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コラム:国際与信動向から占う円安・ユーロ高の持続力=鈴木健吾氏:QEで米銀国際与信は5年で倍増:全世界では横ばい
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/264.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 23 日 16:34:13: Mo7ApAlflbQ6s
 


コラム:国際与信動向から占う円安・ユーロ高の持続力=鈴木健吾氏[ロイター]
2014年 04月 23日 12:09 JST

鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト

[東京 23日] - ここ数年の「円の下落」や「ユーロの底堅さ」、また昨年来注目を集めた「米国の量的緩和ペース縮小をきっかけとした、新興国からのマネー逃避」などの動きは今後も続くのだろうか。国際与信動向という切り口から考えてみたい。

国際決済銀行(BIS)は、各国銀行部門の対外与信状況を取りまとめた国際与信統計を四半期ごとに発表している。3月9日に公表された最新の同統計によれば、2013年9月末時点の世界の国際与信総額は31兆0402億ドルと前期(13年6月末)に比べ5000億ドル程度増加した。
しかし、その水準はリーマンショックが起きた08年の第4四半期以降の平均値、約31兆ドルとほぼ同水準。実は13年9月末までの約5年間、この平均値から上下0.5%程度しかぶれておらず、世界の国際与信総額はほぼ横ばいで推移している。

一方、国や地域ごとの与信額の増減は、その時々のリスク許容度を背景とした資金シフトであり、通貨の強弱にも大きな影響を及ぼしているものと考えられる。ここでは、リーマンショックが起きた08年以降の国際与信動向、特に直近2年間(11年9月末―13年9月末)の動きを中心とした国際与信と為替市場の動向を追ってみた。
なお、BISによる国際与信統計には、借り手の所在地によって分類された「所在地ベース」と国籍によって分類された「最終リスクベース」があるが、本コラムではカバレッジが広く、過去データが豊富な「所在地ベース」の数値を扱う。


<欧州の与信動向はユーロ買い要因に>

まず世界の銀行は08年以降、ユーロ圏への与信を大幅に圧縮したほか、ユーロ圏内の銀行間でも信用圧縮が起きている。
特にGIIPS諸国(ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)に対する与信額は、ピークの08年6月末から13年3月末にかけて45%も減少するなど半分近くに圧縮された。欧州全体(新興国と先進国)への与信に関しても、減少ペースこそ鈍りつつあるとはいえ、11年9月末―13年9月末の直近2年間を含め減少そのものは続いており、改善に転じたとは言い難い。

ユーロ圏からその他の地域への与信も、圧縮傾向が継続している。直近2年間は、世界の銀行からユーロ圏に対する与信圧縮(ユーロ圏からの資金逃避、ユーロ売り要因)よりも、ユーロ圏からその他の地域に対する与信圧縮(ユーロ圏への資金回帰、ユーロ買い要因)の方が約3000億ドル程度上回っていた。このような与信縮小によるユーロ圏への資金回帰は、ここ数年ユーロ相場が底固さを示している要因の1つであると考えられる。

むろん、欧州債務問題が今後さらに改善に向かうなかで、ユーロ圏への与信は徐々に回復傾向を示していく可能性が高いとみられる。実際、GIIPS諸国への与信は13年9月末にかけて2四半期連続で微増しており、国際金融市場からの信頼を次第に取り戻しつつあることを示唆している。だが反面、ユーロ圏からその他の地域への与信増加は当面望み難い状況だ。

現在、ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)による銀行監督一元化(SSM)を11月に控え、その準備の一環として域内銀行の資産査定が本格化している。そして、査定後にはストレステスト(健全性審査)の実施が待ち構えている。
欧州では過去に、ストレステストで合格とされた銀行がその後破綻したケースもあった。来年1月の単一破綻処理制度(SRM)の発足を見越して、ECBは今回、かなり厳密な資産査定を進めているものと思われる。
このような状況下、目先ユーロ圏の銀行は与信圧縮を余儀なくされ、今後、その拡大が現実味を帯びるまでには年単位の時間が必要になるだろう。ユーロ圏へのエクスポージャー拡大とユーロ圏からのエクスポージャー縮小継続は、経常収支の黒字拡大を通じ為替市場に対してはユーロ買い要因となる。


<新興国向け与信縮小には歯止めの兆し>

新興国に対する与信は、リーマンショック後09年にかけて一旦は減少。しかし、11年にかけては、先進各国の量的緩和競争や「世界経済のエンジンが先進国から新興国へシフトする」との期待などを背景に拡大に転じた。その後、新興国の成長に対する懸念も台頭するなか減少する動きもみられていたが、13年以降、縮小には歯止めがかかりつつある状況だ。
直近2年間の動向に焦点をあてると、前述の通りユーロ圏から新興国への与信は減少傾向が観測されているが、新たな与信の提供元として日本の存在感が高まっている。この間、ユーロ圏から新興国への与信額が593億ドル減少した一方で、日本から新興国への与信額は583億ドル増加し、減少分を補う形となっている。新興国へのエクスポージャーとしてはバランスしているが、フローとしてはユーロの上昇要因、円の下落要因と捉えることが可能だ。

