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円安善悪論争は無意味?正しい「景況感」とは?二極化する日本経済、実態の把握困難に(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/120.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 15 日 06:53:25: igsppGRN/E9PQ
 

円安善悪論争は無意味?正しい「景況感」とは?二極化する日本経済、実態の把握困難に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141015-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 10月15日(水)0時10分配信


 ドル円相場が1ドル110円をつけるなど円安が加速している。それを受けて、経済界や市場関係者の間で円安をめぐる議論が熱を帯びてきた。これ以上の円安は日本経済にとってプラスなのか、という議論である。無論、ものごとには常にメリット・デメリット両面があるので、「(円安は)良い・悪い」の二元論で決着がつくような話ではない。「デメリットもあるが、日本経済全体で見れば現時点ではメリットのほうがまだ大きい」というのがコンセンサスのように思われる。

 メリット・デメリット両面がある、と述べたが、正確にいえば、恩恵に浴する側があり、不利益を被る側がある。だから、「日本経済全体で見れば」とか「(メリット・デメリットを)ネットアウト(相殺)すれば」というのは実体のない議論である。「日本経済全体」という主体も、相殺された主体もないからである。

「現在の円安水準では、まだメリットのほうが大きい」というのは、大企業製造業などグローバルプレーヤーの視点に立った意見だろう。円安にもかかわらず日本からの輸出が伸びないが、それは長く続いた円高に対応するため製造業の海外生産移管が進んだせいである。よって、以前に比べて円安の効果は限られるものの、韓国企業等ライバルとの価格競争力は確実に増すし、円換算の収益が増加し、為替差益が企業業績を押し上げる。海外でビジネスを行っている企業にとっては、円安はメリットのほうが大きいことは明らかである。

 一方、内需企業にとっては円安はメリットがないばかりか、デメリットが大きい。消費増税後の落ち込みからの持ち直しが鈍いところに、輸入コスト増で値上げを強いられる。さらに人手不足による人件費高騰も追い打ちをかける。

●鮮明になる二極化の構図

 好調な外需・製造業と低迷する内需・非製造業という二極化の構図が鮮明になっている。9月の日銀短観の結果も、それを裏付ける内容だった。大企業非製造業の業況判断DI(景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値)は前回調査から大きく落ち込んだ一方、大企業製造業のDIは、低下を見込んでいた市場予想に反して改善を示した。

 ところがDIが改善したのは「大企業」の製造業だけであり、中堅・中小企業は製造業であってもDIは悪化している。二極化は、外需・製造業vs.内需・非製造業という構図だけでなく、大企業vs.中小企業、都市部vs.地方、といろいろなアングルで捉えるべきであろう。同じ内需の家電販売業界でも都心店舗中心に会社員や訪日客向けに高額品を売って最高益をあげたビックカメラと、地方・郊外店が主体のヤマダ電機が苦戦する構図は、まさに都市部vs.地方の勢いの差を著している。

●把握が難しい景況感の実態

 東証一部の時価総額比率は、製造業が半分、非製造業が3割、残りが金融業である。製造業:非製造業:金融業の時価総額比率、5:3:2はそっくりそのまま利益額の比率でもある。上場企業の時価総額と利益で見れば、半分が製造業だ。しかし、日本全国、中小企業も含めた会社の「数」では、製造業の比率は1割に満たない。圧倒的な大多数は国内のローカルなサービス産業である。繰り返すが、彼らにとっては円安メリットがないばかりか、輸入コスト増でデメリットのほうが大きい。

 グローバルプレーヤーが主役の上場企業の視点に立つか、大多数の内需産業主体の国内景気の視点に立つかで、円安の捉え方は180度違ってくる。代表的な景気指標のGDPはGross Domestic Product、文字通りDomestic(国内)の景気動向を表す指標だ。いくらグローバル企業が海外で稼いでも、輸出が増えなければGDPにはカウントされない。これからは国内景気が低迷する一方、グローバル企業が引っ張って上場企業の業績はそこそこ好調、ということが起こり得る。ひとくちに「景況感」といっても、実態を捉えるのがより難しくなるだろう。

 こうしたなかで安倍晋三首相は、来年10月に再度消費税の引き上げを予定通り行うか否かの判断を、年末までに決定する。安倍首相が耳を傾けるのは、どちら側の声だろうか。

広木隆/マネックス証券チーフ・ストラテジスト


 

