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日本経済、増税の影響受けつつも緩やかな回復を継続=日銀総裁(ロイター)
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/405.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 4 月 30 日 17:47:47: igsppGRN/E9PQ
 

4月30日、黒田日銀総裁が金融政策決定会合後の会見で述べた発言をまとめた。写真は8日、都内で撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)


日本経済、増税の影響受けつつも緩やかな回復を継続=日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DG0KO20140430
2014年 04月 30日 17:25 JST


[東京 30日 ロイター] - 日銀の黒田東彦日銀総裁は30日、金融政策の現状維持を決めた金融政策決定会合後の記者会見で、日本経済は消費税増税の影響を受けつつも基本的には緩やかな回復を続けると語った。黒田総裁の主な発言は以下の通り。

─日本経済、消費税率上げの影響を受けつつも基調的には緩やかな回復続ける

─日本経済、堅調な国内需要に支えられ前向きの循環メカニズムが引き続き働いている

─消費者物価、見通し期間の中盤ごろに2%に達する可能性が高い

─物価、今年度後半から再び上昇

─佐藤委員と木内委員、2%達成の「可能性が高い」との記述に反対

─白井委員は2%達する時期を「終盤にかけて達成」と提案、否決

─14年度成長率、輸出回復のあとずれから下方修正

─経済物価情勢について上下双方向のリスク要因点検し、必要な調整を行う

─リスク要因に変化生じ、必要なら躊躇なく調整行う方針変わらない

─2%の物価安定目標、安定的に持続するために必要な時点まで量的質的緩和を継続する

─日本経済、2%の物価目標を安定的に持続する成長経路に移行していく可能性が高い

─現時点の見通しで出口の時期を特定するのは時期尚早

─量的質的緩和持続し、2%の目標実現し安定的に持続できるようになることが一番重要

─2%の物価安定目標達成、まだ道半ば

─見通し期間の中盤は15年度を中心とする期間、「中盤頃」とある程度幅もった表現にした

─2%の物価目標達成時期が後ずれしているということは全くない

─2%達成時期、後ずれしていない

─CPIの中央値の幅は14年度も15年度も狭くなっている、より確度高い

─16年度まで潜在成長率上回る成長続く、需給ギャップ縮小し賃金物価上げる状況になっている

─債券市場が流動性が極度に低下し取引が停滞しているという状況にはなってない

─4月14日の新発10年債取引不成立、例外的な事情

─春闘は久しぶりにベア含めかなり高い名目賃金上昇、雇用改善で雇用者所得も伸びて今後も伸びが期待される

─消費増税の反動減の影響は概ね想定の範囲内、消費の基調的底堅さ維持

─消費税引き上げの経済物価への影響、ハードデータやヒヤリング含めた情報活用し予断持たず点検

─物価安定目標の道筋から外れれば当然調整行われる、今までのところは道筋たどっている

─16年度まで潜在成長率上回る成長続き需給バランスはさらに改善、物価が上がる姿描かれている

─潜在成長率は計測方法によって違う数字、ある程度幅もってみないといけない

─潜在成長率、労働市場や資本稼働率などみて判断している

─われわれの金融政策や経済見通し、2度の消費増税を前提にしている

─実質成長率高い方がよい

─耐久財消費の反動減、概ね想定の範囲内

─市場の長期金利、日銀より低い物価見通しを前提としている

─委員は日銀より低い市場見通しを勘案して長期金利を想定

─潜在成長率引き上げていくのは基本的に成長戦略

─上下双方向のリスク要因、特に海外要因ある

─展望リポートのシナリオに沿っていくなら現状の政策続けていく

─設備投資の動き潜在成長率引き上げる要因、注視したい

─金融政策、物価安定が最大の使命


 

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コメント
 
01. 2014年4月30日 18:33:39 : NAFiURDkWM
強気の物価見通し崩さぬ日銀に警戒感、景気失速リスクも
2014年4月30日18時12分

 [東京 30日 ロイター] - 市場の日銀追加緩和期待が後退している。民間予想に反して、日銀が強気の物価見通しを崩さないためだ。もしかすると、追加緩和なしのまま目標の2%を達成してしまうのではないかという警戒感も市場の一部で警戒され始めてきた。