また、米国から新興国への与信動向を観察すると、量的緩和第3弾(QE3) の導入などを背景に13年3月末にかけて拡大したものの、その後は2四半期連続で縮小している。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)前議長がQE3の段階的縮小(テーパリング)の可能性に言及し、新興国通貨が対ドルで急激に下落する動きがみられたのは13年半ば以降であり、与信の推移はこの動きと整合的だ。
今後もテーパリングが継続しFRBが金融政策の引き締めへと動けば、新興国通貨が対ドルで下落する動きは継続する可能性があるが、全体としては前述の通り新興国向け与信縮小には歯止めがかかりつつある状況だ。米国の景気回復期待などが、リスクオンムードを通じて日本など他の金融緩和国の対外的なエクスポージャー拡大姿勢を後押しすることで、新興国向け全体としては与信が増加傾向となっており、目先はこの傾向が継続するものとみられる。


<ドル110円到達を後押しする日米与信動向>

米国の全般的な対外与信動向は、テーパリングの影響もあり13年3月末から13年9月末にかけて2四半期連続で計1200億ドル程度減少しているものの、直近2年間を比較すると約500億ドルの微増であり、横ばいのイメージだ。
ただ、08年9月末からの5年間では約1兆6000億ドルから約3兆2000億ドルへと倍増しており、長期トレンドとしては増加傾向にある。今後に関しては、短期的には量的緩和ペースの縮小から過剰流動性の吸収へと向かうなか縮小するとみられるが、中長期的には景気回復が拡大を促す可能性もあり、判断が難しい。

一方で、日本から海外への与信はアジアや南米の新興国向けなどを中心に、トータルとして拡大傾向が鮮明だ。対ユーロ圏および同域内の新興国向けに関してもわずかながらここ2年間で拡大しており、日系金融機関のバランスシート改善やアベノミクス期待からのリスク資産投資拡大が寄与している可能性が高い。

基本的には16年まで国政選挙がないなかでアベノミクスが継続し、日銀も15年4月のインフレ率2%達成に向けて緩和政策を継続もしくは強化していくと予想される。世界の金融市場を揺るがすような危機が具現化しなければ、日本の対外与信の拡大傾向は続く可能性が高いだろう。
為替市場では、日本の貿易収支の赤字定着などと共に、長期的な円安フローの要因となる可能性もあろう。筆者は来年末に向けて、1ドル=110円を上回る展開をメインシナリオとしているが、このような日本勢の与信動向もこのシナリオを中長期的にサポートする要因となるだろう。


*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。明治大学経営学修士。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0D900N20140423?sp=true

 

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コメント
 
01. 2014年4月23日 17:59:56 : nJF6kGWndY
>為替市場では、日本の貿易収支の赤字定着などと共に、長期的な円安フローの要因となる可能性もあろう。筆者は来年末に向けて、1ドル=110円を上回る展開をメインシナリオとしているが、このような日本勢の与信動向もこのシナリオを中長期的にサポート

メインシナリオとしては妥当だが

米国の金利動向や、短期的なポジションの巻き戻し、

それに日本の輸出上振れ、原発再稼働など、アップサイドのリスクもある


02. 2014年4月23日 22:37:14 : xEBOc6ttRg

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3M05E20140423
ユーロ圏総合PMI速報値、4月は2011年5月以来の高水準
2014年 04月 23日 18:11 JST
[ロンドン 23日 ロイター] -マークイットが発表した4月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合が54.0で2011年5月以来の高水準となった。予想は53.1だった。

ただ、新規受注の増加は依然として価格引き下げに支えられていることが明らかになった。

PMIは、50が景況の改善・悪化の節目となる。

サービス部門PMIは3月の52.2から53.1に上昇し、2011年6月以来の高水準。ただただサービス業は29カ月連続の値下げとなり、下げ幅も3月を上回っている。サブ指数である産出価格指数は48.6から48.4に低下し、4カ月ぶり低水準だった。

製造業PMIは53.3で、3月と予想の53.0を上回った。産出価格指数は55.6から56.5に上昇した。

サービス部門PMI速報値はエコノミスト36人の予想レンジ上限を上回り、製造業も予想中央値を上回った。

成長の牽引役となったのは引き続きドイツで、同国の総合PMI速報値は3月から大幅上昇。2月の32カ月ぶり高水準をわずかに下回る水準だった。


日銀リポート、金融機関のリスク資産運用じわり
2014年 04月 23日 21:25 JST
[東京 23日 ロイター] -日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。

昨年4月の「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)の導入以降、金融機関は国債投資を減少させる一方、貸出や投資信託などリスク性資産の運用を増やしており、ポートフォリオ・リバランスが次第に進行している。金融面の不均衡については、現時点で見られないと指摘した。

