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税制メリットが高い「確定拠出年金」 始める前のチェック項目とは?〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/660.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 8 月 10 日 13:54:05: igsppGRN/E9PQ
 

税制メリットが高い「確定拠出年金」 始める前のチェック項目とは?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140810-00000002-sasahi-bus_all#!bAjWkW
週刊朝日  2014年8月15日号より抜粋


 未曽有の高齢社会を生きるには、どの程度の蓄えが必要なのか? 従来の年金制度が立ちゆかなくなるなか、現役世代の多くが、税制メリットが高い「確定拠出年金」に加入し、老後資金を増やそうとし始めている。そんな“自分年金”の時代に、賢いお金のため方を考える。

「『最近、会社で確定拠出年金制度が始まったのですが、どんな商品で運用すればいいのかわからないんです』という相談を、よく受けるようになりました」

 そう語るのはファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏だ。確定拠出年金制度は2001年にスタートして以降、加入者は右肩上がりで増え続けている。14年3月末時点で482.5万人。前年より27万3千人も増えた。

 確定拠出年金(DC)とは、公的年金に上乗せして積み立てられる年金を指す。加入者が増えている理由は二つあるとされる。一つ目は企業が厚生年金基金を廃止して、DCに移行させているから。もう一つは、多くの人が「国民年金と厚生年金だけでは豊かな老後は送れない」と、自力で老後に備え始めたせいだといわれている。

 14年4月以降、私たちが受け取れる厚生年金の額は、標準世帯で月22万6925円。対して総務省の家計調査では、世帯主が60歳以上で勤労者の場合、支出は月平均28万円。その差約5.3万円、働かないと毎月それだけ赤字になる。この数字を65歳で年金生活に入り90歳まで生きる人に当てはめると、総額1590万円も足りない。

 そうした危機感がDCへの加入を後押ししている。深野氏が言う。

「退職金は老後の生活費にあてず、なるべく病気や介護などの『もしもの時』に備えてとっておいたほうがいい。現役世代から月々の年金を『増やす』という視点が重要なんです」

 つまり、私たちの老後は“自分年金”でまかなう時代に突入した。しかし冒頭のように、多くの人は「確定拠出年金って?」と戸惑っているだろう。そこで少しでも理解を促したい。

 まずDCは「企業型」と「個人型」の2種類がある。ちなみに、公務員と主婦(第3号被保険者)は加入できない。

「企業型」は大手企業などで働くサラリーマンが対象で、掛け金は会社が出すが、規約に定められた場合、加入者も掛け金を出せる。運用先を選ぶのは自分だ。会社と金融機関が契約して用意した預貯金、保険、投資信託などの金融商品から決める。

「個人型」は自営業者や中小企業などで働く一部のサラリーマン向けで、自ら金融機関に口座を開き、掛け金は自分で出す。

 いずれも掛け金の運用結果次第で将来受け取れる年金額が変わるというリターンとリスクを伴う。このため、DCに加入する前に準備すべき点がある。

 まず【自分の平均寿命までの年金不足分がいくらかを計算する】。

 毎年誕生月に送られる「ねんきん定期便」を見て、もらえる額から毎月の生活費を引き、その不足分に65歳から平均寿命までの月数をかけてみよう。65歳前に退職すると無収入・無年金期間があるため、その分も足すことを忘れずに。

 次に【自分が加入する年金制度を確認する】。

 年金が上乗せされる仕組みは働き方によって違う。

 1階は全員が共通して加入する「国民年金」。その上の2階には、サラリーマンなら厚生年金が、自営業者なら任意加入の国民年金基金やDC(個人型)がある。3階部分はサラリーマンなどにしかなく、解散する企業が増えている「厚生年金基金」や、企業が一定の受取額を約束する「確定給付企業年金」、そしてDCだ。

 このようにDCは働き方によって加入できる人が限られるほか、掛け金の限度額も異なる。

 一般的には、大手企業のサラリーマンや公務員は十分な年金がもらえるとされているが、問題なのは企業年金がなかったり企業年金が思っていたよりも少なかったりするサラリーマンや自営業者など。掛け金の額や運用先を慎重に選ぶ必要がある。

