結果が出るのが３０年後。対策を立てるのが１００年後くらいのペースかな。

Ｓｒ−８９とＳｒ−９０は、化学的性質は変わらないので、浄化装置を通した場合、同じように除去されると考えられます。

２号機のサブドレインピットに溜まっていた汚染水を浄化した後のＳｒ−８９とＳｒ−９０の値です。採取日は、H24/6/17です。

＞Sr-89　19（Bq/L）
Sr-90　　27（Bq/L）

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d140130_06-j.pdf　（８６ページ）

Ｓｒ−８９の半減期は、５０．５３２日です。

５０６日経過すると、検出は事実上、不可能になります。

採取日まで、２０１１年３月１１日から、４６４日経過しています。

２０１１年３月１１日に、Ｓｒ−８９とＳｒ−９０が等量あったとしても、５０６日後には、Ｓｒ−８９は、Ｓｒ−９０の１５％ほどしかない状態になります。

２０１１年３月１１日に等量あったと仮定しましたが、実際は、原発事故が起きたときには、Ｓｒ−９０が、Ｓｒ−８９の２割り増し（１９％）生成していました。

以上の事柄を考慮して、Ｓｒ−８９の値を見ると、それが、４６４日経過して、Ｓｒ−９０の７０％あると言うことは、非常に不可解なことであることが分かります。

核分裂が続いていることが、考えられます。

正しくは、４６４日後には、です。

Ｓｒ−８９がＳｒ−９０と違う点は、Ｓｒ−９０が１００％ベータ崩壊（５４６ｋｅＶ）するのに対して、Ｓｒ−８９は、１４９５．１ｋｅＶのベータ線の他に、９０８．９６ｋｅＶのガンマ線（全体の０．０１０％）とＸ線を放出することです。

東電が、測定したＳｒ−９０の数値を発表しないことが問題になっています。

http://fukushima-diary.com/2014/01/tepco-not-to-analyze-25m-underground-water-for-strontium-90-anymore-sr-90-data-to-be-concealed-from-now-on/

理由として挙げられたことは、全βの測定値よりＳｒ−９０のそれが大きいために、測定の信頼性に問題が出るからと言われています。

東電の測定装置は、Ｓｒ−８９とＳｒ−９０を同時に測定できるようです。

＞ベータ核種分析装置による測定＞
・ＧＭ計数装置とプラスチックシンチレータを組み合わせた
検出器や増幅器により、微弱なβ線スペクトルの測定を可
能とした測定器を用いることにより、ストロンチウム-89
（Sr-89）とストロンチウム-90（Sr-90）の放射能濃度
を同時に測定する（直接分離計測）ことが可能となる

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/d140130_06-j.pdf　（１１５ページ）

そこで、全くの当てずっぽうですが、東電がＳｒ−９０の数値を公表しない背景に、Ｓｒ−８９の問題が潜んでいる可能性について指摘しておきます。

Ｓｒ−８９が、現在も大量に検出されているとするならば、それは、臨界を起こしていることを意味します。

Ｕ−２３５を使った核爆発では、高エネルギー中性子の作用によって、原子炉内で、熱中性子が作用した場合より、Ｓｒ−８９が、Ｓｒ−９０より多く生成することです。

Ｓｒ−８９とＳｒ−９０の累積収率を、その親核種に渡って示します。

Ｓｒ−８９の累積収率

＞89As 5.00E-04
89Se 7.58E-02
89Br 1.27E+00
89Kr 3.51E+00
89Rb 4.11E+00
89Sr 4.12E+00

Ｓｒ−９０の累積収率

＞90Se 1.44E-02
90Br 5.79E-01
90Kr 　2.96E+00
90Rb-m 1.68E+00
90Rb 2.85E+00
90Sr 4.59E+00

大気圏核実験場におけるＳｒ−８９とＳｒ−９０濃度の時間的推移。

単位は、mCi/m2
＞10 Days　Sr-89　7.87E-02　←　ここＳｒ−９０と比較
1 Year　　 Sr-89　4.28E-04
10 Year　　Sr-89　4.01E-23　←　１０のマイナス２３乗
20 Year　　Sr-89　2.91E-44
50 Year　　Sr-89

10 Days　　Sr-90　6.10E-04　←　Ｓｒ−８９に比べて２桁小さい
1 Year　　 Sr-90　3.57E-04　←　Ｓｒ−８９とほぼ同量
10 Year　　Sr-90　2.87E-04　←　ほとんど減らない
20 Year　　Sr-90　2.24E-04
50 Year　　Sr-90　1.07E-04

http://www.cdc.gov/niosh/ocas/pdfs/arch/nts2.pdf　（３９ページ）

１年３ヶ月後にも、「Sr-89　19（Bq/L）Sr-90　　27（Bq/L）」と言う数値が出るということは、福島第一原発では、Ｓｒ−８９の生成が多くなる核分裂、すなわち核爆発が起きたことを示していると思います。