★阿修羅♪ > 経世済民88 > 263.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
長期金利上昇は来年のいつか? 米国金融緩和策の出口戦略の罠(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/14/hasan88/msg/263.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 6 月 02 日 14:02:25: igsppGRN/E9PQ
 

出口戦略をめぐる発言に注目が集まるイエレンFRB議長 photo Getty Imags


長期金利上昇は来年のいつか? 米国金融緩和策の出口戦略の罠
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39416
2014年06月02日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス


現在、米国FRB(連邦準備理事会)は金融緩和策の出口を模索している。今の金融緩和策縮小のペースを考えると、今年10月頃には緩和策による資金供給量がゼロになる。イエレン議長の発言では、そこから一定期間をおいて金利が上昇すると見られる。

市場関係者の予測では、「来年中ごろまでには、金利引き上げの条件が整うはず」との見方が多い。足元の経済回復が順調に継続すると、恐らく来年の春先以降、FRBの出口戦略が明らかになるだろう。

金融緩和策で最も難しいのは、出口戦略=金融政策の正常化の時期とその手法だ。正常化が速すぎると、景気回復の腰を折ってしまうことが懸念される一方、タイミングが遅れるとバブルの発生などの弊害が大きくなるからだ。

■最大の問題は債券価格の下落

金融緩和策の正常化による重要な問題の一つは、債券価格の下落=長期金利の上昇だ。金融緩和策では、多額のお金を市中に供給するため金利は低位で安定する。ところが、金融緩和策が解除されると、資金供給が止まり金利は上昇しやすくなる。

特に長期金利はその影響を大きく受ける。来年、FRBが金融緩和策から引き締めに転じるとすれば、米国債の流通利回りが上昇=国債価格が下落することは避けられない。ということは、多額の国債を保有している主体には多額の損失が発生するはずだ。

今までFRBは金融緩和策を実行するために、多額の米国債や住宅ローン担保債券を購入してきた。問題は、保有するそれらの債権から多額の含み損が発生することだ。つまり、FRBのバランスシートが毀損する可能性が高いのである。

■FRBの信用力に懸念も

FRBが多額の含み損を抱えることになると、信用力に懸念が出ることも考えられる。中央銀行の信用力が低下すると、当該中央銀行が発行する通貨の信用力にも懸念が出ることが考えられる。

つまり、FRBが発行するドル紙幣に対する人々の信認が低下することが懸念される。それが現実のものになると、為替市場でドルが売られやすく、弱含みの展開になるかもしれない。それは、世界の金融市場にとって大きな波乱要因になるだろう。

基軸通貨の信認が低下すると、安全通貨と見られているスイスフランや円に買いが入ることも考えられる。また、ドル下落のペースが急だと、世界の株式市場が不安定な展開にあることも予想される。いずれにしても、今後のFRBの政策運営には十分注意をする必要がある。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年6月02日 14:56:35 : bfiJIUelwU
全て間違いだ。本当は以下の通り。

中央銀行が資産の買い手となるマネーのプレゼントの巨大イベントがなくなれば、需要減少とデフレにすぐに逆戻りする。名目金利は低下し、実質金利が上昇する。

量的緩和の打ち切りは長期のゼロ金利の始まりを意味するイベントだ。

こんな簡単なことが分析できない今の経済学はくず学問に等しい。


02. 2014年6月02日 18:16:33 : UQwdK2ncCw
欧米日の金融組織に組みこまれ振りまわされ牛耳られいることに厭気を覚えている国家は、もっと安定した国の通貨か、二国間取引においては互いの通貨で行うようになるかも知れない。
しかし、米国はこうした国家の政権にいつものように他の要因を探しだし、あるいは創造し、世論を抱き込み武力行使に訴え、ドルを発行したりしなかったりすることで世界の金融資産を操り、そうした金融資産に付随する資源や生産企業をも
配下にすることさえできる権利をTPPで模索中であるドル基軸通貨の地位を死主するであろうが・・。

03. 2014年6月03日 01:42:02 : 6uFgfWwteg
だれも本当のことを書かないが、実は
今のアメリカの国家財政は驚くほど劇的に改善している。

そのことを裏付ける1つの証拠として
今年2月まで4半期ごとに繰り返してきた債務上限問題、デフォルトするする詐欺も
、その今年2月を一旦最後に少なくとも来年までは全く問題が無くなっているのである。

アメリカの財政を支えるために、今年2月にトヨタやブリッジストンなどに法外な
罰金が課され、アメリカの国庫に入っている。

また、日本政府も今回3%の増税で得られる消費税収6兆円をソックリ、今までの毎年の米国債購入計画に上乗せして払い込むことを4月に訪日したオバマに約束させられた。
さらに来年2%増税する消費税収4兆円もソックリ米国債購入に毎年上乗せされることになっている。

