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風の谷のコシアブラ
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2014/08/post-7722.html
2014.08.16 きっこのブログ
今年の5月、長野県の長野市や軽井沢町などで採れた山菜の「コシアブラ」から、基準値を超える放射性セシウムが検出されたと報じられた。県が発表した実際の数値を紹介すると、軽井沢町のコシアブラが400Bq/kg、長野市のコシアブラが340Bq/kg、湯沢温泉村のコシアブラが140Bq/kg、中野市のコシアブラが120Bq/kgだった。
長野県や山梨県では、野生のキノコ類からも放射性セシウムが検出され続けていて、これまでに何度か基準値を超えて「出荷自粛」になっていたから、同じような場所にある山菜から放射性セシウムが検出されても、特に不思議じゃない。だけど、あたしが気になったのは、この400Bq/kgだの340Bq/kgだのという高い数値だ。以下、これらの長野県のコシアブラと同じ時期、今年の5月から6月にかけての福島県の山菜類の数値を見てほしい。
葛尾村のウド 380Bq/kg
葛尾村のフキノトウ 290Bq/kg
葛尾村のワラビ 110Bq/kg
広野町のゼンマイ 700Bq/kg
広野町のワラビ 430Bq/kg
広野町の ウド140Bq/kg
川内村のウド 230Bq/kg
相馬市のウド 460Bq/kg
大玉村のゼンマイ 140Bq/kg
猪苗代町のネマガリタケ 200Bq/kg
猪苗代町のタラノメ 140Bq/kg
天栄村のフキ 140Bq/kg
天栄村のタケノコ 110Bq/kg
これらは、各市町村が計測して農林水産省がまとめたデータの中から、あたしが100Bq/kgを超えるものだけを抜粋したんだけど、最高が広野町のゼンマイの700Bq/kgで、他は500Bq/kg以下だ。福島県の山菜がこの程度の汚染度なのに、福島第一原発から遠く離れた長野県の山菜も同レベルに汚染されてるなんて、ちょっと不思議な感じがする今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、福島第一原発からの直線距離は、長野県軽井沢町が247km、長野市が266kmだ。東京五輪招致委員会の竹田恒和委員長は、招致活動の中で、世界に東京の安全性をアピールするために「東京は福島から250kmも離れているので安全です」と発言したけど、長野県軽井沢町も、福島第一原発からの距離は「安全な東京」と同じだ。
それなのに、原発事故の直後ならともかく、もう3年も経ってるのに、250kmも離れた長野県の山菜から400Bq/kgもの放射性セシウムが検出されるなんて、やっぱり不思議だ。それで、同じ日に計測された軽井沢町の他の山菜の数値を見てみた。
軽井沢町のコシアブラ 400Bq/kg
軽井沢町のゼンマイ 230Bq/kg
軽井沢町のタラノメ 140Bq/kg
軽井沢町のフキノトウ ND(検出限界以下)
ゼンマイやタラノメなど、他の山菜からも基準値を超える放射性セシウムが検出されてるから、このエリアがそれなりの濃度に汚染されてることは間違いないと思うけど、それでも、コシアブラの汚染度は突出してると感じた。そこで、あたしは、農水省の同じ今年の5月と6月のデータから、コシアブラから基準値を超える放射性セシウムが検出されてる他県の市町村を探して、同時期の他の山菜類の数値との比較をしてみた。そしたら、どの地域でも、コシアブラの汚染度だけが突出してるということが分かった。以下、抜粋したデータを見てほしい。
【宮城県】
栗原市のコシアブラ 1200Bq/kg
栗原市のタラノメ 500Bq/kg
栗原市のコゴミ 480Bq/kg
栗原市のタケノコ 77Bq/kg
【山形県】
