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好調・野村不動産、業界異例の即日完売の秘密 脱マンション戦略に懸念も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/275.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 24 日 07:55:05: igsppGRN/E9PQ
 

好調・野村不動産、業界異例の即日完売の秘密 脱マンション戦略に懸念も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141024-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 10月24日(金)6時0分配信


 国土交通省が9月18日に発表した基準地価(7月1日現在)は、三大都市圏が前年比0.8%上がり、2年連続の上昇となった。住宅地が6年ぶりに上昇したほか、商業地も上昇率が伸びた。

 地価上昇の影響で息を吹き返したのがマンション業界だ。三大都市圏では昨年から大型マンション建設ラッシュが続いている。中でも特に元気なのが野村不動産ホールディングスだ。

 同社が東日本旅客鉄道(JR東日本)中央線の立川駅前に建設、7月12日に発売した大型マンション「プラウドタワー立川」の第1期販売(230戸)は即日完売した。「郊外で、しかも都心より高価格なのに、どうして即日完売できるのか」と、マンション業界関係者を一様に驚かせた。

 不動産経済研究所の調べでは、今年1〜7月に発売された東京23区内のマンションの坪当たり平均単価は290万円だが、それに対してプラウドタワー立川は342万円で、立川駅周辺の平均単価と比べても30%程度高い。業界関係者が驚くのは当然だ。

 無論、これには理由がある。同マンションは2016年8月竣工予定で、立川駅に直結する地上32階建て。うち、9〜32階が住居マンションで、3〜7階にはヤマダ電機が入居、1階には行政窓口サービスが設置される予定の複合型マンション。つまり、住宅、商業施設、公共機関が一体化した利便性が1つ。もう1つ、入居者が自分の好みに合わせ、間取りを無償でアレンジできる「ライフスタイルセレクト」を採用している点も挙げられる。

 つまり「生活の利便性と、自由な間取りがマンション購入者の人気を集めた」(同社関係者)というわけだが、これだけの理由で即時完売を説明するのはいささか難しい。そこにはやはり、同社が即日完売に全力を挙げてきた背景がある。

●即日完売を支える製販一体体制

 用地買収から竣工まで1〜3年かかるのがマンション開発事業。仕込みから出荷まで時間がかかるので、販売は市況変動の影響を受けやすい。好況時は即日完売も可能だが、不況時は売れ残りが珍しくない。したがって「マンションに定価はない」が業界の常識。好況時は周辺相場より高値でも売れる半面、不況時は周辺相場より何割も安くしなければ売れない。このため、不況時には「あと半年辛抱すれば好況の波が戻ってくるはず。それまで待て」と、営業担当者に販売活動を停止させるマンション開発業者もいる。

 そんな業界で野村不動産が即日完売をマンション開発事業の至上命題にしているのは「即日完売で事業資金を早急に回収、次のマンション開発投資に回す」のが目的だ。加えて、即日完売ならモデルルーム開設、広告宣伝などの販促費を最小限に抑制できるメリットもある。

 その背景には、独立系ならではの事情がある。それは財務基盤の弱さだ。三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産の財閥系大手3社と異なり、1957年に野村證券から分離独立して不動産事業に参入した野村不動産の場合は、親会社から承継した事業資産はゼロに等しい。このため、わずかな事業資産を有効に生かそうと頭を悩まし続けてきた。その結果、02年にマンションブランドを「プラウド」に統一、マンション開発を主力事業に定めてからは即日完売を至上命題に「資金回収・投資」の短サイクル化で事業規模を拡大してきた。実際、それは「契約進捗率」からも明らかだ。同社は昨年度約6000戸のマンションを発売したが、その約80%を「期初売約済み」にしている。

 好不況にかかわらず、それを可能にしているのが同社独自の「製販一体体制」といわれている。開発案件が決定すると、用地買収、建築、営業の各担当者が集まり、マンションのコンセプトや外構、間取り、内装から価格帯に至るまで綿密に打ち合わせるのが同社製販一体体制の特徴。そうすることで開発案件の青写真が担当者全員に見え、おのずと用地買収額の上限が決まり、適正販売価格も定まってくる。