この他にもアメリカの財政を支えるシステムがある。

このようにアメリカは、あのサブプライム、リーマンショックから波及した
ソブリンリスクを水際で食い止め、日本を犠牲にし
必死に政府財政の建て直しを図ってきた。

決してアメリカを賛美しているのではない。
狡猾だが、舌を巻かざるを得ないという話だ。

いまだにアメリカの出口戦略、つまりFRBの米国債買い入れプログラムの完全停止が
アメリカの財政や経済に大きなダメージを与えると考えている人たちは、
現在進行中の重要な事実を見落としているとだけ書いておく。

オバマ政権もいよいよ、その役目を終えようとしている。
これで充分な戦費調達のメドもたった。
債務上限の厳しい制約と緊縮財政のために、シリアでもウクライナでも
アメリカの軍部や軍需産業はおあずけを食わざるを得なかった。

来年、あるいは再来年、アメリカは
黙示録の獣のように、完全に打ち傷の癒えた凶暴な野獣として再び世界に君臨し
、世界を戦火に叩き込むだろう。

このアジアでも、その舞台と役者たちとシナリオは整いつつある。



04. 2014年6月03日 09:57:16 : nJF6kGWndY

高齢化が進む上に、再分配政策が弱い米国の場合は、低賃金競合国の生産力が高まる状況では、デフレと低金利傾向は避けがたく続くだろう

ただし、目先の金利低下自体は投機的な要因が強いから、プラスなニュース次第では反転しても不思議ではない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40845
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
米国の景気回復が生ぬるい理由 重要なのは中間層なのだ、愚か者め
2014年06月03日(Tue) Financial Times
(2014年6月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 景気予測の効用なんて、占星術が立派なものに見えるようになるということぐらいだ――。経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスはかつてそう語った。

 エコノミストたちは米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP)が前期比年率1%のマイナス成長に終わったことについて、その原因のほとんどは厳冬にあったと述べている。北米に大寒波をもたらした「極渦(きょくうず)」は終わったから、米国待望の景気回復がついに始まると話している。この職業の人たちの揺るぎない自信とは、これほどのものだ。自分のお金のことを考えるなら、星占いか天気予報を見る方がましだと筆者は思う。

伸び悩むどころか低下する大多数の購買力

 景気予測に携わる人々は、米国経済が根本的に変わってしまったという事実をまだしっかり認識できていない。大多数の米国人の購買力は、景気回復が5年前に始まってからも、伸び悩むどころか低下してしまっている。

 調査会社センティア・リサーチによれば、米国の世帯所得のメジアン(中央値)は現在5万3000ドルで、2008年に景気後退が始まった時よりも実質ベースで4000ドル以上――比率で言えば7.6%――減少している。ところが、米国経済全体の規模は景気後退前の水準をとっくの昔に上回っている。

 この犯人は、今日の重要な経済的事実の1つである所得と富の格差拡大だ。英イングランド銀行のマーク・カーニー総裁が先週述べたように、「社会の中における結果の不平等はほぼ例外なく、世代内と世代間の両方において明らかに拡大している」のだ。

 経済成長の果実の大半が一握りの高所得層の手中に収まる時、その果実はほとんど消費に回らない。そのため、経済全体の成長はいつまでも弱々しいままとなる。

 特に不思議な力が作用しているわけではない。例えば、米国住宅市場の回復ぶりについて考えてみよう。住宅市場はここ数カ月間、再び回復の歩みを止めている(これは厳冬の前から存在し、その後も続くマイナスの傾向だ)。

消費に見る著しい二極化

 不動産業者のレッドフィンによれば、米国の住宅を価格順に並べた時の最上位1%――金額で言えば167万ドル以上の高額物件――の今年1〜4月期における販売戸数は、前年同期比で21%増加した。2013年通期では同35%の増加だった。2013年に特に大きく伸びたのはサンフランシスコ湾周辺の地域で、ここの最上位1%の最低価格は535万ドルだったという。

 一方、下位99%の物件の今年1〜4月期における販売戸数は、前年同期比で7.6%減少している。要するに、これが現在の米国経済である。住宅の販売戸数は全体では増えている。しかし、ほとんどの人はそれを実感していないのだ。

 同じことはほかの分野の消費についても言える。最高級品の販売が絶好調で、最も安価な商品の一部も好調だが、その中間の大部分の商品は苦戦しているという具合だ。「ルイ・ヴィトン」や「ブルガリ」といった高級ブランドを擁する高級品複合企業モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)は2014年第1四半期、全世界売上高を9%伸ばした。米国での売り上げが好調だったという。

 米国の高級宝飾品大手ティファニーも、米国経済全体がマイナス成長だった第1四半期に売上高を9%増やしている。最上位1%の人々を顧客にしている企業は好調なのだ。

 一方、スーパー大手のウォルマートは、同じ第1四半期に売上高を5%減らした。かつて米国中間層の消費の方向性をいち早く指し示す存在だったシアーズ・ホールディングスも、6.8%の減収に終わった。同様な事例は枚挙にいとまがない。

