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地方銀行の再編「顧客サービス面ではデメリットも」と専門家(NEWS ポストセブン)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/482.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 11 月 05 日 07:42:05: igsppGRN/E9PQ
 

地方銀行の再編「顧客サービス面ではデメリットも」と専門家
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141105-00000002-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 11月5日(水)7時6分配信


 いよいよ、地方銀行(地銀)の大再編劇の幕が上がった――。地銀最大手の「横浜銀行」が、東京を地盤とする第二地銀の「東日本銀行」と経営統合する方向で最終調整に入ったからだ。

 預金量11兆円を誇る横浜銀は全国でも指折りの優良地銀として知られ、かねてより再編の引き金を引く“台風の目”とみられてきた。

 地元、神奈川県で強固な顧客ネットワークを持つ「地銀の雄」が、わざわざ県域を越えて他行と組まなければならない背景とは何か。

「横浜銀に限らず、地銀各行は足元の景気回復で経営が安定しているが、いまの超低金利時代に加え、将来の人口減や地方経済の衰退を考えると、収益力がどんどん縮小していくのは確実。そこで金融庁も全国に105行ある地銀は“オーバーバンキング状態”にあると再編を促してきた。

 そうした国からの圧力もあり、今年1月には北海道銀行や七十七銀行(宮城)、静岡銀行など有力地銀の9行が取引先の事業支援で手を結んだ。

 そこから漏れた横浜銀も旧大蔵省で事務次官を務めた元頭取の小川是氏(現特別顧問)が地銀同士の連携を模索したり、今年8月には三井住友信託銀行と資産運用会社の共同設立を発表するなど、他行との関係を深めてきた」(全国紙の金融担当記者)

 では、今回、横浜銀が選んだ統合相手が、規模も小さい第二地銀の東日本銀行だったのはなぜか。金融ジャーナリストの小泉深氏が語る。

「横浜銀はバブル崩壊後に千葉銀行や足利銀行(栃木)、常陽銀行(茨城)との合併説が出たこともあり、“関東圏銀行”への拡大が取りざたされてきました。東日本銀は東京が地盤といっても千葉や茨城にも食指を伸ばしていたので、より広い範囲をカバーできるメリットがあったのでしょう」

 東日本銀にとっても、横浜銀との統合は“渡りに船”だったのかもしれない。小泉氏が続ける。

「融資の取引先企業は、大手はメガバンクにシェアを握られ、中小企業はドブ板営業を続ける信用金庫に情報力でかなわない。第二地銀は苦しい立場であるといえます。そこで、資金力が豊富な相手と一緒にスケールメリットを追えば、金利競争や顧客の奪い合いもできるようになります」

 だが、地銀再編はまだ始まったばかり。横浜銀もこれで終わりとは到底思えない。

「足利銀や常陽銀などとの連携はまだあり得るし、場合によっては10月に統合した東京都民銀行と八千代銀行とグループを築く可能性も否定できない」(前出・全国紙記者)

 このままいけば、1県1行どころか関東や東北などブロック単位で地銀の再編が進んでいきそうな雲行きだが、「銀行を利用する個人や法人にとっては喜ばしい話ではない」と話すのは、前出の小泉氏だ。

「個人レベルでいえば、地銀同士の統合で店舗数が減り、給料の振込先支店が遠くなるなんてことが起きるでしょう。事業資金を融資して欲しい法人にとっては、統合によって審査基準の厳しい地銀に合わせられ、お金が借りられなくなる事態も考えられます。

 ただでさえ、いまの銀行は投資先の将来性を見極める能力がなく、過去の財務諸表しか見ませんからね。地銀の規模が大きくなってサービスがかえって悪くなるようでは地方経済の活性化など望めません」

 地域金融の強化はいいが、より細かな顧客ニーズを汲み取るビジネスモデルが求められていることを、忘れてはなるまい。


 

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コメント
 
01. 2014年11月05日 10:47:17 : nJF6kGWndY

現状の金融経済環境では、ゾンビ企業を生き延びさせるため、超低金利が常態化し

金融抑圧で、本業の融資ビジネスは逆ザヤや減益が当たり前になっている。

今後、改革が進まず、さらに投資環境が低迷し、キャピタルフライトが続くなら、

当然、銀行再編やサービス低下は必至ということだ



02. 2014年11月07日 05:59:54 : jXbiWWJBCA

団塊世代の地方移住が日本を救う
都市郊外のマイホームで淋しい老後を送るのか?
2014年11月07日(Fri) 藤 和彦
 「地方の衰退を止めるために、高齢者の地方への移住を進めよう」──。こう主張するのは、人口減少や高齢問題に関心が高い経済ジャーナリストのS氏だ。