 マンション業界では、高値つかみした用地の買収資金を回収するため、市況を無視した価格設定で売れ残りを続出させて赤字に陥るケースが珍しくないが、製販一体体制ではこうしたリスクを回避できる。また、営業部門も開発スケジュールが用地買収前からわかるので、広告宣伝などの販促活動を最適なタイミングで開始できる。このことも即日完売率の高さにつながっている。

 業界関係者は「加えて、野村證券の営業DNAを引き継いだ『詰める文化』もある。完売できなければ、上司から『なぜ売れないのか』と徹底的にしごかれる」と苦笑いする。

 即日完売方針と製販一体体制が功を奏し、同社のマンション販売戸数は近年上昇し続けている。例えば、10年3月期に4111戸だった販売戸数は14年3月期に6209戸となり、過去5年間で51%もの増加を示し、15年3月期は過去最高の7000戸販売を計画している。

●真の課題は資産リスク管理能力の向上

 マンション開発事業の好調に支えられ、14年3月期連結業績は売上高が前期比2.8%増の5320億円、営業利益が同27.4%増の743億円となり、ともに過去最高を記録。同社は中期経営計画で16年3月期に「営業利益650億円達成」を目指していたが、この目標を2年前倒しで上方修正達成したかたちだ。

 前途洋々に見える業績だが、懸念もある。それはマンション開発事業依存度の高さだ。14年3月期の場合、住宅事業(大半がマンション開発)の売上高比率が56.9%、同営業利益比率が40.8%となっている。

 そもそもマンション開発事業は仕込み(用地買収)も販売も景気動向に左右されやすく、事業の安定的成長度が低い。社会が人口減少に進む中、マンション需要の先細りも予想される。このため、同社では「非住宅事業の強化」が中期的課題になっている。

 具体的には、マンション開発事業を7000戸販売水準で持続した上で、賃貸事業(賃貸オフィスビル・商業施設・物流施設開発)とサービス事業(資産運用受託、不動産物件仲介)を強化、22年3月期までに「マンション販売で一喜一憂しない事業体質に転換する」(同社関係者)成長シナリオを描いている。

 この「脱マンション依存」において、同社が今期から注力しているのが都心部の大規模再開発や複合商業施設開発に絡む賃貸事業だ。同社は賃貸事業を「収益不動産開発事業」と位置付けている。現在、東京・西新宿三丁目再開発計画、日本橋一丁目再開発計画など約10案件が進行中だ。

「仕込んで、売ったら終わり」のマンション開発事業と異なり、同事業は長期間にわたって収益が担保されており、安定性が高い。今年4月には専任部門の「開発企画本部」を新設、同事業強化に投資をシフトしている。そのための財務体質も出来上がってきた。例えば自己資本比率は09年3月期の17%から14年3月期は27%と大幅に増加、15年3月期はさらに30%に改善する見込みだ。

 だが、賃貸事業の強化は、賃貸オフィスビルなど保有資産の増加を意味する。それは取りも直さず、不動産市況の変動リスクを抱え込む結果となる。脱マンション依存の戦略転換を成功させるには「事業拡大と資産リスク増大のジレンマ。これをいかに解決するかがキーポイント」(証券アナリスト)になりそうだ。

福井晋/フリーライター


 

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コメント
 
01. 2014年10月24日 09:01:15 : nJF6kGWndY

>資産リスク管理能力の向上

それは購入側も同じ


インフレが定着し、長期的に付加価値が見込め、自己資金が十分あるなら、

賃貸より、所有が得という判断する人間は、かなり多くても不思議ではない

さらに震災や転居など各種リスクを考慮して購入が絞り込まれることになる



02. 2014年10月24日 11:28:06 : gAspvNHEmc

本当お前、当たり前の事しか言えねぇなwww 。

03. 2014年10月24日 11:29:39 : YylixLkL5Y
今がピークと思います。

少子高齢化が進む日本では将来の需要は確実に減ります。今の若い人は親の住宅を相続できる人がますます多くなります。


04. 2014年10月27日 07:14:40 : jXbiWWJBCA
「駐車場の上」から、不動産の常識を変えていきたい

フィル・カンパニー 社長兼CEO 高橋伸彰さん【後編】

2014年10月27日(月)  古市 憲寿

(前回から読む)