 高級品の販売店に匹敵する業績を上げているのは、最も貧しい階層の米国人が掘り出し物を探しに足を運ぶ小売店だけだ。

 米国ディスカウントショップ大手のダラーツリーは、2014年1〜3月期に7.2%の大幅増収を記録した。ディスカウントショップには、世間の景気が悪くなるとスーパーなどの大規模小売店から顧客が流れてくることが多い。また、景気の悪化をいち早く示す存在であるレンタル収納サービス業界の最大手2社(パブリック・ストレージとエクストラ・スペース・ストレージ)は2ケタ増収を達成している。

株式市場と債券市場が発するシグナル

 このようにはっきりとした相違は、資産市場からの分かりにくいシグナルにも見受けられる。米国の株価は、企業業績の向上に対する楽観論を背景に引き続き好調だが、米国債相場は1930年代の大恐慌並みの悲観論を織り込みつつあるのだ。

 米国債10年物の利回りは、今年年初の3.04%から先週の2.45%に低下している。これは、米国ではインフレが進みそうにないという厳しい見方にほかならない。では、好調な株式市場のシグナルと悲観的な債券市場のシグナルのどちらを信じるべきなのか。答えは「両方」だ。

 米国株の多くの銘柄は、高級なモノやサービスの売り上げ増加と外国での売り上げに支えられて好調を維持するだろう。だが、米国経済全体の成長は加速しそうになく、それゆえに債券利回りはこのような低水準に下がっているのだ。

 債券市場は、多くのエコノミストがいまだに見逃している何かをとらえている。確かにこの世界はややこしいが、この話の基本はシンプルだ。米国では、経済の成長が続く間にも中間層の空洞化が続いているのである。

 しかし、中間層が危機に直面していたら、経済成長にも限界が出てくる。中間層が所得を大きく伸ばし始めなければ、我々は「ニューノーマル」という少し腹立たしい名前の付いた状況から抜け出せなくなってしまうだろう。

答えを持ち合わせない政治家

 民主党も共和党も、そして欧州の大半の政党も、この問題に対する答えは持ち合わせていないようだ。バラク・オバマ大統領は最低賃金の引き上げを強く求めており、実現できれば米国で最も貧しいグループに入る労働者たちの助けになると見て間違いあるまい。しかし、最も重要な問題の解決にはつながらないだろう。

 共和党は富を生む企業などの減税を求め続けているが、これも同様に、問題の解決にはならないだろう。両党は互いに譲らず、議論は膠着状態に陥っている。

 両党には、20年ぶりの厳しい冬を耐え抜いたカナダが大いに参考になるかもしれない。

 カナダの2014年第1四半期の経済成長率(前期比年率)はプラスの1.2%だった。マイナス1%の米国とは対照的だ。折しもカナダには、米国のそれよりも元気な中間層が存在する。米国の景気回復がはかばかしくないことの背景には、悪天候よりもはるかに重要な何かがあるのだ。

By Edward Luce


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140602/265928/?ST=print

「ニュースを斬る」
世界で大論争、大著『21世紀の資本論』で考える良い不平等と悪い不平等 フランス人経済学者トマ・ピケティ氏が起こした波紋

2014年6月3日(火)  澁谷 浩

 フランス人経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が書いた『21世紀の資本論(Capital in the Twenty-First Century)』が今、米国をはじめ世界中で注目を集め、売れに売れまくっている。700ページ程の分厚い経済書としては異例の出来事だ。皮肉にも、ピケティが上位1パーセントの高額所得者に仲間入りするのは確実だ。『資本論』出版のタイミングと誰にでも理解できる大胆な政策提言(富裕層から富を税金で奪い取れ)は、米国政治の右派と左派の感情を刺激するには完璧であった。


『Capital in the Twenty-First Century』(英書)
 2008年に始まった世界金融危機以降、一般大衆は失業や低賃金など経済苦境を長く経験してきた。同時に、かれらは金融危機を引き起こした張本人であるはずの、投資銀行の最高経営責任者(CEO)達が一般労働者の1000倍近い超高額報酬を得ているのを見ている。

 そして、多くの人びとが資本主義そのものに疑問を感じ始めた丁度その時、ピケティの『資本論』が店頭に出てきたのである。それは多くの人びとが感じていた貧富格差拡大の事実をデータで裏打ちし、しかも不平等是正のための政策提言を積極的に行ったのである。すなわち、「富裕層の所得と富に高い税金をかけて奪い取れば不平等は解決するのだ」と。

データ不備の指摘は本筋にあまり影響がない

 そのメッセージはあっという間に、近年ますます顕著になってきた米国政治の右派・左派対立の火種に油を注ぐことになった。ポール・クルーグマン米プリンストン大学教授やジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授などの左派有名人がピケティの『資本論』を褒め称えると、右派はさまざまな側面から攻撃を始めた。

 例えば、右派は1980年以降の不平等拡大を示すデータの不備を指摘している。ただし、これはピケティ以前に多くの研究者が異なる資料を使って示していた点であり、今後事実として覆る可能性は小さいと思われる。いずれにせよ、論争は激しさを増しており、まさに乾いた薪に一気に火が燃え広がった状況にある。

ピケティの論点とは?