 インフレ到来を織り込む形で、株高・円安が進むのが理想だが、日本経済の勢いがなくなっているとみられれば、円高・株安に逆戻りするリスクも無視できなくなる。

 <注目された16年度のCPI2.1%上昇>

 黒田日銀が目標とする物価上昇率2%の達成には、まだ道半ばとはいえ、30日発表された展望リポートでは、強気な見通しが目を引いた。

 2014年度の1.3%、15年度の1.9%は従来通りだったが、今回初めて公表された16年度は2.1%。市場では2.0%に設定されるとの予測が出ていたが、それを上回った。

 現在の「異次元緩和」政策を変更しなくても、目標の2%を達成できるとも読めるため、展望リポートを受けて、マーケットの追加緩和期待は後退。30日夕方の市場で日経平均先物は下落し、ドル/円も上値が重くなった。イベントドリブン型の短期筋の売買が中心とみられているが、昨年来の日本市場を支えてきた追加緩和期待だけに、影響は次第に大きくなる可能性もある。

 「夏場以降の景気・物価シナリオにこれだけ自信を持っているので、このシナリオをよほど崩すことがない限りは、夏場の追加緩和は難しいのではないか」と、SMBCフレンド証券シニアマーケットエコノミストの岩下真理氏はみる。

 民間予測では、消費増税の影響もあり、日銀予測ほど物価は伸びない見通しだ。日本経済研究センターが10日発表したESPフォーキャスト調査(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、増税を除いたベースでのコアCPIは、14年度0.97%、15年度は1.03%。

 ただ、これまでは日銀シナリオの方に軍配が上がってきた。今後、2%の物価上昇がみえてきたときに、マーケットはどう反応するのだろうか──。

 <短期筋のポジション巻き戻しに懸念>

 1つは、本日にように日銀追加緩和期待が後退することで、ネガティブな反応が出ることが考えられる。いわゆるアベノミクス相場を通じて海外勢が日本株買い、円売りポジションを積み上げてきた背景には、日銀の積極的な緩和姿勢がバックにあった。金融緩和環境が変わらないとしても、追加緩和期待が後退することは、ドル高・円安の一要因であった日米の金融政策姿勢の格差を縮めてしまう。

 特に投機筋は、円の売り越しポジションを6万7000枚近く保有している(米CFTC)。野田佳彦前首相が解散宣言する前の2012年10月時点ではポジションは円買い越しであり、当時のドル/円は80円を下回る水準だった。

 定着した貿易赤字構造など、ファンダメンタルズ上の円安要因も増えているが、短期筋のポジションが本格的に巻き戻されれば、大きな円買い圧力になることは間違いない。

 日本株も年初から海外勢は2兆円以上売り越してきたが、昨年は15兆円以上買い越しており、こちらも売り余地は大きい。足元の企業業績に対しては割安感も漂う水準だが、円高時代に戻れば、収益予想の算段は大きく狂ってしまう。

 <投資家にも根強いデフレマインド>

 一方で、デフレ脱却の効果で期待されるのは、インフレ時代が視野に入ったことにより、投資家が株式などのリスク性資産にポートフォリオをシフトしてくれることだ。為替もインフレになれば円安要因になる。

 足元の景気回復の原動力は、株高による資産効果や円安による輸出企業の業績改善が大きい。株高・円安のエンジンが日銀緩和から投資家のインフレ対応にバトンタッチしてくれれば、景気のサポート要因は維持される。

 ただ、足元の物価上昇は輸入価格上昇などを背景としたコストプッシュ型だ。「悪い物価上昇」との指摘も多い。日銀が指摘するように需給ギャップが改善しているとしても、賃金上昇が伴わなければ、インフレは家計を圧迫し、需要は低下。再び需給ギャップが開く可能性もある。

 投資家にも、過去20年続いたデフレが投資判断に大きな影響を与えているという。「若いファンドマネージャーなどは、インフレ環境というイメージがわきにくいのではないか。少し物価が上昇したからといって、緩和姿勢をすぐに崩してしまっては、デフレ思考がすぐに復活してしまう。姿勢転換は遅過ぎるくらいでいい」と三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジスト、濱崎優氏は指摘する。