古市:いろいろな会社の立ち上げを手伝っていた中に、家具会社の「駐車場の上にショップを作りたい」というアイディアがあった。


高橋伸彰(たかはし・のぶあき)
株式会社フィル・カンパニー 代表取締役社長CEO
1977年、長野県生まれ。一橋大学商学部経営学科卒。オリックス、会計事務所などを経て、2005年6月にフィル・カンパニーを設立。駐車場を活用した「空中店舗」開発で注目を集めている。米国公認会計士資格を保有。(写真:大槻純一、以下同)
高橋:私自身もお店をやりたいと思ったことがあったし、場所借りをした経験もあるんですが、場所を借りるのは大変です。だけど、借りないと何も始まらない。場所があることで楽しいことが増えていく。場所を探している人っていっぱいいるはずなんですよ。そう考えると、駐車場の上って確かにもったいないなあ、と。

 何もないところが収益を生むスペースになる。これは絶対に面白い。やる価値はある。それで、ベンチャー支援のポータルサイトのほうの会社を休眠させて、スタートすることにしました。

古市:休眠させた会社はうまくいってなかったんですか。

高橋:いえ、むしろそっちはうまく回りそうな感じでした(笑)。

古市:でも、駐車場の上の空中店舗のほうにさらなる可能性を感じた。

高橋:そうですね。このビジネスモデルは絶対に成功する、成功させたいと思いました。

古市:ベンチャー支援でつきあっていた他のクライアントは、もともと高橋さんたちの関係者が多かったですか。

高橋:そうですね。20歳くらいの頃、ベンチャーブームで失敗した仲間同士というか。何かをやりたい仲間たちのつながり。みんな金はないけど元気はある、みたいな。

古市:なるほど。フィル・カンパニーの設立は2005年6月ですね。

3カ月で結果を出す!

高橋:フィル・パーク事業をやろうとした、私ともう一人のメンバーとで資本金は1万円で、運転資金を50万円ずつ、計100万円を元手に3カ月、まずはやってみることにしました。2人にとって生活費だったんですけれど、でも、空中店舗という面白そうなビジネスをまずはやってみよう、うまくいきそうもなかったら撤退すればいいのだから、と。

古市:3カ月で結果を出すって短すぎないですか。

高橋:そうですね。結局、3カ月では結果は出なかった。何も建たないまま100万円がなくなりました。考えてみれば、資本金1万円の会社で空中店舗といういくらかかるかよくわからない建物を建ててみようなんていう人、いないですよね。誰も協力してくれなかった。

 ただ、いろいろなメーカーさんをまわった中で、あるアルミメーカーさんが「面白いね」と興味を持ってくれまして。「興味を持ってくれる人はやっぱりいる。ならば、建物自体はいつかきっと作れる、あとはやってみたい人を探せばいいんだ」と考えた。

 そうこうしているうちに、パートナーの知人が働く会社の土地がたまたま10坪あって、車1台分のスペースを半年だったら借りてもいいという話が出たんです。3カ月でここまではいったんですね。

古市:それで?

高橋:一つ建てられれば、ベンチャーキャピタルからも投資が下りるだろうし、事業内容は絶対にいいはずだからと信じていましたが、反対する人が思った以上に多くて。


古市:反対? どんな反対があったんですか。

高橋:建物というのは「とにかく大きく、長期的視野に立ってどーんと造るもの」、という常識があるんですね。建ペイ率や容積といった建築条件を最大限使う建築です。駐車場の上部空間を暫定的に活用するとか、10年間限定で使用するといった発想がわかってもらえないし、そんなムダなことをなぜするのかと、よく言われました。

