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最強ドイツ、覚悟の景気減速
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/219.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 10 月 21 日 01:18:30: Mo7ApAlflbQ6s
 


[羅針盤]最強ドイツ、覚悟の景気減速

 デフレ懸念が強まる欧州で、景気減速の波がいよいよドイツにも及んできた。2014年の実質成長率は1%前半と当初予想を大幅に下回る見通しだ。右肩上がりだった株価が下降線を描き、企業の投資マインドも冷え込んだ。だが意外にもメルケル政権には焦りはない。
 なぜ冷静なのか、政権の実力者で、与党の重鎮でもあるショイブレ独財務相に聞いてみた。「ドイツと関係の深いロシアの景気が冷え込めば、ドイツ経済も影響を受ける。当たり前じゃないか」。ロシアへの経済制裁を発動した時点で景気減速を覚悟していたという。

 景気の下振れがわかっていたなら、対策を講じてもよさそうなものだが、そのつもりはない。景況感を良くするためにロシア制裁を緩和するという案には「プーチン政権が態度を改めるまでは無理」ときっぱり。ドイツは主要7カ国(G7)の議長国。日米欧の代表者としてロシアに甘い顔はできない。

 減税や歳出増で内需を刺激することにもドイツは消極的。その場しのぎの景気対策より、痛みに耐えて財政再建と構造改革を断行したほうが将来の成長につながる、との信念がある。目指すのは目先の成長ではなく、財政や通貨への信認回復だ。

 これは戦後ドイツの成功体験に基づく。信頼される通貨こそが持続的な成長につながるという「フライブルク学派」の学説を採用。内需を拡大せよ、という米国の要求をはねつけ続けた結果、欧州最強の国になったというのがドイツの歴史観だ。

 だがドイツの価値観をデフレが忍び寄る欧州で共有できるかは別問題。目先の成長にこだわるイタリアなどは納得していない。政策の足並みが乱れる気配が漂う欧州の長期低迷を見越して投資家は通貨ユーロを売っている。ドイツの思いとは裏腹に通貨の信認回復は遠い。
(ベルリン=赤川省吾)

[日経新聞10月19日朝刊P.15]

 

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コメント
 
01. 2014年10月21日 06:45:36 : jXbiWWJBCA
高失業率と就業率の世代間格差を是正したドイツの改革

 失業の問題は、歴史的に見ても大変難しい課題です。しかし、近年、実際に長期失業率を引き下げることに成功した国があります。かつて「欧州の病人」と呼ばれたドイツです。1998年に発足したシュレーダー政権が、2000年代前半にかけて行った改革は、最近、日本でも広く知られるようになりました。2003〜05年にかけて「ハルツ改革」(ハルツ第T〜W法)と呼ばれる抜本的な労働市場改革が行われたほか、2003年に労働市場、社会保障制度、医療保険・年金制度など広範にわたる構造改革プログラム「アジェンダ2010」が発表され、順次実行されました。

 これら一連の改革における労働市場関連部分は、以下の4つのポイントに整理することができます。 まず、@失業給付期間の短縮化や失業給付基準の厳格化に加え、A解雇保護法の適用されない事業所の範囲を拡大するなど、一見、労働者(失業者)に対して厳しい改革が実行されました。@の点を若干補足すると、従来の「失業扶助」と「社会扶助」(日本の生活保護に相当)の一部を統合した上で、就労可能な者の失業登録を義務化し、正当な理由なしに紹介された仕事を断った場合は給付額の削減措置がとられました。

 一方で、B企業による研修生の受入れ促進などの職業訓練の充実化や、職業紹介行政機能の効率化による雇用斡旋の強化など、迅速な(再)就労を促す仕組みの整備が進められました。さらに、C規制緩和(マイスター資格=注=が必要な分野の削減等)や失業者の創業支援などにより、起業の促進にも取り組むなど、同時並行的に包括的な改革が行われたことが分かります(下表参照)。