 そもそもDCは公的年金と同様60歳まで加入して、60〜70歳の間で一時金か年金形式か、受け取りを開始しなければならないが、原則60歳まで引き出せない。このため掛け金は、現在の暮らしに支障がない額が望ましい。

「60歳まであとわずかしかない人は、あまり無謀な投資をせず、元本が確保されている預貯金などで運用したほうがいいでしょう」(深野氏)


 

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コメント
 
01. 2014年8月10日 19:47:31 : UQ4KPjZ6Og
確定拠出というのは、支払う年金額が確定しているということ。
運用経費も運用収益も上がろうが下がろうが必ず運用者は必ず手に入る。
金融屋にとってこんないい商品はない。リスクはすべて客もち。
バブルが起ろうがはじけようが知ったことではない。

そりゃ宣伝もするわけだ。当然役人も税制で優遇する。


02. 2014年8月19日 21:22:56 : O1GIjctQSc

Vol 314:年金は、将来も大丈夫なのか(3) 完結編>

テーマの領域:政府の『年金の財政検証』を読み解く
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
バックナンバーはHPで: http://www.cool-knowledge.com/
(過去の有料版も、抜粋し載せています)
 著者への感想等    ⇒ yoshida@cool-knowledge.com
無料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/0000048497.html
有料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/P0000018.html
  著者:Systems Research Ltd. Consultant 吉田繁治
43021部


こんにちは、吉田繁治です。年金問題の3号目です。本号が完結編
です。

政府は、年金の支払額について、5年に一度長期の見通しを示す
『財政検証』を行っています。経済の成長率、物価の上昇率、賃金
の上昇率を想定し、支払い可能な厚生年金額を「検証」するという。

5年前、「100年安心」と言っていました。年金は、政府の、国民に
対する約束です。意味は、現在の給付額の水準(物価上昇を引いた
実質額)を、100年先まで維持できるから、年金の約束は安心とい
うことでした。

今回の、厚労省の『検証』では、それを言わない。単に数表を出す。
その数表に、将来の年金の、実質額の減額が、強く、匂っています。
実質額とは,物価上昇率を引き、商品購買力で計った金額です。

重要な変更を言わないで、済ましてしまうのは、褒(ほ)められた
ものではない。本来は、マスメディアが、これを、チェックしなけ
ればならない。

年金は、数十年先のものなので、[年金の名目額÷(1+物価上昇
率×年数)=実質額]でみなければなりません。

名目額が20万円で維持されても、物価が年率で2%上がり続ければ2
0年後は、[20万円÷(1+2%×20年)=20万円÷1.4≒14万円]に
減るからです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<Vol 314:年金は、将来も大丈夫なのか(3) 完結編>
2014年8月19日

【目次】

1.1人平均が5万5000円の国民年金の自営業
2. 公的年金での、政府の支払い義務負債の概算は、1100兆円
3.大半の人が「われわれはもらえない」とは言うが・・・
4.100年安心とは、あまりに嘘になり、言わなくなった
5. GDPの8つのケースを想定した政府(とてもわかりにくい)
6.現在の、厚生年金の支給の基準額は、1世帯21.8万円/月
7.2026年まで、12年間の経済成長の想定(A〜Hの8段階)
8.ケースE:もっとも、GDPの成長が低いケースでの賃金と年金
9.物価上昇と、年金の運用利回りが、政府財政に生む矛盾
10.退職後の25年の生活への対策は、金融資産での自助しかない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.1人平均が5万5000円の国民年金の自営業

厚生年金を掛けていない自営業(1864万人)の場合、1人の年金額
は月額5万5000円です(受給者の平均)。

20歳から60歳になるまで、40年かけ続けたときの満額が、6万4400
円です。平均の支給額は、5万5000円です。欠けた期間があるから
です。夫婦2人で、11万円/月が平均です。

