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打ち砕かれた過度な楽観、米経済や安倍政権に不透明感広がる(ロイター) 
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/110.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 1 月 14 日 16:21:00: igsppGRN/E9PQ
 

打ち砕かれた過度な楽観、米経済や安倍政権に不透明感広がる
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0D04O20140114
2014年 01月 14日 15:38 JST 


[東京 14日 ロイター] -マーケットの過度な楽観が打ち砕かれた。12月米雇用統計が下振れ、米景気回復への疑念が浮上。量的緩和の縮小ペースにも不透明感が広がり、投資家は昨年末までに積み上げたリスクオン・ポジションの巻き戻しを加速させている。

日本の安倍政権にも都知事選という「火種」がくすぶる。悲観論が広がっているわけではないが、株高・円安トレンドの再開には新たな材料が必要との見方が増えてきた。

<悪天候で下振れ>

12月米雇用統計の内容自体はそれほど悪くない。「大寒波など悪天候の影響による一時的な下振れ」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)というのがエコノミストの一般的な見方だ。

実際、雇用統計内の家計調査をみると、悪天候のため就業できなかった労働者数は27.3万人に達し、12月としては1977年以来の高水準だった。業種別でみると、建設、娯楽・宿泊、運輸・倉庫といった悪天候の影響を受けやすいセクターで急ブレーキがかかっており、天候が回復すれば雇用も改善するとみられている。

しかし、非農業部門雇用者数の前月比7万4000人増という市場予想(19万6000人)からの大きな下振れは、米国経済に対して過度な楽観が広がっていたマーケットには強烈な冷や水となったようだ。米ダウ.DJIは13日に市場で180ドル近い下落となり、ドル/円は一時102円まで下落。週明けの日経平均.N225は一時500円安となり、節目の1万5500円を割り込んだ。

「海外勢からの注文が大幅な売り越しになっている。一方、(日本株を)下がれば買いたいという海外勢もいるが、再び上値を追いかけるという雰囲気ではなくなった。大崩れはしないとしても新たな材料が出るまでは、もたもたした展開が続くかもしれない」(大手証券トレーダー)という。

東証のデータによると外国人投資家は昨年、約15兆円日本株を買い越したが、11─12月の2カ月間で約4兆4000億円買い越すラストスパートをみせていた。リスクオンの前提であった米国の経済や金融政策の見通しに不透明感が広がったことで、株買い・円売りポジションの巻き戻しが加速している。

一時的な影響にとどまるとみられているものの、米国の大寒波は1月に入ってさらに悪化しており、ビジネスへの波及も警戒されている。「飛行機が止まれば商談は進まない。予想外に影響が広がる可能性もある」(三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏)という。

<米金融政策にも不透明感>

米金融政策にも不透明感が広がっている。そのきっかけは、米国の成長が2014年に加速すれば、債券買い入れプログラムの縮小継続を支持するという米アトランタ地区連銀のロックハート総裁の発言だ。「米経済が弱くても、量的緩和縮小ペースも緩やかになれば、影響は相殺されるとのシナリオが怪しくなった」(外資系証券)という。

マーケットが軟化したのは米雇用統計がきっかけだが、12月米雇用統計が発表された直後の10日の米ダウは7ドル安、ナスダックやS&P500は上昇していた。米国株が大きく崩れたのは今週に入ってからだ。「雇用統計よりも、米金融政策への不透明感の方がマーケットには影響が大きい」(T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏)との指摘もある。

投資家のポジション巻き戻しの余地は依然大きい。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の取組(1月7日までの週)によると、投機筋の円ショートポジションは、12万8868枚と、ピークの14万3822枚(12月31日)から1万4954枚縮小してきたが、三角保ち合いを上放れ、昨年末の株高・円安相場が始まった11月上旬と比較すればまだ多い。11月5日までの週は7万3792枚だった。

同じくCFTCが発表した昨年1月7日時点における投機筋の円建て日経平均先物ロングポジションは、4万0958枚とリーマン・ショック後の最高水準だった前週の4万2890枚からやや減少したが、依然として高い水準だ。

<細川元首相出馬の衝撃>

悲観論が市場に台頭してきたわけではない。投資家の自信が揺らいだと言っても米経済は堅調だ。雇用統計を除けば、経済指標はしっかりしている。もともと雇用統計は振れの大きい指標だ。

トムソン・ロイターの調査によると、米S&P総合500種指数採用企業の2013年第4・四半期決算は、前年同期比7.3%の増益になる見通し。日本企業も来期10%程度の増益見通しが現在の市場コンセンサスだ。

「内外需ともに拡大しており、ドル円が100円近辺まで下がっても増益基調は維持できるだろう。16倍を超えるPERは歴史的にみてもちょっと高く、それが修正されている段階だ。企業業績の拡大が見えてくれば、日経平均も1万6000円を中心にアップサイドが期待できる」(ニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏)との声も出ている。

ただ、昨年末までの急速な株高・円安で「昨年末までにかなりの好材料は織り込んでしまった」(野村信託銀行・資金為替部次長の網蔵秀樹氏)との指摘もある。

日本に関しては、細川護熙元首相が14日午後、東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に立候補する考えを示すなど、日本株投資の大きなポジティブ要素だった政権の安定という点に関しても、不透明感が出てきたと警戒されている。「脱原発」を主張する小泉純一郎元首相との「共闘」体制が組まれれば、「安倍政権の政権基盤の弱体化を招く可能性は否定できない」(外資系証券)という。

強気派が多く残る金融マーケットだが、再び、昨年末を上回るようなリスクオン・ポジションを取っていくには時間も、材料も必要になりそうだ。

(伊賀大記 編集:佐々木美和)


 

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コメント
 
01. 2014年1月14日 19:22:29 : e9xeV93vFQ
東京市場の消えない強気、押し目買いの好機到来の声も
2014年 01月 14日 19:01 JST
[東京 14日 ロイター] -年明け以降、日本株は調整ムードが続いているが、市場の強気な見方は消えていない。増益が期待される堅調な企業業績に加え、日銀の追加緩和期待や、NISA(少額投資非課税制度)などを通じた国内投資家からの資金流入など、買い材料は依然豊富であるためだ。

下振れた12月米雇用統計などをきっかけに過度な楽観は後退したが、押し目買いのチャンスが到来したとの声も出ている。

<長期資金も様子見に>

3連休明け14日の東京株式市場で日経平均.N225は一時500円を超える下落となり、終値では12月17日以来、約1カ月ぶりに節目の1万5500円を下回った。年明け1週間で値幅868円、率にして5.3%の大幅な下げとなり、昨年末にかけた9連騰の上昇分の7割以上が押し返された格好だ。下値メドとして意識されていた25日移動平均線(1万5700円36銭=14日)も割り込み、下値警戒感が強まっている。