 世間の政治的大騒ぎから距離を置いて見ても、ピケティの『資本論』は学問的に吟味するに値する本である。それは今までになかった欧米諸国の長期データに基づいた研究の集大成である。『資本論』は大きく分けて3つの部分からなる。

 第1は、所得と富の歴史的分析、第2は所得と富の不平等が21世紀に拡大していくという予測、第3は拡大する不平等をくいとめるための政策提言である。私は、第1の部分を高く評価、第2の部分もおおむね賛成、第3の部分には反対である。まだ本を読んでない人のために、そして私が批評を始める前に、ピケティの『資本論』を要約しておこう。

 『資本論』は、数世紀にわたる膨大なデータ分析に基づいて、産業革命以降の所得と富の変動を分析した研究である。それによると、18−19世紀のヨーロッパは不平等が非常に大きな社会であった。硬直的な階級社会の下で、富は少数の富裕家族の手に集中していた。(富/所得)比率は高く、産業革命以降賃金は少しずつ上昇していくが、不平等社会はそのまま存続した。

 不平等な社会構造は、20世紀に起こった2つの世界大戦と大恐慌によって始めて崩れることになる。戦争による資本破壊、戦争をファイナンスするための高税率、高インフレ、企業倒産、そして戦後多くの先進国が採用した福祉政策によって(富/所得)比率は低下し、戦後は18−19世紀とは大きく異なる比較的平等な社会が生まれてきた。

 しかし、20世紀の2つの世界大戦と大恐慌のショックは、次第に薄れていき、資本の論理が世界を支配し始めている。欧米先進国では、再び所得と富の不平等が拡大し、18−19世紀の水準に回帰しつつある(データについては、記事文末の注のリンク先を参照。Figure I.1 & I.2)。

「資本収益率は、経済成長率より常に大きい」

 これらの研究結果に基づいて、ピケティは不平等と資本の関係についての独自の理論を展開する。その基本となるのが、資本収益率(r)が経済成長率(g)よりも常に大きいという歴史的事実である(Figure 10.9)。一般に、経済成長率が高い時には(富/所得)比率が減少し、低いときには(富/所得)比率が増大する。

 しかし、歴史的事実が示しているように不等式(r>g)が常に成立する限り、富の集中を自然に抑制する経済メカニズムは存在しない。戦後復興期の高成長が今後急激な人口増加や技術革新によって再現されない限り、われわれは18−19世紀に経験した「世襲資本主義(Patrimonial Capitalism)」の時代に戻ることになる。

 そうなれば、不平等拡大によって政治不安は高まり民主主義の脅威となる。それを事前に回避するために、ピケティは「高率累進所得課税」と「グローバルな『富』への課税」という政府介入を提案する。

『21世紀の資本論』の批判的評価

 ピケティの分析と結論に関して複数の問題点を指摘することができる。第1に、ピケティの議論の中で重要な役割を担っている不等式【r(資本収益率)>g(経済成長率)】が21世紀になって成立しなくなる可能性を否定することはできない。

 一般に、資本蓄積が進むにつれて、資本収益率は低下していくと考えられる。技術革新のみがそれを防ぐことができる。またノーベル賞経済学者、ロバート・ソロー米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の成長理論によれば、長期均衡は定常状態によって規定される。

 すなわち、ピケティの不等式が長期的定常状態では成立しなくなる可能性がある。問題は、ピケティが不等式(r>g)を説明する経済モデルを提示していないことにある。ある過去の現象が将来も継続することを示すには、その現象を理論的に説明できるモデルが必要だ。ピケティの不等式を説明できる経済モデルが欠如している限り、それが21世に消滅する可能性を否定することはできない。

 第2に、実は、ピケティ不等式(r>g)は富の不平等が拡大するための必要条件ではない。ピケティの資本収益率(r)は平均収益率である。現実には資本収益率は個々の投資対象によって大きなばらつきがある。そして、資本収益率の分散(ばらつき)が大きければ、たとえ r=g であっても、結果として生まれる富の不平等は時間と共に拡大する。

 この段落は多少専門的な表現になるが、例えば、資本収益率が正規分布によってほぼ近似できると仮定すると、分散(ばらつき)が大きければ、生成される富の分布は平均値が左低位に非常に片寄った対数正規分布になる。

 すなわち、個々の投資対象の資本収益率がばらついていれば、ピケティ不等式が成立していなくても富の不平等は拡大して行くということである。不平等拡大のための条件は、資本収益率が分散しているという事実だけで理論的には十分なのである。

投資収益率と経済成長率の差は「リスクプレミアム」

 第3に、たとえピケティの不等式が将来も常に成立するとしても、それは資本投資のリスクプレミアムを反映しているにすぎないと解釈することができる。もし資本収益率と経済成長率の差(r−g)がリスクプレミアムを反映しているとすれば、その差(ピケティ・ギャップ)は将来も存在し続けるだろう。

