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焦点:法人税下げ見切り発車、試される官邸の財政再建本気度(ロイター)
http://www.asyura2.com/14/hasan88/msg/665.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 6 月 24 日 14:45:35: igsppGRN/E9PQ
 

6月24日、安倍晋三政権が来年度からの法人実効税率引き下げを正式決定する。都内で昨年4月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)


焦点:法人税下げ見切り発車、試される官邸の財政再建本気度
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EZ09E20140624
2014年 06月 24日 12:52 JST


[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三政権が来年度からの法人実効税率引き下げを正式決定する。市場は実現に向けた政権の強い意志を評価するが、下げ幅や代替財源など具体策は年末の制度改正に先送りされ、見切り発車のツケは、下げ幅をめぐる政府内の対立として早くも表面化している。

安定財源確保に向け、歳出の切り込みも争点になりそうで、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化を約束している安倍官邸の財政再建への本気度が試されている。

<市場の期待つなぎ留めには成功、米格付け機関も評価>

政府は24日の臨時閣議で、法人実効税率の引き下げを来年度から開始する方針を明記した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を決定する。

開始時期が明記されたことで、市場では「過去、方向性を示すにとどまる傾向が強かったことと比較すると、政府・与党が具体化を相当意識していることを強く感じる。規制緩和と税制面で、企業活動の刺激に具体性を持った内容になったと高く評価している」(RBS証券)との声が出るなど、期待をつなぐことには成功した。

森信茂樹・中央大学法科大学院教授は「議論が煮詰まっていない段階で、ここまで決めたことは、これまでにない意志決定だ。画期的なこと」と評価する。

米格付け機関のムーディーズも今月19日、法人税率引き下げは「政府の信用力にとってポジティブ」と評価するコメントを発表。安倍首相が20年度のPB黒字化達成へのコミットを再確認したことを挙げ、「政府が財政規律の枠内で、税制改革を実施していくことを示唆している」と位置づけた。

ただ、この点に狂いが生じれば、日本の財政への信認が揺らぎかねない危うさへの警告と受け取ることもできる。

<呉越同舟>

実際、法人税改革をめぐって、積極論の首相官邸と、慎重論の自民党税調・財務省との議論で一致できたのは「来年度からの実施」と、数年で実現させる「段階的な引き下げ」まで。財政規律に腐心した形跡は見られるが、財源論は立場によって解釈が可能な「玉虫色の決着、呉越同舟」(森信氏)だった。

甘利明経済再生相は、法人税改革の目的について、日本の立地競争力強化とともに、「法人実効税率を国際的にそん色のない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手する」との表記を譲らず、粘り勝ちで押し込んだ。財界筋は「これでかなり減税志向に傾いた表現になった。なければ大きく落胆する結果になった」と安どする。

他方、隔たりが大きい代替財源では「アベノミクスの効果により日本経済が構造的に改善することを含め」との文言で、税収の上振れ活用余地を残した。一方、「2020年度のPB黒字化目標との整合性を確保する」との文言を挟むことで、税収上振れの活用にも一定の歯止めがかかる表現になった。

さらに「課税ベースの拡大による恒久財源の確保」と明記し、財務省や与党税調がこだわった「恒久減税には恒久財源確保」の方針も明記した。

恒久財源確保と税収上振れの活用の両論に含みを残したが、慎重論者は、恒久財源確保に「二重三重の旗」が立っていると指摘する。

財源が固まらないなか、首相の政治決断の形で「数年で20%台」と踏み込んだものの、下げ幅は「29%台か25%も視野に入るのか」、期間は「3年なのか5年なのか」など不透明なままだ。

複数の関係者は、当面は29%台まで5、6%の下げが念頭にあることを明かすが、積極論者は「国際的にそん色のない水準の最終ゴールが、20%台後半か20%台半ばかは明確にしていない」と慎重派をけん制。経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均であり、日本企業の競争相手となる中国や韓国の税率とも並ぶ25%程度への下げ余地を残した内容との声も出ている。

<下げ幅めぐり、政府内の対立表面化>

下げ幅をめぐっては、引き下げの基点となる現在の税率を全国平均(34.62%)にするか、東京都(35.64%)にするかで麻生太郎財務相と甘利経済再生相が認識の違いを見せ、見切り発車のツケが早くも露呈している。

麻生財務相は「全国平均の34.62%から20%台に下げることが目標だ」と述べ、下げ幅は5%を軸としているとの認識を示す。甘利経済再生相は東京都の35.64%から6%近く下げなければならないと主張している。

<経済効果は限定的との声も>

経済効果については「10%の減税で国内総生産(GDP)を35.3兆円押し上げる」(経団連試算)との楽観的な見通しから、限定的との見方までまちまち。

法人減税だけで国内への投資や雇用増につながるかどうか疑問視する声が多く、SMBC日興証券・シニアエコノミストの渡辺浩志氏は「法人税減税は上場企業を中心に、業績改善要因になり、株価にポジティブな影響が出るだろう」とする一方、「安倍政権としては減税が対内直接投資を促進し、設備投資増加につながることを期待しているのだろうが、効果が表れるには時間を要する。実体経済へのインパクトは法人税減税だけでは限定的」とみる。法人実効税率を10%下げた場合の実質GDP押し上げ効果は「0.2%程度」と見通した。

