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過去最悪を記録した生活保護世帯と富裕層への課税(NEVADAブログ)
http://www.asyura2.com/14/hasan91/msg/909.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 12 月 03 日 16:00:05: igsppGRN/E9PQ
 

過去最悪を記録した生活保護世帯と富裕層への課税
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4786356.html
2014年12月03日 NEVADAブログ


厚生労働省が発表しました9月の生活保護受給世帯数は、8月に比べ2123世帯増え、161万1953世帯となったと発表されており、5ヶ月連続で過去最悪を記録したと発表されています。

また、生活保護受給者も1757人増えて216万4909人となっています。

株が上り1億円以上の資産を保有する日本人(世帯)が100万世帯を超えたと大きく報じられていますが、一方で生活保護受給者は216万人と増加の一途をたどっており、上(勝ち組)と下(負け組)との差が物凄く拡大してきているのが分かります。

一旦、<負け組>に転落すれば、もう二度と這い上がれないような社会に今の日本はなってきており、中でもFXや商品先物取引の失敗等で元本を全て吹き飛ばした者も多いと言われていますが、住宅ローンを組んで払えなくなり、借金だけが残るような状態になっているサラリーマンも多く出てきていると言われ、真面目にローンを払ってきたサラリーマンもリストラやボーナスカット・給料の引下げ等で、苦境に陥る例も多く出てきているとされており、
今後、生活保護を受給する者が減る要因は全くなく、反対に激増することもあり得ます。

今の国の財政が生活保護費(年間3兆円以上)や社会保障費増加で維持できない事態になってきており、どこかで(近い内に)リセットをしなくてはいけない時が来ています。

100万世帯以上いる富裕層が保有しています金融資産が241兆円となっており、この241兆円の金融資産を社会保障費に転用すれば良いではないかという議論も政府内部で出てきており、仮に半分でも120兆円となり、社会保障費には十分すぎる額と言えます。

富める者から貧しき者への再分配が政策として行われるかも知れません。


 

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コメント
 
01. 2014年12月03日 17:52:41 : nJF6kGWndY

ほんとにバカだな

241兆円程度では、社会保障の莫大な赤字を埋めようとしても、すぐに枯渇する

現実には課税しようとしても、大部分がキャピタルフライトで逃げるから、インフレ悪化で悲惨なことになる


02. 2014年12月03日 20:40:00 : Pwt204h5bA
善良な市民だから負け組はまた騙される。

03. 2014年12月03日 20:46:42 : uAwxRdVmqI
1億以上の貯金は20パーの税金をかけたらいいのだ
5億以上は50パー
10億以上は80パー

04. 2014年12月04日 07:04:22 : jXbiWWJBCA

知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴
2014年12月4日 早川幸子 [フリーライター]
退職したり、失業したら健康保険はどうなる?
会社員は任意継続被保険者の加入を検討しよう
 早いもので、今年も残すところあと1ヵ月となった。

 年末や年度末などをひとつの区切りとして、会社を退職したり、転職したりする人も多いだろう。また、このところの急激な円安を受け、厳しい経営を迫られている中小零細企業もあるため、会社が倒産して失業したという人もいるかもしれない。

 退職したり、失業したりすると、会社員は同時に健康保険をはじめとする社会保険も失うことになる。健康保険が使えないと、病気やケガをしたときの医療費は全額自己負担だ。

 医療費が家計の大きな負担となり、それがきっかけで貧困に陥る可能性もあるため、日本では国民皆保険制度をとって、誰もがなんらかの健康保険に加入することを義務づけている。

 そのため、退職や転職、失業をした場合は、忘れずに新しい健康保険の加入手続きをしておきたい。

退職後の健康保険には
3つの方法がある

 退職したり、失業したりした会社員は、次の3つのうち、いずれかの健康保険に加入することになっている。

(1)会社員や公務員をしている家族の扶養に入る(被扶養者になる)
(2)それまで勤めていた会社の健康保険の任意継続被保険者になる
(3)市区町村の国民健康保険に加入する

(1)被扶養者になる

 会社員や公務員の扶養家族は、保険料の負担なしで健康保険に加入できるので、当面の保険料を節約したいなら(1)の被扶養者になるのがおトクだ。

 扶養家族として認められるのは、保険料を負担している加入者と同居している3親等以内の親族だが、一定の年収要件などを満たせば離れて暮らす父母や兄弟姉妹なども扶養に入ることは可能だ。

 ただし、扶養家族になれるのは、原則的に年収130万円未満(70歳未満)で、健康保険の主たる加入者の収入の半分未満であることが条件。退職後に雇用保険からもらう失業給付は収入とみなされるので、たとえ失業していても、それなりの収入があると扶養家族になるのは難しいこともある。

 結婚して専業主婦になる女性は、この(1)の被扶養者を選択する人が多いが、一家の大黒柱などで収入要件を超える人は、(2)の任意継続被保険者になるか、(3)の国民健康保険に加入するかのいずれかを選択することになる。