(注)上乗せになる厚生年金を掛けていた期間があれば、その期間
分のプラスがあります。2ヶ月に1回、2ヶ月分をまとめて支給され
ます。なお国民年金、厚生年金、共済年金、及び他の私的年金にも、
他の所得と合算されて、所得税がかかります。

国民年金だけの人は、65歳以降を無職とした場合、月25万円の家計
支出を維持するには、毎月、14万円の預金取崩しが必要です。

25年分なら[14万円×12ヶ月×25年=4200万円]、
20年分では、3360万円の金融資産(預金)になります。

自営業の世帯なら、65歳時点で4000万円くらいの金融的な資産、ま
たは後で述べるリバース・モーゲージ用の住宅が必須になるでしょ
う。自営は、医師、弁護士、会計士も含みます。

ただし、国民年金の世帯は、75歳くらいまでは働くことが多い。夫
婦では、平均が11万円の国民年金だからです。毎月10万円や15万円
の預金を崩しづけることができる人は、多くはない。

▼世代別の世帯の、金融資産と住宅資産

以下は、10歳の世代別にみた、世帯の金融資産と住宅資産です(20
09年:総務省)。純金融資産は、住宅ローン等の金融負債を引いた
純額です。住宅資産は、宅地を含んでいます。

年収は、共稼ぎ分を含み、65歳以上では、年金の受給を含んでいま
す。

70歳以上で平均年収が489万円と高いのは、個人事業者(医師、弁
護士、会計士等)と、定年に左右されないオーナー経営者が混じっ
ているためです。

【世代別の世帯の、金融資産、住宅資産、年収】
世帯の
金融資産 住宅資産 合計 年収平均
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
30歳未満 -38万円 776万円 738万円 (446万円)
30〜39歳 -262万円 1532万円 1270万円 (584万円)
40〜49歳 74万円 2190万円 2264万円 (748万円)
50〜59歳 927万円 2643万円 3570万円 (841万円)
60〜69歳 1785万円 3004万円 4789万円 (598万円)
70歳以上 1860万円 3069万円 4929万円 (489万円)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
全世帯平均 947万円 2514万円 3461万円 (651万円)

http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/shisan/pdf/yoyaku.pdf

総務省 全国消費実態調査 金額は2009時点。2人以上の世帯。

40歳未満で、純金融資産がマイナスなのは、住宅ローンのためです。
60歳以上で金融資産が平均で1700万円くらいに増えるのは、会社勤
務だった人に退職金がはいるからです。

なお、全世代でみた、家計資産額(金融純資産+住宅資産)の分布
は以下です。

ほぼ十分と思われる5000万円以の家計資産の世帯は、22%〔5世帯
に1世帯〕です。

65歳以上で家計資産5000万円以上は、半数の世帯(1000万世帯)で
しょう。65歳以上がいる世帯は2070万世帯で、世帯構成比では43%
もあります。

【参考:家計の資産金額別の分布:2009年】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1000万円未満 28%(1480万世帯)
1000〜3000万円未満 32%(1700万世帯)
3000〜5000万円未満 19%(1000万世帯)
5000〜1億円未満 16%( 850万世帯)
1億円以上 6%( 320万世帯)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/shisan/pdf/yoyaku.pdf

定年時の60歳から69歳の平均資産では、
・金融資産が1785万円、
・住宅が3004万円の価値、
・合計が4789万円です。

住宅を少しずつ売って行くリバース・モーゲージを含むなら、65歳
以降、月額で、約15万円を25年間使うことはできます。

その場合、平均寿命で亡くなるとき、住宅資産もゼロになる。これ
が[平均]です。子供に残す資産は、なくなります。

(注)リバース・モーゲージ:担保価値のある住宅を抵当に、銀行
から、毎月、年金のように借りる契約。最後は、抵当にした住宅を
銀行に売って、返済する。払う住宅ローンと逆にもらう住宅ローン。
肝心なのは、売れる価値のある住宅・土地であること。担保価値は、
不動産相場の70%(または60%)になることが多い。

