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韓国船事故の被害拡大は水泳の授業がなかったせい? 社会の歪みを映す中国・韓国人の知られざる日常生活 
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/488.html
投稿者 機智 日時 2014 年 6 月 10 日 00:28:36: yU/IUd8cSA/vo
 

韓国船事故の被害拡大は水泳の授業がなかったせい?
社会の歪みを映す中国・韓国人の知られざる日常生活
ダイアモンドオンライン
2014年6月9日 中島 恵 ジャーナリスト

http://diamond.jp/articles/-/54223

小中学校にはプールも水泳の授業もない?
韓国船事故、被害拡大の背景にある現実

 日韓、日中関係に改善の兆しが見られない。日韓間については4月の韓国10+ 件船沈没事故後、韓国内はいまだ混乱状態にあり、一部で反日機運も高まっている。また日中間でも、5月に東シナ海で中国軍機が日本の自衛隊機に異常接近するなど、緊張状態が続いている。

 そんなある日、筆者は漠然と韓国10+ 件船沈没事故に関するテレビニュースを見ていて、非常に驚いたことがあった。それは「韓国の小中学校では99%の学校にプールが設置されていない」という内容だった。

 ちょうど「海洋警察の職員の約3割が泳げない」という報道のすぐ後だったが、筆者の驚きはそれよりも大きかった。この話を聞いて、筆者は色々な意味で「合点」と「納得」がいった。「ああ、そうか、そうだったのか」と――。

 このニュースは、筆者に1つの重要な「気づき」を与えてくれた。「何が? たかがプールくらいで大げさな」と言う読者もいるだろうが、それはどういうことかを述べてみたい。またその話に関連して、韓国人・中国人と日本人との違いについても、自分なりに考察してみたいと思っている。

 その前に、今さらながらだが、今回の韓国船沈没事故は、多くの日本人にとっても大変ショックな出来事だった。そのショックは今もまだ尾を引いている。九州から目と鼻の先にあり、日本人もゴルフやレジャーで出かける有名な観光地・済州島のすぐ近くだったということもある。犠牲者の多くが高校生など、若者だったこともある。しかし、私たちの脳裏には多くの疑問が残り、今もその疑問は解決されていない。

それは、「いくら船内に止まるようにという放送があったにせよ、なぜ乗客はもっと自分の判断で動けなかったのだろうか?」(パニック状態の中で、それほど多くの人が素直に指示に従うものだろうか? まさか、信じられない)、「傾斜がひどすぎてドアが開けられなかったのだろうか?」(荷物を積むなどして、よじ登ることはできなかったのか?)、「一民間企業に主な原因があるのに、怒りの矛先が大統領にまで向いてしまうのはなぜか?」(日本では考えられない)といった素朴な疑問の数々だ。

 いずれにせよ、甲板に飛び出した人のあまりの少なさ、救助のあまりの遅さに、テレビニュースを見つめる日本人は唖然とし、憤りを感じたはずだ。そして、「どうしてこんなことになるのだ!」「何をやっているんだ! 早く助けなくちゃ!」と何度も拳を握った。日頃、韓国には厳しい意見を言う人々でさえ、「どうして若く尊い命を救えなかったのか」と無念に思ったはずだ。

データを紐解いて全てを悟った
日本人が知らない中国・韓国の日常

 しかし、その後の政府のお粗末な対応や、海運会社のオーナー一族の裏事情などを知るにつれ、いつしか気持ちは白けていき、呆れ返り、再び韓国という国家そのものへの不信感が頭をもたげてきた人が大勢いたようだ。そして、それは日本人の「韓国観」を決してよい方向へと転換させたわけではなく、むしろますます悪化させたのではないかと、筆者は思っている。

 だが筆者は、冒頭のニュースを耳にしたとき、なぜか全身の力がすーっと抜けていくのを感じた。「99%の学校にプールが設置されていない」という単純な事実を、少なくとも10年以上韓国と付き合ってきた筆者に、これまで誰1人として教えてくれる人はいなかった。それまで大量に報道されてきた沈没事故のニュースの中で、この話は唯一筆者の目を見開かせてくれたと言っても、過言ではない。

 韓国人は泳げないから水に対して抵抗があり、船から果敢に飛び出せなかったのだ、というだけの話ではない。私たちはこんなに近い韓国について、ほとんど何も知らなかった、ということに気づかされたのである。

 私はプールの小さな話をきっかけに、全てを悟ったように感じた。調べてみると、2010年の韓国政府のデータでは、韓国の小学校のプール設置率は1.3%(日本は84%)、中学は0.9%(日本は64%)となっている。ついでに体育館の設置に関しては、韓国の小学校は68%(日本は94%)、中学校は75%(日本は89%)であることがわかった。