(2)任意継続被保険者になる

 任意継続被保険者は、退職した会社員が再就職するまでの間の医療費に困らないように、暫定的に元の会社の健康保険に加入できるようにした制度だ。

 現在、任意継続被保険者になれるのは、退職した日の前日までに継続して2ヵ月以上(共済組合は1年以上)、会社の健康保険に加入していた人だ。退職後20日以内に手続きをすれば、最長2年間は任意継続被保険者として、それまでの会社の健康保険に加入できる。

 任意継続の運営は協会けんぽや健康保険組合で行われているので、会社が倒産しても継続できないということはなく、その点は心配はいらない。

 原則的に、任意継続被保険者は、病気やケガで仕事を休んでいる間の休業補償である「傷病手当金」、妊娠・出産した女性が仕事を休んでいる間の休業補償である「出産手当金」といった会社員独自の給付は受けられないが、国民健康保険よりも有利になることもある。

 大企業の健保組合のなかには、医療費が高額になった場合に負担を軽減できる「高額療養費」の自己負担限度額が3万円など、法定給付よりも優遇されているところもあるからだ。任意継続でも、社員と同様の給付を行っている健保組合もあるので、こうした充実した保障があるなら、もとの会社の健康保険を継続したほうが有利だ。

 また、被保険者本人以外の扶養家族も、保険料の負担なしで加入できるというメリットもある。ただし、任意継続は保険料の支払いが1日でも遅れると、ただちにその資格がなくなってしまうので、その点は注意したい。

 問題は保険料。会社員時代は健康保険料が労使折半で、半分を会社側が負担してくれているが、退職後は会社の負担がなくなるので保険料は2倍になる。ただし、上限があり、おもに中小企業の従業員が加入する協会けんぽは、標準報酬月額(平均月収)が28万円の場合の保険料が最高額となる。たとえば、東京都の協会けんぽの場合、2014年度の21等級の保険料は全額負担で2万7916円だ(介護保険料は含まない)。

 標準報酬月額が28万円よりも低い場合は、それまでの保険料を2倍にしたものが任意継続のそれになる。この保険料と市区町村の国民健康保険とを比較して、割安なほうを選ぶという人が多いようだ。

(3)国民健康保険に加入する

 国民健康保険は、おもに自営業や無職の人など、職域保険に加入しない人のために1959年(昭和34年)に創設された公的な医療保険だ。

 運営は各市区町村で、保険料も自治体によって異なるが、いずれも前年の収入をベースに、保有している資産や家族の人数などによって決められる。会社員の健康保険のように扶養家族という概念はなく、自営業の夫に扶養されている妻や子どもに収入がなくても、「均等割」といって家族の人数に応じて平等に保険料を負担する部分もある。

 保険料決定のベースは前年の所得なので、失業中で収入がなくても、保険料が割高になることもあり、任意継続を選んだほうが有利になることが多い。

 ただし、2010年4月から、勤務先の倒産、解雇などで、自分の意志に関係なく失業した人(非自発的失業者)に対しては、失業した翌年度末まで、保険料が最大70%軽減してもらえるようになっている。

 解雇や雇い止めなどで失業した人は、任意継続の保険料よりも安くなることもあるので、比較してみるといいだろう。

 国民健康保険も、滞納すると健康保険が使えなくなり、いざという時に医療を受けられない可能性もある。非自発的失業者への支援策のほかにも、自治体が独自に低所得層向けに保険料減免を行っているところもあるので、保険料の支払いが厳しい場合は、滞納するのではなく、まずは市区町村の国民健康保険課に相談してみよう。

 転職先が決まっていて、翌日からすぐに新しい会社の健康保険に加入する場合をのぞいて、いずれの保険に加入するにも手続きが必要だ。運悪く無保険の間に大きな病気やケガをしたりすると、医療費を全額自己負担しなければいけないので、健康保険は切れ目なく加入するようにしたい。

俎上にのせられてきた
任意継続の見直し

 以上のように、会社を退職したあとは、3つの健康保険の加入先があるが、
 なかでも重要な役割を果たしてきたのが(2)の任意継続被保険者だろう。

 だが、保険財政の悪化から、任意継続も見直すべきではないかという声が聞かれるようになっている。

 任意継続被保険者は、1926年(大正15年)の健康保険法の制定と同時に作られており、当初、加入できる期間は退職後180日間(約6ヵ月間)だった。その後、保障の充実が図られ、1963年(昭和38年)に1年間に、1976年(昭和51年)に2年間に延長され、退職者の医療を担ってきた。

 だが、任意継続は国民皆保険が実現する前に作られた制度で、全国の市区町村に国民健康保険が行き渡った今、その役割を終えたのではないかというのが会社員の健保組合や企業の言い分だ。

 たしかに、現状では、退職した人が必ず任意継続を利用しているわけではなく、国民健康保険と比較して、おもに保険料の損得で加入の是非を決めている人が多い。

 また、2012年度は、会社員の健康保険の加入者全体に占める任意継続被保険者の割合は1.8%程度。平均利用期間は1年2ヵ月となっているため、任意継続の期間を1年間に短縮してはどうかという意見もある。

 現役世代の健康保険は、いずれも高齢者の医療制度への支援金によって、厳しい財政運営を迫られているため、任意継続も見直して、できるだけ負担を抑えたいという言い分も分からないではない。