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コメント
 
01. 2014年10月15日 07:00:40 : jXbiWWJBCA

【第151回】 2014年10月15日 森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
「CPI前年比+2%」の時間軸が柔軟化 日銀はフォワードガイダンスの再設計へ―森田京平・バークレイズ証券
チーフエコノミスト
〜“Dual Forward Guidance”から“Single Forward Guidance”へ
黒田日銀総裁:
柔軟化する「2年」
9日、黒田日銀総裁はニューヨークで「日本経済:慎重論に答える」と題して講演をした。経済、物価、金融政策など幅広い内容であったが、最も印象に残ったのは「2年」がどこにも出てこなかったということだ。 
「2年」とは言うまでもなく、「CPI前年比2%」という「物価安定の目標」の達成時期の目処である。「量的・質的金融緩和」(以下、QQE)が始まったのが2013年4月であることから、「2年」はおおむね2015年半ばと解釈できる。
この講演より前に、黒田総裁が金融政策について講演をしたのは9月18日だが、そこでは「2014年度から16年度までの日本銀行の経済・物価見通し期間の中盤頃」とされた。「2年」とは明言していないものの、ある程度「2年」が意識されていた。 
ところが前述のニューヨークでの講演では、「2015年度を中心とする期間」となっていた。実際の講演で使われた言語である英語では、「in or around fiscal 2015」となっており、「2015年度前後」と読める。9月18日の講演と比べると、随分と「2年」が柔軟化してきたという印象を否めない。 
物価:
期待インフレ率の上昇を
示唆する材料は少ない
下方屈折は避けながらも、景気が停滞色を帯びている。こうした中、消費者物価指数(CPI)の前年比変化率は、消費税率引き上げの影響を除くと、プラス幅が広がりにくくなっている(図表1参照)。たとえば、日銀も注目する「コアCPI」(生鮮食品を除く総合CPI)は4月の前年比+1.5%(消費税率引き上げの影響を除く)を直近のピークとして、8月には同+1.1%とプラス幅が縮小している。 

日銀は11月分から、CPIの前年比プラス幅が再び広がり始めると見ている。マクロ的な根拠として日銀がしばしば挙げるのが、(1)需給ギャップ(=CPIの先行指標)の縮小、(2)期待インフレ率の上昇(=フィリップス曲線の上方シフト)である。 
日銀は日本の潜在成長を、足元で年率+0.2%程度と試算している。この場合、確かに7〜9月期以降、需給ギャップは閉じるであろう。
しかし、期待インフレ率が上昇しているという証左は少ない。家計(内閣府『消費動向調査』)、企業(日銀短観『企業の物価見通し』)、市場(ブレークイーブンインフレ率:BEI)いずれの期待インフレ率も鈍化している(図表2参照)。日銀は期待インフレ率の大きな流れに注目するべきと言っているが、足元の鈍化を無視することはできない。 

こうした中、次に見るように日銀は「物価安定の目標」に関わるコミュニケーションを変えることになろう。 
日銀のコミュニケーション:
「2年」という時間軸の柔軟性の強調へ
「物価安定の目標」は本来「CPI前年比+2%」を目標とするものであって、「2年」は目途に過ぎない。しかし、「2年」にこだわった解釈が支配的となると、追加緩和に向けた期待が一方的に形成され、その期待に応じなかった場合の市場の反応が大きくなるリスクがある。こうした中、「時間軸の柔軟性」を改めて強調する方向に日銀のコミュニケーションが変わる可能性がでてきた。
コミュニケーションが変わる兆し(1):
7月の金融政策決定会合
ただし、コミュニケーションが変わる兆しはすでにあった。背景は、(1)7月の金融政策決定会合(以下MPM)、(2)「安倍Mandate」と「黒田Mandate」の乖離である。 
7月のMPMの議事要旨には、「何人か の委員は、物価情勢を総合的に判断するうえでは、生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)だけでなく様々な指標を丹念に点検していくことが大切であると述べた」とある。これは重要な記述だ。
それまで日銀の政策委員会は黒田総裁に代表される「躊躇なく」グループ(CPIが下振れるリスクがあれば躊躇なく追加緩和をするグループ)が支配的と見られていたが、7月のMPMでは「総合判断」グループ(CPIだけでは物価の安定を評価できないと考えるグループ)が形成されつつあることが明らかとなった(図表3参照)。 

コミュニケーションが変わる兆し(2):
「安倍Mandate」と「黒田Mandate」の乖離
9月23日、安倍首相はニューヨークで「円安の地方経済への影響を注視する」と述べた。また9月29日に始まった臨時国会でも、円安が地方経済や中小企業に負の影響をもたらすのではないかという議論が出ている。 
来年4月の統一地方選挙が視野に入る中、円安(ドル高)が地方経済にマイナスに働いているとすれば、安倍首相としても無視できない。円安をよしとしてCPI前年比+2%の実現に焦点を絞るのが「黒田Mandate」とすれば、CPI前年比2%は重要だが一方的な円安に警戒するのが「安倍Mandate」と言えよう。後者を踏まえると、追加緩和の可能性は低い。 
前述の「総合判断」グループの形成と併せて、今後日銀は追加緩和ではなく「2年」という時間軸の柔軟性の強調に向かいそうだ。 
日銀のフォワードガイダンス(1):
これまでは“Dual Forward Guidance”
追加緩和がないとしても、金融政策が年内の焦点にならないということではない。むしろ、前述した「2年」という時間軸の柔軟性の強調と併せて、「フォワードガイダンスの再設計」という重要なテーマが年内に残されている。 
日銀のフォワードガイダンスは、2つの要素からなる(“Dual Forward Guidance”)。第1に、日銀はオペの操作目標であるマネタリーベースの目標残高を、2013年末と2014年末という特定の時点について明示している。これは「Calendar-based」のフォワードガイダンスと言える。 
第2に、日銀は「CPI前年比+2%」という状態が安定的に持続するために必要な時点までQQEを継続するとしている。これは状態依存型、つまり「State-dependent」なフォワードガイダンスである。 
「Calendar-based」のフォワードガイダンスと「State-dependent」のフォワードガイダンスが並存しているという意味で、日銀のフォワードガイダンスを“Dual Forward Guidance”と呼ぶことができる。
日銀のフォワードガイダンス(2):
今後は“Single Forward Guidance”へ
現時点で日銀は、マネタリーベースの目標残高を2014年末までしか示していない。つまり、2014年末を過ぎると、“Dual Forward Guidance”のうち「Calendar-based」のフォワードガイダンスが終了する。 
2014年末まで残り3ヵ月を切る中、日銀がこのまま単純に「Calendar-based」のフォワードガイダンスを終了させるのか、2014年末以降も“Dual Forward Guidance”という構造を続けるのか、確定的なことは言いにくい。その意味で、金融政策の予見性が下がりつつある。 
こうした中、年内の金融政策の課題は「フォワードガイダンスの再設計」にあると言える。問題はどのように変更するかだが、それは「2年」という時間軸をどの程度柔軟にするかにかかっている。 
当面3つの選択肢があり得る。第1に、「2年」の柔軟化を年内は行わず、10月31日時点ではマネタリーベースの明示期間を「2年」に合わせる形で2015年6月末まで延長。第2に、10月31日に「2年」の柔軟化もアナウンスすることで、マネタリーベースの明示期間を2015年末まで延長。第3に、「2年」を目途から完全に外し、かつマネタリーベースを時間軸で示すことも止め、2014年末以降のフォワードガイダンスを前述の「State-dependent」に一本化する。 
ここに来て、「2年」という時間軸の柔軟化が予想より早く始まろうとしていることを踏まえると、第3の選択肢(2014年末以降のフォワードガイダンスを「State-dependent」に一本化)がメインシナリオと考えられる。 
つまり“Dual Forward Guidance”から“Single Forward Guidance”へのシフトである。これが見えてくるタイミングとしては、次回31日のMPMを重視している。 
http://diamond.jp/articles/print/60514

