★阿修羅♪ > 原発・フッ素38 > 689.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
朝日新聞の「抗議」を受けて  門田隆将
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/689.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 6 月 12 日 16:31:25: igsppGRN/E9PQ
 

朝日新聞の「抗議」を受けて
http://blogos.com/article/88262/
2014年06月11日 09:20 門田隆将


昨日、名古屋で講演があった。テーマは、「極限の現場に立つ日本人の底力とは」というものである。サブタイトルは、「太平洋戦争と福島第一原発事故から何を学ぶか」というものだった。

私は、さまざまなジャンルでノンフィクションを書かせてもらっているが、文庫も含めて25冊の著作のうち10冊が戦争ノンフィクションであり、また福島原発の事故を扱った作品もある。共通しているテーマは、日本人の「現場力」であり、毅然とした「生きざま」である。

前回のブログで、私は朝日新聞の「吉田調書」キャンペーン記事のお粗末さについて書かせてもらった。これを読んだ週刊誌や写真誌、月刊誌等から原稿依頼や取材依頼が来た。私は、次作のノンフィクションの取材と執筆に忙殺されてはいるが、できるだけその要望にお応えしたいと思い、時間を割いた。

ちょうどそのことについて書いた記事(6ページ)を掲載した『週刊ポスト』が昨日、発売になった。講演では、そのことをまず話させていただいた。

それは、「東電本店」の命令にも逆らって、現場で事故と闘った原発職員たちの話である。彼らの凄まじい闘いについては、拙著『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日―』に書かせてもらっている。

しかし、本を読んでくれている人は少ないので、私はぎりぎりの土壇場で日本を救った無名の「現場の人々」の話をさせていただいたわけである。聴いてくれた人たちが驚いたのは、現場の人々が「東電本店とも闘って日本を救った」という点だった。

日本のマスコミは、「東電本店」と「福島第一の現場」を同一視して報道しているが、そもそも、そこが間違っている。東電本店は、優秀な大学を卒業して就職してきた「エリート集団」である。一方、福島第一原発の現場職員たちの中心は、地元の高校、工業高校、高等専門学校……等々を卒業して就職した叩き上げの「地元の人」たちだ。

私が描いたのは、「家族と故郷」を守るために放射能汚染の中で命をかけて作業をおこなったその「現場の人々」の姿と思いである。彼らは、福島第一原発に就職し、プラントエンジニアとして成長していった人など、多くが「浜通り」に生まれ育った人たちなのだ。

私は現場の人たちの証言を聞くうちに、吉田所長のもとであそこまで彼らが踏ん張れた理由がわかった気がした。あるプラントエンジニアは、いざ生と死をかけて原子炉建屋に突入する時、自分には「やり残したことがある」ことに気づき、「心が折れそうになった」と語ってくれた。外部との連絡もできず、家族が無事かどうかもわからない中でのことである。

「やり残したこと」とは、「ありがとう。今まで幸せだった」という言葉を妻に告げることだった。せめてそのことだけでも伝えてから汚染された原子炉建屋、すなわち“死の世界”に「飛び込みたかった」というのである。

家族を背負い、故郷を思い、決死の覚悟で突入を繰り返した人々の話に、私は何度も心が震えた。吉田所長の生前、私はジャーナリストとして唯一、吉田さんからも話を伺うことができた。そこでも、極限の現場に立った人間の思いを聞くことができた。

東電本店のとんでもない命令に反して、現場はどう闘ったか――今は亡き吉田さんは、部下たちの凄さを語ってくれたのである。

朝日新聞は、その福島第一の現場から「9割の人間が所長命令に違反して撤退した」と書いている。吉田さんが政府事故調の聴取に応じたいわゆる「吉田調書」にそう書いている、というのだ。

だが、根拠とされる「吉田調書」には、そんな部分はない。朝日で紹介された吉田調書の中の証言を素直に読めば、一糸乱れず福島第二に行ってくれた部下たちのことを、吉田氏は含羞(がんしゅう)をこめた彼独特の言いまわしで、むしろ「自慢」しているのである。

震災から5日も経った2011年3月15日朝、福島第一の免震重要棟には、女性社員を含む総務、人事、広報など、事故に対応する「現場の人間」ではない“非戦闘員”、さらには協力会社を含む作業員たちが計700名近くもいた。