 しかし、いまや労働者の3分の1が非正規雇用という時代だ。企業の利益は労働者の働きによって生み出されているのだから、正規、非正規にかかわらず、企業の健康保険で面倒を見るべきだろう。

 ところが、非正規雇用の人の中には、勤務先の社会保険に入りたくても、年収要件や労働時間などのしばりによって加入を阻まれている人もいる。その結果、非正規の多くが国民健康保険に流れ、それが国保財政を悪化させているという側面もある。

 2016年10月から、従業員501人以上の企業で働く短時間労働者の社会保険適用の要件が見直され、加入者は増える見込みだが、それ以外の企業で働く非正規雇用の人々の待遇は変わらないままだ。

 任意継続被保険者制度が国民皆保険時代に見合わないと主張するのであれば、自社企業で働く労働者の健康保険は、その労使で担うという本来の姿に立ち返って、雇用主の責任も果たしてほしいものだと思う。
http://diamond.jp/articles/-/63154


05. 2014年12月04日 18:47:14 : RQpv2rjbfs
医療制度が歪んでいる。人件費が多すぎるんだ、医師の収入を減らせば良い、具体的には収入が多ければ高率の課税をすれば良い簡単だ、儲けすぎないように良心的な治療をするようになる。

なんのことはない、過去の税制はそうなっていた、改悪したのは自民党だ医師会御用達。


06. 2014年12月05日 06:33:37 : jXbiWWJBCA

災害復旧や地方再生を妨げる、日本の登記制度 所有権の壁は厚いが、放置すれば弱者にしわ寄せ
2014年12月5日(金)  山中 浩之

東日本大震災きょう3年半 住宅再建なお進まず
岩手・宮城 1割どまり
2014年9月11日 日本経済新聞

東日本大震災から11日で3年半。インフラの復旧や民間の被災施設の再開に比べて住宅再建が遅れている。岩手、宮城両県の沿岸26市町村で建設される災害公営住宅は7月末時点で計画戸数の10%にとどまる。民間の力を借りて建設を加速しており、日本経済新聞の調査では2014年度末までに3割が完成する見通しだ。被災地の生活と産業基盤の復興加速へ知恵を絞る時期に来ている。

約8万9千人は仮設住宅の暮らしが続く(9日、仙台市太白区)
 岩手、宮城両県は沿岸部に住む被災者向けに合計2万1000戸あまりの公営住宅を用意する計画。7月末時点の完成戸数は2194戸と計画数の10%にとどまるが、建設中の住宅が続々と建設を終え、14年度末には6708戸と32%が完成する見通しだ。福島県は全体計画が作れていない。
*      *      *
 被災地の状況について、日本経済新聞が上記のように報じました。あらためて読むと大変ショッキングです。その原因が日本の土地登記制度にある、と、何度かNBOでも報じていたのですが、これは被災者の方々に相当にお恥ずかしい話なのではないでしょうか。
 今回は、日本の登記制度のどこに問題があるのか、それがどうして弱者を虐げることになるのか、私でも理解できるように本当に根っこから教えていただこうと思います。この問題を6年にわたって研究してきた東京財団研究員の吉原祥子さんに、お聞きしてきました。
(聞き手は山中浩之)
被災者の方の住宅を建てられないのは、要するに、「代替地の土地の登記がいいかげんで、誰が持ち主か分からないから、その土地を使えない」ということですよね。

吉原 祥子(よしはら・しょうこ)
東京財団研究員兼政策プロデューサー
東京外国語大学(タイ語科)卒業。在学中、タイ国立シーナカリンウィロート大学へ国費留学。米レズリー大学大学院(文化間関係論)、米Institute of International Educationバンコク支部を経て、東京財団勤務。
吉原:ええ、そういうことですね。権利の登記は任意なので、たとえば所有者が亡くなられて、相続の際に親族が名義変更をせず、そのまま誰も手を付けないということが普通にあります。するとどうなるか。
不動産登記簿が放置されればされるほど、法定相続人はねずみ算式に増えていくわけですよね。
吉原:その結果、こういうことになります。昨年、ある県で実際にあった事例です。道路用地として192平方メートルの土地を取得するために、事業担当者は法定相続人約150名を特定し、この相続関係図を完成させました。
土地を使うために、これだけの人を探して実印をもらわねばならない

