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人手不足経済
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 03 日 03:34:49: Mo7ApAlflbQ6s
 

人手不足経済

成長の天井 働き手減り制約強まる

 小さな紙切れが、正社員募集の看板に重ねて張り出されていた。近づいて読んでみると「破産手続き開始」の告示書だった。16日、岡山県倉敷市の建設会社で見た痛々しい風景だ。

 「人手さえ確保できれば、こんな事態にはならなかった」。2億円近くの負債を整理する関係者はため息をつく。安倍晋三政権の公共事業拡大で業況が上向いたが、労務費急騰で数十人の下請け社員を集められなくなった。仕事を受注できなくなり急速に資金繰りが行き詰まったという。


売上高目標先送り

 回復軌道を走る日本経済に思わぬ異変が生じている。企業活動の現場で人手不足が深刻になり、成長にブレーキがかかる懸念が出始めたためだ。
 東日本で約200店舗を展開する食品スーパー、ヨークベニマルは売上高5000億円の達成を目指す中期計画の目標を2017年度から2年先延ばしした。建設現場の人手不足で開店工事が進まず、14年度の出店計画を15店から8店に減らしたのが主因だ。
 工事費増に目をつぶり開店にこぎつけても難路は続く。2月オープンの東北地方の店舗では内定後に辞退したパートが20人。「自転車操業だ」と執行役員の橋本修一(55)はこぼす。

 2月の失業率は3.6%。「需給ギャップはほとんどゼロに近くなっている」。日銀総裁の黒田東彦(69)は引き締まった労働需給を念頭に、デフレの一因となっていた日本経済の供給過剰が解消しつつあるとの見方を示した。
 だが、経済統計を点検すると不安も浮かぶ。日本の働き手(労働力人口)は1997年の6811万人をピークに約250万人減っている。今回の回復局面でも、企業の求人は4年前と比べ82万人増えたが、求職者数は61万人減っている。経済活動が少し活発になるだけで、人手が足りず経済にゆがみが生じる構図だ。
 デフレ不況が覆い隠していた成長の天井。企業も気づき始めている。日立製作所前会長の川村隆(74)は「成長の果実を分け合いたい」と今春の賃上げを主導した。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正(65)も「部下は部品ではない」と非正規社員の正社員登用に踏み出した。だが、人手確保に決め手はない。


減益覚悟のベア

 成長の天井はこれから一段と下がる。60年の労働力人口は、女性や高齢者の活用を進めても現在より1200万人近く減る。日本経済の巡航速度にあたる潜在成長率は12〜17年に0.8%程度。経済協力開発機構(OECD)は、働き手の減少に伴う潜在成長率の下振れは現在の0.4ポイントから、18年以降は0.5ポイント、31年以降0.7ポイントと加速していくとみている。
 「しばらくは減益を覚悟するしかない」。8年ぶりに従業員のベースアップ(ベア)要求を受け入れた内航海運会社デュカム社長の内藤吉起(59)は苦渋の表情だ。内需減で輸送需要が減り、タンカー4隻を管理する同社の経営環境は厳しい。それでも「人がいなくなれば船を動かせない」。減益覚悟のベア。その決断は日本経済に重く響く。

 デフレの出口で見えてきた人手不足は、景気循環だけで語りにくい構造的な問題だ。日本経済はどう向き合うべきか、現場を歩きながら考えてみた。(敬称略)

[日経新聞4月27日朝刊P.1]


女性・高齢者活用でも…

 静岡県袋井市に本社を置く遠州トラック。足元の受注は前年を5%程度上回るが、運転手不足で全国の営業所にあるトラック約350台のうち5%が稼働していない。清水晃執行役員は「運転手がいれば、もっと売り上げを伸ばせたのに」と嘆く。

