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「後継者=次の社長」は彼でよかったのか?経営者たちは「佐治の決断」「タケダの迷走」をどう見たか(週刊現代)
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/339.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 7 月 22 日 09:07:05: igsppGRN/E9PQ
 

         佐治氏(左)は68歳、新浪氏は55歳〔PHOTO〕gettyimages


「後継者=次の社長」は彼でよかったのか?経営者たちは「佐治の決断」「タケダの迷走」をどう見たか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39869
2014年07月22日(火) 週刊現代 :現代ビジネス


「会社の命運」をかけたこの選択は果たして正解か、間違いか

超異例の人事なだけに、社内の動揺は収まらない。外から見ていてもハラハラさせられる抜擢である。ただ、経営者たちの見方は「素人」とは違う。彼らの目には、まったく別の風景が見えていた。

■とても隠居はできない

人事は難しい。とかく次の社長を選ぶ後継者人事は、なにが正しくて、間違っているのか頭を悩まされる。そんなことを痛感させられる「騒動」が、日本を代表する二大企業で起こった。

一つはサントリーホールディングス。創業一族が社長を担ってきたが、4代目社長にして創業家の佐治信忠氏が、次の社長にローソン会長の新浪剛史氏を抜擢したことで、「まさか外様の社長を連れてくるとは」と社内も騒然となっている。

もう一つはタケダ(武田薬品工業)。'03年から社長を務めてきた長谷川閑史氏が外国人社長を招聘すると決定。英製薬会社グラクソ・スミスクラインのワクチン部門のトップにあったクリストフ・ウェバー氏がこのほど社長に就任したが、タケダのOBや創業一族が株主総会でこの人事に「反対」を突きつける迷走劇に発展している。

ともに社内に新しい風を吹き込むための外部招聘であり、今後の会社の命運を決定するグローバル事業を託した形のバトンタッチ。順送り人事が慣例化する日本企業では超異例といえるこの選択は、果たして正しいのか、間違いなのか。

今回本誌は、社長や役員として経営に携わってきた経営層に、両社の選択をどう見ているかを取材した。

共通しているのは、佐治、長谷川両氏が社長の座を譲ったからといって、「隠居生活」となれば話にならず、むしろこれから手腕が問われるとの意見である。東京海上火災保険取締役、東京海上カードサービス社長などを務めた志摩峻氏が言う。

「東京海上などの金融機関では、トップが後継者を選ぶ前に、候補者たちとプライベートな関係を築いた上で人柄まで熟知していく。その過程で候補者たちは『自分は外れた』とわかるようになっていて、ある意味で納得感を与えながら人事が決まる。そうしないと離散する人が増えて、組織が保たれなくなるのです。

その点、サントリー、タケダ両社が選択した外部招聘というのは、急激すぎて社内秩序を壊してしまう危険性がある。この際に大事なのは佐治氏、長谷川氏がプロパーの役員たちに『今はお前たちじゃダメなんだ』『君たちじゃ満足できない』ときっちり伝え納得させることです。面と向かってそう言うのは勇気がいりますが、それができないと今後の組織運営に大きな弊害が生じる可能性があります」

■大切なのは「腹心と監視」

新しい風を吹き込む人事は社内の反発を受ける。これを鎮めるのが佐治氏、長谷川氏の役割になるということだ。元サムスン電子常務の吉川良三氏も言う。

「私が韓国企業であるサムスンに日本人として入った時、社内にはハレーションがありました。ただ、私を呼んだ李健煕会長は改革を進めるためにブツブツ文句を言うやつは必要ないと、そうした人たちを容赦なく切っていった。もちろんその恨みは私のところへも返ってくるのですが、逆に『もうやるしかない』という覚悟で仕事に取り組めました。

佐治さん長谷川さんも、このままでは会社が危ういとの危機感から決断した人事なのでしょう。それに反発する社員にいかに対応するかが、今後の彼らの仕事になる。この期に及んで社内にいい顔をしようとすれば、改革は成功しません」

佐治氏、長谷川氏に求められるのは新社長を「後押し」すること。元カルビー社長の中田康雄氏はさらに、「監視」の重要性を説く。

「私が両社の選択を支持するのは、『腹心』を社長に据えなかったから。企業トップには腹心が必要で、戦略を一緒に練ってくれる参謀タイプと、社長の代わりに憎まれ役を引き受けてくれる調整タイプがいると心強い。一方で、腹心の誰かを出世させると、ほかの腹心との間で軋轢が生じることが多い。その点、佐治さんも長谷川さんも腹心をあえて社長にせず、外部抜擢したのは勇気ある決断です。

一方で、抜擢された社長は勘違いして、変な方向に進むリスクがある。私の場合、カルビーで創業家以外から初めてという形で社長に就任しましたが、創業家の監視というプレッシャーがあったから緊張感を持って仕事に臨めた。佐治さん、長谷川さんも、権限委譲と監視の微妙なバランスをきちんと取れるかどうかが、大切になってきます」

腹心と監視―。これをトップ人事の「キー(鍵)」にしているのは、実はソフトバンク創業者の孫正義氏も同じだ。かつてソフトバンクで社長室長を務めた三木雄信氏が言う。

「孫さんは『株の1株は血の1滴』と言っていました。つまり、経営トップは株主に監視されることが非常に重要だということです。孫さん自身、子会社の社長を抜擢する際は、権限委譲すれど監視は続ける。そして目標を達成できないと見ると、すぐに交代させた。