 我々はすでにある駐車場の上の空間をどう活用するかという話、皆さんは造ったら売るのが当たり前という話。

古市:なるほど。でも、そんなにいろいろ批判されて不安にはならなかったですか。やっぱり無理かなあ、って。

高橋:何度も不安になりました。とはいえ、絶対にいいと思うよ、と応援してくれる人もいますし、私にも根拠なき確信がありました。

古市:借りたい、という人はいっぱいいるはずですよね。

かっこいいけれど焦熱地獄のオフィス

高橋:ええ、そうなんです。駐車場は調べてみたところ、日本に10万カ所以上あるんですよ。コンビニエンスストアが今5万店ぐらいですから、その倍です。しかも、まだ増え続けている。都内だけでも3万カ所あると言われています。

 場所があって、活用したい人がいる。あとはそれでお金を回せるかどうか。ビジネスとして回るシステムを確立すれば成功するはずだ、と。私は建築や不動産知識のかけらもない人間でしたが、「あったらいいな」と心底思える事業だった。

古市:そうですね。言われてみれば、本当に「あったらいいな」ですね。で、結局、3カ月の最後に出てきた1個はどうなったんですか。

高橋:この案件に1000万円ほどかかりそうだったから、とにかく1000万円を集めようとアルミメーカーさんやいろいろな知り合いに頼んでかき集めました。

古市:そういえば、そのアルミメーカーはもともと知り合いだったんですか。

高橋:いえ、飛び込み営業です。アルミって軽いし、キレイだし、再利用もしやすい素材なんですが、鉄の3倍も高価な素材で、そのアルミをどう売っていくかチャレンジされていました。そのタイミングだったのでご支援いただけたのだと思います。それで、「アルミとガラスを使って、カッコイイ弊社のショールーム兼オフィスにしよう」という話になりました。今は解体してしまいましたが、第1号物件の「フィル・パーク八重洲」です。


古市:わあ、かわいい規模のおしゃれな建物。車1台分くらいかな。その後の物件と比べるとずいぶんシンプルですね。

高橋:そう、かわいい規模ですが、とにかく1個作ってみようということで。

古市:でも、あの…これ、夏は暑そうですね…。

高橋:おっしゃる通り、夏がめちゃくちゃ暑かったんですよ! 我々は建築がよくわかっていないから、とにかく目立たせよう、かっこよくしよう、とトイレ以外は全面ガラスにしたんですが、2006年3月に竣工して4月ぐらいでもう、全員日焼け(笑)。オフィスにいるのが罰ゲームのようで、電話番で1人だけ残ってあとはスタバに避難して仕事していました。屋根の大切さを身を持って学びましたね…。夏は葦簀を上に置いて「海の家バージョン」とか言ってみたりしたんですが。

古市:どれくらいオフィスとして使ったんですか。

高橋:初めは半年間という契約でしたが、期間延長させて頂いて1年半使っていました。

古市:そのお金を出してくれた人たちの動機はなんだったのでしょうね。

高橋:会社に対しての投資。いつか大きくしてね、という。

古市:エンジェル投資家のような感じですか。

高橋:ええ、そうです。資本金は1万円でスタートして、100万円、1000万円と増えていき、1年半で3460万円となりました。

古市:資金調達は順調でしたか。

賃料ベースで2割は安くできる


高橋:3460万円までは10万円ずつ、小中高大の友人、サラリーマン時代の先輩なども含めて、多くの人に少しずつ出していただきました。出せなかったら物件を借りてください、飯おごってください、とお願いしました。絶対にハッピーな事業で世の中を変える可能性があります、私たちは命がけで取り組んでいますから信じてください、大変な時も応援してください、と。

古市:へえ、すごいなあ。2006年11月竣工の2軒目の「フィル・パーク赤坂」はぐっと大きくなりましたね。ここもおしゃれ。屋根はちゃんとあるし(笑)。

高橋:2軒目は飲食店でやってみたいと考えました。東松山の焼きとんのお店が赤坂で3年間限定の店を出してくれました。アメリカ大使館のすぐ前。

古市:フィル・カンパニーはどこからお金をもらって、どう儲ける会社なんですか。

高橋:最初は建てた物件を弊社で所有していましたが、今は土地の所有者に建てていただいて、弊社が借り上げたり、管理したり、運営をお任せいただいています。フィル・パークを作る企画開発収入、完成後の運営管理収入が主な収益源です。

