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短時間正社員 職場で孤立するケースが少なくないのも現実(NEWS ポストセブン)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/528.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 21 日 19:22:05: igsppGRN/E9PQ
 

短時間正社員 職場で孤立するケースが少なくないのも現実
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140921-00000018-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 9月21日(日)16時6分配信


 1日4時間、あるいは6時間といった短い時間だけ働く「短時間正社員」制度を取り入れる企業が増えている。

 洋菓子製造・販売のモロゾフや、「アースミュージック&エコロジー」を展開するアパレルメーカーのクロスカンパニー、大手ではアサヒビールなどが短時間正社員制度の先駆けとして知られている。

 最近では、政府が成長戦略で掲げている限定正社員のモデルケースであることや、育児・介護などに追われる女性の働き方の見直し議論が高まっていることもあり、今後の導入に前向きな企業も多いと聞く。

 だが、短時間正社員という新たな雇用体系が広く普及しているとはとても言い難い。

 主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB総合研究所』が7月に実施したアンケート調査によると、働く意欲のある主婦層417人のうち、「短時間正社員という働き方を知らなかった」と答えた人は54.2%と過半を占めた。しかも、実際に短時間正社員で働いた経験のある人はわずか6.5%しかいなかった。

 9時―5時で働くフルタイムの正社員ではなく、かといって時給ベースの賃金が支払われるパートやアルバイトなどの非正規雇用者とも違う。短時間正社員の位置づけは確かに分かりにくい。

 そこで、社会保険労務士の稲毛由佳氏に短時間正社員の定義を聞いてみた。

「簡単にいえば、正社員よりも働く時間が少ないので、月給も正社員より少なくなるけれど、時給換算すれば正社員と同じ時給になる働き方です。<1年契約>などとパートのように契約期間を区切ることなく、身分的には<期間の定めのない契約>で担当する業務も責任も正社員と同じです。だから、正社員と同じように昇給し、賞与も支給されます」

 しかし、実際に短時間正社員になるためには、さまざまなハードルが待ち構えている。もっとも大きな課題は、職場の人間関係がギクシャクしてしまうことだ。稲毛氏が続ける。

「日本企業は仕事の“密度”で社員を評価せずに、残業時間も含めて“かけた時間”で評価しがち。そんな中、短時間正社員が早く帰った後に仕事を肩代わりした人が不満を漏らしたり、就業時間後に取引先とのトラブルが発生したりすると、『あの人はラクして稼いで……』と人間関係が悪化してしまうのです」

 前出の調査でも、「短時間正社員がもっと普及するために必要なことは何だと思いますか?」との質問に、「職場や上司の理解があること」と答えた人が80.3%ともっとも多く、「短時間正社員に見合った人事評価制度があること」と答えた人も56.6%にのぼった(複数回答)。

 いくら制度があっても、職場全体の理解がなければ定着しない――。漠然と皆がそう認識しているのである。

 だが、制度を利用する当の短時間正社員にも相当の覚悟が問われることを忘れてはならない。

「短時間正社員は席を空ける時間が多いので、居ない時間帯の仕事の引き継ぎをはじめ社員間の情報共有は欠かせません。極端にいえば、同僚が自分の机を見ても何の仕事をやっていたか一目瞭然で分かる状態にしておくなど、業務の効率化やビジネス上の気配りは一般の正社員の3倍は必要です。

 そうした努力をせずに、短時間正社員であることを盾にとって“私には仕事よりも大事なことがあるから”と甘えの言葉を口にして、職場で孤立してしまう人が少なくありません」(稲毛氏)

 では、多様な雇用形態が混在する今、短時間正社員が根付くための条件は何か。稲毛氏は「決められた時間内に仕事を完遂させるという責任感を持つこと」だという。

 もちろん、残業ありきでダラダラと働くフルタイムの正社員にも同じ意識改革を促さなければ、人手不足に悩む企業の生産性はかえって非効率になるばかりだ。


 