事態が刻々と悪化し、大気が放射能で汚染されていく中で、「外部への脱出」の機会が失われていったからだ。彼ら、彼女らをどう福島第二原発まで脱出させるか。吉田さんは、そのことに頭を悩ませている。

そして、3月15日午前6時過ぎ、ついに大きな衝撃音と共に2号機の圧力抑制室(通称・サプチャン)の圧力がゼロになった時、吉田所長は「各班は、最少人数を残して退避!」と叫んでいる。

吉田所長たちは、彼ら“非戦闘員”たちを福島第二へ撤退させることを前夜から話し合っており、「各班は、最少人数を残して退避!」というのは、イコール「福島第二への退避」を意味している。

しかし、朝日新聞はこれを「所長命令」に違反して「9割が福島第二に撤退した」、すなわち職員の「9割」が吉田さんの命令に違反して逃げたと報じ、今、世界中の新聞がそのことを報道しているのである。

彼ら現場で闘った人々を曲解によって貶める報道は、日本人の一人として私はいかがなものかと思っている。しかし、本日、朝日新聞から私の記事に対して、「当社の名誉と信用を著しく毀損している。法的措置を検討している」との抗議書が来た。

朝日の記事によって名誉を毀損された福島の「現場の人々」の嘆きが私のもとには続々寄せられている。しかし、その内容について「言論」によって指摘した私の記事に対して、言論機関である朝日新聞が「言論」で闘うのではなく、「法的措置」云々の文書を送りつけてきたことに私は、唖然としている。

私は週刊ポストの記事の最後に「記者は訓練によって事実を冷徹に受け止め、イデオロギーを排する視線を持たなければならない」というジャーナリズムの基本を問う言葉を書いた。しかし、朝日新聞には、とてもその意味を理解してもらうことはできなかったようだ。ジャーナリズムの人間として寂しい限りである。


関連記事
朝日の吉田調書報道「なぜここまで日本人貶めるのか」と作家(週刊ポスト)
http://www.asyura2.com/14/genpatu38/msg/630.html

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年6月12日 17:42:03 : bag4TyJZKU
 「吉田調書」の全文を隠すことなく公開すればすべてケリがつく。

 ジャーナリストとはいえ、門田隆将氏は一般人であり、彼が調書を全文を読んだと主張しているのであるから、全文公開に何らの支障も無い筈である。

 門田氏は自ら氏の読んだ(コピーを持っているだろう)調書をすべて公開すればよい。

 調書を公開しないでごじゃごじゃと朝日新聞を批判しても、門田氏の主張に信ぴょう性は全くない。

 門田氏が阿修羅のこのコメントを読むことはないと思うのだが、彼の主張が余りに不自然なので敢えて非難する次第である。


02. 2014年6月12日 18:24:23 : bTzPeJsdS2
ネットゲリラ
「原発所員は9割が逃亡していた」
野次馬 (2014年5月20日 08:55)
http://my.shadowcity.jp/2014/05/post-4856.html
ここのコメントを一部抜粋して転載

ペンタ刑事 | 2014年5月20日 13:00
2011年3月11日当日に
福一へダクト部品を納入しに行った古い仕事仲間の話は旧ネトゲリにも書いたが
もう一回書くと
地震の後、何とか納入しようとして福一の入り口に辿り着いたが入場不許可
どうすべぇと困っていたら作業服のまま作業員が徒歩で避難しだしてきた。
(16時半〜17時の間の模様)
しょうがないので、南相馬市の町工場まで戻った。
このコメ書いたら他の方のカキコがあり
作業服がバラバラだったから下請け・孫受けですよと
地震直後(津波は来ていない時刻)配管から水がピューと漏れていたので
そのようになったらアウトと東電から入所講習があったのを思い出し
こりゃぁダメだと自分の会社に戻った。