古市:始める前にはいろんな反対にあったけれど、結局、順調に広がったのですか。

高橋:最初の5年間は苦しい状態でした。1件造るたびに赤字が増える時期もありましたし。(注:現在約50軒:建築中含む)

古市:えー、それでも諦めなかったのはなぜですか。

高橋:数が増えていけば、皆さん、わかってくださると信じていました。最初はロゴマークを営業資料がわりに持って駐車場の上でやらせてください、と営業して歩いたんですが、資本金1万円の会社はなかなか信用してもらえない。まして、土地を持っている方ってお金持ちが多いですが、資産活用や土地活用について様々な営業提案を受けているし、私たちもそれらの数ある業者の一つだと思われていました。過去にそれらの業者とトラブルになった、という方もいらっしゃいますので、すぐに信頼を得られるとは最初から思っていませんでした。

高橋:だから、不動産や建築業界には縁も所縁もない人たちが集まって、業界特有の常識を変えていこう、地道に着実にフィル・パークを増やしていこう、と。苦しい時期でしたが、こういう店舗がやりたい、といった人たちがたくさんいることも実感できていたので、諦めずに続けられたんです。

古市:今、社員は何人ですか。

高橋:非常勤を合わせて20人です。

古市:リクルーティングはどのようにしましたか。

高橋:知り合いを通じて、この事業を面白いと思ってくれている人を集めました。

古市:普通の不動産屋さんから店舗を借りるのと比較して、どれくらい安くあがるんですか。

高橋:テナント賃料は概ね2割程度は削減できています。賃料は周辺相場だけでなく、建物の付加価値で決まっています。建築コストを下げることでそれに比例して賃料も下げていくことが出来ますので、建築コストにも拘っています。建物はお金をかければ誰でも良いものは造れます。でも、私たちはガラスと鉄骨の骨格だけの状態が基本です。いかに早く、安く、かっこいい空間を造るかを追求しています。

 地主さんによっては町おこしの一環として考えていらして、家賃がどうこうよりも、ここにどんな業態が来ると商店街を活性化できるか、地域を盛り上げてくれるか、そういうテナントさんを呼んでくれないか、と相談されることもあります。

後追いもあるが、なかなかうまくいかない

高橋:駐車場にしているということは、何か理由があって駐車場になっている場合がありますから、その理由を解決してさしあげるケースもあります。暫定的に駐車場にしているだけで、その場所に合うビジネスが展開できるならしたい、という地主さんも少なくない。

古市:営業をかけるのはコインパーキング運営会社ではなく、地主さんですか。

高橋:今はそうです。最初は駐車場運営会社との業務提携ケースもあったんですが、駐車場会社さんが全部の意思決定権を持っているわけではない。結局、地主さんとお話しできるかが要点です。それと、営業をかけるといっても、現在は紹介か直接地主さんからお話をいただくスタイルで、地主さんに飛び込み営業といったことはしていません。

古市:実際にはどういう流れになるんでしょう、たとえば「青山に5台しか入っていない駐車場があるけれど、ここにこんなショップを呼べないですか」、といった話がくるんですか。

高橋:そういうのもありますし、駐車場をお持ちの方は弊社のビジネスを知ると必ずといっていいほど興味を持ってくださる。駐車場だけやっているのはもったいないと感じている方は多いです。ですから、何かで知ったという地主さんから直接お問い合わせを多くいただきますし、人づての紹介もどんどん増えています。よくあるパターンは、金融機関、税理士さんや弁護士さんなどからの紹介ですね。信用金庫さんは商店街の活性化というテーマがあるので、特に。

古市:なるほど。街を活性化したい地主さんとそのお金を預かる信用金庫がセット。

高橋:地元のお金を預かる信用金庫さんが、地元で何かお店をやりたい人に貸して、という流れに弊社のビジネスモデルはぴったりなんです。

古市:地主さんからすれば節税対策にもなりますもんね。

高橋:そうですね。

古市:アイディアをマネしようとする会社は出てこないんですか。

高橋:いっぱいいましたよ。でも、事業としてうまくやっている会社はないですね。

古市:なぜ他はうまくいかないんですか?