 働く人と職を探している人を合計した日本の働き手(労働力人口)は2013年に6577万人と、前年と比べ22万人増えた。景気回復に加え、働く女性や高齢者が増加したためだ。
 だが、先行きは人口減の圧力が重い。内閣府は(1)現在1.4前後の出生率が2.07まで回復(2)30〜49歳の女性の労働力率が現在の71%から先進国最高のスウェーデン並みの90%に上がる(3)60歳以上の労働者が現在より5年長く働く――などの条件で「最良シナリオ」を推計した。
 この場合の働き手は60年に5407万人。今より18%減る。女性や高齢者の労働参加が進まない場合、60年の働き手は3795万人と現在より4割以上減る。東京商工リサーチの友田信男取締役情報本部長は「皮肉なことだが、日本経済が活性化すると人手不足倒産が増える面がある」とみている。
 失業率低下や賃上げは、脱デフレをうかがう日本経済にとっても、負担増に直面する家計にとっても朗報だ。だが、働き手の減少が失業率や賃金決定に影響を与えている面にも注意を払う必要がありそうだ。

[日経新聞4月27日朝刊P.3]


かみ合わぬ需給 動く企業、政府は鈍く

 約15年後の2030年、医療や介護の現場で働く人は今より250万人増え、1千万人規模になる。政府が2月に発表した推計は、医療・福祉関連の業界が国内最大級の雇用主になると見立てた。本当だろうか。


供給追いつかず

 兵庫県尼崎市のハローワーク。足元の求人は人手不足に悩む介護職が最も多く3割を占める。だが、金型メーカーを退職しハローワークを訪れた鈴木広(48、仮名)が探していた仕事は製造業だった。「介護分野? 重労働で低賃金。考えたこともない」と鈴木。現地で職探し中の10人に聞いてみたが、介護職への転職希望はゼロだった。
 アール・ビー・エス証券の西岡純子チーフエコノミストによると、衰退産業を中心に日本企業の余剰人員は260万人。医療・介護が1千万人産業になる政府推計は、こうした余剰人員を吸収する前提だが、働き手が本当に社会保障分野を選ぶかは別問題だ。
 介護職員は現在150万人。厚生労働省によれば、「団塊の世代」が全員75歳以上になる25年には、必要数は250万人に膨らむ。この10年で新たに100万人が必要だが、離職率はなお10%台後半で高止まりし、3年で7割の人が入れ替わるのが実情だ。
 介護人材の供給をどう増やすか。「考え込んでいても時間を浪費するだけだ」。介護人材の派遣を手掛ける「かい援隊本部」(東京・品川)会長の新川政信(63)はこう語る。2年前に事業を始めて以来、介護の現場に送り込んできたのは、累計で200人に及ぶ平均69歳のシニア世代だ。
 派遣先での仕事は脇役だ。食事を運んだり掃除をしたりする仕事が多い。派遣する人の収入は週3日働いて月8万〜9万円。それでも年金暮らしのシニア世代が「小遣い稼ぎに働きたい」と応募してくる。

重圧をテコに

 気が利く脇役がいることで重労働の介護福祉士の負担が減り、介護人材の不足も補いやすくなる。大和総研経済調査部の近藤智也シニアエコノミストは「零細事業者がほとんどの介護の世界では分業や大規模化が遅れており、生産性を引き上げる余地が大きい」と指摘する。
 世界最速で高齢化が進む日本。課題先進国の重圧が、経済の現場で知恵や工夫を生む。政府の政策は追いついているだろうか。
 介護人材の供給不足が避けられないなら、介護需要そのものを減らす発想も必要になる。日本と同じように人口減と介護需要増に直面するドイツ。介護が必要な人の自立を促す「ロボットスーツ」を昨年、公的保険の対象に加えた。脳からの信号をセンサーで感知し、歩こうとする人の筋肉の動きを補助する。
 実は、ロボットスーツを開発したのは筑波大学発の国内ベンチャー企業、サイバーダイン。日本でも400台が稼働するが、日本では需要を減らす介護予防の視点が乏しい。保険給付の対象に加える議論もドイツと比べ遅れている。
 眠れる資源はまだある。民の工夫も芽生えている。それをどう育てるか。現実味に乏しい労働力推計を作っても本当の問題の解決にはつながらない。(敬称略)