 考えてみれば、私たちは距離的にも文化的にも近い韓国人、中国人が、日々どんな学生生活を送っているのかについて、ほとんど何も知らない。両国の政治経済のニュースがこれほど大量に報道されているにもかかわらず、だ。

 身近な日常生活に関することは、韓国人や中国人と結婚し、地元に密着して生活し、子どもを現地校にでも通わせていなければ、知る機会はない。日系企業の駐在員として、独立した経営者として、何年、いや何十年とその地で働いていても、「その国のコミュニティの一員」にならなければ、知らないことは山ほどある。自分はその道のプロだと思っていても、基本的なことであればあるほど、実は盲点になる……。筆者はそんなことに思い至った。

 筆者はこの韓国の話から、以前取材した中国人の女性との会話を思い出した。昨年、私は著書『中国人の誤解 日本人の誤解』の取材のため、中国人の日常生活について取材して歩いていた。

給食はなく自宅に帰って昼食を食べた
想像以上に貧しかった中国の子どもたち

 筆者は韓国よりもずっと長い間中国を取材してきたので、中国についてはもう少し詳しいつもりでいたが、彼らの日常生活について、改めて根掘り葉掘り聞く機会はほとんどなかった。「取材以前」の話のように思えて、いちいち聞けなかったからだ。だから、中国人の学生時代について知るにつれ、「えーっ? そうなの?」と驚くことが何度かあった。

 たとえば給食についてだ。河南省出身で現在は上海に住む35歳の女性は、「小学校時代、学校に給食はなく、学校は二部制で昼ごはんは自宅に帰って食べていた」と話していた。彼女の子ども時代の話を聞くと、一回り年上の私の幼い頃よりもずっと貧しかったことがわかる。

 彼女に、「日本の小学校では生徒がお揃いの学習教材や道具を揃えることが多く、授業の一環で朝顔を育てる際は、お揃いの植え木鉢に植えるんだよ」という話をしたとき、彼女は目を丸くして驚き、「日本人はずっと前からお金持ちだったんですね。中国ではお揃いの道具を揃えられない(買えない)人がまだ大勢いる」と言われて、びっくりしたことがあった。中国の中学・高校の制服はジャージだが、それも田舎に行けば、全員が必ず着用しているわけではない。

 また、韓国と同じく中国でも、学校にプールや体育館があるところは非常に少ない。いずれも設置や維持にはかなりの費用がかかるものだが、経済発展の陰でそうした子どもの教育のための施設と、その設備があることによってできる多様な教育の両方が、後回しにされてきた可能性はある(もちろん、設備があればよいというものではないが、設備そのものの設置がこれほど遅れているとは、正直言って思わなかった)。

日本の学校で当たり前だったことが
社会性を身に着ける上で重要だった

 昨年、上海の高校を取材したときには、給食は業者がつくった温かいお弁当が用意されていたが、日本のように給食当番があるわけではなく、ただ食べるだけだと先生から聞いた。準備や片づけもなく、もちろん「いただきます」の挨拶もない。韓国も同様だが、学校はただ勉強するための場であり、日本のようなクラブ活動もほとんどない。韓国・中国では勉強ができる子だけが周囲から認められ、褒められるのだ。

 以前、中国人が書いたブログに「日本の給食当番は素晴らしい。みんなで協力して配膳することで、食べ物に対する感謝の気持ちや友達への思いやり、協調性が生まれるんですね」と書かれており、逆に筆者のほうが感心させられたが、その中国人は「日本の学校の教室では誰も監視していない。教師が指示もしていないのに、子どもたちがきちんとやっている」とも書いており、「なるほど。中国人はそのように感じるのか」と考えさせられたものだった。

 掃除当番も同様だ。ほとんどの日本人は、子どもの頃、班ごとに分かれて教室を掃除した経験があるだろう。掃除をサボる子がいればきちんとやる子もおり、文句を言いながらも友達と一緒に和気あいあいと掃除した経験は、競争が激しく、1分1秒を惜しんで勉強しなければいけない韓国人・中国人から見れば「無駄なこと」であるかもしれない。だが、日本人に「勉強以外に大事なこと」を教えてくれるものではなかっただろうか。

悲惨なフェリー事故の真の原因は
国家・国民の在り方そのものにあり

 誤解してほしくないが、筆者は「日本の教育が最も素晴らしい」などとは思っていないし、そんなことが言いたいのではない。日本の教育現場だって、問題は大いにある。ただ、日本人にとって学校で「当たり前」のように毎日やってきたことは、もしかしたら、自主性や協調性といった社会性を身につける上では、非常に重要なことではなかったか、と今振り返ってみて思うのだ。

 そうした教育には、出世やエリート街道を進むのとは関係がないこともあるかもしれないが、「いざというとき」に身を助けるものではないかと思う。避難訓練なども同様だろう。