 しかも、それはリスクを取って経済活動をしている資本家に対する正当な対価だと主張できる。だとすれば、課税によってピケティ・ギャップを縮めることは、投資活動や技術革新などのリスク・テイキングのインセンティブを弱めることになるので望ましくない。リスク・テイキングこそが経済成長の原動力であり、ピケティの課税は結果的にリスク・テイキングを抑制し経済成長率を低下させることになるからだ。

最高税率引き下げが高成長につながった可能性

 第4に、ピケティは高課税政策が経済成長に与えるマイナス影響を過小評価している。ピケティによれば、20世紀の特徴は、戦後の高度成長によって不平等が抑制された点にあった。しかし、21世紀には、先進国がそろって低成長に移行すると考えられるので、不平等はさらに拡大するとピケティは予想する。

 そして、所得と富に対する課税によって「世襲資本主義」への道を回避しなければならないと主張する。しかし、彼が、自身の提唱する政策によって世界経済の成長率が低下する可能性を真剣に考慮しているのかどうか疑問だ。経済成長への悪影響を否定することができなければ、ピケティの政策を正当化することはできない。

 実際、彼のデータは、戦後1950−2012年の高成長と最高所得税率の低下の間には高い相関関係があることを示している(Figure 2.5 & 14.1)。すなわち、戦後の最高所得税率の引き下げが投資活動を活発にして高成長につながった可能性があるのだ。

 第5に、ピケティは明らかに大きな政府を信用している。政府は国民の利益を最優先するように慈善的に行動すると信じているようだ。この信念は大きな政府が問題解決の第一手段だと思っている人々に共通した認識である。彼らはナイーブに政府を信用しているか、もしくは、本当の動機(政府高官になって地位・富・権力を獲得したいという欲望)を隠しているかのどちらかである。

 ピケティは良心的な学者に見えるので、前者に属しているのだろう。いずれにせよ、ピケティの高課税政策は、税収の増大、政府権力の増大を伴う大きな政府を創り出すことになる。歴史は、大きな政府が政治家や官僚や大企業なの既得権益獲得のために国民のお金を悪用したり、権力を乱用したりする事例で溢れている。

 第6に、ピケティは「なぜ不平等が問題なのか?」という根本問題に十分答えていない。彼の議論は、不平等の拡大は政治的対立を激化させ民主主義に危機をもたらす、という指摘に留まる。しかし、不平等は各自の生産性に見合う報酬の結果なので問題ない、と主張することも可能だ。すなわち、高い報酬は高い社会的貢献の結果であるということだ。

 もしそうならば、不平等に対する不満は単なる「嫉妬」にすぎない。解決策は、不平等の解消ではなく、各自が大人に成長して常に自分を他人と比較するのをやめることだ。

 この場合、不平等は経済学の問題ではなく社会心理学の問題に帰属する。政府が不平等を抑制するために市場に介入することは正当化できない。それは合法的略奪である、という考え方である。これはリバタリアンが好んで展開する議論である。実際、各自の報酬が生産性に対応しているのならば、政府による不平等是正のための市場介入を合理的に正当化するのは非常に難しい。

再考・なぜ不平等は問題なのか?

 私も最近までリバタリアンの主張に対して合理的に反論するのは困難だと感じていた。すなわち、政府による所得再分配政策は正当化できず、経済成長に伴い貧困層の所得が絶対水準で上昇している限り、不平等は特に問題ではないということだ。もし、賃金上昇を望むならば、市場で自分の生産性を上昇させるしかない。

 自ら教育や資格や職業訓練を通じて生産性をあげるしかない。まさに自己責任である。政府はそのような機会を提供する政策を正当化できても、賃金が生産性に対応している限り、所得再分配政策は正当化できない。それは略奪であり、不公正であり、社会正義に反するという考え方だ。

公正、正義、平等を気にする動物として進化した人間

 しかし、経済学が仮定する「経済人(homo economicus)」を現実的な人間すなわち他者の利益も配慮する人間で置き換えて考えると、大きな不平等が解決されるべき社会的問題として登場してくる。人間本性は進化の結果である。実は、人間は公正、正義、平等ということをとても気にする動物として進化してきた。

 その理由は、自然界における生存競争の中で人間が生き残るためには、お互いに協力することが不可欠な生存手段であることを学んだからである。その結果、人間は協力を通じて行動する社会的動物として進化してきたのである。

 従って極端な不平等を見た時、人間は本能的に不公正・不正義の感覚を持つようになる。特に、不平等の原因が、政治を通じた特殊な利益の追求(rent-seeking)や遺産相続の結果であればなおさらである。それらは生産性すなわち社会的貢献を反映していないからである。