売り主体は海外勢だという。市場では「海外ヘッジファンドなどが昨年末の株高局面で積み上げたポジションをアンワインドさせている」(準大手証券)との声がもっぱらだ。

また短期資金だけでなく、海外年金など長期資金も様子見に転じているようだ。前週までは銀行や不動産、電機の一角などに海外勢の買いが観測されていたが、「きょうは欧米年金筋など海外ロングマネーの買いが聞こえてこない」(国内証券トレーダー)という。寄り付き前の外資系証券6社経由の注文状況でも、差し引き120万株の売り越しと、小幅ながら9営業日ぶりに売り越しに転じた。

外国人投資家が慎重な姿勢に傾いた背景は12月米雇用統計の下振れだ。非農業部門雇用者数が前月比7万4000人増と市場予想の19万6000人増を大きく下回ったことで、米景気の先行きが警戒されたほか、米量的緩和の縮小ペースに対する見方に不透明感が強まったという。日本株にとっては米国株安とドル安/円高がダブルパンチで響いた格好だ。

<好材料多い日本株>

ただ、市場に弱気がまん延したわけではなく、ここからの下げは限定的との見方も依然多い。

岡三オンライン証券チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏は「日米の株高政策は不変であり、今後は日銀の追加緩和期待なども支えになる」という。日経平均の大幅な下落は年末高の反動が大きいといい、足元では昨年末の日経平均先物主導の上昇でゆがんだNT倍率.NTIDXの修正が進展。ここからの押し目は買いの好機との見方を示す。

強気が維持されている1つの要因は国内企業の好業績期待だ。国内景気の回復に伴い個人消費も改善しつつあり、内需系企業を中心に業績上振れ期待があるほか、想定より円安水準で推移する為替を材料に外需株の好決算を見込む声は多い。バリュエーションでは日経平均のPERが16倍を下回り、割高感が解消されてきたことも買いやすさを誘うという。

さらに国内勢の本格的な買いが期待されるなど、需給面でも好材料は多い。

今年からNISAがスタート。「NISAによる資金流入は株価を押し上げるほどではない」(国内投信)と慎重な声は聞かれているものの、10兆円弱と過去最高水準にのぼるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)が日本株に再投資されるとの期待は大きい。東証1部の売買代金は14営業日連続で2兆円を上回っており、押し目買いの強さを示しているという。

「海外勢も国内勢がどの程度日本株に投資するかを注目している。NISAや年金GPIF(積立金管理運用独立行政法人)などの買いに期待が大きい」(外銀)。国内投資家の買いが活発化すれば、海外勢のセンチメントも変わる可能性がある。

BNPパリバ証券・日本株チーフストラテジストの丸山俊氏は「米雇用統計の下振れは一時的な天候要因の可能性もあり、現時点では長期的な株高基調が変化したとはみていない」と指摘。日銀による追加緩和やGPIF改革などへの期待感が春先にかけて徐々に高まり、日経平均は3─4月に1万7000円を超えてくると予想している。

(杉山容俊 編集:伊賀大記)


 

 
きょうの国内市況(1月14日):株式、債券、為替市場

  (ブルームバーグ):国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。
●日本株は大幅反落、低調な米雇用統計と円高警戒−昨年8月来下落率
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
東京株式相場は大幅反落。米国の雇用統計が低調だったほか、前日の海外時間に加速した為替の円高進行が嫌気された。また、東京都知事選をめぐる先行き不透明感、チャートの節目を割り込んだことも悪材料視され、投資家のリスク回避姿勢が強まった午後に一段安となった。
TOPIXの終値は前週末比29.40ポイント(2.3%)安の1269.08、日経平均株価は489円66銭(3.1%)安の1万5422円40銭。両指数とも昨年8月7日以来、約5カ月ぶりの下落率を記録した。金融や輸出関連セクターを中心に、東証1部33業種は全て安い。
しんきんアセットマネジメント投信運用部の藤本洋主任ファンドマネジャーは、「昨年末にかけての相場上昇は意外感があった。力ずくで上げた分、反動が出やすくなっている」と指摘した。米雇用統計の低調や円高に加え、都知事選をめぐり、脱原発を掲げる元首相の細川護熙、小泉純一郎両氏の連携が伝わり、「安倍政権の政策運営に逆風との印象から、先物に仕掛け的な売りが入った可能性もある」と言う。
東証33業種の下落率上位は証券・商品先物取引、その他金融、保険、電気・ガス、その他製品、海運、不動産、ガラス・土石製品、金属製品、機械など。東証1部の売買高は30億1763万株、売買代金は2兆8619億円。下落銘柄数は1537に対し、上昇は194にとどまった。
●債券大幅高、米債高・株安で先物1カ月ぶり高値−米雇用統計下振れ
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
債券相場は大幅高。昨年12月の米雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけにした米国での債券高・株安の流れを引き継いだ。先物中心限月は約1カ月ぶりの高値を付けた。
東京先物市場で中心限月の2014年3月物は朝方から買いが先行。前週末比37銭高の144円19銭で取引を始めた後も底堅く推移した。午後に国内株価が下落幅をさらに拡大する中では、60銭高の144円42銭まで上昇し、中心限月としては昨年12月10日以来の高値を付けた。結局、52銭高の144円34銭と3週間ぶりに144円台で引けた。
三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、この日の相場について、前週末に発表された12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が7万4000人増と市場予想を大幅に下回ったことを契機に、日米株安となり、債券買いが優勢になったと説明した。
●円が反落、経常赤字などで売り先行−米景気警戒で下値は限定的
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
東京外国為替市場では円が対ドルで前日の海外市場で付けた約4週間ぶりの高値付近から反落した。日本の経常赤字拡大や日本企業による米企業買収などを手掛かりに、円売りが先行。ただ、米景気に対する警戒から日本株が大幅安となる中で、円の下値は限られた。
円は対ドルで1ドル=103円ちょうど付近から一時103円53銭まで下落。午後には日本株が下げ幅を拡大するのに伴い、リスク回避の動きが強まり、円は下げ渋る展開となった。午後3時45分現在は103円35銭前後で推移。前日の海外市場では、米雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけに円買い・ドル売りが強まった前週末の流れを引き継ぎ、一時102円86銭と昨年12月18日以来の水準まで円高が進んでいた。
上田ハーロー株式会社外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、東京市場ではサントリーの米企業買収の話や、102円台でのドル買い意欲により、ドル・円は103円台に戻して推移したと説明。しかし、「肝心要の米雇用統計」で低調な数字が出たことで、「今後発表される米国の指標で良い内容が出てこないと、ドルを積極的に買っていくのは難しい」と語った。
更新日時: 2014/01/14 16:09 JST


