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告発スクープ!生コン「価格吊り上げ」疑惑 中部の高速道路に加え、リニアでも発覚した(週刊東洋経済)
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/646.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 29 日 08:28:25: igsppGRN/E9PQ
 

東海北陸自動車道(写真)や第二東名高速道路の工事で、生コンの「価格吊り上げ」疑惑が浮上した。疑惑の先は、あのリニア新幹線にも向けられている(撮影:奴賀義治/アフロ)


告発スクープ!生コン「価格吊り上げ」疑惑 中部の高速道路に加え、リニアでも発覚した
http://toyokeizai.net/articles/-/49122
2014年09月29日 木村 秀哉:東洋経済 編集局記者


2012年9月14日。とある建設会社の会議室の席上、東愛知(ひがしあいち)生コンクリート協同組合の登録販売店同士が語った、こんな会話が録音されていた。


「直接、登録販売店との取引を望んだけど、価格維持のため中部シー・アイ・アイから仕入れてくれとなった」「実際問題、ある程度“談合”みたいなものですよ」。


談合──。聞き捨てならない単語である。が、この話は、ここでとどまらない。岐阜県の飛騨、郡上にある、生コンクリート協同組合(以下、生コン組合)の1社独占販売の問題につながるからだ。


確かに、山間部の飛騨、郡上エリア(東海北陸自動車道)では、平地価格(東海環状自動車道の中濃エリアなど)に比較して「倍近い」という、異常な生コン価格高騰が起こっていた。


■カルテル自体は適法だが


そもそも生コンとは、製造プラント(工場)から、ビルなどの工事現場へミキサー車で運ぶのだが、その時間は約1時間が限度。生コンが固まってしまうためだ。まさに“生き物”である。これを生きているうちに運ぶためには、時間内に工事現場まで運ぶことのできるエリア内の業者が、製造・供給を任される。


都市部など平地の場合、大手生コン会社や中小零細の集まった生コン組合、さらに工場とゼネコンを仲介する販売会社も多数あるので、競争原理が働く。中小零細生コン会社が集まる協同組合には、大手に対抗できるよう、独占禁止法(22条)でカルテル(適用除外)が認められている。


一方、山間部となると、生コンを時間内に運べるエリアが狭くなる。そこでは大きな工事がいつもあるわけではない。大手生コン会社は維持コストのかかる工場を持たず、地元の中小零細工場の集まった生コン組合が独占(カルテル価格を決定)し、生コンを供給するのが実態だ。地方の山間部では、通常、道路や橋の補修ぐらいの需要しかない。大きな公共事業や高速道路のプロジェクトは、地元生コン組合にとって、稼げる絶好の機会となる。


生コン組合のカルテルが認められるのは、地方の山間部でもつねに生コンを安定供給できるように、事業継続のための適正な利益を確保するという点で、必要なこと。しかし、この適法カルテルを利用した“不透明な取引”が、岐阜県山間部の飛騨、郡上の生コンで動き出した。



山間部の高速道路の生コン価格は、平地よりも倍近く高い


冒頭の東愛知生コン組合のケースは、第二東名高速道路建設工事(新城・設楽管内)にかかる生コン販売だ。本来、工事(ゼネコン)ごとに決められるはずの販売店が、一つの工事を販売店数社で互いに回しながら仲介し、口銭(販売手数料)を得ようという、いわば流通段階での“談合”である。


実はこの東愛知のケースでも、飛騨、郡上のケースでも、中心となるのが、名古屋市に本社を置き、社員たった15名の、中部シー・アイ・アイという会社なのだ(代表取締役は市川義輝氏、株主は1名)。中部シー・アイ・アイは、飛騨、郡上における東海北陸自動車道の4車線化拡幅工事に絡んで、東愛知の第二東名工事のケースよりも独占に近い取引を行っている。


この東海北陸自動車道の拡幅工事は、民主党政権下で凍結されたもので、自民党政権になってから再開された。生コンを供給する地元の飛騨、郡上生コン組合は、通常なら数社の販売店を入れるはずなのに、なぜか最初から販売窓口を中部シー・アイ・アイ1社に独占させるという、全国的に類を見ない取引形態となっている。そして飛騨、郡上のケースともに、外からは不透明な価格形成が行われ、生コン価格は吊り上げられていった。


■公取への告発、再調査


こうした状況に業を煮やしたある業界関係者が、昨年7月に公正取引委員会へ告発。今年5月、いったんは公取から「独禁法上、問題とすることは困難」との通知があったが、飛騨、郡上の案件については、異例ともいえる「なお」書きがあり、「関連する情報がさらにありましたら、お寄せください」との文言がつけられた。これは“グレー”という意味に取っていい。