02. 2014年10月15日 17:03:46 : niiL5nr8dQ
ドル高は始まったばかり-クレディS40ページ割いた潜在的影響

  10月14日(ブルームバーグ):ドル相場の上昇が始まったばかりだと確信する強気派の陣営には、スイス銀行2位のクレディ・スイス・グループも加わっている。

その確信の強さは、鉄鉱石価格から米国の地銀に至るまでドル高がもたらす潜在的影響についてクレディ・スイスが40ページ余りを割いて分析している様子を見れば分かる。

クレディ・スイスのグローバル株式ストラテジスト、アンドルー・ガースウェート氏と同僚らがドルに強気である理由の説明は幾つかある。同氏らは14日のリポートで、ドルのサイクルが8年間続く傾向を理由の一つに挙げた。彼らの計算通りなら、ドル高がさらに5年続くことを意味している。 

米経済もドル相場に強気のシグナルを発している。米国の経常赤字改善や民間セクターのレバレッジ解消の動き、国内のエネルギー生産ブームだけではない。他の地域の成長見通しが下方修正される中で米国の成長見通しは上向いている。

そうだとしても「USA万歳」を叫ぶのはまだ早い。あなたの株式投資への影響は実は複雑かつ微妙だ。先進国の株式市場は大きな恩恵を受ける可能性がある。米国の個人消費が世界の国内総生産(GDP)の約16%を占める中で、クレディ・スイスは「ドル高が米国の成長の勢いを輸出する役に立つ」と指摘する。

クレディ・スイスによれば、先進国の株式市場の動きを反映するMSCI世界指数は、1980年以降のドル高局面全体を見るとその72%の期間で上昇した。この割合はドル安局面と比較すると10ポイント高い。しかし、新興市場にとってドル高はそれほど朗報ではなく、ドル高局面におけるアウトパフォームの期間は全体の33%にとどまっている。

原題:Get Used to Strong Dollar and Many Ways It’ll AffectInvestments(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Michael P. Regan mregan12@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Lynn Thomasson lthomasson@bloomberg.netJeff Sutherland
更新日時: 2014/10/15 10:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDGLRG6K50YP01.html


Short Story Has Twist as Bears Favorite Stocks Plunge 15%
  10月15日(ブルームバーグ):誰かが得をすれば他の誰かが損をする。それが定めの株式市場では空売りが横行する。
小型株の指標のラッセル3000指数の中から空売り筋好みの銘柄を集めたゴールドマン・サックス・グループのバスケット は、過去1カ月に15%下落した。下落率はラッセル3000のほぼ3倍だった。これは空売り投資家にとって朗報だ。ゴールドマンのこの指標は2009年以来、下がらないどころか市場平均並み以上に上昇していた。
米株市場から時価総額 にして1兆5000億ドル(約161兆円)を消失させたここ3週間の一斉売りは、空売り筋にやっと収益機会をもたらした。空売りする銘柄の選択は難しくはなかっただろう。ラッセル3000構成銘柄の4分の3以上が直近の高値から10%以上下落しているからだ。
ドイチェ・アセット・アンド・ウェルス・マネジメント・インベストメント(フランクフルト)のファンドマネジャー、イボ・ワイノール氏は、「空売りで損をしていた人は多い。最近になってやっと少し取り返している」と話した。空売りを開始する時期を見極めるのは難しいとして、今は過去最高値からの幾分の調整が見られるが「これがさらに急激な売りや弱気相場につながっていくのか見極める必要がある」と指摘した。
原題:Short Story Has Plot Twist as Bears’ Favorite StocksPlunge 15%(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Sofia Horta e Costa shortaecosta@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Cecile Vannucci cvannucci1@bloomberg.netAlan Soughley
更新日時: 2014/10/15 15:20 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDH1ZQ6S976G01.html