 


アングル:冷や水浴びたドル/円相場、円安基調継続でも調整余地
2014年 01月 14日 16:12 JST
[東京 14日 ロイター] -予想外に弱い結果となった米雇用統計で円相場は冷や水を浴びせられたが、市場では、基調としての円安が継続するとの見方が依然多数派だ。

しかし、6年半ぶりの高水準に積み上がっている投機的円売りポジションが部分的に解消されるだけでも、1ドル=100円程度まで下押しする余地があるとの見方も出ている。

<米景気を検証するフェーズに>

前週末の12月米雇用統計を受け、ドル/円相場は発表直前の高値105.42円から13日の安値102.85円まで2.5円以上急落した。

市場では「株高/円安相場が冷や水を浴びせられた。基調に変化はないとはいえ、さすがにすぐに気を取り直して105円、106円を目指すのは無理だろう」(機関投資家)とされ、市場は米景気動向について「落ち着いて検証するフェーズ」(同)に入ったという。

それでもなお、基調はドル高/円安との見方が東京市場では大勢だ。先進国において金融緩和縮小に動き始めたのは唯一米国のみで米国経済の回復基調がしっかりしているとの認識と期待が背景にある。

「海外勢、本邦勢とも、10月下旬からの一本調子のドル高/円安の流れの中で、買う機会を逸した参加者は多い。下がったら買いたいという意欲がドルの下値を支えるだろう」(邦銀)という。

「雇用統計後はパニック的なドル売りが入ったが、非農業部門雇用者数の10月分、11月分と大幅に上方修正されており、12月分も今後上方修正される公算が大きい。100円までの調整はないと思っている」とFXプライム取締役の上田真理人氏は言う。

12月の米雇用統計では、NFPが7万4000人増と、約3年ぶりの低い伸びとなったが、11月の非農業部門雇用者数は3万8000人上方修正され10月分も上方修正された。

シティバンク銀行、個人金融部門・シニアFXマーケットアナリストの尾河真樹氏は「今回の米雇用統計の結果でも、米連邦準備理事会(FRB)の政策は何も変わらないとみている。1回だけの統計では何とも言えないということもあるが、ほぼ天候要因で説明できる内容だった」と指摘。基本的に緩やかなドル高/円安という方向性に変わりはないとの見方を示している。

<投機的ポジションの解消リスク>

足元でのドル/円の下落は、年末に強まった円安モメンタムで蓄積された円ショートが、米雇用統計をきっかけに部分的に巻き戻されたことが原因とみられる。

主要8通貨によるドルの合成ポジションは1月7日時点で198億ドルと、ドルの買い持ちとしては2013年9月10日以来の高水準となった。円のネット売り持ち高は1兆6109億円と、前週の1兆6904億円から縮小したものの、2007年夏以来の高水準にあることに変わりはない。

「過去のデータに鑑みて、IMMで円ショートの積み上がりの反動としての調整幅はドル/円で5%程度になることがある。現在の相場では100円程度までの調整が起きる余地があるとみている」とJPモルガン・チェース銀 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏は言う。

他方、ドル高/円安にこれまでの勢いがなくなったことを裏付ける出来事も起きている。

12月の米雇用統計が発表された10日のニューヨーク市場では、ドル/円相場が、同統計発表時刻(日本時間午後10時半)の40秒前に高値(105.42円)を更新。その後10分後に104.19円まで下落した。

データ公表直前のドル/円の上昇について、一部の情報が事前に漏れ、発表後の下げ幅を拡大によって収益を膨らませることを意図したオペレーションが一部の投機筋によって実行されたとの見方が出ている。「円ショートで思うように利益が上がらなくなったファンドによる苦し紛れのオペレーション」(海外投資家)だという。

<警戒される株高・円安の逆回転>

日本では14日、経常収支と対外直接投資の2つの円安材料が明らかになった。

11月の経常収支は5928億円の赤字となり、ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予想中央値3804億円を大幅に上回った。

またサントリーホールディングスSUNTH.ULは13日、米ビーム社(イリノイ州) BEAM.Nの全株式を1株あたり83.5ドル、総額160億ドル(約1兆6500億円)で取得、買収することで合意したと発表した。2014年6月までに買収を完了させる予定。外為市場では、調達額の一部は円投/ドル転により手当てされるとみられている。

ただ、足元の調整ムードを覆すほどのインパクトは出なかった。海外投資家による株式投資は昨年、過去最高水準に達しており、株高/円安のモメンタムを形成したが、リスクオンモードの後退で、その逆回転が危ぶまれているためだ。

財務省によると、12月の非居住者による対内株式投資は2兆1265億円の取得超、11月の2兆6384億円の取得超に続き、連続で2兆円を上回る規模となった。対内株式投資は4月に3兆0805億円を記録しており、2013年暦年では、15兆8416億円と、前年の2兆1272億円を大幅に上回り、暦年データが取得可能な2005年以来、過去最高となった。

規模が大きかっただけに、市場では「海外投資家の円資産拡充にともなう円売りヘッジは、円資産を部分的に圧縮しただけでも、為替相場に影響を及ぼすだろう」(ファンド・マネージャー)と警戒感が強まっている。

(森佳子 編集:伊賀大記)

 

 