その後、今年6月に告発者は「再調査願」を公取に提出。目下、公取が再調査中だ。


告発資料によれば、郡上では従来、登録販売店8社が生コン組合とゼネコンの間に入り、それぞれ独立した形で、工事案件ごとに仲介販売を行ってきた。だが、郡上生コン組合は商慣行を破り、参加しようとした6社の販売店を排除し、中部シー・アイ・アイ1社の独占販売とした。


こうした動きが目立ち出した2009年当時、物価調査会の建設物価・生コン価格(標準規格)は、1立方メートル当たり1万5800円(以下、価格は1立方メートル当たり)であり、これが上限の一つの目安となる。通常取引でゼネコンに納入される価格は1万1300円で、生コン組合から出荷される価格は1万0500円。つまりは差額の800円が、販売店とゼネコン契約窓口商社の受け取る口銭だ。



最初から中部シー・アイ・アイの独占で決まっていた?


が、中部シー・アイ・アイの1社独占となってからは、半ば強引に価格の引き上げが行われる。2013年7月にはゼネコンの購入価格が1万6300円に、10月には1万7000円まで引き上げられた。


ちなみに隣エリアの岐阜中央生コン組合は9000円前後である。山間部は平地の倍近いのだ。


飛騨生コン組合ではこれまでの実績を踏まえて、数社の販売店(対象約10社)に販売を委託する方式が慣例となっていた。ただ郡上生コン組合の件があったので、岐阜生コン卸商協同組合が「卸組合に任せてもらえないか」と要請したところ、すでに中部シー・アイ・アイの1社独占販売が決まっていた。岐阜生コン卸商協同組合理事長の森前登・武藤嘉商事社長は「要請してもすでに1社で決まっていた。契約内容の開示を求めたが、いっさい回答はなかった」と振り返る。


その後の生コン価格高騰は郡上のケースとほぼ同じ。「少なくとも2000〜3000円の口銭を、中部シー・アイ・アイが受け取っていると思われる」(関係者)。もっとも、生コン組合からの出荷価格や口銭は、公開されていない。排除された販売店は納得がいかず、怒っているのが現状だ。ただ一部の販売店は、生コン工場に生コンの材料である骨材などを納入している関係があり、強く言えない事情もある。


■なぜ1社独占なのか?



中部シー・アイ・アイの入居している名古屋市内のビル


いったいなぜ、1社独占に決まったのか。中部シー・アイ・アイはこの点について、「生コン組合が求めていた条件をクリアし、当社を評価していただいた結果だ」(酒井秋浩専務)と強調する。


その条件はいくつかあるが、まず一つは「100%現金払い」である。過去、手形不渡りで痛手を被った経験を持つ組合側は、信用の低い会社と取引したがらず、手形でなく現金払いを要求する。そこで現金払いを確約した中部シー・アイ・アイに傾いた。また、NEXCO中日本など「高速道路での生コン販売実績」も、その一つだろう。3名の一級土木施工管理技士、4名のコンクリート技師を抱える技術力。生コンを運ぶミキサー車について5台は運転手付き、10台はリースで調達するという応援態勢も評価された、と中部シー・アイ・アイ側は説明する。


それでも口銭については、かたくなに「開示できない」と拒む。生コン組合と機密契約を結んでいると思われ、価格の情報開示はできないことになっているようだ。



ビルのテナントには中部シー・アイ・アイの名前が


2000円の口銭を取っていたとは言わないまでも、「1000円もない。口銭はそんなに高くない」(酒井専務)と漏らす。だが、今まで6社ほどで分かち合ってきた販売店制度の商慣習からすれば、容認できまい。1社独占販売の窓口となることに加え、工事案件も大きいだけに、合計した口銭はこれまでになく多額だ。「暴利をむさぼっている」(排除された販売店)と言われても仕方ないが、「やっかみでそう言われても、何もやましいことはしていない」というのが、中部シー・アイ・アイの言い分である。


ある関係者は「現金払い」のからくりをこう明かす。独占契約することで、契約書を銀行に持ち込み、その信用(銀行保証)で無担保社債を発行し、資金を調達しているという。事実、中部シー・アイ・アイは今年2月だけでも、3本の無担保社債を発行している(合計2億円調達)。


すべては1社独占販売から始まった疑惑。しかし、すでに東海北陸自動車道拡幅工事は後半に入り、「今さら騒いでも、決まったことは何も変わらない」(ある販売店)と、あきらめの声も聞こえてくる。とはいえ、無視できない、新たな事実が発覚した。「リニア中央新幹線の工事に絡み、中部シー・アイ・アイが岐阜、長野、山梨各県の生コン組合と、機密保持契約を結ぼうとしている」(公取に告発した関係者)というのだ。


