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円安による悪影響(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/351.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 09 日 23:24:05: igsppGRN/E9PQ
 

円安による悪影響
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52640127.html
2014年09月09日 在野のアナリスト


対ドルで円安がすすみ、106円半ばをつける場面まで。今回、SF地区連銀のリポートで利上げ時期の前倒しが示唆され、それを意識してドル高の流れがすすみましたが、特徴的なのは対ユーロも円安になっていること。QEが予想されるユーロに対して円安がすすむ、ということは今回、主因は日本経済の弱さ。GDP改定など、悪化する日本の景気に対して、追加緩和を織り込みはじめた動き、がその背景にはあります。そしてこれは、悪い円安ということが鮮明です。

麻生財務相が「一般論として急激な変動は望ましくない」、甘利経再担当相が「ファンダメンタルズに沿った為替を」と述べます。昨日、甘利氏は「それを国内に還流させて…」などと、円安に期待も含ませましたが、一夜にして態度を転換させたのは、経済団体からも悲鳴が上がり、日本経済にとってマイナスと判明したからでしょう。さらに今日の株式市場は上昇していますが、ソフトバンク1社の寄与率が高く、値下がり銘柄が1000を越えるなど、円安=株高の構図が変化した。これも市場が円安により日本経済はさらに悪化する、と看做していることによるものです。

円安でも輸出が増えない、そうなると円安はマイナス面しかありません。内需企業にとってはコストアップ要因でしかなく、輸出企業も、円換算の業績を押し上げたとしても、国内に還流させることもない。甘利氏の希望など、通るはずもないのです。ナゼなら海外の売上げが変化するものでもないためです。円安インフレによる消費鈍化、が愈々本格化する懸念すらあります。

しかも最大に困難なのは、日本の打つ施策が円安を促すこと。悪化する景気に対し、追加緩和をうてば円安を促します。塩崎厚労相のGPIF改革で、外国債、証券を買うということすら、手立てとしては困難になった。悪影響が顕著となれば、円買い介入すら視野に入る状況なのですから。さらに日銀の追加緩和は打ちにくくなった。円安への対策は、逆にマネタリーベースの縮小が必要となりますが、脱デフレを目的とする以上、それは困難な対応です。さらに増税を見送れば、財政規律の緩みを指摘されて、さらなる円安を引き起こし易くする。今回の円安は、米国のテーパリングがきっかけですが、日本にとって非常に厳しい状況を引き起こした、となるのでしょう。

内閣府が発表した8月消費者態度指数が41.2と、4ヶ月ぶりに前月から0.3ptの悪化となりました。安倍政権になってから、一貫してこの指数のトレンドは、景気情勢と逆を示してきましたが、下落に転じたということは、ここから景気が上昇するのか? 恐らく、これは消費者態度ではなく、政府がこうなって欲しい、という希望を示してきた指数であって、ここに来て、やっと景気悪化を政府も認めざるを得なくなった、というのが指数下落の背景なのでしょう。

今週はメジャーSQの特別な週ですが、円安、株安のダブルパンチとなれば、外国人投資家の逃げ口実にされかねません。債券安を必死で日銀が支える中、日本の更なるマネタリーベースの拡大が、円安を促していく。政府が景気対策を打とうとすればするほど、徐々にその泥沼にはまりこんでいく。今はその岐路に立っている、といえるのでしょう。かといって、安倍ノミクスを見直すことは、今の安倍政権には不可能です。内閣改造で、人心一新もできなかった。そんな思惑もまた、日本売りを促すのでしょう。安倍氏の経済ブレーン、3ダメンズ。本田参与、浜田参与、そして黒田日銀総裁、彼らの罪深さをこれから実感する局面がくるのかもしれませんね。


 

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コメント
 
01. 2014年9月09日 23:44:40 : J3VSwtRkgk
この円安の行き着く先の恐ろしさは想像を絶するよ

日本は輸出も輸入も両方ダメに成るんだよ

貿易立国どころか貿易転落国に成る

後はひたすら窮乏化するだけ


02. 2014年9月10日 02:25:53 : jXbiWWJBCA
そもそも足もとの円安で日本経済は復活するのか?
改めて思いを馳せるべき“国力減退リスク”の現実
http://diamond.jp/articles/-/58807