(出典:東京財団『国土の不明化・死蔵化の危機〜失われる国土III』2014年)
これが、被災地に住宅が建たない理由だ
これは衝撃的ですね…この土地の場合は道路ですが、例えば「ここに被災者のために住宅を建てよう」と思った場合も、この人たちの関係を調べ上げた上で、全員にはんこを押してもらわなきゃいけないということですか。
吉原:そうです。法定相続人全員の実印をもらわなきゃいけない。そもそも、「この系図で大丈夫だ」というところに行き着くだけでも大変なのです。
あ、つまり「ここから先には、本当に法定相続人はいないんだな」というのを完全に調べあげねばならない。
吉原:はい、調べなきゃいけないんです。戸籍謄本や住民票を全部取って、相続関係図を作った上で、「権利者はこれだけです」というのを確定しなきゃいけない。
3.11の被災地や、広島の土砂災害などでも、「代替地に施設を建てよう」とか、「砂防ダムを造ろう」とかする度に、「その土地の所有者が分からないから動けない」となるのは、つまりこういうことが原因なんですね。
吉原:そうです。必要な土地の中のごく一部でも、こういう土地があれば止まってしまう。今後、地方ではこうした「誰の所有なのか突き止めるだけで大変な人員と時間が必要な土地」が、かなり増えていくと考えられます。
 東京財団では、先代が相続登記をしていなかったために二代前まで遡って名義変更手続きをすることになった場合の相続コストを50万円と設定し、試算を行ってみました。その結果、山林の場合だと、登記コストが資産価値を上回ってしまう面積割合が25%に上るという結果になりました。
登記を行って資産を保全するコストの方が、売るよりも高くなるということですか?
吉原:はい。こうしたケースでは死亡者名義のまま放置され続ける可能性が高いと考えています。
登記放棄が予測される山林面積の比率