世界の外為取引、9月はボラティリティ上昇で急増=CLS
2014年 10月 15日 15:07 JST
[ロンドン 14日 ロイター] - 世界の外国為替市場の1日あたり平均売買高がこの9月に過去最高を記録した。主要通貨の外国為替取引を対象とする決済プラットフォームであるCLS(多通貨同時決済システム)のデータで14日、明らかになった。CLSは世界の外国為替取引決済で高いシェアを持つ。

CLSで決済された1日あたりの銀行間外国為替取引はこの9月、5兆9400万ドルに達し、前月比および前年同月比で約1兆ドル増加した。CLSグループ・ホールディングスによると、これは2002年のシステム運用開始後の12年間で最大。CLS利用件数も8月の103万5978件から37%増の141万9102件となった。

トムソンロイターの外国為替取引システムや外為電子取引プラットフォームのEBSなど他の主要プラットフォームのデータも、政治的要因やドル高、金融政策での米欧間の違いを材料としたボラティリティ上昇で外国為替取引が急増していることを示していた。

今年上半期の外為市場はボラティリティが非常に低い状態で推移し、取引は膨らまなかった。しかしスコットランドの独立をめぐる住民投票やイングランド銀行や欧州中央銀行の予想外にハト派的な姿勢を受け、取引やボラティリティが高まった。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0I40G720141015


米株式市場は一段安の公算、主要指数が節目割り込む
2014年 10月 15日 13:18 JST
[14日 ロイター] - 米株市場ではここ数日間続いた売りで、S&P総合500種.SPXの13日までの3営業日の下落率が2011年以降で最大となった。同指数は14日は上昇したものの、調整局面が終わるまでさらなる売りに直面する見通しだ。

S&Pは13日、長期トレンドを示す200日移動平均線を下回って終了した。同指数がこの水準を割り込んで取引を終えるのは2012年11月16日以来。

14日には反発したものの、買いは終盤に失速。上昇率は0.16%にとどまった。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのストラテジストらは指数の下落について、「調整で一時的」とした上で、底値は1814近辺になるとの見方を示した。これはS&Pの終値ベースでの最高値を10%近く下回る水準だ。

ダウ工業株30種.DJIとナスダック総合.IXICも下値支持線を下回っており、ラッセル2000指数は、直近の高値を10%以上下回り、調整局面に入った。

インスティネットの市場アナリスト兼トレーダー、フランク・カペレリ氏は「2011年以降で最も顕著な変動だ。ボラティリティが当面続く可能性を無視すべきではない」と指摘する。

バンカメ・メリルのストラテジストは「米株市場はドミノのように連鎖的に下落している」と表現。次に注目すべきはナスダック市場の大型株で構成するナスダック100指数.NDXだという。14日に3810で終了した同指数はまだ3774─3762のレンジを割り込んでいない。

<テクニカル分析>

◎ダウ工業株30種

14日現在の直近高値(終値)からの下落率:5.6%

200日移動平均線からのマイナス乖離幅:265ポイント

RSI(相対力指数):44(中立を示唆)

200日移動平均線を下回る銘柄の割合:43.3%

(インタラクティブ・ブローカーズLLCのデータ)

下値支持線:1万6015ドル(カッペレーリ)

◎S&P総合500種

14日現在の直近高値(終値)からの下落率:6.7%

200日移動平均線からのマイナス乖離幅:28ポイント

RSI:40(中立に近い)

200日移動平均線を下回る銘柄の割合:58.6%

(インタラクティブ・ブローカーズLLCのデータ)

下値支持線:約1850ポイント

◎ナスダック総合

14日現在の年初来高値からの下落率:8.1%

200日移動平均線からのマイナス乖離幅:73ポイント

RSI:40(中立に近い)

200日移動平均線を下回る銘柄の割合:72.1%

(インタラクティブ・ブローカーズLLCのデータ)

下値支持線:4200ポイント付近

◎ラッセル2000指数  

14日現在の直近高値(終値)からの下落率:12.2%

200日移動平均線からのマイナス乖離幅:87ポイント

RSI:35(売られ過ぎの水準に近い。今後の反発を示唆)

200日移動平均線を下回る銘柄の割合:72.7%

(インタラクティブ・ブローカーズLLCのデータ)

下値支持線:約1037ポイント
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0I401L20141015


 