 そして、不公正、不正義、不平等の感情は、人間の協力関係をいとも簡単に崩壊してしまう。人間は進化した社会的動物である。そして社会的協力は相互依存を意味し、相互依存は外部性を意味し、外部性は「厚生経済学の基本定理」を破壊する。

 すなわち、アダム・スミスの「見えざる手」は社会では機能しない。したがって、利己的行動だけでは最適な社会は維持できない。協力こそが人間社会の生存にとって決定的に重要なのである。

 人間に特有な社会性(協力)が人間を他の動物と区別する一番重要な特徴である。人間は協力することによって、自然界で生き残り、「コモンズの悲劇」を解決し、「囚人のジレンマ」を克服してきたのである(各用語の意味はリンク先で適切に解説されているので、参照されたい)。

 人間は社会性(協力)という本性を身に付けることによって生き残り文明を築いてきたのである。しかし、大きな不平等にともなう不公正・不正義の感情によって集団、会社、組織、社会における協力は簡単に壊れる。そして、協力の崩壊は経済的停滞さらには不親切社会さらには敵対的社会をもたらす。一体誰が、そのような経済社会に住みたいと思うのだろうか?

良い不平等と悪い不平等

 さらに、純粋に経済学の視点から見ても、賃金は生産性に対応していないことが多い。単純化して説明すると、微分可能な生産関数の情報がなければ、われわれは会社の一人ひとりの社員の生産性(marginal product)を知ることはできない。そして、現実問題として、われわれはそのような生産関数を知らないのである。

 例えば、トヨタ自動車の個々の社員に対して微分可能な生産関数を見たことがあるだろうか? トヨタの社員はみんな生産性に対応した賃金を得ているのだろうか? 会社の年次報告書の中に微分可能な生産関数が記載されているだろうか? 実際、各社員の生産性を客観的に知ることができないという問題が、「成果主義」がなかなかうまく成功しない大きな理由である。

 会社の賃金体系は会社内そして社会的に受け入れられている慣習によって決まる。もちろん、市場経済において、会社の平均賃金は平均労働生産性に近い水準で決定されなければならない。生産性以上の賃金を支払っていれば会社は市場で生き残れないからである。

 しかし会社内の賃金体系は、一般に、会社内で低位にいる社員は生産性以上の、そして高位にいる社員は生産性以下の報酬を得ている。高位の社員は、低位にいる社員の低地位に伴う効用減を補償することによって組織全体の効用均衡が達成されるからである。このように会社内では平等化の力が働いている。

 この一般命題から大きく逸脱しているのが会社の最高経営責任者(CEO)達だ。彼らは、実質的に自らの報酬を自分で決定することができる。それを防ぐことができるのは取締役会である。しかし、現実には、取締役会役員もCEOの支配下にあることが多い。そうすると、CEOの報酬を生産性に対応させる有効なメカニズムは存在しないことになる。

 思い出してほしい、2008年の世界金融危機の時に投資銀行のCEO達の生産性は膨大なマイナスであった。しかし、かれらの誰一人として巨額のマイナス報酬を受け取ったCEOはいない。明らかに、CEOの報酬は生産性とは関係なく決定されている。

 大きな不平等はさらに望ましくない社会問題を引き起こす。多くの研究によると、不平等は信頼、寿命、学習成績と負の相関関係があること(不平等であればあるほど信頼、寿命、学習成績の低下が見られる傾向にある)や、心の病気、肥満、10代の妊娠、殺人、囚人数と正の相関関係がある(不平等であればあるほど、心の病気、肥満、10代の妊娠などが起こりやすい傾向にある)こと、が示されている。

 すなわち、不平等は個人のみならず、社会にとっても望ましくない影響をもたらすことが明らかになっている。信頼が希薄な社会では、お互いの協力を得るのも維持するのも困難になり、経済は停滞し犯罪も増えるだろう。これらの社会問題を解決するには不平等問題を避けては通れない。社会問題と不平等は同時に解決されなければならないのである。

 まとめると、不平等を無視できない理由は少なくても4つある。第1に、不平等は心と体の健康に悪影響をおよぼし社会問題を引き起こす。したがって、個人と社会の健康を維持するには不平等に対処しなければならない。第2に、賃金や給与は必ずしも生産性を反映しているものではない。特に、CEO達の報酬は生産性を反映していない。

 第3に、大きな不平等は信頼と協力を破壊することによって経済社会を停滞させる。人間の社会性(協力)は人類文明を作り上げるのに決定的に重要な役割を果たした本性であるが、不平等に伴う不公平・不正義の感情によって壊れる脆弱な存在でもある。最後に、大きな富は政治を支配し政策を決定する手段として有効だ。それによって、一般市民の犠牲の上に、富裕層の既得権益を守るために使われる危険がある。

 結局、不平等には良い不平等と悪い不平等があることが分かる。良い不平等とは生産性に対応した所得配分の結果生じた不平等である。それは労働意欲を刺激し起業家精神を育む正しいインセンティブを与える。