小規模の山林が、相続される際に登記コストのほうが資産価値より高いため、放棄される面積を推計したもの。登記費用(諸経費を含む)は50万円として推計した。総務省『平成24年度固定資産の価格等の概要調書』および農林水産省『1990年世界農林業センサス』をもとに東京財団作成
納税は“義務”、でも登記は“任意”?
基本的なことからで申し訳ないんですけど、「不動産登記」って、納税とリンクしていると思っていたんです。
吉原:ええ、そういう方はとても多くいらっしゃいます。
公の資産でもある土地、不動産を私有するということは、権利に見合った負担をせねばならない。権利と義務を繋ぐのが登記だ、と、何の疑問もなくマンションの固定資産税を払っていたんですけど…。
吉原:たしかに、固定資産税の課税においては登記簿情報が土台になりますが、そもそも権利の登記とは「所有者が自らの権利を守るために“任意で”行うもの」であって、課税台帳の名義と登記簿は一致するとは限らないんです。本来、登記と土地課税に関する情報(名義・面積等の地籍情報)はリンクすべきでしょうが、一方が任意になっていることで連動しなくなっています。
不思議な制度ですよね。登記と納税はリンクしてないというんだったら、土地保有者の持つべきコストというのを日本の税制なり、あるいは政府が、等閑に付してきたということなんでしょうか。
吉原:この間も中央省庁の方とちょっと話したんですけど、やっぱり問題の規模が大き過ぎて、これに抜本的に手を付けるだけの世論形成には至っていないと思います。
そうでしょうか?
吉原:例えばマンションや家を買ってローンを組むとか、そういう必要性に迫られた人は登記の重要性が分かるし、ご自分で登記もされたりしますよね。
 けれども、そういう経験がない人もとても多い。そして何より、都市部の人と地方の人の感覚の違いが大きいのです。
といいますと。
吉原:「登記なんかしなくたって、近所の人たちが『あれは××さんの山だ』ということを認識していれば、それで十分なんだ」「ここの家は代々うちの一族が住んでいるんだから、登記なんかしなくても明らかだ」と。家の売買もないし、代々住み続けていれば、登記をしなくても不便はないし、相続登記の手続きも「面倒だな」と言っている間に、そのままになっている。そもそも、登記所まで遠いところが多いですし。
登記「しない」ことによるデメリットが、地方では少ないんですね。
吉原:福島の原発事故における財物賠償のときも、「自分の不動産の登記をきちんと済ませていた人のほうが少ないのではないか」という関係者のコメントも見られました。登記手続きは手間がかかる。そして、その手間に見合う資産を持っている人しかやらなくなっている、というのが現状ではないかと思います。
土地は「もてあましもの」になっている
うーん…。お金を借りるとか売買がなければ、登記しなくても平気なのか。
吉原:都市部、特に東京にいると、「なぜ登記しないのか」って不思議に思うでしょうね。土地は家計資産の5割以上を占める、すごく大きなものですから、「何で土地の権利関係が放置されるのか」というのが分からない。おそらく、霞が関の人たちも多くはそうだと思うんです。だけど地方にいると、もう「土地」を持て余してしまっている。
土地をもてあます?
吉原:地方の自治体のある税務課の方と話していたら、「いらない土地の行き場がないんですよ」と仰るんですね。固定資産税だけ払っているけれども、管理もしきれないし、それが山だったりすると、木材を切って搬出しても足が出てしまう。そのため、「自分の代で手放せるんだったら手放したい。役所に寄付できませんか」という相談が、ぽつぽつと高齢の住民の方から自治体に来ているようなんです。ほとんどの場合、受け付けないそうですが。
ただ、それは制度ではなく、登記する側の事情のお話ですよね。
吉原:納税義務と登記のお話に戻ると、課税の基礎となる「固定資産課税台帳」は、不動産登記簿を基にして更新されます。家屋の場合は役所の担当者が現地調査をして見つけた情報を台帳に新たに書き込むということもありますが、土地の場合はほぼ100%、不動産登記情報だといわれています。
 課税や納税は義務なのに、その土台となっている情報源の不動産登記が任意なんです。そこに制度的な矛盾がそもそもある。
なぜその矛盾が見過ごされたのでしょう。そして、地方でその矛盾が噴出している理由は。
吉原:まず、今までのように、「土地の所有者=在村地主=管理者」という図式が成り立つときだったら、役場の税務担当者も「あそこは誰さんの土地」というのが分かりやすかった。任意でも実際には問題が無かったわけです。
 ところが、今、子供たちの多くは地方から都市部へ出ていって戻ってこない。それから土地の転売というものも起きるし、さらに外資の森林買収のようにケイマン諸島のペーパーカンパニーが持つとか、そういうふうになっていくと、所有者=在村地主=管理者という図式が成り立たなくなってきている。
 こういう時代の変化に、不動産登記簿をはじめとする今の日本の土地制度が対応してないというところが一番の問題だと思います。
そうか、任意だから更新されなくても放置される。さらに、いったん登記を行った記録が残ると、公共的に見て意義が大きい事業でも、それで発生する所有権に強く束縛される、と。
吉原:おそらく日本の財産権、所有権は世界一強いと思うんですけど、そこの壁を崩して制度改革を実現する、ということができないまま、ここまで来てしまった。そして人口減少社会に突入して、土地が余り、放置される時代になってきた。
 これが高度成長期とかバブルのころ、地価が上昇を続けているときだったら、社会的に問題視され、制度変更もまだしやすかったかもしれません。それこそ日本経済新聞の「経済教室」でも土地問題の特集が組まれ、ずいぶん議論がされていました。
でもバブルのころも低成長・人口減の今も、制度を改める動きは起きない。
所有区画や面積を確定した土地は国土の半分!?
吉原:根本は同じだと思うんですよ。「短期的な資産価値があれば買う、転売する。だけど、資産価値がなくなれば放置する」という今の日本の土地制度は、短期的な資産価値でしか土地というものを見ていない。市場に任せておくだけでは保全しきれない、土地の公共財としての側面をどう政策として評価していくか、国土管理の観点からの制度が確立されていない。