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コメント
 
01. 2014年9月21日 20:46:55 : zAfhSqa3aE
人を安く使うための制度。ただし正社員ということで責任を負わせることになる。

02. 2014年9月22日 05:08:22 : jXbiWWJBCA

「隠れ介護1300万人の激震〜エース社員が突然いなくなる」
実は私、親の介護をしてました

トップが明かす知られざる体験談と人財経営の極意

2014年9月22日(月)  清水 崇史

日経ビジネスは9月22日号の特集「隠れ介護1300万人の激震 エース社員が突然いなくなる」で、企業が競争力を維持するためには社員の介護リスクに早急に対応しなければならないと提言した。自ら介護経験を持つ三菱重工業の大宮英明会長と大和証券グループ本社の鈴木茂晴会長が、大介護時代に向けた「人財」経営の極意を説く。

三菱重工業の大宮英明会長(写真:大槻純一)
 社員の介護問題の重要性に気づき、積極的なアクションを起こしているのは、まだ一握りの企業だ。介護が少子高齢化時代に日本企業が抱える問題の「縮図」だとすれば、そこに救いの手を差しのべることは企業が「人財」を大切にすることにほかならない。自ら介護を経験した経営者は、優しくも強い企業風土を育もうとしている。

 三菱重工業の大宮英明会長も、その一人だ。母親が脳梗塞で倒れたのは2009年。リーマンショック直後に経営改革の陣頭指揮を執っていた中での出来事だった。幸いに症状が軽く、今ではケア付き高齢者マンションで元気に過ごしているという。

 大和証券グループ本社の鈴木茂晴会長も、歩行困難な母親を高齢者向けマンションに預けている。休日に母親の大好きなお菓子を両手いっぱいに持って会いに行くのが何よりの楽しみだという。

 もし社員が同じ境遇になったら――。個々の体験は違っても、2人の脳裏にはそんな思いが浮かんだに違いない。


大和証券グループ本社の鈴木茂晴会長(写真:大槻純一)
 「一つの目的に向かって突き進む組織を会社というのであれば、困った人が出たらお互いに助け合い、声を掛ける風土にするべきでしょう」。大宮氏は社員が気持ちよく働ける環境こそ、企業を支える屋台骨になると考える。

 鈴木氏も「介護は複雑で一人ひとり事情が違う。個別に丁寧に対応することが肝心」と話す。そのためにはトップダウンの意思決定が必要不可欠というのが信条だ。「上から強力なメッセージを発していかないと、組織なんてなかなか変わりませんから」。

 三菱重工は法律では無給と定められている介護休業中でも一定額の賞与が支給される独自の制度を持つ。社員の不安を取り除き、復職を促す企業側のひとつの意思と言える。大和証券では人事部に介護専門チームをつくった。介護知識に長けた担当者が、社員一人ひとりの置かれた状況に応じてきめ細かな対応を考える。

「介護の先」に見る多様な働き方

 2人は既に介護の先を見据えている。介護で休業・休職する社員が増えれば、「人財」の観点からも企業の競争力が落ちるのは明らか。加速する日本の少子高齢化と人口減少。優秀な社員に長く働き続けてもらうことが、企業にとって勝負の分かれ目になるからだ。女性や高齢者、外国人を含めた社員全員が企業を支え合っていける仕組みづくりは経営の重要課題に浮上している。


 鈴木氏は女性の積極登用を例にこう語る。「上司が率先して午後7時に帰宅する。出産する女性部下に『元気に産んで早く戻ってこいよ』と心から励ましてやる。こういうことを地道に続けることが組織の変革になる。介護も同じだ」と打ち明ける。

 大宮氏は戦闘機などの設計に30年余り携わった生粋のエンジニアだ。現在でも三菱重工では女性管理職(課長級以上)は全体の1%強しかいない。

 「工学部出身の女性が絶対的な母数として少ないということもあるでしょう。それでもウチでは潜水艦の設計にも戦車の営業にも女性がいる。フォークリフトの設計部門も女性次長がいる。(女性登用の)数字ありきではダメなんです」