 他方、悪い不平等とは既得権益や特殊利益追究の結果生じた不平等で、生産性とは関係がない。悪い不平等によって既得権益が生まれ、政治を通じて新規の競争相手が現われないように政策(規制、補助金)を誘導する。良い不平等は経済成長を促進し、悪い不平等は成長を阻害するのである。したがって、良い不平等を促進し、悪い不平等を抑制することが良い政策の条件となる。

20世紀からの2つの遺産

 既に述べたように、20世紀の歴史は2つの世界大戦によって決定づけられた。そして世界大戦は現代人に2つの大きな遺産を作った。1つは、戦後の平等社会の出現であり、もう1つは大きな政府の出現である。

 ここまで、われわれは不平等について議論してきたが、20世紀の平等社会はピケティによれば特殊な例外であり、21世紀において不平等はさらに拡大していくと予想されている。この不平等拡大に対してピケティは高い累進所得課税とグローバルな富課税という政策提言を行ったのである。

 しかし、もう1つの20世紀の遺産については何が言えるのだろうか? 大きな政府は21世紀にはさらに大きくなっていくのだろうか?

 確実に言えることが1つある。

 それはピケティの政策が実行されれば世界中の政府がさらに大きくなっていくということだ。大きな税収を獲得して政府はますます巨大な存在になっていくからだ。私は、この大きな政府問題が不平等問題よりもより深刻な状況を引き起こすことになるだろうと考えている。実際、日本を含めた先進諸国の成長率が過去数十年にわたって徐々に低下してきている根本原因は、まさに民間活動の隅々まで浸透してきた行政介入、すなわち大きな政府にあると考えている。

 ピケティの高課税政策は大きな政府を作り出す。大きな政府は、国民から集めた税収を政治目的のために無駄に使ってしまう危険を伴う。必要のない箱物を建設したり、必要のない道路を作ったり、必要のない空港を建設したり、必要のない巨大堤防を建設したり、各種特殊法人に税金を流したり、官僚組織の増殖に利用したり、政治家の地元へ補助金をばらまいたり、既得権益を維持するために規制が使われたりする。

 また大きな政府は民間企業をクラウディング・アウト(追い出し)する。大きな政府は民間活動の隅々まで行政介入してくる。他方、民間企業も市場競争を避けて政府補助金に群がって行く。その結果、市場メカニズムが健全に機能せず経済は停滞する。ピケティの政策は不平等を抑えることができるかもしれないが、大きな政府と停滞した経済をもたらす可能性が高い。

「ノブレス・オブリージュ政策」の提案

 そこで筆者はノブレス・オブリ−ジュ(Noblesse Oblige)政策を提案する。それは私的な富を人類の利益のために使用することを実質的に義務づける政策である。それは富裕層に家族王朝建設のために富を使う代わりに、現在そして将来の人類の利益のために富を使う義務を課す政策である。

 その具体的使い道は富所有者の自由である。この政策の特徴は、富裕層の富を使うのは政府ではなく、あくまで富所有者自身である点である。ただ1つの条件が、富を人類の利益のために使用するということである。この政策によって政府の歳出歳入構造が根本的に変わる。多くの社会資本が民間の手で構築されることになる。同時に、政府の役割と権力を大きく制限することができる。

 この政策は、富裕層に対する非常に高い相続税と私的富を人類の利益のために使う義務を組み合わせることによって実現できる。相続税を十分高くすれば、合理的資産家は政府に富を取られるよりも自分の富を人類の利益のために一番有効だと考える目的に使うことを選択する。

 その結果、政府に相続税を支払う富裕層は実質的にいなくなる。非常に高い相続税は、富裕層に富を人類の利益のために利用する行動を促すために背中を押す(nudge)役割を果たす。それは人間の共感、理性、モラル、信頼、協力の本性を活動させるための手段である。ただし、政策が相続税逃れのために悪用されないような厳格な制度設計が前提となる。

参考になるビル&メリンダ・ゲイツ財団

 この政策の大きな利点は、人類の利益という条件の下に、富の使用方法を所有者自身が決めるのであって、政治家や官僚や彼らを取り巻く既得権益者ではないところにある。それは富所有者自身の義務として富を人類の利益のために使う自由とイニシアティブを行使することを要求する。良い例として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation、4兆円の寄付基金)をあげることができるであろう。

 B&MGFは政府が伝統的に行ってきた多くの仕事と役割(奨学金、寄付金、図書館、教育支援、感染病対策、農業開発、貧困対策など)を代替している。ノブレス・オブリージュ政策は富裕層の子供達にも適切なインセンティブを与える。すなわち、富裕層の子供達は、親の遺産に頼ることなく、独立自尊の道を自ら切り開いて行かなければならない。同時に、彼らを醜い遺産相続争いから救うことにもなる。

 ピケティの政策とは対照的に、筆者のノブレス・オブリージュ政策は不平等と大きな政府を同時に解消することができる。さらに、それは経済成長に必要な信頼と協力に基づいた社会形成に貢献できる。それは富裕層に自由とイニシアティブを奨励することを通じて一般市民にも独立自尊と起業精神を植え付ける。

