高層マンションが立ち並ぶ中国貴州省貴陽の開発区＝２０１３年２月　（共同）

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140207/ecn1402070727001-n1.htm
2014.02.07　「お金」は知っている

　「チャイナ（中国）リスク」が世界の金融市場をざわつかせている。材料となったのは「不動産バブル崩壊説」である。

　上海の専門家に聞くと、市の中心部では売買件数が減っているが、相場は高止まりしている。いくつかの地方の中小都市では入居者のいない高層マンション群が「鬼城」（ゴーストタウン）化している。香港の長江実業集団総帥の李嘉誠氏は中国国内の不動産物件を昨年１年ですべて売り抜けたという。

　バブル崩壊はあくまでも金融の現象である。中国人民銀行データによると、銀行による不動産関連融資の残高は昨年末で１４・６兆元、約２４６兆円に上る。このうち、バブル融資になる可能性がある融資はリーマン・ショック後に党中央が指令して大々的に貸し出した分で、２００８年末からの増加額は９・３兆元、約１５７兆円である。このすべてが焦げ付くわけではないが、日本のバブル崩壊の場合、銀行不良債権総額はバブル融資の９割の１００兆円を超えた。

　もう一つ重要なデータを国家統計局が発表している。不動産関連投資の資金源別の投入額で、総額は昨年１年間で１２・２兆元である。このうち国内銀行融資は１６・１％、２兆元弱である。内訳にはそのほか、自己資金などがあるが、不明額が４４％、５・４兆元を占める。銀行融資の２・５倍もの資金が不動産関連に投入されているわけだ。

　この不明資金の正体はどうやら、ノンバンクなどが高利回りの理財商品として広く預金者や投資家から資金を集めて、地方政府系の不動産開発業者に融資する「シャドー・バンキング（影の銀行）」である。０８年末からの５年間を合計すると総額で２０・９兆元に上る。５年間で銀行融資の２倍以上のカネが「シャドー」から不動産関連に出ている。

　ノンバンク系と言っても銀行とは密接なつながりがある。理財商品は主に銀行の窓口で販売されるし、その半分以上は銀行の返済保証付きである。

　しかもこのノンバンクの企業は銀行からの迂回（うかい）融資を受けている。

　ともかく、不動産向けに融資した理財商品が焦げ付いた場合、銀行は少なくても約１０兆元の保証履行を迫られる。となると、不動産バブル崩壊になれば、銀行の潜在的な不良債権総額は２０兆元前後、約３２０兆円、中国の名目ＧＤＰ（国内総生産）の約３５％にも達する。

　問題は中国バブルの崩壊そのものよりも、崩壊不安である。中国は膨大な外貨準備を見せ金にして党中央指令で不良債権を飛ばす芸当ができる点では日米とは違う。企業や銀行の会計も不透明でごまかしがきく可能性が高いのだが、今回は何しろ規模がすさまじい。経済が高度成長している間は増えるカネの流れに紛れ込ませられるが、成長が減速するとヤバくなる。

　中国不動産相場下落のニュースだけで、新興国の株式市場全体が揺らぐ傾向がすでに現れている。さらに米国、欧州、日本へと波及する。アベノミクスではね返せるか、ちょっと心もとない。　（産経新聞特別記者・田村秀男）

