新幹線しか稼ぐ手段がない、いびつな会社になっているのである。これは1987年にJR各社が発足した当時から言われていた。

日本の大動脈である東海道本線。JR西日本だと、滋賀県の米原〜兵庫県の姫路間だと新快速電車が頻繁運転。それも8輌編成とか12輌編成。JR発足当初は6輌編成だったのだから、それだけ需要が伸びたのである。これに対しJR東海はどうか。同じく滋賀県の米原〜愛知県の豊橋間。JR発足当初は僅か4輌編成。その後6輌編成に増やされたが、それくらいの需要しかない。

JR西日本の新快速電車が、京都・大阪、三宮(神戸市内)で乗客が入れ替わっても高い乗車率を保っているのに対し、JR東海の新快速電車は岐阜〜名古屋〜大府間で乗車率が高いだけ。半分以上の区間でガラガラだ。中部圏は自動車社会であり、空席の目立つ岡崎〜豊橋間は、トヨタの地元である三河地方。平行している名鉄も乗客は少ない。

大幹線でこれなのだから、JR東海の他の在来線は慢性的な赤字構造。三重県の関西本線、紀勢本線など普通列車は2輌編成のワンマン運転。特急列車もガラガラ。平行している近鉄も、特急を除くと編成は短い。首都圏や関西圏と違い、通勤はほとんどマイカーなのだ。

JR東海は在来線は赤字だから、ますます新幹線に頼らざるを得ない。リニアを建設することは、大黒柱の新幹線の乗客を移行させるだけである。1＋1=2になるどころか、1+1=1のままである。リニア建設で新しい需要は何も生み出さないのである。

ここに膨大な建設費が加わる。南アルプスを貫く長大トンネルを掘っていく。途中、どのような困難が発生するか分からない。長大トンネル掘削に大水の噴出はつきもの。現に田中角栄がつくらせた上越新幹線の大清水トンネルでも、膨大な地下水が噴出し、水没すると言われた。これの対策で建設費が大幅に増えたことは言うまでもない。

今からでもいいから、建設を止めるべきだ。聞く耳持たないアベコベと火災のことだから強行するだろうが、社会情勢の激変で途中放棄状態になるんじゃないか。

�@いまの東海道新幹線が不良債権となる。
�Aリニア新幹線が不良債権となる。
�B両方とも不良債権となる。

むしろ高齢者が増えて格安のバスで旅行や移動をする人が増えるような気がする。
誰も真っ暗な中の鉄道に乗りたいとは思わない。富士山も海岸も見えない。