円が反落、経常赤字などで売り先行−米景気警戒で下値は限定 
  1月14日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が対ドルで前日の海外市場で付けた約4週間ぶりの高値付近から反落した。日本の経常赤字拡大や日本企業による米企業買収などを手掛かりに、円売りが先行。ただ、米景気に対する警戒から日本株が大幅安となる中で、円の下値は限られた。
円は対ドルで1ドル=103円ちょうど付近から一時103円53銭まで下落。午後には日本株が下げ幅を拡大するのに伴い、リスク回避の動きが強まり、円は下げ渋る展開となった。午後3時45分現在は103円35銭前後で推移。前日の海外市場では、米雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけに円買い・ドル売りが強まった前週末の流れを引き継ぎ、一時102円86銭と昨年12月18日以来の水準まで円高が進んでいた。
上田ハーロー株式会社外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、東京市場ではサントリーの米企業買収の話や、102円台でのドル買い意欲により、ドル・円は103円台に戻して推移したと説明。しかし、「肝心要の米雇用統計」で低調な数字が出たことで、「今後発表される米国の指標で良い内容が出てこないと、ドルを積極的に買っていくのは難しい」と語った。
円は対ユーロでも前日の海外市場で一時1ユーロ=140円50銭と同12月6日以来の高値を記録。この日の東京市場では一時141円48銭まで売られた後、下げ渋り、同時刻現在は141円25銭前後で推移している。
一方、ユーロ・ドル相場は前週末に一時1ユーロ=1.3687ドルと約1週間ぶりの水準までドル安が進行。その後は1.36ドル台後半を中心にもみ合う展開となり、この日の東京市場では1.3656ドルから1.3673ドルのレンジで推移した。
経常赤字
日本の昨年11月の国際収支では、経常収支 が5928億円の赤字となった。赤字額は比較可能な1985年以降で過去最大となり、市場予想も上回った。
三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、巨額の貿易赤字を背景にベースの需給が円売りに傾いているため、「かつてのような超円高相場には戻らない」と指摘。もっとも、巨額の円売りポジションがたまっている状況で、「何かをきっかけに円の買い戻しの方によりエネルギーが高まりやすい」と指摘していた。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)国際通貨市場(IMM)で、ドル・円先物取引非商業部の円 の売り越し幅は7日時点で12万8868枚だった。14万3822枚と2007年7月以来の最大を記録した昨年12月24日時点から2週連続で縮小したものの、依然10万枚を超える高水準にとどまった。
一方、ウイスキー、ビールメーカーのサントリーホールディングスは13日、米ビーム(イリノイ州ディアフィールド)を総額160億ドル(約1兆6550億円)で買収することを発表した。
外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、「買収額が大きいといった印象がある。まだ為替への影響は分からないが、ソフトバンクの時はドル高に行った」と語った。
米小売売上高、地区連銀総裁講演
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、この日発表される米国の12月の小売売上高 は前月比0.1%増加(予想中央値)する見通しとなっている。11月は同0.7%増と5カ月ぶりの大幅な伸びを記録。前週末発表された12月の米雇用統計では雇用者の増加が11年1月以来の小幅にとどまり、米国経済に対する楽観が後退した。
上田ハーローの山内氏は、米雇用統計は天候の影響が強かったとされており、小売売上高に対してもネガティブな見方が出ていると指摘。さらに、米国時間にはタカ派の地区連銀総裁の講演が予定されており、「指標が弱い中で強気の発言が出てしまうと、株にとってはよろしくない」とし、株価の調整を背景にドル売り・円買いが進む展開もあり得ると語った。
この日講演するフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁とダラス連銀のフィッシャー総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)での議決権を有する。FOMCは先月、1月から債券購入額を毎月850億ドルから750億ドルに縮小すると発表した。
14日の東京株式相場は大幅反落。日経平均株価 は午後に下げ幅を拡大し、一時は500円を超える値下がりとなった。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net
更新日時: 2014/01/14 15:57 JST


 

 

債券は大幅高、米債高・株安で先物1カ月ぶり高値−米雇用統計下振れ

  1月14日(ブルームバーグ):債券相場は大幅高。昨年12月の米雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけにした米国での債券高・株安の流れを引き継いだ。先物中心限月は約1カ月ぶりの高値を付けた。
東京先物市場で中心限月の2014年3月物は朝方から買いが先行。前週末比37銭高の144円19銭で取引を始めた後も底堅く推移した。午後に国内株価が下落幅をさらに拡大する中では、60銭高の144円42銭まで上昇し、中心限月としては昨年12月10日以来の高値を付けた。結局、52銭高の144円34銭と3週間ぶりに144円台で引けた。
三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、この日の相場について、前週末に発表された12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が7万4000人増と市場予想を大幅に下回ったことを契機に、日米株安となり、債券買いが優勢になったと説明した。
現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物332回債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp)低い0.665%で取引を開始。しばらくは同水準で推移したが、午後に入って徐々に水準を切り下げ、昨年12月18日以来となる0.65%を付けた。
新発5年物116回債利回りは2bp低い0.195%で始まった後、いったん0.2%まで低下幅を若干縮めた。午後に入ってからは、買いが再び優勢となり、昨年12月12日以来の低水準となる0.19%を付ける場面があった。新発20年物147回債利回りは昨年12月6日以来の低水準1.5%、新発30年物41回債利回りは昨年12月5日以来の低水準1.66%をそれぞれ付けた。
岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、「12月の米雇用増は事前予想から下振れし、米国で株高、金利上昇に巻き戻しの動きが出た。国内債も雇用統計発表前の売り持ち高をアンワインド(解消)する動きとなった」と指摘した。一方、「米雇用統計の悪化でさすがに買いが膨らんだが、10年債利回り0.6%台後半が心地の良い水準」とも語り、日米債券は買い戻し中心で金利低下の持続性には疑問を呈した。
この日の国内株式市場は全面安の展開。日経平均株価 は一時500円を超える大幅安となった。
前日の米国債相場は上昇。米10年国債利回り は前週末比3bp低下の2.83%程度。一時2.82%程度と約1カ月ぶりの低水準を付けた。一方、米国株は下落。S&P500種株価指数は前週末比1.3%安の1819.20と、昨年12月20日以来の安値。過去2カ月で最大の下げとなった。
三井住友銀の宇野氏は、米雇用統計について、「米量的緩和縮小を続けていける数字だが、2月7日発表の1月分の米雇用統計も寒波の影響がある。 20万人増に戻る保証はないので、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和縮小を続けるか、二の足を踏む感じで難しい状況。緩和縮小を1回飛ばした方が良いのではないか。他の指標の出方によるだろう」と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 赤間 信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net
更新日時: 2014/01/14 15:57 JST


 

日経平均が大幅安、一時400円下落:識者はこうみる

2014年 01月 14日 12:20 JST
[東京 14日 ロイター] -14日の東京市場では、日本株が大幅安となっている。一時、日経平均.N225の下げ幅は400円を超え、節目の1万5500円を下回った。10日発表の12月米雇用統計が予想外に弱い内容となり、リスクオン・ポジションを手じまう動きが加速。円高も嫌気され、ほぼ全面安の展開となっている。