 多様な人財を活用するのは、大宮氏自身がロッキードF-104型戦闘機の無人飛行改修を担当していた1985年ごろ、担当の女性技師をテスト飛行の行われる硫黄島に派遣した経験にも裏打ちされている。それは異なる背景や価値観を持った人財を同じ企業組織の中で共存させていくことにほかならない。

 大和証券では20人近い女性支店長が活躍する。「北陸地方で(転勤の限られる)エリア総合職だった女性社員が(全国に異動する)総合職になって、その後名古屋近郊で支店長を務めている。会社の柔軟な人事制度と家族の理解があれば、人財は生きてくる」。

 周囲の環境に柔軟に対応し、発展していく組織。それは言い換えればダイバーシティー・マネジメント(人材の多様性のマネジメント)の原点でもある。企業を取り巻く収益環境の劇的な変化が、多様な働き方や社員の登用を迫る。

 「三菱重工はインフラの会社。さらなる成長を目指すためには今やグローバル展開しかない。だからこそ海外人材を活用するノウハウが必要だ」と大宮氏は力を込める。

 「若かった頃、『証券会社は倒産したら人と電話しか残らない』とよく言われた。それくらい会社にとって、人というものは大事だ」。ややもすればお題目や理想論として片づけられかねないダイバーシティーについて、鈴木氏は企業競争力の観点からも優先課題だと分析する。

海外にらむ郵船、コマツは地域に配慮

 大宮、鈴木両氏だけではない。今回の特集では多くの企業がダイバーシティー・マネジメントを経営の重要課題として認識していることが分かった。


 日本郵船は単体で1600人いる社員のうち600人が海外勤務と船員で、日本の土を踏んでいない。高度な輸送技術が求められるLNG(液化天然ガス)船事業などに力を入れており、ただでさえ社員一人当たりの仕事量は増えている。

 それだけに介護で休業・休職する社員が増えるようなことがあれば、企業の根幹を揺るがしかねない。根元聡・人事グループ長は「介護を個別の問題として捉えるのではなく、女性や海外現地スタッフも含めた幅広い社員を登用するきっかけにしたい」と危機感を募らせる。これは売り上げの大半を稼ぐ海運ならではだが、遅かれ早かれ日本企業共通のテーマになるだろう。

 同じような悩みは持ち株会社でも見受けられる。富士フイルムホールディングスは傘下に富士フイルムと富士ゼロックスを抱える。富士フイルムはデジタルカメラや化粧品など消費者向けの製品が主力。これまで写真フィルムに代表される素材の研究開発や生産ノウハウは得意だったが、マーケティングは複合事務機械などを手掛ける富士ゼロックスに一日の長があった。両社の人材交流を活発にすることで、少子高齢化やグローバル競争に勝ち抜く体制を整える。

 働きやすさに磨きをかける企業も多い。コマツは介護休業と短時間勤務を組み合わせて最長3年まで取得できる独自の制度を取り入れた。油圧ショベルなどを組み立てる主力の粟津工場(石川県小松市)など、地盤の北陸地方は全国でも3世代同居や共働きが多い。自宅で介護に携わる社員が増えやすい地域特性だ。森正尚・常務執行役員は「個別のケースに応じて社員が柔軟に働き続けることが、企業としても生産性を最大化できる」と話す。

 介護に象徴される少子高齢化に人事・給与制度面で先手を打ったのが三井物産だ。単体で6000人いる社員うち、介護休暇を取得するのは90人程度と過去5年で1.5倍に膨らんだ。さらに今後、バブル期に大量入社した社員が相次いで経営管理職に差し掛かり、介護にとどまらず、その処遇は大きな焦点になる。

 今年7月から人事・給与制度を一新し、ポストに応じて給料を決める仕組みからより仕事内容を重視するように改めた。営業の最前線を担う「室」は450。アフリカ・モザンビークでの天然ガス開発やブラジルでの農園経営など、事業領域の拡大で組織は増える公算が大きい。北森信明執行役員・人事総務部長は「営業部門ごとに予算と社員一人ひとりの仕事の成果を対応させて評価することで企業の競争力を底上げする。介護で職場を一時的に離れる社員が出ても、企業全体で支えていける」という。

