31. 2014年10月01日 07:02:09
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(関連するので一部再掲)【 リニア新幹線と原発は無関係 】 ●そろそろJR使うの止めよか? ●JR、こんなバカ!・・・ゲンパツ基地外のJRの「不乗車運動」開始だ! ●真っ赤っかなウソ ブワ〜カ!リニアはゲンパツ「3基分」のわけないだろ!=SFか? 実際は「3分の1〜4分の1基分」! ●リニアとゲンパツはまったく無関係 ●そもそも全電力費は「経営の4%しかない」! JRよ!公的企業が世の中に「デマ飛ばして」どうする!! ●謝罪せい!ドウソつきゲンパツ狂葛西! ●もうJRには乗らん!!========================= 【 リニア新幹線と原発は無関係 】 ========================= JANJANブログ 2013年 10月 11日 21:43 http://www.janjanblog.com/archives/101546 【論説】 <エネルギー> <交通> <公共事業> <原発> <環境> 上岡直見 リニア新幹線のプロジェクト自体に多大な問題を抱えていることはこれまでの記事で述べた。 さらに注目されている問題は電力や原発との関係である。 リニアは現新幹線より電力を多く消費することは確かである。 しかもJR東海の葛西敬之会長は原子力(再稼動)推進論者であり、 メディアに登場してたびたび原子力推進を主張しているし、 柏崎刈羽の再稼動の動きとリニア計画の「環境アセス準備書」公表のタイミングの 一致も怪しいと考える人がいても当然である。 一方で「リニア新幹線に原発5〜6基分の電力が必要」という数字も広まっているが、 これは勘違いによる過大な数値であり訂正の必要がある。 JR東海の実務レベルでは、原発と関連づけた批判を警戒してか、 あらかじめFAQでリニアに原発の再稼動は前提ではないと説明している。 それによると、リニアの所要電力は名古屋開業時で約27万kW、大阪開業時で約74万kWという推定値を示している。 原発が全停止での電力会社の2012年夏の供給力は、 東京電力で5771万kW、中部電力で2785万kW、関西電力で2542万kWとすると、 中央新幹線の所要電力は、原発なしの前提で電力会社の供給力の範囲内で賄えるとしている。 しかしこれはリニアを推進する側の説明だから信用できるのか?と疑う人もあると思う。 そこで筆者も技術的観点から検討してみた。 まず「電力消費」というときには用語に注意が必要である。 供給力や瞬間値を示すのに使われる「kW(キロワット)」なのか、 総量としての電力量を示す「kW時(キロワット時)」なのかを区別しなければならない。 また「リニアの電力消費」といっても、それが「列車1本あたり」なのか「乗客輸送量(人・km)あたり」なのか「年間使用電力量」なのか、 比較の基準を明確にして現新幹線と比較しなければならない。 いま原発が全停止しているが、現新幹線が止まるとは誰も心配していないのだから、 まず現新幹線と原発は関係ない。 また乗客輸送量などの数値は、 現新幹線は実績値があるがリニアの営業列車はまだ存在しないのであくまで想定値となる。 ここを起点に、現新幹線がリニアに転換したらどうなるか、という議論である。 原発が必要かどうかという評価は、主には供給力や瞬間値の問題である。 図1はカルマン線図と呼ばれる関係で、世の中の多数の交通機関について、 比出力(重量・速度あたりの所要動力)と速度の関係を整理したものである(参考文献1)。 中央部にある鉄道システムでは、在来線・新幹線・リニアともほとんど一定の線上に並ぶ。 このような関係や、その他の要因から推定すると、 比出力は「速度・重量あたり」の数値なので、速度が上がれば速度におおむね比例して増加する一方で、 列車重量が軽ければ重量に比例して減少する。 