国債先物は大幅続伸。米金利が低下しているほか、円高と株安で買い戻しが先行。10年長期金利は0.665%まで低下している。

一方、ドル/円は東京市場に入って下げ渋る動きをみせている。仲値公示ではドル不足気味だったとされ、実需筋によるドルの手当て買いが流入したほか、短期プレーヤーによる損失確定の買戻しがドルの反発をリードした。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●米雇用統計の下振れに過敏な反応

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

昨年末の上昇局面で積み上がったポジションを調整する動きが続いている。12月米雇用統計が市場予想を大きく下回ったことで、米景気の先行きや米金融緩和縮小ペースに対する見方が不透明となり、マーケットが過敏に反応しているのだろう。米景気が減速し始めたら米国株の調整色が強まるうえ、為替も円高に進むため日本株にとってはダブルパンチだ。

●日米とも株高政策は不変、調整は一時的

<岡三オンライン証券チーフストラテジスト 伊藤嘉洋氏>

米雇用統計が予想以上に弱い内容となり日本株も影響を受けているが、日経平均の大幅安は年末高の反動も大きい。ポジション調整は今週いっぱい続く可能性もあるが、下落は一時的で1万5500円割れ水準が当面の安値だろう。日米の株高政策は不変であり、今後は日銀の追加緩和期待なども支えになる。もともと日本のファンダメンタルズは悪くない。米企業業績も懸念されるほど悪い内容にはならないとみている。ゆがんだNT倍率の修正が進んでおり、ここからの押し目は買いの好機になる。

●緩やかなドル高/円安は変わらず

<シティバンク銀行 個人金融部門 シニアFXマーケットアナリスト 尾河真樹氏>

今回の米雇用統計の結果でも、米連邦準備理事会(FRB)の政策は何も変わらないとみている。1回だけの統計では何とも言えないということもあるが、ほぼ天候要因で説明できる内容だった。前月分は上方修正されており、米労働市場が改善傾向であるということに水を差すものではないと判断できると思う。基本的に緩やかなドル高/円安という方向性に変わりはない。

ドル/円はけさいったん102円台に下落したが、下がったところでは買いたい向きもいると思われ、そうした買いなどが日中の支えになっている。向こう3カ月を見渡した場合、ニュースなどでいったん下がることはあっても、100円を割れるような展開はおそらくないだろう。

2007年の高値124.14円から2011年の安値75.32円までの下落幅の61.8%戻しに当たる105.49円は重要なポイントだったが、ここを上抜けられずに下落に転じたので105円はしばらく重くなりそうだ。一方、下は102円程度がサポートになってくるとみている。

●投機的円売りポジション累積の反動でドル/円5%の調整も

<JPモルガン・チェース銀 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏>

米雇用統計では、労働力の供給が減り続けていることがより懸念される。12月の米失業率は前月の7.0%から6.7%に大きく低下したが、この大部分は労働参加率の低下によるものと考えられる。

労働参加率の低下は、FRBによるフォワード・ガイダンスの運営を難しくする。次回のFOMCで6.5%が変更されることはないとみているが、今後FRBは、失業率が6.5%を下回っても利上げをするわけではないとのメッセージを強めていくことになるだろう。

ドル/円相場については、年末に株高/円安のモメンタムが強まり、円ショートが積み上がっていたので、米雇用統計をきっかけにその一部が巻き戻された。

過去のデータに鑑みて、IMMで円ショートの積み上がりの反動としての調整幅はドル/円で5%程度になることがある。現在の相場では100円程度までの調整が起きる余地があるとみている。

●ドル高/円安シナリオは崩れず調整は一時的

<プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト 山本雅文氏>

12月の米雇用統計については、天候の影響が大きかったという認識だ。12月の米経済ついては、これまでに公表された他の景気指標は悪くなく、FRBの景気認識にも大きな変化はない。

ドル/円相場については、投機的なポジションが高水準にあるため、目先102円半ば付近までの調整があるかもしれないが、基本的にドル高/円安のシナリオが崩壊したわけではなく、調整は一時的なものとみており、ドル/円の下値では押し目買いも見込まれる。

●米雇用統計を受け健全なポジション調整

<メリルリンチ日本証券 チーフ債券ストラテジスト 藤田昇悟氏>

米雇用統計は、冬場に数値が振れる傾向にある。今回の弱い数値が政策的なインパクトがあったとは思っていない。トレンド化した場合、米金融政策変更の可能性が出てくるため、2月、3月の数値が重要になるが、1カ月分だけで、緩和縮小ペースが変更される可能性は小さい。政策のボラテリティが高まる状況を、米連邦準備理事会(FRB)次期議長のイエレン氏も望んでいないはずだ。

米10年債利回りが2日間で10bp超える低下となった。円高・株安も円金利の下押し圧力になっている。米雇用統計がリスクオフではなく、年初から傾き過ぎていたポジションオフ、いわば「健全なポジション調整」を誘発した。

円債市場において、海外勢の売り圧力を警戒して様子見姿勢だった本邦勢が売る理由がなくなった。市場参加者のポジションがショートに傾いているだけに、買われやすい地合いがしばらく続くのではないか。

また海外勢を中心に追加緩和期待が強い。消費税のネガティブインパクトを考えると、消費税率引き上げ前の2月・3月に追加緩和の可能性があるとみている。今後3カ月の10年最長期国債利回り(長期金利)は0.55─0.75%を想定している。

●3月までの長期金利レンジ0.55─0.75%想定

<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏>

12月米雇用統計の内容については、米経済の良さが加速するとみていた向きには失望する内容だったと思われる。グローバルに株式や為替相場にどの程度の調整が入るのかという点が今後の大きなテーマになりそうだ。米金利の一方的な上昇がなく、株式相場の上昇が一服という情勢になると、円債への需要も強まり、金利への低下圧力がかかるだろう。もっとも、今回の米雇用統計の内容は米金融政策が変更されるほど弱くはないと考えている。

円債の反応は、来期のポートフォーリオの状況を勘案すると、2─3月にポジションを積み増す必要性が出てくる投資家がいてもおかしくない。となれば、イールドカーブのフラット化圧力に効いてきそうだ。長いゾーンの変動率が高まる中で、金利が低下余地を模索する可能性が出てくる可能性がある。1─3月の10年最長期国債利回り(長期金利)のコアレンジは、0.550─0.750%とみている。

 


2014年1月14日  
円高への転換?〜雇用統計の下振れは一時的〜

先週末(1月10日)に発表された米雇用統計における非農業部門雇用者数は前月差+7.4万人と、事前予想を大きく下回った。この発表をきっかけに、米経済に対する不透明感が高まり、米債券市場では昨日(1月13日)までに長期金利が2日連続で低下し、為替市場においてドル円相場は一時102円台とほぼ1か月ぶりの水準まで円高が進んだ。