クリスマスの買い物、より安く-中国生産者物価31カ月連続低下
  10月15日(ブルームバーグ):クリスマスの買い物客には朗報だ。中国の9月の生産者物価指数(PPI)は2年7カ月連続で低下し、過去最長の連続マイナス記録に並んだ。投入原価の水準は中国の輸出価格に影響を与える。ニューヨークやベルリンなど世界各地の消費者は、玩具やTシャツなど、さまざまなモノをより安く買えることになる。
ただ世界経済見通しの面では、懸念すべき材料だ。中国国家統計局が15日発表した9月のPPI は前年同月比1.8%低下。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場関係者の予想中央値は1.6%低下だった。中国で生産能力が十分に活用されていない状態が一層深刻化していることがうかがえる。
AMPキャピタル・インベスターズのグローバルストラテジスト、シェーン・オリバー氏(シドニー在勤)は「中国の製造業者が一次産品をより安く輸入しているなら、こうしたメーカーが海外で販売する製品の値段も低くなり、デフレの輸出になりかねない」と指摘した。
PPIの連続低下は1997−99年に並ぶ長さとなった。統計局が同時に発表した9月の消費者物価指数(CPI )は前年同月比1.6%上昇と、2010年1月以来の低い伸び。予想中央値(1.7%上昇)を下回り、8月の2%上昇に比べて伸びが鈍化した。この日の物価指標は、中国経済の成長の勢いが失われていることをあらためて示す内容となった。
クレディ・スイス・グループで日本を除くアジア地域担当チーフエコノミストを務める陶冬氏(香港在勤)は「経済の需要面の弱さが浮き彫りになった。製造業はかなり勢いが弱く、銀行の与信も低調だ」と述べた。
追加刺激策
中国政府は今年のCPIの伸びの上限目標を約3.5%に設定している。足元の水準はそれを大きく下回っており、追加の景気刺激策を講じる余地があることが示唆される。
HSBCホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、屈宏斌氏(香港在勤)は「中国ではインフレは全くリスクではない。デフレこそが真のリスクだ」と指摘。「政策緩和を今すべきだ。利下げや銀行の預金準備率引き下げが有力な政策手段だ」と述べた。
原題:Your Xmas List Just Got Cheaper as China Factory SlumpDeepens(抜粋)
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:北京 Xiaoqing Pi xpi1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Malcolm Scott mscott23@bloomberg.netScott Lanman
更新日時: 2014/10/15 16:09 JST

9月の中国CPIは前年比+1.6%に鈍化、5年ぶりの低水準
2014年 10月 15日 16:13 JST
[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局(NBS)が15日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年比1.6%上昇と、2010年1月以来ほぼ5年ぶりの低水準に鈍化した。

上昇率は8月の前年比2%から鈍化し、ロイターがまとめたアナリスト予想の1.7%を下回った。食品や燃料、コモディティ関連の価格下落が背景にあるが、今回の統計は景気全般の弱さも示している。

成長に対するリスクやデフレリスクが高まる中、今後数カ月で政府が景気刺激のための一連の措置を続けるとの見方が優勢。ただエコノミストの大半は状況が急激に悪化しない限り、利下げのような、より抜本的な刺激策は控えるとみている。

クレディ・アグリコルCIB(香港)のシニアエコノミスト、Dariusz Kowalczyk氏は「世界的なディスインフレ圧力が中国に広がりつつあることを政策当局者らは意識し始めるべき」と指摘。「低インフレにより、金融政策および財政政策の的を絞った緩和を実施する可能性がさらに高まる」とした。

9月CPIは前月比では0.5%上昇。市場予想は0.4%上昇だった。

食品価格CPIは前年比2.3%上昇、食品以外は同1.3%上昇だった。

HSBCのエコノミストは「低水準のインフレ率は、内需の弱さに起因する中国のデフレリスクが高まっていることを示している。成長に対するリスクは引き続き下向きで、さらなる緩和の措置が必要だというわれわれの見方を裏付けるものだ」と指摘した。

中国のインフレ率目標は前年比3.5%。今回のデータはこの水準を大幅に下回っており、政府はこれまでに実施してきた一連の措置以上の刺激策を打ち出す余地が十分に残っている。

ただ、単に大量の資金を供給しても、消化できるほどの需要がなく、銀行が貸し出しに消極的な姿勢のままであれば、実体経済への波及効果は限られているということは、世界の他の主要国の例が示している。

生産者物価指数(PPI)は前年比1.8%低下、2年7カ月連続の低下となった。市場予想(1.6%低下)以上のマイナスとなり、景気不振で企業の価格決定力がそがれていることが浮き彫りになった。

PPIは8月は1.2%の低下だった。

9月PPIは前月比では0.4%低下した。

中国の当局者は引き続き、当面は小刻みな政策調整にとどめる姿勢を示しているが、抜本的な刺激策導入の可能性が高まっているとの指摘も一部では出ている。

申銀万国証券(上海)のエコノミスト、李慧勇氏は「非食品価格の伸び鈍化とPPIの下振れ拡大は、景気鈍化をあらためて示しており、弱い内需と過剰設備の問題が見通しより悪いことを示している」と指摘。「当局は景気の安定に向けて一段の施策を講じると見込んでいる。今後数カ月での利下げの可能性が高まった」と述べた。