こうした関係や、超電導に関する補助装置の分などを考慮すると、 所要電力は「1列車あたり」でリニア新幹線は現新幹線に比べて3〜5倍前後の数値となる。 図1 カルマン線図 次に全体のシステムとして考えた場合、列車ダイヤとの関連がある。 図2は模式的な列車ダイヤであるが、 現新幹線が東京〜大阪間(500km)を約2時間30分で走るのに対して、 リニアは1時間7分に短縮されたとする。 供給力、すなわちある瞬間にどれだけの供給力が必要かというのは、 ★このダイヤ上で「同時に何本の列車が東京〜大阪間に存在しているか」ということである。 双方が1時間あたり同じ本数で運転していても、 ★速度が速ければ同時に存在している本数は少なくなる。 この例では現新幹線(黒)13本に対してリニア(赤)6本である。 図2 模式的な列車ダイヤ これらの関係から推計すると、必要な瞬間値(供給力)としては、 現新幹線が約43万kWに対してリニアは筆者の推計では「約72万kW」となった。 現新幹線では55万kWという推定もあり、おおむねこの辺で妥当であろう。 筆者の推計とJR東海の数値は近く、的外れではないと思われる。 すなわち現新幹線が原発にたとえれば「約2分の1基」ていどのところ、 ★リニアが全線開通すると「約4分の1〜3分の1基」ていど増えることになる。 電力消費は少ないに越したことはないが、 原発5〜6基に相当するというのは ★工学的常識からみても的外れであり、むしろ推進派の印象操作に逆用されかねない。 ★ただしJR東海の企業情報公開で「動力費は営業費用の4%程度」と報告されており、 リニアで消費電力が増えたからといって決定的に経営を圧迫するほどではない。 それよりもリニア建設のための借金による支払利息のほうがはるかに負担になる。 また(公財)鉄道総合技術研究所の相原直樹氏らは輸送量(人・km)あたりの電力消費量で約3倍としている(参考文献3)。 もともと鉄道が社会全体のエネルギー消費に占める比率はわずかであり、 統計によっては省略されているほどの誤差範囲に過ぎない。 それにリニアの電力を「原発」であらわすことも適切でない。 新幹線は夜間は運行せず特定の時間帯にピークがあるから負荷特性が原発に合わない。 かりに増設が必要とすれば負荷の追随が容易な火力だろう。 前述のように葛西会長が盛んに原発再稼動を主張しているのは、 技術的な必要性からではなくイデオロギー的な面からと思われる。 福島事故は、溶融燃料がどうなっているか、地下水がどうなっているか、 依然として事実関係の確認すらできず収束の見通しがない。 このような状況で原発再稼動を主張するような判断力のレベルであるJR東海の経営者が、数十年後のリニア事業の見通しに的確な判断ができるとは思われない。しかも葛西会長は、現在のJR北海道の連続不祥事の背景である「国鉄分割・民営」を推進した中心人物でもある。リニア新幹線事業を強行すれば、現在は優良企業とされている「JR東海」が、ほどなく「JR北海道」になるだろう。 こうした情報から総合的に判断すると、リニア新幹線は現新幹線より多くの電力を消費することは間違いないとしても、原発の必要性とは結びつかない。むしろリニア新幹線のお祭りムードに乗じて「夢の新幹線の実現には原発が不可欠」という推進派の印象操作に警戒が必要であろう。いずれにしても筆者は多くの観点からリニア新幹線そのものに反対である。これに関して詳しいことは連続公開講座「リニア中央新幹線」(公共事業改革市民会議主催)が2013年10月17日に参議院議員会館で開催されるので、関心のある方はぜひ参加していただきたい。 (参考文献1)赤木新介「高速船とカルマン線図」『らん』(関西造船協会誌)第36号,1997年7月,p.54。 (参考文献2)阿部修治「リニア中央新幹線の消費電力について」2011年7月25日文書。 (参考文献3)相原直樹ほか「東海道新幹線のLCA手法による環境負荷の基礎的検討」『鉄道総研報告』第10巻10号,2002年。 |