[日経新聞4月28日朝刊P.1]


ミスマッチ解消険しく

 「やっぱりやめます」。都内の介護事業者は3月末、採用を内定した30代男性に土壇場で断られた。「収入が良い他の業種に流れたんでしょう」。担当者はあきらめ顔だ。

 2月の完全失業率は3.6%。失業率は、景気が悪く仕事がないために起こる「景気要因」と、働く人の希望と企業の求人が異なる「ミスマッチ要因」に分けられる。
 ニッセイ基礎研究所によると、景気要因の失業は0.1%まで低下した。1993年の水準まで下がっており、需要不足で職にありつけない状況はほぼ解消した。業種をまたぐ人材の奪い合いも起きやすくなる。一方、ミスマッチ要因の失業率は3.5%分。景気との連動性が小さい分、解消への道のりは険しい。
 人手不足が深刻な介護分野は、「低賃金・重労働」の壁が厚い。月給は全産業平均で32.6万円だが、介護職員は21.8万円。通常の労働市場なら、人手が集まらなければ賃金が上がる。だが、国費も投入する介護業は賃金の変動を通じた需給調整が進みにくい。財政資金に限りがあるなか、打開策は何か。賃金分配の原資を増やすためにも、介護業の経営のあり方と生産性向上の余地を点検する必要性が高まっている。

[日経新聞4月28日朝刊P.3]


泥縄式の外国人活用 「ヒトの開国」戦略乏しく

 人手不足が広がる日本経済。その現場で働く東南アジアの若者2人の運命がこの春分かれた。

 「もっと日本で働けるのでは」。茨城県龍ケ崎市の鉄骨加工業、ミヤマエで働くベトナム人のグウェン・パン・カン(24)は笑顔を見せる。3年の滞在期限を今夏に控えていたが、政府が建設業で働く「技能実習生」の活用拡大を決め、再入国して働く道が開けた。
 ミヤマエでは6人の若いベトナム人男性が鋼材切断や溶接に取り組む。「日本人にも難しい工作機械を操るし、仕事への意欲が高い」。人手不足に悩む社長の木村豊(67)は、カンの再入国に前向きだ。


あと2点あれば

 一方、兵庫県伊丹市の特別養護老人ホーム「あそか苑」で働くインドネシア人のルシエア・ドゥウィアトミニンティアス(27)は5月、後ろ髪を引かれながら大好きな日本を去る。滞在延長の条件の介護福祉士試験で「合格に2点届かなかった」ためだ。
 壁は、やはり日本語。試験問題の漢字にはふりがながついたが、「そして」「だが」などの接続詞で混乱する受験生が多い。介護の本質と無関係な問題で意欲ある人材が日本を去る矛盾。あそか苑理事長の河原至誓(30)は「問題は解消していない」と言い切る。
 労働需給逼迫で浮上する外国人の受け入れ拡大。だが日本の政策はどこかちぐはぐ。先行きも不安が多い。
 「政府高官から外国人にこんな侮辱的な発言が出るとは」。今月上旬、モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミストのロバート・フェルドマン(60)のもとに海外投資家から驚きのメールが入った。
 経済財政諮問会議の民間議員が女性の就業促進のために育児支援業の外国人受け入れを求めたところ、厚生労働相の田村憲久(49)が「日本語や文化を十分理解していない外国人が関わるのは問題」と難色を示したためだ。