以上が高いか低いか。
ここが、わが国の戦後経済の、平均的な到達点です。

▼厚生年金の価値は、平均で、3000万円の預金に相当する

以上の意味で言えば、夫婦2人の世帯(妻は専業主婦)の、平均的
な厚生年金の金額である21万円/月は、国民年金の平均(2人で11万
円)に対し、毎月10万円多い。

25年もらうなら、[10万円×12ヶ月×25年=3000万円]の金融資産
に相当する大きなものです。年金が一生の生計にとって、大切なも
のであることが、以上の概算でも、はっきりわかるでしょう。

夫婦で月額21万円の、平均的な厚生年金を受け取ることができる世
帯は、国民年金だけの世帯(夫婦分平均11万円/月)と比べ、65歳
になった時点で、政府に預けた3000万の金融資産を、多く持ってい
ることと等しい。

■2. 公的年金での、政府の支払い義務負債の概算は、1100兆円

払う側の政府から言えば、国民年金(基礎年金)では、国民1人当
たり[5.5万円×12ヶ月×25年=1650万円]の、年金の支払い義務
の負債をかかえていることになります。

国民全員に共通な、基礎年金での政府の将来負債は、おおざっぱな
計算をすると、1650万円×2912万人=480兆円です。この2912万人
は、2011年で、基礎年金を受け取っている人です。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002quvo-att/2r9852000002quze.pdf

この上の、二階部分にあたる厚生年金では、[1人5万円平均×12ヶ
月×25年=1500万円]です。政府の将来負債は、1人1500万円×304
8万人=457兆円です。

国民年金と厚生年金での、政府の将来負債は、480兆円+457兆円≒
930兆円と巨大です。これに、公務員共済年金分(424万人が受給:
2011年)を加えれば、政府の、支払い義務の送金額は、1100兆円く
らいになるでしょう。

政府は、現在の国債などの借金(1130兆円)以外に、将来の公的年
金で、1100兆円くらいの支払い義務、つまり負債を、別途、負って
いるとみていい。この観点で言えば、年金義務を含む政府負債は、
2130兆円で、現在の名目GDP(487兆円:14年6月)の4.4倍です。

(注)2008年の「国の連結貸借対照表」で、政府は、公的年金の、
将来債務を1050兆円と試算しています。当方の試算と、ほぼ同じで
す。
http://www.kansai-u.ac.jp/riss/rcss/DPS/pdf/dp096.pdf

以上は、現状の年金です。

問題は、今後、現在の年金額はどうなるのか、です。
いや、どうなり得るか、です。

・年金受給が増えて行く年齢構成と、
・現役世代の人口が減るためのGDPの実質成長から言って、
年金支払い可能額(実質)が増えることはない。

じゃ、どれくらい減るのか。

■3.大半の人が「われわれはもらえない」とは言うが・・・

55歳以下くらいので大半の人は、年金受給者が増えるため、現在の
水準の年金は、受け取れなくなると想定しています。

しかし、人間にとって、10年や20年先のことが、切実な切迫感をも
って迫ることは稀(まれ)です。

「われわれがもらうときの年金は、相当に減る。あるいは、支給開
始が、65歳、67歳、70歳、73歳と上がって行く。」という予想が、
実際に数年先に迫って切実になると、締めつけられるような、切迫
感になるでしょう。

年金を設計した政府は10年、20年、30年先の年金について、一体ど
う考えているのか。それを示すのが、過去は『100年安心』と、国
民に公言していた厚労省が、従来とは違う姿勢で出した、『年金の
財政検証(2014年6月)』です。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/h26_kensyo.pdf

端的に言えば、今後の経済成長によって、
・現在の年金は減額、
・または支給開始の繰り上げが必要というメッセージを、
暗に、発しています。

減額が決定ではない。減額する必要があると言っています。

■4.100年安心とは、あまりに嘘になり、言わなくなった

つい5年前まで、厚労省は、年金は100年安心と言っていました。安
心とは、当時の支給レベルを続けることができるという国民への約
束です。

もう100年安心とは決して言わない。
ムリなことがはっきりしたからです。

15年も前から、減る現役世代が、大きく増える年金世帯を支えるこ
とが不可能なことは分かっていました。国民は、計算せずとも、人
口構造から察知していのです。しかし政府は、100年安心と言って
いました。

