規制、流通まで含めて、全体最適化する必要があるだろうな

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110818/222153/
ノルウェーは漁業が重要な輸出産業になっており、魚を150カ国以上に輸出している。漁業者は若者でも1000万円の年収があるといわれる。これは日本の漁業の一人当たり所得が300万円とすると、日本とノルウェーとの生産性の格差に対応している（下表参照）。ノルウェーから輸入されている代表的な魚はサバである。日本のサバ生産の1割程度をノルウェーから輸入している。ノルウェー産は脂がのり大型のものであり、日本産は未成熟の小型であることから、国内では売れないのでアフリカなどに輸出されているといわれる。

日本とノルウェーの水産比較
　 日本 ノルウェー
生産数量（千トン） 5890 3409
生産金額（億円） 17189 2660
就業者数（万人） 34.3 1.4
港数 2931 500
漁業協同組合数 1480 6
生産コスト（万円／トン） 29 7.8
一人当たり 501 1900

ノルウェーの水産業に競争力がある理由は、徹底した資源管理と漁獲枠の設定である。消費者の手元までまで商品を管理する体制が構築されている。まずノルウェーでは鮮魚として食卓に上がる魚は最低落札価格が公的に決定されており、それ以下では入札できない。価格は電子的なオークション・システムで決まる。ごく希に最低落札価格を下回ることがあるといわれるが、高い価格で取引されるのである。ノルウェーでは販売組合を通してのみ流通は可能である。

　したがって、漁業者には最低限の収入が保証されている。漁業者の収入は安定する。船ごとに漁獲量が割り当てられるから、先を争って漁をする必要はなく、高く売れる魚だけを選んで漁獲するという行動がとられる。設定された価格が安いわけではないので、未成熟な小型の魚は漁獲しないのである。

　漁業者に対する補助金は現在では支払われていない。ノルウェーの仕組みは所得保障制度でもない。補助金を無くすことで、過剰な漁船や漁業者が排除されたといわれる。むしろ漁業者は資源料を政府に支払っている。ノルウェーの「持続可能な発展できる」漁業は市場メカニズムに基づいて高い生産性を実現しているのである。漁獲の操業についても、ノルウェーは一人当たりGDPが日本の2倍の国であり、高度に省力化されていることも忘れることができない。

漁業のクラスター化

　ノルウェー漁業のもう一つの柱はクラスター形成と科学的な養殖である。養殖業は漁業輸出金額の50％近くを占めており、主要な魚種はサケ・マス類である。EU政府はさまざまな業種でクラスター化を推進しているが、ノルウェーはNCE（ノルウェー専門家センター）という名称でクラスターを12カ所設定している。

　クラスターとは、ここでは漁業養殖に関連する企業や大学などが一地域に集中している状態を指す。関連産業やマーケティングや技術などの専門家が協働することで競合企業に対して競争力を発揮する。情報共有しながらイノベーションを促進するために協働を促す。海洋関連のクラスターはいくつかあるが、漁業の「養殖NCE」は重要な役割を果たしている。

　1970年代以来、ノルウェーにとって最も重要な輸出産業のひとつとして、北部の海岸沿いに発展してきた。ノルウェーの魚類養殖産業は2010年には41億ユーロ（4500億円）を輸出したが、同時に海岸地域への人々の居住を促し過疎化を防いできた。関係者は協働しながら、幅広い能力や技能を蓄積し、効率的なクラスターを形成することとなった。20を超える企業、大学、研究機関などがパートナーとして協働している。

　「養殖NCE」の活動は5つの優先課題で組織されている。すなわち、（1）市場での高い評価、（2）生産、魚の環境、自然環境、技術の重視、（3）雇用増と人材育成、（4）外部環境への対応、（5）ネットワークの強化と企業間の情報共有。企業間の共通プロジェクトの実施を通してクラスター自体を強化するというものである。

　「養殖NCE」はノルウェー魚類養殖産業の発展を牽引することが目的である。そこで、次のような目標を掲げている。2017年までに、この地域で50億クローネ（734億円）の売上増と600人の雇用増を実現するというものである。これは既存事業の拡充と新たな業種の養殖により実現することが考えられている。

　もう一つの目標はノルウェー全体のR&D戦略と連動させながら、資源をより有効に活用するというものである。2009年には、漁業省、教育研究省、貿易産業省などと連携して、海洋生物に含まれる生理活性物質などを、医療品、バイオエネルギー、化粧品など食用以外にも活用する戦略を推進することが決められた。

　日本では、漁業に限らず、第一次産業の生産性は低いというのが常識のようになっている。しかし、ノルウェーの漁業に限らず、米国に次いで第2位の農産物輸出国オランダ、デンマークの畜産業やフィンランドの林業など、知識集約型の農林水産業は先進国でも基幹産業となっている。スウェーデンでも農業は儲かる事業だという話を聞いた。

漁業組合はけっこう外に収入源がある。海上に建設した関西新空港、中部国際空港、羽田も沖合に大きく広げた。あとは言わなくてもわかるでしょう。

神戸も北九州も海上に建設しました。