<具体化は「秋」以降か、「数合わせ」では構造改革不十分>

今後、主戦場は、具体的な制度設計を担う自民党税調に移る。関係者によると、議論再開は秋となる見通し。税収減を穴埋めする財源をどう確保するかが最大の焦点だ。

法人実効税率1%引き下げによる減収は4700億円程度。6%で約3兆円程度の代替財源確保が必要となる計算だ。

代替財源の候補としては、減価償却制度の見直しや特定業界に恩恵がある政策減税(租税特別措置)の縮小、繰越欠損金制度の見直し、赤字企業にも応益負担を求める法人事業税(地方税)の外形標準課税拡充などが挙がる。

なかでも外形標準課税の拡充は、税収を減らさずに税率を下げる秘策の1つで、最有力候補とみられる。対象は資本金1億円超の企業で、その負担増が検討される見通しだ。政府税調幹部など専門家は、いずれは適用対象を資本金1億円以下の中小企業にも広げ、産業構造の新陳代謝を促す改革につなげていくべきと指摘するが、来年4月に統一地方選を控え、来年度税制改正では踏み込めないとの見方が大勢だ。

森信氏も「将来の産業構造を見据えて、改革のマインドを持ち込まないと、単に『数合わせ』に終わってしまう。構造改革もできず単に税率を下げただけに終わってしまう」と警告。租税特別措置のあり方について「研究開発も設備投資減税も必要なことはわかっているが、過剰ではないか。租特はゼロベースで見直し、期限が来たものは全部やめるべきだ。実態は延長が繰り返され、事実上の恒久減税化している。それをやめることで、減税があるからやるという投資はなくなる」と本格的な構造改革を訴えた。

<安定財源確保には、歳出削減が不可欠>

一方、自民党税制調査会は、「骨太の方針」に先駆けて取りまとめた法人税改革の考え方で、税収上振れ活用を封じた文言を削除し、活用の余地を残した。首相の強い意向を受けて早々に軌道修正した格好だが、代替財源では「恒久的な財源、制度的に担保された安定財源を確保する必要」とし、税体系の見直しに加え、社会保障関係費など制度改革による歳出の切り込みに踏み込んだ。

政府も骨太の方針で、2020年度PB黒字化に向け「具体的な道筋を早期に明らかにできるよう検討」と明記し、15年度以降の歳出・歳入改革の具体化にかじを切る方向性を示した。もっとも、「収支改善が可能なときにはできる限りの改善を図る」では、実行力は心もとない。

年末には、15年10月に予定される消費税率10%への引き上げの最終判断、来年度からの法人税引き下げ具体化を盛り込んだ来年度税制改正大綱、消費税率10%時に導入することを決めている軽減税率の適用範囲と財源問題など、重い決断が相次ぐ。

野党転落時の自民党が「ばらまき」と批判し続けた民主党政権でも、減税措置にはペイ・アズ・ユー・ゴー原則を貫いた。代替財源が不確かであれば野党の批判を浴びかねない。

政治主導で決めた法人実効税率の引き下げに、文字通り「経済成長と財政再建の両立」を果たすことができるか、首相官邸の本気度が試される。

(吉川裕子 編集:石田仁志)


 

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コメント
 
01. 2014年6月24日 18:14:23 : e9xeV93vFQ

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EZ0AZ20140624
新成長戦略の市場への影響は:識者はこうみる
2014年 06月 24日 13:46 JST
[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三政権が来年度からの法人実効税率引き下げを含んだアベノミクス第3の矢、新成長戦略を正式決定する。市場関係者のコメントは以下のとおり。

●サプライズなし、「無風」通過の可能性

<UBS証券 エクイティ・ストラテジスト 大川智宏氏>

株式市場に影響を与えそうな項目は、法人税減税、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用比率見直し、コーポレートガバナンスの3点ぐらいだが、事前の報道内容とかけ離れた内容が発表されない限り、大きなサプライズはなく、無風で通過するだろう。政府が改めて発表することによる「アナウンスメント効果」によって若干の安心感につながり、株式市場にとってはやや追い風になるということも考えられるが、いずれにしても影響は軽微なものにとどまりそうだ。

法人税減税は「20%台」という文言だけでは大きなインパクトにはならないが、あわせて代替財源の問題にも触れるようなことがあれば、内容次第では投資家心理に影響を与えるだろう。万が一、「携帯電話税」など多くの賛成意見が獲得できないような内容が示された場合は、言うまでもなく株式市場にとってはネガティブ要因だ。

一方、ロボット五輪の開催については一定の評価ができる面白い試みだと思う。短期的な市場への影響はそれほど大きくないかもしれないが、長い目で見れば、ロボット関連産業に需要が生み出されることになり、将来的にはプラスの材料となる。

●為替の方向性変わらず、反応も限定的

<みずほ銀行 国際為替部 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

成長戦略の素案で示された内容はどれも重要だが、これをきっかけに外国為替相場の方向性が変わる気はしない。法人税減税、混合医療、農協改革などは外国人が求めていたテーマなので失望は招かないものの、反応は限定的となるのではないだろうか。

雇用改革では、労働時間制度の見直しや女性の社会進出を促すインフラ整備、外国人材活用の促進などを掲げている。最初の一歩としては評価できるものの、本丸はあくまで解雇規制の緩和であり、これで十分とは言い難い。雇用は少子高齢化や若年雇用、社会保障などの諸問題と密接に繋がっている「岩盤中の岩盤」だと考えられるが、今回の改革案ではこれらの問題を解決するには至らないだろう。ただ、政府もこれで十分と思っているはずはなく、次につながるという意味では評価したい。

