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円高と日経平均(NEVADAブログ)
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/829.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 5 月 21 日 17:57:45: igsppGRN/E9PQ
 

円高と日経平均
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4680102.html
2014年05月21日 NEVADAブログ


円高が急に進み一ドル100円台に突入しており、あと少しで100円突破となります。
この円高を受けて、夜間取引の日経平均は13980円となっており、今日の場中で守りました13970円に突っかけています。

今日の【日経平均】は午前、午後にそれぞれ13,970円まで売られ、そこから買い上げ(PKO)が入り、14,000円台に戻すという動きをしていました。

明らかに「PKO」が発動されている動きであり13,970円が防衛ラインとなっていましたが、円高が進めば、この14,000円の攻防は13,500円の攻防になり、円が急騰するようなことになれば、日経平均は13,000円の攻防どころか、1万円の攻防になりましても何ら不思議ではありません。


このような中、<勝ち組>と言われています【東芝】ですが年初来安値を更新しており11円安の386円で終わっていました。
安値は382円で年始来安値の385円を更新していましたが年初来高値からの下落率は23%を超えています。
信用買い残が4,399万株もある中、空売りはわずか148万株しかなく、これだけ信用買い残が積みあがっていますと、いつ数百万株単位で投げが入りましても不思議議ではありません。
そうなれば一気に300円割れを見せるのでしょうが、だらだらと10円刻みの下げでは売り飽き気分も出ず、
株価は本格的な上昇には入れません。
ましてや円高となれば、買い要因は全くありません。

円高阻止のために日銀が動くかどうかになりますが、ユーロ問題、ロシア・中国問題もあり、日本単独では円高を阻止することは不可能と言えます。
今まで円安を容認して貰っていた訳であり、今後は円高に「戻り」ましても何ら不思議ではないからです。


 

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01. 2014年5月21日 18:49:00 : e9xeV93vFQ

コラム:ウクライナ再緊迫化でドル100円割れあるか=鈴木健吾氏
2014年 05月 21日 13:47 JST
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト

[東京 21日] - 年明け以降、アルゼンチンのデフォルト懸念や中国のシャドーバンキング問題など、新興国情勢に対する不安が世界の金融市場を揺さぶり、リスクオフから円の買い要因とされている。

現在、新興国情勢で最も注目されるのが、今週末5月25日に大統領選が予定されるウクライナ情勢だ。選挙後の状況次第では、リスク許容度を通じて円相場に大きな影響を及ぼす可能性があることから、ここでは、その経緯とシナリオについて確認したい。

<ウクライナ情勢「3つのシナリオ」>

ウクライナでは東部の親ロシア派住民と西部の親欧米派住民との間で対立が続いてきたが、2010年に就任したヤヌコビッチ大統領は、欧州連合(EU)との安定化・連合協定を凍結するなど親ロシア路線を明確にした。これが西部住民の反発を呼ぶと、デモなどが多発。与党から離党者が相次ぎ、ついに今年2月には野党が優勢となった最高議会(国会)がヤヌコビッチ大統領を解任した。

これに対して東部住民が反発し混乱が広がるなか、3月1日にロシア連邦院(上院)はロシア系住民の安全確保などを理由に、ウクライナへの軍事介入要請を承認。ロシア軍はウクライナ南東部のクリミア自治共和国を事実上制圧すると、同16日にクリミアでロシア編入を問う住民投票が実施され、この結果を受けて同18日にはロシアがクリミアを併合した。

これに強く反発した欧米諸国が経済制裁を発動するなか、にらみ合いが続くかと思われたが、4月に入るとウクライナ東部でもロシアへの編入などを求めて武装勢力が地方政府を占拠するなど混乱が拡大。同17日にジュネーブでウクライナ・ロシア・EU・米国が武装勢力の武装解除で合意したが武装勢力はこれに応じず、5月11日にウクライナ東部のドネツク、ルガンスクの2州で自治権をめぐる住民投票が実施されると圧倒的多数で支持された。しかし、現状、ロシアはクリミア半島に対する対応とは異なり、ウクライナ東部を積極的に併合する動きはみせていない。

今後は、1)軍事的衝突が過熱するリスクシナリオ、2)経済制裁が過熱するリスクシナリオ、3)ある程度の制裁の応酬を経て事態がこう着するメインシナリオ、の3つが考えられる。以下、それぞれ検証したい。

<ドル100円割れを招くリスクシナリオ>

まず、新政権がウクライナ東部の武装勢力を実力行使によって排除しようとすれば、ロシアにロシア系住民の保護という口実を与えることとなり、シナリオ1に突入するきっかけとなりかねない。ロシアとの軍事衝突となれば、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)に支援を要請し、欧米諸国は戦略的・人道的見地からこれに応えるとみられる。

この場合、金融市場はリスクオフ姿勢を非常に強めるだろう。具体的には、金や米国債、円やスイスフラン、加えて原油などに強い上昇圧力がかかり、ドル円は1ドル=100円割れを視野に入れるとみられる。

また、ロシアが軍事介入しても、クリミア制圧時と同様、ウクライナ東部の制圧があっという間に完了してしまえば、欧米諸国が軍事介入する暇もなく、結果、欧米は経済制裁の強化という手段を選択するだろう。

これまで欧米は、特定個人や企業の資産凍結や査証(ビザ)の発給停止などの措置をとっているが、これに加えて過去に米国がイランに対して行ったような金融制裁に踏み切る可能性がある。これは、ある金融機関がイランと取引をした場合、その金融機関と米国の銀行との取引を禁止する措置だ。

この場合、ロシアのファイナンスに深刻な影響を与える可能性がある。1998年にロシア財政危機が大手ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破たんを通じて世界の金融市場に深刻な混乱をもたらした経緯もあり、市場のリスクオフムードは一段と強まるだろう。

<事態悪化を防ぐ欧米ロの懐事情>

ただ、メインシナリオは、武力衝突も経済制裁も大幅に過熱することなく、事態がこう着に陥ることだと、筆者は考えている。そもそも、欧米ロとも事態のこれ以上の深刻化は望んでいないはずだ。

ロシアは景気の悪化傾向が顕著である。その成長率は10年の年率4%台後半から13年には同1.5%を割り込む水準へ大きく落ち込んでいる。今回、クリミアの編入に成功し、ウクライナが連邦制へと移行する可能性もある一方で、ロシアからの資金引き揚げもみられているなか、ロシアがこの問題に積極関与するメリットよりもデメリットの拡大のほうが顕著になりつつある。

また、EUは天然ガス、原油とも30%前後をロシアからの輸入に頼る状況だ。09年以降の債務危機からようやく立ち直りつつあるなか、エネルギーの供給停止ともなれば悪影響は大きい。米国も同様だ。米政府は財政再建に取り組んでおり、アフガニスタンなどから兵を引き揚げている。