バブル経済崩壊以後の、国民の実感が、それでした。政府は「ムリ
になった」とは言わない。代わりに、非現実に高い、将来の経済成
長率を作る。

「このGDP成長率と物価インフレなら、所得代替率で50%以上の、
厚生年金の給付が可能」という『検証』を、今回も行ったのです。

■5. GDPの8つのケースを想定した政府(とてもわかりにくい)

厚労省は、『年金の財政検証(2014年6月)』において、日本経済
の将来の経済成長につき、
・ケースA、もっとも成長率が高い場合から
・ケースH、もっとも成長率が低いの、
8つの場合での、公的年金の、将来支給額を算定しています。

しかし原資料を見ても、とても、分かりにくい。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/h26_kensyo.pdf

▼公的年金の、政府の目標基準

【政府の目標】
現役時代の報酬の50%を、厚生年金として支給できることを、厚労
省は、目標の基準としています。

現役時代の、平均の標準月額報酬(=38歳の報酬)が35万円くらい
だった人に、世帯で約20万円の厚生年金を支給できることです。

現在は、夫婦2人で厚生年金21万円が平均ですから、ほぼ現状です。
現状の平均年金の21万円/月を、維持できるのか。焦点は、ここで
す。

■6.現在の、厚生年金の支給の基準額は、1世帯21.8万円/月

2014年の現行水準では、現役男子の、生涯平均での手取り収入(税
と社会保険の控除後)は、月額で34万8000円(年額で417万円)で
す。

34万8000円が生涯平均の標準報酬だった人の、世帯の年金額は、
[基礎年金2人分12万8000円+夫の厚生年金部分9万円=21.8万円/
月]です。

これは、現役の時の所得の、代替率で言うと、[年金受給額21.8万
円÷現役の手取り収入34.8万円=62.6%]です。

2014年現在、所得代替率は62.6%と、政府が、いつの間にか目標基
準として下げた50%より高い。これが、現在の厚生年金です。
上記で示した厚生年金がこれです。

(注)公的年金の受け取り額が、現役の報酬の何%に当たるかを計
算するとき、手取り収入に対してではなく、本来、税と社会保険料
を引く前の標準報酬と比較せねばならない。

理由は、年金支給に対しても、税と社会保険料がかかるからです。
税と社会保険料としては、所得の約20%が天引きされています。

【高く見せる、所得代替率】
厚労省は、現役時代の報酬に対する年金の所得代替率を高く見せる
ため、分母になる報酬を、税と社会保険料を引いた後の手取り収入
としています。他のことでも、官僚がよく行う姑息(こそく)な粉
飾(みせかけ)です。

[年金受給21.8万円÷手取り収入34.8万円=所得代替率62.6%]と
するのは、「厚生年金は、所得に対し、大きく支給されている」と
見せるためです。

手取り収入の34.8万円ではなく、税と社会保険料(両方で約20%)
を引く前の標準月額報酬と年金支給額を比較すれば50%を割ってし
まうからです。

厚労省は、2014年から2026年までの、向こう12年間に対し、8つの
ケースの経済成長を想定して、それぞれの経済成長率で、62.6%
(世帯の厚生年金21.8万円/月)と高い所得代替率がどう変わるか、
計算し、公表しました。

それが、『検証』です。

年金額の所得代替率が高いということは、「高い年金」ということ
です。厚生年金の平均21万円/月は、「高い年金だ」と政府が、暗
に、言っていることになります。

●近い将来、平均支給額は実質額で20万円、19万円、18万円・・・
と下がらざるを得ないという含意(ふくみ)が見えます。(注)年
金の金額は、将来の物価上昇率を引いた、実質額で言っています。

これが、『年金の財政検証』です。(原本↓)内容を見ても、一般
には、ほとんど理解が不可能と思えます。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/h26_kensyo.pdf

■7.2026年まで、12年間の経済成長の想定(A〜Hの8段階)