(注)手工業者が職人過程を経てマイスター試験に合格することで取得できる最高資格。同資格を得ると@手工業の営業権、A職業訓練生の採用・教育が可能となる。

 ドイツのこれらの一連の改革は、時間は要したものの(かつ失敗した政策もあったとされますが)、2つの大きな成果を挙げました。1つは長期失業率の大幅な低下であり、もう1つは、若年層の就業率の上昇(就業率の世代間格差の是正)です(下図参照)。


左:「ドイツの長期失業率」
右:「ドイツの年齢階層別就業率の変化」
[画像クリックで拡大表示]
日本の労働市場の流動化施策に必要な3つの視点

 では、日本の労働市場を流動化するために必要な施策の観点で、ドイツの取り組みから得られる教訓を整理してみましょう。

 第1に、労働市場におけるマッチング効率の改善です。ドイツの例でも、雇用斡旋機能や就労支援の強化が、長期失業率の低下をもたらした要因の1つとして考えられています。上述のとおり、正当な理由なしに紹介された仕事を拒否した場合には、失業給付が減額されるなど、政府による雇用斡旋と失業給付との連動が図られました。異なる制度を持つわが国で、ドイツの施策がそのまま当てはまるわけではないですが、類似の制度設計は考慮に値するでしょう。

 第2に、人的資本の再構築です。職業訓練システムの充実化はその一例と言えます。従来は、日本で職業訓練と言えば、公的機関でのプログラムが主流でした。今後は、供給過剰に陥りつつある大学を再教育の場として活用することや、企業でのインターンシップの奨励も有力な方策として考えられます。企業内で実務経験を積む方が、人的ネットワークの蓄積が早く、その後の雇用に繋がりやすいといったケースもありうるでしょう。実際、海外の研究では、公的セクターよりも民間が中心となる訓練の方が入職確率が高まるとの報告もあります(Sianesi (2008))。

Sianesi,B. (2008), “Differential Effects of Active Labour Market Programs for the Unemployed”, Labour Economics 15, pp.370-399.
 最後に、ここでは深くは述べませんが、ドイツの実例から学ぶべき重要な注意事項があります。前段で触れたように、ドイツにおける労働市場改革は、実は労働政策にとどまらず、社会保障制度(失業手当や生活保護など)や年金・税制改革などの包括的な構造改革の一翼であったということです。労働者は労働市場だけをみて就労行動を決めている訳ではありません。制度の一部だけを変更すると、「予想外の帰結(unintended consequences)」を招くことが多々あります。制度設計にあたっては、労働者個人のミクロ的なインセンティブを考慮し、各種の関連制度とのバランスを図ることが、改革を成功に導く鍵であるということをドイツの事例は教えてくれています。

 以上の施策と合わせ、前回述べた日本の雇用慣行や制度――@解雇規制に強固に裏付けられた終身雇用制度や年功型の賃金体系・退職金制度、A「やり直し」が難しい社会構造や採用慣行、B「雇用を守る」主体を企業単位とする考え方――を社会全体で見直し、雇用形態や働き方の多様化を進めていくことも重要です。

 労働市場の流動化を進める政府の施策と、社会の慣行・制度を同時に変えていくことが出来れば、人材の流動化が進み、産業・技術の新陳代謝が高まり、ひいては生産性上昇につなげることが可能となるでしょう。
http://business.nikkeibp.co.jp/


02. 2014年10月21日 09:36:41 : E7SnLubCIE
同じ敗戦国なのに、違いがはっきり。

安倍の姿を見るに付け、アメリカの操り人形は情けない。
ドイツに勉強させに行かせたらどうか。
じきに安倍政権は崩壊する。せざるを得ないだろう。

閣僚2人辞任。国会議員資格までも問題にされるだろう。
マスコミが、西松建設、陸山会事件の隠蔽を図ろうとするだろうが、、、
小沢一郎、石川知裕、鈴木宗?が、黙っていないだろう。

告発がなされた。司法裁判所もその姿勢が問われてくるだろう。

自民党は天に唾を吐き、その行為が自らに襲いかかってくるだろう。
因果応報である。

それにしても、政治家の素質が地に落ちた。
議員定数削減、歳費削減する政治家は少ないな。

オイ!”熊手”のみんなの党の渡辺喜美、政治改革はどうなった?
8億の政治資金問題、裁判で明らかになる?
小渕優子、”うちわ”より、更に罪深い。


03. 2014年10月23日 07:55:02 : jXbiWWJBCA
減速するドイツ経済、財政均衡よりもインフラ整備を
2014年10月23日(木)  The Economist