大統領選をきっかけに、ウクライナの混乱に一定の歯止めがかかれば、欧米とロシアを挟んだ対立もこれ以上深刻化しない可能性が高いと考える。この場合、市場のリスクオフムードはかなり限定的なものになろう。

<中長期のドル110円超え予想は維持>

先週末、5月16日にかけて日米英独などの金利が急低下する場面がみられている。各国緩和政策の長期化期待が背景との見方もできるが、週後半は各国株式市場の急落や円の上昇を伴っており、リスクオフムードが強い。

ドル円も心理的節目である1ドル=100円が近づくなかで、大統領選後のウクライナ情勢が緊迫の度合いを増せば、一時的にはこの節目を抜くような動きをみせる可能性もあろう。一方で、メインシナリオに示したように、こう着状況へと移行していけば金融市場への影響は限定的にとどまろう。

景況感格差や金融政策の方向性などから、中長期的には1ドル=110円を超えるドル高円安となる見通しを維持しているものの、目先の円相場の行方を左右する材料として、月末にかけてのウクライナ情勢には特に注目したい。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。明治大学経営学修士。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。


 


日経平均とドル/円、揺らぐ「ありのまま」の水準評価
2014年 05月 21日 16:09 JST
[東京 21日 ロイター] - 日本株やドル/円の「ありのまま」と言えるフェアバリューの水準に対する見方が揺らいでいる。利益予想と株価収益率からみて日経平均は1万6000円が適正との見方がある一方、減益が懸念される中ではもっと低いとの指摘もある。

経常収支が赤字化し、物価も上昇し始める中で、ドル/円も適正水準を見極めるのが難しくなっているという。フェアバリュー算出の難しさも長期投資家を手控えさせている一因だ。

<再浮上する「減益シナリオ」>

ニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏は、日経平均.N225の一株利益予想を1070円、歴史的にみたPER(株価収益率)の平均水準を15倍として、フェアバリューは約1万6000円と試算する。「PER15倍は高くも安くもない、まさにありにままの水準。現在は市場の弱気が株価を下振れさせている。大ヒット中の映画、『アナと雪の女王』の熱気が冷める前にリバウンドすることを期待したい」と述べる。

だが、実際の日経平均は1万6000円から遠くなるばかりだ。21日の市場では一時1万4000円を割り込み、年初来安値の1万3885円(4月11日)が迫ってきた。PERは13倍台まで低下しているが、押し目買いが精一杯で上値を追う買いはほとんど見られない。東証1部の新安値銘柄が200を超え、富士重工業(7270.T)など今期も好業績が期待される銘柄までも年初来安値を付けるなど、底割れへの警戒感が広がっている。

市場を覆う弱気ムードの背景には、高まるアジアの地政学リスクなどもあるが、直接的には国内企業の業績下振れが懸念されていることが大きい。3月期企業の決算発表は一巡し、金融を除くベースでは2%程度の1株利益の伸び予想となった。保守的な業績見通しが多いとして、上振れ余地は大きいとの指摘もある。しかし、ここにきて、一度消えたはずの「減益シナリオ」への懸念が再び浮上してきているという。

予想1株利益が1000円に低下したとしてもPERが15倍であれば、1万5000円となる。しかし、企業業績のベクトルが減益という方向に変われば、PERも低くならざるを得ない。

「増益基調が続くのであれば、15倍台のPERも適正と言えるが、業績が今後シュリンク(縮小)していくリスクがあるとみれば、PERも低くならざるを得ない。外国人投資家はこうしたリスクを感じて、日本からインドなどに資金をシフトさせているようだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

<減速する高額品消費>

実際、先行きを懸念させるデータも多くなっている。消費増税が実施された4月以降の経済指標では、コンビニやスーパーなど日常品を扱う小売りの売り上げ回復は早いものの、百貨店など高額品を扱う店舗はやはり厳しくなっている。

4月の全国百貨店売上高は店舗数調整後で前年比12%減。4月の輸入車販売台数は同20%減だった。4月の首都圏マンション発売戸数は同39%減。駆け込み需要の反動が出るのは予想されたことであるが、株価が低迷し、昨年ほど資産効果が期待できないなか、高額品消費が持ち直すかはまだわからない。賃金が上がらず、物価が上がる中で、消費だけが堅調に推移すると予想するのは困難だ。

外需にも不透明感がある。4月の貿易収支は8089億円の赤字と市場予想(6460億円)以上の赤字幅となった。3月の駆け込み需要が一巡した4月は輸入が減り、国内に回していた製品も輸出できるようになるため、4月の貿易収支は改善するとの淡い期待は裏切られた。日本企業の「稼ぐ力」はいまだに戻っていなかったとショックを受けるエコノミストもいる。

外国人投資家の注目度の高いマークイットの製造業PMI(購買担当者指数)。4月の日本の指数は14カ月ぶりに50を下回った。一方、米国や欧州などは50を超えている。日本経済には「消費増税だけで片付けられない弱さも見える」(国内投信)との警戒感は徐々に広がっている。

<構造変化の中で円の適正価格も不透明に>

フェアバリューを算定するのが難しくなっているのは円も同じだ。購買力平価が1つのめどだが、購買力平価自体、算出するのが難しいうえ、日本は30年続いた経常黒字から赤字に変わりつつあり、17年続いたデフレ状態からも脱却しようとしている。こうした大きな構造変化の最中に、フェアバリューを算出するのは極めて難しい。

さらに、日米欧中銀の金融緩和姿勢が年初のイメージと異なってきていることも、市場参加者がフェアバリューを見出しにくくなっていることの一因だ。年初は米国がテーパリング(量的緩和縮小)を開始する中で、日銀の金融緩和姿勢が目立っていたが、ここにきて米国が利上げ先送りを示唆し、欧州は追加金融緩和をほのめかせている。一方、黒田東彦日銀総裁は強気姿勢を崩さない。

ドル/円は、多くの輸出企業の今期の想定為替レートとみられる1ドル100円をかろうじて上回っているが、ユーロは140円を下回ってきている。為替が円高気味であることも、日本企業の「減益シナリオ」懸念を強めている。

こうした適正水準が見出しにくくなっていることが、長期投資家を手控えさせている一因になっているとの指摘もある。「名目成長率がマイナスの中では、適正株価を算出するディスカウント・キャッシュフロー・モデルは機能しない。日本は、ようやくデフレから脱却しようとしているが、いまだ適正価格が見出しにくいことが長期投資家に日本株投資を手控えさせている一要因になっていることは確かだ」とT&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は話している。

(伊賀大記 編集:山川薫)