 こうした経営の根幹から企業の意識や取り組みが変わらなければ、隠れ介護を余儀なくされている1300万人はこれからも増え続ける。日本企業が社員の多様性を認めて本来の強さを取り戻すためにも、介護に真正面から向き合う時期に来ている。

このコラムについて
隠れ介護1300万人の激震〜エース社員が突然いなくなる

年間10万人もの人が介護を理由に職場を去る。この数字は近い将来、跳ね上がる可能性がある。介護をしながら働き、企業が把握していない人は1300万人。あなたの会社のエース社員がある日、突然いなくなる――。経営の土台を揺るがしかねないリスクに向き合う時が来た。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140919/271482/?ST=print


「ITエンジニアの生存戦略」
崩れ始めている「転職の35歳限界説」

ITエンジニアのキャリアデザインを考える

2014年9月22日(月)  片山 良平

 今回はこれまでとは少し視点を変えて、ITエンジニア自身が今後、自らのキャリアをより良いものにしていくために、どういったことを考えるべきなのかについて考察してみたい。

 キャリアについて考えてみる前に、足元の人材採用の状況から見ていこう。現在の労働環境についてみてみると、厚生労働省が8月29日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.10倍となっている。前月からの横ばいだが、バブル経済が崩壊した直後の1992年6月(1.10倍)に並ぶ22年ぶりの高水準が続いている。各業界とも人材不足感が鮮明になりつつある(日経新聞 2014年8月29日の記事)。

 また、昨今の景気の状況から、少し前までのリストラなどによる「今すぐ転職しなくてはいけない」という消極的理由の転職は減り、「より良い環境やさらなる成長」を求めた積極的理由による転職がここのところ増えている。

「SIerからウェブ」へのシフト、求められることの変化

 転職を考えるときにこれまでよく言われていたのは「転職の35歳限界説」、ITエンジニアだと「プログラマ35歳定年説」などだ。ところが、ここ最近は、これらの説も折からの人材不足により崩れ始めている。

 インテリジェンスの調査では、2007年4〜9月には「35〜40歳」の転職者の割合が8.0%だったが、2013年10〜12月には14.3%と大幅に増加しているのである。

 2007年10月の雇用対策法改正により、求人広告に「年齢制限」の記載ができなくなったことも1つの要因ではあるが、景気回復による人材不足により、企業としても採用条件(年齢含む)を緩めているため、35歳限界説が崩れ始めていると考えられる。

 もう一つ、特にITエンジニアにおける「プログラマ35歳定年説」が崩れ始めている要因としては、SI一辺倒のIT産業構造からの変化である。

 経済産業省発表の「情報サービス産業の現状」によると、ウェブビジネス市場は2011年の11兆円から20年の47兆円まで、約4.5倍に拡大すると予測されており、SIerによる業務システム中心のIT産業がウェブビジネス中心に切り替わっていくことが予測される。


出典は、経済産業省の「情報サービス産業の現状」(2012年3月、商務情報政策局情報処理振興課)
 ウェブビジネスの拡大により、従来のシステムインテグレータ(SIer)によくみられる設計製造分離の単能工、ライン生産方式から、ウェブ業界の多能工、セル生産方式へITエンジニアに求められる職能も変化が起きている。この変化により多能工型のスペシャリスト人材へのニーズが増えており、「プログラマ35歳限界説」も徐々にではあるが崩れ始めている。

年齢、キャリアを意識しない人が技術者には多い

 筆者は仕事柄、多くのITエンジニアの方と話す機会があるのだが、ITエンジニアは技術面への探求心は非常に強いものを持っているが、それを自分のキャリアでどう実現していくのかというキャリアデザインの探求については成り行き任せの(というか面倒と思ってしまう)人が多いように感じる。