欧州経済の優等生ドイツの景気減速を示す様々な指標が相次いでいる。独政府も2014年と15年の経済成長率見通しを下方修正した。15年の財政均衡を約束しているメルケル政権は、その方針を変えるつもりはないようだ。だが、財政規律を維持しつつ、インフラ投資を増やすこともできる。老朽化した橋や道路など、対処すべき問題はたくさんある。

 ドイツはここ数年間、低迷する欧州経済の中で例外的に輝いていた。ところがここに来て突然、頑丈なはずの同国がトラブルに陥っている。今年4〜6月期(第2四半期)にはGDP(国内総生産)が前期比マイナスとなった 。そしてさらに恐ろしいデータが相次いで発表されている。

出所:英エコノミスト
ネガティブな景気指標が続々
 8月の鉱工業生産 及び輸出高は急落。欧州経済研究センター(ZEW)が発表した、投資家心理を示す独景況指数(ZEW指数)はほぼ2年ぶりの最低水準となった 。ドイツ経済は恐らくリセッション(景気後退)に入ったのだろう。
 これらの弱い経済指標を見て、ドイツ国外の多くの人々は強い懸念を抱いている。だが国内の反応は冷静で無関心だ。ドイツ政府は10月14日、2014年の成長率見通しを1.8%から1.2%に、2015年の見通しを2%から1.3%に下方修正した。ただし、来年に財政均衡を実現するという長年の目標は維持している。シグマール・ガブリエル経済相は、「成長鈍化は大変動ではない」と述べ、「経済政策を変更しなければならない根拠はない」とした。
 政治的に見れば、この立場には明白な根拠がある。2015年に政府債務をゼロにすることは、アンゲラ・メルケル首相の選挙公約の中核だった。公約を忠実に実行することは、ドイツの有権者にアピールする。彼らは債務を危険で効果がなく、恐らく道義に反するものと考えている。
 しかし経済的に見ると、その論理は弱い。リセッションに直面するなか財政均衡にこだわるのは危険なことだ。一方、インフラ投資を中心とした景気刺激策を実施すれば、短期的には危険を回避することができるし、長期的には成長を促すことができるだろう。そして、国の財政上のルールを破るものではない。
 ドイツの政治家たちは、ドイツ経済の減速はわずかで一時的なものだと考えている。だが、世界を見回せば、危険信号がいくつも点灯している。株価、インフレ率、債券利回りはすべて低下。原油価格も下落している。中国は債務問題と奮闘中だ。これらのことは、長期に及ぶ不快な低迷の前触れかもしれない。このような状況に直面したら、良識的な政府なら何らかの景気対策を打つべきだ。
倹約が生産性を損なっている
 その方策の1つが金融緩和だ。ドイツ国民は欧州中央銀行(ECB)が提唱する大掛かりな債券買い入れ策に反対するのではなく、これを支持すべきだ。だが、メルケル首相の自由になる経済政策の中心は財政政策。ならば、来年の支出を増やすことでドイツ政府は、他の国の悪化した経済がドイツ経済に影響するのを和らげることができるかもしれない。
 インフラ整備に集中することは、ドイツの長期的な成長見通しを押し上げることにつながるだろう。10年に及ぶ緊縮財政のため、この国にとって本当に必要な投資が滞ってきた。2003年以降の公共投資は、インフラの劣化を補うこともできていない。当然ながら、橋はギシギシという音がするし、幼稚園は不足している。
 こうした緊縮財政がドイツの生産性を損なっている。特に通貨安が進んでいる時、緊縮財政に固執することは節約にはならない。国債の利回りは0.72%と史上最低を記録している。長期金利は実質的にはマイナスだ。
 控え目に見積もっても、メルケル政権はインフラ投資を2015年にGDPの約0.7%分増やしても、「債務抑制ルール」を破ることはない。2016年には同0.5%分増やすことができる。その資金は「すぐに着工できる」連邦政府プロジェクト(橋の補修から道路整備の完了まで数多く存在する)を加速するのに使うべきだ。財政運営が厳しい州や市の補助に使ってもよいだろう。これらの地方自治体は、政府のインフラ整備支出の3分の2を占めている。
 本誌(英エコノミスト誌)は(ドイツの債務抑制ルールは過度に柔軟性に欠けていると考えており)より大規模な公共投資を行なう方が良いと考える。これは手始めに過ぎない。ドイツは今すぐ大規模なインフラ投資に取り掛かるべきだ。
©2014 The Economist Newspaper Limited.
Oct. 18th, 2014 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。