ゴジラ級の量的緩和なら日本株は「大当たりの夏」か

  5月21日(ブルームバーグ):日本でめったに起きないことを2つ挙げよう。好戦的なゴジラが他の怪獣と平和裏に話し合って問題を解決する姿。そして日本株が米国株より割安であること。
後者はここ数日、実際に起きている。日経平均株価は年初から14%下落し、予想株価収益率(PER)は15.9倍。S&P500種株価指数は20日の取引開始時点で約16倍。その差は小さいものの、日本株の方が割安 になるのは2012年10月以来だ。
12年当時、日本株が米国株より割安な状態は約5カ月続いた。翌13年、日経平均は年間で57%高と大幅上昇し、S&P500種の30%高を上回った。もちろん、その大部分は円安のおかげだった。ドルベースでは日経平均の昨年の上昇率は28%だ。
08年10月にも日本株が相対的に割安な状態が半月ほど続き、日経平均はその後10月末から09年10月にかけてS&P500種をパフォーマンスで10ポイント上回った。ドル建てでは21ポイント上回ったことになる。
オッペンハイマーのポートフォリオストラテジスト、アンドルー・バークリー氏は今週公表したリポートで、同社が作成した30カ国のランキングで日本株は最も魅力的だと指摘。企業の利益見通し上方修正やバリュエーション(株価評価)低下、株価の値下がりをその理由に挙げた。
日本株転換の鍵
LPLファイナンシャル(ボストン)のチーフ市場ストラテジスト、ジェフ・クライントップ氏は「ゴジラ級の量的緩和」措置に、年金基金による株式投資など他の要素が組み合わされれば、日本株には「ブロックバスター(大当たり)の夏」がやってくる可能性があると指摘した。
同氏は今年に入ってからの株価下落と消費税率引き上げに伴う景気への逆風を受けて日本の政策当局者の自信が低下し、量的緩和措置が来年も継続される可能性があると分析。それが「日本株式市場の転換の鍵となり得る」とコメントした。同氏は緩和措置延長の発表はきょうあってもおかしくないが、夏場となる公算が大きいとの見方を示した。
ストラテジストは日経平均に対する予想を今年に入って引き下げたが、依然として現行水準からの大幅な持ち直しを見込んでいる。ブルームバーグがまとめた予想平均では6月末までに1万5317円と、20日終値に比べて8.8%上昇する見込み。年末まででは、市場関係者11人の平均で21%上昇の1万7100円が予想されている。年初時点のストラテジスト予想は6月末までが2.7%上昇の1万6738円、年間で6.4%上昇だった。
日経平均の反発が円安頼みかどうかは大きな問題だ。円安はドル建てのリターンを減らすことになる。
14年版「ゴジラ」は世界の映画館に経済的なインパクトを与えている。日本株もゴジラが現れるように水中から姿を見せるときかもしれない。
原題:Godzilla QE Bets Have Calls for Japan Stock Rally GrowingLouder(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael P. Regan mregan12@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Lynn Thomasson lthomasson@bloomberg.net
更新日時: 2014/05/21 09:56 JST


 

予想以上に堅調な消費増税後の日本
By AARON BACK
2014 年 5 月 21 日 15:28 JST
消費増税後の東京の衣料品店 Agence France-Presse/Getty Images
 日銀には救済に向かう気配がない。それは日本経済が救済を必要としていないからかもしれない。

 問題は、先月から実施された3%ポイントの消費税率引き上げが景気回復を頓挫させるかどうかだ。日本は前回の消費増税のときの記憶をぬぐい去れずにいる。1997年4月に実施された前回の消費増税はその後の長引くリセッション(景気後退)の引き金になったと広く非難されている。

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当面の金融政策運営は現状維持=日銀決定会合
 4月の数字が徐々に出てきているが、大方の見方よりは良い数字となっている。3月に前年比25%の伸びを示した全国百貨店売上高は4月に同12%減となった。これは3月に同23%増となり4月には同14%減へ落ち込んだ1997年の時よりもちょっと良かった。 だが、CLSA証券が靴からメガネ、電化製品にいたる小売業者88社の販売状況を追跡し、より幅広く消費動向を検証したところ、こうした業界の3月の売上高は全体で20.5%増となり、4月はわずか1.8%の減少にとどまった。

 実際、1997年の二の舞を予想するのは行き過ぎだろう。当時、日本はアジアの金融危機や国内の金融機関が抱える大量の不良債権といった多くの問題を抱え、消費は決して真の回復には至っていなかった。だが今回は、久しぶりに賃金と物価の上昇という追い風を受けている。政府による調査でも、大方の民間企業が今夏までに業績が大きく回復するとみていることが分かった。

 だがこれは、日銀による一段の金融緩和で株価上昇を期待している投資家にとっては、必ずしも歓迎できるニュースではない。エコノミストは早ければ6月にも日銀が資産買い入れを拡大すると見ていたが、これを今年後半から年明けの予想に変えた。これでは株価は上がらない。日経平均株価は年初来13%安となっており、世界の主要株式市場の中で軟調さが際立っている。

 焦点はインフレ率に移っている。だが、これまでのところ日銀は2015年度に目標の2%に到達する自信があるようにみえる。月末に発表される予定の4月のインフレ率は生鮮食品を除くコア価格指数が前年同月比で1.3%前後の上昇となる可能性が高い。一段の金融緩和が実施されるためには、インフレ率が1%を割る必要があるだろう、とHSBCのエコノミスト、デバリエ・いづみ氏は指摘する。 

 大規模な量的緩和が日経平均株価の57%高をけん引した昨年の堅調さの再来を期待している投資家は失望しているかもしれない。だが、日本経済が消費増税を特別な支援なしに乗り切ることができれば、長期的な投資家にとって日本はかなり魅力的なものになるだろう。


http://jp.reuters.com/news/archive/topNews?date=05212014
ロイターサミット:日銀、市場に緩和縮小への準備させるべき=ジョルゲンソン教授
2014年 05月 21日 17:54 JST
[東京 21日 ロイター] - 米ハーバード大学のデール・ジョルゲンソン教授は、21日の「ロイター日本投資サミット」のインタビューで、日銀は物価目標の達成が視野に入っており、金融緩和策の縮小に向けて「市場に準備をさせ始めるべきだ」との認識を示した。

同教授は、これまでデフレの要因とされてきた実際の成長率と潜在成長率とのギャップが縮小しており、インフレ率は日銀の目標である2%に向けて上昇していると指摘。日銀が次にとるべき対応については、市場が期待している追加緩和ではなく、「少なくとも(緩和)縮小について話すべきだ」と語った。

そのうえで「日銀は、段階的かつ計画的に政策を変更するということを発表する必要がある。この先12カ月以内に起こる変化について、いま期待を制御し始めても早すぎるということはない」との見方を示した。

同教授は、日本に必要な政策変更を「(金融緩和による)総需要の刺激から、総供給の刺激へのシフト」と表現。これに関して、安倍晋三首相は成長戦略に軸足を移し、労働市場や農業・小売り・卸売りセクターの改革に取り組むべきとの考えを示した。