 現在のIT業界は、「ドッグイヤー」と言われるように非常に速い速度で変化しており、キャリア環境についても日々トレンドが変化しているため、なかなか未来を見通せない状況である。業界を俯瞰しつつ、自分のやりたいこと、開発スタイルを常に見極めていかないと、大きな潮流に飲み込まれてしまい、不遇のキャリアとなってしまうこともある。そのため、IT業界の最先端に居るITエンジニアは、他業界に比べ「より積極的、能動的に自分のキャリアデザインについて向き合っていく必要性がある」と感じている。

高度経済成長下のキャリアパターン

 戦後、1954年から始まったといわれる日本の高度経済成長期に生まれた終身雇用は、1990年代初頭のバブル崩壊とともに徐々に崩壊をはじめている。2014年現在で終身雇用で定年を迎えられる人は、既に一部のマイノリティになったと言っても過言ではないだろう。

 ところが、キャリアデザインに関しては、バブル崩壊から20年以上が経過しているが、未だに終身雇用前提の思考パターンが根強く残っていると感じられる。その1つが「企業は個人のキャリアパスを考えるべきである」というもの、次に「企業が個人を教育すべきである」という思い込みである。

 もちろん、企業として競争力を高めるために、企業が社員のキャリアパスを考え、教育するというのは人材戦略として取り組むべきことではあるのだが、従来のように一方的に企業に都合の良い人材へ育て上げる教育およびキャリア形成というのは、現在の企業の置かれている環境を考えても、個人の志向の変化を考えても現実的ではない。

なぜ企業が個人の教育をしなくなったのか?

 これは、バブル経済崩壊による経済停滞を要因とした終身雇用の終焉により「企業と個人の関係性が変化したため」と言えるだろう。今や企業は「個人の一生の面倒を見る」という保証など到底できず、大企業でもある日突然、リストラが始まる光景も日常茶飯事となっている。

 終身雇用時代には、新卒で入社した会社に一生骨をうずめることが前提であった。企業は個人の一生の面倒をみるという「生涯における安定」を提供する代わりに、個人は企業の命令に絶対服従するという関係性が成り立っていた。

 それは「就職」ではなく「就社」であり、家族的、村的な関係性であったとも言える。このような関係性では個人でどのようにキャリアを考えたところで、ある日突然「エンジニアから営業になれ」と配置転換されれば従わざるを得ない。つまりエンジニアという職業に「就職」したのではなく、その会社に「就社」したと言え、企業が個人のキャリアの主導権を握っていたのである。

 しかし、今や、企業の寿命は5年と言われることも珍しくない、厳しい経済環境、競争環境の中で、企業は従来のような終身雇用を維持することは難しい状況である。このような、ある日突然リストラされることも考えなければいけない環境下において「就社」は幻想にすぎない。

 社外でも通じるスキルを身に着けるという意味で、個人は「就社から就職」へと意識を変化させていかなければならなくなったのである。「どのように人生をサバイブしていくか?」、「どのような職業人生を歩んでいきたいのか?」――。この20年ほどで、個人はキャリアについて、以前よりずっと真剣に考えなければいけない時代になったのである。

 キャリアの責任を個人が持つということに対して「国や企業は何をやっているんだ」というボヤキを聞くことも多いが、見方を変えると、個人のキャリアの主導権を、企業から個人にとり戻したわけであり、「自分のことは自分で考える」というむしろ健全な状態に戻ったと言える。

 個人にとって企業が一生いる場所から、止まり木のような存在へと変化したのと同様に、企業も「個人の面倒を一生見る必要もなくなった」ことで、キャリアデザインや教育への力の入れ方も弱くなってきているのである。教育が必要な新卒よりも、即戦力の中途重視、という構図と同じだ。

経済的豊かさの追求から精神的豊かさの追求へ

 高度経済成長期は、戦後の貧しい時代から立ち直り、明るい未来に向かって、全員で坂の上を目指し駆け上っていく時代であった。皆目指す方向が「経済的な豊かさ」で一致しており、企業が自らの利益を追求するための行為は、その延長にそのまま従業員個人の経済的な豊かさもあった。