GPIFに関しては、年金基金が株を買い増しすることが、どうして成長戦略になるのか、直感的にイメージしがたい。

●実効性ともなえば長期的に金利上昇も

<SMBC日興証券 金融財政アナリスト 末澤豪謙氏>

法人税改革については、実際に20%台に向けて引き下げを表明したことは評価される。ただ、内容は事前に報道されており、今回の閣議決定の段階では最終的な水準、また、引き下げペースや期間が明確化されていない見通しなので、一段と評価が上昇することにはなりにくい。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用見直しに関しては、迅速に適切な見直しをできるだけ速やかに実施するということだが、リスク資産のウエートを引き上げるなど具体的な基本ポートフォリオの内容については記載されていないとみられ、市場への影響は限定的になるだろう。

このほか、海外からの日本への投資、観光客の拡大という点などで「統合リゾート法案」への対応に注目している。

過去の国家戦略特区に関して、色々な規制が残ったこともあり、現時点でなかなか大きな成果が上がっていない。規制改革を含め安倍晋三首相のリーダーシップに期待している。

円債市場への影響については、GPIF絡みで具体的な基本的ポートフォリオが明確にされれば、影響があっただろうが、短期的な影響はほとんどないとみている。長期的には成長戦略が現実に実効性あるものになってくれば、おそらく物価が上がり、成長率も上がり、結果として日銀の異次元緩和の出口につながることから金利上昇要因になる可能性もあるだろう。



成長戦略の引き上げ効果予想は0.2%─1.5%:識者はこうみる
2014年 06月 24日 13:18 JST
[東京 24日 ロイター] - 安倍晋三政権が24日に公表する新成長戦略について、日本経済の潜在成長率を高めるのか民間エコノミストに聞いたところ、中長期的には潜在成長率を高める効果があるとの意見が多数を占めた。ただ、具体的な引き上げ効果は0.2─1.5%と見方に大きな幅があり、財政再建に必要な2%以上の成長には力不足とみられている。

期待が大きい法人税減税も、他国がさらに税率を引き下げれば減税競争に巻き込まれるだけとの指摘もある。

 ●潜在成長率、足元わずかでも上がれば10、20年後のGDPは相当高く

 <ニッセイ基礎研 専務理事 櫨浩一氏>

法人税減税については、実は評価できるかどうかは不透明だ。他国が一層減税してくれば効果は吹っ飛び、かえって際限なき減税競争になりかねない面がある。

潜在成長率底上げに期待できそうな政策としては、労働力人口減少への対策として、女性や高齢者の活用を具体化させている点。次に医療介護分野で混合診療の保険適用に踏み込んだ点も、先端医療への国内市場拡大に弾みをつけ、技術進歩につながるだろう。

ただ潜在成長率(への効果)は、それぞれの政策自体が質的に測りがたい面があり、一概に数字で表すことはできない。漢方薬のような効果。足元わずかでも上がれば10、20年後のGDP水準は相当高くなる。

例えば労働改革では労働力人口が単に増えても、高齢者や主婦が若者と全く同じ質の労働力としてカウントできないということだ。

しかも効果自体、抗生物質のように即効性を持つものではなく、漢方薬のように時間をかけてゆっくり体質改善を図る性質を持つ。したがって目に見える程の大きな押し上げ効果を求めるべきではない。

それよりも、何もしなければ、現在の0.5%程度と言われている潜在成長率が、より低くなる可能性すらある。それを0.1%の小さな角度で足元の潜在成長率を上げるだけで、10年たてば1%、20年後には2%とその小さいな角度の延長線が、何もしなかった場合の水平線からどんどんかい離し、GDPの水準は相当高くなっているはず、ということが狙いだと考える。

 ●潜在成長率2%も、設備投資本格化や女性登用・イノベーションなどで

 <日本総研 副理事長 湯元健治氏>

成長戦略が発表されたといっても、それぞれの法律が国会を通り、企業が動き出して効果が表れるまでに相当時間がかかる。したがって、潜在成長率が上がるのは10年、20年後となる。

現在潜在成長率は0.5%程度まで下がっていると言われている。これは労働力人口の減少と、全要素生産性、イノベーション不足などが原因。これを解決するために効果が期待できそうなものは、次のような政策に期待がかかる。

まず即効性のあるのが設備投資。法人税減税や他の成長戦略の効果も合わせて設備投資が本格的に出てくれば、潜在成長率は1%以上に上昇する可能性がある。

次に女性の活用で1.5%くらいまで上昇可能。

医療分野での再生医療などの進歩があれば、イノベーション効果で2%以上にいくかもしれない。 

日本の場合には、政府の財政再建目標を達成するためには、潜在成長率を2%以上に高める必要があるため、厳しい目標であるがその程度の高い目標を掲げて成長戦略を実施していくことが必要だ。

 ●全メニュー実現すれば、20年までに1.8%程度の成長可能

<野村証券金融経済研究所 シニアエコノミスト 尾畑秀一氏>

成長戦略が全て実施されれば、潜在成長率の押し上げにもつながると思われる。成功すれば、2020年までにGDPは年平均で1.8%、コアCPIは20年には1.7%に、不成功ならば成長率底上げ期待は16年ごろにすっかり後退し、年平均成長率は0.9%に、20年のコアCPIは0.9%にとどまるだろう。潜在成長率はこのGDP押し上げの一部が寄与すると思われる。