ジョルゲンソン教授は著名なエコノミストで、アベノミクスを強く支持していることで知られる。


所期の緩和効果発揮との認識踏まえた=デフレ文言削除で日銀総裁
2014年 05月 21日 16:04 JST
[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日の金融政策決定会合後の記者会見で、政策運営に関する声明文から「15年近く続いたデフレ」などの文言を削除した理由について、異次元緩和が所期の効果を発揮しており、こうした認識を踏まえたもの、との認識を示した。

以下は黒田総裁の主な発言。

─駆け込み需要の反動現れている

─基調的には緩やかな回復を続けている

─設備投資緩やかに増加

─予想物価上昇率、全体として上昇している

─cpiはしばらく1%台前半で推移した後、今年度後半から上昇傾向

─景気、基調的に緩やかな回復つづける

─物価しばらく1%前半、年度後半から上昇

─cpi、14年度から16年度までの見通し期間中盤に2%程度に達する可能性高い

─経済物価情勢について上下双方向のリスク点検し、必要な調整を行う

─異次元緩和、所期の効果発揮

─異次元緩和は所期の効果発揮、こうした認識を踏まえたもの=声明文のデフレ文言削減で黒田日銀総裁

─駆け込みの反動、夏場以降減衰していく

─4−6月期の成長率はマイナス予想だが、個人消費の基調的な底堅さ維持される

─自動車など耐久財に反動減はっきり出ている

─小売り業で反動減の程度縮小との声

─消費税率引き上げの影響、様々な情報活用し予断もたず丹念に点検

─株式市場の動向は様々な要因に影響受けるが、基本的には企業収益の先行きで決まる

─トレンドとして株高の方向変わったと思っていない

─2%向けた道半ばにある

─為替がとくに円高になっていかねばならないという理由はない

金融政策の据え置き決定、量的・質的緩和を着実に推進−日銀 (訂正)

(11段落のコメントを訂正します)
5月21日(ブルームバーグ):日本銀行は21日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。日本経済は2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているとして、量的・質的金融緩和を着実に進める構えだ。
政策運営ではマネタリーベースが年約60兆−70兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)などの資産買い入れも従来の方針を継続する。エコノミスト32人に対するブルームバーグ・ニュースの調査では全員が現状維持を予想していた。
1−3月の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率で5.9%増と、消費税率引き上げ前の駆け込み需要により、事前予想を上回る高成長となった。甘利明経済再生担当相は発表後の会見で、増税による駆け込みは「想定を超えている」一方で、増税後の反動は「想定内」にとどまっていると述べた。
日銀は会合後に発表した声明で、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている」として、足元の景気判断を据え置いた。設備投資については「緩やかに増加している」として、前月の「持ち直しが明確になっている」から上方修正した。
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストはリポートで「消費税率再引き上げに関する安倍晋三首相の判断にとって重要な意味を持つ第3四半期GDPの伸び率に関する不透明感は払しょくされていない」と指摘。「日銀の追加緩和なしに第3四半期GDPの高い成長を期待できるかどうか、現時点では『微妙』という状況だ」という。
黒田東彦総裁は15日、都内の講演で「仮にわれわれの見通し通りに2%物価目標が達成されなければ、2年を念頭に置いて2%を達成するため金融政策の調整を行う」と言明。「追加緩和を行う選択肢はあまりないのではないかという人もいるが私はそうは思わない。必要なら2%目標を達成するための方法、手段、選択肢はたくさんある」と述べた。
7月緩和の見方は減少
菅野氏は黒田総裁の発言について「これは、従来の『必要とあらば、ちゅうちょなく緩和する』という表現からさらに一歩踏み出したものと評価できる」と指摘。「日銀も追加緩和は5月以降の経済指標次第、ということで、現在は和戦両様の構えでいるもようだ。7月追加緩和の可能性は依然残されている」としている。
ブルームバーグの調査では、追加緩和予想時期については、7月との見方が12人(38%)と最多だったが、前回(43%)からは低下した。
一方、黒田総裁は同講演で、「労働需給の引き締まりなど経済のスラックが縮小している状況を考えると、日本経済が中長期的に成長するためには供給力を強化することが重要だということも、はっきりとしてきた」と指摘。「すう勢的な人口減少と高齢化のもとで、近い将来、労働供給がさまざまな形で問題になり得ることは疑いがない」と述べた。
総裁講演で労働問題に言及
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストはリポートで「もともと『2年程度で2%物価目標を達成する』という異次元緩和の時間軸に懐疑的な見方の根拠にはそうした構造問題がある」と指摘。木内、佐藤両審議委員も「同様の問題意識から展望リポートの物価見通しに反対を続けていると推察される」という。
その上で「この点、黒田総裁が今回の講演で労働供給の問題に言及したことは興味深い」と言明。「夏以降、コアCPIが日銀シナリオから下振れ始め、追加緩和を検討することになった場合、政策委員会のなかで『2年で2%では無理ではないか』という意見が広がる可能性に注意したい」としている。
木内審議委員は21日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。
黒田総裁が午後会見
日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2年程度を念頭に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は目標を安定的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明している。
黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は6月18日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net淡路毅, 大久保義人
更新日時: 2014/05/21 14:43 JST

当面の金融政策運営は現状維持=日銀決定会合

2014 年 5 月 21 日 11:58 JST
日本銀行本店(東京中央区) Reuters
 【東京】日本銀行は21日、当面の金融政策運営について現状維持を決めた。日銀が公表した声明は以下の通り(日銀ホームページより)。

 当面の金融政策運営について

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。

 マネタリーベースが、年間約60?70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。

2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する。

 (1)長期国債について、保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行う。

 (2)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するぺースで増加するよう買入れを行う。

 (3)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。

3.わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある。輸出は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費や住宅投資は、このところ駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には、雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移している。以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は緩やかな増加基調をたどっている。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。

4.先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。

5.リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。

6.「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。

以上

(注)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置づけるとの議案が提出され、反対多数で否決された。(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員)


02. 2014年5月22日 08:49:15 : e9xeV93vFQ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0E11VB20140521
米FOMC、金融政策正常化へ議論開始=4月議事要旨
2014年 05月 22日 08:03 JST
[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が21日に公表した4月29−30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、異例に緩和的な金融政策の正常化に向け、具体的な議論を始めたことが分かった。

ただ、議論は「用意周到な計画作り(prudent planning)」の一環で、政策「正常化」の準備が整ったわけではないとし、FRBが必ずしも利上げに前のめりになってはいないことをうかがわせた。 <危機モードに幕引き>

議事要旨によると、4月FOMCでは、FRBのスタッフから短期金利を引き上げる際のやり方がいくつか示された。

現状の極めて緩和的な金融政策の正常化に向け、どのような政策手段が最も効果的かという議論は、FRBが事実上のゼロ金利政策や大量の証券購入を伴う量的金融緩和の終了に向けた準備を進めていることを示す。 議事要旨によるとFOMCメンバーは、「政策正常化に向けた最初の一歩を踏み込むのが適切となるよりかなり前の段階で、正常化へのアプローチを決め、十分な情報発信することが有益」として「今会合で(政策)正常化の選択肢を検討し始めることが、用意周到(prudent)であると総じて賛同」した。