*内容を追加します。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0I406920141015


債券は続伸、景気懸念受けた米金利低下で−30年入札通過で買い安心も
  10月15日(ブルームバーグ):債券相場は続伸。前日の米国長期金利が低下した流れを引き継いで買いが先行。午後に入ると30年利付国債入札を無事に通過できたことで安心感が広がり、上げ幅を拡大した。
長期国債先物市場で中心限月の12月物は前日比6銭高の146円23銭で取引を開始した。午後零時45分の30年入札結果発表後には一段と水準を切り上げ、146円29銭まで上昇。終値は8銭高の146円25銭だった。
大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、「米金利低下基調に加え、欧州は金融緩和一辺倒、日本も物価上昇が鈍化し、金融緩和の時間軸が延びている。キャリー(金利収入)中心の戦略でじりじりとイールドカーブをつぶしていくことになり、先物は146円50銭辺りを試す可能性があるとみている」と話した。
日本相互証券によると、現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の335回債利回りは横ばいの0.49%で開始。その後は0.5ベーシスポイント(bp)低い0.485%と9日に付けた今年最低水準に並んだ。午後の開始後にいったん0.49%を付けたが、再び0.485%に低下した。
2年物の345回債利回りは1bp低い0.035%と新発債としては2013年3月28日以来の低水準。短期国債が需給の良さを背景にマイナス金利が続いている影響を受けた。20年物の150回債利回りは1.5bp低い1.325%。30年物の44回債利回りは1bp低い1.63%。
大和住銀投信の奥原氏は、30年債入札について、市場予想通りの結果としながらも、「相場が高値圏にある中、入札がしっかりだったので、買い安心感が出ている」と説明した。
30年債入札
財務省がきょう実施した表面利率1.7%の30年利付国債(44回債)の入札結果によると、最低落札価格は101円25銭と事前の市場予想と一致した。小さければ好調なテール(最低と平均落札価格の差)は9銭と3月以来の水準に拡大した前回の16銭から縮小。投資家需要の強弱を示す応札倍率は2.59倍と2010年6月以来の低水準となった。
SMBC日興証券の山田聡シニアクオンツアナリストは、利上げ時期をめぐる思惑の修正による米国金利の急低下などを手掛かりに、国内債市場では先物中心に買いの地合いを維持していると指摘した。
14日の米国債相場は上昇。米10年債利回りは前営業日比8bp低下の2.20%程度。一時は2.17%と昨年6月以来の水準まで低下した。ドイツ景気の弱さが示唆されたことから世界経済の成長減速で米利上げが先送りされるとの観測が強まった。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、原油安によるグローバルなインフレ期待の低下が波及と指摘。「市場参加者も政策当局者も、現在の市場の変調が何を意味するのかを見極めようとしている段階なので、市場の景気悲観論が自律的に修正されたり、各国で政策対応が練られるまでにはしばらく時間もかかりそうなので、利回り曲線のスティープ化が進むよりも前に、フラット化する余地がある」とみていた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net青木 勝, 山中英典
更新日時: 2014/10/15 15:28 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NDGHTE6JIJVF01.html



03. 2014年10月16日 07:49:18 : jXbiWWJBCA

「若手官庁エコノミストが読む経済指標」
銀行の敵は銀行?

貸出活性化へ向けた取組み

2014年10月16日(木)  小寺 信也

 しばしば「お金」は経済の「血液」に例えられる。お金がうまく動かないと、経済もうまく動かないということである。事実もその通りで、手元に十分な資金がないと、有益な投資機会があっても実行することができず、経済活動に支障をきたしてしまう。

 その場合、資金が不足している際の解決手段としては、企業であれば、株式市場や債券市場で、株式や社債を発行するなどの方法があるが、より主要な手段としては、銀行からの借入(銀行側にとっては貸出)が指摘できる。

 現在、日本銀行は大量の金融資産を購入するという金融緩和を行っているが、この金融緩和が実体経済にプラスとなって波及する上で、この「貸出」が重要な役割を担っている。日銀は長期国債をはじめとした大量の商品を金融機関から購入し、その代金を金融機関が保有している日銀の当座預金に振り込むという政策を行っている。この政策の成否は、この日銀が振り込んだ資金がその後どうなるかにかかっている。この資金が、いわば「タンス預金」のように、日銀の当座預金に積み上がり続けるだけでは、せっかくの金融緩和が意味をなさなくなってしまう。

 この資金が日銀の当座預金から引出され、リスク資産や貸出などに向かうことで、実体経済にも金融緩和の効果が波及していく。例えば、金融機関によるリスク資産への選好が強まることで、社債発行が容易になり、企業の資金調達が活性化する。このように、金融緩和の効果が実体経済に波及する経路は様々なものが考えられる。とはいえ、実際に日銀が当座預金に供給したマネーが、実体経済という市場に流通してゆく経路は、銀行などが仲介となり家計や企業へ資金を供給する「貸出」が主なものになると考えられる。以下では、その貸出がどのような要因で動いてきているのか、その活性化には何が必要なのかについて、考察していきたい。

貸出の変遷

 はじめに、ここ10年程度の銀行の貸出動向はどのような変遷を経てきたかについて確認してみよう。図1は、国内銀行における貸出先別・貸出残高の前年比を4つの要因に分解してプロットしたものであるが、個人や地方公共団体など向けは、安定してプラスに寄与する一方、法人向けはその変動が激しく、貸出残高の前年比を大きく左右していたことがわかる。

図1 国内銀行の貸出残高の推移

(資料)日本銀行「預金・現金・貸出金」により作成。
(注)大企業等は、中堅企業を含む。中小企業、個人、設備資金の一部は推計値。
 個人向けの貸出残高については、9割程度が住宅資金、いわゆる住宅ローンである。法人向けの貸出と異なり、個人向けの貸出残高は、グラフの期間中については常にプラスの寄与となっているが、これは個人の住宅取得に対する資金需要が一定程度あることや、金融機関が住宅ローンの顧客獲得に積極的に取り組んでいるためと考えられる。