最上町のコシアブラ 200Bq/kg
最上町のワサビの葉 31Bq/kg
最上町のコゴミ 20Bq/kg
最上町のワサビ 8.8Bq/kg
【栃木県】
高根沢町のコシアブラ 240Bq/kg
高根沢町のタケノコ 7.5Bq/kg
高根沢町のサンショウ 2.3Bq/kg
【群馬県】
みなかみ町のコシアブラ 530Bq/kg
みなかみ町のフキ ND(検出限界以下)
みなかみ町のタケノコ ND(検出限界以下)
みなかみ町のウワバミソウ ND(検出限界以下)
まったく同じ種類の山菜ばかりじゃないので、細かいことを言ったら正確性に欠けるかもしれないけど、どの地域でもコシアブラが最高値を記録してることだけは共通してる。山形県最上町や栃木県高根沢町は、コシアブラ以外は基準値を大きく下回ってるし、群馬県みなかみ町に至っては、コシアブラは基準値を超えてるのに、他の山菜はすべて「ND(検出限界以下)」だ。
ちなみに、福島県にはコシアブラのデータがないけど、これは去年2013年5月に、福島県田村市のコシアブラから山菜としては過去最高の12000Bq/kgが検出されたのを始め、多くの市町村で高濃度の検出が相次いだため、現在も「出荷自粛」が続いてるからだ。
‥‥そんなワケで、今回は、この「コシアブラの汚染度の高さの謎」に迫ってミルコ・クロコップ‥‥なんてのも織り込みつつ、まずは、この「コシアブラ」の説明をしとこうと思う。「コシアブラ」というのは、本来は「木の名前」で、この木の枝の先に出る新芽が山菜として食べられる。だから、タラノキの枝の先の新芽を食べる「タラノメ」と同じパターンの山菜だ。
コシアブラは、平均して10m以上、大きなものは30mの高さにまで成長する木で、落葉樹だから秋から冬にかけて葉を落とす。そして、裸木の状態で冬を越し、春になって枝先から新芽が出てくると、美味しそうなサイズになったところを摘んで、天ぷらにしたりして食べる。とっても高い木だから、コシアブラの新芽を摘むには、脚立や高枝伐りバサミや枝を引っ掛ける特殊な道具を使う。
他の山菜の多くは、地面の低い場所に生えてるので、腰をかがめて手で摘んだりする。必要なのは軍手くらいだ。だけど、このコシアブラだけは、脚立に乗って高枝伐りバサミを使わないと摘めないほど高い場所にある‥‥ってなワケで、あたしは最初、この高さの違いが汚染度の違いに関係してるんじゃないかと考えた。つまり、地上から10m以上のさを吹いてる風に、高濃度の放射性セシウムが混じってるんじゃないかってことだ。
だけど、木の枝の先の小さな新芽を何百ベクレルも汚染するほどの風が吹き続けてたら、コシアブラよりも先に、人間や他の動物に影響が出るだろう。それに、現在、福島第一原発から放出し続けてる毎時1000万ベクレルの放射性物質は、周囲にジンワリと放出してるから、それほど広範囲は汚染していない。東電の発表では、約12km離れた福島第二原発の敷地内にも新しい放射性物質が降下し続けてるそうだから、少なくとも10km以上は飛んでるけど、さすがに長野県までは飛んでないと思う。
また、去年8月に福島第一原発のガレキを処理した時に飛散した高濃度の放射性物質を含んだ粉塵によって、約20km離れた場所の水田の稲が汚染され、その後の調査によって、この時の粉塵は約50kmくらいまで飛散したことが分かったけど、これも長野県までは飛んでないだろう。だから、あたしの推測は現実的じゃない。
で、あたしが次に考えたのが、外側から汚染されたんじゃなくて、内側から汚染された説だ。越冬した葉のない木の枝の先に、春になって初めて吹き出る新芽なのだから、コシアブラ的には最重要な案件であって、木としての全精力を注ぎ込むはずだ。根から吸収した水分や養分をそれぞれの枝先へどんどん送り、新芽の成長を促すだろう。そして、この時に、原発事故によって野山の降り注いだ大量の放射性物質も、一緒に吸い上げて枝先へ送っているのだ。