リポートによると、日銀が異次元緩和によって大規模な国債買入を続ける中、大手行を中心に国債投資を圧縮する動きが継続。それまで国債残高を増加させてきた地域銀行や信用金庫も足元の残高は横ばい圏で推移しており、異次元緩和以降、金融機関は円金利リスクの積み上げを慎重化させている。

この結果、金利リスク量も減少している。金利が全年限にわたって1%上昇した場合の円債の評価損は、2013年12月末時点で7.5兆円となり、同6月末の7.9兆円から減少。内訳は大手行が2.6兆円、地銀が3.0兆円、信金が1.9兆円で、仮に景気回復を伴わずに金利が2%上昇しても、全体として規制水準を上回る自己資本比率が維持できるとしている。

金融機関が国債投資を圧縮する一方で、貸出は前年比2─3%程度の増加が続いており、景気回復を背景に足元では中小企業向けの伸びが高まるなど業種や地域にも広がりがみられている。海外貸出も大手行を中心に高めの伸びが継続。株式を中心とした投資信託などリスク性資産への投資も増加しており、日銀が異次元緩和の効果の波及経路の1つと位置づけているポートフォリオ・リバランスがじわりと進んでいる。

こうした中でリポートでは、金融資本市場や金融機関の行動について「過度な期待の強気化など、金融面の不均衡を示す動きは、現時点では観察されない」と指摘している。

株高や企業の信用力向上などを背景に金融機関の決算は好調だが、国内の貸出利ザヤ縮小を主因にコア業務純益は依然として低下傾向を続けている。本業の収益力向上という課題は克服されておらず、日銀では「中長期的には損失吸収力やリスク・テイク余力を制約する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

(伊藤純夫)

収益向上狙い外債に資金、成長分野への投資も積極化=住生運用計画
2014年 04月 23日 21:38 JST
[東京 23日 ロイター] -住友生命保険は23日、2014年度の一般勘定資産の運用計画について、国内債を引き続き純増とする方針を示した。ただ、国債の低金利推移が続いていることを反映して購入金額を減らし、一部を外債にシフトさせる。成長分野への投資も積極化させる。

住友生命の松本巌運用企画部長は、超長期債からの資金シフトを含めて、外債への投資総額が5000億円より「やや下」になるとの見通しを示した。

<米国債が魅力的>

住友生命は今年度、ALM(資産・負債の総合管理)の観点から適切なリスクコントロールを行いながらも、市場見通しを踏まえてとるべきリスクを取って運用する方針だ。

国債利回りの低水準での推移が続いていることを踏まえ、収益拡大に向けて外債投資を以前に比べて積極化する。同社は「5000億円より上」(松本氏)の規模の超長期債を毎年平準的に購入しているが、その3分の1程度を外債にシフトする予定。

外債投資に際しては13年度にフルヘッジをやめているが、今年度は為替リスクをとる部分をさらに拡大する計画だ。

松本氏は、外債投資の対象国として米国、欧州コア国、豪州を挙げたが「魅力的と感じるのはやはり米国」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)のQE3終了や利上げが予想されるなかで、米10年債利回りが3%を超えてくる局面があると予想。利上げをある程度織り込んだとしても4%が上限だとみているが「金利が上がっていく局面で積極的に投資していきたい」とした。

<成長分野への投資>

住友生命は、前年度に比べてよりリスクをとる運用方針だが、国内債の低金利での推移が長期化していることが背景にある。同社は国債に代替する投資先として、外債、とりわけ米国債に注目している。

また、アジアでの資金調達や国内インフラ投資資金など成長分野での資金ニーズに対し、現中期経営計画期間(14―16年度)で1000億円程度の投融資に取り組む。

前年度は約30億円の医療ファンドを含めて2百数十億円を投じたが、今年度以降さらに積み増していく。200億―300億円程度の実行見込みがすでにあるが、「融資などになると相手方がある。案件の発掘に努力しながら、できれば(1000億円の)3分の1以上のペースでやっていければと考えている」(松本氏)とする。

(和田崇彦)


焦点:国内生損保の「安全志向」変わらず、リスク資産シフトは一部
2014年 04月 23日 18:43 JST
[東京 23日 ロイター] -国内生損保の2014年度資産運用計画が23日、ほぼ出そろった。国債など円金利資産を中心とした運用方針に大きな変化はなく、国内株や外債に興味を示すバイサイドもあるが、リスク資産シフトは一部にとどまっている。

低金利による運用難状況は続いているものの、ALM(資産・負債の総合管理)をベースにした「安全志向」は変わっていない。

<運用難の焦りみられず>

日本生命の14年度運用計画の投資先の配分比率は、前年度とほぼ同じ。増加資金1兆6000億円のうち、約7割程度を国内債券やヘッジ付外債などの円金利資産に投資、3割をそれ以外に投資する従来からの運用の大枠を維持する。

ドル/円が足元で102円台と想定レンジの105─115円からやや円高に振れているため、オープン外債を横ばいから増加させる当初計画だが、これも為替や金利次第だという。ヘッジ付きとオープンを合わせた外債の新規配分額は、横ばいかやや減少する可能性があるとしている。