震災当日こんな状況で原発の現場作業員の下請け孫受けも避難している。
これは東電(吉田所長?)が下請け会社の作業員に帰宅する許可を与えている。
その後、緊急時だからと戻った作業員もいたけど1・3号機爆発!
さすがに末端の下請け孫受けひ孫受けの作業員は殆んどが退避
図面をイチイチ確認しなくても施設の場所や仕様が分かる現場作業員がいなくなり
後は皆さんがご存知の冷却対応のマズさがてんこ盛りとなる。
650人逃げたとあるが、何処までを東電とするか微妙かも?
【転載終了】

福島第二原子力発電所への移動って、事故当時聞いたか見た記憶があるし
上の参照コメントからも門田氏の説明が不自然とは思えないけど
何にせよ、調書公開は必要だろう。
ただし、吉田調書に関して鵜呑みではなく検証も合わせてするべきだね。


03. 2014年6月12日 21:29:02 : xxpM7jkFPI
『<カドタくん>キミは「吉田調書」を読んでいない…「吉田氏インビュー」をしたってだけのことだろう?』

だから、『だが、根拠とされる「吉田調書」には、そんな部分はない。』とは断言できないじゃん。そこを<浅卑>は抗議してるんだよ。
それに続く、『朝日で紹介された吉田調書の中の証言を素直に読めば、一糸乱れず福島第二に行ってくれた部下たちのことを、吉田氏は含羞(がんしゅう)をこめた彼独特の言いまわしで、むしろ「自慢」しているのである。』ってのはキミの主観或いは妄想であって、『…彼ら、彼女らをどう“福島第二原発"まで脱出させるか…吉田さんは、そのことに頭を悩ませている。』と断言できる根拠はキミの「吉田氏インタビュー」しかない。取材録音テープぐらいはあるんだろうから、それを<浅卑>に対して提示すれば良いじゃん?ただそれだけのことさ。
そうしないと“訴訟合戦"にもつれ込むぜ?
コチトラはその方が大歓迎だけどね!
もう一言、“ドキュメンタリー作家"は、キミのような、感傷的な“心性"や予定調和の“視点“や甘ったるい“文体"では、社会と人間に肉薄し切り取る事なんて<オボカタ>ちゃんだよ。



04. 2014年6月12日 23:02:05 : UGMl4Egsng
まずその時の現場作業員が今どうしているかを公表するのが先だ。
何か表彰をえたのか。称賛に値するだけの対価を得たのか。

それより今健康なのか、それより今生きているのか。
名前のわかっている吉田所長はすでに死亡している。公表されていない人の多くはもう死亡しているのではないのか。震災関連死はもう3千人を超えている。これには自宅で病死した人は含まれていない。、

それを否定するデータはどこにもない。反論どころか話にならない。


05. 2014年6月13日 02:57:20 : aiMZAOJQqY
>>04
その通り。
勝手に逃げたのか、命令に従ったかはどうでもいい。

重要なのは、今、彼らが無事でいるかどうか。
それをきちんと取材すべきなのだが、朝日を含めたマスコミも門田氏のようなジャーナリストも
ヤバい所には絶対触れない。そこが問題なのだ。

どちらも東電から甘い汁を吸わせてもらっているのだから、
真実の追究を期待するのが無理というものだろう。同じ穴のムジナである。

事故収拾に当たった作業員を過剰に美化するのも問題だ。
彼らが建設、運転していた原発が大爆発したのだから、事故収拾するのは当たり前だ。

たとえば、車に死亡事故につながる欠陥が見つかり、リコールになったとしても、
部品交換をしている自動車整備員を賞賛する人はいないだろう。
欠陥品は修理するのが当たり前である。

原発も同じ。
たとえ致死量の放射線を浴びるとしても、それを承知で儲かる原発に従事しているわけで、
イヤなら他の仕事につけばよいのだ。

一番気の毒なのは、原発とは何の関係もない警察、消防、自衛隊などの人が
かり出されて大量に被ばくしたことだ。賞賛すべきはこの人たちだ。


06. 2014年6月13日 11:11:58 : zZxaBw1dfY
原発事故当日東電勝俣会長じきじきのマスコミ接待の中国旅行というのがあった。
週刊文春によると元新潮社副編集長が旅行に参加したらしい。門田隆将は否定して
いるからこいつではないかもしれない。が、新潮社という出版社が東電の優待を受けて
いたことに変わりはない。

こいつはそういう出版社の幹部だったのだ。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)  recommend
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素38掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