 企業向け貸出残高については、2000年代前半は中小企業を中心に大幅に減少していたが、2004年頃から減少幅を縮小させていった。2006年から2007年にかけて、ようやくプラスに寄与するようになったが、金融危機の影響もあり、2010年頃には再び前年を割れることになった。その後、2010年頃を底に、貸出残高は緩やかに伸びており、最近では大企業等・中小企業ともにプラスに寄与している。貸出残高のうち、企業の設備資金用の貸出残高についても、グラフの期間中ほとんど、前年比でマイナスであったのが、足下では2%台のプラスとなるなど、高い伸びを示している。足下の貸出残高の伸びは、主に非製造業が貢献しており、例えば、電気・ガスなど、不動産業、医療・福祉などといった産業で伸びている。この背景としては、それぞれ、太陽光発電の導入、アパートローンの増加、高齢化による需要増などの要因が指摘されている。

銀行間の競争が激化

 図1でみたように、貸出残高の動向を左右する企業向けの貸出であるが、これまでどのような要因により変化してきたのだろうか。そこで、借りる側(企業サイド)と貸す側(銀行サイド)に分けて、その要因を見ていくことにしたい。

 まず、供給(銀行)サイドであるが、どのような要因で貸出運営スタンスを変化させてきたのかについて、日本銀行が四半期毎に実施している主要銀行へのアンケート調査をもとにみていきたい。このアンケートで、銀行は前回調査以降の企業規模別の貸出運営スタンスの変化について、積極化、やや積極化、不変、やや慎重化、慎重化の5つの選択肢で回答している。さらに、貸出運営スタンスについて「積極化、やや積極化」または「慎重化、やや慎重化」と回答した企業には、そう判断した理由(要因)について、3段階の重要度で回答する形式になっている。

 図2で、各要因がどの程度積極化、消極化に結びついていたのかについて時系列の変化を見られるように、スケールなどの調整を行ったものである。それぞれの重要度は、高い数値を取るほど積極化要因として強く作用したことを示しており、すべての銀行が積極化と回答し、各要因について最も重要であると回答した場合最大値の2をとるようになっている。消極化の場合は逆に最大値がマイナス2となるようになっている。図中、ゼロより高ければその要因は貸出運営スタンスの積極化に、ゼロより小さければその要因は貸出運営スタンスの消極化に働いたことを示す。なお、国内銀行の法人向け貸出残高に占める大企業の割合は3割強、中小企業の割合は6割強となっている(残りの5%程度は中堅企業)。

図2 貸出運営スタンスの変動要因

(資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」により作成。
(注)1.貸出運営スタンスの変動要因は、[{(積極化要因・平均値−1)×積極化・回答数}−{(消極化要因)・平均値−1)×消極化・回答数)}]÷合計回答数により算出。
2.貸出運営スタンスの変化は、前回調査以降(過去3ヶ月間)における変化。
3.各要因の重要度は1〜3(重要でない<1>、やや重要<2>、重要<3>)のスケールで回答する形式になっているが、「重要でない」を0となるように調整しているため、最大2、最小〜2となる。また、変化なしと回答した企業は、各要因について「重要でない」と回答したとみなしている。例えば、25行が積極化、 15行が変化なし、10行が消極化と回答し、積極化と回答した銀行の「他行との競争激化」の重要度の平均が2、消極化と回答した企業の「他行との競争緩和」の重要度の平均が1.5の場合、((2−1)×25行+0×15行−(1.5−1)×10行)÷50行=0.4と計算される。
 図をみると、供給側である銀行の貸出運営スタンスは、期間中ほとんどプラスで推移しており、銀行側は貸出運営のスタンスを常に積極化していたことがわかる。大企業・中小企業ともに、貸出運営を積極化させた要因としては、「他行との競合激化」が非常に強いことが見てとれ、この傾向は中小企業向けにおいて特に顕著である。また、当然ではあるが、経済見通しの好転・悪化などの経済環境も貸出運営スタンスに影響を与えており、足下で銀行が中小企業向けの貸出を積極化させている主な要因は、他行との競合激化と経済見通しの好転などであると考えられる。

 金融緩和のひとつの経路には、社債発行環境が緩和することで直接調達が活性化することが考えられている。直接調達との競争をみると、中小企業では銀行などを通した間接金融が資金調達の主要手段となっているため、この要因はあまり大きくないのが当然なのだが、大企業向けについてもこの要因はそれほど強くなく、銀行側はこの要因よりも、他行の動向がより注意を払うべき対象と考えているようである。

 最後に、ALM(資産・負債の総合管理)上のリスク許容度は、ゼロ近傍で推移しており、大胆な金融緩和導入後も大企業・中小企業向けともほとんど動きはない。金融緩和が各行のリスク許容度の変化を通して、貸出を強化しているというパスは見当たらないということである。

 同じ業界での競争が激化した際に、よく見られる現象は価格競争であろう。ほぼ同じ商品を売っている場合、消費者はより価格の低い商品を購入しようとするはずだ。貸出の場合、商品はお金、価格は貸出金利に置き換えて考えることができるが、図3にみるように、貸出金利は趨勢的に低下していることがわかる。もっとも、この背景には、競争激化の他、日銀の金融緩和の効果も影響していると考えられる。