損保も同様で、三井住友海上火災保険は、今年度も円金利資産中心の運用を継続する計画だ。リスク許容度に応じてリスク性資産を少しずつ積み上げる方針だが、微増にとどまる見通し。「マーケットによって大きく運用方針が二転三転することは、基本的にはない」(財務企画部の原弘章・投資業務チーム長)とする。

日本国債の10年物利回りは足元で0.6%。運用難の状況は今年度も続く見通しだが、各バイサイドの運用担当者にはそれほど焦りは見られない。生保の新規契約に対する予定利率は現在1%程度とみられ、10年債利回りの0.6%とは見合わないが、生保が運用の中心とする20年債は1.4%後半の利回りがある。外債や株式などにも投資していることから、一定の運用益は確保できる見通しだ。

国内生保は、これまで予定利回りが運用利回りよりも高い「逆ザヤ」に苦しめられてきたが、ALMの進展で、保険商品に見合った運用ポートフォリオの修正が進んできていることも「余裕」の背景となっている。

1980年代後半のバブル全盛期、国内生保全体の株式保有比率は20%程度だったのに対し、国債は4─6%に過ぎなかった。2012年度では株式は4.8%に低下する一方、国債は43.1%にまで膨らんでいる。

富国生命は、12年度にグループで、13年度に単独で順ザヤになった。「やるべきことはほぼ終えた。無理をしなくてもALMに見合った収益を稼げるポートフォリオリオを組むことができた」(渡部毅彦・財務企画部長)。三井生命も株式などリスク性資産の圧縮に一定程度の成果が出ており、今年度はリスク資産は微減にとどめるものの、長期の円建て債券で運用する姿勢は崩さない。

<リスク資産へのシフトは限定的>

こうした円金利資産を中心とする運用方針がベースであるが、増加資産の一部を株式やオープン外債などリスク性資産にシフトさせる動きもみられている。

T&D保険グループの大同生命保険は、外国債券を残高ベースで積み増す方針だ。外債投資は基本的にヘッジ付きで、現状で外貨建て資産全体の7割程度となっているヘッジ比率を維持する予定だが、内外金利差や円相場の動向次第では一部オープン外債も検討する。

朝日生命も外国債券を数百億円規模で積み増す計画だという。国内に比べ相対的に高い利回りが見込める欧米債を中心に資金を振り分け、インカムゲインを狙う。ヘッジ比率は従来通り9割程度が基本だが、日米金融政策の差に伴ってドル高/円安が見込まれる局面ではオープン投資も検討し、機動的な対応を図っていく。

富国生命は、6年ぶりに日本株を積み増す計画を策定した。100億円と規模はそれほど大きくないが、株価が下押す局面で、割安かつ高配当利回りの銘柄を中心に投資するという。

ただ、各社の運用計画を総括すると、国債を中心とした円金利資産が運用の中心であることには変わりはない。明治安田生命は増加資金約8000億円のうち、半分弱を円債に投じる。

また、金利が上昇すれば、利回り面で魅力が増すため、国債投資が増える可能性もある。市場では「日本経済の持続的な成長は、まだ見込めない。物価も安定的にインフレとなるかはわからない。そうした中では、金利が一時的に上昇しても、バイサイドが高い金利に魅力を感じて買いに来るだろう。現時点では金利の急騰は考えにくい」(りそな銀行総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏)との見方が多い。

明治安田生命の山下敏彦専務執行役は「アベノミクスには期待しているが、株価が上がりそうだから増やすというわけにはいかない。2倍になるかもしれないが、2分の1になる懸念も常に考えておかなければならない」と語っている。

<インフレ局面は漸進的なシフト>

バイサイドの運用方針に大きな影響を与えかねない要因の1つとして警戒されているのが、インフレ局面の色彩が濃くなったケースだ。インフレ時には株式の魅力が増す一方、金利が上昇する債券は価格が下がり、相対的に魅力が低下する。今週25日に発表される4月東京都区部の消費者物価指数(CPI)で、消費増税分を上回るような上昇率となれば、デフレ脱却もいよいよ視界に入る。

東証1部銘柄の配当利回りは1.7%程度、益回りは6%強と、10年債で0.6%程度の日本国債と比べ、かなり高い水準にある。「低金利の債券投資が正当化できたのは、デフレのためだ。もし、デフレが解消されれば、圧倒的な利回りの株式に一気にバイサイドの資金が流れ込む可能性がある」(国内投信)との見方もある。

ただ、これまで国内生損保はALMに則って負債(保険商品)に見合った資産(国債など)を積み上げてきており、インフレ局面になったとしても、既存の資産を売却する必要性は低い。新規資金に対しては、高い利回りが必要になってくるが、国債利回りが上昇すれば、円金利資産の魅力も増すため、一気に株式などリスク資産に流れ込むわけではないとみられている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3M06L20140423