高橋:「駐車場経営とテナント経営」、「地主とテナント」が共存できるように企画して、設計、建築を行うのは難しいんです。駐車場の駐車台数を最大限確保するための柱の配置や、空中店舗への導線、テナント賃料設定、投資回収期間の短縮化など考慮すべき点がたくさんありますから。

なぜ駐車場にこだわるか


古市:素朴な質問ですが、1階部分は入居テナントがいて、貸し出す期限を切った形で3年なり5年なりが確定されていれば、必ずしも駐車場でなくでもいいんじゃないですか。

高橋:そこはやはりキーとなる部分ですが、なぜ駐車場になっているかといえば、駐車場は空室リスクがないことなんです。テナントは入退去が起こりますが、退去状態が続くと賃料収入が絶えることになります。しかし、駐車場ではそれはありません。また、コインパーキングは場所によってはお店に貸すよりも収入が高いケースがあります。特に東京23区内や地方都市の中心部ではその傾向があります。

古市:ああ、なるほど。管理も楽ですしね。

高橋:100円パーキング、なんて書いてあるとそんなに儲からなそうに感じますが、リーマンショック後や不動産不況も関係なく、ずっと伸び続けているビジネスです。そういえば、コインパーキングって日本発のビジネスモデルだってご存知ですか。

古市:へえ。それは知らなかったです。でもそれは、ちゃんと満車になれば、という話ですよね?

高橋:もちろんそうです。だけど、こんなに駐車場があっても日本ではまだ足りないと言われているくらい。場所がないのに車は多く、人が行く場所も集中していますからね。

古市:駐車場として人気のある場所、ない場所、両方あると思いますが、出店に関しては人気のある場所だけでやる、というわけではないんですよね。

高橋:はい。弊社は、その場所で借りたい人がいるか、という視点で造りますから、借りたい人がいて、地主さんもやる気があれば、ということです。

最終的には「来月、ここに」を可能にしたい

古市:フィル・カンパニーを始めてもう9年以上経っていらっしゃいますが、それまではいろいろやっては、結構短期で辞めている。そろそろ飽きてきたりしていませんか。

高橋:ははは。まだ道半ばなので。

古市:道半ば?

高橋:この事業に関しては、スタート時点で、これを100個200個造ったってしょうがない、と思っていました。駐車場の数だけ面白いことができるし、少なくとも1000個くらいはやらないと面白みがない。初期は地主さんを見つけるのもテナントさんを見つけるのも大変だったし、建築コストにも苦しみましたが、やればやるほど良くなっていっている。

 追求していけば、おもちゃのレゴみたいな建築システムを作れると思うんです。欲しい場所に欲しい価格ですぐにカチャカチャカチャと組み立てて造れるようになる。現在、フィル・パークの標準的な工期は3カ月ですが、もっと早めたい。

古市:早いですね。


高橋:建物がそんな短期間でできるってすごいことです。でも、それをもっと早く、最終的には「来月、このあたりの場所にこういうのを建てたい」という依頼があったら、希望の空間が1か月ぐらいで配送される、といったことも可能になると思う。コストも徹底的に抑えた形で普及していけば、その建物を安価で貸すことが出来るようになり、チャレンジをしたい方たちを増やすことが出来るようになります。

 ちなみに、家の値段ってほとんど変わっていないでしょう。今まで日本人は住宅ローンを返済し続ける人生みたいになっていたけれど、最近の若い人は家を買うっていう感覚、あまり持っていないんじゃないですか。

古市:そうですね。賃貸派も多いですね。

高橋:所有より使用、という感覚があるように感じます。所有することでそこから動けなくなり、それがリスクと考えているのかもしれません。一方で、ヨーロッパでは、住宅は適切なメンテナンスを行うことで3世代に渡って住み続けることができます。住宅ローンの返済のために働き続けることが前提ではないので、豊かに生活できるというケースもあると思います。