 物価が継続的に上昇していくかどうかをみるには、企業の価格決定力が1つのポイントになる。値段を上げていっても、売り上げが落ちないとの確信を企業が持てるようになれば、一時的ではない安定的な物価上昇が展望できる。

 価格決定力を測るのは難しいが、日銀が公表している製造業の投入物価指数と産出物価指数の推移をみると、その前年比の伸び率比較(産出指数/投入指数)は2014年3月は0.75%。つまり物価上昇分の75%だけ転嫁できたことになる。

 月ごとに数値の振れはあるが、ならしてみれば、アベノミクス前と比べて、大きな改善はみられていない。

 SMBC日興証券シニアマーケットエコノミストの嶋津洋樹氏は「デフレ脱却という点に注目している外国人投資家は、まだ少ないようだ。物価が日銀のシナリオ通りに上昇しても、当初は日銀緩和期待の後退というネガティブな影響の方が大きいかもしれない」と指摘。マーケットで、インフレ対応の投資行動が広がるには、9月中間決算発表で、どの程度、企業の価格決定力が回復しているかが重要だと話している。

 (伊賀大記 編集:田巻一彦)

http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0DG0S8.html


02. ひでしゃん 2014年4月30日 23:01:21 : dsqbUTCLpgzpY : xJTMMWm4xY
日銀総裁の自信過剰に要注意
金融政策の最大の使命は物価安定」と言った?
インフレ目標を掲げて物価安定?
デフレからの脱却とはインフレ政策ではない?
国債が売れなくなったのは今後国債が金利高騰(価格暴落)を市場が警戒しているからだろう
労働者の賃金が名目で上昇していると言っても実質大幅ダウンじゃないのかい?
消費税増税+インフレを考慮すれば僅かの賃金アップなど焼け石に水だろう
消費税2段階アップは前提としている?日銀総裁がそこまで言うか?
消費税を引き下げた方が景気は良くなるのじゃないか?
中央銀行は市場や政府に阿る金融政策を続ければ結局信用を失うだろう
国債が暴落すれば国の財政破綻が現実となる
とりあえずヘッジの為金(gold)でも手当しておくか
 

03. 2014年5月01日 05:09:03 : ULHFpSfTjU
馬鹿につける薬はない。

馬鹿に鈴をつける人もいない。


04. 2014年5月01日 12:51:02 : nJF6kGWndY
もう少し失速するかと思ったが、米国も堅調

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0100O_R00C14A5EAF000/?n_cid=TPRN0005
米、量的緩和の縮小継続 消費「さらに加速」予想
2014/5/1 12:00

 【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦準備理事会(FRB)は30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和の証券購入額を5月に月額550億ドルから450億ドル(約4兆6000億円)に減らすことを決めた。米国の個人消費が「さらに加速しそう」などと景気認識を上方修正。想定する今秋の緩和終了へ縮小を継続する。

 市場では6月の次回FOMCでの対応に関心が集まっている。声明は米景気について「(寒波による)急激な減速の後、最近は上向きつつある」と説明。企業投資と住宅部門が低調な半面、消費支出は「加速しそうだ」との見方を示した。

 量的緩和の追加証券購入額は2013年12月のFOMCから4回連続で再び月100億ドル分減らすことを全会一致で決めた。ただ「極めて緩和的な政策スタンスを続ける必要がある」として、事実上のゼロ金利政策は継続する。

 ゼロ金利政策の方向性を示す時間軸(フォワード・ガイダンス)も3月から導入した「幅広い指標を考慮する」との質的基準を堅持。低インフレの状況を「注視する」と警戒感を示したが、長期的に目標の年2%へ近づくとの見通しを示した。

 FOMCの今回の決定は市場の想定内。このペースで縮小を続けた場合、早ければ今年10月のFOMCで追加購入の停止が視野に入る。イエレンFRB議長は今秋の緩和縮小の完了を前提に15年春のゼロ金利解除を示唆したが、市場では「利上げ再開は15年後半になる」(IHSグローバル・インサイト)と慎重な見方も根強い。

 声明は前回の内容をほぼ踏襲したが、メンバーの間ではゼロ金利の扱いなどで踏みこんだやり取りをした可能性が高い。FRBはFOMCと別に29日開いた理事会で「中期的な金融政策事案」を協議したと発表した。詳細は不明だが、市場では金融緩和の出口戦略と関連づける臆測もでている。5月21日に公表される今回の議事要旨や、イエレン氏が記者会見を予定する6月17〜18日の次回FOMCに市場の関心は移っている。