▼ケースA:
36年後の、38歳の人の賃金は143万円(名目)を想定

ケースAは、実質GDP成長率が、もっとも高いケースです。どんな前
提か? GDPは所得面では国民所得でもあります。

従って実質のGDP成長率が一番高いケースは、経済の可能性の中で、
働く人の所得が、もっとも大きく伸びたときです。

出発点は、2014年の現役男子の、平均月額所得34.8万円です。年間
の上昇率を2015年は2.5%、2016年も2.5%、2017年には3.6%と上
げて行き、2022年以降、4%台以上の上昇としています〔これは非
現実的です〕。

このケースAでは、1997年から金額が下がってきた平均報酬が、201
5年を境に、その後、最初は2.5%、7、8年後からは4%上がるとし
ています。(注)平均で4%上がるのは、上位者では8%上昇の意味
です。

男子38歳の、現在の平均報酬は34.8万円です。年平均で、はほぼ4
%です(物価上昇を含む名目)。名目報酬が年率で4%上がると、3
6年後(2050年)は、1.04の36乗=4.1倍です。

金額で言えば、36年後、38歳(現在は2歳)の月収の平均は、[現
状34.8万円×4.1倍=36年後143万円]です。この想定が、ケースA
です。(現在、年齢が2歳の赤ちゃんが36歳になったとき)

物価上昇を年率1.8%としているので、36年後の実質賃金額ではそ
の分減って、64.3万円です。これでも、月収が現在の1.8倍です。

経済成長がもっとも高いケースAでの、38歳男子の実質報酬と、夫
だけが厚生年金をかけた世帯の年金額は、以下のように試算されて
います。千円単位は、四捨五入しています。

【ケースAでの厚生年金額(実質)】

2014年 2019年 2030年 2043年 2050年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・実質賃金 35万円 35万円 43万円 56万円 64万円
・実質年金額 22万円 21万円 24万円 26万円 33万円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・所得代替率 63% 60% 57% 51% 51%

[3つの条件]
毎年の実質GDP成長 +1.1% :物価上昇1.8% :名目GDP+3.9%/年

生産年齢人口が年間0.5%くらい減る中で、実質GDPの成長が1.1%、
名目GDPの成長で3.9%を、向こう36年間続けるという想定です。

2050年の人口は、1億人を割って9700万人(-24%)です。
これは、確実な未来です。

このとき38歳の平均報酬額は名目で143万円(給与明細の手取り金
額)、2014年の物価に換算した実質では64万円という。

物価が、年1.8%上がれば、36年間では[1.018の36乗=1.9倍]に
なっているからです。

現在の1.9倍の物価ですから、実質額は、[1/1.9=53%]に下がり
ます。年率ではわずかな1.8%でも、36年という長期では、1.9倍に
なるのが物価上昇です。

この場合、2050年の、夫婦2人での平均的な厚生年金の受取額は、
名目金額では[33万円×2.2倍=73万円]です。

それまでの想定インフレ率を引いて、2014年の物価基準になおせば、
実質33万円です。いかにも、高過ぎる想定に思えます。

国の名目GDP(現在は487兆円)が、今の4倍の2000兆円付近になる
ということです。名目とは言え、「高度成長期」が続くような経済
成長です。

■8.ケースE:もっとも、GDPの成長が低いケースでの賃金と年金

次は、A〜Eの中で、将来の経済成長がもっとも低いものとして、政
府が想定したものです。

物価上昇は年率平均0.6%で、実質経済成長は年率-0.4%です。
名目GDPの増加は、年率0.2%です。

【低成長のケースHでの、厚生年金額(実質)】

自分が、いつ65歳になるか想定しながら、見てください。これが、
現実的な、予想できる厚生年金です。
金額は、2014年の物価で示しています(実質金額)。

2014年 2019年 2030年 2036年 2055年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・実質賃金 35万円 35万円 38万円 40万円 46万円
・実質年金額 22万円 21万円 21万円 20万円 18万円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・所得代替率 63% 60% 54% 50% 39%