 これまでの地方活性化策は、「企業誘致を行い若者を呼び戻す」のがメインだった。しかし景気が悪くなると企業が撤退し若者も定着しないため、「仕事を作り若者を呼ぶ」という手法には今や手詰まり感が強い。

 地方創生は安倍内閣の最重要課題である。10月21日に総理官邸において、石破地方創生相ら関係閣僚、全国知事会など地方6団体の代表者らが出席した「国と地方の協議の場」が開かれた。その会議の場で安倍首相は「これまでとは異次元の施策に取り組んでいく」と発言している。だが、地方再生は長年の課題であり、具体的な成果を出すのが難しいのが現実だ。

 そこでポイントになるのが「異次元」というキーワード。これまでにない発想の転換が不可欠である。では、なぜ若者ではなく高齢者なのか。

健康でバイタリティーに富んでいる団塊世代

 高齢者が地方に移住することのメリットは、移住した高齢者の旺盛な消費により高齢者向けの新たな産業が発生し、若者中心に雇用の増加が見込めることである。消費税の地方分も増加するが、地方にとって何よりありがたいことは、若者と違って仕事を作らなくてもよく、雇用対策に金がかからないことだ。

 高齢者の中でもターゲットになるのは「ニューカマー」である団塊の世代である。

 これまでの高齢者は戦前生まれであったため、質素倹約の道徳を植え付けられてお金を使わないとされてきたが、団塊の世代は消費意欲が盛んだ。

 公益財団法人日本生産性本部によれば、2013年の余暇市場は65兆2160億円となり、前年比0.8%、4900億円増と2002年に0.7%増加して以来11年ぶりのプラスになった。

 項目別に見ると、「国内観光旅行(避暑・避寒・温泉など)」が3年連続で首位となり(5590万人)、レジャーの代表格として定着した。注目すべきは余暇生活の満足度だ。男女とも10代から40代までは低下するが、50代で上昇に転じ、特に60代以上の満足度の上昇が目立つ。

 あおぞら銀行は10月1日、60代を中心とする55〜74歳の男女2072人を対象に行った「お金の使い方や資産について」のアンケート調査を発表した。調査では、「子どもには財産を残さず、今を楽しむために使う」と回答した人が66%に達するなど「今どきシニアは自分の人生を謳歌したいと考えている」ことが分かった。平均金融資産額は60代が2254万円。回答者の6割以上が「自分の心の年齢は実年齢よりも若い」としている。

 団塊の世代は、健康でバイタリティーに富んでいる。パソコンが使える。レジャーを満喫することに関しては「現役」以上の活躍ぶりである。

「介護難民」が大量に発生する恐れ

 「数の多さ」で戦後それぞれの時代の流行や文化・社会現象などをリードしてきた団塊の世代だが、彼らにも悩みの種がある。

 東京オリンピックが開催される2020年頃、団塊の世代にも介護需要が発生するため、東京をはじめとする大都市圏で介護施設やサービスに従事するスタッフが不足する問題が顕在化し、いわゆる「介護難民」が大量に発生する恐れがあるからだ。

 65歳以上の高齢者人口10万人当たりの介護老人福祉施設数は都道府県別で見ると(2008年時点)、トップは島根県の37.6カ所、最も少ないのは東京都や愛知県の14.5カ所だ。大都市圏は軒並み下位を占め、上位の県の約半数程度しかない。

 大都市圏に住む団塊の世代は「それなりのお金があるのに行き場がない」という事態に陥る危険性が高いのである。

都市郊外の淋しい老後

 団塊の世代は1947年から49年にかけて約806万人誕生したが、戦争中に都市部から地方に疎開していた女性が多かったため、東北や九州など地方で生まれた者が多い。

 その後、日本経済の復興とともに地方から都市部への大量の人口移動という現象が1960年代末まで続いたが、団塊の世代はまさに大都市に大量流入した世代である。

 「集団就職」は1954年に始まったとされるが、集団就職者の数は団塊の世代が中学校を卒業する時期にピークに達した(63〜65年の3年間で約23万人)。

 地方から学生服を着て夜行の列車で上野駅に上京してきた中卒・高卒の少年少女たちが、下町の町工場や商店の店員として働き、その後、マイホームを求めて郊外に移住した。地方から来た若くて貧しい独身の労働者が、豊かな家庭を持つ中流階級に上昇していくという営みが高度経済成長を推進する力となったと言っても過言ではない。

