イタイイタイ病と原発被曝・・・江戸時代と平成時代
http://takedanet.com/2014/05/post_2e3b.html
平成26年5月20日　武田邦彦（中部大学）

かつて富山県を流れていた神通川の上流にカドミウムという元素を含む鉱石があり、それから流れ出した「カドミウム入りの水や作物」で多くの人が「イタイイタイ」と泣き叫ぶ病気になった。後にイタイイタイ病と名前がつけられた。

かつて江戸時代には神通川上流で病気が発生していることをひた隠しにしたために解決が遅れた。それはその付近に住んでいる人たちが「差別」を恐れたからであった。

しかし、「隠す」ということは「そこに住む人の健康や人生はどうでもよい」ということであり、病気になった人はひたすら痛みに耐えるしかなく、解決もできなかった。

それが昭和になって、「病気になるのはその人の責任ではない」ことがわかり、「事実が明らかになったほうが解決が速い」と言うことにも気が付き、そこに「荻野医師という献身的な医師が登場し」、イタイイタイ病は急速に解決し、数１００年にわたる苦闘の歴史に幕が下ろされた。今では富山県に行っても神通川の領域にいっても何も問題はない。水ばかりかお米なども美味しく、一人の患者さんもでない。

「差別される」などといういわれなき風評を立てて責任逃れしていたその地方の指導層の錯覚だったのだ。でもそれは江戸時代のことで、何事も「事実に向かい合う勇気」、「事実に基づいて解決する科学的態度」、それに「献身的な医師や専門家」の存在が困難を解決する。

それに比べて、今回のマンガ「美味しんぼ」の鼻血事件は、現在の福島県、宮城県、茨城県、岩手県南部、千葉県、東京都などはこの平成時代になにを怯えているのだろうか？　もし軽度の被曝によって鼻血を出した人や地方を「差別」する人が居たら、「あなたはまるで江戸時代の人のようですね」と断固として言うべきだ。

そこで、ゆえ無き「差別」に妥協したり、屈したりするなら、社会を明るくすることはできない。せめて、具体的にどういう差別が発生するのか、もし差別するとしたら誰が差別するのかもハッキリするべきである。それこそが改善しなければならないからだ。

江戸時代のように「風評」を恐れ、事実を認めず、データを出さず、医師は１００ミリまで大丈夫という。

鼻血ばかりではなく、これまで甲状腺がん、死亡率の上昇、田畑の汚染度、作物の汚染度などほぼすべてを隠ぺいして、それを明らかにしようとすると「差別！」と言ってバッシングするのは、あまりの恐怖に負けているのか、それとも福島県の人口が減ると儲からないという金銭的なことか、それは江戸時代の富山県神通川上流の人たちよりひ弱に見える。

被曝による病気が起きるか起きないかは不明である。しかし、１年１ミリシーベルトという被ばく限度、１平方メートルあたり４０００ベクレルという汚染限度など、私たちが約束（法律）してきたことを正々堂々と守ることが平成時代の私たちに求められていることだ。

仮に、１年１ミリシーベルトを守れないとしたら、どこの地域が守れないのか、何をすればよいのか（除染か移動か）などを明確にして、それに対して全力を挙げ、自分たちと子供たちを守るのが私たち日本人、同胞の役目である。

あるいは１年１ミリシーベルトという私たちの約束（法令）が安全だったかも知れない。でもそれはがんの発生がおさまる２０年後にしかわからないのだ。日本人、同胞の健康と人生に対して、そんな大きな賭けをしてもよいとは私は思えないし、また原発を運転していた以上、「不可能な法律（基準）」を決めていたわけでもない。

しかし、原発事故の前まで、あれほど「放射線は危険だ」と言い、「基準値を下回っているからと言って放射線を洩らしても良いのか！」と１０００分の１でも大々的に報道していたのはいったい、何だったのだろうか？　

この点については少し深く検討してみる必要があるが、こちらの方も江戸時代と同じで、「みんなと違うことを言うと村八分に合う。事実とか道徳とか言うものではなく、同調しないと」と言うことが理由だろう。

