１月30日（ブルームバーグ）：午前の東京株式相場は大幅反落。新興国経済や通貨安への懸念が再燃し、投資家のリスク回避姿勢が強まる中での円高進行も嫌気された。不動産や金融、輸出関連など東証１部33業種は全て下落し、値下がり銘柄が1700を超す全面安となった。

ＴＯＰＩＸ の午前終値は前日比38.15ポイント（３％）安の1218.03、日経平均株価 は511円53銭（3.3％）安の１万4872円38銭。ことし最大だった前日の上げ分を相殺し、両指数とも日中ベースでは昨年11月14日以来の安値水準に沈んだ。

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの上野賢司シニア・インベストメントマネジャーは、アジア通貨危機時のように全てが終わりという感じではないが、「新興国の懸念払拭（ふっしょく）はなかなか難しい」と見る。米国の量的金融緩和策の縮小継続も、「影響が出たかどうかを実際に判断するには時間がかかり、懸念はくすぶる」とした。

29日の新興国通貨は、トルコ・リラが乱高下し、南アフリカ・ランドは中銀による予想外の利上げにもかかわらず、対ドルで約５年ぶりの安値を付けた。ロシア・ルーブルは最安値を更新、ブラジル・レアルは昨年８月以来の安値に下落した。米金融当局が量的緩和縮小を進める中、新興国資産から資金が逃げている。

ＦＯＭＣ後、株安・円高で反応

米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）は29日の連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で、債券購入額を100億ドル縮小、月650億ドルにする方針を決めた。新興国市場の混乱に加え、ＦＲＢが緩和縮小の継続姿勢を示し、その後の景気・金融市場への影響が懸念された格好で同日の米Ｓ＆Ｐ500種株価指数 は１％下落。為替市場ではドル・円が前日の海外時間に一時１ドル＝101円80銭台と、前日の東京株式市場終了時の103円台前半から円高に振れた。きょう午前は102円20銭前後。

証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は、「新興国の通貨安が止まらず、不安がまた増した」とした上で、米緩和縮小は「米国経済の力強さを裏付ける悪くない話だが、資金が米国に回帰してしまう懸念がある」と言う。

東証１部33業種の下落率上位は不動産、保険、その他金融、ゴム製品、銀行、ガラス・土石製品、精密機器、電気・ガス、電機など。個別ではソフトバンク、任天堂、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、キヤノン、野村ホールディングス、楽天、日立製作所、ＪＴ、三菱地所などが安い。人気ゲームソフトへの期待感で、直近の連騰が目立っていたスクウェア・エニックス・ホールディングスも反落した。

一方、昨年４−12月期の連結純利益が前年同期比27％増だったコマツ、９カ月累計決算が営業増益のＪＲ東海、日立金属が逆行して高い。

東証１部の売買高は14億9886万株、売買代金は１兆4575億円。値下がり銘柄数が1729に達し、値上がりはわずか40にとどまった。