 団塊の世代は面倒な人間関係や「しきたり」という古い日本を否定し、新天地である都市郊外にマイホームをつくり、自分たちだけの幸せを築こうとした。しかし郊外に建設されたニュータウンはゴーストタウン化し、マイホーム主義者の淋しい老後が現実のものとなりつつある。

 団塊世代は農村部出身者が多いため、農業への関心は強い。都会に出てきてサラリーマンをしたのは、一種の仮の姿であるとの意識がどこかにあるのかもしれない。ボランテイア活動などへの参加意欲も高く、居場所や活躍の場が見当たらない団塊の世代(特に男性)にとって、地方への移住はまたとないチャンスになるかもしれない。

団塊世代を中心に転入が進む佐久市

 しかし地方を勝手に飛び出した団塊の世代にとって「マイホームを捨てて今さら地方に戻るなんて」という心のわだかまりがある。「若者の移住は歓迎されるけど、これから老後生活に入ろうという高齢者を受け入れてくれるのだろうか」という疑問も頭をよぎる。

 悩める団塊の世代にとって朗報なのは、高齢者の移住を積極的に受け入れようとしている地方自治体が現れてきていることだ。代表的な例を紹介しよう。

 佐久市は長野県東部に位置し、北に浅間山、南に八ヶ岳連峰、西に蓼科山など四方に雄大な山並みを望む高原都市だ。実は佐久市は、長野県内にある19市の中で唯一人口を増加させている。

 その秘訣は団塊の世代を中心に佐久市への転入が進んでいるからだが、これをもたらしているのは市挙げての積極的な取り組みだ。

 佐久市の取り組みの特徴は「VSL視点」、つまり「来訪する(Visit)」「滞在する(Stay)」「定住する(Live)」という3つの段階を意識して、その段階ごとに交流事業を展開し、これによって観光地としての魅力にとどまらない「住みやすさ」を実感してもらい、最終的には移住につなげていこうという発想だ。

 例えば、休憩施設に滞在して隣接する農園で自家菜園が満喫できる「滞在型市民農園事業」や、移住を希望している人に市内の空き家を紹介する「空き屋バンク」といった施策がある。空き屋バンクは全国でトップクラスの実績を挙げているが、実際の移住者を「移住・交流相談員」として配置するきめ細やかな対応をしていることが功を奏している理由の1つだろう。

 このように地方への移住は一方的に負担をかけるのではなく、地方も、高齢者に移住してきてもらうことを求める時代に入ったのである。佐久市の試みに追随する地方自治体も徐々にではあるが増えつつある。

 S氏は「団塊の世代をはじめとする高齢者は自信を持ち、移住というものを前向きに捉えよう」と主張する。国も、地方自治体の取り組みを制度面から支援すべきである。

 高齢者を地方に導くための第1の方策は、都市部の自宅を売却し地方に移転した場合に不動産関連の税を免除するなどの優遇措置を採ることである。

 さらに地方に「高齢者特区」などを設定することにより、高度な医療技術を持った高齢者専門病院・介護施設を誘致する。加えて、映画・演劇などの鑑賞施設、ハイキング用の山道等を整備して、高齢者が生活をエンジョイしやすい環境を作る発想も重要だ。

 これらに加えS氏は「同窓会の活用をはじめ、高齢者が移住した場合に溶け込みやすいコミィニテイ作り」の必要性を力説している。確かに地方移住を考える団塊の世代にとって、かつての同級生が多く暮らしていることほど心強いものはない。

もともと「のんびり」したかった団塊世代

 消費社会研究家の三浦展氏は、「団塊の世代の『量を質に転化させる力』をどううまく使うかが、これからの日本の社会の成否を分ける」と主張する。「猛烈サラリーマン」の印象が強い団塊の世代は意外にも「明治以来初めて若い頃から『がんばる』より『のんびり』を人生観とした世代である」という。