今回の雇用統計の低調は、2013年後半以降続いている、米経済の回復が途絶えることを意味するのか?そして、円高ドル安が始まるのか?その可能性は低いと考えている。

一つの理由は、報道されている通り、下振れの多くは悪天候で説明できることである。具体的には27.3万人の就業者が天候要因で就業できなかった。もともと、クリスマスの時期に寒波が訪れる12月雇用統計は天候の要因を受け易く、12月は平均約13万人悪天候で就業が妨げられる。今年は、例年よりも10万人以上多くの労働者が、悪天候によって就業が困難になった。

また、他の雇用関連指標と比べても、先週末雇用統計の数字は悪すぎる。例えば民間調査会社ADP社によれば、雇用者数は20万人を超える伸びとなっていた。ADP社による雇用調査と、雇用統計(政府による調査)との差を過去に遡って比べると、12月の両者の差は格段に大きい。雇用統計が、天候要因で歪んでいる影響が大きいことを示している。

加えて、12月の雇用者数の伸びは低かったが、10-12月の他の米国の経済指標は総じて堅調に回復している。2013年央まで低調だった輸出や設備投資関連指標が10月から改善しており、10-12月の米GDP成長率は年率ベースで3%前後まで高まる可能性が高い。7-9月の年率+4.1%に続く、2四半期連続での高い成長が続いていることが、1月末に発表されるGDP統計で明らかになるだろう。

冒頭のグラフで示した通り、雇用統計の下振れ後円高ドル安となり、昨年12月半ばにFOMCでの金融緩和縮小(テーパリング)が決まる前の水準まで、ドル安が進んだことになる。昨年末に量的金融緩和縮小に踏み出したFRBの判断を市場はポジティブにとらえ、市場心理は大きく好転した。今回の雇用統計の悪化は一時的な要因で説明できるが、寒波の影響で他の経済指標が下振れる懸念が残る。目先については、FRBの政策判断の妥当性に対して市場の疑念が燻り、投資家心理が不安定な局面が続く可能性がある。

ただ、為替市場では、雇用統計の余波でドル円相場は今週もドル安が一段と進んだが、ユーロドルは雇用統計直後に動いた後、ほぼ横ばいで推移している。ドル円の動きが示すほど、為替市場でドル安が全面的に進んでいるとは言い難い。

いずれにしても、米経済指標を幅広く俯瞰すれば、米景気の堅調な回復は保たれている可能性が高い。市場の不安心理もいずれ後退するだろう。この判断を踏まえれば、「経済指標の歪み」に起因する市場心理の悪化が続くなら、それは外貨建て資産への投資の好機になる。

2014年1月14日
未練
みれん【未練】 [名・形動]
1. 執心が残って思い切れないこと。あきらめきれないこと。また、そのさま。
2. 熟練していないこと。また、そのさま。未熟。

誰にでも未練はある。好きだった相手を、そう簡単に忘れられるものではない。僕も未だに20年以上も昔の恋を引きずっている。別な女性と結婚し、子供ができた今も、尚である。無論、妻と娘を愛しているが、それは家族として、であって恋愛の対象ではない。家族愛と恋愛感情は別個に存在するというのが僕の持論だが、この主張、一部の方(主に女性)に圧倒的に不評である。「そんなの勝手な自己正当化よ」と言われている。「それだったら好きなひととは一生結婚できないということになるじゃない」と彼女たちは言う。その通りである、と僕は思う。それが人生最大の矛盾であり、だから人生は切ないことの連続だと思うのである。

ネガティブ・サプライズ

先週末発表された米国の雇用統計で、非農業部門の雇用者数の伸びが大幅に市場予想を下回った。従来から繰り返している通り、この指標は非常にブレが大きい統計であり、じゅうぶん「あり得る」話なので、本来は「サプライズ」ではないのだが、一応、マーケット的には「ネガティブ・サプライズ」とされている。それはいいとして、解せないのは米国株式市場の反応だ。発表当日の株式市場では、ダウ平均こそ7ドル安と小幅ながら3日続落したものの、S&P500とナスダック総合指数は上昇した。業種別にみても値下がりは金融株だけで、実質的には買い優勢の展開だった。

その理由として、FRBによる量的緩和縮小ペースが減速するとの観測が浮上したことが指摘されている。これは、

良い経済指標 → 量的緩和縮小につながり、株式市場の売り材料
悪い経済指標 → 量的緩和縮小が遠のき、株式市場の買い材料

という、一時、市場を支配したルールの「焼き直し」のようなものである。事実、週明けの月曜日、「量的緩和縮小の継続を支持する」とのロックハート・アトランタ連銀総裁の発言が伝わると、米国株式市場は急速に下げ足を速めた。つまり、これは量的緩和縮小が少しでも緩やかなものになるのを歓迎し、そうでないならネガティブというリアクションである。

未だに量的緩和を引きずっている。そこまで量的緩和が恋しいのか。未練がましいではないか。株式市場はテーパリング(量的緩和縮小)を完全に織り込んだはずだった。出口に向かうことへの抵抗は、かつてあったことは事実だ。しかし、ジャブジャブの緩和時代への未練を断ち切って、新しい一歩を既に踏み出したのだ。そしてそれを株式市場自身で祝ったはずである。その証拠が、昨年12月31日、ダウ平均もS&P500も2013年最後の取引を史上最高値更新で飾ったことではなかったのか。

「未練」の本来の意味は、文字通り、「未(いまだ)」に「練れて」いない - すなわち「未熟」ということである。未熟だから未練がましくなるのだと言える。ところで、米国株式市場はそんなに「未熟」なのだろうか?僕にはそうは思えない。むしろ老獪な存在である。であるなら、この量的緩和に対する未練がましい市場反応はどう解釈したらよいだろうか?

