＞地震の後２，３時間で１号機はメルトダウンしていたんだよ。最初にクリプトンとかヨウ素とかを被ばくして次にセシウムとかを被ばくしたんだ。

多分、1号炉はメルトダウンと言うよりも配管破断と原子炉圧力容器の部分的な破壊があったために、クリプトンとキセノンとヨウ素がかなり大量に放出されてしまったのだと思っています。メルトダウンするにはある程度時間がかかるので、地震後数時間ではまだたとえメルトダウンが始まっていたとしても、燃料集合体の上部の一部が溶けていただけのはずです。

＞逃げたのが爆発前だからたいしたことないんじゃないの。食いものに気を付けていれば半年、１年で元に戻るよ。

これは疑問です。多分、今後、外部被ばくだけであっても、被曝量が多ければ影響が出てくるはずです。根拠は、1999年の東海村ＪＣＯの放射能漏れ事故です。

いつものように、放射能漏れがあったらしいのですが、具体的にどんな放射性物質が漏れたかは、当時まったく話題に上らなかった様子です。自分もあのころは自分の仕事で忙しく、ほとんど関心を持たなかったで気が付きませんでした。

事故の経緯は次のようなものであった様子です。
http://oriharu.net/gabana_n/genpatu/ziko-jcosyou.htm#09301821
＞転換試験棟では八酸化三ウラン粉末を硝酸で溶解するなどの工程を経て、濃縮度約１９％の硝酸ウラニル製品を作っている。事故は硝酸ウランを沈殿槽に入れる際、制限値の２・４キロ（ウラン重量）を上回る硝酸ウランを入れたため臨界になったと考えられていた。
＞同社が被ばくした従業員から事情を聞いたところ、事故が起きた時、本来の沈殿槽に入るウランの量を一定量に保っている「貯槽」と呼ばれる容器に入れる工程を飛ばして、容積２・３キロのステンレス容器から直接沈殿槽に硝酸ウランを入れていたことが分かった。従業員によると、１６キロのウランを入れようとしたが、ステンレス容器３杯分のウランを入れたところで、異常が発生したという。

そして、どうも被曝は中性子線による被曝とされている様子なのです。
http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result16/result16_33.html
には、次のように述べていて、農作物の汚染はなかったとしています。

以下引用：
JCO事故に係わる野菜等農作物の緊急放射能汚染調査を実施し，緊急時最重要となる131I(半減期8日)や137Cs（半減期30年）等人工放射性核種を分析したが，シイタケ以外の農作物ではいずれも検出されなかった。
シイタケは2地点とも137Csが10Bq/kg・生重前後であったが，キノコ類は137Cs集積植物として知られ，日本産キノコ類（1989〜1991年）の137Cs濃度は平均37（0.4〜1,250）Bq/kg・生重であり，これよりは低かった。また，131I など他の人工放射性核種は検出されていないことから，JCO事故以前から環境中に残存していた137Csを吸収したものと判断した。
平常時（1989〜1995）のつくば市農環研圃場栽培作物（34種，94点）の放射能調査では，緊急時より検出下限は2桁低くなる＊が，それでも人工放射性核種は137Cs以外は検出されなかった。137Cs濃度は平均0.0064（ND〜0.14）Bq/kg・生重で，食品摂取制限指標より5桁も低かった。
　＊平常時には灰化等の濃縮操作や測定時間の大幅増を行うため。
天然放射性核種の210Pb（半減期27年）は平均0.41（ND〜2.61）Bq/kg・生重，40K（半減期12.8億年）は99.4（21.5〜32.2）Bq/kg・生重で，210Pbは137Csより平均64倍，40Kは1.6×104倍も高かった。また，40Kでは暫定基準値レベルの作物も多かった。
以上引用終わり。

よって、ＪＣＯ事故は中性子による外部被ばくのみと思われるのですが、樋口健二写真集　「原発崩壊」の１５６ページからの数ページにＪＣＯの工場のすぐそばに仕事場があったかたの写真入りの被害状況報告があります。「長時間にわたって中性子線を浴びた２人は、後に放射線に苦しめられることになる。」と書かれていて、「被曝以後、体中の血管が破れ、ひどい斑点となった。ボロボロの身体が痛々しい。２０１１年２月７日、最高裁の判決を待たずして、大泉昭一さんは亡くなった。」という説明文と共に、この大泉昭一さんが斑点だらけの両手を示している写真が掲載されています。

１９９９年９月から１０月にかけての被ばくですから、ほぼ１０年後に亡くなったということになります。被曝影響は今後表面化して行くのです。