05. 増税反対 2014年5月01日 13:14:14 : ehcoR2LmdzYII : ScYqcWbqvA
 民主党のときは連日連夜「財源」と「国の借金」の問題が

大きく取り上げられてきたのに、自民党公明党政権になった途端、

殆ど問題にされなくなってしまった。

 借金が膨らみ大増税で庶民の暮らしが厳しくなってきてるというのに、

日本経済が回復しているというのは無理がありますね・・・


06. 2014年5月02日 00:07:48 : EQJ9D5T9ok
コラム:「悪い賃上げ」が招く株価と景気の失速リスク=丸山俊氏
2014年 05月 1日 15:49 JST
http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0DH24F20140501&channelName=topNews#a=1
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[東京 1日] - 黒田東彦日銀総裁は歴代総裁の誰よりも資産市場への働きかけを重視していると考えていたが、最近の記者会見における変質ぶりにはいささか面食らっている。

金融政策がフォワードルッキングな期待に働きかけることの限界を認めた上で、今後はバックワードルッキングな期待の働きが大切であるといった趣旨の発言をしたからだ。

フォワードルッキングな期待の役割が大きい株式市場にとって、上記のような発言は黒田日銀の宗旨替えとも受け止められかねない。事実、筆者のもとには海外のマクロファンドなどから「日本にはもう投資しない」といったメールも届いた。

確かに、物価は日銀の目論見通りか、それ以上の上昇を示している。家計や企業の(インフレ)期待に働きかけて消費や投資を喚起したり、金融機関に対して貸し出しやリスク資産へのシフトといったポートフォリオリバランスを促したりといったことを殊更に追求しなくても、デフレ脱却の道筋は見えてきたという自信の表れなのだろう。前々回の金融政策決定会合後の総裁会見(4月8日)を契機にして株価は急落したが、今のところ日銀執行部に全く動じる様子は見られない。

しかし、日銀が当初企図していた黒田総裁・岩田規久男副総裁流のトランスミッションメカニズム(インフレ期待による消費・投資の喚起)や金融機関のリスクテイクは、期待したほど起こっていないのがもう一つの現実だ。日銀は政策の手段と目標こそ首尾一徹しているが、目標達成のための軌道を修正しているようである。

つまり、上述の経路を素っ飛ばして、労働市場のひっ迫を背景とした賃金上昇によってデフレから脱却が実現できるという論法に軌道修正を図っているように見受けられる。だから、4月からの消費増税後の景気についても消費の落ち込みは軽いと想定し、また賃金上昇や現実に物価が上がってくることによって、期待インフレは一段と高まり、そのことが現実の物価を一段と押し上げると考えているのだろう。

統計データに基づいたアカウンタビリティ(説明責任)を求められるのは致し方ないことだが、これでは「できることは何でもやる」という非常時モードから「説明できることをやる」という正常時モードに早くも戻ってしまったかのようだ。もっと言えば、黒田総裁が昨年実行した日銀「企画局」主導型から白川方明日銀前総裁時代に見られた「調査統計局」主導型の政策運営への先祖返りである。

むろん、そのこと自体の良し悪しは別問題だが、少なくとも日銀はマーケットに対してアヘッド・オブ・ザ・カーブ(先取り的な対応)でなくなったと考えなければならないだろう。日銀は自ら「日本買い」の幕を開け、自らその幕を閉じたと言えるのではないだろうか。筆者が所属するBNPパリバ証券は、日銀の宗旨替えを理由に2014年の日本株見通しを下方修正した。

<労働市場の回復は本物か>

こうした日銀の宗旨替えの根底には、当の日銀ですら想定していなかった労働市場の需給ひっ迫があることは先にも述べた通りである。確かに、有効求人倍率は07年以来初めて1倍を上回り、完全失業率は3.6%にまで低下。3月の日銀短観では雇用人員判断DIが全規模・全産業で「不足」を表すマイナス幅を拡大させただけでなく、これまで採用を絞ってきた中堅・中小企業でも同DIが1990年代前半と同水準にまで低下している。