The Economist
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「熊谷徹のヨーロッパ通信」
ドイツの財政黒字達成は、なぜ批判されるのか

2014年10月23日(木)  熊谷 徹

 「ドイツ政府が近く財政均衡を達成し、国債を発行する必要がなくなる」というニュースは、今年夏以降日本でもしばしば大きく伝えられている。このニュースは、1万キロメートル離れた異国での出来事なのに、多くの日本人を驚かせたようだ。日本の知り合いや報道関係者から「どうしてそのようなことが可能なのか」と質問された。

 日本の一部のメディアは、「ドイツは今年度上半期に財政黒字を達成」と報じたが、これは誤り。わずかな黒字が出ると予想されているのは、来年度からだ。

ドイツ連邦政府・州政府などの財政収支の推移(単位:10億ユーロ)
年 2013 2014 2015 2016 2017 2018
歳出 786.3 787.5 803.0 825.5 846.5 867.0
歳入 772.6 783.5 806.0 826.5 849.0 872.5
収支 -13.7 -4.0 3.0 1.0 2.5 5.5
累積公的債務の対GDP比率(%) 78.4 75.5 72.5 69.5 67.0 65.0
(出所:ドイツ連邦財務省 中期財政予測(2014年7月10日発表))
 連邦財務省が今年7月10日に発表した「中期財政予測」によると、今年度はまだ40億ユーロの財政赤字が出る。だが2015年度には連邦政府、州政府、地方自治体、社会保険などの歳入(8060億ユーロ)が歳出(8030億ユーロ)を上回り、30億ユーロの財政黒字が出る見通しだ。政府が国債の発行をしなくて済むのは1969年以来、46年ぶりのことである。

 財政黒字のGDP(国内総生産)比率の小数点以下を四捨五入すると、まだ0%である。このためドイツ財務省は、2015年度の財政収支を「黒字のゼロ(schwarze Null)」と呼んでいる。しかし財務省は、2016年からはGDP比でも約0.5%の財政黒字が出ると予想している。

 ドイツでもかつては、借金に依存する財政運営が恒常化していた。しかし同国は2009年から今年までの5年間に、毎年の財政赤字を96%も減らすことに成功した。

ドイツ連邦政府・州政府などの財政赤字(政府の新規借入額)の推移(単位:10億ユーロ )

(出所:ドイツ連邦統計庁)
大幅増税もなく赤字を減らす

 なぜドイツはこれほど急激に財政赤字を減らすことができたのだろうか。この国は、大幅な増税を行ったわけではない。特に1998〜2005年まで首相だったゲアハルト・シュレーダーは「企業の収益性を回復させることによって競争力を強化し、雇用を増やす」ことを目的にしたため、大幅な減税を実行した。

 ドイツはかつて税金が欧州の中でも際立って高い国として知られた。たとえば1991〜1995年までは、所得税の最低税率が19%、最高税率が53%だった。シュレーダーの税制改革などによって、所得税率は現在、最低14%〜最高45%に下げられている。

 また法人税は、2008年から15%と大幅に低くなっている。1990〜1993年までは50%、1994〜1998年までは45%だった。15%は、欧州でもスイス、キプロス、ブルガリア、アイルランドに次ぐ5番目の低さだ。(ちなみに2012年度の日本の法人税の基本税率は25.5%。2014年度末まではこれに復興特別法人税が10%加算され、実効税率は約38%だった)シュレーダーは、企業のキャピタルゲイン課税も撤廃して、企業経営者から喝采を浴びた。