 
イエレン議長お膝元の警告に反応 円安加速106円台
2014/9/9 17:50日本経済新聞 電子版
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 9日の東京外国為替市場で、円相場は一時1ドル=106円前半と約6年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。円安加速のきっかけとなったのが、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ前倒し観測の浮上だ。イエレン議長の「お膝元」のサンフランシスコ連邦準備銀行が、8日公表したリポートで、市場が将来の利上げを「過小評価」していると警告を発したことが材料となった。

 「米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者よりも、一般の人々の方がより緩和的な政策を予想している」――。サンフランシスコ連銀リポートが示したのが、市場とFOMCの温度差への懸念だった。

 一地区連銀のリポートでありながら、市場の関心を呼んだのにはワケがある。同連銀はイエレン議長が2004〜10年に総裁を務め、現総裁のウィリアムズ総裁は議長の「腹心」だ。イエレン議長のお膝元の連銀が発したメッセージだけに、市場も重く受け止めた。

 米利上げ前倒しの観測が強まり、米長期金利が上昇。指標となる10年債の利回りは8日のニューヨーク市場で2.47%と約1カ月ぶりの高水準で取引を終えた。日米金利差の拡大は円売りを加速させた。

 市場では、9月16〜17日の米FOMCで、これまで市場の期待を抑えるアンカーとなってきた文言が修正されるとの見方も強まっている。10月にも量的金融緩和を終了した後も、ゼロ金利を「相当な期間」続けるとの表現を見直すとの観測だ。

 それだけに、来週のFOMCに向けて米利上げ前倒し観測が強まりやすく、円は下値を探る展開になりそうだ。ただ9月に入ってから対ドルで2円強も進んだ急ピッチの円安に、市場では警戒感もにじみ始めた。短期的な投機筋による円売りだけならば、いずれ調整局面を迎える可能性も大きい。


 

経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層
【第147回】 2014年9月10日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
上がり始めたサラリーマンの賃金
それは「誰」のお蔭で「誰」のためか?
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
 4月に消費税率が上がって、他の物品サービスも値上がりが続いている。生鮮食品に至っては、4〜6月は前年比10%以上の値上がり率である。消費税を含め、帰属家賃を除いた総合物価は、4月3.9%、5月4.1%、6月4.1%、7月4.0%と高い伸びである。これでは、消費マインドが悪化するのも無理はない。

 家計にとって、それに対する購買力の穴埋めは、主にサラリーマン世帯の賃金上昇に期待するしかないのが実情だ。

 肝心要の賃金上昇は、2014年6月になってようやく上昇開始が確認されるようになった。最新の7月データでは、勤労者の現金給与総額は、前年比2.6%(9月2日発表の速報)の伸びになっている(図表1参照)。最近は、夏のボーナスが大きく寄与して伸び率が高まったことがわかる。


賃金上昇の牽引役は誰?

 現在、賃金上昇を引っ張っているのは「誰」なのだろうか。

 7月の速報段階で、限定された業種分類の中でのランキングを求めると、16業種中で最も高い伸び率になった順に並べると、(1)建設業、(2)卸売業・小売業、(3)不動産・物品賃貸業、(4)製造業、となっている(図表2参照)。

 特に建設業は、特別給与の伸び率が前年比31.1%と突出して高い。2番目の卸売業・小売業も、特別給与が同14.3%、3番目の不動産・物品賃貸業が同13.7%となっている。

 4番目の製造業は、特別給与の増加(同9.9%)もさることながら、所定内給与が7月の前年比2.0%と高かった。


 ここからわかるのは、建設業、卸売業・小売業、不動産・物品賃貸業が、企業の利益配分をボーナスでしたことで、勤労者への利益還元を大きくしたという特徴である。製造業の場合は、ベースアップによって所定内給与を押し上げる効果の方が相対的に目立っている。

中小企業が全体の4割

 別の角度から賃金上昇を見てみよう。調査対象になる事業所規模5人以上の事業所は、現金給与の伸びが7月2.6%だったが、より大きな事業所規模30人以上で見ると、前年比4.1%になる(図表3参照)。


 これらの数値には、パート労働者が含まれている。5人以上の事業所で見れば、フルタイム労働者のうちパート労働者を除いた一般労働者(正社員、契約社員、嘱託社員など)は、賃金上昇率が前年比2.7%であり、パート労働者の同0.7%を上回っている(図表4参照)。


 ここからは、賃金上昇の牽引役が、事業所規模30人以上の一般労働者であることがわかる。一般労働者は、ボーナス効果と残業代の押し上げ効果が表れやすい。彼らは、パート労働者よりも、景気に敏感に賃金が増えている。

