に1度に制限された。
批判的な向きは、結婚を難しくしてしまえば、労働力の高齢化を早めるだけだと言う。韓国南東部の大邱で結婚仲介業を営むリー・インス氏は、結婚相手にふさわしい女性の数が減るだろうと話す。ほとんどの外国人花嫁は語学学校のない田舎の出身だ。一方で、韓国と同じく男性の数が女性を上回る中国からの花嫁争奪競争は熾烈だ。
実際、外国人花嫁を迎える韓国人男性の数は減っており、2005年の3万1000人から昨年の1万8000人に減少した。そして都市部での成婚が9割を占めるとリー氏は話している。ベトナムの首都ハノイにある韓国・ベトナム文化センターのキム・ヨンシン氏は、ベトナム女性はもう韓国の田舎で苦労することを望まないと話す。ベトナム女性は韓流ドラマを見て、Kポップを聞くという都会的な趣味を楽しんでいるのだ。
韓国の男性が結婚相手に求めるもの
ソウルで結婚斡旋業を営むリー・チャンミン氏によると、韓国人の顧客は次第に高学歴かつ裕福になっており、中には韓国きっての高額所得者もいるという。その多くは単に、容姿であれ年齢、家族関係であれ、資質にとらわれた文化の中で、適格性のハシゴの低い段にいる。
他の男性は、ステレオタイプな「テンジャンニョ（味噌女）」――外国コーヒーチェーンのラテを愛好し、玉の輿を狙っていると思われている韓国人女性たちを指す中傷的な言葉――を警戒しているとリー氏は言う。
そのような男性は、現代の多くの韓国女性が進んで受け入れるより、もっと伝統的な役割を引き受けてくれる妻を選ぶ。これらの男性は最近では仲介業者よりも友達を介して外国人妻を紹介してもらうようになっていると、ブローカーたちは嘆く。もしかしたら、結局、人種のるつぼを目指す韓国のささやかな勝利なのかもしれない。
韓国の男性は、必要に迫られてというよりは選択肢として外国人と結婚している。
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