 また、ドイツ政府は歳出も大幅にカットしたわけではない。防衛予算や公務員数の削減などは実施しているものの、長期的に見れば、歳出は年々増える傾向にある。たとえば同国の歳出は、1990年には5852億ユーロだったが、2013年には7863億ユーロに増えている。

 ドイツの歳出が恒常的に増加する最大の理由は、この国の手厚い社会保障制度だ。高福祉国ドイツでは、歳出の約60%が公的年金の補填や貧困層に対する生活保護などの社会保障にあてられている。ドイツの社会保障関連の歳出は、1991〜2009年までに78%も増えた。社会保障関連の歳出額がGDPに占める比率も、1991年の27.6%が2009年には31.9%に上昇している。

 シュレーダーは2003年以降断行した改革プログラム「アゲンダ2010」によって、この国の社会保障制度や労働市場にメスを入れた。彼が是正したのは、社会保障制度の行き過ぎの部分である。社会保障による安全ネットは、日本や米国に比べると現在でもはるかに分厚く、きめが細かい。第二次世界大戦後のドイツは、自由放任主義に基づく米国の資本主義とは異なり、政府が企業の競争の枠組みを準備して、競争の敗者には政府が社会保障で手を差し伸べる「社会的市場経済(Soziale Marktwirtschaft)」という経済制度を採用した。シュレーダーも、ドイツの市民や企業に深く信頼されているこのシステムを破壊することは避けたのだ。

 さらに、物づくり大国としての地位を維持するために、研究開発や教育に投じる歳出も削るわけにはいかなかった。この結果、市民1人あたりの社会保障、研究開発、教育関連の歳出は、1990年のドイツ統一以来、増加する傾向にある。

ポイントは労働コストの削減

 私は、ドイツの財政収支が回復した原因は、シュレーダー改革が労働コストの伸び率を抑えたために、ドイツ企業が収益性を回復したことだと考えている。

 たとえばドイツの株式指数市場(DAX)に上場している最大手企業30社は、2011年に655億ユーロの利益を記録した。これは前年比で2%増だが、赤字を計上した2社を除くと、利益の増加率は前年比で18%になった。この年、BMWやフォルクスワーゲンは、創業以来最高額の収益を計上している。ドイツの大手メーカーはユーロ圏だけに集中することなく、中国や中南米での現地生産比率を高め、フランスやイタリアなどに比べてグローバル化を進めていたことも幸いした。

フォルクスワーゲン・グループの業績:販売台数

(出所:フォルクスワーゲン、以下の2つも同様)
フォルクスワーゲン・グループの業績:売上高

フォルクスワーゲン・グループの業績:当期利益

 ドイツのGDP成長率は、2009年にリーマンショックの影響でマイナス5.1%という戦後最悪の数字を記録した。しかし同国経済は2010年には4.2%、2011年には3.0%とEU平均の約2倍の速度で拡大した。

 ドイツは1990年代には低い成長率に苦しみ、フランスなど他のEU加盟国の後塵を拝していた。「ヨーロッパの病人」とすら揶揄されたドイツが、今日、ヨーロッパ経済を引っ張る機関車役に変貌したのは、シュレーダーが戦後最大の社会保障・労働市場改革によって、この国の低成長の原因の一つだった労働コストの伸びにブレーキをかけることに成功したからだ。

 次のグラフを見てほしい。21世紀の初めに、ドイツと他の欧州諸国の賃金の伸び方に大きな差があったことがはっきりわかる。ユーロ圏全体の単位労働コストは、2000年からの11年間に19.7%増えた。イタリアでは31.4%、フランスでも22.7%増加している。ユーロ圏最大の問題児ギリシャに至っては、37.2%も増えた。

 これに対し、ドイツの単位労働コストは、この間に5.8%しか伸びていない。2000年からの7年間を見ると、ドイツは単位労働コストを減らしてさえいる。EU主要国の中で、この時期に単位労働コストを減らしたのは、ドイツだけだ。

主なユーロ圏加盟国の単位労働コストの推移(2000年の単位労働コストを100とする)

(出所:欧州連合統計局)
 ドイツは2003年から労働コストの伸び率を抑えるべく努力した結果、2010年以降は、国際競争力において他国に水をあけることができたのだ。