実質賃金は、各年度、およそ38歳の男子の分です。
年金は、65歳から受け取るとしたものです。
このHのケースが、現実的な線に近い。

2055年には、公的年金の基金(現在150兆円)を、使い尽くします。
積み立てていた基金が、ゼロになるという意味です。

基金を崩すことができる間は、ほぼ50%の所得代替率が維持されま
す。その後、可能な支給額が大きく下がって行きます。

2014年現在の厚生年金は、所得代替率が63%です。38歳の現役世代
の所得に対し、65歳以上の厚生年金が63%(22万円/月)です。

これが、将来50%の代替率に下がる。
2055年は39%です。
以上がケースHです。

われわれは、年金に関し、このケースHが現実的と見ておかねばな
らない。

(注)ケースHでも、厚労省は、年金基金の運用利回りを、年平均
で2.3%と、高くしています。

年金基金の、平均運用利回りが2.3%あるとすれば、国債金利は2%
以上でなければならない。

国債金利が2%以上になると、政府の利払いが、現在の3倍〔30兆円
〕に増えて、財政赤字が増え、政府財政は破産に向かうからです。

■9.物価上昇と、年金の運用利回りが、政府財政に生む矛盾

・安倍政権と日銀は、インフレ率2%を目標とし、
・日銀が国債を買い取ってマネーを供給する「異次元緩和」を実行
しているため、
厚労省の財政検証でも、物価の上昇を1.3%から2.0%としています。

もっとも成長率が高いケースAでは、
・物価上昇 で2.0%/年、
・年金基金の運用利回りが、3.4%/年です。
このときの実質経済成長の想定は、1.4%/年です。

(注)1年だけではない。向こう10、20年、30年の年平均です。2%
は10年でも1.22倍(30年で1.8倍)、3%なら10年で1.34倍(30年で
2.4倍)という大きな数値になります。

ケースAでは、物価の上昇が2%/年、実質経済(実質GDP)の成長が
1.4%/年とされています。この場合、長期金利は、「物価上昇2%
+実質経済成長1.4%=3.4%」に向かって上がる傾向を示します。

(その根拠)長期金利のフィッシャー等式
=期待実質経済成長率+期待物価上昇率+予想財政リスク率

▼年金基金の、想定運用利回りと、国債の金利の矛盾

ケースAの想定のように、公的な年金基金(約150兆円の残高)の運
用利回りが年率平均で3.4%と高くなるのは、年金基金にとっては
いいことです。

ところが政府部門は、1158兆円の債務をかかえています(2014年3
月末)。

国債の利払いは、1年に10兆円規模と、とても少ない。10年債の、
長期金利であっても0.6%台(直近は0.5%)と低いからです。

政府の債務額は多くても、利払い額は1990年代初頭(10.8兆円:当
時の国債金利は6.1%で現在の10倍)より減っているのです。

(注)長期国債の金利は、1970年代7.5%、80年代7.5%、90年代に
6.1%から3.1%に低下し、00年代3.1%から1%台に低下して、2014
年8月は0.5%台です。

年金基金の運用利回りが、年率平均で3.4%になるということは、
長期国債の平均的な金利も、3.4%付近に上がるということを意味
します。

そうすると、政府の債務に対する利払いは、現状の約3倍である30
兆円に向かって、増えて行きます。30兆円は、消費税で言えば、ほ
ぼ15%分です。(注)年間の発行分(180兆円)から新しい金利に
変わって行きます。

以上が意味するのは、
・年金基金の運用利回りが3.4%に上がっても、
・政府財政からの国債の利払いが、現在の10兆円/年から30兆円/年
に向かって、20兆円も増えることです。

20兆円に利払い増えれば、払えないので、デフォルト(破産)に向
かって行くということです。消費税を上げればいいという話もあり
ます。

現状の8%を、10%、13%、15%と上げる、GDPの中の国民所得が減
ってしまうので、増税による増収(所得税+法人税+消費税)は、消
費税率を上げた分、増えることはないのです。