 それは人間の良い本性(共感、理性、モラル、信頼、協力)に刺激を与え、悪い本性(支配、イデオロギー、復讐、不信、対立)を抑制する。人間本性の優れた部分はわれわれの関心を利己主義と対立から利他主義と協力へと向けさせる。良い政策と制度は、人間の良い本性を促進し悪い本性を抑制する機能を持ったものでなければならない。

まとめると、ノブレス・オブリージュ政策によって5つの目的を達成することができる。

(1) 不平等を抑制(同時に個人と社会の健康促進)
(2) 大きな政府を抑制
(3) 自由とイニシアティブを促進
(4) 信頼と協力に基づく社会を形成
(5) 経済成長を促進

 この政策がピケティの政策に比べて、圧倒的に優れていることは明らかだ。ピケティの政策は不平等を解消できるかもしれないが、大きな政府を拡大、個人の自由とイニシアティブを制限、人間の悪い本性を刺激、そして経済成長に負の影響を与える。ピケティの敵対的政策は、右派と左派の対立を激化させ、不信と対立が溢れる社会を作り出すことになる。

「悪い不平等」を是正する施策の実現を

 筆者は、ピケティ『資本論』の(1)所得と富の歴史分析を高く評価、(2)21世紀における不平等拡大予測におおむね同意、(3)所得と富への高課税政策には強く反対、という立場をとる。『資本論』は拡大する不平等に世間と学会の関心を向けることによって人類の利益に大きく貢献している。そして多くの人々によって世界中で議論されるべき本だと考える。特に、この機会にリバタリアンは不平等についてより深く再考してみるべきである。なぜならば、彼らの中には「不平等は問題でない!」と主張する人が多いからである。

 また筆者は、不平等には良い不平等と悪い不平等があり、悪い不平等は是正しなければならないと考える。特に、(1)不平等は個人と社会の健康に悪影響をおよぼす、(2)所得と富は生産性(社会的貢献)を反映した結果ではない場合がある、(3)不平等拡大にともなう不公正や不正義の感情が社会的協力を破壊する、(4)富裕層が富を政治手段として利用することによって市場経済を歪めてしまう可能性がある。これらの理由によって不平等が深刻な社会問題を引き起こす可能性がある。悪い不平等は信頼と協力に基づいた自由社会の基盤を弱めてしまう。

 しかし、ピケティの課税政策は不平等に対する適切な政策だとは思えない。それは、分裂した敵対社会と大きな政府を作り出し、経済成長を阻害する可能性がある。ピケティの政策に代わるものとして筆者は、不平等を抑制し、大きな政府を抑制し、自由とイニシアティブを促進し、信頼と協力に基づく社会を形成し、経済成長を促進し得る「ノブレス・オブリージュ政策」を提案する次第である。

(注)
原書:Thomas Piketty, Capital in the Twenty-First Century, Belknap/Harvard University Press, 2014.
原書の全ての図表(Figure)はウエブサイトで見ることができる。
本文中のFigure Xは原書のFigure Xを指す。

このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。


05. 2014年6月03日 22:00:20 : TGZjS8iB2r
>>04

>しかし、不平等は各自の生産性に見合う報酬の結果なので問題ない、と主張することも可能だ。すなわち、高い報酬は高い社会的貢献の結果であるということだ。

高い報酬が社会的貢献や生産性の結果であるというのは論理学的(トートロジー)には正しくても、それが必ずしも真実ではないし妥当かどうかは賛否あるだろう。
特に、リーマンショックを起こした金融機関のモラルハザードをどう評価するのか?


>そして、所得と富に対する課税によって「世襲資本主義」への道を回避しなければならないと主張する。しかし、彼が、自身の提唱する政策によって世界経済の成長率が低下する可能性を真剣に考慮しているのかどうか疑問だ。

所得と富への課税を強めるべきだとの主張の論点はそこじゃないだろう。つまり、資産バブル崩壊の大カタストロフが国民の税金で救済されているのにも関わらず、バブルで美味しい思いをしてきた所謂富裕層を税金で救うことへの問題提起ではないか。バブルでリターンを多く受け取る一方で、崩壊でも何のリスクも負わないのは公平ではないし、その分は資産課税で徴税されて然るべきだろう。


06. 2014年6月03日 23:13:23 : TGZjS8iB2r
>参考になるビル&メリンダ・ゲイツ財団

>すなわち、富裕層の子供達は、親の遺産に頼ることなく、独立自尊の道を自ら切り開いて行かなければならない。同時に、彼らを醜い遺産相続争いから救うことにもなる。

結局、筆者はこれを言いたかったのかもしれないが、多くの財団は富裕層が相続税から逃れるために設立し、その財団の理事等は富裕層の親族で占められている。そういう意味で、特定の家柄による格差は財団に寄ってさらに強化されることになるだろう。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)  recommend
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民88掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