 


[ロンドン 23日 ロイター] -マークイットが発表した4月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合が54.0で2011年5月以来の高水準となった。予想は53.1だった。


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3M04920140423
日銀総裁が13年度CPI上振れ言及、緩和観測けん制の構図に
2014年 04月 23日 16:00 JST
[東京 23日 ロイター] -日銀の黒田東彦総裁が23日午前の衆院財務金融委員会で、2013年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が日銀の見通しを上回った可能性があると述べ、2%の物価目標達成に向けてあらためて自信を示した。

市場には追加緩和観測がくすぶっているが、CPI上振れ時の追加緩和はないとの声も浮上。結果として市場の緩和催促をけん制した格好になっている。

この日の同委員会では、民主党の前原誠司委員が、日銀による2015年度のコアCPI上昇率の見通しが前年比1.9%と、民間エコノミストの予想(中間値1.0%)と大きくかい離している点などについて質問した。

これに対し、黒田総裁は13年度のCPIが、日銀の従来見通しである「0.7%より少し高めになっているのではないか」と表明。「現時点で順調に2%の物価安定目標に向けて、道筋をたどっている」と述べた。

その上で「民間見通しについて、とやかく申し上げることはないが、昨年異次元緩和を導入したころには、今ごろの見通しについて、多くが0.5%程度とみていた。しかし、足元(2月)の物価上昇率は1.3%になっている」と指摘。民間よりも日銀の見通しが現実に近いとの見方をえん曲に表現した。

そして「日銀としては、民間の見通しと現時点で違っているが、これまでのところ見通しに従って順調に道筋をたどっている」、「順調に道筋をたどっているので、現時点では物価目標を安定的に継続するまで、今の金融緩和を継続するというのに尽きる」と述べた。

2015年度に2%目標を達成できるとの日銀と、民間予想とのかい離が大きく、いずれ日銀は物価上昇率の鈍さを理由に、追加緩和を決断するだろうとの見方が市場で多数を占めてきた。

しかし、民間側は物価が予想以上順調に上がってきたため、徐々に見通しを上方修正してきている。

15年度見通しに関し、昨年10月時点で0.9%だったが、直近は1.0%。こうした民間側の見通し修正を材料に「民間と日銀の見通しかい離を根拠に、黒田総裁が追加緩和を検討することはない」(国際金融筋)との声も出ている。

この日の黒田総裁の国会答弁は、そのような観測を総裁自らが自身の見解で補強したかたちになっているともみえる。

世界経済は、過去20年間にわたってけん引役だった中国の減速やウクライナ問題長期化など、日本経済の回復を腰折れさせかねない材料も目に付く。

しかし、直近の日本経済は、4月消費増税後も景気腰折れにつながるような価格・販売データの明確な下落は観測されていない。ハードデータの収集にはなお時間がかかるものの、日銀は個人消費と公共投資など内需主導による物価上昇シナリオの実現に自信を深めているもようだ。

このため世界経済に重大な波乱が生じない限り「だれがみても2%達成は無理、と思われる時期まで追加緩和の検討は先延ばしされる」(民間エコノミスト)との見方が増えつつある。

別の民間エコノミストは「完全雇用に近づき、総裁自らCPIの上振れに言及する中で、今の強烈な緩和効果をさらに強化するという判断を下すことは、常識的にはありえない」と指摘する。

日銀関係者の間でも、本格的な追加緩和は、よほどの下振れインパクトを誘発させる世界的なイベントが発生しない限り、本格的な検討に入る可能性は相当に下がっているのではないか、との声も出始めている。

(竹本能文 編集:田巻一彦)


1%金利上昇時の債券評価損、大手行2.6兆円・地銀3.0兆円=日銀
2014年 04月 23日 16:18 JST
[東京 23日 ロイター] -日銀は23日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。金利が全年限にわたって1%上昇した場合の金融機関への影響について、大手行で2.6兆円、地域銀行で3.0兆円、信用金庫で1.9兆円の債券評価損が生じると試算した。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3M01720140423
消費増税の影響は吸収可能、金融システム健全=中曽日銀副総裁
2014年 04月 23日 11:40 JST
[東京 23日 ロイター] -日銀の中曽宏副総裁は23日、京都市内で講演し、日本経済は4月の消費税率引き上げの影響を吸収できるとの見解を示した。雇用・所得環境の改善に加え、金融システムの健全性が維持されており、増税後に景気が悪化した1997年とは環境が「決定的に異なる」と強調した。

中曽副総裁は、足元の日本経済について「デフレ均衡から着実に脱出しつつあるように見える」と指摘。もっとも、日銀が掲げる2%の物価安定目標の達成には「なお道半ば」とし、4月の消費税率引き上げが日本経済に与える影響が「注目されている」と語った。

増税の影響については「なおデータの蓄積を待ちたい」としながらも、「日本経済は全体として消費税率引き上げの影響を吸収していく頑健性を備えている」と主張。前回、消費税率引き上げが行われ、その後に景気が落ち込んだ1997年と比較し、「今回は金融システムの健全性が維持されていることが決定的に異なる」と強調した。