 1966年の高校生(団塊の世代)を対象に実施されたアンケート結果によれば、「生まれ変わって財産も才能も無限にあったらどんな職業につきたいか」という質問に対して、「別に働きたいと思わない」「職業などにはつかないで自分の好きなことをやる」といった回答が多数を占めた。

 貧しさから脱却するために嫌でも働かなければならない状況下では、安月給で夢がなく人に頭をぺこぺこ下げるサラリーマンになるしかなかったのかもしれない。だが、団塊の世代もようやく地方で生活をエンジョイできる時代が到来したのである。

 団塊の世代の生みの親である堺屋太一氏は「「団塊の世代は競争に苛まれたとしても、諸外国の同世代に比べて先輩たちの築いた体制と価値観に安住できた幸せは大きかった」と指摘する。米国の戦後世代の多くがベトナムの戦場に駆り出されていく悪夢を経験し、中国の戦後世代が10年にわたる「文化大革命」に翻弄されたのに対し、団塊の世代が物心が付いた1950年代後半、日本の戦後体制はすでに出来上がっていたからだ。

“人生90年時代”のモデルを作れるか

 最近、堺屋氏はそんな団塊の世代に対し、「今こそ必要なのは、本当の新しい時代を次の世代のために用意することだ」という檄を飛ばしている。その意味では、「健康なうちに地方に移住し、移住先で生活をエンジョイしつつ社会的関係を築きながら歳を重ねていく」という“人生90年時代”のモデルを作り上げるのが彼らの責務ではないだろうか。

 団塊の世代が地方に移住すると、都市部の老朽化したマンション・家屋の再生が進み、若い人が都市部で居住できるようになる。自宅と職場が近づき、共働きが楽になり、子供が作りやすくなるという少子化対策にもプラスの効果をもたらす。

 S氏は「都市と地方の人口循環の確立」を提唱している。団塊世代の生活防衛、地方の再生、それから少子化対策は、まさに「三位一体」なのである。

 地方創生を達成するためには長い時間が必要となるが、「団塊の世代の地方移住」がその起爆剤となることは間違いない。

(参考文献)「団塊世代が日本を救う」(日本のこれからを考える会、文芸社)


【関連記事です。あわせてお読みください】
・「変わりゆく老後の家、「縁居(えんきょ)」の時代がやって来る」
( 2014.03.26、有井 太郎 )
・「地方創生は成功するのか? 東京からは見えない地方の構造的問題とは」
( 2014.10.30、雑賀 憲彦 )
・「「地方創生」でよみがえるバラマキ公共事業」
( 2014.09.09、池田 信夫 )
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42117

「地方創生」でよみがえるバラマキ公共事業
これから必要なのは大都市への人口集中だ
2014年09月09日(Tue) 池田 信夫
 いろいろ話題になった石破茂氏の処遇は、地方創生担当相になった。安倍内閣は、人口減対策や地方経済の活性化を進める地方創生を「改造内閣の最大の課題」とするそうだ。石破氏は就任直後のNHKの番組で「一極集中や過疎、過密の問題に政府を挙げて取り組むのは初めてのことだ」と語ったが、これは間違いだ。

 一極集中の是正と「国土の均衡ある発展」は、1960年代の全国総合開発計画(全総)から始まる、政府の国土計画の基本テーマである。アベノミクスに翳りが見える中で、地方に公共事業をばらまいて選挙対策も兼ねようということだろうが、これで日本経済はよみがえるのだろうか?

消滅するのは「地方」ではなく「地方自治体」

 地方創生という奇妙な言葉には、出典がある。民間の有識者でつくる日本創成会議は、地方からの人口流出がこのまま続くと、図1のように人口の再生産力を示す若年女性が2040 年までに50%以上減少する市町村が896(全体の半分)に達し、523市町村の人口が1万人を切り、自治体として維持できなくなるという推計を発表した。


図1 20〜39歳の女性が半分以下になる自治体比率(出所:日本創成会議)
拡大画像表示
 彼らは8月に『地方消滅』(中公新書)という本も出し、人口減少に伴って日本が「極点社会」になるのを防ぐために、「ストップ少子化」や、東京一極集中に歯止めをかける「地方元気戦略」などの政策を提案しているが、ここには問題のすり替えがある。