 しかし、30人以上の事業所の賃金上昇が起こるだけでは、マクロ賃金を押し上げるのに必ずしも十分ではない。むしろ筆者が注目するのは、30人以上の事業所(賃金上昇率4.1%)と、5人以上の事業所(同2.6%)の間にある、5〜29人の区分である。

 なぜ、5〜29人の事業所が重要なのかというと、この領域にある勤労者が極めて多いからだ。この範囲の勤労者が全体の4割を占めている。だから、マクロの賃金が大きく上昇するには、事業所規模5〜29人の範囲にある中小企業の賃上げが進むことが不可欠である。7月の段階では、5〜29人の現金給与総額は、わずかに前年比0.5%の伸び率でしかなかった。

 事業所規模が小さいところの賃金上昇が鈍い理由は、パート比率が高いという事情もある。先に述べたとおり、パート比率が高いと、ボーナスと残業を通じた賃金上昇が期待しにくいからだ。事業所規模別にパート比率を比べると、5〜29人の事業所のパート比率が36.7%と高くなっている。

社会保険料負担の影

 では、なぜ中小企業のパート比率が高いのだろうか。諸要因の中で筆者が注目しているのは、社会保険料負担の重さである。厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険を併せた社会保険料負担は、企業が赤字でも黒字でも負担を求められる性格がある。しかもその負担感は、大企業よりも中小企業が重い(図表5参照)。


 2008年以降、後期高齢者医療制度ができて、企業の負担する健康保険料率は急上昇している。その影響は、大企業よりも中小企業で重い。だから中小企業は、雇用者の構成を社会保険料負担が相対的に小さいパート労働者にシフトさせている。その負担の結果として、中小企業は賃金を上げにくくなり、マクロでの賃金上昇の恩恵が行き渡りにくいのが実情だ。

 よく考えると、消費税増税の痛みを緩和するために中小企業の賃上げが期待されているのに、中小企業は社会保険料負担がネックになって賃上げできない、というのは倒錯した状況だ。

 言うまでもなく、消費税増税は社会保障負担を賄うためだ。消費税増税を乗り切るために賃金上昇が必要とされている。それなのに、社会保障が重石になって賃金が上がりにくい。賃上げが不十分だから消費税増税はできないとなると、企業の社会保険料負担は重くなる一方だ。そうなると、企業の負担増はますます重くなる。

 本質的解決法は、社会保障負担の削減である。社会保障の膨張がなくならない限り、消費税率は上がり、賃上げは行いにくいというジレンマから抜け出せない。消費税を増税するからといって、福祉予算を増やせる状況ではないと感じられる。
http://diamond.jp/articles/-/58874


03. 2014年9月10日 03:34:45 : jXbiWWJBCA
ブレント原油が1バレル100ドルの大台割れ
2014年09月10日(Wed) Financial Times
(2014年9月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国と米国の統計が世界の2大石油消費国の経済成長鈍化を示したことを受け、9月8日、ブレント原油の価格が2013年6月以来初めて1バレル100ドルの節目を割り込んだ。

 中国の8月の輸入が2カ月連続で減少したことは、住宅市場の冷え込みで悪化する需要減退が世界経済に次第に重くのしかかっているとの不安を煽った。

米中両国の景気減速への不安

武装勢力の攻勢でイラク石油開発に暗雲、世界市場にも影響
中東情勢の混乱で上昇していた原油相場が下げに転じている(写真はイラク・バスラの石油精製所)〔AFPBB News〕

 中国の統計は5日の米国雇用統計に続くものだ。8月の雇用統計では、月次の雇用者数増加が今年最低となり、世界最大の経済大国が勢いを増すかもしれないとの期待を打ち砕いた。

 原油の国際指標であるインターコンチネンタル取引所(ICE)のブレント原油先物10月物は、13カ月ぶりに象徴的な100ドルの大台を割り込んだ。取引途中の安値は99.36ドルと、2013年5月以来の安値をつけた。午後の取引では、前営業日比0.78ドル安の100.11ドルまで持ち直した。

 米国の原油指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油10月物は1.27ドル安の92.19ドルと、8カ月ぶりの安値をつけた。

 供給混乱に対する当初の不安は、6月半ばにブレント原油価格を115ドルまで押し上げたが、リビアやイラクでの地政学的な激変はこれまで生産に大きな影響を与えていない。実際、供給は増加した。