 だから、地価が高騰すればみんな騒ぐけれど、安くなったら放置して無関心。誰も手を付けなくなっている。
年金問題のときに、端なくも「日本って意外といいかげんなところのある国なんだな」と思ったりもしましたが、不動産もそうなんですね。日本の土地で所有権や面積確定している部分が、全体の5割でしたっけ。
吉原:地籍調査の数字はそうなっていますね。
というのも結構衝撃でして。これって先ほどの例のように、「調べる人手がないから進まない」というお話なんですか。
吉原:それもありますが、仕組みが一律でかつ硬直的なことも大きい。
 地籍調査は1951年の国土調査法から始まっていまして、国や県から各市町村へ補助金が行きます。市町村の負担は実質5%と言われています。ただ、お金は行くけれども、まずおっしゃったように調べなければならない項目に対して人手が足りません。土地の面積や境界の確定のためには、隣接地を含む所有者全員の実印をもらわなきゃいけない。境界線と接する土地の関係者全員が立ち会いをして合意しなければいけない。
ああっ、そうか。接地する土地の所有者側にも確認が必要なのか。
吉原:となると、不在地主で都会に出ていった人とか、そういう人たちを全員集めて日程を調整して確認してもらわなければいけない。山だったら、高齢の所有者に山の上まで登ってもらわなければいけない。
ええっ…それ、本人じゃなくちゃだめなんですか。
吉原:代理人というのもありますけれども、それも。
「休日を潰して田舎のオレの山に行ってくれ」という話ですものね。それはなかなか難しい。
吉原:それをやることで所有者がメリットをちゃんと感じられるならばいいですが、今まで何も起こらず平穏無事で、地籍調査をやってなくたって何もなかったなら…
これからも何もないかもしれない。
吉原:となれば、何であえてやらなきゃいけないのと。まして、調査してみたら「実は面積が違っていまして、課税台帳上の面積が小さかったです」と。
その分増税しますと。
吉原:「縄のび」といわれるケースですね。
踏んだりけったりですね。
吉原:ということになるし、お隣と境界を合意していたはずが、ズレが発見されれば寝た子を起こすことになるという、そういうことを考えると、自治体の首長さんたちもわざわざそれをやりたいとは思わない。地域のトラブルを起こすかもしれないようなことは、なるべくしたくない。
なるほど、それはそうだ。
吉原:今、全国の登記所に備え付けられた図面のうち、地籍調査等による測量に基づいて作成された地図が全体の半分程度あるといわれているけれども、ただ昭和30〜40年代ぐらいに行った調査は、現在と比較して精度が低いので、再調査をしたらおそらく測量結果はだいぶ違うだろうと言われています。
でも、そういう状況下で、実体経済は動いているわけですよね。
吉原:ええ。正確な地図がない中であっても、売り手と買い手とさえ合意すれば契約は成立します。
 しかし、こうした状況を放置すればするほど、問題が表面化したときに掛かる解決コストは大きくなっていく。震災復興を見れば、本当に一番大変なときにこれが噴出して、公営住宅の用地取得や高台移転が進まず避難生活が今も続いています。
問題があるのは関係者がみんな知っているけれど、解決の手間がものすごすぎて、みんな目をつぶって、なかったこと、無きものとしている…。
「50万円、プラス実印と印鑑証明」なんて現実にはムリ
吉原:実は解決のための制度がないわけじゃないんですね。例えば「不在者財産管理人制度」とか、「相続財産管理人制度」とか。だけどそのコストがやっぱり高いんです。
 ある自治体の方に聞いた話ですが、高度成長期に道路用地を買収した際、役場で土地の登記の書き換えをしないまま、そこに道路を通してしまっていた。今、きちんと登記の書き換えをしようとしたら、価格としては数万円程度の土地に対して、時効取得のための家庭裁判所に申し立てをしたり、あるいは財産管理人制度を使うとすると数十万円掛かってしまうそうです。
それでは納税者に説明できんと。
吉原:何万円かの土地の権利を取得するために、そういう手続き費用、裁判費用が40〜50万円掛かるとなると、やっぱり「何も問題がないんだから、あえてやらなくてもいいんじゃないか」というふうになってしまいます。だから制度はあることはあると思うんです。でもそのコストが高い。土地の資産価値の低下に対して、掛かるコストは変わらないから見合わなくなってきている。
でも法的手続きばっかりでしょう、ペーパーワークに、何で数十万円もかかっちゃうんですか。
吉原:例えば相続財産管理人制度は、「誰も相続人がいません。それで司法書士や弁護士を立てて財産管理人になってもらってもろもろの手続きをします」という制度です。財産管理人は申し立てを裁判所にして財産をきちっと清算します。現金と換えられるものは現金化し、清算後残ったものは国庫に帰属させるという手続きをするんですけど、そのための予納金というのが、ケースにもよりますが、普通40〜50万円ほど掛かるそうなんですね。まずはそれを家庭裁判所に予納しなければなりません。
 それでいろいろな清算が終わった後に残金は戻ってくるけれども、さらに裁判費用が掛かることもある。結局、40〜50万円以上かかってしまう。
司法書士さんとか弁護士さんの料金がばか高いんです、という話では必ずしもない?
吉原:必ずしもないと思います。1世代放置したものはだいたい10万円とかで手続きが…そうですね、父親が亡くなって息子が手続きをするんだったら10万円ぐらいでできるでしょうし、2世代にわたって放置するとやっぱり20万円、30万円になっていくと思います。司法書士さんに払う金額だけじゃなくて、法定相続人、親族全員に連絡を取って実印をもらうまでの交通費とか、それに掛かるさまざまなコストを乗せたら、50万円くらいになるでしょう。
うーん、50万円出したうえに、「それと実印、全員分集めてきてください」と言われたら、もうその瞬間にアウトですよね。
吉原:はい。実印プラス、印鑑証明を取ってもらわないといけないから、それを会ったこともない親戚に説明せねばなりません。頼まれた方も、自分が全然関係ない土地のために、役所が空いている平日の昼間に会社を休んで行って取って送るかといったらどうでしょうか。そもそも、お願いする方の心理的な負担が大きすぎる。