その上で、金融政策運営について「何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じれば、2%の物価安定目標を実現するために必要な調整を行う」と指摘。日本経済の持続的な成長には「政府による成長力強化のための施策が着実に実行されていくことを強く期待している」と政府に注文した。

さらに、持続的な経済成長は「安定した金融システムのもとで、円滑な金融仲介機能が発揮されることが前提」と述べ、「金融システムの安定は、金融政策の有効性を確保するためにも必要」と語った。

不動産バブル起きていないが、十分注意したい=黒田日銀総裁
2014年 04月 23日 11:28 JST
[東京 23日 ロイター] -日銀の黒田東彦総裁は23日午前の衆院財務金融委員会に出席し、現時点では異次元緩和による「不動産や金融市場で過度な期待の強化などの不均衡はない」と述べ、バブルの発生はみられないと指摘した。

ただ「日米米欧で不動産への行き過ぎた投資が金融システムに影響した」として、今後の動向に「十分注意したい」と強調した。

銀行貸出については、「大企業向けは若干鈍化しているが、中小企業向けが伸びている」とし、「概ね経済活動に沿って伸びている」と指摘、貸し出しの伸びが「期待外れではない」と述べた。今後についても、「すう勢として伸びが高まっていく」との見通しを示した。

<物価、「民間予想を上回っている」>

物価は、「現時点で2%の目標を目指し、順調に道筋をたどっている」とし、2013年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、日銀の従来見通しである前年比0.7%より「おそらく高めになる」と述べた。 また、民間エコノミストの多くが昨年4月の異次元緩和開始時に予想していた物価を、現状は上回って推移していると指摘した。

そのうえで「何らかのリスク要因で見通しが変われば、必要な(政策)調整を行う」と、場合によっては追加緩和を辞さない姿勢を示した。政策手段については「そのときの経済・物価情勢、市場動向をみて判断する」と述べるにとどめた。

また「物価目標を安定的に達成した後、国債の財政負担を下げるため金融政策を行うことはない」と述べ、名目金利を抑え続けるためには、異次元緩和を止められないのではないかとの質問に反論した。

前原誠司委員(民主)の質問に答えた。

(竹本能文 編集:田中志保)

コラム:インフレ消滅のアジア、債券価格はさらに高騰も
2014年 04月 22日 14:26 JST
Andy Mukherjee

[シンガポール 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アジア地域ではインフレが消えてなくなり、アナリストは予想外と受け止めている。もしもインフレが近く再燃しないと判明すれば、既に高水準にあるアジアの債券価格が一段と上昇する可能性がある。

シティグループの「インフレーション・サプライズ指数」によると、アジアの消費者物価と生産者物価はエコノミスト予想よりも実際の方がずっと低い。同指数がゼロ未満なら、予想が高過ぎたか実際の数字が低過ぎたことを意味し、3月はマイナス14.7と8カ月ぶりの低水準になった。

2008年の金融危機前は、アジアの消費者物価は予想を上回るペースで上昇し、投資家は債券リターンの要求水準を高め、中央銀行が短期金利を引き上げた結果、ソブリン債の利回りは跳ね上がった。

ところが12年以降は物価上昇率が予想対比で下振れするようになった一方、アジア債券の平均利回りは投機資金の流入でかなり低い水準になったとはいえ、想定ほどは下がっていない。

これは米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期をめぐるシグナルが混乱していることが一因だ。FRBが利上げすれば、投資家は妙味の薄れるアジア債を売るだろう。

だがFRBが動かない場合、現在の低成長、ディスインフレという環境からすればアジア債券は相当に魅力を持つことになる。もしも投資家が米利上げが差し迫ってはいないと判断すれば、アジアのディスインフレが再び債券利回りの方向を左右するとみられる。

そして物価に関する材料はほとんどが下向きを示唆している。中国では財の価格は政府目標を下回る伸びであり、タイの物価も低迷中。シンガポールと韓国の中央銀行は物価見通しを下方修正し、経済が急成長を続けるフィリピンでも早期利上げをしなければならない理由は見当たらない。インドネシア中銀は来年までに利下げできるかもしれない。

インドだけは物価が過度に高いが、中銀は利上げではなく利下げを準備しているように見える。

投資家は今年これまでにアジアの発行体が販売した500億ドル強の債券を引き受けてきた。これは前年同期をやや上回り、今後ユーロ圏の量的緩和や日銀の緩和強化でリターンを求めて新興国により多くの資金が流入するようなら、債券販売額はもっと膨らむ余地がある。

FRBの政策に関する不透明感が払しょくされ、投資家の早まった米利上げ観測が後退すれば、アジアのインフレ消滅に賭ける取引が活発化するだろう。

●背景となるニュース

*シティグループがまとめた日本以外のアジア太平洋地域の「インフレーション・サプライズ指数」は3月がマイナス14.7と8カ月ぶりの低さになった。同指数のマイナスは、消費者物価と生産者物価がアナリストのコンセンサスよりも低かったことを示している。