 加えて、利益率が低下する中で欧州の石油精製業者が操業を縮小したため、大西洋海盆と北海の余剰石油が北米での生産拡大の影響を増大させた。

 一方、市場参加者は、ロシアのエネルギー企業に対する経済制裁が意味のあるインパクトを持つことを完全には確信していない。

6月以降の下げは投機筋の動きが原因か

 コメルツ銀行のアナリスト、カーステン・フリッチ氏は、「市場は現在、『片耳が聞こえない』状況で、相場にマイナスの影響を与える報告を受け入れる意思があるように見えるため、原油価格は恐らく一段と下落するだろう」と語る。

 原油市場の観測筋は、6月以降の価格下落は、主に投機筋によってもたらされたものだと話している。

 ICEの報告によると、ファンドなどの投資家は9月2日までの1週間で、原油先物の買い越し残高を2477枚減らし、今年最低の水準となる6万5941枚にしたという。

 ファンドが保有する先物の買い越し残高が市場全体の規模に占める割合(解消も引き渡しもされていない先物契約の数によって示される数字)は、5%を若干下回る水準まで落ち込んだ。これに対して、6月末時点は15%近くに達していた。

地政学的な緊張が再燃すれば、市場心理はすぐに変化

 「投資家は、イラクでのイラク・シリアのイスラム国(ISIS)の勢力拡大が生み出す不確実性と原油価格急騰が株式などの他の資産に与えるマイナスの影響への懸念に対するヘッジとして、6月に原油を買った」。 BNPパリバの商品市場戦略責任者、ハリー・チリンギリアン氏はこう言う。

 「だが、原油生産が維持されると、これが解消された。リビアの生産再開は本当に価格を押し下げることに貢献し、原油から手を引くデレバレッジング過程を進めた」

 だが、アナリストらは、地政学的な緊張が再燃し、供給混乱の可能性を高め、ファンドが買いポジションを再構築する道を開いたら、今の市場心理が簡単に変わり得ることを認識している。

By Anjli Raval, Oil and Gas Correspondent

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41693


04. 2014年9月10日 15:35:01 : jXbiWWJBCA
コラム:スピード違反の円安、2つの期待先行に危うさ=上野泰也氏
2014年 09月 10日 14:20 JST
上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 10日] - ドル円相場が上昇余地を断続的に模索している。米連邦公開市場委員会(FOMC)が10月下旬に量的緩和縮小、いわゆるテーパリングのプロセス完了を決めるよりもかなり前という予想以上に早いタイミングだ。

先週後半以降のドル円の動きをざっと振り返れば、5日の日本時間早朝、仕掛け的なドル買いから一時105.71円まで上昇。1月2日に記録した年初来の円安値105.45円を突破した。8月の米雇用統計発表後に一時104円台後半まで売り戻されたが、市場のドル買い意欲は根強く、8日のニューヨーク市場で106円台に乗せ、10日の東京市場では午後2時現在106円台半ばで推移している。

今回の円安ドル高局面の根底には2つの「期待先行」があると、筆者は整理している。

まず、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革が円売り需要に結びつくという思惑が広がった。具体的には、運用改革積極派として知られる塩崎恭久氏が3日の内閣改造でGPIFを所管する厚生労働相に起用されたことにより、国内株式や外国株式・外国債券の比率を引き上げる方向のGPIF基本ポートフォリオ見直しの「早期実施」期待が強まった。

次いで、日米金利差の拡大を通じて円安が進むとの期待感が急速に広がった。着実な景気回復を背景に米国の利上げが市場のこれまでの想定よりも早く開始されて米長期金利が大幅上昇する一方、日銀の追加緩和観測が再び強まっている日本では長期金利の低位安定状態がこのまま続くとの予想からだ。

むろん、現在の世界経済を見渡した場合、米国経済(および米ドル)の相対的な優位は明らかである。ユーロ圏の景気はウクライナ情勢の影響もあって回復が止まり、日本の4―6月期は大幅なマイナス成長で景気下振れリスクが顕在化し、英国ではスコットランド独立住民投票の行方が不透明さを増している。

消去法で「ドルは買い」となるのは自然の流れであり、これが全般的なドル高局面に結びついている。そうした中であえて対円でドルを買い進む理由は、上記の2点というわけだ。