今回の鼻血で、敏感に反応した人は、学校にいればイジメに心を動かす人ではないかとも思う。

コメント
01. 2014年5月23日 20:49:19 : cUchBPexSM いまでもカドミウムが基準値を越える米が出ている。国が一括して買い上げて加工用に回していることになっているが、実際はアフラトキシ米でも見たように、格安に食品用として出回っている。 差別されるのは人間ではない。作物だ。 真に恐れているのは差別ではなく、作物が売れなくなることだ。
02. 2014年5月23日 21:22:12 : 65QlG08Uiw この度のような巨大な核拡散は、皆被害者になる。 みなで、解決し、二度と起こらないように、廃絶するしかないのが、 実稼動科学実験であきらかになった。 絶対安全など無いということが科学的に証明されたんだな。 自然法則、科学法則とも言う。 ところがどうだ、安全だの、又再稼動だの、何の利益にもならない、 資本主義の、いや、経済学の何の範疇にも入らない、出鱈目を、 いやさ、宗教を続けるってんだ。 土台は、カレンダーにあるように、日月火水木金土・・・風・・・ こんなものをなくして、仏事彼岸の方しか見ない。 山や海や畑や土は外気は汚い、嫌いだ、室内・都会はきれいだ・・・逆だ。 逆をやっていては、幸福に向かい前進どころか、 無法・非法・絶滅、後退へ向かっていると言うことだ。 拡大拡散で、嘘経済、うそシステムの時代は終わった。 ここで、はっきりしなければならないのは、節目、判決だ。 この期に及んでの、いい加減な発言や、推進派は、全てうんざりなゴマカシ。 即時、殺処分が合法。 それとも、なにもなかったか？
03. 2014年5月23日 21:52:19 : Fz9HdhePO6 大切なのは真実を明らかにする勇気だ。 真実を明らかにする事で疑心暗鬼が心から消える、 解決方法を考えられるようになる。 真実を完全に明らかにした上で尚、 差別をする者に対して、 国民は風評を広める害悪だと罰して良い。 今の鼻血騒動は、 真実を明らかにしては居ない、 隠し事が根底に存在するが故の 疑心暗鬼に基づくものだ。 政府と東京電力は2011年3月11日以降の 全ての真実を完全公開せよ、 さすれば解決策が検討出来る、 当事者達に責任を取らせた後に、 全ての差別と風評とは霧散するであろう。
04. 2014年5月23日 22:21:29 : x1ybXXm9zw 　多摩散人です。 　武田先生のこの話は、放射能のせいで鼻血を出した人がいて、医師がそれを隠しているという前提のもとの話だ。 　また、この程度の放射能では鼻血は出ないという科学的根拠を無視している。
05. 2014年5月24日 00:05:29 : 9eoHyNhThE 武田は学者でもなんでもないですよ ただの野次馬、火事場ドロです 小出の次に原発事故本を数多く出して、大いに儲けましたよね
06. 2014年5月24日 00:27:38 : 65QlG08Uiw あらゆる核種が出た、半減期の短い強烈な放射線を発するものから、 死ぬまで、いやいや、墓場まで、いやいや、墓場から、何千年も消えねぇ物まで。 人間核物質だな。 一秒間に、どの部分に何発当たったか、あたり続けているか、 さて、なかなかわからないが、測定器が、あちこちでピーピーピー鳴り、 針が、デジタル数字が跳ね、確かに、皆被曝し、今尚、被曝現行犯罪被害中。 勘定できねぇ、物の道理、物性も分からねぇ、いや、失礼だな、 分かって、しらばっくれている確信殺人犯、殺人タマ。 即時殺処分が合法。 こいつの居場所を、誰かしらせねぇか。 こいつは、人の健康や生命の危機に関してさえ、自分の顔を出さねぇ。 津波警報がでても、おかしな方向に子どもを導く、又は、逃がさねぇだろ。