 しかし、現代において個人は、経済的に豊かになることだけを目指して働くのではなく、精神的な豊かさも求めて働く時代にシフトしてきている。ITエンジニアで言うと「自分のやりたい開発を仕事にする」というのは、まさに精神的な豊かさの追求である。

 人生のそれぞれのステージにおいて希望する働き方や目指すものが変わるのはごく自然なことであるが、「精神的な豊かさ」に比重を置いて仕事を考えると、1社で勤め上げることの方がむしろ不自然ではないだろうか。その時々に合わせ、自分が深めたいと思う仕事ができる場や企業を選択することの方が、「精神的な豊かさ」という視点からは価値のある行為と言えるだろう。

 この「精神的な豊かさ」というのは個人個人で異なるため、誰か他人がそれを実現するキャリアパスを考えてくれる、ということはあり得ず、自分で考えるしかなくなる。自分がどうしたいのか、自分がどう生きたいのか?というのが判断基準になるため、自分以外の誰かが決めることはできないのだ。

 こういった「終身雇用の終焉」と「精神的な豊かさの追求」という大きな流れにより、キャリアデザインは企業が考える時代から個人が考えなければいけない時代にシフトしたのである。

どのようにキャリアを考えるべきか

 では、どのようにITエンジニアはキャリアについて考えたらよいのだろうか? まずキャリアを考える際の枠組みとして「現在の自分、なりたい自分、社会的価値」という3点について考えて整理してみるとよい。


1.現在の自分

 まずは、現在の自分の立ち位置を知ることである。現在の自分のスキルや経験、得意領域や苦手領域など、現在の自分自身を客観的にとらえて、これまでの仕事を棚卸ししてみるとよいだろう。

 当たり前にできるようになってしまったことについて、人間はえてして「昔からできていたこと」「誰でもできること」と思いがちである。ただ実際にはそれなりの積み重ねの上に成り立っており、そういったスキルの価値を自分自身で客観的に認識することが必要だ。

 また、それぞれの仕事でどういうことを学んだか、どういう思いでそれぞれの仕事に対して感じていたかを振り返ってみることで、自分は何に喜びを感じ、何をしたいのかの手がかりにすることもできるだろう。

2.なりたい自分

 「なりたい自分」を知るには、将来自分がどういうエンジニアになりたいか? またそうあるために、どのようなスキル、経験が必要なのか? を考えることが求められる。「現在の自分」と「なりたい自分」が分かれば、そのギャップをどう埋めればいいかを考えればよいので、自然とやるべきことをリストアップすることできるようになる。

 ただ、ここで1つ問題なのは、「なりたい自分」と言葉で書くのは簡単なのだが、実際に自分がどんな仕事をやりたいかということを考える部分は、特にエンジニアは苦手な領域のように思う。

 ITエンジニアが開発を行う場合、すでに問題提起されている問題に対して、解決するソリューションをどのように作るかがエンジニアの仕事という場合が多いが、自分の人生となると、問題提起自体をしなければならないため思考停止に陥りやすい。

 これを解決するには、常に自分自身の心との深い対話をし続け、自分が何を求めているかを深めるしかない。大人になればなるほど環境やしがらみ、固定観念により、自分自身の声は大体の場合かき消されてしまいがちだ。こればかりは「本当の自分はどう考える?」と常に自分に問い続けるしかないだろう。

3.社会的価値

 キャリアは自分1人では完結しないため、「社会的価値」についても考えなければならない。これは、「現在の自分」や「なりたい自分」がどのような社会的価値、市場価値があるのかということである。

 社会に求められていることでなければ仕事にはならないし、もしより高い報酬を求めるのであれば、需要が有り、希少性の高い仕事でなければならない。やりたいことをやり続けるためには、この社会的価値を見据え、自分と社会との接点をどう持つかを考える必要がある。

3つの円が重なる仕事を見つける

 「現在の自分」「なりたい自分」「社会的価値」という3つの円が重なる部分を仕事にすることができれば、現在の自分の持っているスキルを活かしつつ、なりたい自分に近づくことができ、かつ収入も確保できる、ということになる。