こっちのほうが、遥かに現実的な推測だよね?‥‥ってなワケで、この件について、ツイッターで少しだけつぶやいてたら、緑楓山荘さんという人から重要なリプライをいただいた。
緑楓山荘 @ryokufu_sansou
@kikko_no_blog コシアブラは土壌中のマンガンを特異的に吸収〜この辺にヒントがありそうですね。国立環境研究所【研究ノート】毒を貯める植物 −植物はなぜ重金属を貯めるのか?−玉置 雅紀 http://www.nies.go.jp/kanko/news/26/26-6/26-6-03.html
あたしは、さっそく教えていただいたリンク先のレポートを読んでみた。このレポートを書かれた玉置雅紀さんという人は、リンク先の「独立行政法人 国立環境研究所」の主任研究員で、農学博士だそうだ。レポートの末尾には「生物圏環境研究領域 生態遺伝研究室主任研究員」と書いてある。「ハイパーメディアクリエイター」よりも遥かに破壊力のある肩書きだ♪‥‥ってなワケで、このレポートは、ぜひ皆さんに全文を読んでほしいんだけど、とりあえず、冒頭の部分だけ引用させてもらう。
「植物は土壌中に存在する様々な無機物を根から吸収し、それらを栄養分として自身の生育に利用しています。その過程で重金属を始めとする土壌中の汚染物質も一緒に吸収してしまうため、普通の植物は土壌汚染物質濃度の高い場所では生育することができません。ところが植物の中には汚染物質、特に金属類が多く含まれる場所に好んで生育し、さらに汚染物質を高いレベルで吸収・蓄積するものがいます。例えばウコギ科のコシアブラは土壌中のマンガンを特異的に吸収し、樹皮や葉に10,000ppm近く蓄積することが知られています。」
この冒頭の部分を読んだだけで、あたしは「おおっ!」っとなった。その上、読み進めると、コシアブラのように土壌中の汚染物質を吸い上げる植物のことを「ハイパーアキュミレーター植物」と呼ぶとのこと。これまた「ハイパーメディアクリエイター」よりも遥かに世の中の役に立つじゃん♪(笑)
‥‥そんなワケで、コシアブラが自分から進んで土壌中の放射性セシウムを吸い上げてるのかどうかは、玉置雅紀さんのような専門家に調べていただかないと分からないことだ。だけど、現実として、どこの地域でも山菜類の中でコシアブラの含有する放射性セシウムの数値が最も高いというデータがある。それも、複数の山菜の中で、コシアブラだけが突出して高いのだ。
今年の5月と6月の数値は前半に挙げたけど、去年なんて福島県のコシアブラは軒並み数千ベクレル、栃木県の那須でも3000Bq/kgという恐ろしい数値のコシアブラが計測された。そして、この時、コシアブラ以外の山菜はと言えば、どれも数十ベクレルから数百ベクレルだった。やっぱり、コシアブラだけが突出してたのだ。
だから、コシアブラが、土壌中の放射性セシウムをマンガンと勘違いして吸い上げてるのか、単なる「異物(毒物)」と判断して吸い上げてるのか、はたまたマンガンを吸い上げる過程で一緒に吸い上げてしまっているのかは分からないけど、他の植物よりも遥かに大量に吸い上げ、そして、新芽を始めとした「自分の体内」に蓄積してるということだけは間違いないだろう。
ちなみに、マンガンの中で最初から自然界にある安定同位体はマンガン55だけで、他の18種のマンガンはすべて放射性同位体(核種)だ。だから、コシアブラが「特異的に吸収」する土壌中のマンガンというのは、通常はこのマンガン55を指す。だけど、1970年代後半に、敦賀原発、浜岡原発、福島第一原発の周辺で採取した松葉から、放射性同位体のマンガン54とコバルト60が検出されて大騒ぎになったことがあるそうだから、もしも原発事故などで放射性マンガンが放出されたら、コシアブラは、他の植物よりもセッセと放射性マンガンを吸い上げてくれると思う。