 企業収益の改善と失業率の低下は、税収を増加させた。ドイツの税収は2003年には約4422億ユーロだったが、2013年には約40%増えて、約6198億ユーロになった。リーマンショック後の2011年には税収が前年度比7.9%、2012年も4.7%増加している。

ドイツの税収の推移(単位:10億ユーロ)

(資料:連邦統計局)
 また近年ドイツの税務署が脱税者の摘発を強化していることも、税収が改善している理由の一つだ。ドイツの郵便会社の社長や、ブンデスリーガの人気サッカーチーム「バイエルン・ミュンヘン」の会長など著名人が次々に脱税の罪で摘発され、有罪判決を受けている。このため、検察庁と税務署に摘発される前に、過去の脱税を告白する市民の数が急増。今年上半期にドイツで脱税を自己申告した市民の数は、前年同期比で2倍の2万2500人に達した。

日本はドイツの約2.6倍の借金を抱える

 さて、我が国の現状はどうか。日本とドイツはともに、戦後めざましい復興を遂げた物づくり大国。天然資源や人口は少ないので、資源を輸入し付加価値の高い製品に変換し輸出することによって、世界有数の経済大国になった。

 だが敗戦から69年経った今、両国の財政状態は大きく異なる。日本の財務省が公表している「日本の財政関係資料(2014年2月)」によると、2013年度末の累積公債残高は約751兆円。2014年度末の累積公債残高は、約3.9%増えて、約780兆円に達すると推定されている。

 これに対し、ドイツの2013年度末の累積公的債務残高は、2兆380億ユーロ(ドイツ連邦統計庁調べ)。1ユーロ=140円で計算すると日本円で約285兆円となり、日本はドイツの約2.6倍の額の借金を抱えていることになる。

 2014年度末には、日本の累積公的債務残高はGDP比で156%に達する見通し。ドイツの比率は75.5%で、日本のほぼ半分だ。しかも日本の債務比率がほぼ恒常的に増えているのに対し、ドイツの債務比率は着実に下がり続けている。

 日本の財務省によると、2011年度には、我が国の財政赤字の対GDP比率は8.7%を記録した。当時ドイツの財政赤字比率は、0.8%だった。日本のおよそ11分の1である。

 日本の財務省は、経済協力開発機構(OECD)のデータを元にして、各国の財政収支が1999〜2014年までどのように推移したかを比較した表を、ホームページに掲載している。財政収支の計算の仕方は、国や国際機関の間で異なるので、数値にばらつきがある。たとえばOECDの解釈によると、すでにドイツは2012年度に財政均衡を達成し、わずかな黒字を出していることになる。ドイツ財務省では、黒字が出るのは2015年度からだと考えている。

憲法で財政赤字を禁じる

 ドイツは、財政規律の遵守を世界で最も重視する国の一つだ。同国は、EUそしてユーロ圏の事実上のリーダー国として、周辺諸国に財政の健全化に関する模範を示そうとしている。ユーロ圏に加盟する国は、各年の財政赤字比率を3%未満、累積公的債務比率を60%未満に抑えることを義務づけられている。ドイツは財政赤字に関する規則は達成したものの、債務比率についての規則にはまだ違反している。しかしその債務比率は、60%の上限に向けて急速に近づきつつある。

 さらに、ドイツは2009年に、「債務ブレーキ(Schuldenbremse)」という新しい規則を憲法(基本法)に加えた。これにより連邦政府は2011年以降、毎年の名目GDPの0.35%を超える額の借金をすることを禁止された。州政府は、新規の借入金を全く許されていない(ただしリーマンショックの影響を考慮して、規則の正式な施行は2016年1月1日以降になる)。つまり、ドイツでは財政赤字の削減が、憲法によって義務づけられているのだ。

 ドイツでは、政府だけでなく納税者の間にも、「政府が巨額の債務を負うことは、将来の世代に多額の利払いの負担を課すことになる。これは、将来のドイツ人の行動の自由を奪うことになるので、無責任だ」という考え方が強い。