*トムソン・ロイターによると、バークレイズのアジア新興国のソブリン債指数の満期利回りは16日が4.26%。今年一番高かったのは1月8日の4.68%だった。

*中国では3月の生産者物価指数は前年比2.3%の下落で過去9カ月で最も大きな下落率に並び、消費者物価指数の前年比上昇率も2.4%と政府が今年の目標として掲げる3.5%を下回った。消費者物価上昇率が過去1年10カ月で3%以上になったのは4カ月しかない。

*シンガポールの中央銀行は14日、今年の物価上昇率見通しを2─3%から1.5─2.5%に引き下げ、韓国中銀も2.3%から2.1%に下方修正した。

*インドネシア中銀のハリム・アラムシャ副総裁は、来年にはインフレが鈍化して利下げできる可能性があるとの見方を示した。ブルームバーグが16日、副総裁のインタビュー記事を伝えた。

*フィリピンの物価上昇率は3月が3.9%で2月の4.1%から鈍化。中銀の今年の目標は3─5%。タイの予想物価上昇率は3年8カ月ぶりの低水準となっている。

*筆者は「ReutersBreakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3M02720140423
第1四半期の豪CPI、予想下回る:識者はこうみる
2014年 04月 23日 13:04 JST
[シドニー 23日 ロイター] -オーストラリア連邦統計局が発表した第1・四半期の消費者物価指数(CPI)は、伸びが市場予想を下回った。今回の数字は、インフレ率が長期目標の2―3%で安定して推移するという豪準備銀行(RBA)の見方を裏付ける内容となった。これにより、年内の利上げ圧力は大きく後退し、豪ドルは急落している。

市場関係者の見方は以下の通り。

●金利動向の手掛かりとはならず

<コモンウェルス銀行のチーフエコノミスト、マイケル・ブライス氏>

インフレをめぐる懸念がやや後退するだろう。

インフレ指標の大半は依然目標レンジの上限にあるため、中銀が緩和バイアスに戻ることはない。

数週間後に発表される次の声明では、予想の修正は小幅にとどまる見通しだ。

(CPIは)利上げを明確に確信・否定する手掛かりとなる内容ではない。

●中銀は中立バイアス維持へ

<AMPキャピタル・インベスターズのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏>

肝心なことはインフレ率は依然穏やかであり、豪中銀に早期の利上げを求める圧力がないことだ。豪中銀が緩和バイアスを回復させるとは思わない。中銀は安心して中立バイアスを維持することができるだろう。

豪ドルが下落したことは驚くに値しない。市場はより高水準のインフレ率と早期の利上げの可能性を織り込んでいたと私は考えているが、そうならなかったため、豪ドルは0.5%下落した。

●インフレは引き続き穏やか

<JPモルガンのエコノミスト、ベン・ジャーマン氏>

市場予想より明らかに弱い数字となった。数四半期にわたり予想を上振れる内容が続いていたが、ここで途絶えたことは興味深い。

豪準備銀行(RBA)は政策金利を低水準で維持することがかなり明確となり、インフレは引き続き、比較的穏やかなようだ。

●インフレ基調はそれほど強くない

<RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、マイケル・ターナー氏>

インフレの基調がそれほど強くないことを示している。第1・四半期は、変動要因を除いた市場価格はほぼ横ばいで、サービス部門のインフレは抑制されていた。第4・四半期の高い水準は、弱い賃金の伸びや失業率上昇と相容れなかった。この2つを平均すると、おそらく中銀にとっては悪くない内容だ。

来年第2・四半期まで利上げはないと予想される。やや早まることがあっても、それほど早い時期にはならないだろう。

日米首脳会談でTPP合意は困難、「早期」の成果に期待表明か
2014年 04月 23日 08:54 JST
[ワシントン/東京 22日 ロイター] -訪日するオバマ米大統領と安倍晋三首相との間で開かれる24日の首脳会談では、環太平洋連携協定(TPP)をめぐり大筋合意は困難な情勢だが、TPP交渉参加各国の間では日本が牛肉・豚肉などに対する保護姿勢を緩和させる可能性も含め、交渉妥結への道が開かれるとの期待が高まっている。

ニュージーランドのグローサー貿易相は「日米首脳会談がTPP成功への期待値を幾分はっきりさせることを望んでいる」と述べた。

専門家の楽観的なシナリオでは、両首脳は、近いうちに具体的な結果が生まれると期待していると表明する見通し。「近いうち」とは、ベトナムで首席交渉官会合が開かれる来月を指す可能性がある。

米政府高官は、首脳会談では交渉を次の段階に進める合図を盛り込んだ声明が発表される見通しだとした。

一部業界団体もこうした見方を共有。全米商工会議所の日本・韓国担当シニア・ディレクターおよび米日経済協議会のプレジデントを務めるジェームズ・ファザリー氏は「『われわれの協議は大幅に前進し、妥結目標に向け引き続き交渉を継続する』といった巧妙な文書になるのではないかと私は考えている」と話した。