●経済成長が高くなり、市場の金利が上がることは、政府部門の負
債が1158兆円(14年3月)と、名目GDPの2.4倍に大きくなっている
日本政府にとって、財政の破産も意味します。

高い経済成長があると金利が上がります。金利が3%にも上がると
政府財政が破産に向かう理由は、政府の負債額が、GDPの2.3倍と大
きすぎるからです。期待経済成長率が高くなると、金利は、上がり
ます。

厚労省の『年金の財政検証』では、国債の利払いの増加への見解が
ないのです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/h26_kensyo.pdf

【厚労省の誤り】
物価が上がって、経済成長率が高まると、年金基金の運用利回りが
高くなるから、年金にとってプラスとだけしています。これはマク
ロ経済(特に金利)の想定において、厚労省が犯した根本的な誤り
です。(意図的でしょうか?)

実質成長率を年-0.4%としたケースEでも、物価上昇は1.2%で、年
金基金の運用利回りは、3%としています。(注)長期金利=成長
率0.4%+期待物価上昇1.2%→ 1.6%です。

年金基金の運用利回りが3%なら、10年もの国債の金利も、3%付近
でしょう。これも、ケースA(運用利回り3.4%)と、ほぼ同じで、
実際は、財政の破産シナリオになります。

厚労省は、基金の運用利回りを3%以上にしたいという目的から、
国債利払いによる、政府財政の破産シナリオを描いています。

『年金の財政検証』は、年金が大丈夫という目的から、一方では、
10年物の国債金利が3%を超え、政府財政が破産に向かうシナリオ
も描いているのです。

厚労省が誤りを犯してしまった理由は、厚労省が、年金基金の運用
では、国債の金利を受け取る側だからです。

財務省に3%〜3.4%という年金基金の想定運用利回りを見せれば、
財務省は国債の金利を払う側ですから、「無理だ」となったでしょ
う。

あるいは、財務省も気がつかないか。または国債を管理している財
務省理財局は「どうせ、『検証』は厚労省の作文だ。」と本気には
していないのかも知れません。

■10.退職後の25年の生活への対策は、金融資産での自助しかない

現在の厚生年金では、
・現役時代の38歳の手取り報酬(平均が35万円)に比べて、
・ほぼ63%(22万円/月)の所得代替率があります。

これが将来は、50%に向かって13ポイント下がり、
2055年からは、39%に向かって24ポイントは下がることを、
想定しておかねばならない。

現在も、年金だけでは生活ができず、平均で毎月4.3万円が取り崩
れされ、年金と合わせた生計費(26.5万円/月)になっています。

年金世帯の、この家計水準を維持するには、金融資産と預金から崩
せる金額を、毎月、これより5万円は増やさねばならない。

ほぼ、40未満の世帯なら、年金世代になったとき、預金取崩し額が
月10万円くらいになります。

政府の寿命予想のように男子が84歳まで(2060年)とするなら、65
歳以降は、20年です。妻はほぼ、25年です。

月10万円×12ヶ月×25年間=3000万円。

実現性が高い低成長ケースHの場合、退職時の金融資産が3000万円
必要です。

つまり、現在(約1300万円)の年金受給世帯より、将来の世帯は17
00万円くらいは余分に必要です。あるいは70歳まで、元気な比人は
75歳まで年収200万円くらいにはなる何かで、働くことです。

政府は、以上のことは、決して言いません。

わが国の年金制度は、現役世代から年金世帯への所得移転です。
それが、ムリになるというのが、今後の年金です。

●年金世代に向かうときは、とりわけ50代から、自助の部分を増や
さねばならない。これが、普通の、結論です。

政府と、年金制度を決めてきた政治家は、100年安心と言ってきた
年金について、国民への約束破りで、強く批難を受けるべきです。
人口の年齢構成で、生産年齢の人口が減って、65歳以上の年金世代
が増えることは、30年も前から、分かっていたことだからです。

国立人口問題研究所が行っている年齢別人口の変化は、確実なこと
です。若干の正確さを犠牲にすれば、エクセルで試算ができること
です。将来年金の支給額は、90%くらいの正確性なら、誰でも計算
ができます。


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