07. 2014年5月24日 01:03:46 : rzo0KC6fHo >>この平成時代になにを怯えているのだろうか？ 原発事故が現支配層の地位を脅かす要因になり得る。だから過小評価すべきだということだろう。震災瓦礫をわざわざ北九州まで運んだ時に少し狼狽ぶりが見えていた。今は平成時代ではなく薩長時代。江戸時代には元号では安政も慶応もあったのだから対応させるならそちらの方がしっくりくる。毛利藩の奇兵隊が北九州市の小倉城を落城させた時に徳川家茂が大阪城で病没して事実上江戸時代の終結が決まり小倉は陸軍閥の拠点となり靖国神社は神格的な存在となった。現状で日本の核武装を仮想するとすれば旧陸軍の在り様がどうだったかを想起してその手法を反復しようとする以外に方法はないので推進派の行動はそれに即したものになるのは当然のこと。
08. 2014年5月24日 01:09:45 : iZMnjfAAzI ＞05 くだらない御用学者より筋が通っているよ。 それはさておき、 米国戦争屋に教育を受けた政治家は「殺人経済」を学んだだけ。 国民は子供だましに付き合っているだけだ。 そろそろ限界だ。必ず動きが起る。
09. 2014年5月24日 02:29:36 : x1ybXXm9zw ＞０８ 　多摩散人です。 　また「そろそろ限界だ」か。その種のセリフ、３年以上、取っかえ引っかえ聞かされ続けてきた。しかしこの３年間、「限界」らしき社会現象にお目にかかったことがない。 　あと何カ月、またはあと何年で、あなたの言う「限界」に達するのか、期限を明示してくれないと、考えようがない。あなたは、来年になっても、再来年になっても、「そろそろ限界だ」と言い続けるのか、それとも、ある時期になったら、「そろそろ限界だ、と私が言うのも、そろそろ限界だ」と認めるのか、その期限はいつなんだ。 　また、「限界」とは、どういう社会現象が起きたらそれが「限界」なのか、具体的に言ってもらわないと分からない。福島の人が半分くらい放射能のせいで死ぬとか、鼻血をだすとか、関東の人が半分くらい関東から逃げ出すとか、鼻血を出すとか。 　この文章をコピーしておいて、また別の「そろそろ限界だ」に使うことにしよう。今回使った日付＝2014/05/24
10. 2014年5月24日 12:01:17 : RtHpc6Pa3U 美味しんぼ「鼻血、医学的根拠ある」　専門家ら反論会見 http://www.asahi.com/articles/ASG5R517DG5RUGTB00R.html 2014年5月24日00時14分 人気漫画「美味しんぼ」で東京電力福島第一原発事故後の鼻血の頻発などが描かれたことをめぐり、専門家や健康被害を訴える当事者が２３日、国会内で記者会見を開いた。政府や福島県が「風評被害を助長する」などとして事故と鼻血の関連を否定していることに対し、「因果関係は否定できない」と反論した。 美味しんぼに関するトピックスはこちら 　住民の自主的な甲状腺検査に協力してきた北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「高線量被曝（ひばく）による急性障害に論理をすり替え、鼻血（との因果関係）を否定する『専門家』がいる」と批判。「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔（びくう）内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」と指摘した。 　記者会見に電話で参加した福島県内の母親は「漫画全体を読み、福島への愛情を感じた。子どもに鼻血が出ても、話を聞く前から因果関係を否定するような人たちに私たちは本当のことは言わない。国の責任で鼻血を含めた健康調査をしてほしい」と訴えた。 　崎山比早子・元国会事故調査委員会委員（がん生物学）は「汚染地域は広範にあり、健康障害への懸念は鼻血どころでない。正確な情報を」と説いた。主催の市民団体代表は「鼻血の表現ばかりに焦点を当てて攻撃し、健康障害を訴える声を抑えつけている」と非難した。

11. 2014年5月24日 17:58:58 : nIGPT3SdqE >>05. 2014年5月24日 00:05:29 : 9eoHyNhThE >武田は学者でもなんでもないですよ 武田氏の経歴を知って書いてる、貴殿が上記のような事を 言えるほどの学識を持ってるとでも言うのでしょうか？

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