自分の幸せのために、世の中を楽しく

高橋:つまり、それだけ、不動産とお金の問題は人生において避けて通れないもの。生きているなかで本当は他にやりたいことがあったとしても、やりきれなくて、家のために時間や労力をムダにしている可能性がある。その問題を解決する仕組みとしても、駐車場の上から何かできるかもしれない。

古市:そういえば、シェアハウスの物件もありますね。

高橋:そうですね。既に、店舗だけでなく住宅としての活用も始めています。他にも、新しいテーマは常に探しています。ホテル業態もやってみたいと思っているんですが、見に行った土地が細長くて暗い場所。ちょっと難しいかなあ、と思ったら、カプセルホテルならむしろそういう場所がいい、と教えていただいて、光が入らないほうがいい業態っていうのもあるのか! と、新たな発見でした。

古市:高橋さんの原動力は何ですか。新しいことを始めるのが好きなのか、社会の役に立ちたいのか。いろいろあるとは思いますが。

高橋:本音を言うと、自分が幸せになりたい。その自分の幸せの中に、自分が楽しいと思える店が増えたらうれしいな、というのがある。このビジネスで賃貸料が下がれば、楽しいと思える店が世に出る手助けができるかもしれない。

高橋:自分が気に入ったものがどんどん増えたらうれしいし、自分が好きな人が幸せに暮らしてほしい。そういう人が増えていけばいくほど、掛け算的にもっと世の中楽しくなる、だから働く、という感覚ですね。

古市:尊敬する起業家はいらっしゃいますか。

高橋:松下幸之助さん。一度お会いしてみたかったです。

古市:急にオールドエコノミーですね(笑)。

高橋:ははは。人間くささに惹かれます。発言を読むと、純粋に自分も含めて幸せな世の中を作っていきたいと思っていて、結果あのような大企業になった、という感じがする。少なくとも正直な生き方をして、周りも幸せにしながら突き進んで、亡くなられたと思う。

「元気があれば何でもできる」!?

高橋:あとはアントニオ猪木さん。あの突き抜け感がすごいから。

古市:えっ、起業家として?

高橋:起業家というより今は政治家ですよね。「元気があれば何でもできる」、という彼のフレーズは誰も否定できないでしょう。

古市:確かにそれは誰も否定できないですね。今日はいろいろとお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

高橋:こちらこそ、ありがとうございました。

(中沢明子:ライター/出版ディレクター、本連載取材協力・構成)


高橋さんの毎日のバッグはトゥミのリュック。
 バックパッカーズジャパンの本間さんから紹介された高橋さん。しかし、ふたりの雰囲気は結構違った。高橋さんは、なんていうかきちんとしたビジネスマン。確かに、主に若い外国人観光客を相手にする本間さんと違い、こちらの仕事は不動産関係。年配の地主さんと仕事をすることも多い。
 だが話を聞いていけば、高橋さんの人生は決して一筋縄ではなかったことがわかった。元旅人。メキシコからポンチョを仕入れて売っていたこともある。大学時代に仲間と企ててうまくいかなかった起業や、ポンチョにまつわる失敗や、ひとつひとつのエピソードが面白い。とても今の真面目な雰囲気やスマートなビジネスモデルからは想像できない。
 起業は何も人生で一度だけのものでもないし、一度うまくいかなかったからといって、それで全てを失うわけでもない。そんな一筋縄ではいかなくて、紆余曲折を経るところまで含めて、高橋さんの旅人人生は、まだきっと続いている。
(古市 憲寿)

このコラムについて
イマドキの社会学者、イマドキの起業家に会いにいく

かねてから「起業家」という存在に興味を持っている。よく世の中では起業家というと、お金にがめつくて、野心にあふれて、独立心の強い人だなんてイメージが持たれたりする。一方では最近、社会起業家だとかチェンジーメーカーも注目を集めている。彼らの人柄にも興味はあるけれど、できるだけ起業家と社会の関係を明らかにするような話を聞いてみたい。
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