なお、この成功ケースには法人税減税の25%までの引き下げ、日中韓FTAやRCEP(東アジア地域包括的経済連携協定)も含まれる。

中でも、多くの成長戦略分野での成功と密接にかかわっているのが労働市場改革。人口減少に伴う雇用者数への効果は、成長戦略では20─64歳の就業率を80%まで引き上げることを目標に掲げている。

成長戦略が実現しなかった場合に比べて200万人分の就業者が確保できると試算している。規制緩和により新規参入する企業を増やすには、積極的に雇用を増やすことのできる環境を整備する必要がある。

 ●設備投資増加・労働参加・技術進歩の道筋作りへ壮大な試行錯誤

 <第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏>

潜在成長率を高めるためのルートは、1)設備投資を増やす、2)労働力を増やす、3)技術進歩を促す、という3つがある。

1)については、法人税減税が企業の手元資金を増やし、設備投資に回る環境をつくるほか、ICT(情報技術)活用、起業促進、FDI(対内直接投資)促進、都市再生への民間資金、2)については、女性の活躍、希望するシニア層が70歳まで働ける、配偶者控除の廃止、3)は、水素エネルギー技術、地球温暖化対策、各種エネルギー政策、公共クライド、イノベーション戦略──などがある。

政府の産業政策が、設備投資・労働参加・技術進歩の道筋をつくるというストーリー。 政府はやればできるから実施するのではなく、何かやらなければいけないからやるので、壮大な試行錯誤によって、目的が達成できずに掛け声倒れになるメニューも山ほど出てくると思われる。作文に終わりそうなものや、経済成長とは関係なそうなものも、数多くあるが、やってみてもよいだろうと思えるものもある。

 ●諸外国改革の平均からみて、潜在成長率押し上げ効果は0.2─0.3%

<BNPパリバ証券・チーフエコノミスト、河野龍太郎氏>

新成長戦略に盛り込まれている項目は多く、これを全て実行するなら、潜在成長率を0.6%程度は押し上げると考える。全部の項目を積み上げて精緻に試算した結果ではないが、概略のイメージとして、その程度の効果がありそうだとみている。

ただ、全ての項目で完全に実行されることは現実にはないので、そういう点を差し引くと、諸外国での改革で現実に起きた成長率の押し上げの平均的なデータである0.2─0.3%程度の押し上げが期待できると見るのが妥当ではないか。

 ●投資活動拡大が促されれば、年率1%の潜在成長率も

 <RBS証券 チーフエコノミスト 西岡純子氏>

これまで行政の反対を受けて改革にたどり着けなかった分野で、改革への具体的な方向性が示されたことの意味はやはり大きい。

農業改革のうち一部が後退したとみられるほか、エネルギー政策についても方向性があいまいになってきた項目も目につくが、企業活動を刺激しながら資本投入を増やし、かつ労働市場改革を人数、時間、生産性の全ての面から進めることで、労働人口減による潜在成長率の低下を食い止める意志は鮮明である。

特に、企業の投資活動の拡大が促されることによって、潜在成長率は2─3年を視野に入れると、年率1%を上回ることも期待できる。デフレ脱却とあわせて名目3%成長の安定達成の実現可能性は高まると考えている。

  ●方向性は正しいが、潜在成長率2%達成には不十分

 <シティグループ・グローバル・マーケッツ エコノミスト 飯塚尚己氏>

昨年発表の成長戦略に対して、今回の成長戦略はポジティブに捉えていいと思う。昨年の成長戦略はターゲティング・ポリシー、ばらまきに主眼が置かれていたが、今年は潜在成長力の引き上げにつながる内容が見られ、ポジティブに評価できる。

法人税減税は企業の国内での設備投資意欲につながり、現在0.5─1%の間にあるとみられる潜在成長率の引き上げに資する。

ただし、安倍政権の目指す中長期的な持続的経済成長の達成には、潜在成長率を今後1.5─2%まで引き上げる必要がある。そのためには、今回の成長戦略は方向としては正しいが十分ではない。

潜在成長率の引き上げで課題が残る分野の一つは、雇用・労働市場改革だが、成長分野への労働移動や外国人労働問題では迫力に欠ける。

(中川泉 取材協力・梶本哲史 編集:田巻一彦)




焦点:成長戦略は「漢方薬」、短期は為替安定で潜在成長率正常化
2014年 06月 24日 13:00 JST
[東京 24日 ロイター] - 政府が24日に決める「新成長戦略」は、将来への布石として効果発現までに時間がかかる「漢方薬」だが、短期的には「為替安定効果」が経済を下支えするとの見方が政府・日銀内から出ている。ドル/円JPY=EBSが100円台で安定していれば、企業の設備投資や採用意欲、新規事業進出などが刺激され、成長率の底上げに寄与するとみているためだ。

<10年後の潜在成長率、1─1.5%の声>

「これが最後のチャンス、ここで切り込まないと日本経済は沈没する」──。今回の新成長戦略には、政府・日銀からの危機感と期待感の両方がにじんでいる。潜在成長率が0.5%前後まで低下する中で、高齢化社会を迎え、このまま低成長が継続する構造の下で財政支出の増大に歯止めがかからないなら、物価や金利の上昇が起こりかねず、財政再建はおぼつかなくなる。

