政府は、新たなエネルギー基本計画の中で、高速増殖炉原型炉もんじゅ（福井県）について実用化の見直しを検討している。

　もんじゅを、原発のごみである高レベル放射性廃棄物を減らす研究施設に転用する案が浮上しているようだ。

　高速増殖炉は、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル計画の中核施設だ。その実用化をあきらめるのであれば、当然、核燃サイクルも白紙に戻すことになる。

　この点をあいまいにしたまま、原発のごみの減量という未知数の技術を持ち出すのは、もんじゅの単なる延命策に等しい。

　廃炉にして、核燃サイクルから撤退する方策を示すのが筋だ。

　もんじゅは、日本の原子力政策のずさんさと無責任を象徴する施設と言える。

　高速増殖炉は理論上、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出すことから、「夢の原子炉」とも呼ばれた。もんじゅは、その研究開発段階の炉である。

　通常の原子炉とは異なり、空気や水に触れると激しく反応するナトリウムを冷却材に使う。初臨界に達した翌年の１９９５年、ナトリウム漏れで火災事故が発生した。

　このナトリウムがネックになり、福島第１原発のような重大事故が起きた場合、外部から水を注入して冷やすことができない。

　１兆円もの国費を投じながら、トラブル続きで、稼働した期間はわずか８カ月。高速増殖炉は依然、夢の域にとどまっている。

　加えて、１万件を超える機器の点検漏れが発覚し、原子力規制委員会は昨年、運営主体の日本原子力研究開発機構に対し、もんじゅの運転再開準備の禁止を命じた。

　敷地内には活断層が存在する疑いもある。

　現時点で運転再開のめどは立っていない。技術の未熟さ、運営組織の管理能力の欠如を考えれば、いかなる目的であれ、稼働させるべきではない。

　転用案は、使用済み核燃料に含まれる半減期の長い放射性物質を核分裂させ、半減期の短い物質への変換を研究するという。

　夢のある魅力的な内容かもしれないが、高速増殖炉と同様、実現可能性は疑わしい。

　理屈の上で可能なことと、その実用化の間には、場合によっては途方もない隔たりがある。もんじゅこそ、生きた実例だ。

　もんじゅと核燃サイクルの破綻を隠すため、危険と巨額の国民負担に目をつぶり、安易に夢を乗り換えるようなやり方は許されない。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/521491.html

コメント
01. 2014年2月16日 16:10:21 : JtW399YiA2 分裂して半減期の長い物が出来る場合も有るから無駄なんじゃない? 燃料プール確保の為の口実だよね・・・。
02. 2014年2月16日 18:32:18 : 2ROoR7uCKc 　　【もんじゅ】大好きなヤツは【もんじゅ】構内に住め！
03. 佐助 2014年2月16日 19:47:02 : YZ1JBFFO77mpI : wpmCg8U5S6 原発のごみの減量というマジックを出してきましたか，それより常識を反転させること 福島原発は、自動停止したにもかかわらず、炉心が溶解したでしょう。炉心融解がなくても、福島原発は穴だらけのバケツ状況となった。これは原発のごみ以前の出来事です。使用ズミの核燃料処理のことではない。騙されないで下さい。 常識を反転させなければならない点は，原子レべルはプラスとマイナスで結合し、プラスとプラスで分離する。だが、分子レべルでは、プラスとプラスで結合し、プラスとマイナスで分離する。正確に表現すれば、共鳴振動数が一致すれば結合／不一致になれば分離する。 物理学は、分子レベルでもプラスとマイナスで結合／プラスとプラスで分離するという原子レベルの法則原理を固執する。そのためパイプを張りめぐらせた化学工場や、リチウム電池などで、分子の共鳴振動数の一致／不一致を無視すると、パイプや容器の材料、或いは、異なる物質の接続部分で、想定外の腐食・穿孔・発熱事故を発生させる。この部分を認めることです。材料試験やった人なら知っていて知らぬ顔しているのです。常識から外れるとして馬鹿にするからです。 そのために古くなると，腐食・穿孔・発熱部がクラックが入り破れ致死量の放射能が大気と海洋にばら撒かれる。地震や津波がなくても炉心が溶解するのです。この時点で穴だらけのバケツ状況になるのです。地震と津波で被害が加速するだけのこと。この分子レベルの共鳴・共振振動応力が発生する現象の常識を反転させなければならない。なぜ無視するのか，それは脱原発は反抗勢力として黙殺するからなんです。津波対策で堤防高くしても炉心融解します。そして原発は穴だらけのバケツ状況となります。同じ様な事故がおきるでしょう。
04. 佐助 2014年2月16日 19:54:44 : YZ1JBFFO77mpI : wpmCg8U5S6 追記 もっと低い発熱量を放射する原子を燃料棒に採用したらよい。そうしたら原発の効率が落ちるから，すでに実用化されている電磁波起電力の技術を組み合わせると原子力以上の発電が出来る。そして家庭は24時間蓄電できる太陽電子電池や燃料電池で十分賄える。 燃料電池や太陽電子電池なら家庭も工場も乗り物も、電子電池電源で動く時代になるので、都市も農業も漁業も本当にかわり、人類は第二次産業革命を謳歌することになる。
05. 2014年2月16日 21:28:53 : A1yA6atfcw 　この期に及んで何甘い事言っているのか？ 　関係者に一兆円の弁償させろ。 　私財没収だろ。
06. 2014年2月16日 21:56:43 : 34sHDEUG1c >核燃サイクルも白紙に戻すことになる。この点をあいまいにしたまま、原発のごみの減量という未知数の技術を持ち出すのは、もんじゅの単なる延命策に等しい。 このことを突き詰めて考査すれば、核燃サイクルを白紙と言いきらないで、曖昧にすることが最大の目的と断定できる。すなわち六ヶ所村の存続を認め、六ヶ所村に各地の原発施設から核廃棄物を運ぶための方便。夢物語の原発のごみの減量などを題目にあげつらうのは国民を欺くカモフラージュだ。
07. 2014年2月17日 16:25:26 : 1ioo7h1uY6 ■税金を悔い散らかす 　『権益の温存』
08. 2014年2月17日 21:45:02 : YxpFguEt7k 安冨歩氏 「まともな政治家を出さないと、早晩、国が滅ぶ。」 https://twitter.com/anmintei/status/435393087959863296 平智之氏 「もんじゅ、再稼働と言わずに再稼働する計画」 http://t-taira.net/blog/2014/02/23.html 早く議員として復活していただきたいです。
09. 2014年2月18日 14:50:50 : RQpv2rjbfs 自分の仕事を守るのに一生懸命です、意味があろうとなかろうと、危険だろうと安全だろうとそんなの関係ありません。定年まで仕事があればよいのです。 絶対実用化できないエネルギー研究だってなんだってやっちゃいます、メタンハイドレートなんか採算に合わないのなんか解りきってます、もんじゅなんか笑っちゃいます、職員一同、実用化なんか1ミリも信じてません、でも、ぼくっちが諦めたら、家族の生活や協力企業の儲けはどうなるんですか、ちっとは考えて廃止を騒いでもらいたい、今まで賭けたお金が無駄になってもいいの、どうせ無駄になるけどさ。

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