ただ議論は「政策正常化がすぐに始まるということを必ずしも意味しない」とことわった。

投資家の大方は、利上げについて早くて来年半ばまではないとみており、今回の議事要旨がこうした見方を大きく変えることはなかった。

<インフレ、賃金、雇用について討議>

4月FOMCでは、金融政策正常化に向けた議論に加えて、インフレ圧力や賃金や雇用についても議論された。

何人かは、6.3%まで低下した足元の失業率が示す以上のスラック(需給の緩み)が労働市場には残っているようだと指摘し、賃金増加の伸びが鈍いことをその根拠として挙げた。一方で、管轄地区に関して労働市場が引き締まってきたとし、人手が不足している部門があると報告した参加者もいた。

複数の参加者は、短期的な失業と比べて長期失業の方が賃金増加と物価上昇を抑制する度合いが少ないとの最近の研究に懐疑的な見方を示した。参加者の1人は、労働力が十分に活用されていないという問題は、公式な失業率の低下とともに解消されつつあるとした。

ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁は21日、FRBが修正した出口戦略を発表する用意は整っていないとの見解を示した。 次回FOMCは6月中旬。その時には、上院の承認待ちのフィッシャー副議長が加わると予想される。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0E121Y20140521
ドルが対ユーロ、円で上昇 FOMC議事要旨の緩和縮小継続示唆で
2014年 05月 22日 06:44 JST
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 21日終盤のニューヨーク外為市場では、ドルがユーロと円に対して上昇した。4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小継続を示唆した半面、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が強まったのが背景。

ドルは対円で6営業日ぶりに反発し、対ユーロで2日続伸した。

ドル/円は、日銀の黒田東彦総裁が日本経済について楽観的な見通しを示し、追加緩和を示唆しなかったため、ロンドン取引時間帯に一時100.80円と3カ月強ぶりの安値をつけた。その後は切り返し、終盤は0.1%高の101.45円で取引された。

ユーロ/ドルは1.3636ドルと3カ月半ぶりの安値をつけた後、終盤は0.2%安の1.3676ドル。

4月FOMCの議事要旨は、参加者の何人かが米国の経済活動がトレンドを上回る持続的な成長軌道にあるのかを確認するのは時期尚早と指摘する一方で、量的緩和縮小の路線は変わらないと示唆した。

ウェストパック・セキュリティーズのシニア通貨ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は「米経済は緩やかながら確実に改善し、インフレリスクは存在せず、FRBは緩和縮小を続けるという基本シナリオに変化はない」と述べた。

フラヌロビッチ氏は、議事要旨の内容はむしろハト派的で、ドル/円の上昇は議事要旨公表後の10年物米国債利回り上昇に関連しているのではないかと指摘。議事要旨にはドルが101.60円を維持するほどの材料は見当たらないとの見方を示した。 一方、ユーロ/ドルの下落についてテンパス・コンサルティングのジョン・ドイル氏は「ECBは前回の理事会以降、6月追加緩和の観測が高まっている。欧州議会選挙もユーロの重しになっている」とした。 ポンドは、予想を上回る4月の英小売売上高や、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の一部委員が利上げに傾いているとの見方を手掛かりに、主要通貨バスケットに対して5年半ぶりの高値をつけた。

ドル/円    終値   101.35/37

始値   101.11/12

前営業日終値   101.31/33

ユーロ/ドル  終値   1.3685/87

始値   1.3675/76

前営業日終値   1.3699/04


米国株式市場は反発、FOMC議事要旨に早期利上げ材料なし
2014年 05月 22日 06:44 JST
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 21日の米国株式市場は反発。米連邦準備理事会(FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、将来的な金融引き締めについて議論されたが、具体的な手段についての決定はなく、早期利上げの兆しは見当たらなかった。

ダウ工業株30種は158.75ドル(0.97%)高の1万6533.06ドル。

ナスダック総合指数は34.65ポイント(0.85%)高の4131.54。

S&P総合500種は15.20ポイント(0.81%)高の1888.03。

ダウ工業株30種の上昇率は4月半ば以来の大きさ。構成銘柄では金融のゴールドマン・サックス(GS.N)が1.9%高と最も値上がりした。

この日も注目されたのが小売関連株。高級宝飾品のティファニー(TIF.N)は通年の利益見通しを引き上げたことから、9.1%上昇した。ディスカウントストアのターゲット(TGT.N)は、2─4月期が16%の減益となったものの、顧客データ流出事件を受けた信頼回復への取り組みの成果も見え始めたため、1%上がった。

ホームセンターのロウズ(LOW.N)は0.2%安。2─4月期の売上高と実質利益がアナリスト予想を下回った。

FOMC議事要旨では、短期金利引き上げのためのいくつかの手段をスタッフが提案したが、現段階では「将来に備えた議論」とされたことが分かった。

バンヤン・パートナーズのチーフ市場ストラテジスト、ロバート・パブリク氏は「議事要旨は投資家の想定通りで、成長は持ち直しているがまだ経済が強過ぎるようにみられる地点には達していないということだ」と述べた。

BATSグローバル・マーケッツのデータによると、すべての米取引所の合算出来高は約52億株で、月初来平均の60億株を下回った。

(カッコ内は前営業日比)

ダウ工業株30種(ドル).DJI

     終値(非公式)    16533.06(+158.75)

前営業日終値    16374.31(‐137.55)

ナスダック総合.IXIC

     終値(非公式)    4131.54(+34.65)

前営業日終値    4096.89(‐28.93)

S&P総合500種.SPX

     終値(非公式)    1888.03(+15.20)

前営業日終値    1872.83(‐12.25)



http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0E113N20140521
地政学的緊張、アジアの成長阻害する可能性=IMF副専務理事
2014年 05月 21日 21:12 JST
[マニラ 21日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の篠原副専務理事は21日、東南アジアでの領有権争いやタイの政情不安について、解決されない場合はアジアの力強い経済成長と同地域への投資を阻害する可能性があると警告した。

篠原氏は当地で開催されている世界経済フォーラム東アジア会議の場でロイターに対し、「緊張が高まった場合、域内の経済に大きな影響を与える可能性がある。この地域の国々はサプライチェーン(供給網)を通じて相関関係が強いから、なおさらだ」と述べた。

同氏は、IMFは状況を注視しているとしたうえで、東南アジア諸国の経済が影響を受けているという証拠はまだなく、IMFの2014年の地域経済成長予想を見直すには時期尚早との見解を示した。