その事態を回避するための「切り札」として作成された新成長戦略は、従来に比べて市場の評価は悪くない。一部のエコノミストは、成長戦略に盛り込まれた改革案が実現できれば、設備投資増加や労働参加率の上昇により、10年後の潜在成長率が1─1.5%に高まっていくとみている。

とはいえ、成長戦略は来年、再来年の成長率を直ちに押し上げる「効果」があるわけでなく、中長期な成長底上げを図る政策対応といえる。

例えば、女性の活用、少子化対策を実行していくとしても、子供が増えて実際の労働力人口が増えるまでには20年以上かかる。

最も即効性があるとされるのが法人税減税に伴う設備投資の増加だが、税率改正が法案化され設備投資が動きだし、それが競争力改善につながるのは数年先だ。

<円相場安定なら、潜在成長率0.5%から1%台へ上昇可能>

だが、短期的に潜在成長率に効果を発揮すると政府・日銀内で密かに分析が進んでいる政策がある。それは「為替レートの安定」だ。

ドル/円が100円を割り込むような円高下で、デフレが脱却しない状況では、企業が委縮して身動きが取れず、政府が音頭をとっても設備投資は出てこなかった。

今なら、安定して100円台の為替水準が維持されているため、企業活動も活発化し、潜在成長率0.5%という「委縮」した状態から、1%台の「正常」な潜在成長率へと移行することは可能というのが、政策当局の見立てのようだ。

ある政策当局幹部は、日本経済再生の最大のカギは、為替相場の適正水準での安定にあると言い切る。

潜在成長率が0.5%程度まで低下したのは、ドル/円が80円という行き過ぎた円高となり、企業活動が凍てついてしまったことが原因だ、とその政策当局幹部は指摘する。

そのうえで為替が適当な水準で安定してくれば、企業が本業に専念できるだけでなく、政府も成長戦略に尽力できるというシナリオを明らかにした。

日銀にとっても、2%というグローバルスタンダードの物価目標に近づくために潜在成長率の上昇が必要となるが、為替の安定による貢献は大きかったはずだ。

物価が1%台に上昇してきたのも、きっかけは日銀の異次元緩和に反応した円安進行だったことは否定しえない。円安が株高を誘発し、企業の低価格戦略の転換を引き起こし、人々のデフレマインドの払しょくにもつながっていった。

<1%台の成長率、財政再建に力不足>

為替安定で時間を稼ぎ、成長戦略の実行で中長期的に潜在成長率を引き上げるという今回の政府の戦略には、1つの弱点がある。それは積み上がった債務残高の圧力が、日本の財政の背骨を折りかねないという構造を抱えていることだ。

政府による財政健全化の中長期試算では、今後10年間の実質平均成長率が2%程度、つまり潜在成長率が2%だとしても、プライマリーバランスの黒字化は達成できそうにない。

潜在成長率が低迷したままでは、早期に需給ギャップゼロという状態に達してしまい、「そこが成長の天井となる恐れがある。日銀が物価目標2%を目指そうとすると、低成長下でのインフレとなりかねない」(バークレイズ証券)という状況を招きかねない。

黒田東彦・日銀総裁が供給問題に何度も言及し「今こそが、課題克服に向けた取り組みを進めるチャンス」とし、「政府による成長戦略の着実な実行」を繰り返し求めているのも、そうした状況を回避したいと考えているからとみられる。

安倍政権の目指す中長期的な持続的経済成長の達成には、潜在成長率を今後1.5─2%まで引き上げる必要がある。「そのためには、今回の成長戦略は方向としては正しいが十分ではない」(シティグループ・グローバル・マーケッツ エコノミスト 飯塚尚己氏)との声が少なくない。

「何もしないよりはまし」(国内エコノミストの1人)という程度の「岩盤破砕力」しかない新成長戦略なら、いずれ低成長を予見した市場による「日本株売り」に遭遇しかねない。  

*見出しの体裁を変更して再送します。

(中川泉 編集:田巻一彦)


 




02. 2014年6月24日 18:18:36 : xEBOc6ttRg
骨太方針と成長戦略決定、生産性向上へ法人減税など明記=政府
2014年 06月 24日 18:01 JST
[東京 24日 ロイター] - 政府は24日の臨時閣議で、経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」と日本再興戦略の改定版を決定した。「骨太の方針」では、デフレ脱却に向かう日本経済の好循環をさらに拡大するため、法人実効税率を数年で20%台とすることを目指し、来年度から引き下げを開始すると明記。コーポレートガバナンス強化も打ち出した。さらに50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を目指すとし、より長期的な課題にも踏み込んだ。

<アベノミクスで動き出した好循環、4つの課題>

「骨太の方針」では、足元の日本経済について「力強さを取り戻しつつある。もはやデフレ状況ではなく、デフレ脱却に向けて着実に前進している」と評価。今後の課題として、1)消費税上げに伴う駆け込み需要の反動減への対応、2)経済の好循環のさらなる拡大と企業の主体的行動、3)日本の未来像に向けた制度・システム改革、4)経済再生と両立する財政再建──を挙げた。