コメント
01. 2014年2月07日 11:22:39 : s415whb7nk 債権大国の日本が、なぜ20年以上もなだらかなバブル崩壊に苦しんできたのか。日本はバブル先進国だから、バブルがどういうことか日本から学ぶべきだ。20年以上もなだらかなバブル崩壊に苦しんできた理由はバブルが大きすぎたことだ。 はるか過去の高度経済成長時代の経済の歪みまでバブルだったから、途方もなく大きいバブル崩壊が起こり、今の日本はこれからも、まだまだ苦しむことになるのだ。
02. 2014年2月07日 12:46:09 : nJF6kGWndY 中国も人民銀が本気になればバブル崩壊にはならない しかし内政を考えれば、流石に露骨なモラルハザードは避けたいだろう 欧州危機と似たようなパターンを辿るのだろうな
03. 2014年2月07日 12:54:29 : fDdn7QcF3I 中国市場は欧米市場よりレバレッジが少ない。財政赤字も米国や日本程ではない。市場経済も完全ではないので、不良債権飛ばしの国家的詐欺も容易だ。崩壊までにはかなり時間を要すだろうね。
04. 2014年2月07日 14:01:21 : 6fBmHYGVdE 飛ばしと言う手口だが、日本では決算期日の異なる子会社複数に不良債権を飛ばしてごまかすやり方だった。　共産主義社会では、どんな方法で不良債権の隠蔽がかのうなのだろうか。　国家の経済指数を根拠のない過大な数字にしてごまかすと言う手口なら、現在すでにやっていると言う事だろう。　誰が見てもチャイナのGDPが、年率7％も伸びているはずがない。　少なくともこの5年間のGDP伸び率は、どんなに甘く見ても２％程度。　直近の数字なら、マイナスに落ち込んでいるのじゃないか。　いくら白髪三千丈の国柄とはいえ、インチキな経済指数でごまかしきれるわけはない。　さらに政府・党・軍の幹部が蓄財に走り、溜まった富を海外投資に上乗せして海外に逃避させていたのであれば、国家そのものが潰れてしまう。　既に海外投資家にはその実態がばれてしまい、投資の引き上げが始まっている。　見せ金と言われる外貨準備そのものが、相殺されてしまっていると見ても良い。　何時その実態が明らかになるか、時間の問題だろう。
05. 2014年2月07日 15:01:13 : uO5xns7LQo シナは統制経済。自由経済ではない。物価、金利、土地価格、為替が操作されて凍結されてる。通貨発行量も自由に増やせる。国債だけで金融政策をしてない。frb国債金融カルテルの言う事なんてきかない。通貨を発行する錬金術ができる。すべてはバーチャル経済。だからｊ怖いのは不安増大での叛乱。流民がでることだ。ばく大な流民がでてシナ帝国軍も加担すれば政権は皆殺しにされる。各地のシナ帝国軍の勃興により大衆は略奪、殺人、強姦、食料化されて多くが絶滅して民族の交代が起こるはシナの繰り返されてきた歴史の必然だ。 日本は米国と国際金融カルテルに征服されてる完全な植民地だから、20年も収奪されてきただけ。日銀による通貨発行量の削減によりデフレで、米国とシナと韓国に財が移転される政策を強制されてただけ。日本人家畜の奴隷化による収奪だ。低金利と金融政策、為替と円高で収奪する。ダマスゴミと学者が騙すのよ。政治家は買弁。 現在は買弁が最高の商売だ。個人の利益しかないシナ人にちかずいてきた。
06. 2014年2月07日 15:56:53 : 4rtsGA2o4g 今回は何しろ規模がすさまじい>>>> 流石サンケイ品質　不良債権の額も示さず論を進める。 ＧＤＰはもはや日本の２倍だ。
07. 2014年2月07日 19:27:13 : yy7D5jhcis 日本との決定的な違いは100兆円単位で国外に資金を逃避させるような自民党幹部が存在していなかった点だろう（100億円単位はあっただろうが）。日本の金融業界がデタラメをやりまくっていた時でさえ、金融機関には一応の監査が義務づけられていたが、中国にはそれが全くないのだから、どれほど凄まじいインチキが横行しているか、想像に難くない。おいしい部分はすでに姿を消してロンドン、ニューヨーク、トロント当たりの不動産にでも化けてしまって、国内にはカスのような不良債権だけが残されている可能性大とみる。マルコス・イメルダ王朝を100倍くらい巨大にした怪物が今の中国共産党だ。も一度文革でもやったら？
08. 2014年2月07日 20:19:12 : mcEHatQcYg 中国が、とか言っても、日本の1000兆円の国債も中身はジャンクじゃない、中国の幽霊ビルと変わらない気がする。
09. 2014年2月08日 17:37:12 : VtOEAeXZZM 今月に期限が来る理財商品だけで６６兆円ありますが？ もう助かりましぇ〜ん。

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