 この3つの円を意識して、キャリアの戦略を立てる事がキャリアデザインにはとても重要だ。人によっては高い収入よりも家族との時間を選ぶ場合もあるだろうし、収入より仕事内容を選ぶ場合があっても良いのである。

 収入とやりたいこと、できることのバランスをとって、自分にとって心地よいポイントを見つけること。またその為に今何をすべきかをブレイクダウンしていくことで、自分の進むべき道を照らしていくことができるだろう。

 もう1つ重要なこととして、日本では、年齢も社会的価値を左右する大きな要因になり得ることを理解しておいたほうがよい。日本では年齢による上下関係が職場にまだ残っているので、年齢なりのスキルレベルを求められる場面が多い。ITエンジニアにありがちだが、スキルさえあれば年齢は何とかなると考えていると足元をすくわれることがある。

 これらの年齢に関する問題は自分の意志とは関係なく、日本社会の持つ特性として意識し、キャリア設計をする必要がある。ただ、冒頭にも書いたが、ここ最近は景気回復による人手不足もあり、35歳限界説も徐々に崩れ始めている。

 冒頭で触れたように、今後、ウェブビジネスの市場規模は2020年までに約3倍程度に拡大(経済産業省:「情報サービス産業の現状」)することが予想されており、ウェブエンジニアの価値が高まることは間違いないだろう。

 従来のNTTデータや富士通といったSIerにおけるキャリアパスは、プログラミングはそこそこに、システムエンジニア、プロジェクトマネジャーといったマネジメントサイドにいかに早く昇進するかがキャリアの王道であった。

 しかし、今後必要とされるウェブエンジニアは、少数精鋭でウェブサービスを開発するスタイルのため、マネジメント要素が少なく、技術面の深堀りが必要なポジションである。そのためSIer中心の時代に叫ばれた「プログラマ35歳定年説」は、ウェブビジネスの盛り上がりとともに崩れる可能性が高く、35歳を過ぎてもスペシャリストとしての道が今後増えると考えられる。

企業として個人のキャリア、教育にどうかかわるべきか

 従属関係は終わり、パートナーになる――。

 昔のように企業と個人が従属関係にあった時代には、個人に対して企業の論理のみで一方的な要求をしていればよかった。しかし企業と個人の関係が、ビジネスパートナーとしての関係性に変わってきた現在、そのような一方的な要求は、従業員の離反を招くことになる。

 このような状況下で企業としてすべきなのは、その仕事にかかわる人たちが高い意義を感じるようなビジョンにあふれた仕事を作りだし、個人と協同でキャリアデザインをおこない、仕事と個人のやりたいことの摺合せを行っていくことである。ただの金儲けだけでは人が付いてきにくい時代になったと言えるだろう。

 キャリアデザインの責任が企業から個人に移ったとはいえ、急にその責任を背負ってしまった個人の半分以上は戸惑っているように感じられる。そのためビジョンがはっきりしていて、社会的意義の高い「精神的な豊かさ」につながる仕事の創造は、企業としての魅力にもつながり、結果的には優秀な人材が集まり、企業の成長へとつながる。個人にとって、「精神的な豊かさ」を追求しやすい器としての有り方が、今後の企業には求められるようになるだろう。

このコラムについて
ITエンジニアの生存戦略

 インターネットが世に出て久しいが、日本には、ビジネスモデルのレイヤーからIT、ウェブをベースに組み立てられている企業はまだ少ない。日本のソフトウエア領域での国際競争力の低さは、企業のマネジメント層がIT、ウェブを理解しておらず、技術力の高いITエンジニアを正しく評価できない事に大きな原因がある。

 本コラムでは日本のITエンジニアを取り巻く状況や潮流を紐解き、今後世界を変えるエンジニアを日本から輩出するために、企業としてどうしていくべきなのか、またITエンジニアは何を考えればいいのかについて考察していく。
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