一方、日米両首脳会談はTPP交渉の行方を決定付けるため、前進が得られなければ、両首脳にとってもダメージは大きい。

豪ニューサウスウェールズ大学のオーレリア・ジョージ・マルガン教授(日本政治)は「(会談で前進がなければ)成果が出せなかったとみなされるため、オバマ大統領のほうがダメージは大きくなりそうだ。一方で、安倍首相は国益を守ったと評価されるだろう」と指摘。「しかし、国際的にみて、(構造改革を意味するアベノミクス)『第3の矢』が後退したとみなされるため、失敗は(首相にとって)悪いことだ」と指摘した。

ブログ:G20が抱える「寿限無」の呪縛
2014年 04月 23日 11:09 JST
基太村 真司

[東京 23日 ロイター] - ワシントンで今月開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明文を見て驚いた。多くの当局者や市場関係者が固唾を飲んで見守っていた金融政策についての表現が、大きく変更されたためだ。

文中に名指しはないが、最近の金融政策に関する言及は主に、米国の量的緩和縮小策を念頭に置いたもの。今回は「透明で適時のコミュニケーションを提供し、世界経済への影響に留意」と、従来に比べてずいぶん簡潔な言い回しとなった。

前回までの文言は、長くて様々な言葉があちこちに散らばり「寿限無」の様相を呈していた。金融政策は「緩和的である必要」があると始まりながら、「然るべきタイミングで正常化すべき」でもあり、それは世界経済にとって「良いこと」で、中期的な「金融の安定性にとって有益」で──。米緩和縮小策実施の正当性を訴えるような言葉が並ぶ。

文言はさらに、中銀の政策運営姿勢に言及しながら続いていた。政策運営は「継続的な情報交換や世界経済に与える影響への配慮との関連」を保ちつつ、「注意深く測定」しながら「明確にコミュニケーションが行われる」ことで合意した、と。つまり何を言いたいのか、と首をかしげる人は少なくなかっただろう。

こうした文章の長さや表現の多層性からにじみ出るのは、大臣・中銀総裁間の議論の白熱ぶりに他ならない。

例えば、後段の「継続的な──」は、前回の2月会合で追加した表現。昨年10月の会合以降、アルゼンチンやトルコなど新興国リスクが相次ぎ表面化する一方、米景気には寒波の影響もありながら、一部で過熱気味とも受け止められる兆候が見られ始める。米連邦準備理事会(FRB)は1月会合で、100億ドルの緩和縮小策の継続を決めた。

その直後、国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストなどを歴任し、世界屈指の中銀マンとして知られるインド準備銀行(中央銀行)のラグラム・ラジャン総裁が「国際金融協調は崩壊した」と、米国の決定に激しく噛みついた。自国状況と無関係に起こる資本流出に直面した新興国と、米国との対立が一気に先鋭化する中での会合だった。

そこで2月会合の声明に登場したのが、先の「世界経済への配慮」との表現。新興国はもちろん、急激な資本移動に混乱しかねない市場に対しても「配慮」するとのメッセージを送り出した。この表現は、初めてG20にFRB議長として参加したイエレン氏ら米側の発案だった模様だ。

今回のG20はウクライナ問題に多くの時間が割かれ、市場でも「見るべき点なし」との評が多くあがった。前回会合から2カ月。新興国問題が小康を得る中で声明が簡潔なものとなった背後には、胸をなで下ろす当局者らの姿が浮かぶ。

しかしその一方で、2月会合で打ち出した「5年で2%成長」に関する言及に異変が起こる。達成に向けて「過去のコミットメントを発展」させ、「ギャップに対処」しながら「需要を引き上げ、リバランスさせ」、為替レートは「柔軟性を達成」して──。以下しばらく、また「寿限無」のように取り組み例の列挙が続く。

参加者の多いG20は、当の国際金融関係者からも「何も決められない会議」と批判を受ける。少数のインナー会合であり、決定機関としての性格を強く持つG7と、多様な価値観の下で問題の点検作業を重視せざるを得ないG20では、根本的な立ち位置が大きく異なる。協議機関が担うべきは明確な論点整理や共通認識の醸成であり、歯切れのいい言葉を威勢よく叫ぶことではない。

そんなG20が珍しく共通数値目標として掲げた成長路線。反対する国は多くないが、問題はやはり具体的な取り組みという各論にある。議論に一歩踏み込めば、ドイツや韓国など黒字を積み上げて成長を加速させる国と、世界最大の赤字を抱える米国との姿勢の違いは明確だ。

これから成長戦略の第2弾を打ち出す日本も含め、成長率の引き上げは今年以降の世界経済を大きく左右するポイントだ。議論が白熱しても、数ある論点を列挙するだけの「寿限無」の呪縛に陥ってはならない。


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