また、労働需給のひっ迫を反映してパート・アルバイトの時給は上昇。正社員の賃金もボーナス(賞与)だけでなく、賃金の大部分を占める基本給で何年ぶり、あるいは何十年ぶりというベースアップが労使間協議で妥結した。

さらに、カジュアル衣料品「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)はパート・アルバイト約3万人のうちほぼ半数にあたる1万6000人を(地域限定)正社員に転換すると発表。同様の動きは、世界最大の家具量販店イケアやコーヒーチェーン大手のスターバックス(2712.T: 株価, ニュース, レポート)など、人手の確保に悩む小売・外食産業に広がりつつある。

バブル経済崩壊と厳しい国際競争によって終身雇用・年功序列を柱とする日本型雇用システムが崩壊した90年代以降、名目賃金は基本的に下がり続けていたが、正社員雇用の復活とともにようやく長いトンネルから脱け出しつつあるようだ。

しかし、果たしてこの労働市場の回復は本物なのだろうか。つまり、新しい財やサービスに対する需要や労働者一人あたりの生産性上昇によって達成されたサステナブル(持続可能)な現象なのだろうか。それとも向こう数年でピークを迎える震災からの復興需要のおかげなのか。あるいは団塊世代のリタイアや少子化に伴う労働力人口の減少によって人手不足が生じているからなのだろうか。

もし後者2つの要因の影響が大きいなら「震災復興と(労働)人口減少によるデフレ脱却」といったチンプンカンプンな話になる。依然として硬直的な労働市場と社会保障改革の遅れとが相まって、しまいには労働コストの上昇によって競争力が低下するだけだろう。

安倍晋三首相・黒田日銀総裁の二人三脚が始まってわずか1年あまりで起こり始めた労働市場の劇的な改善をどう考えるかで、日銀の金融政策、さらには15年度以降の日本経済・株式市場に対する見方が変わるということである。

実際、ある海外大手運用機関ではロンドン拠点は日本市場に弱気になったが、香港拠点はむしろ強気になった。このように投資家の見解は大きく分かれており、それだけに中長期的な投資収益を左右するホットな話題になりつつある。

<人手不足は一部の地域・職種に集中>

そこで、労働市場の需給を端的に表す有効求人倍率(求人数/求職者数)を見てみると、確かに07年の世界好況に匹敵する水準にまで回復しているが、当時との大きな違いの一つは「地域差」である。

07年のピークだった同年4―6月期(全国1.07倍)と直近14年2月(同1.05倍)の有効求人倍率を比べると、東北(0.79倍から1.10倍へ)や北海道(0.56倍から0.86倍)、四国(0.90倍から1.09倍)、九州(0.76倍から0.84倍)で大幅な上昇が見られる一方、東海(1.66倍から1.30倍)、北関東・甲信(1.33倍から1.01倍)、近畿(1.13倍から1.00倍)、南関東(1.16倍から1.07倍)では大幅に低下、北陸(1.24倍のまま)と中国(1.18倍から1.19倍)はほぼ横ばいである。

さらに、都道府県別で見ると有効求人倍率が07年のピーク時に比べて大幅に改善している上位3県は福島県(0.92倍から1.32倍)、岩手県(0.76倍から1.10倍)、高知県(0.48倍から0.81倍)であり、反対に大幅に悪化している上位3県は栃木県(1.58倍から0.95倍)、群馬県(1.78倍から1.22倍)、愛知県(2.06倍から1.53倍)である。

趨勢的に雇用環境が改善してきているのは事実だが、労働需給に大きな変化が起こっているのは復興需要の恩恵にあずかる東北地方、そして他県への人口流出などによる求職者の減少が影響している地域であり、その他の地域では07年に比べて労働需給が殊更にひっ迫しているわけではない。

特に自動車産業のお膝元である愛知、群馬、栃木などでは有効求人倍率が07年を大きく下回っており、円高などによって自動車・同部品メーカーの生産拠点が海外に移転してしまった後遺症が響いているようだ。参考までに東京都は1.39倍から1.48倍へ小幅に上昇、大阪府は1.31倍から1.10倍へ低下している。

