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富士フイルム、なぜ写真事業消滅の危機から構造転換成功?ヘルスケア1兆円への挑戦(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/334.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 7 月 22 日 07:13:45: igsppGRN/E9PQ
 

富士フイルム、なぜ写真事業消滅の危機から構造転換成功?ヘルスケア1兆円への挑戦
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140722-00010002-bjournal-bus_all#!bjp6t2
Business Journal 7月22日(火)3時0分配信


 今秋、富士フイルムホールディングス(以下、富士フイルム)が頭皮ケア市場に進出する。同社は6月30日、ミドル女性向け頭皮ケア剤「アスタリフト スカルプフォーカス」を新発売、同市場に進出すると発表した。発売するのは頭皮用美容液、シャンプー、コンディショナーの3品目。

 富士フイルムは「抜け毛、薄毛など毛髪の加齢現象に悩むミドル女性が増え、肌と同様に髪も美しくありたいとの意識が高まっている。このため、女性向け頭皮ケア市場は2004年から毎年約3倍のペースで成長しており、化粧品市場の中で最も伸びている分野」と、頭皮ケア市場進出の理由を説明している。
 
 富士フイルムが化粧品市場に進出した06年当時、化粧品業界は驚くと同時に、異業種企業がどこまでシェアを拡大させることができるのか興味深く見ていたが、同社が07年に発売したスキンケア化粧品「アスタリフト」がヒットし、現在ではスキンケア化粧品分野で業界トップ5に入る商品に育っている。同社関係者は「肌と髪の両方を揃えることで、トータルなスキンケアが可能になる。これを強みにスキンケア化粧品のトップメーカーを目指す」と、頭皮ケア市場進出の目的を明かす。

 富士フイルムは、スキンケア化粧品をはじめ液晶用フィルム、医薬品など、かつて主力だった写真フィルムから派生した技術をうまく事業化につなげ、事業構造転換に成功したまれなケースとして取り上げられることが多い。既存事業の行き詰まりに悩みながら、そこから脱却できない企業が多い中、同社はどうして事業構造転換に成功できたのだろうか。

●看板事業の売上高比率が54%から1%未満へ

「トヨタは車がなくなったらどうなるのか、新日鉄は鉄がなくなったらどうなるのか。我々はそれほどの危機に直面しているのがわからないのか」。03年、東京・西麻布の富士写真フイルム本社会議室に、古森重隆社長(当時、現会長)の声が響き渡った。同社にとって写真フィルムは祖業であり、看板事業だった。同事業がピークだった00年度の売上高は全体の約20%を占め、写真フィルムが売れれば、撮影した写真をプリントするための現像液や印画紙も売れる。この一石三鳥、四鳥にもなる同事業は、その関連事業を含めると売り上げ全体の54%、営業利益全体の70%近くを稼ぎ出す金のなる木だった。これが消滅の危機に曝されていた。原因は「デジタル化」の波だった。

 1996年頃から本格的普及が始まったデジタルカメラの影響で、写真フィルムの需要は世界的規模で00年をピークに年率10%超のペースで下落し、同社の写真フィルム売上高も毎年200億円のペースで減少。その結果、11年度の関連事業の売上高は全体の1%未満となり、ピークの00年度と比べると約2600億円が消滅した格好になった。

 00年、社長に就任したばかりの当時の古森氏にとって、それは経営トップとして身の毛がよだつような危機感だったに違いない。「社長に就任した年から2―3年で写真フィルム市場は約10%縮小した。祖業なのでなんとか生き残る道はないかと色々シミュレーションしてみたが、市場縮小は避けようがない。このまま写真フィルムにしがみついていたら、会社が早晩立ち行かなくなるのは明らかだった」(13年11月24日付「東洋経済オンライン」記事)と、古森会長は振り返っている。

 そこで03年、前述のように社内に檄を飛ばし、新しい成長事業の育成に舵を切った。それが「技術の棚卸」と呼ばれた2年がかりの事業構造転換だった。そのプロジェクトチームの一員だった同社OBは「やれそうか、やるべきか、やりたいかの3つが棚卸のポイントだった」と、次のように説明する。

 最初の「やれそうか」は技術的裏付け。自社固有技術の応用で、新事業分野で競争力のある製品を開発できるかがポイント。これで候補に挙がった新事業をふるいにかけた。次の「やるべきか」は業界トップになれるかの検証。新しい事業分野においてオンリーワンを開発できるか、あるいは競合他社より優れたベストワンを開発できるかを徹底的に検証し、×印の事業を排除していった。最後の「やりたいか」は「会社の思い」。例えば、新事業として参入した医薬品やエイジングケア化粧品の場合は、既存事業の画像診断装置など診断の領域に加え、治療(医薬品)、予防(スキンケア化粧品)の3領域をカバーする「総合ヘルスケアメーカーになりたい」との思いが決め手になった。