ひとつの答えは、「演技」である。本気で心配したり失望したりしているわけでなく、すべて確信犯的な行動なのだ。実際に、今回の雇用統計は米国を襲っている記録的な寒波の影響が大きい(詳しくはこちらのレポートご参照。14日付「米国マーケットの最前線」)。これは、あくまで異常値で一過性のものである。この統計によって前回決定したばかりの金融政策の方向性が変わるものでも、ましてやその基礎にある米国経済のトレンドが変わるものではありえない。

そんなことは、うちの益嶋でさえ書いていることだから、米国株式市場の参加者が知らないはずはないのである。この雇用統計の下振れは一過性 - であるなら、これを巡って量的緩和のペースが変更される云々という観測が浮上すること自体、ナンセンスだから、その後のロックハート総裁発言で急落というのはもっとおかしな話なのである。

仮に一度は浮上した量的緩和ペースの減速期待が、ロックハート発言で梯子を外されたとするならば、為替市場では円高ドル安の流れが反転していたはずである。ところが為替市場では円高ドル安がむしろ加速し、一時102円台にまで突っ込んだ場面があった。

おそらく今回の米国株の大幅安と為替市場での円高進行は、これまでたまってポジションのアンワインド(巻き戻し)が起きただけであろう。雇用統計の下振れというサプライズがその「トリガー(引き金)」になっただけで、根本的な見方を変えるところには至っていない。あくまでポジション調整の範囲内であろう。

別れた相手を忘れる方法

しかし、もうひとつのシナリオが正しいとしたら?すなわち、市場は本当に「未熟」で、「未熟」ゆえに未練たらたらであるとしたら?それは、もう、相当にやっかいなことになる。一度は別れを決心した相手(=量的緩和)が、やはり恋しくて忘れられない。未練たっぷりだから、何度も蒸し返す。淡い期待を抱き続ける。もう一度、振り向いてくれるのではないか、と。だから弱い経済指標を歓迎する。強い経済指標を拒否する。その「歪んだ」リアクションが残り続けることになる。もちろん、そんなのは「不健全」な姿だ。

「別れた相手を忘れる方法」というのをインターネットで検索してみた。

1. メールや写真を徹底的に削除する。
2. もらったプレゼントを捨てる。
3. フェイスブックやLINEなどSNSを絶つ。
4. 仕事や趣味に打ち込む。
5. スィーツを食べまくる。
6. 時間が傷を癒してくれるのを待つ。

どれもまったく根本的な解決になっていない。一番、良い方法は他の誰かを好きになること、新しい恋人を作ることである。

米国株式市場に量的緩和への未練を絶たせるような新しい恋人は現れるだろうか?候補はいる。企業業績の伸びが再加速することである。そうすれば、金融相場から業績相場へ移行できる。

しかし、この恋人候補、あまり頼りにならないかもしれない。米国株式市場は先週のアルコアを皮切りに2013年第4四半期の決算発表シーズンに突入している。トムソン・ロイターの調べでは2013年第4四半期の主要企業500社の利益は前年同期比7.3%増益が見込まれている。それが達成できれば第3四半期の6%増益から伸び率が増加するし、2013年前半の1ケタ半ばからは着実に1ケタの後半へと成長が加速しているようにも見える。

しかし、売上高の伸びはわずか0.4%の見込みであり、ほとんど売上高が伸びないなかでの増益、すなわちリストラなどコスト低減効果によるものだ。これを「成長加速」と呼ぶのはこころもとない。

しかも、今回の四半期決算発表に先立つ「プレアナウンス(事前の業績修正発表)」では、EPSの下方修正を発表した企業数は108で、上方修正を発表した企業数11との比率(N/Pレシオ:ネガティブ/ポジティブ・レシオ)は9.8となっている。この傾向が持続すれば記録的な悪さだとトムソン・ロイターは指摘している。


こんな調子では別れた相手(=量的緩和)への未練が断ち切れないのも無理はない。一番の被害者は、このナイーブなマーケットのヤケ酒に付き合わされる日本株式市場だ。今日、日経平均は米国市場での株安・円高を受けて一時下げ幅は500円を超える場面があった。とんだ「とばっちり」である。いい加減にしろ、と言いたい。

昔の恋人との思い出を、データ保存に例えると、男はフォルダ分けして保存すると言われる。それに対して女性は「上書き保存」。新しい恋人ができれば、昔の男はきれいさっぱり消去する。女性のほうが潔いのだ。

その伝で言えば、マーケットは「男性的」だ。だから、いつまでもウジウジと未練がましいのだろう。その気持ち、わからなくもないのだけれど。

 


 

2014年01月14日
第95回 なぜ為替市場は「アメリカの雇用統計」で大きく動くのか 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

為替市場のみならず、あらゆる金融市場が注目するアメリカの雇用統計。アメリカの雇用状況は金融政策の方向性を占う重要な指標だからです。アメリカではFRB(アメリカ連邦制度準備理事会)が、金融政策を司っていますが、世界の多くの中央銀行が「物価の安定」を金融政策の使命に掲げているところ、FRBは「雇用の最大化」も金融政策の目的のひとつとしており、2つの使命(デュアル・マンデート)があるのが特徴です。

昨年夏〜11月までのアメリカの雇用統計は非常にいい数字が出てきていたために、雇用環境は力強い改善傾向にあると見られていました。FRBが、昨年12月に月額850ドルのQE3(量的緩和政策)のうち、まず100億ドルの縮小に踏み切ることを発表したのも雇用環境が整ってきたことがひとつの要因だったでしょう。FRBはリーマンショック以降、政策金利をゼロ金利にまで引き下げましたが、このような伝統的金融政策だけでは収まらなかった金融混乱を、非伝統的金融政策でコントロールしてきました。その非伝統的金融政策というのがQE1,2,3と呼ばれる量的緩和政策です。ゼロ金利政策と量的金融緩和策によって、アメリカの株価は2013年にはダウ平均、SP500、ナスダック指数ともに史上最高値を更新する回復を見せ、雇用環境も改善してきたことから、昨年12月、リーマンショック以降5年に渡って緩和政策を行ってきたFRBが「緩和縮小」に舵を切ったのです。国の金融政策はそうコロコロ変わるものではありません。緩和策も5年続きました。つまり、ここから数年は緩和縮小へ、そして引締めへと向かって行くものと捉えられ、こうした国の金融政策が、債券市場を動かし、為替市場を動かし、株価をも動かしていくのです。アメリカが緩和策縮小の一歩を踏み出したことは、今後のドルの先行きを大きく占う大きな材料です。つまり市場に流通するドルの量が減るという思惑からドル高となるだろう、このような思惑が年末から年始にかけての市場に蔓延していました。

それなのに!