次に、職種別の有効求人倍率を見てみよう。足元でどのような職種で人手が不足しているかを安倍政権発足前の12年平均と比べてみると、建築・土木・測量技術者・採掘、そして保安、薬剤師などの医療従事者、運転手、飲食・接客といったサービス業従事者の有効求人倍率が大幅に改善している一方、製造技術者や事務職などではほとんど横ばいのままである。

特に事務職は一般事務が0.28倍、営業・販売関連事務が0.61倍と求人数に比べて求職数が圧倒的に多い人手余りの状態にある。居住している地域に加えて、企業が求める人材と求職者が希望する職種や技能(スキル)のミスマッチが大きいことも、一部の地域・職種で人手不足が顕在化している理由の一つであるようだ。

<持続可能な賃金上昇の条件>

念のため申し上げておけば、筆者も、需要創出・生産性上昇を伴う「良い賃金上昇」であれば、賃金上昇によるデフレ脱却路線を何ら否定するところではない。デフレの原因が、大企業を中心とした終身雇用・年功序列に象徴される日本型雇用システムの崩壊に伴う賃金減少であるとすれば、賃金上昇はデフレ脱却に必要不可欠である。

しかし、足元の労働需給のひっ迫とそれに伴う賃金上昇は、そのかなりの部分が復興需要に支えられた公共投資や労働力人口の減少(特に若年層)、あるいは地域の産業基盤に比べて相対的に大きな人口流出などによって引き起こされていると考えられる。

その結果、長引く原発稼働停止や円安、素原材料価格の上昇などと相まってコストプッシュ型のインフレ圧力を生んでいるという面が否定できない。コストプッシュによってインフレ率が賃金上昇率を上回る状態、すなわち実質賃金(購買力)が下落している状態では景気回復はおぼつかないだろう。デフレ脱却のためには賃金さえ上がれば良い、というものではなさそうである。

もちろん、景気回復の早い時点で、企業が収益減少につながる恐れのある(実質)賃金を引き上げることは難しい。一般的に企業は稼働率の上昇や資本・労働生産性の向上を待って、初めて実質賃金を引き上げられるからである。

しかるに、消費者マインドが良くなったり、消費増税という17年ぶりの価格改定機会を利用したりして、企業は価格転嫁によって利益率を維持できたり、販売価格の引き上げによって(数量が大きく落ち込まない限りは)利益も確保できる環境になってきてはいる。したがって、インフレ下の実質賃金低下は必ずしも企業収益の悪化につながらないし、その結果、企業活動が活発になることで持続的な景気回復につながる可能性もあることにはある。

しかし、将来の生産性向上に結び付きにくい(だからこそ公共財の供給は政府が担うわけだが)公共投資(復興需要)や人口動態、職種やスキルのミスマッチに起因する賃金上昇とコストプッシュ型のインフレだと、デフレからは脱却しても購買力と企業利益(付加価値)が両方とも落ち込む可能性があることに注意しなければならない。

確かにデフレは売上高の減少を通じて企業収益を蝕むが、何が何でもデフレから脱却しさえすれば、企業収益が回復するというものでもなかろう。消費者物価がプラスに転じ、賃金が上昇し始めているのに、なぜ15年3月期の企業収益見通しはこうも冴えないのか。なぜ株価は年初から下落基調にあるのか。デフレから脱却さえすればバラ色ではなかったのか。それとも株価が間違っているのだろうか(そうあって欲しいものだが・・・)。

新しい商品やサービスに対する需要や労働生産性の改善によって起こるサステナブルな賃金上昇、つまり、賃金も上がるし利益も増えるような労使の「ウィンウィン」でなければ、賃金上昇によって景気が失速するということが起こり得るのではないだろうか。今の日本に必要なのは、企業・労働者から柔軟な雇い方や働き方を奪っている各種労働市場規制や配偶者控除などの税制そして社会保障制度の改革だ。また、医療・サービスなどの成長産業における規制緩和である。

それらが着実に実施されて初めて、需要創出・生産性上昇を伴う「良い賃金上昇」が現実となり、我々は健全なインフレ下で生活水準を落とすことなく暮らしていけるのではないだろうか。

*丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DH24F20140501?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+reuters%2FJPTopNews+%28News+%2F+JP+%2F+Top+News%29&sp=true


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