 東日本大震災のとき、駅の階段の両脇に座り、階段の真ん中を通行人のために空ける日本人の行動は、多くの韓国人・中国人から称賛されたが、以前筆者が「あれは私たちにとって当たり前のことであり、自然に取った行動だったのだ。誰かに指示されたのではない」と彼らに話したら、ますます驚かれた。「どうしたら、そんな教育が実践できるのか? 教えてほしい」と逆に質問されたのである。

 現在、韓国中がフェリー事故の悲しみに暮れているのは、問題の原因が政府や海運会社だけにあるのではなく、国家、国民の在り方そのものにあり、そのことに失望したからである。

「私たちの国はこれでよかったのだろうか? 経済成長の過程で、何か大事なものを忘れてきてしまったのではないか?」と自問自答し、国民全体が自責の念にかられているからであろう。そして、儒教の国であるはずのこの国で、これほどまでにモラルが欠如してしまっていることへのショックなのではなかろうか。中国も同様だが、経済至上主義、詰め込み教育、他人を蹴落とし競争に勝つことを最優先としてきたことの綻びやツケが、1つの事件に集約されてしまっていることに愕然とし、立ち直れないでいるのである。

 今回の事件の問題点はあまりにも多くあり、すでに多くの専門家が指摘しているが、海運会社の関係者にとって、少なくとも企業人としての責任感や倫理感は、小学校から高校までの学生時代に、親や教師、友達との関係性の中で、時間をかけて培われているべきものだった。亡くなった子どもたちにはもともと何の罪もないことはいうまでもないが、とはいえ子どもを教育する側が、詰め込み教育だけでは得られない「自分の頭で考えて、行動する」という意識を持って指導し、子どもたちがもう少しそれを実践できていたとしたら、結果はもう少し違っていたのではないかと思うと、残念でならない。

孔子の教えが根付いているのは日本だけ?
隣国の出来事の背景をしっかり見つめよう

 私は以前、在日中国人から「中国人や韓国人が持っていた仁、義、礼、智、信などの孔子の教えは、今は本家ではなく、ここ日本にある」と言われて仰天したことがあった。果たして、本当にそうなのかどうかはわからないが、少なくとも人間形成の場である教育現場で、日本では勉学だけが重視されてきたわけではない、ということは確かだろう。

 中国人・韓国人の取材を通じて、筆者はこれまで自分の国について考える機会をたくさん与えられ、彼らから教えられてきたが、その1つが、日本には「自然と共生し、万物に神様が宿っている」という独特の宗教観があることだった。今の中国・韓国からは、残念ながら国民が「拠って立つところ」があまりないように感じられる。お金や新興宗教に頼ってしまいがちになるのは、日本人以上に、彼らが「心の拠り所」を求めているからなのかもしれない。

 むろん、国家としての状況は政治体制、地理、民族、経済発展の度合いによってそれぞれ異なるものであり、優劣をつけられるものではない。学校で水泳の授業がないことについても、韓国や台湾、中国は日本と比べて砂浜が少なく、海水浴が一般的ではないし、泳ぐ機会も少ないという理由があるだろう。

 また、地震も日本のように多いわけではないので、「避難」という行動自体、滅多に必要のないものだろう。だから、教育の仕方や何に重点を置いていくかという方向性など、国家の目指すところは自ずと違ってくる。

他人事ではなく身近な問題として
隣国の出来事を受け止めよう

 だが冒頭で述べたように、私たちはこれだけ近い国家同士でありながら、お互いの日常生活のことをほとんど何も知らない状況にある、ということだけはよくわかった。自分の目線、自分の常識だけで相手の国を見ていては誤解が広がるばかりだが、相手の立場に立ってみれば、また違ったものが見えてくるはずだ。

 そうなれば、ニュース報道1つ取っても、全く違った角度から目に飛び込んでくるし、私たちに考える材料を与えてくれるだろう。

 筆者は冒頭のプールのニュースを見たとき、そのように感じた。そういう意味で、韓国船沈没事件は私たちにとっても非常に重要な教訓を残してくれた事件だった。日中・日韓間に横たわる国家的な課題も、こうした何気ない日常生活の違いなどについて相互理解を深めることにより、解決に向かう部分も少なくないのではないか。

 今後も他人事ではなく、身近な問題として隣国の出来事を受け止め、かの国の人々を見つめていきたいと思う。

●著者プロフィール
中島恵(なかじま・けい)/フリージャーナリスト。山梨県生まれ。中国、香港、台湾、韓国など東アジアのビジネス事情、社会事情などを新聞・雑誌などに執筆。著書に『中国人の誤解 日本人の誤解』『中国人エリートは日本人をこう見る』(共に日本経済新聞出版社)などがある。
 

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