したがって、今回の円安ドル高局面に持続性が伴うのか、平たく言うと、このまま大きな調整を経ることなく108―110円を目指す「円安の波」が形成されていくのかどうかが、当面の焦点になる。先行した期待に現実の動きがキャッチアップしてくる場合には、このまま円安が進むことになるだろう。一方、期待に現実がキャッチアップしてこない場合には、ドル円はいったん円高方向に揺り戻すことになる。

<GPIF改革めぐる円安期待は行き過ぎ>

まず、2つの「期待先行」のうち、公的年金運用改革について述べると、それが株価上昇や円安につながるとの市場の期待感は、明らかに過大である。

公的年金の運用は国民の大事な財産を預かって行われているわけであり、市場で「高値つかみ」をするようなことがないよう慎重にマネージされるはずだ。委託を受けた運用会社のポートフォリオマネージャーが「上昇相場を作る」ような買い方をして、これに売り向かった海外の短期筋などが結果的に甘い汁を吸うようなことが大規模に起きるのは、当然回避されるだろう。

さらに、GPIFの基本ポートフォリオ見直し問題では、運用資産区分ごとの比率(パーセンテージ)もさることながら、その比率への「移行期間」と「許容かい離幅」が、きわめて重要なポイントになる。要するに、新しい基本ポートフォリオへの移行期間を十分に長くしておき、許容かい離幅も大きな数字にしておけば、日本株や外国資産を短期間で無理に買い増す必要性が薄れるため、その分「高値つかみ」を余儀なくされる可能性も小さくなる。

関係者のコメントを見ていると、話はそうした方向に進みつつあるとの推測は十分可能である。期待先行で日本株買いや円売りが進められた部分は、遅かれ早かれ剥落するだろう。

<年末に向けた日米金利差急拡大は期待薄>

では、米長期金利の上昇を主因とする日米金利差の拡大についてはどうか。こちらについては現時点で明確な結論を出しにくいものの、少なくとも金利差が年末にかけて急拡大するとは考えにくい情勢である。

今月9日、米2年債利回りは早期利上げを警戒して0.56%に上昇し、米10年債利回りは独10年債利回りが1.00%まで上昇するのと連動する形で2.50%まで上昇した。欧州中央銀行(ECB)による量的緩和への過剰な期待から独10年債が水準感を半ば喪失して0.9%割れまで買い進められ、米10年債が2.30%まで急低下した局面が終わったことを、はっきりと印象付ける動きである。

米国と日本の2年債の利回り格差は、9日に0.49%まで拡大した。同日の10年債の利回り格差は1.97%で、節目とみられる2%超えまで、あと一息である。

念のために説明しておくと、2年債利回りはその国の当面の金融政策(政策金利)の方向感を示す代表的な指標の1つとして重要である。また、米国の10年債や30年債の利回り水準や日本との利回り格差は、国内大手生保などが運用先を国内債から米国債にシフトするかどうかを探る上で重要な手がかりになる。

利回り格差が拡大して投資妙味が大きくなれば、日本からの投資マネー流出が増えて、円安が進みやすくなる。米2年債利回りがこのまま強含みで推移し、米10年債利回りが米国のファンダメンタルズに沿った水準とみられる3%以上へと順調に切り上がるならば、ドル円は現在の動きの延長線上で108―110円台を目指すトレンドを形成するだろう。

だが、イエレンFRB議長のハト派寄り姿勢、すなわち、利上げを慌てて開始し、それを積み重ねて失敗するよりも、利上げのタイミングやペースが遅すぎて失敗することのほうが、米国経済にとってコストは小さいという基本的な考え方は、今後も変わりがないだろう。イエレン議長がタカ派になびくのではないかというような市場の思惑は、強く否定される可能性が高い。これは米長期金利の一段の上昇を抑制する要因である。

また、米10年債についてはこれまでの相場動向から考えて、2.65%前後で邦銀勢を含む買い需要が厚そうである。この水準を抜けた場合でも、2.75―2.80%を抜けるためには、それなりに大きな材料が必要になる。

さらに言えば、「逆金融相場」入りを警戒して米国株がまとまった幅で調整するシナリオが、年末にかけて意識される。そうなった場合、米国債の利回りは当然上がりにくくなる。決算をにらんだヘッジファンドのポジション手仕舞いの動きも警戒されるところである。

以上のように整理して考えると、先行して広がった期待に対する現実のキャッチアップ度合いが不十分なものにとどまる中で、遅かれ早かれ、ドル円はいったん円高ドル安方向に揺り戻す可能性が高い。