IMFは4月に、アジア途上国の今年の成長率が6.7%と、2013年の6.5%から若干加速するとの予想を公表した。

篠原氏は、「タイを除けば、今のところ予想を変更する必要はないと私は考える。地政学的な緊張は一部であるが、これまでのところ経済活動に大きな影響を及ぼしていない」と述べた。タイについては、予想の変更を検討する可能性はあるとしながらも、反政府デモの影響はこれまでのところ小さいと指摘した。


焦点:日銀総裁が成長強化へ「3つの提案」、低い供給の天井に危機感
2014年 05月 21日 20:51 JST
[東京 21日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁が、成長力強化に向けた政府と民間の取り組みの重要性を強力に発信し始めた。15日の講演に続き、21日の会見でも経済・物価のバランスのとれた改善の重要性を強調。需要回復で労働市場を中心に低い「供給の天井」が意識され始める中、持続的な成長確保へ「3つの取り組み」を提案し、「第3の矢」である成長戦略の早期かつ効果のある実行に強い期待感を示した。

総裁は、これまでも成長戦略の重要性を訴えてきたが、ここにきて、より発信が直接的かつ具体的になっている。

「デフレ脱却に向けて」をテーマに15日に都内で行われた講演では、締めくくりに供給問題をとりあげ、金融・財政政策などによる需要の高まりに伴って「水面下に隠れていた供給力の問題が姿を現した」と問題提起。

中長期的な課題としながらも「今が課題を解決していく好機」と議論を促し、供給力を強化することが「デフレからの脱却と日本経済の復活をつなぐ、最後の、そして最も重要なピース」と断言した。

さらに21日の記者会見では、中長期的な成長力を高めていくには、3つの要素が重要と踏み込んだ。

具体的には、1)企業における前向きな投資を促す、2)女性や高齢者などの労働参加を高め、高度な外国人材の活用で労働の供給力を高めていく、3)規制・制度改革を通じて生産性自体を向上させていく−−ことが「非常に重要」と指摘。

日銀として大規模緩和でこうした取り組みを支援しているとする一方、「中長期的な成長率を高めていく観点からは、中央銀行の域を超えた政府や民間企業の努力が、どうしても必要だ」と政府・民間の取り組みを促した。

総裁が供給力強化の重要性を強調するのは、低下を続ける潜在成長率への危機感といえる。バブル経済の崩壊以降、潜在成長率はほぼ、すう勢的に低下を続け、日銀試算によると足元では0.2%割れとほぼゼロ%。

日銀が2%の物価安定目標の実現に向けて大規模な金融緩和策を続ける中、こうした低い供給の天井が物価上昇要因に作用する可能性がある。

だが、総裁は会見で「物価2%達成されれば、あとはどうでもいいということはもちろんない」とも語った。物価が2%に上昇しても、低成長の中では、賃金を含めてその持続性に対し、懐疑的にならざるを得ず、目標の妥当性すら問われかねない。

奇しくも21日の金融政策決定会合後に公表された声明文からは「15年近く続いたデフレ」という表現を含むくだりが削除された。

この点について、総裁は会見で「異次元緩和が効果を発揮しているとの認識を踏まえたもので、特別な意味はない」と説明したが、緩和効果に対して一段と自信を深めているともいえる。

成長力に対する総裁の発信強化は、最後のピースを埋める役回りである政府に対する強い期待感の表れと言えるが、「ボールは政府に投げられた」(SMBCフレンド証券・チーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏)と受け取る市場関係者も少なくないようだ。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)


日銀声明文から「デフレ」文言消える、緩和効果に自信
2014年 05月 21日 20:34 JST
[東京 21日 ロイター] - 日銀は21日の金融政策決定会合で、現行の異次元緩和政策の継続を決めた。声明文から「デフレ」の文言が消え過去1年間の政策効果に自信を示すとともに、2%の物価目標達成には追加緩和が必要との市場の期待もけん制した格好だ。景気の現状判断は据え置いたが、設備投資について判断を引き上げた。

<設備投資判断引き上げ、白井委員が提案取り下げ>

会合2日目は終了時刻が午前11時36分と昨年9月以来の短時間で終了した。景気の現状判断は「基調的には緩やかな回復を続けている」と従来表現を据え置いたが、設備投資については1─3月の実質国内総生産(GDP)で高い伸びを示したことなどを受け「緩やかに増加している」とし、従来の「持ち直しが明確になっている」から引き上げた。

木内登英審議委員がこれまでに引き続き2%目標の達成を緩やかなものとし、2015年春をメドに政策を見直すよう提案し、反対多数で否決された。白井さゆり委員は雇用・所得の改善状況について声明文に記述すべきとの提案を取り下げた。

<政策と株・為替連動しないと総裁明言>

しかし市場で注目されたのはデフレ文言の削除。日銀は昨年4月以来、会合後に公表される声明文に、異次元緩和が「15年近く続いたデフレからの脱却に導く」と記していたが、今回初めて削除された。代わりに、異次元緩和は「所期の効果を発揮している」との文言が追加された。市場関係者の間では事実上の「デフレ脱却宣言では」との憶測も飛び交った。

黒田東彦総裁は、「デフレ」の文言が消えた理由について、「異次元緩和が効果を発揮しているとの認識を踏まえたもので、特別な意味はない」としつつ、物価が順調に上昇しつつある事態が「頭にあったのは事実」とも回答した。

異次元緩和のスタートから1年が経過し、日経平均株価が前年比で大きく上昇しなくなっているが、黒田総裁は「金融政策と株価や為替が連動することはない」と指摘。株式市場を中心とした追加緩和期待をけん制した。

<成長力強化で政府・民間にボール、追加緩和観測遠のく>

一方、会見で総裁が強調したのが成長力の強化。「この1年間の金融緩和や財政出動で需要が高まってきた結果、水面下の供給力不足が顕在化してきた」と表現。「政府が成長戦略を加速化あるいは深化させることは大変好ましく、期待したい」と強調した。具体例として「(1)企業の前向きな投資を促し、(2)女性や高齢者、高度な外国人の活用で労働供給力を高め、(3)規制・制度改革で生産性を向上することが重要」と列挙した。  

物価上昇に自信を深める一方、成長力の強化についてボールを政府・民間に投げた格好で、国内外でよほどの急変がなければ追加緩和を検討する可能性は少ないと感じさせる内容となった。

このため会合・会見を受け、英調査会社キャピタルエコノミクスは「7月追加緩和の可能性はなくなった」とのコメントを出した。SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、このタイミングでデフレ文言を削ったのは「消費増税後の価格転嫁や春闘の動きを見極めたかったため」と推察している。

(竹本能文 編集:内田慎一)


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0E10SV20140521
アングル:ドル/円に底割れリスク、シナリオ再構築迫られ99円台も視野
2014年 05月 21日 19:07 JST
[東京 21日 ロイター] - ドル/円の底割れリスクが強まってきた。ドル安基調が続くなか、黒田東彦日銀総裁が会見で追加緩和に慎重な姿勢を見せ続けたことで節目の101円を下抜け、年初来安値に接近した。

