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再生可能エネルギーの接続拒否 ビジョンなきエネルギー政策の帰結だ 共同通信社・井田徹治(THE PAGE)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/109.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 14 日 07:56:05: igsppGRN/E9PQ
 

[写真]再生可能エネルギーの接続拒否 ビジョンなきエネルギー政策の帰結だ(ロイター/アフロ)


再生可能エネルギーの接続拒否 ビジョンなきエネルギー政策の帰結だ 共同通信社・井田徹治
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141014-00000002-wordleaf-pol
THE PAGE 10月14日(火)7時0分配信


 再生可能エネルギーの電力の固定価格買い取り(FIT)制度によって太陽光発電事業などが急拡大し、九州電力など計五つの電力会社が受け入れを保留することを表明した。2012年の導入以来、再エネの拡大に貢献してきたFITは、わずか2年余りで見直しを迫られる状況に陥った。なぜ、こんなことになったのだろう? その背景には、再エネよりも原子力発電などを重視する電力会社の相変わらずの姿勢、進まない発電と送電の分離、定見のない国のエネルギー政策などがある。

 FITは、再生可能エネで発電した電力を有利な価格で長期間、電力会社が買い取ることを義務付ける制度だ。日本では導入以来、メガソーラーと言われる大規模太陽光発電を中心に発電量が急増した。ところが再エネの接続申込量が多い九州電力は「7月末現在の申込み量が全て接続された場合、春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れる」と、接続を認めるかどうかの回答を保留すると表明。他の電力会社も同様のロジックでこれに追随した。

 だが、この主張には多くの不透明な部分がある。接続申込量よりも実際に稼働する設備の容量は小さいし、太陽光や風力の稼働率は30%前後なので実際の発電量はさらに小さくなる。「昼間の消費電力」が何を指すのかも不明確だし、他の電力会社との融通や過剰な電力を吸収する揚水発電所活用の可能性なども明らかにされていない。

 数々の仮説の上、十分なデータを公表せずに早々に回答保留を持ち出す姿勢はフェアではない。再エネの電力よりも、自社が所有する原発などの発電所を優先したいという電力会社の考えがその背景にあると言える。川内原発の再稼働に目処が立った直後に、九電が回答保留を持ち出したのは偶然ではないだろう。

 明確なデータを公表せずに電力会社が「供給に不安が生じる」と主張できるのも、再エネの接続拒否を持ち出せるのも、電力会社が、送配電網をも独占して所有しているという、国際的には異常な状況が日本で長く続いている点に帰着する。運送会社が高速道路まで所有し、他社の利用を制限するようなものだ。

 発電と送電が分離され、送電網を所有、管理する送電会社があれば、需給の調整は今よりはるかに柔軟性を増し、再生可能エネの大量受け入れも可能になる。FITの下で再エネの電気を優先的に受け入れることを定めているドイツでは、送電会社がさまざまな技術を駆使して需給調整を行い、再エネの拡大に対応している。「大量の再エネのためには多額の投資をして送電網を整備しなければならない」というのが日本でよく聞かれる主張だが、ドイツの経験は既存の送電網の活用だけでも、再エネの比率をかなりの数字にまで引き上げられることを示している。問題は「再エネを主、その他は従」と国の政策の中で明確に位置付けるかどうかである。

 根源的な問題は、日本のエネルギー政策に確固たる定見やビジョンが存在しないということだ。

 日本でも福島原発事故後に「電力システム改革」が動きだし、広域の需給調整を行う機関の設立や将来的には発電会社と送電会社を別会社とすることなどが決まっているが、既存の電力会社への配慮もあって、改革の歩みは遅い。「原発依存度の低減、再生可能エネルギーの拡大」を言いながら、原発を重要なベースロード電源と位置付けて再稼働を後押しし、「自由化による競争環境の中では原子力が不利になる」として原発を抱える電力会社の経営に配慮した原発優遇措置の検討を始めている。FITの導入によって再エネを爆発的に普及されることを目指していたのに、大電力会社の言い分を元に、受け入れ量の制限などをあわてて検討する。定見のなさは明白だ。

 明確な政策がビジネス界に明確なシグナルを出さなければ、原発事故後に迫られた日本のエネルギー改革は実現できず、原発依存、再エネ軽視の状況がいつまでも続くことになる。それを多くの市民が望んでいるとは思えない。

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井田徹治(いだ てつじ) 共同通信社 編集委員兼論説委員。科学部記者、ワシントン特派員などを経て現職。環境とエネルギー、貧困・開発問題がライフワーク。著書に「ウナギ―地球環境を語る魚、「生物多様性とは何か」(ともに岩波新書)など多数。


 

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