■次なるターゲットはリニアか



中部シー・アイ・アイとある生コン組合がリニアで結んでいた機密契約(撮影:尾形文繁)


にわかには信じられないが、本誌は岐阜、長野、山梨各県の生コン組合など関連業者と中部シー・アイ・アイが交わした、「機密保持及び取引基本契約書」を独自に入手した。基本契約書や覚書など、相手によりタイトルは違うものの、機密保持契約の内容はこうだ。


「東海旅客鉄道(JR東海)が計画しているリニア中央新幹線建設工事に伴う情報交換を行う際の機密保持等の条件、生コンクリートに関して中部シー・アイ・アイが総代理店として取引を行う基本的事項について契約を締結する」(一部省略および補足)。


つまり東海北陸自動車道で、飛騨、郡上の生コン組合と実質的に行った生コン価格吊り上げを、巨大プロジェクトのリニアでも計画していたとみられる。「これだけの大プロジェクトを1社でやることはない」(酒井専務)と否定したものの、契約書の存在自体は中部シー・アイ・アイも認めた。



時系列で見ると、かなり以前からリニアで用意周到に動いていたのがわかる


時系列で一連の取引を並べると、リニア新幹線工事に絡む契約が、かなり前から用意周到に行われていた形跡がある。しかも生コン組合を訪問する際、JR東海との関係を信用させるためなのか、JR東海商事の社員を同道させ、1〜2回は訪問、契約にこぎ着けていた。それでも一部の生コン組合は拒否、または途中解約した。


当時、こうしたうわさを聞きつけたJR東海グループのJR東海建設や名工建設は、中部シー・アイ・アイが加入している安全協力会などの会員資格を「喪失処分」とした。また大成建設の協力会メンバーでもあるが、「違法行為をしたわけでなく、反社会的勢力と関係もない。会員資格を剥奪する理由はない」(大成建設)とするゼネコンもある。


だが、リニア新幹線工事の発注元であるJR東海は、怒り心頭だ。


こうした契約の存在について「まったく知らなかった。初耳である」とし、「当社グループの社員が5年ほど前に同道したのは表敬のためで、その後具体的な話はしていない。中部シー・アイ・アイが(機密保持)契約のために当社グループの名前を利用したとすれば心外」(JR東海)と、不快感をあらわにする。


■新幹線50周年の記念が…



JR東海は9月22日、メディア向けにリニアの体験乗車をさせたばかりだった


リニア新幹線工事の発注は工区ごとに行われるが、早ければ発注開始は今年度内ともされている。10月1日は東海道新幹線開業50周年の記念すべき日だが、こうしたビッグイベントを前に、機密保持契約の存在が明らかになったショックは大きい。今後は「資材価格については、工事発注者としてしっかり注視する」(JR東海)。決して元受けのゼネコン任せにはせず、発注元として積算根拠も含め、詳細なチェックが必要になる。場合によっては、JR東海主導で、現地生コンプラントの建設もありうる。


確かに独禁法22条は「一定の組合の行為」について法律の規定を適用しないとする。一方で、「ただし(省略)一定の分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りではない」、ともある。


公取の幹部や公取OBの弁護士は、中部シー・アイ・アイのケースを「違法行為とするには難しい」としている。ならば、何が不当なのか。不当な対価とは何か。今回の事例を契機に、この法律自体の存在意義も問われている。



9月29日からの臨時国会でも、「地方創生」や公共事業のあり方が問われる(撮影:梅谷秀司)


さらに問題は、安倍晋三政権の今後の行方にも、大きく絡む。


この組合カルテル価格に便乗した1社独占販売が”合法”だとしたら、この手法をまねする業者が出てくることは否定できない。全国的にこの手法が拡がって生コン価格の吊り上げが行われたら、高速道路に限らず、地方山間部を中心に執行される公共事業のコストにも、大きく影響することになる。


土木も建築も、最大の資材は生コンである。自民党は国土強靭化計画に続き、「地方創生」の名の下に、公共事業予算を拡大する方針だ。このような生コン価格吊り上げに対し、税金が無駄に使われることのないように、公共事業コストの積算にも厳しく監視をすべきであろう。


高速道路、リニア新幹線、そして公共事業。いずれも、回りまわって利用者負担や税金という形で、最後にカネを負担するのは国民であることを、忘れてはならない。


(「週刊東洋経済」2014年10月4日号<9月29日発売>掲載の「核心リポート01」を加筆修正し転載)



 

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コメント
 
01. 2014年9月29日 12:51:02 : mwFdAsX9cC
麻生セメントを告発か?

そうあってほしいな、麻生太郎;ハイル・ヒットラ-


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