 さらにドイツ語の債務(Schulden)という言葉は、罪(Schuld)という言葉と共通する部分があり、日本語や英語以上に否定的な感情がこめられている。これも、ドイツ人が政府の借金経営を嫌う一因と思われる。

 日本や米国、英国やフランスなど大半の先進工業国では、政府が巨額の借金をして、景気の下支えをすることが常識になっている。メディアも、この異常事態に慣れてしまったのか、政府の借金依存症に警鐘を鳴らすことは少ない。私は、1990年代後半から「日本政府の借金依存体質に問題はないのか」と日本の経済ジャーナリストらに尋ねてきた。彼らの答えは、たいてい「日本の国債は大半が国内の金融機関によって保有されている上、日本には莫大な個人金融資産があるので、心配はいらない」というものだった。

 しかしドイツだけは、財政出動によって景気を刺激するのは当然だという「世界の常識」に挑戦し、「国が借金をしなくても、経済成長を行うことは可能だ」というメッセージを全世界に向けて発信しているのだ。ある意味で、この取り組みはアベノミクスへの挑戦状でもある。

財政収支の国際比較(対GDP比率:%)

(注)OECDの財政収支比率の解釈はドイツ財務省の計算方法と異なるので、ドイツ財務省の数字とは一致しない。(出所:財務省ホームページ OECD "Economic Outlook 94"(2013年11月))
成長率低下で財政黒字達成に遅れ?

 さて、ドイツ財務省は今年7月に発表した予測の中で「来年度に財政黒字を生む」と宣言したわけだが、私は財政均衡の達成が遅れる可能性もあると考えている。理由は、連邦財務省が2015年に財政黒字を達成する前提として、かなり高い成長率を想定しているからだ。

 連邦財務省は、この財政収支予測の中で、2015年度の名目GDP成長率が3.8%、2016年度からの3年間は平均3.1%になることを前提にしている。したがって、実際の名目GDP成長率がこの予測値を下回った場合には、財政均衡を達成できない可能性がある。

 注目していただきたいことは、連邦財務省がこの予測の中で、実質GDP成長率ではなく、名目GDP成長率を使っている点だ。インフレが激しい国では、名目GDPは年々増加するが、それは付加価値の増加を意味するものではない。このため、ある国の経済パフォーマンスを分析するには、名目GDPよりも、物価上昇の影響などを排除した実質GDP成長率の方が適している。このためドイツやEUで公表されている大半の統計では実質GDP成長率を使用しており、名目GDP成長率はほとんど使わない。

 おそらく連邦財務省は、将来の物価上昇率を予測するのは難しいので、この財政収支予測の中で、名目GDP成長率を使ったのだろう。しかし次の表が示すように、2013年の数字を見ると、財務省が使っている名目GDP成長率と、実質GDP成長率の間には大きな隔たりがある。

ドイツ連邦財務省の中期財政予測(2014年7月発表)で前提として使われた名目GDP成長率

 しかも、ドイツ経済の先行きには、警戒信号が点っている。今年10月9日に、連邦政府の経済諮問委員会を構成する4大経済研究所は、政府に提出した秋季経済報告書の中で、2014年度の実質GDP成長率を、今年前半の予想値1.9%から1.3%に、2015年度の実質GDP成長率を2.0%から1.2%に引き下げた。

 経済学者たちは、「2014年のドイツの失業率は6.7%だが、来年はやや上昇して6.8%になる」と予想している。

 4大経済研究所は、成長率を大きく下方修正した理由として、多くのドイツ企業が今後の景気の先行きについて悲観的な見通しを強めていることを挙げている。ドイツでは、ウクライナ危機がロシアとの経済関係に悪影響を及ぼす可能性や、中東でイスラム教過激派「イスラム国」との戦争が激化する危険、エボラ出血熱の感染拡大、さらに中国経済の減速などを理由に、投資をためらう企業が増えている。