先週末1月10日に発表された12月のアメリカの雇用統計は、市場の予想を裏切る大変悪い数字だったのです。この数字を受けて、為替市場では一気にドル売りが広がりました。初めてのFXという名のこのコラムでは、雇用統計の数字についての分析は避けますが、要するに、昨年12月に緩和縮小へと舵を切ったばかりのアメリカの金融政策は、今後もその方向へと粛々と進められるのだろうか?!という疑問が一気に広がったのです。緩和縮小は、今年開催されるFRBの8回のFOMC会合の場で、100億ドルづずつ縮小が発表され、月額850億ドルもの債券やMBSを購入するというQE3は、年内にはゼロになるという予想でしたが、市場にはこのペースに疑問を呈する声が出てきたのです。

量的緩和政策が、市場が予想するより長引くかもしれないと言う思惑が、今度はドル安の材料となってしまいました。ドル/円は週明け月曜には102円台にまで下落、ユーロ/ドル相場やポンド/ドルといったドルストレート(米ドル絡みの通貨ペア)でも全面ドル売りの様相となっています。では、このままドル/円相場は105円台が天井となって、下落していくのでしょうか。

1回の雇用統計の数字がFRBの金融政策を変えるとは思えません。特に12月分の雇用情勢は寒波の影響が大きく、季節性による「ブレ」だという見方が大半です。一部に緩和縮小のペースへの見直しがある可能性を指摘する声もでていますが、単月の数字悪化が影響することはないというのがマーケットの大方の見方です。ということで、大局ではドル高、円安のトレンドは継続すると思います。

それなのに、何故これほど為替市場ではドル売りが続いているのか。これは、今年最初のコラムでも書きましたが、行き過ぎた相場への反動によるもの。日経平均が年末大納会に向けて9連騰。ドル/円相場も連れて大きく円安進行となりました。大発会の波乱を受けて、総強気ムードに暗雲が漂い始めたところに、悪い数字が出たために、一気に弱気が噴出したための深い調整と見ます。よって、大局は国策に逆らうな。ドル高シナリオは米国の緩和縮小策だけでなく、本邦アベノミクスと日銀による異次元緩和策による円安と両輪です。ここからはどこまで下がったところで買うか、それだけです。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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13年海外勢の日本株買越額、15兆円超え最大−個人売りも記録

  1月14日(ブルームバーグ):2013年の日本株市場で、海外投資家の買越額が年間で15兆円を超え、過去最大に膨らんだ。金融緩和を背景にした欧米株高で投資余力が増したほか、アベノミクスによる日本の景気、企業業績の先行き期待も海外勢の買いにつながった。一方で個人投資家は、売越額が過去最大の9兆円近くに達し、対照的だった。
東京証券取引所が14日午後に発表した投資部門別売買状況(東京、名古屋2市場1・2部等合計)によると、13年に海外投資家 は5年連続で買い越し、買越額は15兆1196億円と12年の2兆8264億円を大幅に上回った。東証が集計を始めた1982年以降、これまで最高だった05年の10兆3219億円を更新した。
日本銀行による量的・質的金融緩和策の発動を受けた4月には、第2週に海外勢は最大の週間買越額を記録、月間で2兆円以上を買い越した。相場がこう着した8月に一時売り越したが、為替の円安が加速した11月、12月に再び買いを活発化させた。
大和証券投資戦略部の熊澤伸悟マーケットアナリストは、海外投資家の地域別売買状況を見ると、欧州投資家 が最も買い越しており、「欧州マネーが日本株の上げをけん引した」と指摘。欧州債務問題が落ち着きを取り戻しつつあり、ユーロ圏の実質国内総生産(GDP)も4−6月期に7四半期ぶりにプラス成長に回復する中、「欧州景況感の改善で、日本株に追い風が吹いた」と見ていた。
14年も海外勢買いの期待
熊澤氏は、ことしの海外勢の買越額は8−9兆円程度と予想。「世界的に景気の回復が顕著になる年と想定しており、円安が海外からの資金を呼び寄せ、日本株が買われる要因になりやすい」とし、ペースは落ちても、買い越し基調は変わらないとの認識を示す。
一方、国内勢では個人投資家 が8兆7508億円の売り越し。個人の売り越しは2年連続(12年は1兆9112億円)で、売越額は06年の4兆3812億円も上回り、過去最大となった。TOPIXが年間で5割以上上げる中、長年の戻り待ちを含む損益確定売りが出やすかった上、昨年いっぱいでの証券優遇税制の終了がこうした動きに拍車を掛けた。
株式の委託取引に占めるシェアは海外投資家が58%(12年は66%)、個人は32%(同22%)。
2カ月連続で2兆円超す買い越し  
年間データと同時に公表された12月月間(2−30日)の動向では、海外投資家は2兆1725億円買い越した。前月に続いて2兆円以上の買い越しで、買い越しは4カ月連続。このほかの買い主体は、投資信託(買越額は638億円)、年金基金や自社株買いの動向を映す信託銀行(同1980億円)、事業法人(同687億円)など。これに対し、個人は4カ月連続の売り越しで、売越額は1兆9288億円と、2兆円を超えた前月に続き高水準だった。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net;東京 Anna Kitanaka akitanaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net
更新日時: 2014/01/14 17:24 JST


02. 佐助 2014年1月14日 21:33:43 : YZ1JBFFO77mpI : IM2dcPt2KE
思惑その12,対立軸  景気循環
アベノミクスで景気が復活したと喜んだ翌年は,より一層の不況に見舞われる
脱原発から産業革命に乗り遅れると大企業でも消失する。

景気循環は、長期の景気下降期には、三年半前後の景気の山と一年前後の谷の長さが反転し、山は一年前後しか回復することができない。長期の景気上昇期は、山が三年半前後と長く、谷は一年前後と短い。そのため、「不景気の時こそ先行投資せよ」と思考し行動する経営者が成功をおさめることができた。だが、スーパーバブルによる長期の景気下降期には、この経験則は全く通用しない。そのためにアベノミクスで景気が復活したと喜んだ翌年は、より一層の不況に見舞われることになる。

すなわち慣習期の商品にあぐらをかき、市場拡大のインパクトのある商品を開発できなかった企業は、縮小&倒産は避けられない。大恐慌が、各産業のトップ企業を入れ替え、次の時代をリードする企業を誕生させ急成長させることになる.1950年代以降の世界的企業の多くは、1930年代をチャンスにして登場した企業なのだ。今回も脱原発から産業革命に乗り遅れあぐらをかいた企業は消失する同じことが起きる。つまり脱原発しないと失業者は瞬間的に、三人に一人まで拡大する。そして2015年〜2017年に銀行・証券・為替の一時閉鎖が発生する。

したがって、新しい技術や先覚商品の開発に成功した、個人と企業と産業は、スーパーバブル下で、縮小を軽減できるだけでなく、急成長することが可能だ。具体的には脱原発から産業革命の本命の燃料電池を成功させた巨大な産業・企業が誕生することになる。


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