これまで日米金融政策の方向性の違いからドル高/円安方向に動くとの見方が多かったが、投資家はシナリオの再構築を迫られている。100円割れを指摘する声も増えてきた。

<黒田日銀総裁の会見がきっかけ>

午後3時半、黒田日銀総裁の会見が始まると、ドル/円はオプション関連のオーダーや実需の買いが並ぶとされる101.00円を割り込み、100.80円まで下落。2月4日につけた年初来安値100.75円に迫った。

「アベノミクス相場」開始以来の支持線となっていた200日移動平均線を明確に下回り、テクニカル上では下値模索のサインが出ている。JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長、佐々木融氏は「米金利の低下と円ショート・ポジションの積み上がりがドル/円に二重の下方圧力となっている。100円割れとなってもおかしくはない」との見方を示す。

年初は3.00%付近だった米10年国債利回りUS10YT=RRはじりじり低下し、直近では一時2.50%を割りこむところまで下げている。市場では、米国の1─3月期国内総生産(GDP)の弱さや住宅関連指標などが懸念され、米国債に買い戻しが入っているとの指摘もある。

<崩れたシナリオ>

ドル/円は2月初旬から101─104円のレンジ相場を形成していたが、その背景として、日米金融政策の先行き不透明感があった。日本では黒田総裁が4月の会見で「いま追加緩和は必要ない」と発言。海外勢を中心に根強く残っていた追加緩和期待がはく落した。

この日の日銀金融政策決定会合では、政策運営に関する声明文から「15年近く続いたデフレ」などの文言が削除され、黒田総裁も会見で「異次元緩和の所期の効果が発揮されている」との認識を示した。

一方、米国では一時盛り上がっていた早期利上げ期待が後退。5月の議会証言でイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が「高水準の金融緩和が引き続き正当化される」などと発言するなど、超低金利政策の長期化が意識されるようになった。

外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は「今年の前半は日米金融政策の方向性の違いによるドル高/円安基調というシナリオが描かれていたが、そのシナリオが崩れ始めている。短期筋の見通しが外れたことで、今まで構築したドルロング/円ショートのポジションが巻き戻されやすい」と指摘する。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(5月13日までの週)によると、投機筋の円売り越しポジションは6万4707枚。昨年12月24日までの週の14万3822枚から半減しているが、市場では「アベノミクス相場当初の5万枚程度までは縮小してもおかしくない」(外資系証券トレーダー)との指摘も出ている。

メリルリンチ日本証券のチーフFXストラテジスト、山田修輔氏も「100円割れはいつ来てもおかしくない。円高が進むシナリオでは、ドル/円の底打ちは夏ごろまでかかる可能性もある」と指摘する。その上で「日本の貿易赤字や、堅調な米経済を前提とした金融政策の差などのマクロ要因は健在であり、次は長期的な円安に向かうと見る。年末には108円を想定している」との見方を示している。

(杉山健太郎 :編集 伊賀大記)

英中銀政策委、9対0で金利据え置き決定=5月議事録
2014年 05月 21日 20:26 JST
[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)が21日公表した5月の金融政策委員会(MPC)の議事録によると、政策当局者らは9対0と満場一致で金利据え置きを決定した。ただ、英経済の成長余地などについては引き続き見解が割れていたことが分かった。

議事録は「一部の委員にとって金融政策に関する判断がより釣り合いの取れたものとなった。ただ短期的な政策判断に関しては、利上げが妥当と判断するには経済の緩みが縮小している一段の証拠が必要、との考えで全メンバーの考えが一致した」と指摘した。

カーニー中銀総裁は14日、記者会見で「時間の経過とともに景気回復が持続するにつれ、中銀が段階的に利上げを迫られる時期もやや近づいた」と述べ、利上げ時期はインフレ見通しや経済の緩みの度合いによるとの見方を示した。

ここ数カ月の住宅ローン承認率と売却住宅の減少について「注目」すべきとしたが、一時的な現象か、あるいは住宅ローンの規制強化の影響かを見極めるには時期尚早とした。BOEは規制強化の影響は第1・四半期よりは第2・四半期にでるとみている。

時期がくれば金利を徐々に引き上げる政策が、住宅市場の不均衡を拡大するリスクを増加する可能性があるものの、これを軽減するのは金融監督委員会(FPC)の役割とした。FPCは来月、四半期ごとの会合を開く。

金利を徐々に引き上げる方針は、景気の反応度の不透明性によっても裏付けられると指摘した。

ポンドの上昇は、今後3年のインフレを押し下げる可能性があるが、一部の企業は利益率拡大に利用するおそれもあるとの見方を示した。

(内容を追加しました)

日銀総裁「異次元緩和は所期の効果発揮」:識者はこうみる
2014年 05月 21日 18:33 JST
[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日の金融政策決定会合後の記者会見で、同日の声明文から「デフレ」の文言が消えた理由を尋ねられ、「異次元緩和が効果を発揮しているとの認識を踏まえたもので、特別な意味はない」としつつ、物価が順調に上昇しつつある事態が「頭にあったのは事実」とも回答した。

市場には追加緩和期待がくすぶるが、日銀としてはデフレ脱却が順調に進みつつあり、当面は現行の政策を継続する意向をにじませた。同時に景気・物価の回復に伴い露呈した成長力不足に対して、政府・民間の取り組みを強く期待した。

市場関係者の見方は以下の通り。

●成長力強化、日銀の域超えたと明言

<SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>

日銀は、政策運営に関する声明文から「15年近く続いたデフレ」などの文言を削除した。春闘の状況が見極められたこと、消費増税後の価格転嫁を見据えたことを踏まえて、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)ですでに示していた認識を、今回、声明文のかたちで初めて示した。

黒田総裁は、ここから潜在成長率を上げていくという問題は、中央銀行の域を超えたと明言した。中長期成長力を高めるため、1)企業投資、2)女性・高齢者・高度外国人の労働参加、3)規制緩和を挙げており、政府・民間にボールは投げられている。潜在成長率を高めながら物価も上昇するバランスの良い成長を求めていくうえで、その環境づくりを日銀は続けていくということだ。

日銀シナリオが大きく崩れない間は追加緩和をする必要がなく、淡々と今の緩和を継続することになりそうだ。ただ、今後どのようにするかを、秋までには明確に示した方が良いのではないかと個人的には思っている。

●ドルの年初来安値を割る内容でない

<外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也氏>

会見内容は、従来からの市場の見方を覆すような内容ではなかった。日銀は、これまで通りの姿勢を堅持するということだろう。

本来なら、相場を取り立てて刺激する内容ではなかったが、会見中にドル/円が101円を割り込んだ。下落要因として決め手になった発言があったというより、全体的なムードとして、リップサービスはないと踏んだ投機筋が円買いを仕掛けたとみている。