これはお役所の方に聞くべきなんでしょうけれど、それこそ時限立法でもいいですよね。「公共福祉の観点から、一定の告知期間内に登記を更新しない場合、20年間接収して被災者の住まいを建てる」みたいなことはできないんでしょうか。
吉原:行政訴訟のリスクや財産権との兼ね合いがありますから、行政は極めて慎重にならざるを得ないと思います。
その行政訴訟をされたときに、「法制上、地主さんの言う通りだね。せっかく建てたけれど、被災者の方は立ち退いて、家は取り壊して下さい」という話になるんですかね。緊急性と、手続きのばかばかしさを考えると、「行政に度胸が足りないんじゃないか」という、無責任なことを言ってみたくなりますが。
吉原:そこで、震災から3年以上経ちましたけれど、ようやく今年の4月に「復興特区法」が改正されて、被災地においては、土地収用の手続きを簡略化、弾力化できることになりました。
おお!
災害をきっかけに、一歩を踏み出した法制度
吉原:言い換えますと、そのぐらいやはり国は財産権に対しては慎重なのです。「万が一、訴えられたら」ということを考えるとそうならざるを得ない。日本の財産権というのはそれぐらい強く、所有者の権利が絶対であるというくらいになってしまっている。
ううう。何事もなければそれはそれでありがたいことなのですが。
吉原:そうなのです。何事もなければ先送りできるということと、それから先送りするほど解決コストの方が目に見えるメリットよりも大きくなってしまうことで、いつまでも解決しないのです。そもそも問題がなかなか目に見えませんから。
顕在化するのが災害時というのが、なんとも。
吉原:最初にちょっと触れましたが、8月に広島で発生した土砂災害の現場でも問題になりました。これから砂防ダムや治山ダムを造るそうですが、NHKのニュースによると、建設予定地では明治期に入会地だった山を分割して個人所有とする「割山」としたものの、その後は地籍調査も行われておらず、ほとんどの地権者がわからないそうです。地権者の合意を取らなければ公共工事は開始できません。そういう一生に一度の災害時とか相続時になって、初めてこうした事態を知ることになるんです。
吉原:でも、そういう災害のときには「土地制度の見直しが政策課題ではないか」と言って議論するどころではなくて、自治体職員だったら道路を造らなきゃとか、そういう目の前の課題に対応するのが精いっぱいで、それが何とか落ち着いたら、もうそれっきりになってしまう。同じような問題が各地で散発的に、慢性的に発生していながら、不利益を被る人たちの声を集約して抜本的な制度見直しに繋げていくということになかなかならない。
公害、薬害のような社会的な運動になりにくい。
吉原:ええ。それにこういうことに取り組む政治家というのもすごく少ない。票になりづらい、個人の財産権、所有権に絡む話であるし、役所の人たちもこんな面倒くさいことには自分が担当のときにはかかわりたくない。そうこうしているうちにこれを解決するためのコストの方がどんどん大きくなってしまって、よっぽどのことがない限り誰も手を付けなくなってしまっているのだと思います。
なんだか真っ暗な気分になってきました。登記という“人為的な”制度を変えることができず、無為無策のまま災害におびえるしかないんでしょうか。
吉原:この7月に京都府が「森林の適正な管理に関する条例」を作りました。近年、局所的豪雨による土砂災害などが発生していることから、京都府では森林の荒廃に起因する災害を防止するために、防災の観点から森林所有者の責務を規定する条例を作って、その中で、「森林の所有者は、その所有する森林に関する権利関係が登記簿に正確に記録されるよう努めなければならない」と条例に盛り込んだんですね。
 法的には任意の権利登記について、条例で努力規定とはいえ、そうやってうたったというのは全国で初めてのことです。
お話を聞く前なら小さな改正のように思えますが、画期的なんですね。
吉原:所有者が管理放棄や実態的に権利放置してしまうこと、それから災害復旧にあたって所有者がすぐに分からないことが、個人だけではなくて地域の公益、防災の観点からもやはり看過できないことになりつつあるということだと思います。
この問題は必ず、山から都市へと下りてくる
 特に京都府は地籍調査の進捗率がワーストワンなんですね。土地所有者がすぐに分からない、権利関係がすぐに把握できない状況にあるということが、3.11の震災とか、こういった防災の観点、さらには地方税収の4割を占める固定資産税の徴収においても影響が出始めているんじゃないかと。それはすごく地味な話で、目に見えにくいんだけれども。
あれ、ということは、例の「国土強靱化」やコンパクトシティ化の流れにも、登記放棄は問題になってくるのではないですか。だって、そこを持っている人が誰か分からなかったら、何もできないですよね。
吉原:おっしゃるとおりで、今年7月に国交省が発表した「国土のグランドデザイン2050」にも、土地の所有者不明化問題について実態把握や、活用を進めるためのルールづくり等を進めるということはうたわれています。国交省も少しずつ調査を行っています。
 ただ、この問題はやはり省庁連携で、法務省、総務省、国交省、農水省が横断的に協力していく必要がある。つまり、地方再生とか地域の土地利用を活性化していくためにも、また、国交省とか農水省の個別の政策をきちんと有効なものにしていくためにも、所有者不明化の根本にある法制度の問題は避けて通れないと思います。
 もう1つは、「利用を前提としない保全の在り方」というものも並行して考えていく必要があると思います。人が減って絶対的な土地需要が減っていくわけですよね。公共事業も減っていく。その中でいくらIターンですとか空き家活用を行ったとしても、放置されていく勢い、人口減、相続増加の勢いからすれば、なかなか追い付く話ではない。利用を促進していく方策とともに、利用予定のない土地について当座どうするのか、という視点からの保全策も必要だろうと思います。
「利用しない前提での保全」、面白いですね。
吉原:例えば現状、相続を放棄するにも手続きが要りますので、なにもしないでそのままにするという「放置」によって、土地が荒廃するだけでなく、法定相続人もねずみ算式に増えていきます。利用を前提としない保全の在り方とは、つまり、「これ以上、土地が荒廃しないようにどうするか」という物理的な保全と、「これ以上、法定相続人が増えて権利関係が複雑化しないようにどうするか」という、2つの側面があります。