消費税率上げの影響に関しては、「想定の範囲内」としつつも、「必要があれば機動的な政策対応を行って、経済再生に万全を期す」と明記。

経済の好循環実現に向けては、生産性の向上など供給面にも目配りした政策運営を行う必要があると指摘した。具体的にはイノベーションとコーポレートガバナンスが特に重要な手段だと位置づけた上で、対日直接投資を促進するための法人税改革も推進するとした。

コーポレートガバナンスについては、日本再興戦略改訂版に来年の株主総会シーズンに間に合うよう東京証券取引所によるコーポレートガバナンスコード策定を支援すると明記。企業の価値創造によるリターンを家計まで還元する一連の流れ(インベストメント・チェーン)を高度化する考えを示した。

<人口急減の流れを変える、年度内に少子化対策大綱>

少子・高齢化で人口減が避けられない状況となっている中で「人口急減・超高齢化」に向かう流れを2020年をめどに変えるとし、東京への一極集中傾向に歯止めをかけ、少子化と人口減少克服を目指す総合的な政策の推進が重要と指摘。50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することを目指すとした。

経済財政諮問会議が設けた「選択する未来」委員会によると、現状が続けば日本の総人口は2060年には約8700万人と、現在の3分の2の規模まで減少する。2030年までに合計特殊出生率が2.07に回復する場合、50年後に1億人程度となる計算だ。

「骨太の方針」では、新たな少子化対策の大綱を2014年度中に策定し、子ども・子育て支援新制度を2015年4月に施行する、とした。

<財政健全化目標維持、10%への消費税上げ判断は年内に>

「骨太の方針」では、経済再生と財政健全化の好循環構築が不可欠との認識のもと、国・地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の対国内総生産(GDP)赤字を15年度までに10年度比半減、20年度までに黒字化するという財政健全化目標を維持。15年度目標の着実な達成を目指すとした。

ただ、20年度の黒字化に関しては、15年度予算編成などを踏まえ、具体的な道筋を早期に明らかにできるよう検討を進める、とするにとどめている。15年度予算編成に関しては、非社会保障経費は前年度に比べてできる限り抑制するとし、社会保障支出も声域なく見直しに取り組み、前年度からの増加を最小限に抑えるとした。また、消費税10%への引き上げについては、14年中に判断を行うとした。

<成長力引き上げへ、日本再興戦略改定>

成長戦略の第2弾となる日本再興戦略の改定では、日本の稼ぐ力を取り戻し、生産性を向上させるため、コーポレートガバナンス強化、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的・準公的資金の運用見直しのほか、法人税改革を断行するとし、イノベーション活性化のため、ロボット革命実現会議を立ち上げ、2020年までにロボット市場を製造分野で現在の2倍、非製造分野で20倍に拡大するとした。

こうした生産性向上への取り組みに加え、労働力不足への対策として、働き方を多様化するための「新たな労働時間制度」を創設するとし、外国人技能実習制度の拡充を15年度中に実施する。

また、農業を新たな成長エンジンとすべく、農業委員会、農業生産法人、農業協同組合のあり方を一体的に見直し、生産現場の自主性とスピード感ある農業経営を可能にするとした。さらにオールジャパンの輸出戦略推進のため、6月に創設された「輸出戦略実行委員会」を司令塔とし、品目別輸出団体を整備する。

農業委員会などの一体的改革に関して「再興戦略」では、「規制改革実施計画」を決定し、農業委員の選出方法見直しや農協中央会制度の新制度への移行などの改革を実施すると明記した。

このほか、健康産業の活性化へ、非営利ホールディングカンパニー型法人制度を創設し、保険外併用療養制度も大幅拡充する。

<成長戦略の成否、問われる政府の覚悟>

今回の骨太方針と成長戦略が掲げる政策は、潜在成長率を決める全要素生産、資本ストック、労働力の3つの要素すべてに具体的な対応策を示した点が特徴でもある。ただ、長期にわたるデフレ下で、生産性の向上でなくコストの削減で利益を上げてきた多くの企業がビジネスモデルを転換し、うまく競争力を高められるかは、それぞれの企業自身の努力にも関わってくる。成長戦略の中で、産業の新陳代謝の促進も視野に入れる政権だが、その過程で生じる摩擦や軋轢(あつれき)というコストに政治がどう耐えられるかも、戦略の成否に関わってくると言えそうだ。

(石田仁志 編集:田巻一彦)


 
情報BOX:骨太の方針2014の概要
2014年 06月 24日 18:03 JST
[東京 24日 ロイター] - 政府が24日閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」の概略は以下の通り。

第1章 アベノミクスのこれまでの成果と今後の日本経済の課題

1.デフレ脱却・日本経済再生

需給ギャップが縮小しつつある今こそ、成長戦略のさらなる推進を行う。今後の課題は、1)消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減への対応、2)経済の好循環のさらなる拡大と企業の主体的行動、3)日本の未来像に向けた制度・システム改革の実施、4)経済再生と両立する財政健全化

2.経済再生の進展に向けた基本的方向性

力強い経済再生進展の鍵は、労働や資本の量的・質的向上に加え、全要素生産性(TFP)上昇を通じて労働・資本が付加価値を生み出す際の生産性を高めていくことにある。イノベーションとコーポレートガバナンスは特に重要な手段。民間資金の活用、中長期の安定した投資促進により成長資金の供給を強化。公的・準公的資金の運用等の高度化を図る。