 今年8月のドイツの輸出額は、前月に比べて5.8%減った。これは2009年1月以来、最大の落ち込みである。

 メルケル政権も、4大経済研究所の予測を受け入れて、今年と来年の実質GDPの予想成長率を引き下げざるを得なかった。

優先すべきは経済成長か、財政均衡か

 それだけではない。ドイツの経済学者の間では、来年度に財政黒字を達成するという政府の目標に対する批判の声さえ出始めている。ベルリンのドイツ経済研究所(DIW)のフェルディナンド・フィヒトナー氏は「メルケル政権は財政均衡を達成し、他のユーロ圏加盟国に対し模範を示そうとしている。もちろん政府が借金を減らすのは正しいことだ。しかし、景気減速の兆候が見えているのに、財政均衡に固執することは適切ではない」と述べた。

 さらにフィヒトナー氏は「メルケル政権が去年の総選挙の後に法定最低賃金を全職種に導入したことや、公的年金の支給条件を部分的に緩和したことは、経済成長を阻害する。これらの措置は、企業の国内投資を阻む要因となっている」と述べ、大連立政権が社会民主党(SPD)の圧力のために国富を市民に還元したことを批判した。

 確かにメルケル政権は、去年の選挙後にSPDとの大連立政権を組んで以降、過去にシュレーダーが行った社会保障改革を部分的に逆戻りさせている。ドイツの労働コストの増加率は、シュレーダー改革によって一時的に低下した。しかし経済学者たちは、メルケル政権が2014年1月に採用した「ばらまき政策」によって、労働コストの増加率が再び上昇すると予想している。

 DIWのマルセル・フラッチャー所長は、「ヨーロッパの病人と呼ばれたドイツがシュレーダー改革によって、ヨーロッパのチャンピオンになるまでに10年かかった。しかし、ドイツがあっというまに再び病人になる可能性もある。ドイツは、過去の成功で食いつなぐのではなく、成長重視の政策を将来も続ける意思を表示するべきだ」と述べ、改革努力を緩めることに釘を刺した。

 ミュンヘンのIFO経済研究所のハンス・ベルナー・ズィン所長も「ドイツは、今後やってくる困難な時代への備えをせずに、シュレーダー改革の成果を消費し尽くそうとしている。特にメルケル政権が、一部の勤労者の公的年金の支給年齢を63歳に引き下げたこと、再生可能エネルギーの拡大、最低賃金の導入は、経済成長を妨げる」と警告した。

 ケルンのドイツ経済研究所(IW)のミヒャエル・ヒューター所長は「ドイツ政府は、高速道路などインフラ整備のために毎年100億ユーロを投資し、景気の下支えを行うべきだ。政府は憲法によって、毎年GDPの0.35%までは新規の借金を行うことを許されているのだから、国債を発行してでもインフラへの投資を行うべきだ」と述べている。ヒューター氏は、「財政赤字ゼロは、是が非でも達成しなくてはならない目標ではない」と指摘した。

 「財政黒字達成」は、連邦財務省のヴォルフガング・ショイブレ大臣の悲願である。コールの子飼いの部下だった彼は、かつてコールの後継者として首相になるという下馬評が上がったこともあり、キリスト教民主同盟のプリンスと呼ばれた。しかし、1990年に暴漢に撃たれて半身不随となった上、コール首相の不正献金疑惑でも名前が浮上したことから、首相の座をめぐるレースでメルケルに敗退。いわばドイツ政界の悲劇のプリンスである。

 今年72歳になるショイブレは、ほぼ半世紀ぶりに財政均衡を達成した財務大臣として、歴史に名を残すことを狙っている(彼はメディアの脚光を浴びたいという願望が、他の政治家に比べて特に強いことで知られる)。彼は財政黒字によって、政治家としての花道を飾りたいのだろう。口の悪い論客は、「ドイツの財政黒字への執着は、フェティシズムに近い」とすら言う。

 そのショイブレにとって、「財政黒字に固執することなく、財政出動で景気の落ち込みを防げ」という経済学者たちの勧告は、大変都合が悪い。不況に苦しむフランスやイタリアなどの周辺諸国も、「財政黒字は当分棚上げして、景気刺激策を取ることによって、我々の国からの輸入を増やしてほしい」とドイツ政府に迫るに違いない。果たして、メルケル政権は「財政潔癖主義」を一時的に曲げて、景気対策に本腰を入れるだろうか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20141020/272793/?ST=print 


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