財務省が21日発表した2013年度の貿易統計速報（通関ベース）によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は13兆7488億円の赤字となった。赤字は３年連続で、赤字額は12年度に続いて過去最大だった。円安で原油など燃料の輸入額が膨らんだ。輸出額は３年ぶりに増えたものの、円安が進んだ割には貿易収支がなかなか改善しない構造が鮮明になった。

　赤字額はこれまでの過去最大だった12年度より７割近く拡大した。３年続けて赤字となるのは比較可能な1979年以降で初めて。

　輸入額は84兆6052億円で前年度比17.3％増え、過去最大となった。東日本大震災後の原子力発電所の運転停止で火力発電用燃料の需要が高まったことなどから、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）などからの原粗油が18.4％、カタールなどからの液化天然ガス（ＬＮＧ）が18.2％増えた。

　国・地域別にみると、輸入額の増加を受け、欧州連合（ＥＵ）や中国との貿易収支の赤字額が過去最大となった。ＥＵからはドイツ製などの自動車の輸入が30.0％増えた。中国からは太陽光発電に使う太陽電池の輸入が多かったほか、スマートフォン（スマホ）を中心とした通信機も33.1％増加した。

　外貨建て取引基準となる円相場の公示レートは１ドル＝99円97銭と前年度に比べ21.1％の円安だった。

　一方、輸出額は70兆8564億円だった。前年度比10.8％増と３年ぶりに前年度を上回ったものの、輸入に比べて伸びは小さかった。伸びが目立ったのは米国向け。自動車や航空機用エンジン部品などが好調で、輸出額は15.9％増加した。中国向けもペットボトルの原料となるパラキシレンなど有機化合物や自動車などが増え、14.6％増加した。

　同時に発表した14年３月の貿易収支は１兆4462億円の赤字だった。赤字額は単月では過去４番目の大きさとなった。

　輸入額は前年同月比18.1％増の７兆8288億円で３月としては過去最大だった。サウジアラビアからの原粗油やカタールからのＬＮＧなどエネルギー輸入が全体を押し上げる状況が続いた。

　輸出額はイギリス向けなどの自動車が9.0％増えたほか、鉱物性燃料が31.6％、鉄鋼が5.4％増えた。

　貿易赤字は21カ月連続。直近１年以上は輸出入ともに前年同月を上回っているが、円安を背景にした輸入額の膨張に歯止めがかかっていない。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2100I_R20C14A4MM0000/