経済全体の成長実現を地域社会の発展につなげていくことが不可欠。ローカル・アベノミクスを行うことが必要。

3.「創造と可能性の地」としての東日本大震災からの復興

復興をさらに加速。廃炉・汚染水対策に国が前面に立ち、取り組む。人口減少・高齢化が進む中で、世界のモデルとなる「新しい東北」を創造。

4.日本の未来像にかかわる制度・システムの改革

1)50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指す、2)経済を世界に開き、絶え間ないイノベーション、高付加価値な財・サービスを生み出す、3)年齢、性別にかかわらず、意欲、個性に応じて活躍できる社会、制度、仕組みを構築、4)働き場所があり暮らし続けられる地域社会をつくる、5)公共心など社会を支える土台を大切に。少子化と人口減少克服を目指した総合的な政策の推進が重要。司令塔となる本部を設置し、体制を整備。

第2章 経済再生の進展と中長期の発展に向けた重点課題

1.女性の活躍、教育再生をはじめとする人材力の充実・発揮

1)女性の活躍、男女の働き方改革、2)教育再生の実行とスポーツ・文化芸術の振興、3)複線的なキャリア形成の実現など若者等の活躍推進、4)少子化対策。第3子以降への重点的な支援などこれまでの延長線上にない政策の検討、新たな少子化対策の大綱を14年度中に策定し、子ども子育て支援新制度を15年4月に施行、5)健康長寿を社会の活力に。

2.イノベーションの促進等による民需主導の成長軌道への移行に向けた経済構造の改革

1)イノベーション。科学技術イノベーション総合戦略を強力に推進。「起業大国」を目指したリスクマネー供給力強化を通じて産業構造の変革を起こし、多種多様な新たな価値を不断に創出。対日直接投資促進のための法人税改革推進。法人実効税率を数年で20%台まで引き下げることを目指す。この引き下げは来年度から開始する。2)コーポレートガバナンス。株式持合いの解消、独立社外取締役のあり方の検討・導入促進など、3)オープンな国づくり。環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結に向け引き続き取り組む。外国人技能実習制度の期間を見直し、外国人材は女性の活躍推進等の観点から国家戦略特区の枠組みで活用を検討、4)資源・エネルギー。資源・エネルギーを安価かつ安定的に確保。原子力規制委員会の判断を尊重し、原子力発電所を再稼動、5)規制改革。15年度までの2年間を集中取組期間とし、「国家戦略特区」の取組みを加速化。

3.魅力ある地域づくり、農林水産業・中小企業等の再生

1)新しい東北の創造、2)2020年オリンピック・パラリンピック東京大会などの開催に向けた取り組み、訪日外国人旅行者2000万人目指す、3)観光・交流等による都市・地域再生、地方分権、集約・活性化、4)農林水産業・地域の活力創造、4)中堅・中小企業、小規模事業者の躍進

4.安心・安全な暮らしと持続可能な社会経済の基盤確保

1)戦略的外交の推進、安全保障・防衛等。力強い経済外交と積極的平和主義を推進。防衛大綱等に基づき、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備、2)国土強じん化、防災・減災等、3)暮らしの安全・安心(治安、消費者行政等)、4)地球環境への貢献  

第3章 経済再生と財政健全化の好循環

1.経済再生と財政健全化の両立に向けた基本的考え方。2015年度までに基礎的財政収支(PB)赤字の対国内総生産(GDP)比半減、2020年度までにPB黒字化を目指すとともに、具体的な道筋を早期に明らかにできるよう検討を進める。経済再生の進展を確かなものとしつつ、収支改善が可能なときにはできる限りの改善を図る。諮問会議において、半年ごとに経済財政の動向を点検し、財政健全化の進ちょく状況を確認。

2.主な歳出分野における重点化・効率化の考え方

1)社会保障改革。社会保障給付を効率化・適正化。薬価調査・薬価改定のあり方について、診療報酬本体への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討、2)社会資本整備。PPP/PFIの推進など民間能力を活用。3)地方行財政制度。危機対応モードから平時モードへの切り替えを進める。

3.公共部門改革の推進

1)行政のIT化と業務改革、行革、公務員改革 2)財政の質の向上   

第4章 15年度予算編成に向けた基本的考え方

1.経済財政運営の考え方

1)経済の現状および今後の動向と当面の経済財政運営の考え方 2)中期的な経済財政の展望を踏まえた取り組み。15年度PB赤字半減目標の着実な達成を目指す。中期財政計画に沿って最大限努力。消費税率10%への引き上げは、税制抜本改革法附則18条に則って経済状況等を総合的に勘案し、14年中に判断。諮問会議では経済状況等の総合的な勘案に向けて必要な検討を行う。

2.15年度予算編成の基本的考え方。「日本再興戦略改定2014」、「中期財政計画」を踏まえ、民需主導の経済再生と財政健全化目標の双方の達成を目指し、厳しい優先順位付け等を行い、メリハリのついた予算とする。

(石田仁志)


 
情報BOX:日本再興戦略改定の主な政策例
2014年 06月 24日 18:05 JST
[東京 24日 ロイター] - 政府が24日、閣議決定した改定日本再興戦略改定版の主要政策例は以下のとおり。