 日本はこれから人口が減少するのだから、都市に人口が集まったら地方の人口が減るのは当たり前だ。それによって消滅するのは地方ではなく、地方自治体である。困るのは、地方から都市に移住する住民ではなく、納税者の減る役所だけだ。

 企業はすでに人口減少に対応している。もはや地方に新しい大型店が進出することはなく、広域的な集約化が進んでいる。工場は地方から新興国に移転している。自治体も集約し、効率化すればいいのだ。いずれ税収が減ったら、そうせざるを得なくなるだろう。それを政府が止めることはできないし、止めるべきでもない。

都市集中が高度成長をもたらした

 都市への人口集中を止める必要はない。図2のように、1960年代まで人口は大都市圏に集中を続け、それが高度成長の源泉になった。しかし70年代から急速に人口集中率が下がり、成長率も下がった。田中角栄以来の地方に公共事業を集める政策が都市集中を阻害して成長率を下げたのだ。


図2 人口の都市集中率と成長率(出所:参議院)
 日本がこれから考えるべきなのは、都市も地方も平等に豊かになる社会は維持できないということだ。20世紀までは高い成長率と生産性の高い製造業が日本経済を牽引してきたが、それが新興国に追い上げられ、貿易赤字になった現状では、もう「ものづくり」では成長できない。

 これはさほど悲観すべきことではない。日本の1人あたりGDPは先進国の平均水準で、労働生産性もアメリカの8割程度だ。これまでの高い成長率は平均水準にキャッチアップするまでの例外的な状態で、これからは普通の成熟社会になるのだ。

 とはいえ、成長をあきらめて「脱成長」だとか「ゼロ成長でいい」というのは錯覚だ。政府の予想では、2100年に日本の人口は4771万人(中位推計)になり、GDPが世界の1.8%の小国になる。そのとき今のGDPを維持するには年率1.2%で労働生産性が上昇しなければならないが、最近の実績は0.7%なので、今のままでは日本経済は縮小する。

「コンパクトシティ」への選択と集中が必要だ

 経済が縮小しても1人あたりGDPが維持されれば今の生活は維持できるが、何もしなければ、働かない高齢者が増えるので生活水準は下がる。生産年齢人口は毎年1%近く減るので、高齢者を支える現役世代の負担が重くなる。

 今の社会保障制度のままだと、2025年に国民負担率(税+社会保険料)は50%を超え、2050年には70%に達する。国民所得(純所得)が年率1%で成長するとしても、1人あたり可処分所得は2050年には今より30%減る。実質GDPのゼロ成長というのは、可処分所得のマイナス成長なのだ。

 このようなマイナス成長による貧困化を防ぐには労働生産性を上げる必要があるが、これも容易ではない。製造業の成長があまり望めない以上、国内のサービス業の生産性を上げるしかないが、それを阻んでいるのが地方にばらまかれる税金だ。

 これから日本経済が生き残るには、東京をはじめとする大都市にインフラ投資を集中し、上海やシンガポールと競争しなければならない。今のところ東京の競争力は高いが、そこから上がった収益が地方にばらまかれると、都市も衰退するおそれがある。

 実はこれから高齢化が最も急速に起こるのは、大都市圏である。東京圏では2035年までに65歳以上の人口は75%も増え、人口の32%を占める。これは現在の島根県より高齢化率が高く、現役世代2人で高齢者1人を養う計算だ。

 今の社会保障を維持すると、東京の財政負担は25年間で2倍以上になり、税率(国税・地方税)は50%以上になる。このように大きな負担は不可能だから、公共サービスの大幅な縮減は避けられない。つまり今の社会保障を維持したままでは、日本経済の中核となる大都市のサービス業も行き詰まるおそれが強い。

 必要なのは、社会保障の抜本的な見直しとともに、人口を都市に集中してインフラを中核都市に集中するコンパクトシティの発想だ。薄く広く税金を地方にばらまいていては、新興国との競争に勝てない。いま世界で最も成長しているのは、上海、ムンバイ、リオデジャネイロなど1000万人以上の人口を集める「メガシティ」である。

 人口減少時代に必要なのは「地方創生」と称して地方に補助金をばらまくことではなく、地方の高齢者に偏した社会保障を改革し、高齢化時代に対応した効率的なインフラ整備を進め、農村部には投資しないで大都市への人口集中を進める戦略である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41691



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