 それぞれについて、実務とお金を誰がどう分担するのかという話と、解決のための法的な支援策というものをやはり事業官庁と、法務省とが一緒にやらなければいけないだろうと思います。
「地価がこの水準を割っちゃったのなら、もう実印までいらない、サインでいいよ」みたいな感じですか。
吉原:例えば、この5月の末に地方自治法が改正になっていまして、その中に、「認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例」というものが盛り込まれました。昔、町内会とか自治会などの地縁団体が法人格を持てなかった頃に、その当時の自治会長さん等の名義で不動産を買って所有していたものが、その後、親族との連絡も途絶えて、名義を変更したくてもできないと。
 そういう事案について、その団体は市町村長に公告を求め、その公告に対して異議の申し出がなかったときには、その旨を証する情報をもって当該団体への所有権移転の登記を申請することができる、という特例です。
 「こうした問題で、各地の土地利用において困っている」という実例が10年以上も前からあって、ずっと総務省が法務省に要請を出していたのです。今回の特例措置のようなことをやはり一般の土地についても認めていかないと、もうこれは目に見えないところで、どうしようもなくなっていくだろうと思います。
人口減が進み、山林から地方、地方から地方都市、地方都市から首都圏の外縁部みたいな感じで、土地の持つ価値の低下や所有権者の実質的な移行がじわじわ進行していけば、同じ問題がひたひたと生じてくるのではないでしょうか。
吉原:そうです。これは農林地だけの問題じゃなくて、人口減少の問題ですから。農村部で起きたことが都心部でも起きてくるという、大きな流れの1つとして見ることができるでしょう。
 地価公示を見ると、3大都市圏以外の地方圏では下落傾向がずっと続いています。地方都市の地価の下落傾向が続いていくということは、登記をするインセンティブが働かない分岐点がさらに低くなっていっているということです。今、山で起きていることと同じことが地方都市の宅地でも起きていくんじゃないかと思います。
 子供たちは都会に出てしまって、実家の家が空き家になってしまっている。少子化で子供も少ないし、いても地元に戻る予定はない。そうした場合、実家の土地や家屋についてわざわざ手間や費用をかけて登記の名義変更をするかといったら、やはりしないでしょう。
土地の所有・利用実態を示す情報基盤を
トリッキーな言い方ですけど、まだ価値が残っているうちに、その辺の問題をやっつけておかないと、例えばコンパクトシティ化や国土強靱化で土地利用のリストラをやろうとしても、「使える場所が全然手に入りません」という話になりかねませんね。
吉原:権利関係が複雑なまま、実態的に放置されている土地が、空き家もそうですけど、地域の中に点在しているために手を出せない。新しく土地の集約化を図ろうとしたり、町づくりをしていこうというときに、そこがしこりのように残ってしまって、計画変更をせざるを得ないということになるんじゃないかと。
なるほど。
吉原:でも、じゃあ、中国みたいに政府ががーっと何でも収用しちゃうのがいいのかといったら、それはまた。
それは極端な話ですよね。
吉原:これは本当に中間組織というか、公を担う民間の知恵というものを皆で社会実験のように出し合っていって、そこを行政が補助金なりで支援をするという新しい仕組みをつくっていくということが急務だろうと思います。まだ具体的なイメージもないし、いい加減に言える問題でもないのですが。
 いろいろな対策、対応が必要ですが、最終的には、「土地台帳」のあり方を考え直す必要がある。今の日本においては、土地の所有・利用実態を把握するための確立された情報基盤が存在しないことが、最大の問題だと思います。
結局、登記制度に行き着くのでしょうか。
吉原:もちろん、不動産登記法を見直すことも必要でしょう。そもそも不動産登記法は権利を保全し、安全、円滑な取引に資することが目的です。しかし、現行制度のままでは、少なくとも所有者不明化が進む場所だと、権利関係が放置されて相続人が数十人、場合によっては百人以上になってしまうことが避けられません。
 手をこまぬいていると、安全な取引も円滑な取引も困難になっていくと思います。仮に、万一、そうした土地を悪意を持った第三者が占有したり、取得時効を主張したりした場合、それに対抗できる法的な根拠も乏しい。1つひとつの事例は小さいことかもしれませんが。
なるほど。小さくて見えにくいことが解決への勢いを削いでいる。
吉原:やはり土地の問題は、現行制度に因る不利益と解決によって得られるメリットというものが平時にはとても見えにくく、そこにエネルギーやコストを新たに投入するということへのインセンティブが非常に見つけにくい。
 固定資産税の徴収現場で、自治体職員の方々が相続関係図を作ったり、相続人調査のための書類を作ったりすることにかなり時間や労力を費やしていることについて、公金としての損失はすごく大きいと思うんですが、じゃあ、所有者不明問題が固定資産税の税収額にまで響いているかと言ったら、放置されるような土地ですから、そうまではまだ言えないんですね。逆にそこまで問題が顕著になれば、国も動かざるを得なくなると思うのですが。
弱者にしわ寄せを放置しつづける罪と恥
ううむ。でも、いまのメリットデメリットで考えてきたことが、災害時に弱者に負担を掛けている。
吉原:何か問題が起きたとき、大震災が起きたとき、土砂崩れが起きたとき、立場の弱い困っている人ほど大きな被害を被ることになってしまう。避難生活の長期化がその典型だと思います。
 先日、滋賀県の大津市に行ってきたんですけど、そこで伺ったのは、「滋賀県も今回の震災の教訓を踏まえて、県として地籍調査推進プランを開始した」ということで、やはり防災の観点からも、地籍調査の重要性が再認識されてきているとは思います。
手応えを感じられていますか。
吉原:とはいっても、問題はあまりにも大きく、解決のためのインセンティブを見出すことは容易ではありません。自分自身、幻を相手にしているようなせつなさ、空しさを感じることも実はあるんです。…本当に難しい問題ですね。



キーパーソンに聞く
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