図3 貸出金利(新規)の推移

(資料)日本銀行「貸出約定平均金利」により作成。(注)値は3ヶ月後方移動平均。
金利のみでは語れない

 上記のような銀行(供給)側の動向を踏まえ、次に企業(需要)側がどのように反応してきたのかを確認しよう。ここでも先ほどの日本銀行のアンケート調査をもとに企業の貸出需要の増加要因・減少要因について見ていきたい。図4は、図2と同様、すべての銀行が企業の資金需要が増加(減少)し、各要因について最も重要であると回答した場合2(マイナス2)をとるようにスケールを調整している。ここでは企業の資金需要について尋ねており、ある要因がゼロより高ければその要因により企業の資金需要が増加、ゼロより小さければその要因により企業の資金需要が減少したことを示している。

図4 資金需要の変動要因

(資料)日本銀行「主要銀行貸出動向アンケート調査」により作成。
(注)1.資金需要変化要因は、[{(増加要因・平均値−1)×増加・回答数}−{(減少要因・平均値−1)×減少・回答数)}]÷合計回答数により算出。
2.資金需要の変化は、前回調査以降(過去3ヶ月間)における変化。
3.各要因の重要度は1〜3(重要でない<1>、やや重要<2>、重要<3>)のスケールで回答する形式になっているが、「重要でない」を0となるように調整しているため、最大2、最小〜2となる。また、横ばいと回答した企業は、各要因について「重要でない」と回答したとみなしている。例えば、25行が増加、 15行が横ばい、10行が減少と回答し、増加と回答した銀行の「売上げの増加」の重要度の平均が2、減少と回答した企業の「売上げの減少」の重要度の平均が1.5の場合、((2−1)×25行+0×15行−(1.5−1)×10行)÷50行=0.4と計算される。
 図2で示した貸出サイドは、ほぼプラス圏内で推移していたのに対し、図4で示す借入サイドについては各要因がプラス、マイナスと振れがあり、貸出に積極的だった供給側とはかなりの違いがある。

 各要因についてみていくと、まず、貸出金利は、上記で見たように価格(貸出金利)を下げたことで、大企業・中小企業ともに、企業の資金需要をある程度後押しする要因となっていることが分かる。ただし、この貸出金利の要因が相対的に非常に高いというわけではなく、足下では、貸出金利の低下による資金需要増加に加え、売上げの増加、または、設備投資の拡大による需要増加の要因もおおむね同程度の水準(重要度)を示している。また、他の調達手段の要因については、大胆な金融緩和後も、ほとんど変化がないことを踏まえると、社債発行環境が改善したことなどにより直接調達が活性化し、銀行貸出に影響を与えるという経路は確認されない。

 足下では0.1〜0.2程度の水準で推移している売上げ、設備、貸出金利の3つの要因についてだが、データが取得可能な2000年以降でこれらの最大値は0.4程度であることから(図4上では省略)、過去の水準と比較しても現在の水準が非常に高いというわけではない。

 また、過去からの動向を考慮すると、貸出金利よりも売上や設備の要因が資金需要の変動に重要な要因として認識されている傾向がある。事実、2000年以降のデータを用いてバラツキをみると、売上げや設備の標準偏差が0.18〜0.25程度であるのに対し、貸出金利の標準偏差は0.05〜0.06程度であり、売上げや設備の重要度の変動は貸出金利と比較すると大きいことがわかる。なお、この傾向は中小企業の方が、大企業より強い。

資金需要は活性化するか?

 貸出の需要と供給と双方からその動向を確認したが、積極的な供給側に対し、足下では緩やかに上昇しているものの、需要側の反応は比較的冷静であり、需要と供給がマッチしているとは言い難い。金融緩和や銀行間の競争激化により貸出金利は低下傾向にあり、これにより企業の資金需要は後押しされている部分はあるだろうが、貸出金利の要因だけで企業が資金需要の増減を判断することはない。

 また、貸出金利はゼロ以下には設定できないことに加え、貸出金利の低下は、銀行の収益を圧迫するため、貸出金利の低下には限度がある。例えば、全国地方銀行協会が発表した平成25年度の決算では、純利益でみると増益となっているが、銀行の基礎的な収益であるコア業務純益をみると前年度比▲0.5%減となっている。ただし、これは有価証券利息配当金(主に保有株式の配当)の増加により押し上げられており、貸出金利息では同▲4.2%減となっている。全国116行の決算全体(全国銀行協会)でも、貸出金利息は前年度比▲3.0%減と平成24年度(同▲1.9%減)から減少幅が拡大している。

 企業の資金需要が活性化するには、売上げの増加や、積極的な設備投資などの実体経済そのものの好転が必要不可欠である。それを実現するためには、長期的には金融政策では限界があり、成長戦略などの日本の成長力を底上げする政府の施策がより重要になってくる。日本経済の成長率が高まれば、企業の売上は増加、設備投資も拡大し、さらなる成長率の上昇に繋がる。このような好循環により、貸出が増加すれば、金融緩和による実体経済への波及効果は非常に大きなものになっていくだろう。

 足下では、非製造業の幅広い業種で貸出残高が増加しているとの指摘もあり、貸出を取り巻く環境は明るい材料も見られている。この改善傾向を継続させていくために、日本の成長力を高めていく施策をより一層強力に推進してく必要があると思われる。

このコラムについて
若手官庁エコノミストが読む経済指標

内閣府の若手エコノミストがさまざまな経済指標を読み解き、日本経済や日本経済を取り巻く状況について分かりやすく分析する。多くの指標を精緻に読み解くことで、通り一遍の指標やデータだけでは見えてこない、経済の姿が見えてくる。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141010/272442/?ST=print


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