同時に、組織内のいたるところに腹心を配置していた。創業時代から苦楽をともにしてきた人や、黎明期に新卒入社した人たちです。子会社の社長に外部から新しい人材を送り込んでも、腹心たちがその新社長を監視してくれる。だから、組織や会社の風土が壊れない」

その点で、三木氏から見るとタケダには不安があるという。

「サントリーは創業一族が株の大半を握っているので、新浪さんをしっかり監視できる。一方で、タケダには強力な株主がいない。そもそも長谷川さんは社長時代に業績を好転させていないのに長く居座った。それ自体が、長谷川さんを誰も監視できていなかった証拠です。しかも、タケダは要職に外部招聘の外国人を次々と抜擢して、古くから社内を知るベテランが去っている。そこに外国人社長が入ってくれば、大きく組織が壊れるかもしれない」

■「無国籍化」が怖い

グローバル化の推進という意味では外国人の抜擢が今後ますます必要になってくるのは必至だが、外国人社長で思い出すのは、ソニー、日本板硝子、オリンパスなどいずれも成功とはいえない事例ばかり。日産自動車のカルロス・ゴーン氏もかつての輝きはないため、タケダの社長人事にも不安の声が出ている。外国人社長の「リスク」について、元ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長の新将命氏はこう指摘する。

「やはり言葉の壁が大きく、いくら通訳を入れても本来意図することの2割くらいは消えてしまう。それに、外国人など外部から招かれたトップには、破壊はできるけれど創造できないケースが多い。会社を改革するのであればいいが、短期で結果を出すために『革命』をしてしまうと出血する。それが大量出血となれば会社が死んでしまうのです」

元コマツ専務執行役員中国総代表の茅田泰三氏は会社の「無国籍化」を危惧する。

「グローバル化といっても、日本企業独自のブランドを捨てる改革志向は危ない。コマツは海外の売り上げが8割ですが、石川県で創業した日本企業ならではの気配りとサービス力を活かして海外で受注している。コカ・コーラが世界で売れるのも、アメリカ企業というブランドがあるから。タケダも日本の開発力を売りにするのではなく、国籍が見えない企業になると、かえって企業価値が失われてしまうかもしれない」

新浪氏、ウェバー氏がいずれ劣らぬ実績の持ち主であることは間違いない。才能や実績がある実力者が疎まれ、社内政治ばかりに長けた人間が出世する企業が多いことを思えば、佐治氏、長谷川氏は外野からの批判を承知の上で、彼らの真の能力にかけたともいえる。元ペンタックス社長の浦野文男氏が言う。

「グローバルに生き残りをかけて勝負する時代にあっては、真に手腕のある人材しか経営はできない。とはいえ、そうした人材はいつの時代も育っているわけではない。いまだから言えますが、私も社長時代に後継者を探したが適任と思える人材は見当たりませんでした。そういう時に、思い切って外部から人材を抜擢するのは勇気がいるのです。

しかも、業績が傾いた会社がカンフル剤的な人事をすると社内がまとまりにくく、致命傷になる危険性もある。その点、サントリーの場合は好調時での人事だし、タケダも外国人社長の成功例となって欲しい」

■ダメならすぐに切れ

元伊藤ハム社長の伊藤正視氏も言う。

「新浪さんはコンビニ業界という成長産業で腕を磨いた点が重要です。成長産業だと100の実力が140の結果を生むが、衰退産業だと同じ実力でも80の結果しかでない。まだまだ成長を続ける世界の飲料業界に打って出るサントリーにとっては、新浪さんの成功体験が十分に活かせます。

また、グローバル化を進めると、時に海外訴訟に巻き込まれたりする。これは日本人が最も不得手とすることで、いまからこうしたグローバル化の洗礼に耐えうる外国人社長を据えるのは正しいと評価できます」

ウェバー氏は6月27日付、新浪氏は10月1日付で社長としてのスタートを切る。周囲の不安な視線を浴びながらの船出になるが、「まずは現場をいかに回るかが重要」と元伊藤忠商事副会長の中澤忠義氏は言う。

「私が副社長の時、ちょうど資源分野への直接投資を開始したのですが、社内の反発もあった。こういう時に大事なのは、とにかく現場主義。役員室に誰でも入れるような雰囲気を作ったり、昼夜問わず公私に社員と語り合う。あとはブレずに経営を続けることで初めて信頼が勝ち取れる」

もちろん、結果がともなわなければ、部下は「それみたことか」とあっという間に背を向ける。こうなった時に、佐治氏、長谷川氏の手腕が再び試される。元マイクロソフト日本法人代表の成毛眞氏が言う。

「本当に重要な判断は、ダメだったら速やかにその社長を切れるかどうかです。そもそも、新浪さんもウェバーさんもプロの経営者としてやってくるのですから、彼らの目標はただ一つ業績を上げることだけ。それができないなら、1年目で判断して2年以内に切る。日本企業はこれが苦手で、ダメな経営者をズルズル続投させてしまいがちです」

いかに選ぶかと同じく、いかに切れるかがトップ人事の要諦―。佐治氏、長谷川氏が「次」にどう決断するかが、この人事の成否を決めることになりそうだ。

「週刊現代」2014年7月19日号より


 

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