*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。


 

ドル6年ぶり高値維持、FOMC警戒し上値追えず
2014年 09月 10日 13:51 JST
[東京 10日 ロイター] - 海外市場で前日約6年ぶりの高値を更新したドル/円は、午前の東京市場で伸び悩んだ。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、短期筋は急ピッチでドル買いを進めてきたが、2008年リーマンショック後の水準までドル高が進む中、高値警戒感も出始めているという。株価は小幅安、円債市場では短期国債が前日に続いてマイナスの金利で取引された。

<ドルは106円前半で伸び悩み>

ドルは一時106.36円まで上昇したものの、海外市場の高値106.47円には及ばなかった。

最近のドル上昇局面で、参加者のポジションは「程度の差はあれ、ドルロングができてきている」(国内金融機関)ことに加えて、ドルインデックスが84付近で昨年7月以来の高水準にあるため「高値警戒感が出ている」(邦銀)という。

これまでの上昇ペースが急だったこともあり、来週のFOMCが近づくにつれ「何が出てくるかわからない」と、イベントを警戒するムードも出始めている。  

ドルは、日銀の岩田規久男副総裁の金沢市内での講演内容が伝わると強含む場面もあった。

副総裁は、量的・質的緩和が所期の効果を発揮しており、金融政策の効果は今後さらに強まっていくなどと述べ、発言内容に「目新しさはない」(国内金融機関)ものの、「円安を否定するようなコメントをしていない」(邦銀)ことが好感されたという。

最近の円安に関連しては、国際協力銀行(JBIC)の渡辺博史総裁(元財務官)が3日、「かなりの産業でこれ以上の円安は損益にマイナスのところが増えてくる」との見解を示した。日本経済団体連合会の榊原定征会長(東レ 会長)も8日の定例会見で、円安・円高にはプラスもマイナスもあると指摘したうえで「(1ドル)105円は日本経済にとって適正な水準。今の水準で安定するのが適正だと思う」と語った。

<株価は3日ぶりに反落>

前場の東京株式市場で日経平均は3日ぶりに反落した。

米早期利上げ観測などを背景に前日の米国株が下落した流れを受け、朝方から売りが先行。前日に大幅高となったソフトバンク(9984.T)が値を下げたことも指数の重しとなった。ただ、106円台前半と円安水準で推移するドル/円が支援材料となり、トヨタ自(7203.T)など輸出株の一角が買われたことで下値は限定的だった。

週末にメジャーSQ(特別清算指数)算出を控えているうえ、米早期利上げ観測が投

機筋の資金フローに影響を及ぼす可能性があることが警戒され、朝方の売り一巡後はもみ

あいに終始した。東証1部の売買代金は前場時点で8760億円と引き続き低水準。

市場では「円安基調を背景に株価の先行きを弱くみる投資家は少ないが、新たな手掛かりがなく、盛り上がりに欠ける」(いちよし証券・投資情報部課長の及川敬司氏)との声が出ていた。

<6カ月物がマイナス金利で取引>

円債市場では、前日に初のマイナス金利を付けた6カ月物(478回債)は引き続きマイナス金利での取引となった。

長期国債先物は続伸。前日の米債市場で早期利上げへの警戒感から利回りに上昇圧力がかかったことに加え、ドル高/円安が進行していることも影響して短期筋からの売りが先行したが、中盤以降は日銀の国債買い入れオペへの期待や日経平均株価が弱含みで推移したため、買い戻された。

(金融マーケットチーム)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0H508C20140910


05. 2014年9月10日 16:59:07 : D19TZ6lQjw
本格的なドル高円安は年明けからだね。米国は負債額を粉飾してることは間違いないけど、今の世界は緩和合戦で もう何でもあり のインチキワールド。米国の経済は復活する・・ 雇用統計、住宅着工件数なんかも信憑性が低い。
 それでも『米国は完全に復活した』 と近いうちに世界に宣言するんだろうさ。
加えてFRBの緩和終了⇒金利上昇への誘導。
 来年円は150円に達するかも ね。でも中国をメインにシフトした日系は、そのレベルになっても国内回帰は困難。撤退は諸々のペナルティが課されるよ。

 結局のところ急激且つ大きな円安は、日本にとって 百害あって一利なし。それがまさに安倍晋三政権の目指すところ。つまり米国様からの日本経済破壊プログラムの推進ってわけだよ。


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