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写真はイメージ／（Ｃ）日刊ゲンダイ
相場より安いが家賃保証 自治体仲介でマイホームを貸す
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/153299
2014年9月12日 日刊ゲンダイ
中堅メーカーに勤める佐藤淳也さん（仮名＝５３歳）は相続を機に、東京・武蔵野市にマイホームを建てた。四季折々の花に囲まれた家がお気に入りだった。
ところが、２度目の中国への転勤が決まり、定年まで帰国の予定がなくなった。
子供は既に独立、妻は今回は淳也さんについて中国に行くことを決意、マイホームをそのまま空き家にして残すか、賃貸にするか、早急に決める必要がある。
実は佐藤さんの会社には、転勤する社員の家を会社が借り上げ、別の社員に貸し出すという制度がある。ところが、この制度は意外にも社員の評判が悪かった。家を貸した社員が大事にしていた床の間や欄間、鴨居を借り手の社員の家族が傷つけたり、植木を枯らすことがあったからだ。
しかし、家を傷つけた相手は同じ会社の社員。今後の人間関係を考えれば文句は言いづらい。自然と怒りが陰湿になってしまうという。
佐藤さんは会社の借り上げ制度に頼らず、自力で家の問題を解決しようと、近所の不動産屋を回り始めた。
佐藤さんの家の建物は約１００平方メートル（３ＬＤＫ）、駐車場には２台収まる。周辺住宅の賃貸相場は月額２５万円。仮に月額２５万円で貸し出すと家賃収入は年間３００万円となる。ここから不動産賃貸契約の手数料２５万円（１カ月分）と固定資産税年約１１・５万円、都市計画税年約３万円を差し引きすると、約２６０万円となる。６０歳定年までに１８００万円余りの副収入だ。
■リニューアル費用に１５０万〜２００万円
これなら貸した方が得だと笑顔を見せる佐藤さんに、近所で賃貸アパートを経営する新井五郎さん（仮名＝６５歳）が口をはさんだ。
「家を貸す際は基本的に壁紙、畳、障子、ふすまを新しくして、部屋はキッチン、風呂場もリニューアルする必要がある。安く見積もっても約１００万円は必要。フローリングだと最低でも１５０万〜２００万円はかかりますよ」
しかも、家賃の支払いが遅れたり、夜逃げする人が出たり、暴力沙汰が起こると後始末と精神的なコストもバカになりませんと言う。
「水漏れとか、ゴミ屋敷化とか、想定外のことが起こったら保険を掛けていても帳尻が合わない。他人に家を貸すことは、問題が必ずあると思ってください」
海外に転勤してまで、家のことで悩みを持ちたくない。だからといって、空き家のまま家を劣化させたくはない。
佐藤さんが検討をはじめたのは、地元の武蔵野市が始めた「マイホーム借り上げ制度」の利用だ。
５０歳以上の人が武蔵野市の開発公社を通して家屋を賃貸に出すと、開発公社が窓口になって借り手を斡旋してくれる仕組み。契約期間は３年で、家賃は相場より１５％安く、敷金、権利金は不要だから借り手にはありがたい制度だ。貸し手には敷金、権利金は入らないが、借り手が中途で解約したとか、家賃が払えなくなっても３年間は家賃が保証される。
ただ、制度利用の実績はこれまで３件だという。制度を利用したい人は多いのだが、家族の反対で取りやめるケースが少なくないという。
それでも佐藤さんはトラブルを考えたら、市役所に任せるのもひとつの方法だと思い始めている。
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