1.日本の「稼ぐ力」を取り戻す。

(1)企業が変わる

*企業統治(コーポレートガバナンス)の強化

─「コーポレートガバナンスコード」の策定

東京証券取引所と金融庁を共同事務局とする有識者会議で秋ごろまでをめどに基本的な考え方をとりまとめ、東京証券取引所が来年の株主総会シーズンに間に合うよう新たに「コーポレートガバナンスコード」を策定することを支援する。上場銀行、上場銀行持ち株会社について少なくとも1名以上、できうる限り複数の独立社外取締役導入を促す。

─金融機関による経営支援機能の強化

*公的・準公的資金の運用などの見直し

─年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオは財政検証結果を踏まえ、長期的な経済・運用環境の変化に即し、年金財政の長期的な健全性を確保するために、適切な見直しをできるだけ速やかに実施。

─GPIFのガバナンス体制の強化を図るため、運用委員会の体制整備や高度で専門的人材の確保などの取組みを速やかに進めるとともに、今後の法改正の必要性も含めた検討を行うなど、必要な施策を迅速かつ着実に実施すべく所要の対応を行う。

*産業の新陳代謝とベンチャーの加速化、成長資金の供給促進

─ベンチャー支援に協力的な大企業などからなる「ベンチャー創造協議会」を今年秋めどに創設

─エクイティ、メザニンファイナンス、中長期の融資などの成長資金供給促進について関係省庁で議論する場を設ける

(2)国を変える

*成長志向型の法人税改革

─日本の立地競争力を強化するとともに、わが国企業の競争力を高めることとし、その一環として法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げることを目指し、成長志向に重点を置いた法人税改革に着手する。

そのため、数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。この引き下げは来年度から開始する。財源についてはアベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し、構造的に改善しつつあることを含めて2020年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するよう、課税ベース拡大などによる恒久財源を確保することとし、年末に向けて議論を進め、具体案を得る。

実施に当たっては、2020年度の国・地方を通じた基礎的財政収支の黒字化目標達成の必要性にかんがみ、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。

*イノベーションの推進と社会的課題解決へのロボット革命

─「ロボット革命実現会議」を夏までに立ち上げ、2020年までにロボット市場を製造分野で現在の2倍、サービスなど非製造分野で20倍に拡大。

2.担い手を生み出すー女性の活躍促進と働き方改革

*女性のさらなる活躍推進

─放課後児童クラブなどの拡充

─女性の働き方に中立的な税・社会保障制度への見直し

─女性の活躍加速化のための新法の制定

*柔軟で多様な働き方の実現

─働きすぎ防止のための取り組み強化

─時間でなく成果で評価される働き方への改革。「新たな労働時間制度」を創設。次期通常国会をめどに所要の法的措置を講ずる。

─予見可能性の高い紛争解決システムの構築

*外国人が日本で活躍できる社会へ

─外国人技能実習制度の見直し。実習期間の最大5年間への延長、受け入れ枠拡大を行う。15年中に実施

─建設および造船分野における外国人材の活用

─国家戦略特区における家事支援人材の受け入れ

─介護分野における外国人留学生の活躍

3.新たな成長エンジンと地域の支え手となる産業の育成

*攻めの農業への転換

─コメの生産調整の見直し

─農業委員会・農業生産法人・農業協同組合の一体的改革。農協中央会制度の自律的新制度への移行などの改革を実施。

─酪農の流通チャネル多様化

─国内外とのバリューチェーン。輸出戦略実行委員会を司令塔に牛肉、茶、水産物などの輸出団体整備

*健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供

─医療・介護などを一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度の創設

─個人に対する健康・予防インセンティブの付与

─保険外併用療養制度の大幅拡大

4.地域活性化と中堅・中小企業・小規模事業者の革新/地域の経済構造改革

*地域活性化と中堅・中小企業・小規模事業者の革新

─地域活性化関連施策をワンパッケージで実現する伴走支援プラットフォームの構築

─地域の中小企業・小規模事業者が中心となった「ふるさと名物応援」と地域の中堅企業などを核とした戦略産業の育成

─地域ぐるみの農林水産業の6次産業化、酪農家の創意工夫

─世界に通用する魅力ある観光地域づくり

─PPP/PFIを活用した民間によるインフラ運営の実現

*地域の経済構造改革の推進

─東京への一極集中傾向に歯止めをかけ、少子化と人口減少を克服することを目指した総合的な政策の推進が重要であり、このための司令塔となるい本部を設置、政府一体となって取り組む体制を整備

(石田仁志)


03. 2014年6月24日 18:55:50 : atxeyfN6Rs
財政再建はするのです。国民から取り上げるのです。消費税25%ぐらいをめざしているのではないでしょうか。どんな社会になるのでしょう。いくら税金を上げても実質税額は増えないかもしれません。つまりは破綻ということでしょう。徳政令しかありません。どんな社会になるのでしょうか。想像もできません。ただ1%の人達は優雅にお暮らしになっているかもしれませんが。中国に助けてくださいとかトチ狂って韓国に助けてくださいとか言いたくないものです。取り上げる事はあっても助ける事はしない宗主国は最初から頼りになりませんね。同盟国と国は言いますが一度助けてくださいと言ってみたらどうでしょう。いくらすがりついても捨てられますよ。バカもいい加減にして欲しい。おかしな話だが残っているのはロシアだけになるかもしれません。もしかしてドイツも助けてくれるかも。日銀が垂れ流しているとトランク一杯のお金でパン一個になります。国民は戦前に戻りみんな百姓をして自給自足でしょう。今から考えておく必要があります。

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