今までは、101.20円付近を通る200日移動平均線が攻防の分岐点とされた。101円を割り込んだ今、年初来安値の100.75円が「最後の砦」といえる。ここを突き崩すほどの会見内容ではなかった。

ただ、海外時間中には年初来安値を割り込むこともあり得る。夜半にはイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が予定され、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録も出てくる。想定以上のハト派発言があれば、今度は円高ではなくドル安がドル/円を押し下げる可能性がある。

●サプライズなく、投機筋が為替から売り仕掛け

<野村証券 エクイティ・マーケットアナリスト 佐藤雅彦氏>

黒田東彦総裁の発言内容にサプライズはなく、外為市場でドル/円が下落したのは投機筋による売り仕掛けとみている。日経平均は足元で1万4000円付近での推移が続いており、一気にこの水準を割らせようとする投機筋が為替から仕掛けた動きではないだろうか。ドル/円は節目の1ドル101円を割り込んだが、いずれは買い戻しが入り、元の水準に戻ってくるだろう。

ただ日本株をめぐっては、海外投資家の間で安倍晋三首相に対する不満が高まっている。集団的自衛権に関する議論が熱を帯びる中、もう少し経済に注力してほしいと感じている海外勢も多い。こうした背景もあったため、たとえサプライズがない今回の会見でも投機筋にとっては売り仕掛けをしやすい状況だったのではないか。

また、追加緩和の時期は10月との見方で変わっておらず、今回の発言を受けて修正するということはない。

5月のユーロ圏消費者信頼感、マイナス7.1−予想以上の改善
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  5月21日(ブルームバーグ):5月のユーロ圏消費者信頼感 はエコノミスト予想を上回る改善となった。
欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会が21日発表した5月のユーロ圏消費者信頼感指数は速報値でマイナス7.1と、4月のマイナス8.6を上回り、2007年10月以来の高水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト23人の中央予想値 はマイナス8.3だった。
原題:Euro-Area May Consumer Confidence Increases More ThanForecast(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:マドリード Angeline Benoit abenoit4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.netPatrick Henry
更新日時: 2014/05/21 23:17 JST


03. 2014年5月22日 18:31:39 : niiL5nr8dQ

コラム:物価めぐる市場とのかい離、日銀に軍配か
2014年 05月 21日 19:52 JST
田巻 一彦

[東京 21日 ロイター] - 物価をめぐる日銀と市場関係者とのギャップが、なかなか埋まらない。長期金利が0.6%を割り込む水準で推移している背景の1つに、円安効果がはく落する夏場にかけて、物価上昇率が1%を割り込んで、日銀が追加緩和に追い込まれるという見方があるからだ。

だが、着実に需給ギャップはプラス転換する方向に圧力がかかっており、日銀に軍配が上がる可能性が高まっている。近く内閣府から発表される需給ギャップのデータに一段と関心が集まりそうだ。

<低い長期金利、背景に市場の物価観>

21日の金融政策決定会合後の会見で、日銀の黒田東彦総裁は消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の動向について「しばらく1%前半で推移し、年度後半から上昇する」との見通しをあらためて示した。

だが、市場の見方は、依然として日銀シナリオに懐疑的だ。10年最長期国債利回りJP10YTN=JBTCは21日も0.6%を割り込んだ水準で取引を終了した。ある大手銀関係者の1人は「日銀が大量に国債を購入している結果は、現象の一部しか説明していない。要は、物価が上がらないと見ている参加者が多いから、金利が上がらない」と指摘する。

この銀行関係者を含め、市場では夏場にかけてコアCPIの前年比上昇率が鈍化し、足元の1.3%から1%を割り込むとの見方が多い。

その大きな理由は、これまでの物価上昇の多くは円安に起因しており、円安効果が前年比ではく落してくれば、物価を押し上げる力が小さくなるという点だ。

<人手不足と賃金上昇圧力>

だが、最近の経済現象を詳細に見てくると、円安ルートだけでは片付かない要因があることに気付く。

1つは、建設や流通などで先行して表面化している人手不足と、賃金上昇圧力の増加傾向だ。一部の外食産業で人手不足から店舗閉鎖を決断するケースまで表れ、パートタイムなど非正規社員の時間給が上がり出している。

春闘における賃上げ率の上昇が、中小企業にも波及している流れと合わせ、賃上げから価格上昇へのメカニズムが動き出しているようだ。

<低下する潜在成長率、需給ギャップに影響>

また、潜在成長率の低下も手伝って、需要と供給の差である需給ギャップが急速に縮小し、黒田総裁は前回の会見で、ゼロ近辺まで縮小していることを認めたが、足元ではさらに需要が供給力を上回る「プラス転換」が起きているのではないかとの見方が、政府・日銀内でささやかれ出している。

もし、需給ギャップがプラスになり、その幅がジワジワと拡大していくなら、物価の上昇率は、大方の市場関係者の予想を裏切って、夏場に低下するのではなく、「円安一巡効果」を吸収して底堅く推移し、秋口から上昇基調を鮮明にする──というシナリオの実現可能性を高めることになるだろう。

<東大指数はプラスに浮上>

20年近いデフレ現象に直面してきた日本では、ほとんどの人々の記憶から「物価上昇」という生々しい印象は、消去されている。いわゆる「実感がわかない」という感じが世の中に広がっていたが、4月以降の値付けを見ていると、はっきりと値上げを打ち出している商品も数多く、「物価は上がり出した」と思い始めている人も少なくないのではないか。

スーパーなどの店頭価格を把握している「東大日次物価指数」をみても、4月1日以降、上昇から急低下という軌跡をたどりつつ、税抜価格は5月16日現在で前年比プラス0.06%まで上昇。税込みの名目価格はかなり上がってきている。

<勝負は夏場の声>

市場では「夏場が物価の勝負どころ」(別の大手銀関係者)という声が広がっている。私は、構造的失業率に接近したタイトな労働市場と、需給ギャップのプラス幅拡大という大きなうねりを背景に、物価見通しは日銀に軍配が上がると予想する。

その後に何が起きるのか──。それは0.6%前後で低位安定している長期金利にジワリと上昇圧力がかかるという現象だろう。

<物価上昇が影響する市場の出口意識>

このシナリオが狂うとすれば、リーマン破綻並みのショックが発生して、世界中で大規模な金融緩和と財政出動を迫られるという局面が来るときだと考える。

物価が日銀の予測通りに上がり出すと、皮肉なことに日銀が「安定的に2%まで上昇するまで量的質的金融緩和を継続する」と強調しても、市場は「出口」を意識して、日銀のメッセージを額面通りに受け止めなくなるリスクが高まる。

そういう局面で、日銀が何を選択するのか。将棋や囲碁の名人戦で戦っているつもりで、数十手先の展開を予想してみると、今まで気づかなかったことを発見することになるかもしれない。


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