新たな制度必要

 貿易立国として発展を遂げた日本。モノやカネの自由化は進んだが、「ヒトの開国」は苦手分野だ。労働力人口に占める外国人比率は1.1%。米国(16.2%)のみならずドイツ(9.4%)や韓国(2.2%)とも差がある。
 育児や介護のために働きたくとも働けない女性は全国に220万人。フェルドマンは「女性の重荷を減らさずに就業促進は可能か。外国人を入れるかではなく、いかに摩擦無く受け入れるか議論する段階にきているのに」と嘆く。
 課題は積み上がっている。スピード決着で活用拡大が決まった「技能実習制度」は、途上国を助ける国際貢献という建前と、安い労働力確保という本音のズレが大きくなっている。人手不足が深刻な介護や看護分野も含め、意欲ある外国人がきちんと働けるような新しい枠組みが不可欠だ。
 そのうえで、「国のかたち」をどう描くかの長期戦略を練るべき時期が近づいている。
 2050年までに日本の人口は3千万人減り1億人を切る。現役世代との助け合いを前提とする今の社会保障制度では「1人当たり負担が際限なく膨らみかねない」(高橋進日本総合研究所理事長)。移民も視野に一定の人口・経済規模を維持する道もあるが、文化的な摩擦も大きく「国のかたち」は根底から変わる。人手不足経済は、重い選択を改めて浮き彫りにする。
(敬称略)

[日経新聞4月29日朝刊P.1]

高度人材 及び腰の「歓迎」

 「それなら『高度人材』の認定を受ける意味がない」。今年1月、IT(情報技術)専門家として日本の大手金融機関に勤めるインド人男性が嘆いた。親の来日について、行政書士の飯田哲也氏に相談した時のことだ。

 「高度人材」とは政府が2012年5月に始めた外国人向けの優遇制度だ。技術者などを対象に学歴や年収を点数化。70点を超すと親やメイドを本国から呼びやすくなる。この男性も最近、基準に達した。
 ところが、親やメイドを呼ぶには追加条件がある。この男性は将来子どもが生まれたときの育児支援を見越して親を呼ぼうとしたが、現時点で子どもがいないため認められなかった。
 政府は外国人の受け入れについて単純労働者は認めない一方、高度人材は歓迎すると説明してきた。「専門的、技術的分野の外国人は経済社会の活性化に資する」。安倍晋三首相も2月に国会でこう答弁している。
 だが、実際の受け入れペースは鈍い。高度人材の認定数は今年1月までの約20カ月間で約900人。月50人程度のペースで、法務省が見込んだ認定ペースの3分の1以下にとどまる。受け入れ規制が厳しいからか、日本の魅力が衰えているからか。
 外国人受け入れはどの国でも議論が割れるが、経済成長につながる高度人材は世界が奪い合っている。オーストラリアでは自国に投資する外国人を永住しやすくしている。英国には、自国内で事業を興す起業家向けの滞在資格がある。日本も政策の再点検が必要になりそうだ。

 「人手不足経済」は、山田宏逸、斉藤雄太、小川和広、井上達也、横山雄太郎、岩本貴子、小太刀久雄、渡辺淳が担当しました。

[日経新聞4月29日朝刊P.3]


 

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コメント
 
01. 2014年5月03日 22:05:35 : NZKWGoCgkw
あっしらさんもクズみたいな記事、載せますね。
人手不足経済がダメで人余り経済がいいみたいですな。失業者が多くて、ホームレスが多くて、生活保護も水際作戦で受給できなくて、自殺者が多くて、低賃金でこき使えて貧困層が多いほうがいいってか。

だいたいアベノミクスっていうほど景気よくない。バブル崩壊していたが、90年代ほうがまだよかった。

経団連の広報誌、ネオリベ日経新聞は市場原理に従って、さっさと潰れろ。


02. 2014年5月12日 00:42:51 : E1MWg6u3uM
>>01 さん。
私もあっしらさんが何を意図してこのような投稿をされるのか不思議なのですが、
もしかしたら、01のようなコメントを期待しての投稿ではないかと思ったりもします。

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