 こうして新事業と既存事業の相乗効果発揮を狙いに再構成したのが、現在の6事業領域。このうち、ヘルスケア、高機能材料、ドキュメントの3分野を同社は「成長戦略における3本柱」に位置付けている。

●技術の棚卸で発掘したスキンケア化粧品事業

 同社が技術の棚卸により発掘した新事業の典型が化粧品事業といえる。それは写真フィルムと化粧品の製造技術の類似性だった。カラー写真フィルムの厚さは約0.2mm。髪の毛の太さとほぼ同じだ。この厚さのさらに10分の1の厚さしかない表面に、写真フィルムの技術が詰まっている。フィルムの表面は、基本的に9層の発色剤を塗り重ねてできている。黄色、赤、青などそれぞれの光に感光する層、それぞれの色を混ざらないようにする中間層、ぼやけた写真にしないためのハレーション防止層などだ。このわずか100分の2mmの表面に、コラーゲンをはじめ約100種類の物質が使われている。多種多様な物質を微粒子単位で混合し、かつフィルム表面に均一に塗り重ねる。写真フィルム製造技術は微粒子制御技術でもある。

 一方、スキンケア化粧品の製造技術では、主成分のコラーゲン制御がキーテクノロジーになる。つまり技術的には似た者同士なのだ。

 同社開発部門関係者は「技術の棚卸により化粧品事業への参入が決まった時、先発メーカーが大小含めてゴマンといる市場に最後発で割り込むためには、当然オンリーワンを投入しなければ成功しない。ベストワンでは失敗するとの確信があった。そこで着目したのが当社のコラーゲン技術だった」と、次のように説明する。

 写真フィルムに用いるコラーゲンには、長期間安定的な品質を保つ性能、現像時に水分を保持する性能、経年劣化や衝撃による型崩れを起こさず、しかも弾力性を保持する性能など、いくつも機能性が必要になる。これらの機能性を実現するため、同社は分子構造を変えるなどコラーゲンの超微粒子化技術も磨いてきた。同社にはコラーゲン技術の膨大な蓄積があり、さまざまな種類のコラーゲンを製造する固有技術があったのだ。

 この応用で開発したのが、スキンケア化粧品のアスタリフトだ。この商品は、大中小3種類の粒子と機能が異なるコラーゲンを配合しているのが特徴。粒子が大きければ、肌の奥まで有効成分は浸透しない。だが粒子が小さければ、肌の奥まで成分が浸透する。

 化粧品業界関係者は「スキンケア化粧品は一様にコラーゲン配合を謳っている。だが、コラーゲンの大半が肌の奥まで浸透することはなく、肌の表面を潤すだけ。粒子がミクロンレベルだからだ。しかし、アスタリフトの場合、ミクロンからナノレベルまで異なる粒子のコラーゲンを配合しているので、一部は肌の表面を潤し、一部は肌の奥まで潤してくれる。ある意味で画期的な化粧品だ」と評価している。

●ヘルスケア事業で1兆円メーカーへ

 アスタリフトの新発売時の販売チャネルは、同社通販サイトと東京・銀座、六本木の直営店2店のみという心細さだった。だが、松田聖子と小泉今日子を起用したテレビCMを08年から開始すると、指名買いする消費者増の影響で一般取扱店が急激に増加し、13年度中に全国7000店を超えた。

 また、13年3月1日からは美白スキンケア化粧品「アスタリフトホワイト」も発売するなど、品揃えの強化に努めている。富士フイルム関係者は「主力のアスタリフトだけで、11年度中に売上高が100億円を超えた。18年度中に、化粧品と健康食品で1000億円の売上を目指す」と意気軒高だ。

 同社の写真フィルム事業がピークだった00年度は、写真フィルム関連のイメージング事業が売上高全体の54%、医療機器関連・電子材料などのインフォメーション事業が同46%を占める2本柱の事業構成だった。
 
 それが直近の13年度ではイメージングソリューション部門の売上高が全体の15.3%、インフォメーションソリューション部門(医薬・化粧品、医療関連、高機能材料など)が同38.3%、事業子会社の富士ゼロックスが担うドキュメントソリューションが同46.4%を占める3本柱の事業構成に大きく変化している。

 この大胆な事業構造転換の中で、古森氏が「これからの成長事業」として期待しているのが、診断(画像診断機器)、治療(医薬品)、予防(化粧品、サプリメント)のトライアングルで構成するヘルスケア事業だ。13年度の売上高実績は約3700億円と推定されているが、これを18年度には1兆円まで拡大する目標を掲げている。

 富士フイルムは自社の強みを徹底的に検証し、用意周到なオンリーワン・ベストワン商品戦略で事業構造転換に邁進。これまで着実に成功を重ねてきている同社が、今後どのような新たな変貌を遂げるのかが注目される。

福井晋/フリーライター


 

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