で、セシウムの場合も、自然界にある安定同位体はセシウム133だけで、セシウム134や137を始めとした他の38種のセシウムはすべて放射性同位体だから、核兵器を使用されたり原発が事故を起したりしない限り、土壌や海を汚染することはない。だけど、原発利権によるカネ儲けに目がくらんでしまった一部の日本人たちは、識者たちの忠告に耳を貸さずに欠陥原発を動かし続け、とうとう福島第一原発の大事故を起こしてしまった。
数度の爆発によって、自然界には存在しない大量の放射性物質が放出された。中でも放射性セシウムは「水に溶けやすい」という特性も手伝って、日本の広いエリアの土壌を汚染してしまった。そして、事故から3年半が経っても、事故を収束させるどころか、増え続ける放射能汚染水を止めることすらできない人間と、人間が汚染してしまった土壌の放射性物質をセッセと吸い上げ続けてくれているコシアブラ‥‥ってなワケで、あたしは、「風の谷のナウシカ」のあるシーンを思い出した。
ユパ 「ナウシカ!これはどういうことだ!腐海の植物ではないか!」
ナウシカ 「私が胞子を集めて育てたんです。大丈夫、瘴気は出していません」
ユパ 「毒を出さぬ!?確かにここの空気は正常だが‥‥、何故だ?猛毒のヒソクサリが花をつけておるのに!」
ナウシカ 「ここの水は、城の大風車で地下500メルテから上げている水です。砂は、同じ井戸の底から集めました。綺麗な水と土では、腐海の木々も毒を出さないと分かった‥‥。汚れているのは土なんです!この谷の土ですら汚れているんです!‥‥何故?誰が世界をこんな風にしてしまったのでしょう‥‥」
ユパ 「そなた、それを自分で‥‥」
ナウシカ 「ええ、父やみんなの病気を治したくて‥‥でも、もうここも閉めます。さっき水を止めたから、やがてみんな枯れるでしょう‥‥」
ユパ 「ナウシカ‥‥」
‥‥そんなワケで、「風の谷のナウシカ」の世界では、人間たちは猛毒の瘴気を出す植物たちによって構成された森、「腐海」を忌み嫌い、何度も焼き払おうとした。しかし、巨大な虫たちに守られた腐海を焼き払うことなど、人間ごときには叶わなかった。それでも腐海を忌み嫌い、伝説の巨神兵を復活させてまで焼き払おうとする人間たち。
でも、「風の谷」の姫さま、ナウシカは真実を知る。人間たちが忌み嫌っていた腐海の植物たちは、本当は毒など持っていなかったのだと。腐海の植物たちは、人間が汚してしまった大地を浄化して元に戻すために、一生懸命に土壌に染み込んだ毒を吸い上げていたのだと。そして、その神聖なる森を守っていたのが、王蟲(オーム)を始めとした巨大な虫たちだったのだ。
自分たちの暮らす大地を汚し、自分たちの飲む水を汚した上に、その大地を元に戻そうとしている森を焼き払おうとする人間たち。さらには、私利私欲のために他国の人間たちを相手に戦争まで始めてしまう。なんという愚かさだろう。だけど、たった1人の少女、ナウシカの愛が、「風の谷」を救ったのだ。ナウシカの愛は、人間に対する愛じゃない。人間に対する愛、動物に対する愛、植物に対する愛、大地に対する愛、水に対する愛、そして、風に対する愛‥‥自分を生かしてくれているすべての相手に対するナウシカの深い愛が「風の谷」を救ったのだ。
‥‥そんなワケで、原発は安全ではない、一度でも原発が事故を起こしたら簡単には収束させることなどできない、ということが分かったのに、それでも原発の再稼動を進める安倍政権。カネ儲けのためなら、危険な原発でも人殺しの武器でも何でも輸出しようとする安倍政権。多くの希少生物たちが暮らす、かけがえのない美ら海を埋め立てて、人殺しのための米軍基地を造ろうとしている安倍政権。69年間も日本の平和を作ってきた大切な平和憲法を踏みにじり、よその国へ武装した軍隊を送り込もうとしている安倍政権。安倍政権のやろうとしていることは、すべてが「ナウシカの愛」と正反対の方向を向いていると感じた今日この頃、このまま進めば日本は必ず腐海に飲みこまれてしまうだろう‥‥。
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